【伊藤座長】それでは所定の時刻になりましたので、第14回法曹制度検討会を開会させていただきます。御多忙のところ、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
議事に先立ちまして、事務局から配布資料の確認がございます。
【植村参事官】それでは、配布資料の確認をさせていただきます。本日、事務局からお配りいたしましたのは資料14−1から14−4まででございます。
また、日弁連、最高裁から、それぞれ次第に記載しましたとおりの資料の御提出がございましたので、御紹介をいたします。
以上でございます。
【伊藤座長】本日はまず議事次第にございますとおり、(1)最高裁裁判官の選任等の在り方について−最高裁裁判官の地位の重要性に配慮しつつ、その選任過程について透明性・客観性を確保するための適切な措置について、前回お話をいたしましたとおり、事務局資料14−1の議事整理メモについて、追加して御意見をお述べになりたい方に御発言いただきたいと存じます。続きまして(2)下級裁判所の裁判官の任命手続の見直しにつきまして、前々回に引き続きまして検討をお願いしたいと存じます。(3)といたしまして、弁護士会運営の透明化について、日弁連から検討状況の御説明をお願いし、引き続いて議論をお願いしたいと思います。続いて、昨日開催されました第8回顧問会議におきまして、法曹制度検討会関係の検討状況の説明を行いましたので、事務局から報告をしてもらいます。その後に、関係機関タイムとして、最高裁が、「地方裁判所委員会」の設置等の関係で、一般規則制定諮問委員会に諮問されたことについて、報告をお願いしたいと存じます。
そこで、早速でございますが、委員の皆様には、お忙しいところ、事務局資料14−1の議事整理メモの作成に御協力いただきましてありがとうございました。前回お話をいたしましたとおり、事務局資料14−1の議事整理メモに追加して御意見をお述べになりたい方に御発言をいただきたいと存じますけれども、いかがでございましょうか。
【平山委員】よろしゅうございますか。
【伊藤座長】どうぞ、平山委員。
【平山委員】それでは、早速でございますが、大変よく議事整理メモをお作りいただいて感謝をいたします。ただ、私はもう少し補充して意見を申し上げさせていただきたいと思います。
前回までに二度にわたりまして同じようなことを申し上げておりますが、そのことは別にいたしまして、この問題は、意見書をどう読むかに関わると考えております。意見書は21世紀について基本的に自律的な個人が公正なルールに従って、自己責任において自由に活躍する時代、当然その結果として司法の役割がますます増大する世紀だと考えていると思うのです。そしてその時代の司法は国民的基盤が必要であり、国民と直結しないといけない。そうでないと大きな力になれないと考えたと思うのです。
そういう意味からいたしますと、この司法制度改革の基本的な視点は、まさにそこにございまして、第2回検討会であったと思いますけど、私が整理した要点メモをお出しいたしておりますが、裁判所に、高い質、国民的な基盤、独立性、この3つを求めたいということがこの意見書であったと思うわけであります。そのことと、この選任過程の透明化・客観化の問題は非常に深い関係があると思いますので、そのことを我々はよく頭に入れて議論をしておく必要があるのではないかというのが1つ申し上げておきたい点であります。
そういう意味からいたしますと、この議事整理メモでも出てまいりますけれども、委員の先生方の中に、現行の機構の下では、単に任命諮問委員会的なものを設置いたしましても機能するかどうかということに疑問があるという意見がございまして、私もこれは最も傾聴に値する意見だと思います。そう思いますが、この際、我々は一歩前へ進めて、今までの歴史で検討されたきた中身を充実したものにする必要があると、そういう意味で実質的に機能するような任命諮問委員会を検討すべきではないか。そうすれば機能するということになるのではないかと思いますので、そういう意味で、是非検討を進めて欲しいと思うわけであります。それには審査基準、委員選任方法などについて、過去のいろいろな提案にこだわらないで、今の時代に適したものを考えることが我々の役割ではないかと思います。
そういう意味で、前回も話しましたが、現行の最高裁判所は司法裁判所であり、憲法裁判所的な機能も果たしていることを前提にして検討すべきはもちろんでありますけれども、21世紀の最高裁の重要性にかんがみますと、特に国民的な基盤を与えるという観点からの制度設計が極めて重要だと考えるわけであります。
そういう意味で、委員の中に法曹以外の市民が参加できるような制度を考える。この度、下級裁の裁判官の任命につきましては、一般規則制定諮問委員会の努力によって、市民も入った指名諮問委員会が結実するようでございます。そのことを我々はやはりきちんと押さえて、裁判官以外から直接最高裁裁判官にお入りいただく方も出てまいるわけでありますから、そのことをきちんと踏まえて考えておく必要があるのではないかと考えております。特に下級審の指名諮問委員会ができるという時代に来たということでございますので、最高裁判所につきましても、そういう必要があるのではないかと考えるわけであります。
それから、釜田先生でしたか、御指摘がございましたけれども、任命諮問委員会の答申にどのような効力を持たせるか、これは私も憲法上非常に大きな問題があると思います。しかし、内閣に任命権が帰属するといいましても、恣意的にやられるということではございませんので、そこにどう国民の目から見て合理的なものといいますか、立派な人を本当に内閣は選んでくれるかということの担保的な制度というのは私は作っておいた方がいいのではないか。いつ、いかなるときに、どういう方が総理大臣になられるかわかりません。今まではいい方がなりましたので、いい裁判官を選んでくれたと、こういうことになると思いますけれども、今後も百年の大計を考えますと、そういうことを考えておく必要があります。それと特に裁判所の国民的な基盤を担保することは非常に重要です。日本の司法が本当に世界に誇るような大きな司法、強い司法になるには、このことは重要ではないかと思っておりまして、そのことを少し申し上げておきたかったということでございます。
したがいまして、適切な措置を考えろと意見書は言っておりますので、引き続き具体的にもう少し検討していただくべきではないかと思っておりまして、この時点で座長が顧問会議に中間報告をしていただくなりしまして、こういう方向だということで報告していただいて、そこで議論をもう少しやれということになるのか、いや、それで結構だということになるのかわかりませんけれども、そういう扱いにしていただけないかと思っておりまして、意見を補足して申し上げておきたいと思います。
【伊藤座長】平山委員、最後におっしゃった点はまた後で話をしたいと思います。御意見の内容について、私の責任で取りまとめたこのメモの2ページに平山委員の御発言がありますが、そこに、例えば、今おっしゃったことの中心で、最高裁について国民的基盤を与えるような制度設計というのが基本的な視点で、そこからここに書いてあるようなことが出てくるというような形での補充という意味ですか。
【平山委員】そういうことでございます。よろしくお願いいたします。
【伊藤座長】わかりました。他にいかがでしょうか。どうぞ、中川委員。
【中川委員】繰り返しになるのかちょっとわかりませんが、審議会の意見書が最高裁裁判官の選任について、透明性・客観性を確保する措置を考えなさいと言っているのですが、この趣旨が一体どの辺にあるのだろうか。単に選任のプロセスを透明化・客観化せよというのであれば、例えば選任される候補の方の情報を十分収集するとか、あるいはそういう情報を公開するとか、そういう形であればプロセスそのものは透明化・客観化できるのでさして難しいことではないのではないかと思うのです。
しかし、そういうことだけではなく、いわゆる日本の最高裁の機能を踏まえて、その機能を一番発揮できるような適切な人を選ぶ仕組みを透明性・客観性のあるものにしなさいというところまで言っているとすれば、これはちょっと話が違うのではないかと思うのです。もし、そういう最高裁の機能も踏まえて適切な人を国民が信頼できる人を選べと、そのシステムは何かという問題提起であるとするならば、最高裁の機能というものを機構も含めて見直してみる必要があるわけです。
特にこれから司法改革が進めば、訴訟の迅速化ということが言われておりますので、それを本当に実現するためには、下級審の処理能力を大幅に上げなければいけないのではないかという感じもいたします。そうすると最高裁というものももう少し役割分担をはっきりさせて、憲法判断であるとか、法令解釈の統一という本来の機能を強化しなければいけないのではないかという感じもするわけです。そういうものも踏まえて、最高裁の裁判官として、どのような方が一番適切なのかと選任するシステムを考えておかないと趣旨に合わないような感じもいたします。
どこに考え方の立脚点を置くかによって随分変わってくるような感じもするのです。したがいまして、この検討会で、これは座長に特にお願いすることになると思うのですが、我々としてはどの辺に立脚して議論をすればいいのか、その立脚点でそれをどこの範囲までやればいいのだろうかということを十分議論をしておきませんと、何か大変拡散した話になってしまうのではないかと思いまして、ちょっと感想みたいなことなのですけれども、そういう意見でございます。
【伊藤座長】ただいまの中川委員の御発言の趣旨は、このメモの案でございますと、6ページあたりにそれぞれの御発言を引用する形で問題の指摘がございます。私といたしましては、もちろん今日の御意見も加味した上でということですが、こういった議論については顧問会議に報告をして、その上でどのように顧問会議がお考えになるのかということで検討いただきたいと考えております。ほかにいかがでしょうか。どうぞ、木村委員。
【木村委員】私の議事整理メモの項目については大変よくまとめてくださって異議ございません。ただ、内容的に申し上げれば、私たちの国は法治国家であり、三権分立を基調としていて、憲法上は内閣が最高裁の判事を任命できるということになっておりますので、憲法上は、現行のシステム上は疑義がないわけです。ただ、これは三権分立の建前から、内閣が公正な立場から最高裁の判事の任命に携わっており、時の権力が勝手に恣意的にやっているのではないということを国民にはっきりさせるためにも、先ほど平山委員からも御指摘がございましたように、透明性・客観性を確保するために、国民を代表する委員も入ってきちんと選任が行われているということを表明する責任が内閣にあるのではないかという気がします。
したがって、もし補足意見で加えるとするとすれば、私どもの国の法治主義の原則に沿った上で、憲法の趣旨を尊重し、内閣の現行法上の規定は尊重しながら、その中で透明性を確保するための措置を積極的にするような方向が望ましいということを私は言いたいわけで、内容的にはここに書いてあることで結構でございます。
【伊藤座長】わかりました。どうもありがとうございます。それではよろしいでしょうか。ただいまいただいた御意見を要約・整理をして、この14−1に追加した上で議事整理メモを完成をさせて顧問会議に対する当検討会の検討状況の報告ということで活かしたいと考えております。どうぞ、平山委員。
【平山委員】それで結構でございますが、日弁連は、実現本部というところで、既にこの問題は新しい立場から、こういう任命諮問委員会はどうだということを議論して、それをまとめているものがあるということで参考資料に出しております。具体的に今後検討を進めていただく場合の一つの資料になるかと思いますので、委員の先生方に是非お読みいただきたいと思います。御質問があれば、川中副会長がおりますので、どうぞ御質問してください。
【伊藤座長】平山委員の御発言として承りました。
それでは、続いて、(2)下級裁判所裁判官の任命手続の見直しについて、議事を進めることといたします。
まず、最高裁から、前々回の検討会以降、これまでの「裁判官の任命手続に見直し」に関する一般規則制定諮問委員会における検討状況について全体的な説明をしていただきます。
続いて、前々回と同様でございますが、事務局に、これまで公開されました情報、すなわち第4回一般規則制定諮問委員会の議事概要に基づきまして、最高裁の一般規則制定諮問委員会における検討が熟してきたと考えられる事項を整理した事務局資料14−2を作ってもらいましたので、前々回同様、最高裁からの説明に続き、事務局資料14−2について事務局から説明をお願いいたします。
小池さん、どうぞよろしくお願いいたします。
【最高裁(小池審議官)】よろしくお願いいたします。
お手元に「裁判官の任命手続の見直しに関する検討状況について その3」というレジュメがございます。それと一般規則制定諮問委員会の関係資料がございますので、これを御覧いただきながら御説明申し上げたいと思います。
この裁判官の任命手続の見直しについての最高裁の検討状況に関しましては、これまでも随時当検討会に御説明してきたところでございます。去る11月22日に開催されました一般規則制定諮問委員会におきまして、資料25の要綱案に基づきまして論点全体にわたって議論いたしました。この委員会はこれまで4回開催をいたしまして、前回が4回目でございましたが、総じて言いますと、各界から御参加いただきました20人の委員の方々から、誠に活発で示唆に富む御議論・御検討をいただきまして、まさに画期的といっていいような検討状況でございます。
このような非常に活発な議論を経まして、レジュメにございますような確認・まとめに至ったわけでございます。配布したレジュメにいろいろ書いてございますが、アンダーラインを引いている部分が新たに確認された事項でございます。レジュメでは御参考までに「★」を打ちまして、確認した趣旨等を記載してございます。本日はこの点を御覧いただきたいと思います。
そのほか、アンダーラインが引かれていない部分は、既に前回までに当検討会で御説明した事項でございますが、そのアンダーラインが引かれた部分の検討の便宜のために併せて記載した次第でございます。
それで、レジュメのゴシックで記載した部分は今後要綱に採り入れる予定でございます。要綱には採り入れませんけれども、制度設計上あるいは制度運営上留意すべき事項として確認されている事項も適宜記載してございます。例えば2ページの上方に「(注)その他確認された事項」ということで「・」が2つ打ってございますが、こういった事項でございます。
このレジュメに記載されました事項は、その実質的な内容については、一般規則制定諮問委員会として確認したわけでございます。要綱としてまとめるためにはまだ若干表現上の工夫や検討を要する点がございますが、そういった表現ぶりというところは、準備会いわゆる起草委員会で検討している次第でございます。
そのため、今日のこのレジュメ、若干その記載に舌足らずの点等もございますが、この点は御容赦いただきたいと存じます。恐縮ではございますが、この表現の核にありますエッセンスの部分、実質的内容の部分を御覧いただきたいと考える次第でございます。
前置きが長くなりましたが、確認された事項について御説明申し上げます。レジュメを御覧いただきたいと思います。
まず1の「設置」というところですが、これはアンダーラインの引いてある委員会の名称を定めたということでございます。
2の「所掌事務等」のところでは、1ページ下の「★」のところにありますように、高裁長官の指名の適否については、「弁護士等から任官を希望する者は諮問の対象とし、長年裁判官の経験があり裁判官として指名・任命手続を経ている者は諮問の対象としないこと」ということが確認されたわけでございます。
大まかなところだけ申し上げますが、2ページの中段に「★」がございますが、短期間裁判官の身分を離れていた者について、短期間身分を離れているというのを少し条文を意識した書き方になるとちょっと長い書き方になりますが、そういったものについては委員会が定める場合には諮問の対象としないということでございます。「期間が短期であるため、諮問をする必要性が低いものとして委員会が定める場合には、この限りでない」というのはそういう趣旨でございまして、それが確認されたわけであります。
次に、3の項は余り変わっていませんので、3ページの4、5を御覧いただきますと、ここは1つのポイントでございまして、委員の数、構成というところでございますが、ここにありますように委員の数は11名、その構成は法曹三者と学識経験者としますが、その比率は学識経験者の方が数多く、法曹三者が5人、学識経験者が6人ということが確認されたわけであります。
それから次のページ、4ページの6から9までの事項は、委員の任期等、委員長、議事、委員会の権限でございますが、これは委員会の運営上の技術的事項でございまして、先ほど言いました準備会、いわゆる起草委員会が作成しました案を確認いたしました。9につきましては、5ページの上のところに「★」がございますけれども、もう少し表現ぶり、「その他の者」というのは団体と個人の両方を含むことを明らかにするように、あるいは「必要な協力」の内容がよくわかるように例示を挙げるべきであるというような表現上の注文はつきましたけれども、実質的内容は確認されたわけであります。
