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法曹制度検討会(第16回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり

1 日時
平成15年2月18日(火)14:30〜17:10

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)伊藤 眞(座長)、岡田ヒロミ、奥野正寛、小貫芳信、釜田泰介、木村利人、佐々木茂美、田中成明、中川英彦、平山正剛、松尾龍彦(敬称略)
(説明者)川中 宏(日本弁護士連合会副会長)
小池 裕(最高裁判所事務総局審議官)
金井康雄(最高裁判所事務総局人事局参事官)
鹿子木 康(最高裁判所事務総局総務局第一課長)
(事務局)古口章事務局次長、松川忠晴事務局次長、植村稔参事官、小林徹参事官

4 議題
(1)裁判所運営への国民参加−裁判所運営について、国民の意見を反映することが可能となるような仕組みを整備すること
(2)給源の多様化・多元化−いわゆる弁護士任官の推進
(3)給源の多様化・多元化−特例判事補制度の計画的かつ段階的な解消の条件整備に資する方策
(4)その他

5 配布資料

【事務局配布資料】

[裁判所運営への国民参加]
○資料16−1裁判所運営への国民参加 検討のたたき台(案)
○資料16−2最高裁判所一般規則制定諮問委員会議事概要(第6回)
[その他]
○資料16−3民事調停法・家事審判法の一部改正について(概要)(第9回顧問会議資料6)
○資料16−4弁護士法の一部改正について(概要)(第9回顧問会議資料7)

【日弁連配布資料】

[いわゆる弁護士任官の推進]
○資料1弁護士任官推進に関する決議
○資料2第19回司法シンポジウム報告書集(抜粋)
○資料3弁護士任官資料集(抜粋)
○参考配布弁護士任官について

【最高裁配布資料】

[裁判所運営への国民参加]
○資料 一般規則制定諮問委員会における議論の状況について
○資料 最高裁判所一般規則制定諮問委員会関係資料
   ・資料1 諮問事項(委員会配布資料1)
   ・資料2 司法制度改革推進計画要綱(抜粋)(委員会参考資料1)
   ・資料3 司法制度改革審議会意見書(抜粋)(委員会参考資料2)
   ・資料4 現行の家庭裁判所委員会について(委員会参考資料3)
   ・資料5 家庭裁判所委員会規則(委員会参考資料4)
   ・資料6 最高裁判所一般規則制定諮問委員会議事概要(第6回)
   ・資料7 地方裁判所委員会及び家庭裁判所委員会規則要綱(案)(委員会配付資料2)
   ・資料8 地方裁判所・家庭裁判所委員会について(委員会配付資料3)

[いわゆる弁護士任官の推進]
○資料 弁護士任官の推進について
○資料 弁護士任官関係資料
   ・資料1 平成14年度弁護士任官者実務研究会
   ・資料2 弁護士任官制度に基づく裁判官への任官者数
   ・資料3 弁護士任官制度に基づく裁判官への任官者数(初任地別)
   ・資料4 弁護士任官者の感想・意見等(弁護士会会報等より)

[特例判事補制度の計画的かつ段階的解消の条件整備に資する方策]
○資料 特例判事補制度の見直しについて
○資料 特例判事補関係資料
   ・資料1 特例判事補の配置状況
   ・資料2 特例判事補の執務状況

[その他]
○資料 下級裁判所裁判官指名諮問委員会規則

6 議事

 議事に先立ち、事務局から、事務局配布資料16−1から16−4、日弁連、最高裁配布資料について確認がなされた。

(1) 裁判所運営への国民参加−裁判所運営について、国民の意見を反映することが可能となるような仕組みを整備すること

① 最高裁からの説明
 最高裁配布資料「一般規則制定諮問委員会における議論の状況について」及び「最高裁判所一般規則制定諮問委員会関係資料」に基づき説明がなされた。

② 事務局からの説明
 事務局配布資料16−1「裁判所運営への国民参加 検討のたたき台(案)」及び資料16−2「最高裁判所一般規則制定諮問委員会議事概要(第6回)」に基づき説明がなされた。

