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法曹制度検討会(第14回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり

1 日時
平成14年12月10日(火)13:30〜16:50

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)伊藤 眞(座長)、岡田ヒロミ、奥野正寛、小貫芳信、釜田泰介、木村利人、佐々木茂美、田中成明、中川英彦、平山正剛、松尾龍彦(敬称略)
(説明者)小池 裕(最高裁判所事務総局審議官)
松倉佳紀(日本弁護士連合会副会長)
(事務局)古口章事務局次長、植村稔参事官

4 議題
(1)最高裁裁判官の選任等の在り方について−最高裁裁判官の地位の重要性に配慮しつつ、その選任過程について透明性・客観性を確保するための適切な措置
(2)最高裁に、その諮問を受け、下級裁判所の裁判官として指名されるべき適任者を選考し、その結果を意見として述べる機関を設置するとともに、その機関が十分かつ正確な資料・情報に基づき適任者の選考に関する判断を行い得るように適切な仕組みを整備すること
(3)弁護士会運営の透明化−弁護士会の会務運営について国民の意見を反映させることが可能となるような仕組みを整備することを始め、弁護士会運営の透明化を図ること
(4)その他

5 配布資料

【事務局配布資料】

[最高裁裁判官の選任過程について透明性・客観性を確保するための措置]
○資料14−1議事整理メモ(案)

[裁判官の任命手続の見直し]
○資料14−2裁判官の任命手続の見直し 検討のたたき台(案)その3
○資料14−3最高裁判所一般規則制定諮問委員会議事概要(第4回)

[その他]
○資料14−4第8回顧問会議関係資料
弁護士法等をめぐる検討状況[骨子]

【日弁連配布資料】

[弁護士会運営の透明化]
○資料会務運営の透明化のための基本方針
1 「自由と正義」送付先一覧
1−2 日弁連の会務運営透明化への取り組み(情報提供等)
1−3 日弁連の会務運営透明化への取り組み(市民参加等)
2 日弁連新聞寄贈先・購読先
3 日弁連ホームページ(サイトマップ)
4 日本弁護士連合会の人権擁護活動
5 弁護士白書
6 蔵書目録
7 日弁連ホームページ(日弁連新聞の内容)
8 自由と正義(2000年度日弁連各種意見書、会長声明・談話一覧)
9 情報公開制度の概要
10 日弁連ホームページ(総会決議集)
11 日本弁護士連合会懇話会規則、開催と話題、歴代委員
12 綱紀・懲戒制度に関する基本方針の一部変更承認の件
−平成14年12月5日日弁連臨時総会第1号議案−
13 日本弁護士連合会市民委員会(仮称)規則(案)
14 各弁護士会における会員情報の提供状況

【最高裁配布資料】

[裁判官の任命手続の見直し]
○資料 裁判官の任命手続の見直しに関する検討状況について その3
○資料 最高裁判所一般規則制定諮問委員会関係資料
    ・資料24 最高裁判所一般規則制定諮問委員会議事概要(第4回)
    ・資料25 下級裁判所裁判官指名諮問委員会(仮称)要綱案(委員会配布資料12)
    ・資料26 委員会と下部組織の関係(イメージ)(委員会配布資料13)

[その他]
○資料 裁判所運営について国民の意見等を反映することが可能となるような仕組みの導入について

※ 議事整理メモ[PDF] (「事務局配布資料14−1 議事整理メモ(案)」について、今回発言のあった意見を要約整理し追加したもの。)

6 議事

 議事に先立ち、事務局から、事務局配布資料14−1から14−4、日弁連、最高裁配布資料について確認がなされた。

(1) 最高裁裁判官の選任等の在り方について−最高裁裁判官の地位の重要性に配慮しつつ、その選任過程について透明性・客観性を確保するための適切な措置

事務局配布資料14−1「議事整理メモ(案)」について、座長が追加の意見を求め、次のような意見が出された(○:委員、●:事務局、□:日弁連、■:座長、△:最高裁。以下、同じ。)。

○:司法の役割がますます増大する21世紀においては、下級裁判所裁判官について「下級裁判所裁判官指名諮問委員会」が設置されることからみても、最高裁判所に国民的基盤を与えることが極めて重要であり、委員の中に法曹以外の市民が参加する「裁判官任命諮問委員会」の設置を考えるべきである。

○:意見書の趣旨が、単に選任プロセスの透明化・客観化にあるとすれば、例えば、候補者の情報を十分に収集するとか、それを公開するなどの方法が考えられる。しかし、司法改革を進める中で、下級審の処理能力を向上させるとともに、最高裁判所については、その役割分担をはっきりさせ、憲法判断や法令解釈の統一という本来の機能を強化すべきであり、そのような観点を踏まえた最高裁裁判官の選任システムはどういうものが適切か、という問題提起であるとすれば、最高裁の機能、機構の見直しを含めて検討すべきことになるのではないか。