5ページに〈下部組織〉の関係がございますが、まず10の設置というところでは、名称を「地域委員会」と定めた次第です。議論がありましたのは11の「地域委員会の所掌事務等」でございますが、情報収集して取りまとめをする、その内容を委員会に報告する、そして必要に応じて意見を付することができるというところは御異論がなかったわけでありますが、それ以外、例えば地域委員会が第1次的な審査権を持つことの当否等について検討されたわけでございます。第1次的な審査権を持つというのは、意見書の趣旨等を踏まえますと、その必要はなかろうということで確認されました。そういう意味で確認されましたので、ここに書いてないのでございますが、ただ、地域委員会の情報収集活動の運用の在り方につきましては、5ページの11のところに付してあります(注)でございますが、委員会の求めがなくても、いわば独自に地域委員会が任官希望者に関する情報を収集できるという、運用上の疑義を生じないように情報収集の権限の内容、あるいはありようについて確認されたわけであります。
12の「地域委員会の組織」のところでは、地域委員の数を原則5人、ただ、地域によっては、例えば裁判官数の多い東京高裁管内等ではその数を増やすことができるということが確認されたわけであります。
それから、13の「地域委員の任命等」のところですが、ここは(注)のところで、委員構成は、法曹三者3人、学識経験者2人を基本とするとされました。また後ほども申し上げる機会があるかもしれませんが、地域委員会の場合には情報収集活動が中心になりますので、法曹三者の比率が3対2と高くなっても、それは合理性があるだろうということでこのような形になったわけでございます。
それから、14から17の項目、地域委員の任期等、地域委員長、議事、地域委員会の権限の関係は、これは中央の委員会といわばパラレルの規定でございまして、同様のものとして準備会(起草委員会)が作りました、たたき台の案が確認されたわけであります。なお、表現ぶり等について、またさらに工夫するという点も同様でございます。
18の〈その他の事項〉の「庶務」というところですが、ここは地域委員会にも庶務業務があるわけでありますが、それは裁判所の事務局で実質的に処理するということが確認されました。ただ、実質的に処理する具体的な処理体制につきましては、レジュメに記載したような方法をなお準備会の方で検討するようにということになり、今の国の機関の組織のありようとか、そういった問題もございますので、実質面においては確認したけれども、そういう体制面はなお検討するようにという形になっております。
19の「その他」、これは委員会を定めるときの雑則的な規定でございますので、これはこのように確認をされました。
それから、最後に20になりますが、「設置の法形式」でございます。ここに書いてございますように、「この委員会に関する事項は、最高裁判所規則で定めるのが適当である。」という方針が確認された次第でございます。
駆け足で申し上げましたが、このような検討状況でございます。以上でございます。
【伊藤座長】どうもありがとうございました。
それでは、先ほど申し上げましたとおり、事務局から事務局資料14−2について説明をしてもらいます。
【植村参事官】それでは、事務局資料14−2、「裁判官の任命手続の見直し 検討のたたき台(案)その3」について御説明いたします。
ただいまの最高裁からの御説明によりまして、第4回一般規則制定諮問委員会における検討状況がお分かりいただけたことと思います。ところで、先ほど座長からお話がありましたとおり、前々回の第12回検討会におきますのと同様、議事概要に基づきまして、既に最高裁における検討が熟したと考えられる事項を事務局として整理いたしましたのが14−2でございます。今回も第4回一般規則制定諮問委員会の議事概要のどの部分から引用したのかがお分かりいただけますように、議事概要の当該部分に下線を引いたものを用意いたしまして、事務局資料14−3として配布させていただいております。
簡単ではございますが、以上でございます。
【伊藤座長】ただいまの最高裁、事務局の説明につきまして、何か御質問がございましたらお願いします。個別の項目については、後ほど説明、質問、意見の機会を設けますので、全体的なことについて何かあればどうぞ。
【木村委員】どうもありがとうございました。最高裁の一般規則制定諮問委員会が大変画期的に、法曹三者だけではなくて、いろいろな分野の専門家を併せまして大変に意欲的、積極的にインターネットのホームページにも載るという具合で推進して、こういう形でまとめていただいて、私どもにも大変分かりやすい説明をしていただきましてありがとうございました。
ただ今、伊藤座長からお話がございましたが、大所高所から1つだけちょっとお伺いしたいのは、憲法があって、これは厳然とした国の基本法ですが、その中に最高裁の規則制定権がございますね。最高裁はその規則制定権に基づいてこれをやっているのでしょうけれども、それと裁判所法という法律がございますが、その関係はどうなっているのですか。つまり、憲法が最高優位で、最高裁の規則制定権に基づき裁判所法すなわち法律とは違うことを作ってもいいのでしょうか。それとも法律に沿ってやらなくてはいけないのか、その点をお伺いしたい。
【伊藤座長】木村委員の御質問は、憲法に、訴訟手続とか裁判所の運営に関与することについて規則ができるという最高裁判所の規則制定権がございますよね。他方、組織面ということですけれども、裁判所法という法律があると。その2つの関係がどうなのかという、そういう御質問かと私は理解しましたが、それでよろしゅうございますね。
【木村委員】はい、そういう質問なのです。
【伊藤座長】後で、またその点について議論が出てきますが、小池審議官、一般論としてお願いできますか。
【最高裁(小池審議官)】憲法の大家がおられますのでお話しいただいた方がいいのではと思いますが、規則という言葉でありますけれども、これは例えば行政庁や民間の団体で作っている規則とは違いまして、憲法でいいます裁判所の規則制定権による規則というのは、領域は裁判所の組織運営や裁判手続という領域ですけれども、それは行政権・立法権と異なって、司法権の独立という観点から、そういう領域については独自に規則を定めていくべきではないかということで憲法から授権されているものです。裁判所法は法律で裁判所の構成等を定めておりますけれども、ある意味で領域によってはオーバーラップしているところがあるわけです。そういう領域について、法律と規則の効力関係はどのようになるかというのは、これは釜田先生からお話を伺った方がいいかもしれませんけれども、いろいろ学説がありますが、その両者の関係がどうなるかということになると、指名権行使というところの問題につきましては、それは憲法を受けて、裁判所が持っている規則制定権というところで、指名権行使というのは、憲法上自由に行使できるという形になっていますけれども、裁判所として自ら透明性と国民の意思を反映するという意味で規則でもってその点を検討してはいかがかということになったと前に申し上げたところであります。
そういう意味で、御質問の趣旨をどのようにお答えしていいのかわかりませんけれども、今の段階ではそのような関係にあるという御説明を申し上げたいと思います。
【木村委員】規則制定権というのは、司法の独立という面から重要な、大変重みのあるものだと思っておるものですから、それと国でつくった法律との関係でいろんなことが出てくる場合があり得るのかなということをちょっと思いました。例えば国で作った法律とは違うことを規則制定権でやっていいのかどうかという問題が、後で、私それに関連した質問があるものですから、最初にこの質問をさせていただきました。
【伊藤座長】木村委員、それは後ほど出てまいりますので、そこでまた御質問なり御意見をお願いします。
【木村委員】はい。
【平山委員】前回にもちょっとお聞きしたのですが、今日の資料にも確認事項というのが出てきます。これは名宛人といいますか、誰を縛るということになるのでしょうか。そこがよくわからないのです。誰がここで確認事項にされたものを、例えば最高裁判所がこの確認を御覧になって、このとおり規則制定のときに何か参考にされるということなのか、できた委員会が運営に当たって参考にするのか。つまりそこを名宛人にしているのか、そのあたりが確認事項がたくさん出てきていて、どうもよくわからないのですが、イメージとしてはどういうことなのでしょうか。
【最高裁(小池審議官)】そのこと自体、まさに一般規則制定諮問委員会で議論していただく事項ですので、今は私は事務方をやっており幹事でもありますので、どういうことで作業をしているかという観点から申し上げます。一般規則制定諮問委員会は、最高裁判所の諮問を受けて指名権行使に関する委員会について検討して答申をするということですが、そのエッセンスのところは要綱という形でいわば諮問に対してお答えするということになります。ただ、議論の過程においては、名宛はそれは最高裁判所ということになると思いますが、そこで要綱を作るに当たって、いわば制度設計上こういう点について議論があった、要綱には盛らないけれども、立法規制はないですけれども、諮問を受けて、こういった問題について検討せよと言われたものとしてこういうことを検討したと、この趣旨はこういうものが背景にあるのだということを明らかにしておくという事柄です。それは制度設計上のものもあるでしょうし、制度設計と運営というのは境界面がはっきりしないところがありますが、そういった面について、今後最高裁が、制度設計あるいはその運営において参考になるべき事項について、諮問を受けた委員会から最高裁の方にそういう意見を補足的に確認事項という形で付加するものという位置付けです。
【平山委員】そういたしますと、最高裁判所がこれを受けて、尊重して今後の対応をされると、そういう意味ですか。
【最高裁(小池審議官)】そのようなことと考えております。
【伊藤座長】よろしいですか。それでは、14−2に基づきまして、順次検討をお願いしたいと存じます。項目ごとに先ほどの御説明を前提にして、最高裁から追加して検討状況の報告をしていただいて、引き続き質疑、意見交換をしたいと存じます。まず第1の1の「設置」、具体的には委員会の名称でございますが、これについて最高裁から説明をお願いいたします。
【最高裁(小池審議官)】名称につきましては、ここに書いてあるとおりでございますが、ほかにもアイディアがないわけではありませんけれども、一番端的に表現する名前として「下級裁判所裁判官指名諮問委員会」ということでいかがということで、これは委員会では全く御異論なく確認されました。
【伊藤座長】その点についていかがでしょうか。どうぞ、木村委員。
【木村委員】まさにその点なのですが、本日、お配りいただきました、最高裁判所から出ている資料25の要綱案に、下級裁判所裁判官指名諮問委員会の要綱が書いてございまして、これは先ほど私まさに質問したところなのですが、裁判所法上は、第2条の第1項によると、「下級裁判所は、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所及び簡易裁判所とする。」とはっきり書かれているわけです。資料25の2の(注)の3を見ると、簡裁を含まない、審議の対象外にするとされていますが、果たして本当に(注)の中に入れる形にしてしまっていいのか。簡易裁判所の判事は審議の対象外とするとお決めいただくことについては、私どもは御報告を受けて、その点については了承したわけですが、果たして本当に下級裁判所と裁判所法上決まっている事柄を、最高裁判所の規則でもって(注)の中に入れる形で法律の内容を変えることは妥当なのでしょうか。
これは立法裁量ということがあるのかもしれませんが、そこら辺をお伺いしたかったものですから、先ほどお伺いしました。私の提案は、むしろこういう名称にするのではなくて、例えば審議会の報告書などを見ましてもごく簡単に、簡単というとおかしいのですが、裁判官の指名の諮問委員会というようにしているわけです。その中にこの規則による裁判官とは、高裁とか地裁とか家裁とかというように書いていまして、最初から下級裁判所と書くと、簡裁を含むという法律がある建前上無理なのではないかと私は思ったものですから、先ほどの質問をさせていただきました。むしろその方が整合性があって、最高裁判所の裁判官任命諮問委員会ですと上に最高裁が付きますが、下級裁判所ということで、裁判所法にないカテゴリーを規則で作るよりも、裁判官指名諮問委員会というようにして、その中にこの規則にいう裁判官とはとして書いた方がいいのではないかという気がするので、私は全く法律を専門に解釈する立場でないものですから、事務総局としてはいかがなということを思いまして、質問させていただきました。
【最高裁(小池審議官)】言わば法制技術的にどうするかという問題だろうと思います。憲法上下級裁判所という概念で、下級ということで書き出していまして、裁判所法等の法律では下級裁判所の裁判官という概念があるのですが、「下級裁判所裁判官」という言葉遣いはないと思います。
要綱案の所掌事務のところで、簡裁判事を除いた高裁長官、判事、判事補を以下「下級裁判所裁判官」というと定義づけており、それが名称として下級裁判所裁判官指名諮問委員会とされておりますが、もちろん全部並べて「高等裁判所長官、判事及び判事補に関する指名諮問委員会」としてもいいわけですけれども、「下級裁判所裁判官指名諮問委員会」とすることが法制的に十分可能ですし、それは誤解も生じないのではないか。むしろ裁判官とした場合には、もっと広い概念になってしまいますので、むしろそちらは法制的にはかえって誤解が生ずる可能性もあるのかなというところです。
ただ、これはいわば技術的なところですので、今、御指摘を受けましたところは、最終的には最高裁判所で規則化するとか、あるいは規則か法律かという議論もこれからありますけれども、最終的に法制的にどう処理するかというのはその段階でまた考えていくべき問題だろうと思っております。
【伊藤座長】よろしいですか。
【木村委員】審議会の意見書は、できるだけ国民に分かりやすく、例えば「下級裁判所裁判官」という言葉よりも「裁判官」の指名諮問委員会という方がいいのではないかというようなことを印象づけるような非常に簡明な表現になっていますですね。しかし、その中には「下級裁判所裁判官」という言葉は直接出てきます。例えば裁判官の任命手続の見直しの中を読んでみると、現行制度においては、「下級裁判所の裁判官については」と書いてありますからはっきりわかります。国民が見たときに、これは裁判官の指名諮問委員会なのだなということがわかります。下級裁判所裁判官というと、それはまた上級裁判所があるのか、最高裁判所があるのかということになりますので、国民の目から見ると、簡明に裁判官とした方が極めて分かりやすいのではないかと思ったのですが、今、かえって裁判官と使う方が法制度上わかりにくいということであれば、それはまたその専門の立場がおありかと思います。憲法上の言葉として「下級裁判所」という言葉があるということは言うまでもないことで、それが定着しているわけですけれども、そこら辺の問題をこのように規則の中で簡易裁判所は除くということでやりますと、法律専門家でない立場から見ますと、もしかすると裁判所法に抵触する可能性があるのではないかなと思ったものですから、発言させていただきました。
【伊藤座長】それでは、第1の1についてはよろしいですか。
(「はい」と声あり)
【伊藤座長】以下、順次まいりますけれども、今度は資料14−2の2の(1)委員会の所掌事務の点ですけれども、この点は何か御質問、御意見ありますでしょうか。格別ございませんようでしたら、この点も御了解いただいたものといたします。
(「はい」と声あり)
【伊藤座長】次に(2)の高裁長官に関する点でございますが、この点は何かありますでしょうか。
【最高裁(小池審議官)】高等裁判所長官につきましては、最高裁配布資料「裁判官の任命手続の見直しに関する検討状況について その3」の「2 所掌事務等」の「★」のような形でどうかということで確認されたわけであります。どのような議論があったかということを少し補足させていただきますと、現在のところ、高等裁判所長官といいますのは、裁判官として非常にキャリアの長い人の中で、司法行政的な力もあり、裁判官としての資質のある者が、裁判所の所長と同じような形で、補職と同じような扱いで指名・任命されているというところであります。
ただ、官としては独立ですので、今後、弁護士あるいは学者の方からも高裁長官になりたいと応募がある可能性もあるのではないか。いささかちょっと実験室事例のような感じではあるのですけれども、そういったことも想定した形にしてはどうかということがありました。そこで一応原則としては高裁長官を含むのだけれども、裁判官としての適格性の審査を受けた者は除くという原則にしたらどうかと。
もう少しそこを分析的に言いますと、高裁長官としての適格性の審査というのは、裁判官としての適格性と司法行政の担当者としての適格性との二面があると。ただ、司法行政の適格性というところは、この裁判官の指名諮問に関する委員会は、裁判官としての適格性を判定するところでやや異質なところはあると。そこで、ただ、弁護士あるいは学者の方から高裁長官に応募するときには、裁判官の適格性というところの審査はまだ済んでいないので、そういったところは審査するというようなルール付けにしたらどうかと。
「★」の2番目のところは、恐らくは最高裁の裁判官会議で、司法行政をつかさどるものとして適格かということをまた判断して指名に至ると、そういう道筋を定めたらどうかということでこういうまとめ方になりました。
【伊藤座長】いかがでしょうか。今、小池さんが御説明になったように、実際上は余り想定しにくい事例を前提に、しかし制度上はそれはあり得るので、判事、判事補(裁判官)の身分を飛び越えて高裁長官に直接なられる方というのも想定せざるを得ないということで、こういうことになっているようですが、いかがでしょうか。何か御質問や御意見ございますか。特別ございませんでしたら、これでよろしゅうございますか。どうぞ、松尾委員。