③ ①、②の説明に対して、次のような質疑応答・意見交換がなされた。(○:委員、□:日弁連、■:座長、△最高裁。以下、同じ。)

○:「裁判所の運営に広く国民の意見を反映させる」とあるが、「裁判所の運営」とは、「組織体」、「裁判体」、「裁判」のどれを指しているのか。

△:組織体としての裁判所に広く市民の意見を反映させたいと考えている。個々の事件の事件処理について議論してもらうのではなく、司法行政の分野について意見を伺いたいという趣旨である。

○:個々の事件ではなく、例えば、専門的な知識を持つ者の具体的な活用方法等、一般的な運用面に関する問題について意見を聞くことはあるのか。

△:専門委員や鑑定人の選任方法等について意見を聞くことはあり得ると思う。個々の事件を除く裁判所に関する幅広い意見を伺うことを考えていると理解していただいてよい。

○:一般規則制定諮問委員会における議論の中で、①委員会の内容を公開するか否か、②委員会に女性を入れるための方策、③委員会の議題を事前に公開して参加者を公募してはどうか等についてのやり取りはあったか。

△:一般規則制定諮問委員会では、①について、原則として議事録を公開し報道機関に限り議事を公開することが望ましいが、最終的な判断は委員会が行うという方向の議論があった。②について、「多様な委員構成」とするためには当然女性委員を入れることも念頭に置いていると思う。③については、そこまでの議論はなく、現時点では参加者の一般公募は考えていない。

○:報道機関に限り議事を公開することには問題もある。国民が直接委員会の議事に接する機会を設けるための工夫も必要であると思う。

△:委員会で決める事項であるが、議事録をインターネットで公開することを考えている。

○:外部から裁判所に寄せられた苦情や要望を、委員会の資料とすることは考えていないのか。

△:事件処理の内容に関するものは取り扱えないが、職員の接遇の在り方といった点に関する指摘であるならば検討対象となり得ると思う。ご意見は今後の委員会運営の中で参考としていきたい。

○:従前の家庭裁判所委員会の反省点は何か。

△:従前の家庭裁判所委員会では、裁判所から一方的に説明をした後に順次意見を伺うといった一方通行的な運用が多かったと思う。その反省から、双方向的で率直な意見交換ができるようにするため、委員構成、人数に配慮し、人選に当たっても、実務者レベルの人にお願いする等の工夫を考えている。

○:地方裁判所・家庭裁判所の委員会で高等裁判所に関する意見が出た場合はどうするのか。高等裁判所委員会は作る予定はないのか。

△:委員会は、国民に身近な第一審に設置する必要があると考えている。地家裁の委員会で高裁に関する意見が出た場合には、それを高裁に伝えることを考えている。

○:委員会が主体となって、シンポジウムや展示会の実施等、ユニークなアクションを起こすことは制度的に可能か。

△:所掌事務はかなり開かれたものとなっているので、そのようなアイデアについても委員会の中で検討してもらうことになろう。

○:報道機関に限り議事を公開するというのは理解できない。報道機関が公正中立とは限らない。国民に対して公開すべきである。

△:委員会の公開についての確認事項に関しては、表現振りを検討したいと思う。

○:委員の任命に関し、当該裁判所の管轄区域内に居住又は執務することを要件としているようであるが、これでは閉鎖的な委員会となってしまう。管轄をまたいで兼務ができるようにすれば、運営も楽になる上、情報交換もでき、委員会も活性化すると思う。

○:委員の任命については、委員会の最も重要な部分である。形式的な委員会とならないよう真剣に考えてほしい。

△:兼務の問題については、委員の負担になるとの指摘もある。周辺地域からゲストスピーカーとして来てもらう方法もある。実質的な委員会となるよう、委員の任命については、十分留意してまいりたい。

■:本日の意見は、最高裁にも理解してもらえたと思う。当検討会としては、「地方裁判所委員会及び家庭裁判所委員会規則要綱(案)」や確認事項について、最高裁の一般規則制定諮問委員会における検討内容を基本的に了解することとしたい。なお、一般規則制定諮問委員会における最終的な答申内容や、それを踏まえての規則の内容については、その都度、最高裁から報告してもらうこととする。

