① 最高裁からの説明
最高裁配布資料「裁判官の任命手続の見直しに関する検討状況について その3」及び「最高裁判所一般規則制定諮問委員会関係資料」に基づいて説明がなされた。
② 事務局からの説明
事務局配布資料14−2「裁判官の任命手続の見直し 検討のたたき台(案)その3」に基づいて説明がなされた。
③ ①、②の説明に対して、次のような質疑応答・意見交換がなされた。
○:憲法に訴訟手続等についての最高裁判所の規則制定権が定められており、組織面については裁判所法があるが、一般論として両者はどのような関係にあるのか。
△:最高裁の規則制定権は、裁判所の組織運営や訴訟手続について、司法権の独立の観点から、独自に規則で定めるべきであるとして憲法から授権されているものである。裁判所法は裁判所の構成等を定めており、領域によってはオーバーラップしている部分もある。
○:最高裁配布資料「裁判官の任命手続の見直しに関する検討状況について その3」にある確認事項は誰を名宛人にするものか。
△:今後、最高裁が制度設計や運営について検討する際に参考となるべき事項について、諮問を受けた一般規則制定諮問委員会が補足的に確認事項という形で最高裁に送付するものと考えている。
○:高裁長官への指名の適否を諮問の対象とするかについては、A案(諮問の対象に含めない)の方が分かりやすいが、理屈的には判事としての審査がなされないまま弁護士や学者から高裁長官になるということもあり得るわけであるから、制度上B案(諮問の対象に含めるが下級裁判所裁判官指名諮問委員会(以下「委員会」と略称。)が必要ないものとして定める場合にはこの限りではない)を採った方がいいと思う。
○:委員会を構成する委員数については、国民が司法に具体的に参加して意見を反映させるという組織を考えた場合は、法曹委員より法曹以外の人数を多くすべきである。法曹委員を5人として提案するのであれば、法曹以外の委員を6人とするのが妥当であると思う。
○:最高裁配布資料「裁判官の任命手続の見直しに関する検討状況について その3」の「9 委員会の権限」の「(2) 協力依頼」について、「委員会は、・・・弁護士会その他の者に対して必要な協力を依頼することができるものとする。」とされており、「その他の者」には個人を含むことが確認されているが、訴訟当事者から最高裁に苦情が入った場合に、判決内容に関するものは対応しないにしても、法廷内の態度が悪いというようなものは含まれるのか。
△:個人の方から、最高裁、高裁あるいは委員会に対して意見が寄せられるかもしれない。それが契機になり、事情を確認したり資料を提供していただく場合があるということを想定している。
○:ある裁判官が東京高裁管内で再任される際に、東京高裁管内では評判がいいが、その前の大阪高裁や高松高裁管内では問題があったというような場合、いろいろな地域委員会から情報が集まってくるということを想定しているのか。
△:基本は東京の地域委員会で調べてもらうことになるが、中央の委員会がそのような情報を把握しているということになれば、並行して大阪や高松に尋ねるということも考えられる。また、東京の地域委員会で調べた結果、前に大阪や高松で何かあったようだということになれば、東京の地域委員会が中央の委員会に大阪や高松も確認してはどうかという意見を上げ、中央の委員会が大阪や高松の地域委員会に照会するというような形になるのではないかと想定しているが、制度設計というよりかなり運用に関わる部分があるので今後検討していくことになると思う。
○:いろいろなところから意見が集まってくるということで発展的だと思う。
○:地域委員会にあまり大きな役割を期待するのはおかしいと思う。裁判官の人事については、本当にいい裁判官を任命するという役割が中央にあるわけであるから、本来はどのような情報でも中央になければならない。地方で働いている人のパフォーマンスは中央では分からない部分があり、把握している情報が中央と地域委員会とで乖離しているような場合はよく地域委員会に聞いてみなければならないが、本来中央でやるべき事を地域委員会に任せることは間違いだと思う。地域委員会の役割に過剰な期待を寄せるのはいかがなものか。
○:地域委員会の委員の人数については、基本的には5人でいいと思うが、一律に東京や大阪についてまで5名とするのではなく、弾力的で実効性のある人数設定ができるようにして欲しい。
○:委員会の事務局については、実質的なことを考えて、最高裁の人事局職員が職務を行った方がいいのではないか。
○:現在の日本の財政状況や機構改革の状況等から難点があるのであれば別であるが、独立のセクションを置いた方がいいのではないか。
△:事務局の業務は、通年業務というよりは季節業務的な要素が強く、書類の整理や照会文書の作成、面接結果の作成等が中心となると思われる。国の機関の場合は、業務に見合ったセクションを置くのが原則で、業務が多くなく内容的に既存のセクションと連続性がある場合にはそこの業務に付加していくのが、組織効率からの原則である。また、組織をスリム化しなければならないという要請もあり、スクラップ・アンド・ビルドの原則も適用される。一般規則制定諮問委員会の場では、組織のスリム化の要請と公正さの二つを調和させると実質的には今ある裁判所の事務局が担当することになると思うが、何か工夫せよという議論の取りまとめであったと理解している。
○:意見書に「裁判官の指名を受けようとする者に、同機関による選考の過程へのアクセスの機会を十分に保障するため、選考の基準、手続、スケジュールなどを明示することを含め、その過程の透明性を確保するための仕組みを整備するものとする。」との記載があるが、この部分はどのように担保するつもりか。
△:要綱案(最高裁配布資料25)の19に関係するところである。要綱を定めるほか、委員会の運営に関し必要な事項は委員会が定めることになる。更にアクセスをよくするするためには、例えば委員会細則で様式や応募日程を定めることになると思う。そのようなものをホームページに掲載したり、関係公共機関に周知について御協力を願うというような方法で徹底していくことになると思う。
○:設置の法形式については、当初は、委員会の設置と目的のような基本的事項については法律にすべきと思っていたが、一般規則制定諮問委員会の議論の内容や経過を見ると、司法権の独立を大事にして最高裁の規則で定めるのが相当であると考える。
○:司法権の独立を担保する意味で最高裁判所の規則制定権があることを考えると、憲法解釈上は規則の方が自然ではないかと思う。規則で定めた方が組織の立ち上がりが早いということもあるであろう。
○:憲法で最高裁の規則制定権が認められている意味は大きく、司法権の独立もあるが、我が国は司法に対する信頼が高いということである。規則で定めることに賛成である。
○:一般規則制定諮問委員会において、憲法における規則制定権の重みを受け止めて論議を重ねてきたことに敬意を表したい。意見書の趣旨等を踏まえて検討を進め、いいものを作っていただきたい。
○:規則等を作る際には、確認事項が分かりやすく情報提供できるように作成願いたい。
■:事務局配布資料14−2記載の各事項について、当検討会においても、特に異論はないということでよいか。
○:異議なし。
■:下級裁判所裁判官指名諮問委員会関係の検討については、答申案等の具体的な表現振り等の問題は残っているようだが、それらの点については、最高裁の一般規則制定諮問委員会では、準備会に任せたということである。当検討会としては、一般規則制定諮問委員会における最終的な答申内容や、それを踏まえての規則の内容については、その都度、最高裁から報告を受けることとする。