【松尾委員】A、B、Cの3つの案があったようですけれども、私は高裁長官の職務や、裁判官としての適格性について考えたときに、A案が分かりやすいような感じを持っているのですが、しかし、今、言われたように、理論的には弁護士あるいは学者からいきなり高裁長官になるということがあり得るわけですから、そうなってくると制度上はB案の形にしていた方が後々問題が起きないような気がします。実態はA案だと思うのですけれども、制度上はB案的な考え方を採った方がいいのではないでしょうか。
【伊藤座長】どうもありがとうございました。どうぞ、木村委員。
【木村委員】事務局配付資料14−2の2ページの上のところの傍線が引かれているところですけれども、「長年裁判官をしていた人であれば外すというのが」とありますが、この「外す」というのが用語としてはこういう用語でよろしいわけでしょうか。
【最高裁(小池審議官)】そこの規定の仕方は、今、起草委員会の方でどのようにするのが一番誤解もなく、また国民にもわかりやすいかと検討しております。シンプルで美しくて正しいかというところを今検討中でございます。
【木村委員】内容的に、例えば諮問に付するのを外すということを言いたいわけですね。
【最高裁(小池審議官)】そういうことです。
【木村委員】そういうことですね。ちょっと外すという言い方をお考えいただければ。
【伊藤座長】それでは、この点も御了解いただいということでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
【伊藤座長】次に2の(3)短期間裁判官の身分を離れた者につきまして、この点、何か小池審議官の方で補足的に説明は。
【最高裁(小池審議官)】ここは特にございません。
【伊藤座長】よろしいですか。それでは何か御質問、御意見があればお願いします。
【平山委員】短期間というのは、大体イメージとしてはどのくらいのことを考えておられるのでしょうか。
【最高裁(小池審議官)】委員会では2年ないし3年というイメージでございます。
【平山委員】3年がリミットですか。
【最高裁(小池審議官)】はい。
【平山委員】わかりました。
【伊藤座長】それでは、特に御質問、御意見がなければ、この点も御了解いただいたということでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
【伊藤座長】次に2の(4)最高裁から委員会への資料提出でございますが、この点は小池審議官いかがでしょうか。
【最高裁(小池審議官)】この点も特にございません。
【伊藤座長】それでは、どうぞ、御質問、御意見をお願いします。
【平山委員】これはこの前も1つの問題点になっていたように思うのですが、議論状況はどういうことか、もう一度小池さんから教えていただきたい。
【最高裁(小池審議官)】まず諮問をする場合に、最高裁は委員会の方に、きちんと検討していただくために資料を提供することは当然だろうと。ただ、その資料をどの程度のものにするのかというのはまさに委員会が立ち上がって、まず委員会がどういう資料が欲しいということを最高裁に言って、最高裁の方と十分協議して決めていく事柄だろうと。確かにこれを要綱に盛るべきだという御意見もあったのですが、御意見の大勢は、これはその要綱に盛るよりは運用に関わる事項なので、確認事項として、ここに書いてあるような事項を確認しておいたらいかがかと、こういう議論の流れでございました。
【平山委員】要綱に盛った場合の不具合というようなことも議論されたのでしょうか。
【最高裁(小池審議官)】いかにも当たり前のことを定めることになるのではないかということでございました。
【伊藤座長】平山委員、よろしいですか。
【平山委員】わかりました。
【伊藤座長】それでは、特に他に御質問、御意見がなければ、この点も御了解いただいたものといたします。
次に、3の所掌事務に関連する事項ですけれども、ここは何かございますか。
【最高裁(小池審議官)】ちょっと補足させていただきます。所掌事務に関連する事項でございますが、この項目は最高裁が指名するか否かを決定したときに結果を委員会に通知するなどして、さらに充実した委員会の審議を促進する。そして、また透明性を増すという趣旨でございます。最高裁配布資料「裁判官の任命手続の見直しに関する検討状況について その3」の3の①、②で書いてありますのは、委員会と最高裁との結果が反対になった場合には理由を通知しなさいという規定です。③は、これは実は起草委員会の方から提案申し上げたのですが、それ以外にも結論が同じであっても、理由が異なる場合もあり得るわけで、そういった場合にも、その他最高裁が必要と認めるときに、そういった事例も委員会の方にお知らせした方がより一層充実したものになるだろう、こういう趣旨でございます。
【伊藤座長】ということで、御説明がありましたが、何か御質問、御意見ございますか。この点も御了解いただいたものといたします。
(「はい」と声あり)
【伊藤座長】引き続いて、「4 組織」、「5 委員の任命」ですけれども、この点は小池審議官は何かありますか。
【最高裁(小池審議官)】ございません。
【伊藤座長】それでは、どうぞ、御質問、御意見お願いします。どうぞ松尾委員。
【松尾委員】11人か9人かということでいろいろ論議されたようですけれども、私はこの委員会の組織のことを考えると、国民が司法に具体的に参加するということ。そして国民の意見を反映させるというような組織を考えた場合は、法曹三者よりは法曹以外の数が多い方が妥当であろうと思います。そこで法曹三者が5人だというふうに提案されるとするならば、それを超えるということですから、6人以上ということになりますね。ですから全体を11人ということですので、5対6という考え方が成り立つわけで、そう考えますと11人は妥当であろうと思います。
【伊藤座長】どうもありがとうございました。ほかにございましょうか。それでは、この点も御了解いただいたものといたします。
引き続きまして、「6 委員会の任期等」、「7 委員長」、「8 議事」でございますが、このあたりは小池審議官何か。
【最高裁(小池審議官)】特にございません。
【伊藤座長】よろしゅうございますか。どうぞ、御質問、御意見ありましたら。格別御意見がないようでしたら、御了解いただいたことにしてよろしいですか。
(「はい」と声あり)
【伊藤座長】それでは、「9 委員の権限」ですが、ここは小池審議官いかがでしょうか。
【最高裁(小池審議官)】これも特にここに書いてあるとおりでございます。
【伊藤座長】どうぞ、御質問、御意見をお願いします。どうぞ、岡田委員。
【岡田委員】(2)の協力依頼のところで、5ページ目ですが、「日本弁護士連合会、弁護士会その他の者に対して」ということで、その他の者の下に「*」で「個人を含む」となっているのですが、これは委員会の方から協力依頼ということなので、事前に誰かが情報を持っているということをわかっていての依頼ということになりますけれども、そうすると個人というと、例えば実際の訴訟当事者などから、最高裁判所にクレームが入ったりといった場合に、判決内容に関してはもちろん対応しないとしても、法廷上の態度とかそういうものに対して苦情が入っているような場合も含むものでしょうか。
【伊藤座長】現在想定されているようなものについて御説明いただければと思います。
【最高裁(小池審議官)】例えば裁判官から、あるいは弁護士からいろいろな方が裁判官になりたいということで応募されるわけでありますが、個人の方からも、最高裁に対して、あるいは高等裁判所に対して、あるいはこの委員会に対して御意見が寄せられるかもしれません。弁護士の方の場合もあるでしょうし、個人の方もあるでしょうが、そういった方からの御意見が契機になって、委員会の方で、こういった事情についていろいろお尋ねしたり、資料を提供していただくというようなことがあるということを想定しているわけでございます。
【伊藤座長】よろしいですか。
【岡田委員】はい。
【伊藤座長】ほかに御質問、御意見はございませんか。よろしければ御了解いただいたものとします。
(「はい」と声あり)
【伊藤座長】第2の下部組織の設置について、10の下部組織の名称、地域委員会ですけれども、この点は何か補足はありますか。
【最高裁(小池審議官)】名前をどうするかというのはいろいろな考え方ございまして、地方委員会というのが割合すんなり思いつくのですが、ただ、裁判所の場合には地方裁判所が都道府県単位でございまして、地方委員会としますと、都道府県単位にある組織のように見えますので、違う形ということで「地域委員会」いう名前にするに至りました。
【伊藤座長】いかがでしょうか。どうぞ、御質問、御意見お願いします。
【松尾委員】地域委員の5人については、先ほどの中央とは別に相当情報収集するという実務的な問題がありますので、法曹三者がなるということは仕方がないと思いますが、それについて地域によって数を増加させるということが、我々も前回もここでいろいろそういう意見も述べましたが、現実にはどのくらいの数をお考えになっているのでしょうか。
【伊藤座長】松尾委員、12のところでそれが出てまいりますから、そちらで、今の御質問について、また説明していただくことにいたします。それでは、その点はよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
【伊藤座長】引き続きまして、11の地域委員会の情報収集の権限の内容ですが、ここはいかがですか。
【最高裁(小池審議官)】少し補足させていただきます。概要については、先ほど申し上げたとおりでございますが、今日お配りしました資料26としてカラーの一枚の絵がございますので、これを御覧いただきたいと思います。この絵でもって、確認されました委員会の議論の経緯を御紹介したいと思います。一般規則制定諮問委員会でも中央の委員会と下部組織(地域委員会)との関係について、なかなか具体的イメージがつかめないということで、これは一般規則制定諮問委員会の委員長の御指示で作られた図でございます。
順を追って御説明しますと、まず最高裁判所が①の矢印にありますように、任官希望者全員の名簿を提供して諮問します。そのときに人事評価に関する一定の資料を提供します。
これを受けまして、中央の委員会は、地域委員会の方に資料収集の要請をするわけであります。「重点審議すべき対象者につき要請」とありますが、点線を打ってありますのは、これですと非常に特定の人のみに限定するように理解されるので、ここはない方がいいのではないかということで、今後ないものとして御覧ください。ただ、委員会の方で提出した資料との対応性のために書いてございますが、要請をするということです。それから、そのときには、その管内の任官希望者全員の名簿は提供することになります。そうしますと地域委員会ではその要請のあったものを、必要に応じて独自の調査をするわけでございます。
そうして集めたその情報を③の矢印にありますように、要請に応じたもの、独自に収集したものを情報として中央の委員会に提出することになります。そのときに参考意見として、情報に関する参考意見とそれぞれの任命希望者の適否に関する参考意見も場合によって添えて中央の委員会に意見を述べるわけであります。
そうしますと、中央の委員会の方では、独自に右の方に矢印の往復がありまして、情報Bとございますが、そういった情報、あるいは最高裁の方に追加の資料を依頼して提供を受けたもの等を総合しまして、④の矢印にありますように、適否の意見と理由を含む意見を述べることになります。
ただ、これは一般的にこう申し上げたわけですけれども、白い枠の中にア、イ、ウと3つの場合がございまして、前も申し上げましたが、最初のアの類型、つまり司法修習生が任官を希望する場合は、法律実務家としてのまだ背景がございませんので、この場合には最高裁が提供する司法修習における成績等のAの資料が中心になるだろう。イの弁護士等からの任官希望の場合には、B・Cの資料、なかんずくC、地域委員会が収集した資料がかなり中心的なものになるだろう。ウの裁判官が任官・再任を希望する場合には、多くの場合は10年間の人事的な資料というのがございますので、そのAの資料を基本としてB・Cの情報を総合して判断していくことになるだろうということでございます。
そういう意味で、地域委員会の活動というところに焦点を当てますと、ア、イ、ウという場合にそれぞれ濃淡がございますが、情報収集あるいは必要な参考意見を上げるというところではかなり独自性を持った活動を行えるシステムが想定されると、こういったイメージを前提に所掌事務のありようというものを検討していただきました。
それを、先ほど申し上げましたように、意見書の趣旨あるいは指名権の憲法上の位置付けからすると、第一次審査権を地域委員会が持つというのは、恐らく適当ではなかろうが、情報収集に関するものは何も中央の委員会が要請をした場合だけではなくて、独自に活動するものであるということが望ましいと、こういうことが確認されたということでございます。以上でございます。
【伊藤座長】どうもありがとうございました。それでは御質問、御意見をお願いいたします。どうぞ、小貫委員。
【小貫委員】地域委員会に対して諮問委員会の方から情報収集の要請をするということで、そのときには「任官希望者全員の名簿の提供」とイメージ図では書いてあるのですが、この際には人事評価に関する資料は回っていかないという理解をすべきなのでしょうか。
【最高裁(小池審議官)】ここのところは委員会で両方の御意見がございました。基本的に提供を受けたAという基本資料は地域委員会の方に提供していくべきではないかという御意見と、地域委員会の方は、例えばこういう点について特に調べて欲しいというようなことが諮問委員会の方からお話があるだろうという御意見がありました。それから、矢印が②と③と1往復になっていますけれども、多くの場合には一度要請を受け中央の委員会に情報を上げる、あるいは独自の情報を上げまして、それに対して、再度補足的にこういうところを調べて欲しいという、キャッチボールがあるのではなかろうかということでした。この辺のところは、今、御質問ありましたように、人事資料をどのように提供するのか、あるいはどういうやりとりをするのかというのは、この委員会が立ち上がってから、運用の問題として検討してはいかがかということが大勢の意見でございました。両論の御意見がございましたけれども、それは今後検討したらいかがかと。今、御指摘のようなところも委員会の方でも御指摘のあった点でございます。以上でございます。
【小貫委員】意見になりますけれども、地域委員会には、この議事概要に載っている以上に私はもっと期待していいし、期待すべきではないかという意見を持っています。地域委員会というのは、任官希望者の近くにいて、情報収集できるという立場にありますし、なおかつ新しい情報を収集できる、強く言えば、今日の情報も入手できる、こういう位置にいるのだろうと考えます。ですから、この地域委員会に的確な情報収集をしてもらって、なおかつ情報収集をやりやすいようにすべきだと思うものですから、そうであれば、事前に情報があるものは提供しておいてあげたらどうなのか。地域委員会にもっともっと活動しやすいように制度設計したらいかがかと、このように思います。手探りで情報収集するのは困難なことでございまして、事前の情報を得て、的を絞って情報収集に努力すると、ここで初めて効果が上がってくるのではなかろうかと私は思うものですから、せっかくある情報ですから、最初から渡して不都合なことがあるのだろうかと思いまして意見を申し上げた次第です。
【伊藤座長】どうぞ、佐々木委員、お願いします。
【佐々木委員】今の点でございますけれども、イメージ図の左にア、イ、ウとございますが、イの類型では小貫委員の御意見のとおり現場の方でよく分かるということでございます。それからアの問題につきましては地方はほとんど関係がありません。それから、ウでございますけれども、これもまた各管内の現場の情報が再任期に当たってどれだけあるかという問題も含めますと、たまたま4か月や5か月でその地域で再任されるというような事態があります。したがいまして、この図にあるような形で、いわば名簿全体が中央から地方に渡されるのであれば、その地になじんだものである場合には地方で適切な対応ができると思いますので、この図のとおり、ウでは当初の段階は名簿が与えられれば十分ではないかと思います。あとは限界的な不適格者、これがウでは非常に大切で実質的な審議に入ってまいりますので、中央と地方との連係プレーによって資料のやりとりを行っていただく。そうしますと、人事評価関係資料が余り分散してあちこちに行ってしまうという一般的弊害は避けられると考えます。したがいまして、私としては希望者の全員の名簿というところで端緒を作っていただくというのがウの類型では十分ではないかと考えます。
【伊藤座長】ただ今の点、いかがでしょうか、どうぞ、田中委員。
【田中委員】確認ですけど、例えばAという裁判官が現在東京高裁の管内におり、そこで再任されることになるが、その前の10年間に、ある時期は大阪高裁管内におり、その前は高松にいたというような場合、今、東京では評判がいいようだけれども、大阪にいたときには問題があったとか、あるいは高松にいたときは問題があったというようなケースはあり得ると思うのですけれども、そのような場合、あちこちの地域委員会から上がってくるということは想定していらっしゃるわけですか。
【伊藤座長】どうぞ、小池審議官。
【最高裁(小池審議官)】基本は今の例ですと、東京にいますので、東京で調べてもらうと思いますが、大阪、高松でそういうことであったことが、既に最高裁あるいは中央の委員会が把握しているということになれば、それは並行して大阪、高松というところに尋ねることもあるでしょうし、それから東京の地域委員会でいろいろ調べたら、どうも大阪や高松でも何かいろいろ問題があったようだということが出てくれば、それは恐らく中央の委員会に、高松とか大阪の方も確認したらいかがかという意見を上げ、そこから中央の委員会が大阪や高松の方に照会していくと、そのような形になるのではないかと想定していますが、この辺もさらにもう少し、制度設計というよりはかなり運用に関わるところもございますので、また検討していく必要があると考えております。
