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法曹制度検討会(第1回) 議事録

(司法制度改革推進本部事務局)



1 日時
平成14年2月14日(木)15:00〜16:50

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)
伊藤 眞、岡田ヒロミ、奥野正寛、小貫芳信、釜田泰介、木村利人、佐々木茂美、田中成明、中川英彦、平山正剛、松尾龍彦(敬称略)

(事務局)
山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、植村稔参事官

4 議題
(1) 座長の選任等
(2) 検討対象等の説明
(3) 今後の開催予定

5 配布資料
資料1−1 法曹制度検討会委員名簿
資料1−2 司法制度改革審議会意見(抜粋)
資料1−3 検討対象として考えられる主な事項
資料1−4 法曹制度検討会 今後の開催予定

6 議事
【植村参事官】 所定の時刻になりましたので、第1回法曹制度検討会を開会させていただきます。本日は、ご多忙な中、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。
 後ほど、当検討会の座長をお決めいただきますが、それまでの間、便宜的に、私、司法制度改革推進本部事務局参事官の植村が議事を進めさせていただきます。
 まず、議事に先立ちまして、司法制度改革推進本部事務局長の山崎からごあいさつ申し上げます。

【山崎局長】 法曹制度検討会の開催に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げます。
 皆様方には、大変ご多忙の中、法曹制度検討会への参加につきご快諾いただきまして、お礼を申し上げたいと思います。
 ご案内のとおり、この推進本部は、昨年の12月1日に立ち上がり、司法制度改革審議会の意見の趣旨にのっとり、司法制度の改革とその基盤整備につきまして、総合的かつ集中的に推進をするということになっており、3年を目途に法令案等の成立を目指すということになっております。
 この具体的な法案の立案作業等につきましては、私ども事務局が中心になって行うということになるわけでございますけれども、その際には法曹制度検討会を始めといたしまして、主要なテーマごとに有識者等によります検討会を開催いたしまして、意見交換を行いながら、事務局と一体となって作業を進めるという方式を取らせていただいたところでございます。
 この検討会におきましては、特に審議会の答申のようなものをおまとめいただくということは予定はしておりませんけれども、皆様方のご議論につきましては、法令案の立案等に反映させていただくということになっておりますので、是非忌憚のないご意見をちょうだいしたいと思います。
 この検討会におきましては、弁護士、検察官、裁判官の各制度、すなわち法曹制度全般の在り方についてのご検討をお願いしたいと考えております。法曹制度の在り方は、21世紀の我が国の司法制度のまさに基盤となるもので、その重要性は申すまでもございません。当検討会でご議論いただく内容につきましても、大きな視点からご検討いただくべき事柄が大変多く、論点も多岐にわたるということが予想されます。
 このため当検討会につきましては、多角的な観点からご意見をちょうだいしたく、幅広く各界から深い学識経験を有する皆様方にご協力をお願いしたところであります。皆様方には、大変ご面倒をお掛けすることになろうかとは存じますけれども、事務局員全員全力を尽くして頑張る所存でございますので、当検討会の趣旨をご理解いただき、ご協力をいただけますようよろしくお願い申し上げます。
 簡単ではございますけれども、これであいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【植村参事官】 それでは、次に議事の公開等について協議をしたいと思いますので、恐れ入りますが、報道関係の方はここでご退室願えますでしょうか。

(報道関係者退室)

【植村参事官】 では、始めに配付資料の確認をさせていただきます。本日は、事務局の方から4つの資料を配付させていただいております。
 一番初めに「法曹制度検討会(第1回)次第」という1枚紙がございますが、4のところに配付資料が書いてございます。
 資料1−1が、皆様方の名簿でございます。
 資料1−2が、司法制度改革審議会の意見の抜粋でございます。
 資料1−3が、検討対象として考えられる主な事項という、1枚紙の書類でございます。
 資料1−4が、法曹制度検討会の今後の開催予定を記載したものでございます。
 このほか、議事の公開等につきまして、ご協議していただく参考といたしまして、司法制度改革推進法の国会審議のときの衆議院と参議院の附帯決議を、ご参考までに机上に配付させていただいております。
 平山委員の方から「法曹制度の改革に関して検討すべき主な項目について」という書面を提出されましたので、これを皆様方に配付しております。
 資料は以上でございます。
 次に、委員の皆様方のご紹介をさせていただきます。名簿は先ほど申しましたとおり、資料の1−1でございます。私の方でご紹介申し上げましたら、簡単に自己紹介など、一言ご発言をいただければと思います。
 伊藤委員でいらっしゃいます。