(2) 給源の多様化・多元化−いわゆる弁護士任官の推進

(3) 給源の多様化・多元化−特例判事補制度の計画的かつ段階的な解消の条件整備に資する方策

① 日弁連からの説明
 日弁連配布資料「弁護士任官について」、資料1「弁護士任官推進に関する決議」、資料2「第19回司法シンポジウム報告書集(抜粋)」及び資料3「弁護士任官資料集(抜粋)」に基づいて説明がなされた。

② 最高裁からの説明
・最高裁配布資料「弁護士任官の推進について」及び「弁護士任官関係資料」に基づいて説明がなされた。
・最高裁配布資料「特例判事補制度の見直しについて」及び「特例判事補関係資料」に基づいて説明がなされた。

③ ①、②の説明に対して、次のような質疑応答・意見交換がなされた。

○:将来構想として、判事補でありながら判事と同等の仕事をしている人に対して経済的保障を考えるということや、必ずしも10年以上ではなくて、7年とか8年で判事にするような方向は、考えられないのか。

△:特例判事補の問題は、経済法則以外にももっと違う視点からも考え得るのではないかと思う。審議会でもいろいろな議論を踏まえた上で1つの方向性が出されていることを踏まえて考えていただきたいと思う。

○:いろいろな経験を持った学者からの任官については、最高裁として積極的に取り組んでいるのか。

△:ここ10年間をみると、2人が裁判官に任官していると記憶している。法科大学院が本格的に展開すれば、実務を意識した教育というのも行われ、その中で、法科大学院の教員などから裁判官に転身する人たちも増えてくるのではないかと期待している。

○:日弁連は、本人の意思とは無関係に、例えば弁護士経歴10年以上の者の中から、同僚の中でも適任と思われている者に対して、積極的な働き掛けを行うことは考えていないのか。

□:説得の範囲を超えて、希望していない者を推薦した場合には、本当にいい裁判ができるのかという問題がある。やはりそこには本人の自発的な意思が必要だと思う。

○:日弁連の方針として、法曹一元を本当に実現させたいと考えるならば、個人の意思に関係なく、同僚から推薦を受けた人は、積極的に裁判官になるべく方向転換をしてもらうことも必要ではないか。

□:そこまでしなくとも、1、2年すれば、任官希望者は、今までよりもたくさん出てくる可能性はあると考えている。任官の障害となっているような事務所の問題、事務員の問題というのは、本人がその気にならなければ解決しにくいと思う。

○:55年もの間、裁判所の中で根づいて戦力化されている特例判事補制度を、なぜやめなければいけないのか。改善は必要かもしれないが、段階的な解消は必要ないのではないか。

△:いろいろな考え方があると思うが、事件処理に高い専門性を要する事件が増えてきており、特例判事補の時期には、これまで以上に、難しい合議事件を処理する中で高い専門性を身に付け、裁判官としての力を付けてもらいたいと考えている。それが国民のニーズに応える裁判システムを作ることになると考えている。そのような意味で、特例判事補に任命する時期を段階的に後倒ししていきたいと思っている。

○:全員が、5年目になれば特例判事補になり、10年目には判事になるということは、能力要素というものを無視した、一種の年功序列の制度ではないか。特例判事補制度を廃止するのであれば、同時に、10年経たなければ判事にできないという制度も廃止すべきではないか。10年目を目途とするとしても、適正な人事評価を行って判事にするかを判断する必要があると思う。

△:そのあたりは審議会でもいろいろな議論があったところであるが、裁判をするというのは、大きな国家権力を行使するわけであり、実務家として10年の経験を経た者に判事資格を与えるというのが裁判所法の趣旨ではないか、ということなどから出された方向性(特例判事補制度の解消の方向性)であり、それを踏まえている。御指摘のようなシステムもあり得ると思うが、現行制度も、10年以上のキャリアがある者から判事を任命できるシステムであって、10年の経過によりフリーパスで判事にするシステムではない。