【伊藤座長】田中委員、よろしいですか。
【田中委員】お二人の委員がおっしゃったこと、最初の人事データをどの程度出しておくか、その問題と絡んでくるところがあると思うので、御検討いただいたらという趣旨です。
【伊藤座長】最初に木村委員からお願いします。
【木村委員】今、小貫委員、佐々木委員、田中委員のお話をお伺いしていると、地域委員会というのは情報収集をするとはいいながら、結構重要な役割、第1次情報といいますか、大変重要な役割を持っているということであって、そして、またいろいろな資料が集まるところでありますので、これは既に委員長が意見の大勢を5名ということで取りまとめてよいかという御発言がございまして、委員は異議なく了解したということですが、東京や大阪については一律5名ではなくてということになっていますが、何か5名ではちょっと少いかなという気がします。もう少し人数を中央に合わせて市民の方を少し多くする形で整合性を持った委員会構成の方がいいのではないかという気がするのです。そこら辺についてはフレキシブルにやるということで、若干弾力的に対応できるということがございますので、東京や大阪でなくても5名以上になり得る可能性もあるのかどうかについてお伺いしたいと思います。
これは先ほど中央の方が、法曹委員が裁判官2名、検察官1名、弁護士2名となって、検察官だけ1になっていますけれども、これで了承したのだと思うのですが、そのことと関連して、この人数その他につきまして、内容的にお教えいただければと思いますが、いかがですか。
【伊藤座長】木村委員、先ほどの松尾委員の御発言も同じですが、12のところでやりますので、今の御意見についても、後でお答えいただきます。
【木村委員】はい。
【伊藤座長】どうぞ、岡田委員。
【岡田委員】今回は、前回拝聴した内容よりもすごく進んでいてすごいなと思ったのですが、今の地域委員会のところで全部の候補者の名簿が地域委員会におりてくるということで、実際に指名諮問委員会の方から地域委員会に情報収集の要請が来るのは管内の任官希望者に関してですよね。ところがそれ以外で全部名簿が来ているわけですから、自分のところの管内にいない人でも情報を持っていれば参考意見として上げれるというところで、すごくあちこちから意見が集まってくるということでは発展的だなと思ったのです。
先ほどの御質問の中で、今東京にいるけれども、前回、大阪にいたといった場合は、大阪からの地域委員会から中央に上がっていくということがあるのではないかと思ったのですが、それは私が勘違いしているのでしょうか。
【伊藤座長】それでは、ひとつそこをお願いします。
【最高裁(小池審議官)】まだ、その辺をどのように進めていくのかという問題がありますけれども、1つ御留意いただきたいのは、これは任命されるか再任されるかというところですので、一種のネガティブチェックみたいなところがありますし、根拠がはっきりした情報でなければいけないというところになります。今のところは、現に裁判官がいるところの地域委員会の情報ということになりますが、どうしても前任地、そこは例えば裁判官の場合ですと、毎年の人事評価をどうしていくかという別個の問題がありまして、そちらとの相関がありますけれども、そこのところを、例えば9年前の事柄というものが出てきたときに、どのぐらいクリアーな情報が出てくるのか、それに対して反論というものがきちんとなし得るようなものが出てくるのかというようなところもございますので、そこのところをどう運用していくかというものは、これからまた委員会の方で検討していく必要があるだろうと思います。
それから、私も司法制度改革審議会にもずっと出ておりましたけれども、これは基本的には指名権ということで中央の委員会が活動するということである、ただ、情報という点については、実質的に中央の委員会で審議するためには、すそ野を広げた方がいいだろうという御議論の流れだったと思います。そういう点からすると、意見書の趣旨に沿って、どのようにするかというのは細部の運用になりますので、また今後検討すべきものだろうと考えます。委員会の方でも、その辺のところはまた今後検討していく問題だろうということでございました。
【中川委員】地域委員会は大事は大事なのですけれども、私は余りそこに大きな役割を期待するのはおかしいのではないかと思っています。やはり裁判官の人事については、何といいますか、中央がきちんと握って、本当にいい裁判官を任命するという役割が中央にあるわけですから、どんな情報でも全部中央にないと本来はいけないわけです。ただ、中央ですから、地方でやっておられる方のパフォーマンスというのは事細かにはわかりません。だから、それが現在どうなのか、自分たちが持っている情報と非常に乖離があるのか、ないのか。これはよく地方に聞いてみなければいけないと思うのですけれども、自分本来のやるべきことを地方に全部任せるという感覚では、これは私は間違いだと思います。ですから地方の役割に余り過剰な期待を寄せたりするのはいかがなものかと私は思います。
【伊藤座長】そういたしますと、特に人事評価に関する資料の提供の地域委員会への伝達の仕方については異なる御意見があるようですが、先ほど小池審議官からもお話がありましたように、これは運用と不可分一体の問題でございますので、本日の御意見は小池審議官に十分御理解いただいていると思いますので、またそれを伝達していただいて検討をお進めいただければと思います。それでよろしいいでしょうか。
(「はい」と声あり)
【伊藤座長】それでは、先ほど来御質問が出ております「12 地域委員会の組織」でございますが、松尾委員から、東京、大阪における人数の問題、木村委員からはそれ以外の場合であっても、弾力的に検討する必要がないのかというような御質問がございましたので、小池審議官、その点も併せて追加的な御説明をお願いします。
【最高裁(小池審議官)】一般規則制定諮問委員会では、情報収集というところにウエイトがありますので、基本は5人で通例いいだろうということでした。ただ、東京あるいは大阪等については8人、あるいは10人というように数が増やせることを検討していく必要があるかということでございまして、現在の起草委員会の方で検討しているところでございます。概ねその御意見を踏まえますと、10くらいとの御意見が出てきましたので、そのくらいのところまで増やし得るというような規定をつくる方向が適当だろうということで準備をいたしております。
【伊藤座長】東京、大阪以外の場合につきましても、何かそういう必要が出てくることはないかというようなことがございますが。
【最高裁(小池審議官)】そこのところも、特に地域によってはということではなく、状況によってということですので、どうしても東京以外のところはこの規定が作動しないという作りにはなっておりませんので、これはまた状況に応じて考えていくという規定の作りにすることを考えております。
【平山委員】私は前回もここのところは要望を申し上げておりますけれども、実情から考えて、東京、大阪につきましては、とても5人ではやっていけないと思います。本当に力を入れておやりいただくとなれば、中川先生のような御意見を踏まえましても、とても無理だという気がいたしまして、是非10人くらいまでは増やせる形で、親委員会が11人ということであれば、それ以上というのはなかなか難しいのかもしれませんけれども、実効性のあるものにしていただくということで御検討願いたいと思います。
この点についてはこの前も申し上げましたけれども、弁護士についてみれば、多様な立場がありますので、少なくとも最低2人はいないと公平にできないのではないかという気がいたしますし、裁判所におかれても、刑事をずっとおやりになる方と民事をおやりになる方があって、両方をよくわかる方ということで、やはりお二人は必要ではないかと思います。検察庁につきましては、刑事の方をずっと御覧になっていて、あるいはお一人でいいのかもしれませんけど、そういうことがありますし、更に、親委員会がせっかく法律家より法律家ではない方の方が多いという立場をとられたぐらいですので、非法律家の方もお一人ということではなくて、最低2人ぐらいはないと公平ではないのではないかという気がいたします。是非、そういう点で動きやすいようにしていただかないと、あらかじめ5人とお決めになると、途端にこれで動かないということになれば、何のための制度かということになり兼ねないなという心配をいたしておりまして、是非そこは緩やかにおやりいただけるように要望いたします。
【伊藤座長】ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
【伊藤座長】それでは、この点、ただいまのような御指摘を踏まえて御検討いただければと思います。
引き続きまして、13の「地域委員の任命等」ですが、ここは何か追加的な御説明ありますか。
【最高裁(小池審議官)】構成の点は先ほど申し上げましたが、もう一つ、アンダーラインが引いてありますものは当然と言えば当然なのですが、地域委員会の委員は、例えば九州でございましたら、九州にお住まいの方、あるいは仕事をしている方とするのが適当だろうと。そのことを明記した方がいいのではないかということでここに記載をいたした次第でございます。以上でございます。
【伊藤座長】何かこの点、御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
【伊藤座長】それではこの点、御了解いただいたことにさせていただきます。
それから「14 地域委員の任期等、15 地域委員長、16 議事」、このあたりは、小池審議官何か。
【最高裁(小池審議官)】特にございません。
【伊藤座長】いかがでしょうか。御質問、御意見ございましたらお願いします。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
【伊藤座長】それではこの点も御了解いただいたことにいたします。
引き続きまして、17の「地域委員会の権限」ですが、この点は小池さんいかがですか。
【最高裁(小池審議官)】特にございません。
【伊藤座長】「17 地域委員会の権限」について、御質問、御意見はいかがでしょうか。
【奥野委員】これとも関連してちょっと戻って恐縮なのですが、例えば最高裁配布資料「裁判官の任命手続の見直しに関する検討状況について その3」の「2 所掌事務等」の(1)では高裁長官の場合にどういう場合に認めてどういう場合に認めないとか、その次の(2)では短期間裁判官の身分を離れた場合に、「諮問する必要性が低いものとして委員会が認める場合には、この限りでないものとする」とか、今の場合でも地域委員会の所掌、権限みたいなものとも関連するのですけれども、審議会意見書の中で「次の諸点に留意すべきである」と書いてあって、事務局資料14−2の最後のページですけれども、上から2つ目の「・」に、「裁判官の指名を受けようとする者に、同機関による選考の過程へのアクセスの機会を十分に保障するため、選考の基準、手続、スケジュールなどを明示することを含め、その過程の透明性を確保するための仕組みを整備するものとする」云々と書いてあるわけです。
そういう意味で、先ほど木村先生がお触れになったことと少し関係するのかもしれませんが、この要綱案に書かれていないもう少し細かい点、しかし、いわゆる透明性とかそういうことにかんがみて、例えば指名を受けようとしている者がチェックをしたいのでアクセスをしたいというようなときに、どういう仕組みでこういうものを担保されるおつもりなのか。それによってアクセスの機会がどれだけ保障されるか多分影響してくると思いますので、そこら辺のことについて一般論でも結構ですけれども、どういう形でやられるのかについて御説明願えればと思うのですが。
【最高裁(小池審議官)】これは最後の19というところの事項にも関わるのでございますが、要するにこの運営に関する必要な事項はこの委員会が定めます。また、関連する事項はむしろ最高裁で定めるところもありますが、まず要綱が定まりまして、これが法律か規則かという問題がありますが、一応それぞれが条文化されたものがあります。さらに、今、御指摘がありましたように、アクセスをよくするためには、例えば委員会細則というような形で、例えばどのような様式で申し込むのだとか、こういう応募日程になっているとか、そのようなことはまた細則で定めることになると思います。まだそこまで具体的に検討していませんけど、今最高裁のホームページというものは非常に活用できますので、ホームページとか、あるいはいろいろな関係、公共機関にそういうものを周知するよう御協力願うというような形で徹底していくことになると考えております。そういう意味で、この19というところで規定上入ってくるということになると思います。
【伊藤座長】奥野委員、よろしいでしょうか。
【奥野委員】ありがとうございました。
【伊藤座長】それでは、特にほかに御意見がなければ、17についても御了解いただいたものといたします。
(「はい」と声あり)
【伊藤座長】引き続きまして、「第3 上記の機関に関するその他の事項について」の18の庶務の関係ですが、この点は小池審議官、何か追加的な説明はございますか。
【最高裁(小池審議官)】先ほど申し上げましたとおりでございますが、若干補足しますと、実質的なところは、最高裁配付資料「裁判官の任命手続の見直しに関する検討状況について その3」の18にゴシックで書いてあるところで内容としては確認されております。恐らく委員会の事務局の業務量がどのぐらいになるかというところで、組織として1つどういう取扱いにするかという問題と、いわば新しい委員会を立てましたので、これをどういう形で外からも公正な機関として機能するのかというところをどのように明らかにするかというところのいろいろな御意見がございました。ただ、実質においては、ここのゴシックのような形でございまして、あと具体的なものについては、また①、②のような工夫をさらに検討する必要があるという取りまとめになった次第でございます。
【伊藤座長】この点について、御質問、御意見をお願いいたします。どうぞ、中川委員。
【中川委員】悪口みたいになって恐縮なのですが、こういうのを私たちはよくモンキービジネスと言うのです。要すれば、実態はそれでいいのだけど、形だけを取り繕うようなもので、このようなものは誰が考えても人事局といいますか、人事を御担当されているところに資料もあるわけですし、そこが事務をやるのが一番いいのです。それを隣の部局の秘書とか総務でやることとしても、形はつきますけれども、そこへ人事局の資料を渡して、それをメッセンジャーとしてまた渡すだけの話ですから、全く手間だけをかける話でありまして、こういうことはできるだけやめておこうというのが企業の中では合言葉になっておりまして、そういう意味で、別に悪口でも何でもないのですけれども、できるだけこういうことはおやめになったらどうかなという感じがいたします。
【伊藤座長】いかがでしょうか。
【平山委員】この制度は今回新しく立ち上げられるということでスタートです。私は実質的には今中川委員がおっしゃったような面がないとは言えませんが、外から見た信頼性みたいなものから考えると、事務局はきちんと形は置かれた方がいいと思っているのです。ただ、今の日本の財政状況、あるいは機構改革の状況等で、それが認められるかどうかはちょっと別でございますけど、そういう点で難点があるのであれば別ですけれども、基本的には、裁判所としてはこれだけの非常に大きな制度をお作りになるわけです。そういう意味で何か形は整えていただいて、しかし、それは実質的には、まさに内容が重要であるということはわかりますけれども、一度は独立した事務局を置くということで、トライしてみていただいたらどうかという気がいたしております。何かこういうものをやることは今の状況で難しいということがありましたら、御説明を承りたいと思います。
【伊藤座長】小池審議官。
【最高裁(小池審議官)】一般規則制定諮問委員会でどのような御説明をしたかということを少し補足して申し上げたいと思います。
委員会の事務局の業務は、これから動き出しますので確かなことはわかりませんけれども、季節的な動きということで、通年の業務はそう多くなく季節業務でありますし、恐らく委員会の業務といいますのは、書類のコピー、整理、照会文書の作成、面接結果メモの作成というような業務が中心になるだろうと思います。
独立の事務局を置くことになりますと、具体的には課を置くということになるのですが、普通、課を置くというのは課長、課長補佐、係長とかこういう形で置きます。ただ、これは国の機関の場合には、業務に見合ったセクションを置くというのが原則でございますので、例えば、余り業務が多くなく、内容も既にある既存のセクションと連続性がある場合は、例えば人事関係のところだったら人事のところの任用第何課というところに、例えば1項目入れまして、委員会に関する事務とか、こういうことを付加していくようになります。それが組織効率、組織の水膨れを防止するという普通の原則でございます。
そういう意味で、今の中川委員の御指摘のように、この業務量がそう多くなければ、普通ですと、人事のセクションのところで、委員会のその業務を担当するというのがいわば王道でございます。それから、行政組織を増やしてもいいという潤沢なときならともかく、最近の事情ですと一つ新しい課を作るというときには一つ課をスクラップせよ、特に事務局部門はスリムにせよということで、裁判所においても、裁判部の方は充実していますけど、事務局の方はなるべくコンピュータとかそういうものを使ってスリム化していこうという流れで国の機関として努力しておりますので、これはスクラップ・アンド・ビルドの原則はここに適用されることになります。そうすると、他の例えば総務課をつぶして委員会課というのを作るのでしょうか、そういうことは今の世の中でなかなか考えられないのかなというようなことも申し上げた次第です。