【伊藤委員】 東京大学の伊藤でございます。民事訴訟法などを専攻しております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【植村参事官】 岡田委員でいらっしゃいます。

【岡田委員】 消費生活センターで相談員をやっております、岡田と申します。どうかよろしくお願いいたします。

【植村参事官】 小貫委員でいらっしゃます。

【小貫委員】 小貫でございます。法務総合研究所に勤務しております。どうぞよろしくお願いいたします。

【植村参事官】 奥野委員でいらっしゃいます。

【奥野委員】 東大の奥野です。素人ですが、よろしくお願いいたします。

【植村参事官】 釜田委員でいらっしゃいます。

【釜田委員】 釜田でございます。同志社大学で憲法を担当しております。よろしくお願いいたします。

【植村参事官】 木村委員でいらっしゃいます。

【木村委員】 早稲田大学の人間科学部で、バイオエシックス、生命倫理を担当しております。私は、タイ、ベトナム、スイス、アメリカといろんな国に住みました。ベトナムは今、法的支援ということで、だいぶ日本国政府と関係があるようですが、ちょうど戦時下のベトナムに住んだりいたしました。外国生活が長かったものですから、その観点から貢献できればと思います。元来専門は比較法学、東南アジア比較家族法ということで、私は東南アジアの国々に行ったわけですが、その後欧米の大学で教え、今は生命倫理ということでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【植村参事官】 佐々木委員でいらっしゃいます。

【佐々木委員】 佐々木でございます。大阪地方裁判所で、現在民事事件を担当しております。裁判官になりまして、ちょうど28年ということでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【植村参事官】 田中委員でいらっしゃいます。

【田中委員】 田中でございます。京都大学で、法哲学を専攻しておりますけれども、制度上は法哲学を離れて、法政実務交流センターというところに所属しておりまして、ほかの検討会にも関与させていただいて、いろいろ勉強させていただいております。

【植村参事官】 中川委員でいらっしゃいます。

【中川委員】 中川でございます。ただ一人の民間人ということで、大した知識もございませんけれども、利用者という立場でいろいろ教えていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【植村参事官】 平山委員でいらっしゃいます。

【平山委員】 この検討会に参加の機会を与えていただいたことに、感謝をいたしております。私は、平成12年度の東京弁護士会の会長をいたしまして、日弁連の筆頭副会長を兼ねておりまして、司法改革問題等を担当させていただきました。
 そのほかに、平成2年から8年に掛けまして、民事訴訟法の改正作業がありましたが、伊藤眞先生とは一緒に勉強させていただいたという関係がございます。
 それから、日弁連では平成7年から5年間、日弁連の懲戒委員を担当したことがあります。16期の修習でございます。この3月で、弁護士約38年になるというところでございますが、この会議で先生方にご指導いただくことを楽しみにいたしております。よろしくお願いいたします。

【植村参事官】 松尾委員でいらっしゃいます。

【松尾委員】 松尾龍彦です。元NHKで、司法担当の解説委員をしておりました。その後、司法改革の論議については、いろいろな形で関与させていただきました。大変微力ではありますけれども、よろしくお願いいたします。

【植村参事官】 どうもありがとうございます。続いて、事務局の出席者をご紹介させていただきます。
 先ほどあいさつをいたしましたが、事務局長の山崎でございます。

【山崎局長】 山崎でございます。私は、もともと裁判官でございまして、大体この仕事を始めまして、32年ぐらいになります。そのうちの半分が裁判官、半分が裁判を離れて法務省等の勤務という状況でございます。一生懸命頑張りたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

【植村参事官】 事務局次長の大野でございます。

【大野次長】 事務局次長の大野です。私は、出身は検察官でありますけれども、法務省と検察庁の勤務が大体半分ずつぐらいで、そろそろ26年ぐらいになるというところでございます。ひとつよろしくお願いいたします。