○:歴史的にみても、判事の仕事は難しく経験ある社会的人物でなければいけない、ということではないか。10年の経験のある者が判事になるという仕組みは変えるべきではない。

■:当検討会の任務は、司法制度改革審議会意見を踏まえての検討である。もちろん、議論の背景に裁判官の在り方というものがあることは間違いないが、議論はテーマに沿って絞ってしていただきたい。

○:この検討会に参加してきて、率直に言って非常に違和感を感じている。結論にある程度縛りがあることは理解できるが、結論はもう決まっていて、あとは細かい制度設計だけしなさいという議論では、おかしくないか。縛りとしてかかっているもの自体がおかしいかもしれない。私も年功で10年で決めてしまうのはおかしいという意見であり、座長の責任で、顧問会議の方に伝えていただきたい。

■:この場での多数意見ないし有力意見を、何らかの形で伝えるということは当然あるべきことだと思う。ただ、限られた時間の中で、課題については一応の結論を出さなければならないという制約条件についてもある程度配慮願いたい。

○:私も、弁護士任官があったりロースクールができて判事補を多く採用しても、特例判事補制度(を必要とするという)問題は解決しないと思う。(最高裁資料2に)依願免官9とあるのを見ても、弁護士を10年経験しても判事としてやっていけるのか。特例判事補制度を変えるよりも、判事補経験10年という点を変えた方がよい。

○:現在、特例判事補制度の段階的な解消について、具体的な計画があるのか。

△:段階的解消策としては、先ほど説明したとおりであり、特例判事補には、合議事件、執行事件、破産事件、簡裁の訴訟事件等を担当させたいと考えている。計画的というところについては、今後の司法制度改革による制度改革の状況や弁護士任官の進展状況等を見ながら詰めたいと考えている。

○:特例判事補制度については、法律で「当分の間」に限られているが、当分の間が50年というのはいかにも長すぎる。特例判事補を判事にしてしまうのではなく、いろいろ活用して、裁判全体を促進させたりする役割を担わせるべきである。

○:弁護士任官の問題は、司法制度改革、特に裁判官制度改革の中心として大きな重みを持っており、その成否を決定づけるものであると認識している。推進の仕組みは作られたようであるが、現実に制度改革を支えるだけの量と質が確保される必要がある。そうでなければ、特例判事補問題も解決しないし、裁判官の給源問題もおかしくなる。特例判事補制度解消の方向性については、私にも迷いがあるが、不要となったから解消するのではなくて、これをうまく現代の訴訟制度、裁判制度の中に組み込んでいくためにはどうすればいいかというような、前向きの解消をしていくべきであると考える。また、先ほど検討会のあり方についての問題点が指摘されたが、私としては改革審で十分議論がされ、方向性が出されたものと考えているので、検討会の役割は審議会の提言の具体化にあると思っている。

■:日弁連、最高裁に弁護士任官の推進をお願いする点は、異論はないと思う。最高裁には、説明があった方向で特例判事補制度の計画的かつ段階的解消に向けた方策を講じていただくこととして、判事補経験が10年に満たなくとも判事に任命することを認めるということを考えてもいいのではないかとの意見については、弁護士任官の状況や、特例判事補制度の解消の方策の進捗状況と併せて考える必要があると思う。いずれにしてもそれは貴重な意見として何らかの形で外部に出せればいいと思っている。  

(4) その他

顧問会議における報告について
 事務局から、事務局配布資料16−3「民事調停法・家事審判法の一部改正について(概要)(第9回顧問会議資料6)」及び資料16−4「弁護士法の一部改正について(概要)(第9回顧問会議資料7)」に基づき説明がなされた。
関係機関タイム
 下級裁判所裁判官指名諮問委員会規則について(最高裁)
  最高裁から、最高裁配布資料「下級裁判所裁判官指名諮問委員会規則」に基づき説明がなされた。

(5) 次回の予定

 次回(3月18日)は、「弁護士報酬の透明化・合理化」、「判事補に多様な法律専門家としての経験を積ませることを制度的に担保する仕組みの整備」の問題等について議事を進める予定。

以 上