ただ、平山先生の御指摘のように、せっかく作るのだから、公正に見えるように独立のセクションを置いた方がいいという御意見もございました。ただ、そうは言っても、1年に何日働くかわかりませんが、課長と課長補佐と係長を完全に独立して置くというのは無理であると。そうだとすると先ほど申し上げましたように、普段はほかの人事課とかそういうところで働いている人が、事務局なりでそういう仕事をすると。仮に独立させたとしても、そうなりますと。
今、最高裁としてはそういう方法があるからやりたいというようには本来言いたくないし、するのは王道ではないという感じを持っています。ただ、委員会の御議論では、2つの要請の中でどうするかを、少し幹事なりで知恵を絞ってみるようにということでした。ただ、その行政組織がスリム化しなければいけない要請と公正さというところの2つの要請を調和をすると、実質的には、裁判所の今ある事務局が担当するというところはそうだと思うが、何か工夫をせよというのが取りまとめであったと思います。そういう議論でございました。
【伊藤座長】どうぞ、奥野委員。
【奥野委員】私は率直に申しますと中川先生の御意見に反対でございまして、確かに企業であればモンキービジネスだと思うのです。つまり企業というのは基本的に利潤を上げるということを目的に、各部署が一丸となってやらなくてはいけないのであって、そこがきちんとした権限で縛らないといけないということになっているのですが、この委員会は、私は最高裁という利害を一にする機関ではないと思うのです。
先ほど申しました審議会意見にもありますけれども、最高裁が下級裁判所の裁判官として任命されるべき者を指名するために、国民の意思を反映させようということでこういうものを作るということであって、したがって、最高裁とはある意味で利害を異にして、第三者的な立場でこれを運営して欲しいというのが、そもそものこの機構をつくる理由だと思うのです。
ところが、このままやればあとは独立にこの指名諮問委員会とか地域委員会がうまく機能するかというと、必ずしもそうではないと思うのです。なぜかというと、これは情報の問題があって、指名諮問委員会とか、そういう人たちはどちらかというと、裁判官に関してはやや素人的なといいますか、情報的には完全には持っていない。むしろ情報の大部分は最高裁の方が持っていらっしゃる。そうだとすると、事務局が余り大きな権限を持つと、指名諮問委員会の方では、正しい情報をもらっているのか、十分な情報をもらっているのかわからないということが起き得るわけですね。したがって、できれば、この事務局についての独立性を高める工夫を本来はすべきだと私は思います。
その上でですけれども、独立した事務局を作るほど恒常的なきちんとした大きなものかというとそうではなくて、そこまで要求するのは、まさに国民の税金の無駄遣いという感じがするので、私としてはここに書いてある②ぐらいで妥協しておくというのがバランスのとれたところと思います。①はできれば避けた方がいいのではないかというのが私の印象です。
【伊藤座長】どうもありがとうございました。どうぞ小貫委員。
【小貫委員】小池審議官に質問ですが、教えていただきたいのですけれども、独立の事務局を作らないという前提での話になります。例えば総務課なり人事課なりに担当の職員を決めておいた際に、委員会なり委員長なりが、その職員に指揮したり指示したりということはできるのか、できないのか。あるいはできるとすれば、どのようにしてそれを担保していくのか、何かいい知恵はあるのでしょうか。
【最高裁(小池審議官)】また、これも今後考えることになりますが、どこに置くかは別として、そのセクションには、その専門の担当者は必ず置き、委員長なり委員から御連絡いただければ、その御指示で動くと、そういう担当者を置くということになると思います。ただ、これは季節的業務でございますので、あるときは広がり、あるときはしぼむということになりますので、そこは工夫で幾層かのそういう担当者を確保しておいて、非常に機動的に動いていくという形になるだろうと思っております。
【小貫委員】職員の場合は忙しいから嫌ですということはできるのでしょうか。というのは、ちょっと奥野先生がおっしゃったように、心情的に対立する場面というのがこの委員会と裁判所の間でできてくるのではないかと。そういう緊張関係が生じたようなことを想定しますと、この委員会が存分に働いてもらうためには、何かそこの担保が欲しいのではないかと思うものですから、質問をしたのですが。
【最高裁(小池審議官)】裁判所としましては、指名諮問委員会というものが裁判所にとって異物であって、それを対立的なものとは理解しておりません。むしろ審議会においても、任命手続の適正化という面ではこういうものを作るべきであるということは裁判所の方から、審議会のプレゼンテーションの中で申し上げております。それで、指名手続、任命手続というものが不透明であるですとか、もう少し適正に運用すべきではないかという御意見もあるということで、その一つの装置としてこういうものを考えているわけでございますので、そこはそういうとらえ方です。
したがって、どのような職員が担当するかはわかりませんが、そこでサボタージュをするとか、そういうことはおよそ考えられないと思います。また、そういう指導はしてまいりたいと考えております。
【木村委員】私は全般的な意見書、それから今まで大変な審議を重ねてやってきた流れからいけば、これは当然事務局があると今までずっと考えていたものですから、その方向で、独立した事務局を何らかの形で担保することが、国民の願いだと思うのです。ここまで来て、これは税金のむだ遣いということには絶対ならないのですが、そういう予算交渉というのはできないものなのでしょうか。現段階では無理ですか。審議会の意見というのは内閣でエンドースされて、そして送られてきたものなわけですよね。独立した事務局を置く必要があるという説得力ある理論を組み立てて、そして予算措置を講ずるような折衝を最高裁側でするようなことは現行制度上は不可能ですか。
【植村参事官】そういう強い御希望が委員から出されたということでいかがでございましょうか。
【木村委員】そうですか。
【松尾委員】私も基本的には独立した事務局を作るのが妥当だと思うのですが、現実にはそう簡単にはいかないし、今、おっしゃっているような予算の問題もあるし、実際の仕事の量的なものがありますから簡単ではないと思います。そうするとそれ以外のことを考えなくてはいけないと思うのですが、ただ、これはお聞きしたいのですけれども、最高裁配布資料「裁判官の任命手続の見直しに関する検討状況について その3」の18の②のところに、「人事担当部署以外」というくだりがありますね。これは、人事サイドの影響力とか支配力かどうかわかりませんが、そういう影響が庶務のところに関わってこない、つまり人事サイドの影響が全くないという意味で人事担当部署以外の人にやらせるという趣旨なのですか。公正さという意味が大きいわけでしょうか。
【最高裁(小池審議官)】これは公正さの議論だと思うのです。実際どういう人がこういう事務について一番上手に仕事をするかと。これは人事に関する資料でございますので、秘密の保持などの配慮をどのようにするのか。コピーのとり方1つから、これはそれなりのノウハウがございます。そういった意味では、そういうものにたけた人がしなければいけないだろうと思います。ただ、セクションを作るときに、奥野委員からも御指摘がありましたけれども、人事がこれをやりますというよりは、むしろ総務系のところは会議をするお世話係というセクションがございまので、それは1つこういう委員会というものができたならば、そこのお世話をすることには合理性があると思います。ただ、そこの実際の担当者をどのようにしていくかというのは、誰が担当してどのようにするのが一番プラクティカルでリアリティーのあるものになるのかということで、これからまた考えていくことになります。ただ、ここで公正にしていくのだというところは御指摘がありますので、1つのアイディアとしてはこういうものが考えられるのではないかという脈絡で②のアイデアはここに掲記されているということでございます。
【松尾委員】そうすると人事サイドと実際にそういう庶務的な仕事をする部外の関係というものは全くないわけですか。公正さということで、全く人事サイドの影響力そのものを排除するということをお考えになるから、このように部外ということに絞ってお考えになるわけですか。
【最高裁(小池審議官)】いいえ、これは一時的に担当するセクションがどこかということでございます。ですから、影響力排除とか、そもそもこういう庶務的業務をしている人が、学識経験者、しかも非常にしっかりした11人の方にどういう支配力を及ぼせるのかという問題がそもそもございます。そこで責任を持つ部署としては人事局以外のところですけれども、そこの応援部隊はどのようにするかというのは、またこれから検討していってはどうかということでございます。
【木村委員】基本的には、私は、小池さんがおっしゃるように、最高裁が今検討している非常に現実的な問題がございますので、対応に苦慮するところだと思うのですが、独立ということから、いろいろなメカニズムについて工夫されるということは極めて重要だと思うのです。そういう意味で、原則的にこれを中川委員のようにとらえる考え方には私は反対で、奥野委員の考え方のように、これを単なるビジネスのアスペクトで見ていくといろいろな問題が生ずるかもしれないですが、これはルール・オブ・ローの問題ですから、その中で、どういうストラクチャーを作っていくかということがはっきり目に見えるような形にすべきと思います。二重構造になるとは私は思わないものですから、そういう意味では中川委員の意見よりは奥野委員の意見に私としては賛成したいと思いますので、御検討をいただければお願いしたいと思います。
【佐々木委員】現実の高裁のシステムから申しましても、人事課もあるわけですが、その中で裁判官の機密書類を扱うのはわずか2人ないし3人のセクションで、それ以外の人事課の職員である、能率関係、試験採用関係ですとか、それから総務課では情報公開を担当する係、あるいは渉外係、それからおっしゃった会議の係はなにも関係がないのです。そのようにして現実に動いておりますので、現場から申しますと、一番ぴったりいくのは、中川委員がおっしゃったような、人事課のあるセクションのある分野をそれに充てることだと思います。それと、有識者の委員の方に、そのようなセクションを担当する者が、現実的な影響力を与えるというようなことは、およそあり得ないような感覚を現場ではいたします。
したがいまして、最初におっしゃられた松尾委員の点についての御懸念であるとか、あるいは木村委員がおっしゃったような独立性だとか、そういうものではなくて、おっしゃる庶務業務の内容から決めて、それを外観、外側から見て公平という観点から見てどういうところに置くか。そういう意味を込めて②とおっしゃっているのだと思いますので、そこの点は現実の姿というものを念頭に置いていただきたいと考えております。
【伊藤座長】この点、いろいろな御意見が出ましたので、もちろん指名諮問委員会の判断が適正になされるようにという、この点はどういうお立場の方でも全く御異論はないと思いますので、あとは組織運営の効率性ですとか、秘密人事情報の管理の問題といったことからのいろいろ御意見があったかと思いますが、小池さん、あとはよろしくどうぞ御検討をお願いします。
【最高裁(小池審議官)】ありがとうございます。
【田中委員】結論に特に異論があるわけはないのですけれども、事務局で整理された文章と最高裁から出ている文章に表現が違うところがあるのですけれども、どちらをベースに議論しているかというのがあって、事務局で整理されたものよりますと、人事局が担当することのないように、ここに盛り込むとあるのですけれども、下線が引かれている部分で余り異論はないと思うのですけれども、私も人事局が直接担当することを排除してどれだけ意味があるのかと思います。説明とかそういうものは皆諮問しているのだから、諮問している側から行って担当するのが当然だと思うので、このあたりまで含めて取りまとめられているのかどうか。そのあたりはどうなのですか。別に事務局の文章の整理の仕方にケチをつけるわけはないですけれども。
【植村参事官】事務局といたしましては、資料を作成するに当たっては議事概要に基づく以外ないわけでございまして、議事概要におきまして、委員長がこのような御発言をされまして、ここでは「異議なし」とは記載されていないのですけれども、最終的に、委員長の御発言がこういう御発言で締めくくりになっておりますので、このように整理させていただいたわけでございます。したがいまして、座長に議事進行していただいておりますが、事務局の立場といたしましては、あくまでもたたき台(案)の第3の18として、検討会の委員の皆さんに御了解をいただいたと理解をさせていただきたいと思っております。と申しますのは、最高裁の一般規則制定諮問委員会で、委員の皆さんがこれで御了解をされたと思っておりますので、この検討会でもそれと同じ状況になったと考えております。
最高裁の資料のゴシックの部分はいわば委員長の御発言の中の最大公約数であろうと思います。その具体的な現れ方としては、①になったり、②になったりするけれども、この①や②は最終的な委員長のこの御発言の中に含まれていると、そういう整理だろうと思っております。
【奥野委員】ここでこんなこと言うよりは規則制定諮問委員会の方で議論していただいた方がいいと思うのですが、この裁判官指名諮問委員会の設置の趣旨は先ほどもちょっと申しましたけれども、国民にとっていい裁判官が指名されるような、選任される際の透明化とか、国民に対する問題とか、それから候補者のいわばアクセス権みたいなものを保障するとか、そういうところにあると思うのです。そういう視点が余りこの要綱からは読み取れない形になっているのですけれども、最終的にはそこだと思うのです。
だとすると、それは何かというと、この指名諮問委員会が出された資料が、適切な形で国民に公開され、適切な形で指名候補者にアクセスされるということが大事なのだと思うのです。
そういう意味で言うと、本来この委員会の趣旨は、最高裁の人事課に所掌があるのではなくて、本来は情報公開の担当部署に所掌事務があるべきではないかと私は思うのです。そういう視点をもうちょっとお考えいただいて、適切な所掌の場所を決めていただいたらどうかというのが私の意見です。これは規則制定委員会の方に、もしよろしければ、サジェストしていただければということです。
【最高裁(小池審議官)】御意見はまた御紹介したいと思います。
【伊藤座長】そういたしますと、資料14−2の18の考え方について、御了解いただいたということで、さらに、その先の話については、本日の御意見を踏まえて、また、検討いただければと思います。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
【伊藤座長】それから、「19 その他」については関連の事項が出ましたが、何かございますか。特にございませんようでしたら、「20 設置の法形式」のところで、これについては小池さん何かございますか。
【最高裁(小池審議官)】特にございません。
【伊藤座長】そういたしますと、「設置の法形式」に関しては、ここでは、最高裁規則で定めるのが適当であるということになっていますが、何かこの点について、御質問、御意見がございましたらお願いします。
【松尾委員】私は、当初は委員会の設置と目的という基本的な部分については、法律事項の方がいいのではなかろうか、その他の詳細なことについては、最高裁規則でも仕方がないという考え方を持っていたのですが、その後、一般規則制定諮問委員会での議論の内容、それから、実際に委員会をどのような形で立ち上げようとするのかといった議論の経過などを考えまして、法律事項よりは最高裁の規則の方が相当ではないかと考えを変えております。
それは三権分立の中で司法権の独立といったことも大事にしたいからで、この制度について立法府で法律事項として議論するよりは最高裁の中で、きちんと制度の意義、内容を確認した上で規則にされた方がいいのではないかという気がいたします。そういう考え方です。
【伊藤座長】どうもありがとうございました。いかがでしょうか。
【平山委員】私も、松尾委員とほぼ同じような考えを持つに至っておりまして、最初この検討会で議論を始めたときは、私は基本事項は法律の方がいいのではないかと思っていました。それはどういうことかと言いますと、この制度を権威づけて、それがきちんと作用するようにするには法律の方がいいのではないかと思っていました。政策的な立場からですね。