【植村参事官】 続きまして、関係機関の出席者の方を紹介させていただきます。
 まず、日弁連から山内副会長でいらっしゃいます。

【日弁連(山内副会長)】 日弁連副会長の山内でございます。東京弁護士会会長を兼ねております。よろしくお願いいたします。

【植村参事官】 続きまして、日弁連の司法改革調査室の明賀弁護士でいらっしゃいます。

【日弁連(明賀弁護士)】 弁護士の明賀です。司法改革調査室で、非常勤嘱託をしております。よろしくお願いいたします。

【植村参事官】 法務省の大臣官房司法法制部の黒川司法法制課長でいらっしゃいます。

【法務省(黒川司法法制課長)】 黒川でございます。よろしくお願いいたします。

【植村参事官】 法務省刑事局の甲斐参事官でいらっしゃいます。

【法務省(甲斐参事官)】 刑事局参事官の甲斐と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

【植村参事官】 最高裁判所事務総局人事局の金井参事官でいらっしゃいます。

【最高裁(金井参事官)】 金井でございます。よろしくお願いいたします。

【植村参事官】 同じく人事局の川田局付でいらっしゃいます。

【最高裁(川田局付)】 川田でございます。よろしくお願いいたします。

【植村参事官】 それでは、次に座長の選任をしていただきたいと思います。座長の選任につきましては、委員の互選によりお願いいたしたいと思います。どなたかご推薦等ありませんでしょうか。

【釜田委員】 釜田でございます。いろいろな点から、伊藤先生に座長をお願いするのが非常にいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

(「賛成」と声あり)

【植村参事官】 それでは、皆さんご異議がないというふうに思います。伊藤委員、お引き受けいただけますでしょうか。

【伊藤委員】 大変非力でございますけれども、せっかくの皆様方のご意向でございますので、大役を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【植村参事官】 それでは、伊藤委員に当検討会の座長をお願いしたいと思います。恐縮でございますが、座長席の方にお移りください。

(伊藤委員、座長席へ移動)

(協議の結果、議事の公開について、次の取扱いとすることとなった。)

  • 毎回の会議の議事概要及び議事録を作成し、公表する(議事録については、発言者名を記載する。)。
  • 報道機関に会場における議事の傍聴を認める。
  • プライバシーの保護が必要な場合や公開により公正・円滑な議事運営に支障が生じるおそれがあると考えられる場合は、公開を停止し、報道機関の傍聴を制限したり、その部分について、議事概要及び議事録への記載を避けることもありうる。
(報道関係者入室)

【伊藤座長】 それでは、これから議事に入りたいと思いますが、議事に入る前に一言私からごあいさつを申し上げさせていただきます。
 皆様方のご意向でございますので、座長を引き受けさせていただくことになりました。能力、経験ともに不足でございますので、いろいろ不手際があるかと存じますが、委員の皆様方のご協力を得まして、本検討会の任務でございます、法曹制度に関わる諸事項について事務局と一体となって議論をし、その成果を法令案等に反映させることができるように、努力したいと存じます。
 この検討会において取り上げられる可能性のある事項のいずれも、我が国の法曹制度の在り方の根幹に関わるものでございまして、そのことについての基本的考え方は、審議会の意見書において明らかにされているところでございます。
 検討会の議論は、それを基礎にして事務局が法令案等を立案するために、必要な具体的制度設計の内容に関わることになります。幸い、本検討会には、さまざまな分野についての経験と知見をお持ちの委員にご参加いただいておりますので、限られた期間ではございますが、その中で求められる成果を上げるべく、濃密でかつ建設的な意見交換をお願いしたいと存じます。
 簡単ではございますが、私からのあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速議事に入りたいと存じます。議事次第をごらんになっていただくとわかりますように、本検討会での検討対象等や、今後の開催予定の説明がございますので、この点事務局からお願いいたします。

