○:憲法裁判所を設置している国の通常裁判所系統の最上級裁判所の裁判官数は非常に多く、憲法裁判所を設置していない国では最高裁判所の裁判官数は少なくなっているようである。普通に考えると逆のような感じがするが、憲法裁判所を設置していない国では上訴制限の仕組みが働いているためと考えるがどうか。
◎:アメリカの最高裁判所では全ての事件について裁量上訴制を採っているので、重要な事件しか取り扱わないということになっている。しかし憲法事件ばかりを取り扱っているわけではなく、民事訴訟や税法事件についても扱っており、いわば通常裁判所としての機能も果たしている。英米法の国々はイギリスを模範にしている。イギリスにおいては、裁判官が少数で、裁判所の権威も高く、それが憲法裁判所や行政裁判所を作らないということにもつながっていく。人数が少ないということがむしろステイタスを高めるという役割を果たしているということが言える。
○:現行の日本の最高裁裁判官の任命制度は各国と比べて特徴のある制度か。
◎:国民審査制度は非常に特徴のある制度で、ある意味では民主主義を突き詰めた極めて透明性の高い制度である。任命過程が不透明であっても国民審査制度が事後的に透明性を高めていると言える。