ただ、今日木村委員から質問がありましたことと関連するのですが、もともとの憲法上のことを考えてまいりますと、司法権の独立というものを担保する意味で、最高裁判所の規則制定権があります。最高裁判所の規則は普通の規則とはちょっと違うということを考えていきますと、理念的には最高裁判所に指名権がある以上、憲法の解釈上はむしろ規則によった方が自然ではないかと思っておりました。ただ、どういうものをお作りになるか、いわば間に合わせ的なものでは困るということがありまして、非常に心配をいたしたのでありますが、今日の御報告を聞いてみますと、一般規則制定諮問委員会の検討された中身は非常に素晴らしいものがあると思うのです。しかも既に要綱まで準備作業に入っておられるという中で、ちょっと待ったと、こちらでやりましょうということではないと思います。ここはきちんと詰められた議論でいいものをお作りいただくのであれば、まず規則で始めていただいた方が早いということもあるのではないかと思いますし、ただ、将来的には条件がございますが、これが形だけで機能しないということになれば、例えば法律上の委員会にならないので予算がつかないとか、あるいはいい選任がなされないとか、いろいろなことがございましたら、そのときに法律にすることを考えたらいいのではないかと思いました。率直に申し上げますと、私は今回のこの勢いでやっていただいたらどうかと考えるに至っております。
【伊藤座長】釜田委員。
【釜田委員】私も結論的には賛成でございます。といいますのは、長い間、日本では、最高裁判所の規則制定権は、通常の行政規則、法律の委任を受けて細則を定めるという意識でとらえられていた感がございます。現実の制度でも、座長がお詳しい分野のそのような手続法がありまして、その下に手続に関する規則を設けるというような上下関係の形でやってきたわけでございますが、実際、日本の場合は、55年前に憲法制定者が、国民自身が、手続関係の問題については、最高裁判所が規則という形で立法できるという選択決定をしたわけでございます。その意味は非常に大きいのでございまして、これは大体英米系の裁判所は、全部手続を規則で制定しているわけでございますが、その英米系は、大体憲法には規則制定権の条項はなくて、いわば今で言えば委任立法のような形で進んできたわけですが、日本は一歩出まして憲法で明記したわけです。今までそのあたりが少し軽く評価されてきた感がございます。ですから、今回はこういうことを正面から最高裁判所でやっていただくというのは、ある意味では初めてのことと言えるかもしれませんね、そういう点では。
そのときに、司法権の独立ということをここで言っていらっしゃるわけですが、それよりは、最高裁になぜ国民が手続問題の立法権機能を渡したかといいますと、司法というものに対する信頼がそこにあったと思うのです。司法が非常にフェアな判断形成の方法・手続というものを御自身が維持してこられたという信頼です。だから、手続問題に関しましては、議会以上に非常に優れた機関であるという判定がそこにあるわけでして、これがもし崩れれば、話がまたもとに戻りまして、立法事項であるということは大いにあり得るわけです。ですから、ここで検討していますと、法曹三者の責任になるわけでございますが、法曹三者が共通項として、今のフェアな判断形成手続といいますか、そういうものを共有しているのだと、それが前提になっていると思うのです。ですから、それが最高裁判所で守られているか、最高裁だけではなくて全部の司法府で守られているということが前提になってのことでございますから、今回こういう御判断が一般規則制定諮問委員会へ出たということは、また、ここでもたくさんの委員の先生方がそういうふうにおっしゃられるということは、日本の司法府の55年間の軌跡に対して非常にプラスの評価が下ったことだと思うのです。日本としてはこれは非常に素晴らしいことではないかと思うのです。そういう感じがします。結論的に私は賛成でございます。
【木村委員】本日のセッションの一番最初に、憲法と規則制定権と法律との関係をお伺いしたわけですけれども、意見書に沿ってこの問題を非常に深く最高裁が開かれた形で討議したのは大変に画期的なことだったのではないかと思っているのです。私は最初考えたときは、裁判所法の一部改正というような形で、特に最高裁判所裁判官の任命諮問委員会と最高裁判所以外のここに書いてある下級裁判所の任命の諮問委員会に関する新しい規定を、ともに裁判所法の中に入れるというようなイメージがあったものですから、そういうことが可能であるかなと思っておりました。いろいろお伺いしていて、今の釜田先生のお話もございましたが、憲法における最高裁の規則制定権の重み、この重みをそれなりに最高裁の方々が、国民に開かれた形でそれを受けとめて、そして論議を蓄積してこられたことについては私は敬意を表したいと思うのです。
ですから、そういう点で、国民の期待に沿った形で、かつ意見書の内容を充実させて、今までやってきていただいたわけですけれども、憲法と規則制定権と法律がある中で、このような非常に画期的な取組みがなされた。今後もまたその方向で是非討議を続けていいものを作っていただきたい。国民のための司法を、国民とともにこれからの21世紀に充実させていただきたいと願っております。
【伊藤座長】どうもありがとうございます。どうぞ、岡田委員。
【岡田委員】私も今回憲法というものを改めて勉強させてもらった次第ですけれども、今回の要綱と確認事項についてですが、最近の法律を見ていますと、法律があって、規則があってというような一般的な流れがあるのですが、昔は、法律に入るべきようなものが規則に入ってきていて、どちらかというと法律を運用する場合には規則が重要な部分になっていたりもしたのです。そういう感じからすると、要綱と確認事項の中で、私たちから見てわかりやすいのは確認事項の部分なので、この2つはセットになってという御説明でしたけれど、是非、規則になったときに、その確認事項というものが、私たち国民からも分かるような形で情報提供をお願いしたいと思いますし、改めて憲法に基づく最高裁の規則制定権に関しても国民に知らせてもらいたいと思います。
【伊藤座長】そういたしますと、設置の法形式については、この資料14−2にございますとおり、規則でということで、皆さん一致した御意見のようでございますので、御要望は十分、小池審議官の方で御理解いただいたと思いますので、そのように御了解いただいたこととさせていただきます。
大変多角的な視点からの御意見をいただきましたが、事務局資料14−2の検討のたたき台(案)その3にある各事項につきましては、当検討会におきましても、内容面の取りまとめとして、特に異論はなかったということにさせていただきます。
最高裁から説明がございましたとおり、この指名諮問委員会関係の検討につきましては、答申案等の具体的な表現などの問題が残っているようでございますが、それらの点につきましては、最高裁の一般規則制定諮問委員会の方では準備会に任せたということでございます。当検討会といたしましては、一般規則制定諮問委員会の最終的な答申内容、それを踏まえての規則の内容については、その都度、最高裁から報告をしていただくようにいたしたいと思います。それでよろしゅうございましょうか。
(「はい」と声あり)
【伊藤座長】それでは、ちょっとこのあたりで10分程度休憩をとらせていただきます。どうも小池審議官ありがとうございました。
【最高裁(小池審議官)】ありがとうございました。
(休 憩)
【伊藤座長】再開させていただきます。
続きまして、(3)弁護士会運営の透明化の問題について、日弁連から検討状況の説明をお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
【日弁連(松倉副会長)】日弁連の副会長の松倉と言います。よろしくお願いいたします。
今日は日弁連の発言の機会を与えていただきまして、大変ありがとうございました。私の方から、弁護士会運営の透明化についての日弁連の基本的な立場について御報告したいと思います。
今日配布しました資料の中に「会務運営の透明化のための基本方針」というものがあります。その後ろに資料が1から14まで綴ってございますので、これを御参考に御覧いただきたいと思います。
まず会務運営の透明化に関する基本的な考え方ですけれども、意見書では弁護士法第31条を引用しております。弁護士会というのは、弁護士の品位の保持のために弁護士の個々人を指導・監督をするということから弁護士会の活動はいわゆる公益的な活動が中心です。したがって、弁護士会の会務の運営についての透明化を図り、なおかつ国民に対する説明責任をきちんと果たしなさいというようなことが言われております。
日弁連としましても、日弁連あるいは弁護士会というのは、弁護士、法曹の一翼であります弁護士の資格の付与、取消しの権限を有しておりますし、また個々の弁護士を指導・監督することから司法行政権の一部を担っているというように考えております。したがいまして、弁護士会というのは、単なる資格者の私的な団体ではなくて、公益的な団体であると考えておりまして、そういった公益的な業務につきましては、運営の透明化を図りまして、なおかつ国民に対してきちんと説明責任を果たす必要があると考えております。
また、弁護士法第1条の2項では、弁護士に法律制度に対する改善の提言をする努力義務を課しております。これに基づきまして、私ども弁護士の団体である弁護士会としましては、これまで様々な法律制度の改善等あるいは法案についての意見を出してまいりました。そういった私ども日弁連・弁護士会の意見が国民に十分理解されて、なおかつそれがよく実現されるためにも、弁護士会としては日頃から弁護士会の基本的な立場、考え、そういったものを十分説明していく必要があると考えております。
しかしながら、弁護士会というのは必ずしも国や自治体とは全く同じ組織ではございません。特に弁護士会の運営は、構成員である会員の会費、会の収入によってなされております。したがいまして、国とか自治体が納税者である住民とか国民に対して行っているような情報公開とは多少違うのではないかと思っております。
そこで、政府の方で決定をしました、これは平成8年9月20日に閣議決定されているのですけれども、公益法人の設立許可及び指導・監督基準に、公益法人として財務諸表のうち公開をすべきであるというものが、一定の範囲で定められております。日弁連としましては、この定められた範囲のものを今後財務公開の対象にしたいと考えております。
次に基本方針の具体化ですけれども、まず第1としまして、「日弁連は、弁護士白書の定期刊行、市民向けホームページの拡充など、業務、財務の情報公開を推し進める。」という方針を立てております。
これにつきましては、具体的には添付しております資料1の2を御覧ください。これは箱を3つに分けてあるのですけれども、第1の箱は、平成12年11月の司法制度改革審の中間報告が出たときで区切っております。第2の箱はそのときから今日までの箱であります。最後は、今後の取組みとしております。
まず中間報告が出た時点で、日弁連ではどのような情報の提供をしていったのかといいますと、ここに記載しましたように機関紙である「自由と正義」、「日弁連新聞」、これを月1回発行しております。「自由と正義」の配布先は、資料1ですけれども、必ずしも会員ばかりでなくて、各官庁、報道関係者、懇話会委員、図書館、それから購読者が約350件あります。それから「日弁連新聞」につきましては、その後、資料2に記載しております。これは寄贈先とここに書きましたように、各官庁、大学、その他、出版社を含めまして、約3,000の寄贈をしているということであります。
それからホームページ、各種大会・シンポジウムの報告書・意見書・資料集というものが出されております。御参考までに、人権大会の報告書というものがあります。これは資料4でございます。これは毎年1回人権擁護大会がありまして、そのときに参加者に対して日弁連の人権活動の経過1年間のものを配るということになっております。
それから、官報による情報提供もあります。
こういった情報媒体によって、どのようなものがこれまで情報提供されたかといいますと、まず総会につきましては要約の報告です。これは日弁連新聞等でやるわけです。それから、理事会の報告、これも要約であります。それから、各委員会の活動報告、これは「自由と正義」で1年間の活動報告が出されます。それから、懲戒処分があった場合に、これは「自由と正義」の末尾の方で公告の欄がありまして公告をしております。これは懲戒の処分の理由、概要を書きまして、どのような処分があったか、処分の内容についても記載をしております。それから、弁護士名簿の登録・登録換え・登録取消し、これについても官報と「自由と正義」で伝えております。
それから、宣言・決議・意見書・会長声明、これにつましても「自由と正義」等で広報をしております。「自由と正義」は、例えば資料8を御覧いただきますと、ここに日弁連の意見書のあらましということで、様々なジャンルごとに意見書を出しまして、この下にページがあるとおり、それぞれの意見の要旨を掲載しまして、それについての解説を加えると、こういった形で広報をしております。
それから、資料1の2に戻りまして、日弁連の会則・規則の制定・変更があった場合には、官報と「自由と正義」、日弁連の委員会、弁護士法・会規・会則、会別会員数につきましてはホームページで情報提供をしています。
ただ、後から指摘しますように、平成12年当時のホームページは、ここに記載した程度でして、非常に情報量としては少なくて、余り十分な情報提供ではなかったと思っております。
その後、中間報告が出てから、中間報告の中で弁護士会も会務運営の透明化を図るべきであるという指摘がされました。それを受けまして、今日までいわば市民参加といいますか、そういったことを先取りする形で取リ組んできた経過があります。その1つが理事会の記者レクでございます。これは本年の2月から正式に発足をいたしました。これは理事会が2日間あるのですが、2日目の理事会が終わった後に広報の者が理事会で使われた議案書を渡しまして、それについてどういう審議がなされたかという審議の概要について説明をしております。
次にホームページをリニューアルしました。これは今年の1月でございます。これは資料3を御覧いただきたいのですけれども、これは裏表あります。かなり広範な情報提供に切り換えております。まず「弁護士とは」というところから始まりまして、「日弁連とは」ということで、日弁連の組織・機構・懲戒制度、それから、「日弁連の活動」というところで様々な委員会の活動等の報告、それから、司法改革コーナーの中では、今取組んでおります司法改革についての動きを情報提供しております。さらには「主張・提言」ということで、これまでどのような宣言・決議をしているかといったことを情報提供しております。それから、各種統計資料です。さらに裏のページに行きますと、司法修習生向けのページ、特に就職情報等も出しておりますし、また特殊なものとしましては「子どもページ」というのがありまして、子どもが漫画等を媒介にして、ルールとは何か、そういった子どもの法教育的なものを若干提供しております。さらに、「法律相談ガイド」ということで、利用者にとっての窓口を開いているという状況です。
また、資料1の2に戻っていただいて、さらに本年9月に弁護士白書というものを発行いたしました。今日皆さんの方に配布しておりますが、目次を御覧いただければ、弁護士の実勢、どこにどれぐらい弁護士がいるか、人口比がどれぐらいであるとか、外国法弁護士の実態であるとか、さらには刑事事件に関する活動として、どれぐらい弁護士が付いているのか、その事件についてもどれぐらい受任しているのかということについての詳しいデータを書いています。それから、9ページ以下の目次のところですけれども、法律相談、特にひまわり基金による弁護士活動対策に対する取組の状況等についても触れております。10ページでは、日弁連の対外的な声明・宣言を書いています。それから、綱紀・懲戒につきましても、128ページ以下に詳しく報告をしております。こういったものを今回初めて刊行いたしました。
こういった情報媒体の新たな追加によって、どのような情報内容が、さらにこの中間報告以降追加されたかといいますと、まず理事会の記者レクを開始したことによりまして、理事会の議案と審議の概要が情報提供されました。さらにはホームページのリニューアルによりまして、先ほどの資料3のような広範な情報提供がなされました。これにつきましては、後ほど時間があれば、またホームページについて説明したいと思います。弁護士白書は目次のとおりであります。
今後の取組みですけれども、ホームページにつきましては、これから随時拡充をして新しい情報を出していきたいと思っております。弁護士白書につきましても、これは毎年というわけにはいきませんけれども、定期的な刊行をしていきたいと考えております。それから情報公開規則を制定したいと思っております。これにつきましては、先ほど言いましたように、財務に関しては、内閣の関係の公益法人の公開基準に従ってやります。具体的にはその下に③として書いていますけれども、情報公開規則の制定によってどんな情報が出るかといいますと、財務に関して言えば、日弁連の収支の計算書、正味の財産増減計算書、貸借対照表、財産目録、収支予算書、こういったものを公開の対象にする予定であります。それから、総会・議事録の公開ですが、これは改めて申し上げます。懲戒処分官報公告、これも新たに行うことになりました。こういった今後の取組みを通じまして、理事会の審議概要、財務諸表、総会議案・審議内容等が公開されます。
次に基本方針に戻りまして、第2としまして、日弁連は、会務運営に支障のある場合を除き、総会及びその議事録を公開し、意思決定過程の透明化を図るという方針を決めました。これにつきましては、今言いました総会の傍聴を認める。さらには総会の議事録についても請求があれば公開するというように考えております。
これまで日弁連の総会につきましては、臨時総会、定期総会含めていずれも公開、傍聴の制度はなかったのですけれども、運用として申し出があればマスコミの方、研究者の方に傍聴を認めてまいりました。これを規則をつくってきちんと制度化したいと考えております。
それから、日弁連の総会ですけれども、どんなことをやるのかといいますと、予算の議決、決算、会則、会規の制定変更、理事会あるいは代議員会で重要であるから、これは総会の方にかけた方がいいというようなもの、これにつきましては総会にかけます。したがいまして、かなり重要な案件が審議されております。