【大野次長】 次長の大野でございます。私の方からこの法曹制度検討会における検討対象として考えられる事項につきまして、ご説明を申し上げます。
 お手元に、資料1−2をお配りしております。これをごらんください。
 資料1−2は、司法制度改革審議会の意見書のうち、法曹制度問題といたしまして、本検討会の検討テーマになり得ると申しましょうか、関連すると考えられる事項を抜粋したものでございます。意見書本体は、既に皆様方のお手元に送らせていただいておりますけれども、本日はこの抜粋版に基づきまして、全体を一通りながめていただきたいと思います。
 一番最初の頁に、目次がございます。この目次に網掛けをした部分がございますが、この網掛けの部分は総論的な部分、あるいはほかの検討会で取り上げることが予定されている事項でございます。したがいまして、網掛けをしていない部分が、当法曹制度検討会に検討をお願いすることとなると考えられる事項であります。この網掛けをしていない部分に関しまして、政府として講ずべき措置についての検討をお願いすることになるのではないかと思われます。
 もう少し具体的に申し上げますと、この審議会意見は、目次のI〜Vまでの5つの編から成っているわけでありますけれども、IIの「国民の期待に応える司法制度」いわゆる制度論。IIIの「司法制度を支える法曹の在り方」、いわゆる体制論の部分であります。IVの「国民的基盤の確立」、これは国民の司法参加の問題と言われるところでございますけれども、この3つが今回の改革の3本柱ということになるわけでございます。
 そして、この法曹制度検討会にお願いいたしますのは、この3本柱のちょうど真ん中の「司法制度を支える法曹の在り方」から網掛けをしている部分、これが法曹養成制度等ということになるわけでありますけれども、これを除きましたほぼ全体ということになるわけであります。要するに、法曹三者の制度の改革について、ご検討をお願いするということになろうかと考えております。
 そこで、目次の次の抜き刷りの頁をご覧いただきたいのでございます。頁をおめくりいただきまして、最初の56,57,58は飛ばさせていただきまして、59頁と60頁「裁判所、検察庁等の人的体制の充実」。これが法曹制度の中身になってまいります。
 次に61頁〜77頁、これは「省略」というふうになっておりますけれども、法曹養成制度改革は別に開かれる、法曹養成という検討会で検討されております。
 その後、78頁以下で「弁護士制度の改革」がございます。
 78頁に「弁護士の社会的責任(公益性)の実践」。
 79頁を見ますと「弁護士の活動領域の拡大」。
 80頁からが「弁護士へのアクセス拡充」。
 82頁に進みますと、「弁護士の執務態勢の強化・専門性の強化」であります。この82頁の下の方の5に「弁護士の国際化/外国法事弁護士等との連携・協働」となっております。これは広い意味の法曹制度に当たるわけでありますけれども、この改革本部におきましては、「国際化検討会」がここの問題を取り上げておりますので、こちらの検討会にお諮りすることはないだろうと思います。
 83頁以下が「弁護士会の在り方」であります。
 86頁まで進みますと「隣接法律専門職種の活用等」があります。ここに網掛け部分が入っております。この網掛け部分は、ADR検討会等で検討される部分が含まれておりますので、こちらの法曹制度検討会にお願いするものは、網の掛かっていない部分、最後の2つの○であります、弁護士法72条の関連の問題と、ワンストップ・サービス、いわゆる総合的法律経済関係事務所の実現に関する部分、これを検討対象にしていただくことになるのではないかと考えております。
 88頁に進んでいただきますと、「企業法務等の位置付け」が記載されております。ここにも網が掛かっておりますけれども、当面はこの検討会における議論の対象としていただくのは、この2つ目の特任検事等経験者の専門性の活用の問題になるのではないかと考えております。この企業法務等の関係は、どちらかと言うとADRの関係に寄せて議論することもあるかと思っておりますけれども、この辺りはまだ確定しておりません。現時点の状況をご説明申し上げたというところでございます。
 以上が、弁護士制度の関係でございます。
 次に89頁でございますが、ここからが「検察官制度の改革」ということになります。まず「検察官に求められる資質・能力の向上等」がございまして、91頁に進みますと「検察庁運営への国民参加」の問題がございます。ここでまた網掛けが出ております。この網掛けは、検察審査会法の改正に絡むということで、別に設けられております裁判員制度・刑事検討会のところで、刑事手続における国民参加の問題が取り上げられますので、そちらの方で検察審査会関係の問題は取り上げていただくのかなと、現在はこのように考えております。
 したがって、網の掛かっていない、検察庁運営についての国民の声を聴取し反映する関係、これがこちらの検討会の検討対象になり得ると考えております。
 92頁以下「裁判官制度の改革」の記載がございます。まず「給源の多様化、多元化」がございます。