○:最高裁裁判官の選任過程の透明性・客観性を確保するためには、国民を代表する委員も入ったところで選任が行われているということを内閣が表明する責任があり、憲法の規定は尊重しながら、その中で透明性を確保するための措置を積極的に講ずる方向が望ましい。

■:本日の意見を要約整理し、事務局配布資料14−1に追加した上で、議事整理メモを完成させ、今後の顧問会議に対する当検討会における検討状況の報告等に生かしたいと思う。

(2) 最高裁に、その諮問を受け、下級裁判所の裁判官として指名されるべき適任者を選考し、その結果を意見として述べる機関を設置するとともに、その機関が十分かつ正確な資料・情報に基づき適任者の選考に関する判断を行い得るように適切な仕組みを整備すること

① 最高裁からの説明
 最高裁配布資料「裁判官の任命手続の見直しに関する検討状況について その3」及び「最高裁判所一般規則制定諮問委員会関係資料」に基づいて説明がなされた。
② 事務局からの説明
 事務局配布資料14−2「裁判官の任命手続の見直し 検討のたたき台(案)その3」に基づいて説明がなされた。
③ ①、②の説明に対して、次のような質疑応答・意見交換がなされた。

○:憲法に訴訟手続等についての最高裁判所の規則制定権が定められており、組織面については裁判所法があるが、一般論として両者はどのような関係にあるのか。

△:最高裁の規則制定権は、裁判所の組織運営や訴訟手続について、司法権の独立の観点から、独自に規則で定めるべきであるとして憲法から授権されているものである。裁判所法は裁判所の構成等を定めており、領域によってはオーバーラップしている部分もある。

○:最高裁配布資料「裁判官の任命手続の見直しに関する検討状況について その3」にある確認事項は誰を名宛人にするものか。

△:今後、最高裁が制度設計や運営について検討する際に参考となるべき事項について、諮問を受けた一般規則制定諮問委員会が補足的に確認事項という形で最高裁に送付するものと考えている。

○:高裁長官への指名の適否を諮問の対象とするかについては、A案(諮問の対象に含めない)の方が分かりやすいが、理屈的には判事としての審査がなされないまま弁護士や学者から高裁長官になるということもあり得るわけであるから、制度上B案(諮問の対象に含めるが下級裁判所裁判官指名諮問委員会(以下「委員会」と略称。)が必要ないものとして定める場合にはこの限りではない)を採った方がいいと思う。

○:委員会を構成する委員数については、国民が司法に具体的に参加して意見を反映させるという組織を考えた場合は、法曹委員より法曹以外の人数を多くすべきである。法曹委員を5人として提案するのであれば、法曹以外の委員を6人とするのが妥当であると思う。

○:最高裁配布資料「裁判官の任命手続の見直しに関する検討状況について その3」の「9 委員会の権限」の「(2) 協力依頼」について、「委員会は、・・・弁護士会その他の者に対して必要な協力を依頼することができるものとする。」とされており、「その他の者」には個人を含むことが確認されているが、訴訟当事者から最高裁に苦情が入った場合に、判決内容に関するものは対応しないにしても、法廷内の態度が悪いというようなものは含まれるのか。

△:個人の方から、最高裁、高裁あるいは委員会に対して意見が寄せられるかもしれない。それが契機になり、事情を確認したり資料を提供していただく場合があるということを想定している。

○:ある裁判官が東京高裁管内で再任される際に、東京高裁管内では評判がいいが、その前の大阪高裁や高松高裁管内では問題があったというような場合、いろいろな地域委員会から情報が集まってくるということを想定しているのか。

△:基本は東京の地域委員会で調べてもらうことになるが、中央の委員会がそのような情報を把握しているということになれば、並行して大阪や高松に尋ねるということも考えられる。また、東京の地域委員会で調べた結果、前に大阪や高松で何かあったようだということになれば、東京の地域委員会が中央の委員会に大阪や高松も確認してはどうかという意見を上げ、中央の委員会が大阪や高松の地域委員会に照会するというような形になるのではないかと想定しているが、制度設計というよりかなり運用に関わる部分があるので今後検討していくことになると思う。

○:いろいろなところから意見が集まってくるということで発展的だと思う。

○:地域委員会にあまり大きな役割を期待するのはおかしいと思う。裁判官の人事については、本当にいい裁判官を任命するという役割が中央にあるわけであるから、本来はどのような情報でも中央になければならない。地方で働いている人のパフォーマンスは中央では分からない部分があり、把握している情報が中央と地域委員会とで乖離しているような場合はよく地域委員会に聞いてみなければならないが、本来中央でやるべき事を地域委員会に任せることは間違いだと思う。地域委員会の役割に過剰な期待を寄せるのはいかがなものか。