次に資料10を御覧いただきたいのですが、1990年から2002年までの間、毎年総会でどのような宣言・決議があったのか、これはホームページから拾ってきました。ここにありますように、その時々の社会問題、大事な法律問題、司法改革問題等につきまして決議・宣言等を行ってきております。こういった形で総会についての公開を認めて、また議事録の公開を認めると。いわば私どもの最高の意思決定機関でありますので、その総会について公開することによって意思決定過程を明確に国民に示したいと考えております。
また、基本方針に戻りまして、第3に、日弁連は、市民によって構成される機関を設置し、その議事内容を公開し、会務運営に市民の意見をより一層反映させる方針を掲げております。
これにつきましては、資料1の3を御覧いただきたいと思います。これも同じ3つの箱に分けております。まず中間報告の以前ですけれども、日弁連の委員会に外部の方が参加している委員会がどれだけあったかを挙げてみました。まず資格審査会、これは法律で決まった制度でして、裁判官・検察官・学識経験者が各1名入っております。綱紀委員会も同じであります。懲戒委員会も同じです。
それから日弁連懇話会というものができています。これは資料11を御覧いただきたいと思いますが、これは昭和54年に制定をしております。目的は、日弁連の会務運営に広く国民の意見を反映させるために、懇話会を置くとなっております。委員は20名以内で、会長が委嘱となっております。
この懇話会自体は、会長が参加して、会長が議事を統括するとなっております。それで、次のページ以降に、毎年どんなことが、この懇話会で議論されてきたかというところをずっと挙げております。今年になりまして、既に2回行われています。5月31日に法科大学院、弁護士制度改革、21世紀の弁護士像について、それから、さらにその後、弁護士資格問題についても改めて開催をいたしております。
委員の方ですけれども、次の最後のページに、歴代の委員の方の名前が載っております。ジャーナリスト、大学教授、経済団体、法曹界、労働界、主婦連合会、こういった広範な方々にお願いをしまして、時どきのテーマについて意見を交換していく、こういった機会があります。
また、資料1の3にお戻りください。その後、中間報告が出た後に、今日まで日弁連がどのような市民参加に取組んできたかという点について説明します。
まず最初に、報酬規定改正検討ワーキンググループ、これは現在組織改編がありまして、弁護士制度改革推進本部報酬検討部会になっております。これは13年3月、去年の3月に発足したのですが、ここに労働組合、経済団体、消費者団体、報道機関から各1名の外部の方に委員として参加してもらっています。これは報酬規定が市民に関わりのあるものだというところから、弁護士の中だけで議論するのではなくて、外部の方を入れて議論すべきであるということから、こういった方々にお願いをしております。
次に、昨年4月に「弁護士倫理委員会」というものを発足させております。ここには誤記がありまして、資格者団体ではなくて労働団体・主婦連合会・経済団体・マスコミ関係・学識経験者という五者の組織になっております。これは弁護士倫理に関する委員会を作ったのですが、弁護士倫理については、弁護士だけの考え、常識ではなくて、一般市民の常識・希望、そういったものを取り入れて弁護士倫理を検討すべきであるということから、外部の方に御参加を願っています。これにつきましても、後ほど説明しますけれども、ホームページに議事概要も公開するというところまでやっております。
それから、今後の取組みですけれども、綱紀審査会を設置します。これはこの法曹制度検討会で御検討いただいた組織ですけれども、単位会でもって懲戒処分しないとなったときに、さらに日弁連の綱紀委員会でも懲戒しないといったときに不服申立機関として綱紀審査会、これは市民だけから構成される審査会ですが、そこで3分の2が懲戒相当であるという判断をした場合には、各単位会の懲戒委員会を経なければならないという形での制度設計になっています。
これにつきましては、当初本年2月28日の臨時総会での日弁連の方針としまして、そういった拘束力を付与しないものとするということで総会決議で会内の合意があったわけですけれども、検討会の方で違う結論が出ましたので、本年12月5日、つい先週ですけれども、臨時総会を開催しました。そしてこの案件をかけまして、賛成が7,500と、日弁連でこれまでで最も多い賛成の数をいただきまして御承認いただきました。
それから、次に日弁連市民委員会というものの設置を検討しております。これは先ほど言いましたように、日弁連懇話会を発展的に解消しまして、市民委員会といった組織に格上げしたいと考えております。資料13を御覧ください。これは懇話会と主にどこが違うのかといいますと、懇話会は会長が入っておりまして、議事については会長が統括をするとなっておりました。しかし、今度作る委員会は、委員長も市民から選んでもらって、弁護士は全く入らないで、市民だけでこの委員会を運営していただき、いろいろ御審議いただくというように考えております。任務につきましては、日弁連の会長の諮問が原則ですけれども、しかし独自に委員会の方で日弁連の会務運営に対する意見を述べることもできる権限を持っております。
問題はこの委員会のいろいろな答申が出た場合、それをどうするのかということですけれども、これは次のページの7で、答申等については尊重義務を定めると考えております。
第1項としまして、日弁連会長は、委員会の答申、意見を尊重しなければならない。第2項としまして、日弁連会長は、委員会の答申、意見に副った対処ができないときは、委員会に対し理由を付してその旨の説明をしなければならない。こういった規定を置いて最大限尊重するという方向で取組んでいきたいと思っております。
それから、いずれも以上3点は、日弁連の取組でして、これを踏まえて各単位会に対しても日弁連として、各単位会の透明化を図るように要請を行うということがあります。もちろん各単位会の方でも資料14のような情報誌を出したり、あるいはそれぞれの弁護士会の工夫したホームページがあって、現在でもかなり中間報告以降は進んでおりますけれども、さらに日弁連にならって進んでいただきたいと考えております。
それから、最後になりますけれども、今日はホームページをここで実演できたらと思ったのですけれども、設備的にちょっと無理だということから、ホームページの1枚に黒帯びで綴ったものを持ってまいりまして、大体どうなっているのかというところを皆さんに御説明したいと思います。
一番最初のページが日弁連のホームページ開いたときに出てくるトップページであります。この中から自分の見たいところをクリックをしていくわけですけれども、例えば「日弁連とは」というところでクリックをいたしますと、次の2ページ目が出ます。「日弁連の機構」をクリックした場合に次の3ページ目の事務局も含めた体制が出てくきます。それから、「日弁連の委員会」というところをクリックすると、次の4ページのものが出てきます。かなり膨大な数の委員会が日夜活動しております。それから「日弁連とは」の中の「弁護士自治・懲戒制度」という欄をクリックしますと6ページのようなところが出てきます。さらにここの「懲戒制度」というのをクリックしますと、7ページのような懲戒制度の概括的な記載になります。さらに詳しく知りたいという場合には、最後の欄に「こちらをご参照下さい」をクリックしますと、8ページが出てきます。ここで「市民窓口」というのをクリックしますと、この9ページが出てきまして、いろんなトラブルがあって苦情があるというときには、「市民窓口」というものがありますと。ここに行ってくださいとなっております。その下に「弁護士会」があります。これをクリックいたしますと、全国の弁護士会の市民窓口がどこの場所にあるか。電話番号、FAX番号ということが全部ここでわかるようになっております。
それから、次に日弁連の活動のところですが、13ページでございます。日弁連の活動の中の一例としまして「人権擁護と正義のために」をクリックしますと、14ページのこういった欄が出てきます。この中で比較的情報が豊富な「情報問題対策委員会」というところをクリックしますと、次の15ページのような委員会の欄が出てきます。この3ページにわたりまして、委員会のホームページの記載があるわけです。
このうちの、例えば16ページの日弁連の意見書についても、これはさらにクリックをすれば御覧になれますという欄があります。16ページの真ん中の方の「C.個人情報保護法律案に対する意見書」をクリックしますと、2ページ後ろの18ページ以降の日弁連の意見書が全文出てまいります。こういう仕組みになっております。
次に倫理委員会のことについてお話ししたいのですが、27ページを御覧ください。「市民のための弁護士をめざして」というサイトになっております。この中に「弁護士倫理委員会」という欄があります。ここをクリックしますと、次の28ページが出てまいります。ここで「弁護士倫理委員会委員名簿」があります。これをクリックしますと、次のページの委員会名簿が出てきます。ここに、さっき言いました日本経団連の中村さん、連合の高木さん、主婦連合の吉岡さん、日本経済新聞社の藤川さん、早稲田大学の須網さん、こういった外部委員が入っているということが出てまいります。
それから、さらに28ページに戻って欲しいのですが、ここで「議事概要・主な資料」というものをホームページで情報提供しております。例えばこのうちの「平成13年度第6回議事概要」、これをクリックいたしますと、30ページ以下のものが出てまいりまして、31ページ等を御覧になりますと、名前については出ておりませんけれども、どういったやりとりがあったのかというところの概要が要約されておるというところでございます。
次に37ページを御覧ください。これは「市民の権利救済のためのサポート活動」というところですけれども、ここでは主に市民の皆さんがいろんな悩みを抱えて、どこに相談したらいいのかというときのサイトになっております。この中で下の方に「弁護士過疎対策」というサイトがあります。これをクリックいたしますと、1つ飛んでおるのですが、38ページに「公設事務所を紹介します」というところがありまして、例えばここに「紋別ひまわり基金法律事務所」の欄があります。これをクリックしますと、次の39ページが出てまいります。ここに開設時の様子とか、それから4月から7月までどれだけ事件があったのかという情報が出てまいります。
そして、この40ページに、「弁護士過疎地でガンバッテいる弁護士を紹介します」という欄があります。これをクリックしたものがこの次のページです。各地の公設事務所で活躍している弁護士の感想といいますか、そういったことがここに一覧として出てくるというようになっています。こういったものを見ながら、自分のところの事務所の先生がどんな人柄なのかというところをある程度分かるようにしております。
次に46ページですけれども、「日弁連の国際活動」、こういったサイトも設けております。
47ページの「宣言・決議」は飛ばしまして、「国際人権ライブラリー」というのが48ページにあります。ここで一番上の「日本が批准した国際人権条約」という段をクリックしますと、次の49ページの欄が出てまいります。ここに、例えば「自由権規約」ということで、条約の本文とか報告書審査とかあります。これをさらにクリックしますと、この条文が出てまいります。さらには報告書審査の中身が出てまいります。そういった形で情報提供をやっております。
それから、次に「各種統計・資料」という欄がありまして、その中で「懲戒・審査請求事件処理状況」という欄があります。これをクリックしますと、51ページのような懲戒事件の処理状況についての情報提供欄が出てくるようになります。
最後ですけれども、52ページで「出版物の案内」です。「出版物」をクリックいたしますと、53ページのようなジャンル別の出版物が出てきまして、例えばこの中で上から2番目の「女性・子ども・高齢者・障害者」というところをクリックしますと、54ページのような、こういう関連の図書が出ていますというところがわかるということです。
大体そういうところですけれども、これからも日弁連としましては、今度発足します市民委員会に諮りながら、弁護士会の運営の透明化について進めていきたいと考えております。
ちなみにこのホームページなのですけれども、大体アクセスされる数ですが、1日平均にしますと、大体1万5,000件くらいがアクセスされているという現状にございます。
大体以上でございます。
【伊藤座長】どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問のある方はお願いをいたします。どの点でも結構です。どうぞ、木村委員。
【木村委員】大変わかりやすく、しかもホームページを利用して、充実したいろいろな努力がなされていることにつきましてうれしく思いました。
ちょっとお伺いしたかったのは、日本弁護士連合会というのはJapan Federation of Bar Associationsですか、英語でそう言うのですが、それは例えば正会員とか準会員とか、客員会員とか、そういう会員の資格のカテゴリーはあるのですか。
【日弁連(松倉副会長)】これは歴史の経過がありまして、沖縄につきましては、実は沖縄が復帰したときに特例で司法試験に受かってなくても弁護士をやっているという方がいらっしゃいました。そういう方をすぐに弁護士資格を与えないというのはまずいということから、沖縄で「準会員資格」というのを与えています。この方は準会員ということになります。
それから、外国法事務弁護士の方につきましては、これは日弁連とは多少違いまして、正規の会員とは違いまして、外国法事務弁護士に関することに関していわゆる議決権があるという若干の差異があります。それ以外については、今おっしゃったような種類はございません。
【木村委員】例えばAmerican Bar Associationsは、一般市民への関心を高めるということからしますと、非常に幅広く、例えばいろいろな形で正規のメンバーでない人たちを、例えば維持メンバーとか、あるいは雑誌を読んでいるメンバーとか、客員メンバーとか、そういうのを非常に幅広く受け入れています。推薦が必要な場合もあるのですが、私もアメリカに居住しているときはAmerican Bar Associationsの客員メンバーだったわけですが、ABAには弁護士さんのみならず裁判官、検事とか、一般の学識経験者、医療・看護等他の関連分野の専門家なんかも入ったりしているのです。American Bar Associationのジャーナルなどを読んでいる層が市民層にまで広がっているわけです。そういう意味で、日弁連にも出版物も数多くおありのようですけれども、今、市民と日弁連とが一番つながっているところはどういうところでしょうか。例えばメンバーシップのサポートのような形では今ないわけですね。これはプロフェッショナルな団体ですからね。
今のお話にあった人権委員会とか、弁護士会の問い合わせとかいろいろあるようですけれども、今、職業専門団体としての日弁連が一般の市民と一番深くつながっているというのはどの点でしょうか。
【日弁連(松倉副会長)】それは恐らく各委員会がありまして、その委員会ごとに、例えば人権擁護委員会であれば、いろいろな人権団体と提携した集会をするとか、あるいは消費者委員会であれば、消費者保護団体などの様々な団体と提携して集会をやるとか、子ども権利委員会であれば、NGOの子どもの権利とか、そういったところと結び付いているという形で、むしろ横断的にそういったセクションごとにやっているというのが日弁連の実態かなという気がいたします。
【伊藤座長】よろしいですか。どうぞ、ほかにお願いします。どうぞ、佐々木委員。
【佐々木委員】資料1の2で、右の欄のところに「情報公開規則の制定」ということでいろんなことをやっておられるようですけれども、説明がなかったのでお伺いしたいのですが、資料9で情報公開制度の概要ということで、これは現在やっておられることでございますか。
【日弁連(松倉副会長)】部会の方で案をつくって検討しております。
【佐々木委員】そうですか。地裁の方でも情報公開の関係をたくさんいただいておりまして、それで法にいう非開示理由と申しますか、その辺のきめ細かな類型的なものをやっておるのですが、そのあたりは、資料9で言うと2のところに当たるのですが、そのようなことは、何か今の段階で、非開示事由の類型的なものについてお考えになっているようなものがございましょうか。ちょっと参考までに伺いたい。
【日弁連(松倉副会長)】委員会の議事録というものにつきましては、日弁連としましては、実は先ほど御覧いただきましたように、非常にたくさんの委員会がありまして、職員の数も少ないものですから、逐語的な議事録を作れないという状況になっていまして、むしろ委員会の委員長の方で、1つずつ確認していって、積み上げていって、結論を出して、それを議事概要でまとめるというレベルになっております。ですから委員会の議事録と言われた場合には、我々の方で対応は今の段階ではまだ難しいと思っております。
あと、財務につきましては公開基準以外のものについては、公開はしなくてもいいのではないかという立場でもって、この規則の制定を考えております。
【佐々木委員】現在進行中で非開示事由について検討なさっているということでしょうか。
【日弁連(松倉副会長)】はい。
【伊藤座長】よろしいですか。どうぞ、小貫委員。
【小貫委員】市民委員会や懇話会は、単位弁護士会でも作っているところがあるのでしょうか。もう一つは、委員で見ますと、懇話会の歴代委員の名簿を見ていますと、どうしても東京中心になっているようですが、委員を選ぶときに何かいろんな配慮をされた結果、こういうことになっているのでしょうか。