 95頁に進みますと「裁判官の任命手続の見直し」。
 97頁に進みますと「裁判官の人事制度の見直し(透明性・客観性の確保)」。
 98頁に「裁判所運営への国民参加」。
 99頁が「最高裁判所裁判官の選任等の在り方について」。こちらはいずれも法曹制度ということになりますので、この検討会でご検討をいただく対象となり得る事項であろうと考えております。
 最後に100頁をごらんいただきたいと思います。「法曹等の相互交流の在り方」が出ておりますけれども、これもこの検討会の検討対象事項となり得るのではないかと考えております。
 以上、改革審議会の意見書にざっと目を通していただきまして、どこがこの検討会の検討対象となり得る部分と考えられるかということについて申し上げました。今、ご覧いただいてもおわかりのとおり、この法曹制度関係については、ほかの検討会での検討対象となっている部分もあるものですから、若干お時間をいただいて個別にご説明を申し上げたわけであります。
 以上申し上げた、当検討会の検討対象として考えられる主な事項を取り出しましたのが、次の資料1−3でございます。これはあくまでも現時点において、委員の皆様方にある程度のイメージと言いますか、この辺りが検討の対象となり得るのではないかということをご理解いただければということで、事務局の方で意見書の記載を基に、たたき台的なものとして作成したものでございますので、参考にしていただければと考えております。
 ところで、この配布資料から離れますが、政府におきましては、本年度内を目途に司法制度改革推進計画というものを策定して、閣議決定することにしております。これは、司法制度改革推進法に規定があるわけであります。この推進計画の中に盛り込まれますのは、政府が司法制度改革に関して講ずべき措置についての計画ということになるわけであります。したがいまして、この法曹制度改革関係につきましても、この推進計画の中で、政府が講ずべき措置については、そのスケジュールや手順等が決められることになっております。
 したがいまして、この法曹制度検討会につきましても、この推進計画のスケジュールや手順の枠組みに見合うように、あえて僣越に申し上げれば、間に合うような形で検討を進めていただく必要があるということでございます。是非そのようにお願いしたいと考えております。
 もう一つ、ほかの検討会に比べまして、この法曹制度検討会につきまして特徴的な事項について申し上げますと、この検討会の検討対象は、法曹三者の体制の改革についてであることから、法曹制度改革につきましては、政府のほかに、最高裁判所や日本弁護士連合会におきましても、独自の改革への取り組みや検討が既に行われ、あるいは、これから行われることになっている事項が、相当数含まれているわけでございます。当検討会におきましては、このような最高裁や日弁連の検討が行われるものにつきましても、その検討状況を踏まえまして、法案の立案を中心として、政府として行うべき措置については、その立場で検討をしていただくことになるというように考えております。
 当検討会における具体的な議論の対象、それからタイムスケジュールの関係につきましては、推進計画が近く策定されるわけでございますので、その進捗状況等も見まして、次回の検討会において、皆様にお示しさせていただければと考えております。
 続きまして、今後の開催予定の関係でございます。資料の1−4をごらんいただきたいと思います。「法曹制度検討会 今後の開催予定」でございます。委員の皆様方のご協力をいただきまして、とりあえず本年中の開催予定日と開催時刻をこのように入れさせていただきました。第3回目以降の終了時刻は出ていませんが、これは今後の議論の順序等を踏まえまして、具体的に決めさせていただきたいと考えております。
 また、検討の状況等によりまして、これ以外にも委員の皆様方にお諮りしまして、臨時の会合を開催する必要が出てくることもあり得ると思います。その場合には、またよろしくお願いしたいと考えております。
 最後に、次回の第2回の検討会の議事内容まで、お許しがあればご説明させていただきたいと思いますけれども、第2回検討会の議事内容、当検討会の検討対象につきましては、ただいま申し上げたように、最高裁や日弁連等における独自の改革への取り組み、検討の進捗状況等を踏まえて、検討を進めていく必要があるものが相当数含まれているわけでございます。そこで、こうしたことも踏まえまして、まず、これまでの法曹三者におけるそれぞれの改革の取り組みや検討の進捗状況等につきまして、日弁連、法務省、最高裁から、説明をいただいたらどうかと考えております。
 そうしたご説明をいただいた上で、先ほど申し上げたように、推進計画については、この時点ではまだ閣議決定がおそらくされていないとは思いますけれども、相当程度計画の内容は明らかになっていると考えますので、その辺りの状況も見ながら、当検討会における議論の具体的な対象、順序等につきまして、皆様方にお示しをさせていただければと考えております。
 以上です。