○:地域委員会の委員の人数については、基本的には5人でいいと思うが、一律に東京や大阪についてまで5名とするのではなく、弾力的で実効性のある人数設定ができるようにして欲しい。

○:委員会の事務局については、実質的なことを考えて、最高裁の人事局職員が職務を行った方がいいのではないか。

○:現在の日本の財政状況や機構改革の状況等から難点があるのであれば別であるが、独立のセクションを置いた方がいいのではないか。

△:事務局の業務は、通年業務というよりは季節業務的な要素が強く、書類の整理や照会文書の作成、面接結果の作成等が中心となると思われる。国の機関の場合は、業務に見合ったセクションを置くのが原則で、業務が多くなく内容的に既存のセクションと連続性がある場合にはそこの業務に付加していくのが、組織効率からの原則である。また、組織をスリム化しなければならないという要請もあり、スクラップ・アンド・ビルドの原則も適用される。一般規則制定諮問委員会の場では、組織のスリム化の要請と公正さの二つを調和させると実質的には今ある裁判所の事務局が担当することになると思うが、何か工夫せよという議論の取りまとめであったと理解している。

○:意見書に「裁判官の指名を受けようとする者に、同機関による選考の過程へのアクセスの機会を十分に保障するため、選考の基準、手続、スケジュールなどを明示することを含め、その過程の透明性を確保するための仕組みを整備するものとする。」との記載があるが、この部分はどのように担保するつもりか。

△:要綱案(最高裁配布資料25)の19に関係するところである。要綱を定めるほか、委員会の運営に関し必要な事項は委員会が定めることになる。更にアクセスをよくするするためには、例えば委員会細則で様式や応募日程を定めることになると思う。そのようなものをホームページに掲載したり、関係公共機関に周知について御協力を願うというような方法で徹底していくことになると思う。

○:設置の法形式については、当初は、委員会の設置と目的のような基本的事項については法律にすべきと思っていたが、一般規則制定諮問委員会の議論の内容や経過を見ると、司法権の独立を大事にして最高裁の規則で定めるのが相当であると考える。

○:司法権の独立を担保する意味で最高裁判所の規則制定権があることを考えると、憲法解釈上は規則の方が自然ではないかと思う。規則で定めた方が組織の立ち上がりが早いということもあるであろう。

○:憲法で最高裁の規則制定権が認められている意味は大きく、司法権の独立もあるが、我が国は司法に対する信頼が高いということである。規則で定めることに賛成である。

○:一般規則制定諮問委員会において、憲法における規則制定権の重みを受け止めて論議を重ねてきたことに敬意を表したい。意見書の趣旨等を踏まえて検討を進め、いいものを作っていただきたい。

○:規則等を作る際には、確認事項が分かりやすく情報提供できるように作成願いたい。

■:事務局配布資料14−2記載の各事項について、当検討会においても、特に異論はないということでよいか。

○:異議なし。

■:下級裁判所裁判官指名諮問委員会関係の検討については、答申案等の具体的な表現振り等の問題は残っているようだが、それらの点については、最高裁の一般規則制定諮問委員会では、準備会に任せたということである。当検討会としては、一般規則制定諮問委員会における最終的な答申内容や、それを踏まえての規則の内容については、その都度、最高裁から報告を受けることとする。

(3) 弁護士会運営の透明化−弁護士会の会務運営について国民の意見を反映させることが可能となるような仕組みを整備することを始め、弁護士会運営の透明化を図ること

日弁連配布資料「会務運営の透明化のための基本方針」等に基づき説明がなされ、次のような質疑応答がなされた。

○:市民と日弁連が一番つながっているのはどのようなところか。

□:日弁連の各委員会ごとに、人権擁護委員会であれば人権団体と提携して、消費者委員会であれば消費者保護団体と提携して集会等を開くというようなところである。

○:日弁連配布資料9「情報公開制度の概要」に不開示情報とあるが、現段階で不開示情報について類型的に考えているものはあるか。

□:日弁連には委員会が多くあるが、職員が少ないため議事録は作れないという状況にあり対応が難しい。不開示事由については現在検討中である。

○:市民委員会や懇話会は単位弁護士会にも作られているのか。

□:委員会という継続的なものは少ないが、市民モニター的なものはある。

■:この問題については次回引き続き検討を続けたい。

(4) その他

顧問会議における報告について
 事務局から、事務局配布資料14−4「第8回顧問会議関係資料 弁護士法等をめぐる検討状況[骨子]」に基づき説明がなされた。

関係機関タイム
裁判所運営への国民参加について(最高裁)

 最高裁から、最高裁配布資料「裁判所運営について国民の意見等を反映することが可能となるような仕組みの導入について」に基づき、一般規則制定諮問委員会に諮問されたことについて説明がなされ、最高裁の検討が熟してきた段階で、当検討会で検討することとされた。

(5) 次回の予定

 次回(1月21日)の議事については、今後調整してお知らせする。

以 上