【日弁連(松倉副会長)】まず第1点ですけれども、地方では正式な市民が参加した委員会的なものは余りないのですけれども、市民モニターというのを作りまして、何人かの市民に委嘱をして集まっていただきまして、いろいろな弁護士会の運営についての説明をするとか、あるいは裁判の傍聴をウォッチングするとか、そういったことをされている会は、東弁や第二東京弁護士会であったようですが、必ずしもそれが継続しているとは聞いておりませんけれども、そういった市民モニター的なものがあるというようには承知をしております。
それから、懇話会の委員の人選ですが、これは日弁連でやりますので、日弁連に来やすい方々ということで、しかも各界各層の意見というところから言論界、あるいは学識経験者、さらには労働団体、女性団体、経営者団体、そういった形で、出身母体については広くするようにということは常々考えてやってきているところです。
【伊藤座長】よろしいでしょうか。
【小貫委員】ありがとうございました。
【伊藤座長】ほかにいかがでしょうか。どうぞ、中川委員。
【中川委員】日弁連がいろいろな努力をされているということ、私もこの委員会に参加させていただいてから、特にそう思うようになってまいりまして、本当に伝統も歴史もある立派な会というように思っております。会員の皆さんは、今、2万人ぐらいいらっしゃるのですか。
【日弁連(松倉副会長)】2万人弱です。
【中川委員】全部が全部とは言い切れないのだろうと思うのですが、会員の皆さんが意外と無関心なんですよね。特に若い弁護士さんが。私はそれが非常に気になるのです。年寄りで、もう固まった方、それは仕方がないとしまして、若い弁護士さんで非常に意欲もあり、向上心も強いという方が意外と無関心というか、中には悪口を言う人もいます。あれは、お偉いさんが勝手にやっているとか、そういう表現をする方もいらっしゃいまして、非常に気になるのです。
それは本当にそうなのか、実態はどうなんだろうかと思いまして、もしそうならば、何がそうさせているのかというあたりを一度是非お聞きしたいと思っておりまして、よろしければ、差し支えない範囲でお願いします。
【伊藤座長】どうぞ。
【日弁連(松倉副会長)】私の知っている範囲でお答えしますけれども、確かに今の若い人は、ある時期からかなり変わってきていると言われております。特に司法修習時代の遊び方が全然違っており、個人個人がばらばらに遊ぶという傾向が非常に強いということが言われています。これは学生についてもそうでして、大学なんかの食堂でみんなで食事をしないで、車で通学してきて、パンと牛乳を買って自分の運転席で食事を終わらせて帰るとか、そういう人が増えているとか、様々な時代の傾向があると思います。ですから弁護士会にも新しい会員が入ってきますと、やはりそういった傾向というのは年々強くなってきてはおります。
ただし、それに対してどういう対策をするのかといいますと、私は仙台弁護士会ですけれども、仙台弁護士会では、昔から全員野球というような会務運営をやっております。全員で弁護士会の運営をしなければやっていけないんだと。規模が小さいですし、会費の値上げもついていけませんから、むしろ弁護士自身が事務職員に代わるような仕事をしたり、いろいろな委員会活動をやるというようになっております。そういった形でもって、若い弁護士が入ってきたら、とにかくどこかの委員会に入れて幹事にして、そこで鍛え上げるというようにしていく中で、修習の頃とは人間的にも変わってくるという形を私ども仙台弁護士会では追求しています。つまり委員会活動を通じて、みんなと何かをやるというような形でもって後継者を作っていくということを私ども仙台弁護士会では心がけてやっています。実際、仙台では少なくとも成功していると私は考えております。
【中川委員】いいですか。
【伊藤座長】どうぞ。
【中川委員】議論するつもりは全くありませんけれども、ちょっと何か違うような気がするのです。若い方に限りませんけど、無関心層の方の意見は、日弁連のやっておられる活動が、昔とは言わないけれども、もう時代遅れで、自分たちはもっと新しい弁護士像というか、活動をしなければいけないんだという、何かそういう感じなのです。日弁連は恐らく逆だと思っていると思います。自分たちの方が先に行っているはずだと、時代を先取りしているはずだと。だけど、私たちが接する方はその逆をおっしゃるのです。これは若い人だけでなくて、お年寄りも含めて、ちょっとそういう感じを持っておりまして、この辺は質問というか、感じをちょっと申し上げるだけで、どうにもならないのですけれども。
【日弁連(松倉副会長)】今、司法試験の合格者は増えているのですけれども、東京や大阪に集中するのです。なおかつ、いわゆる渉外事務所に入ってしまいます。そうしますと法廷も余り来ない、それから委員会もやらないで、海外で活躍することを夢見ているという方が非常に多いのが事実です。しかしながら、渉外事務所もかなり淘汰が厳しくて、5年ぐらい経つと、かなり選別が出てきますので、そういう中で、そういった道をあきらめて自分の田舎に帰って開業するとか、そういった現象が少なからずあります。
確かに登録当初はそういった傾向ありますけれども、一定年数たつと全くそれが分化するというような傾向が見られると私どもは考えております。
【中川委員】一度そういう別の意見を持っている弁護士さんの意見も聞いてみたらどうかというような感じもします。というのは、日弁連というより、私たち利用者の立場からしますと、弁護士さんというのは大変大切な存在なのです。だから、考え方が2つあるというのは余り芳しいことではございません。十分その辺を議論をしていただく、議論というか、何て言うのでしょう。21世紀の弁護士像というのはどうあるべきかという、本当の議論をしていただいた方がいいのではないかという感じを持っております。
【木村委員】アメリカの場合ですといろいろな組織に必ず専門プロフェッションを支えるような開かれたシステムがありまして、例えばAmerican Bar Associationですと、ABAの活動に関心を持つ人はジェネラル・アソシエイト・メンバーになれます。要するにAmerican Bar Associationの専門各分科会に参加したり、その活動をサポートする会があって、例えば医療と法律委員会みたいなところに自由に参加して、その研修セミナーに行けば、厚い資料をもらって最新の情報が得られます。ある程度、払う会費とそれに見合う受け取るものがあるというようなセミナーなど非常に広範囲にやっているわけです。
確かに日弁連というのはプロフェッショナルな、これは高度に職業専門的な団体ではありますが、市民の何かそういうネットワークを相互にサポートするような、ネットワークでもって社会的なサポートと、うまくいけば経済的なサポートもそういうところから得ていくということも考えられます。これは不可能かもしれませんけれども、そういう未来像も描けるのではないかと思います。
アメリカで見ていますと、ロイヤーが多いということもございますけれども、非常に市民のサポートがそういう広がりを持っているような気がするのです。
これは公開されているかどうかわかりませんので、もし差し支えなければお伺いしたいのですが、大学なんかも、今、財政なんかも全部公開しており、授業料の収入がこれだけあって、人件費の支出はこれだから、足らないとかやっているわけです。日弁連ではどれくらいの財政規模でおやりになっているのでしょうか。そして、そこで使われているのが、例えば早稲田大学でしたら、要するに人件費の支出が多いわけです。日弁連は何か特別のプロジェクトというのを持って、例えば大きい訴訟の場合に、日弁連が中心になってやるようなことがあったのか、何かそういう特別のファンドを日弁連としては訴訟を契機にお持ちになるということがあったのか。一体財政の規模がどれくらいで、どういうふうに使われているかみたいな簡単な資料がございましたら、差し支えなければお教えいただければ大変ありがたいです。
【日弁連(松倉副会長)】弁護士白書の146ページに今のものがあろうかと思いますけれども、これは10年間の収入の部です。それから支出の部が147ページにあります。大まかですけれども、会議費、委員会費、事業費、事務費、こういった分類での支出構成になっているというような程度の説明でよろしいでしょうか。
【木村委員】関連して、例えば日弁連で何か研究プロジェクトをやって、そこに法務省あたりから研究費が出るとか、そういうようなプロジェクトはないのですか。
【日弁連(松倉副会長)】会としてはないのですが、法務研究財団という財団をつくりました。そこではそういった形での研究プロジェクト等やっております。一応別組織にしたという形です。
【木村委員】日弁連の組織ではないのですね。
【日弁連(松倉副会長)】関連団体ということで。
【木村委員】国際的にも、ここにもいろいろ書いていますけれども、例えば開発途上国への法的支援、例えばベトナム共和国へ行って、弁護士会所属の法律専門家の方々がサービスしたりするようなことがございましたですよね。それはJICAとの関係でやっているんでしょうけれども、そういうようなことも、これから基本的に重要な役割になってくると思うのですが。
【日弁連(松倉副会長)】そうですね。これまではむしろ個人のボランティアが多かったのですけれども、そういったものも、法務研究財団の方で取組ができればと思っております。
【伊藤座長】それでは、まだ御意見を承ってないのですが、ちょっと時間が限られておりますので、さらに引き続いての御質問、あるいはそれを踏まえての御意見については、次回にまたお願いをしたいと存じます。どうもありがとうございました。
それでは、昨日の顧問会議におきまして、当検討会の検討状況の説明が行われましたので、事務局から報告をお願いします。
【植村参事官】昨日、第8回の顧問会議が開催されました。司法制度改革推進計画に従いまして、推進本部事務局といたしまして、平成15年通常国会に法案提出を予定しております事項につきまして、検討会における検討状況の御報告をいたしました。
当検討会において御検討いただきました弁護士法等の関係につきましても、主な検討状況につきまして、事務局資料の14−4及び参照条文等の資料をお配りした上で、座長から具体的な御報告をしていただいたわけでございます。
座長からの資料14−4に基づきます御説明に対しまして、御質問がございました。事務局資料の14−4の第1の4に、「弁護士報酬の透明化・合理化」という事項がございまして、御承知のとおり、弁護士報酬の規定を会則の必要的記載事項から削除するという方向性をこの検討会でいただいたわけでございますが、これにつきまして、「必要的記載事項から削除することがなぜ弁護士報酬の透明化につながるのか」という御趣旨の御質問などがございました。
これに対しましては、弁護士の報酬規定を削除した後の取扱いにつきましては、審議会意見にも、「個々の弁護士の報酬情報の開示・提供の強化、報酬契約書の作成の義務化、依頼者に対する報酬説明義務等の徹底を行うべきである。」とされておりまして、現在日弁連で御検討をしていただいております。そして年明けの法曹制度検討会におきまして、日弁連から検討状況の御報告をしていただいた上で、当検討会で検討することになっております、というような説明を私どもの方でいたしました。
それから、このほか、法曹制度検討会の場で、小林参事官が担当しております事項についても、顧問から御発言等ございましたので、その部分は小林の方から御説明をしたいと思います。
【小林参事官】大変御無沙汰をしております。引き続きまして御説明をさせていただきたいと思います。事務局資料14−4の第1の1の部分が私の方で担当させていただいた部分でございますが、その部分につきまして、何人かの顧問の方から、国会議員を対象とする理由でありますとか、あるいは国会議員につきまして、企業法務の担当者や公務員の場合と経験年数、あるいは研修の要否について扱いを異にしている、そういった理由につきまして御質問、御指摘などがございました。
また、欠席された今井顧問から、企業法務の担当者あるいは公務員に対する法曹資格付与の要件が厳しいのではないかというコメントが提出されている旨、佐藤座長の方ら御紹介がございました。これらのそれぞれにつきまして、当検討会におきます本件に関する検討状況などを適宜御紹介しながら、御説明したということでございます。
以上です。
【伊藤座長】ただいまの事務局からの説明に関しまして、何か御質問ございましたら、どうぞお願いします。どうぞ、木村委員。
【木村委員】手続上の問題ですけれども、顧問会議でそういう発言があって、新聞報道によれば、司法試験合格後の国会議員に資格を付与することについて疑義が、佐々木東大学長と大宅顧問から出たというような話が新聞で報道されていましたが、そういったことがあった場合のこちらの対応はどうなのですか。これでまた討議してやるのか、これはこれで、我々はこの間結論を出したので、それを聞いておくというだけでいいのか。それに伴って何か対応があるのですか。そこら辺の手続上の問題はいかがなのでしょうか。
【小林参事官】まず今後の手順でございますけれども、当検討会におきましては、恐らく私の記憶によれば3回、非常に長時間かけて丁寧な御議論いただいたと考えておりまして、基本的にはこの法曹制度検討会における議論を踏まえまして、具体的な立案作業を行うと考えております。
ただ、具体的な立案作業に当たりましては、昨日の顧問会議の顧問による御指摘なども含めて広く関係方面からの御意見も伺いながら検討を進めていくことになると思います。ただ、この検討会との関係で申し上げれば、また、法案の形で作業が進んできた場合には、適宜状況を見まして御報告するというように考えております。
【伊藤座長】よろしいでしょうか。それでは、先に進ませていただきます。ただ今の点、事務局では、さらに発言ございましたが、法改正に向けての具体的な作業をよろしくお願いしたいと存じます。関係機関タイムということで、最後に最高裁から地方裁判所委員会の設置等の関係で、一般規則制定諮問委員会に諮問されたことにつきまして、報告をお願いいたします。どうぞ、小池審議会お願いします。
【最高裁(小池審議官)】お疲れのところ恐縮でございますが、1点御報告申し上げます。お手元に「裁判所運営について国民の意見等を反映することが可能となるような仕組みの導入について」という1枚のレジュメがございます。これについて御説明申し上げます。
審議会の意見につきましては、「審議会意見」のところにありますように、「家庭裁判所委員会の充実、地方裁判所での同委員会と同様の機関の新設など、裁判所運営について、広く国民の意見等を反映することが可能となるような仕組みを導入すべきである。」という提言がなされております。
これを受けまして、最高裁としましても、推進計画要綱におきまして、2つ目の「○」にございますが、地方裁判所においても家庭裁判所同様の仕組みを導入することとして所要の措置を講ずることとしたわけでございます。この点につきまして、最高裁では去る11月27日、裁判官会議におきまして、このような機関を地方裁判所と家庭裁判所に設置することつきまして、一般規則制定諮問委員会に諮問することを決定したわけでございます。家庭裁判所については、現在そういう機関がありますが、それを地方裁判所と同様に少し手直しをするという意味です。
今後の予定でございますが、今月の24日に開催されます一般規則制定諮問委員会から、この点について審議してまいりたいと考えております。審議の状況につきましては、また改めて当検討会に御報告させていただきたいと存じます。
簡単でございますが、御報告でございます。
【伊藤座長】ただいまの最高裁からの説明がございましたが、何かこの点に関して御質問ございますか。よろしいでしょうか。今、説明ございましたが、裁判所委員会の設置等は、意見書や推進計画の上では、裁判所運営への国民参加の問題として位置付けられております。推進計画にございますとおり、この問題につきましては、最高裁における検討状況を踏まえて検討することとされておりますので、その検討が熟してきた段階で当検討会で検討していただくことになりますので、その節にはよろしくお願いしたいと思います。
それでは、予定した時刻がまいりましたので、本日の議事はこのあたりで終了したいと思います。年内の検討会は本日で終了いたします。本年2月14日の第1回の検討会以降、本日まで14回の検討会を重ねてまいったわけでございます。この間に取り上げました問題、いずれも我が国の司法制度の将来に関わる重要問題でございましたが、委員各位の御尽力で多くの問題について進むべき方向が決定され、また決定されようとしております。
皆様方に対しまして改めてお礼を申し上げたいと思います。併せて会議や資料の準備についての事務局の尽力についても、大変僣越ではございますが、委員を代表してお礼を申し上げたいと存じます。
なお、事務局からもご挨拶がございますので、よろしくお願いいたします。
【植村参事官】座長からもお話がございましたが、委員の先生方には、この1年間、大変お忙しい中、期日を追加させていただいた上、毎回毎回熱心な御議論を賜りまして誠にありがとうございました。本来であれば、事務局長ないし事務局次長から御挨拶を申し上げるべきところではございますが、所用で席を外しておりまして、私が代わりましてお礼を申し上げる次第でございます。来年もどうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
【伊藤座長】それでは、次回は明年1月21日、午後1時30分から、午後5時までを予定しております。次回の予定につきましては、今後、調整をさせていただき、皆様にお知らせしたいと考えております。
どうも本日も長時間ありがとうございました。