【伊藤座長】 それでは、具体的な検討につきましては、次回以降ということになります。そこでご審議いただければと思いますが、今、事務局から説明申し上げましたところについて、何かご質問等ございましたら、どうぞ平山委員。

【平山委員】 今後の進行についての意見と言いますか、要望でございますけれども、これは時限立法と言いますか、3年でやることとされております。そして国会審議等を考えますと、実質的には本年中の、むしろ前半の部分で、秋の初めごろまでには検討を終えなければいけない課題が山積しているように思います。そういうところからいたしますと、今日ご提案の開催予定の月1回の予定では、推進計画の閣議決定等がございますので3月まではともかくとして、4月以降は月2回ぐらいは、みんな忙しいですけれども、やらないと、間に合わないのではないかという心配を非常にいたしております。そういう意味で、例えば夏期に集中的に夏期合宿でもしてやるということもあるかもしれませんが、いずれにしても非常に時間的な制約の中で、しかし進める必要があるということが一つ。
 もう一つは、今の大野さんのお話の中にございますように、日弁連、最高裁判所が、それぞれやるべき部分があるから、それを踏まえてという言葉になっておりますけれども、それが終わるのを待っていたのでは、とても間に合わないという気がいたしますので、3月12日にこれまでの取り組み状況のヒアリングをされるということは、非常に理にかなっていると思いますが、途中でやはり、4月とか5月とか、どういう進行かということを報告を受けながら、そのことを我々は頭に入れて検討を進めないと、私は間に合わないと思います。
 そういうことがありますので、是非4月以降の日程については、ひとつ十分な審議ができるように工夫していただいた方がいいと、老婆心ですけれども、今、考えておりまして、申し上げておきたいと思います。
 もう一つは、審議会のペーパーがございまして、方向性が決まっていて、しかも推進法はそのとおり検討会、事務局の法案作成が行われているかどうか、言わば見張り的なことを顧問会議はやることと立法はなっております。そういうところからいたしますと、ここに集まりました者が共通の認識と言いますか、今度の改革の方向はこういうことだと、これに向かってやりましょうという共通認識をすることが、非常に大事だと思っておりまして、そういう総論的なことを一度フリートーキング的にやっておいた方がいいのかなということを思っております。そうでないとなかなか事務的に進んでしまった後にそうだということで、例えば思いつきを言っていくということになりますと、なお時間が足りませんから、十分共通の認識を得て、そういう方向で進めていくということで、建設的な意見を言っていくというようにした方が、実りがあると思いますので、ちょっとその進行について意見を申し上げさせていただきます。

【大野次長】 3点ばかりご指摘をいただきまして、私の関係についてお答えしたいと思います。時間的に間に合うのかどうかというような観点のご指摘がございましたけれども、先ほど申し上げましたように、次回とりあえず事務局の方から進行案のたたき台のようなものをお示ししたいと思います。それをまずご覧いただきたいと思いますし、しかし実際に検討を進めていきますと、確かにこれでは議論が足りないかなという状況が生じることもあり得ないわけではない。その点につきましては、先ほど申し上げたように、更にまた日程を入れさせていただくような形でお願いすることになろうかと考えております。
 2つ目の、最高裁、日弁連の独自の取り組みについて、その検討状況を踏まえてというように私は申し上げたかと思います。それは、検討の結果が出終わるのを待つという趣旨ではなくて、やはりある程度、それぞれの検討状況がこちらに伝わってくるというような機会を確保しながらやっていくことが、全体としての司法制度改革を円滑に実現していくということで、望ましいと考えておりますので、まさに終わるのを待って、結論を聞くという形ではないようなやり方を工夫したいと考えております。
 3つ目の共通認識の関係でございます。あるいは、私の説明のところで申し上げればよかったのかもしれませんけれども、この検討会はゼロから議論するというところではないわけであります。そもそも司法制度改革推進法というもので本部が設けられ、政府として司法制度改革に取り組むこととされているのでありますが、この司法制度改革というのは、司法制度改革審議会の意見の趣旨にのっとって行われるという、既に方向性が示されているわけでございます。
 したがいまして、この検討会でのいろいろな検討につきましては、多角的、あるいは高いお立場からのご議論をお願いするわけですけれども、しかしやはり基本的に、この司法制度改革の方向性を十分に踏まえ、これを一つ共通の議論の土台にしていただければと考えております。
 そんなこともございまして、既に意見書をお手元にお届けいたしましたし、今回も私どもの説明ということで、意見書の目次に基づいてご説明をさせていただいたということでございます。

【伊藤座長】 どうぞ。

【小貫委員】 ちょっとお願いなんですけれども、平山委員が言われるとおり、限られた時間だというのは、私も同じ意見でございます。ここは、各界の識者の方の集まりですから、どれだけ回数増やせるのかわかりませんけれども、臨時の会も持ちますという事務局のお話でしたので、期待したいと思うのですが、いずれにしても一回一回の会議を充実させるということが大事なのだろうと思います。ついては、ここで初めて資料を読むのではなくて、もし事前にいただける資料があれば、予習してきなさいというご下命をいただいて、皆さん準備の上で短時間内で議論をして、どんどん成果を上げていくと、このような運用をしていただくと、我々委員としてはありがたいと思いますので、ご要望いたします。

【大野次長】 予習ということでありますが、よろしくお願いいたします。

【伊藤座長】 ほかにいかがですか、どうぞ、木村委員。

【木村委員】 ただいまのご発言、全く同感です。私としては、一番最初に事務局長が言われたことを、今回確認しておきたいのですが、事務局長が法令案の立案に我々の検討会の議論を反映する、法令案の立案に反映するというお話でしたが、反映というのは、これは事務局の方でまとめて反映を仮にするとしますと、本当に反映されているかどうかわからないことにもなりかねないので、反映された案を検討会で最終確認するということはございますでしょうか。

【山崎局長】 それは、ここにお集まりいただいて、その議論を反映させるということですので、まとめたものをお示しをすることになろうかと思います。

【木村委員】 立案というか、法案に具体的に反映される内容そのものについて、お示し頂けるわけですね。

【山崎局長】 そのものかどうかわかりません。その前の要綱的なものですね。議論の趣旨が入っているか入っていないとかが分かるものはお示しをいたします。

【木村委員】 それはしていただかないと、我々が検討をしたのが反映されたと言っても、確認できないということがありますので、是非それは事務局長さんにお願いいたします。

【山崎局長】 その確認をしていただきます。ただ、もし法令案で出すとすれば、政府の閣議決定後にしか外に出せませんので、法令案は出せないかと思いますけれども、その骨子をまとめたもの、こういうものでお示しをしたいと思っています。

【平山委員】 今の関連ですけれども、ここの検討会と事務局で共同して立案していくという理解でよろしいんですね。

【山崎局長】 勿論、先ほど申し上げましたけれども、立案についてはここでご討議をいただいて、それを反映させながらやりますが、立法の事務はこちらでやるということになります。

【木村委員】 もう一つだけですが、大野次長から大変簡明で具体的なご説明をいただきまして、全体の枠組みが大変明解になったと私は理解したのですが、法曹三者の状況を踏まえてヒアリングをするということですね。今度の3月12日でございますか、これも前にそういうものをやったからどうとかというのではなくて、やはり前の審議を踏まえて、改革推進の現状を踏まえた上で、検討会をやっていくにしても、その討議の時点でまた内容が変わってくると思いますので、ここの検討会でもそういうヒアリングの機会があるということは、大変にいいことだと思うのです。
 それに関連して、ほかの検討会にも関連するかもしれないのですが、1つだけ私がお伺いしたいのは、こういう法曹三者というのが、具体的な提案をしているほかに、例えば前の改革審議会では、一般の方々のパブリックコメントなんかもございましたね。そういうことについての資料というのは、継続的に推進本部にきているのでしょうか。もしそれが例えば法曹三者だけではなくて、一般の国民が特に法曹制度について、いろいろな提案をしたり、具体的なグループをつくって研究会を開いたり、大学によっては講座を開いたりしていますね。そういうことの情報が、法曹制度検討会にもあった方がベターだと思うんです。ですから、単に日弁連、最高裁、あるいは検察だけではなくて、一般の国民の、何かこれに対する期待みたいなことで、特に我々の検討会に関連部分についての資料というのがあれば、ぜひお教えいただきたいと思います。それから、これは実はほかの省庁ではやっているケースがありまして、インターネットで応募してパブリックコメントを出してもらうということをやっています。それを報告してもらうということで、これは時間も限られていますけれども、そのような検討もお加えいただくと、大変に意味があると思うのですが、いかがでございましょうか。

【伊藤座長】 どうぞ。

【大野次長】 まず、事務局もホームページをオープンしておりまして、いろいろな意見が寄せられてきております。これは、この検討会に関係するものにつきまして、どういう形にするかは検討するにしても、何らかの形でお知らせすることができるのではないかと考えております。
 先ほどの木村委員のご発言、あるいは田中委員のご発言に関連するわけですが、やり方としては、節目節目にパブリックコメント的なものを求めるというやり方も考えられると思います。その辺りは、また今後の検討の進行状況を見まして、なるべく広い形で、いろいろな方面からの意見を、検討会の委員の皆様に参照していただく、参考にしていただくようなやり方を検討したいと思います。よろしくお願いいたします。

【木村委員】 関連しますが、ここに首相官邸トップページを私がプリントアウトしたものがありまして、司法制度改革のカラーページのものがあります。ここには、司法制度改革推進本部事務局では、国民の皆様からのご意見等を承っておりますとあり、送付先は以下のとおりですということになっております。電子メールは、ここをクリックしてくださいと書いてあるわけですけれども、このホームページはアップツーデートに変わって、実際に国民の皆様から何か情報が寄せられているのですか。

【大野次長】 来ています。

【木村委員】 アップツーデートにして、そしてここにこれだけ書いてあるということは、やはり関心がある方々がいらっしゃるから、いろんなご意見が既にお手元にあると思います。ですから、それを次の3月12日ぐらいに、こういうパブリックコメントが来ているという内容の概略をお教え頂けますでしょうか。別にこれに応募してくれと言ったわけではないのに、国民からこういうことを言ってきているというようなことは、もし事務局の方で、それまでに大変お忙しいことかと思いますけれども、入れていただければ私どもとしては大変ありがたいことであります。

【大野次長】 わかりました。

【木村委員】 大変きれいなホームページで、これはなかなか印象的です。ちなみに私どもの検討会のメンバーの指名も書いてございます。12月28日に司法制度改革推進本部事務局と書いてありますが、私どもの検討会の委員の発令は、何日になるのですか。

【大野次長】 発令という行為はございません。参加の承諾となっています。

【木村委員】 私どもが承諾したというだけで、辞令をもらったわけではないのですね。わかりました。では、それは28日でよろしいわけですね。

【山崎局長】 最終確定は28日です。

【木村委員】 こういうのが直ちに公開されるというのは、非常にいいことだと思います。今までですと、こういうのに時間がかかったり、もうとても官報なんかの告示では間に合いませんので、事務局は非常に意欲的に取り組んでいると思います。私はアメリカで見たのですが、アメリカでインターネットにつなぎ、日本語が読めるソフトで、首相官邸というところから入っていきましたが、これは大変意欲的にやっているなという印象を持ちましたので、これからも是非よろしくお願いいたします。

【伊藤座長】 それでは、特に何か今回ご発言がございましたら、どうぞ、中川委員。

【中川委員】 議論が進みまして、かなり専門的になっていくる感じがするのです。私は、恥ずかしい話ですけれども、弁護士、裁判官、検察官、あるいは検察庁、裁判所などの、きちんとした基礎知識は残念ながら持ち合わせておりません。委員の皆さんによりまして、必ずしもそういう基礎知識がなく、いろいろものを考えていく上で、ちょっとこういうことを聞いてみたいとか、教えていただきたいとかということがあった場合に、何かそういう窓口を一つ設けておいていただきまして、教えていただくと非常に会議が効率的になるのではないかと思ったのですが、どうでしょうか。

【伊藤座長】 それは、重要なご指摘だと思いますが、事務局の方で対応できますね。

【植村参事官】 私どもの方で、やらせていただきますので、直通電話をおかけください。

【伊藤座長】 中川委員のおっしゃるとおりで、当然最大限のサポートをしていただくことになろうかと思います。

【松尾委員】 もう一点質問なんですが、私たちが担当するのは、法曹制度についての検討ですね。ところが、この資料の網掛けになっている部分を見ますと、かなり関係がある部分がありますね。その部分は、他の検討会でやるわけですが、そうしますと我々はこの法曹制度について検討し、意見を述べる中で、今、言った網掛けの部分に踏み込むような場合も一部あるかもわからないわけです。そこの検討会がどういう検討をやっているのかという情報、これを出していただくことはあり得るのでしょうか。

【大野次長】 そういう場面があった場合には、当然事務局の方から必要なご説明等はさせていただきたいと考えております。

【伊藤座長】 よろしいでしょうか。

【松尾委員】 はい。

【伊藤座長】 それでは、この程度で本日の議事を終了したいと存じます。
 次回は、先ほど事務局から説明がございましたけれども、日弁連、法務省、最高裁に、現在までの検討状況についての説明をお願し、その上で当検討会の具体的な論点、検討の順序、こういったことについて、更に立ち入ってご議論をいただくということにさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 なお、本日の検討会の模様につきましては、会議終了後、私の方から報道関係の方に、いわゆる記者レクを行うことになっておりますので、この点もご了解いただければと存じます。
 それでは、本日は長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。