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法曹制度検討会(第16回)議事録

(司法制度改革推進本部事務局)

1 日時
平成15年2月18日(火)14:30〜17:10

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員) 伊藤 眞(座長)、岡田ヒロミ、奥野正寛、小貫芳信、釜田泰介、木村利人、 佐々木茂美、田中成明、中川英彦、平山正剛、松尾龍彦(敬称略)
(説明者) 川中 宏(日本弁護士連合会副会長)
小池 裕(最高裁判所事務総局審議官)
金井康雄(最高裁判所事務総局人事局参事官)
鹿子木 康(最高裁判所事務総局総務局第一課長)
(事務局) 古口章事務局次長、松川忠晴事務局次長、植村稔参事官、小林徹参事官

4 議題
(1)裁判所運営への国民参加−裁判所運営について、国民の意見を反映することが可能となるような仕組みを整備すること
(2)給源の多様化・多元化−いわゆる弁護士任官の推進
(3)給源の多様化・多元化−特例判事補制度の計画的かつ段階的な解消の条件整備に資する方策
(4)その他

5 配布資料
【事務局配布資料】
[裁判所運営への国民参加]
○資料16−1 裁判所運営への国民参加 検討のたたき台(案)
○資料16−2 最高裁判所一般規則制定諮問委員会議事概要(第6回)

[その他]
○資料16−3 民事調停法・家事審判法の一部改正について(概要)(第9回顧問会議資料6)
○資料16−4 弁護士法の一部改正について(概要)(第9回顧問会議資料7)

【日弁連配布資料】
[いわゆる弁護士任官の推進]
○資料1 弁護士任官推進に関する決議
○資料2 第19回司法シンポジウム報告書集(抜粋)
○資料3 弁護士任官資料集(抜粋)
○参考配布 弁護士任官について

【最高裁配布資料】
[裁判所運営への国民参加]
○資料 一般規則制定諮問委員会における議論の状況について
○資料 最高裁判所一般規則制定諮問委員会関係資料
  ・資料1 諮問事項(委員会配布資料1)
  ・資料2 司法制度改革推進計画要綱(抜粋)(委員会参考資料1)
  ・資料3 司法制度改革審議会意見書(抜粋)(委員会参考資料2)
  ・資料4 現行の家庭裁判所委員会について(委員会参考資料3)
  ・資料5 家庭裁判所委員会規則(委員会参考資料4)
  ・資料6 最高裁判所一般規則制定諮問委員会議事概要(第6回)
  ・資料7 地方裁判所委員会及び家庭裁判所委員会規則要綱(案)(委員会配付資料2)
  ・資料8 地方裁判所・家庭裁判所委員会について(委員会配付資料3)

[いわゆる弁護士任官の推進]
○資料 弁護士任官の推進について
○資料 弁護士任官関係資料
  ・資料1 平成14年度弁護士任官者実務研究会
  ・資料2 弁護士任官制度に基づく裁判官への任官者数
  ・資料3 弁護士任官制度に基づく裁判官への任官者数(初任地別)
  ・資料4 弁護士任官者の感想・意見等(弁護士会会報等より)

[特例判事補制度の計画的かつ段階的解消の条件整備に資する方策]
○資料 特例判事補制度の見直しについて
○資料 特例判事補関係資料
  ・資料1 特例判事補の配置状況
  ・資料2 特例判事補の執務状況

[その他]
○資料 下級裁判所裁判官指名諮問委員会規則

6 議事

【伊藤座長】それでは、所定の時刻でございますので、第16回の「法曹制度検討会」を始めさせていただきます。御多忙の中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 議事に先立ちまして、事務局から配布資料の確認をお願いをいたします。

【植村参事官】それでは、配布資料の確認をさせていただきます。事務局から配布させていただきましたのは、資料16−1から16−4でございます。そのうち16−1と16−2は裁判所運営への国民参加に関する資料でございます。
 資料16−3、16−4は後ほど御説明させていただきます第9回顧問会議資料でございます。
 それから、日弁連、最高裁から次第に記載いたしましたとおりの資料の御提出がありましたので、御紹介をいたします。
 以上でございます。

【伊藤座長】それでは、本日はまず次第にありますとおり、1といたしまして、裁判所運営への国民参加の問題につきまして、最高裁から検討状況の御説明をお願いをして、引き続いて議論をお願いします。
 次いで2として、いわゆる弁護士任官の推進の問題。
 3として、特例判事補制度の計画的、かつ段階的な解消の条件整備に資する方策の問題。これは前者が後者の前提となるという関係でございますので、一緒に議論をしていただこうと考えています。具体的には弁護士任官の推進の問題について、日弁連から検討状況の御報告をいただいて、続いて最高裁から弁護士任官のほか、特例判事補制度の計画的、かつ段階的な解消の条件整備に資する方策の検討状況を説明していただくという形で議事を進めたいと思っています。
 その後に2月6日の第9回顧問会議におきまして、平成15年の通常国会に提出予定法案につきまして報告いたしましたので、事務局から説明をお願いします。
 最後に関係機関タイムで、最高裁から下級裁判所裁判官指名諮問委員会に関する規則の制定についての報告をお願いしたいと思います。
 そこで、1の裁判所運営の国民参加についての議事を進めたいと思います。まず、最高裁からこの問題について、一般規則制定諮問委員会における検討状況につきまして、全体的な説明をしていただきます。
 続いて、事務局にこれまで公開されました情報、すなわち第6回の一般規則制定諮問委員会の議事概要に基づきまして、同委員会における検討状況を整理した事務局資料16−1を作ってもらいましたので、最高裁の説明に続きまして、事務局資料16−1について事務局から御説明をお願いします。
 それでは、最高裁からの説明をお願いいたします。

【最高裁(鹿子木課長)】最高裁総務局第一課長の鹿子木と申します。どうぞよろしくお願いします。私の方からお手元にございます「一般規則制定諮問委員会における議論の状況について」という資料に基づきまして、御説明をさせていただきます。
 まず資料3をごらんいただきたいと思います。これは司法制度改革審議会の裁判所運営の国民参加についての意見でございまして、その意見書におきましては、家庭裁判所委員会の充実、地方裁判所での同委員会と同様の機関の新設など、裁判所運営について、広く国民の意見等を反映することが可能となるような仕組みを導入すべきであるとされております。
 これを受けまして、資料2でございますが、最高裁判所の方で定めました司法制度改革推進計画要綱におきましても、裁判所運営について広く国民の意見等を反映することが可能となるような仕組みを整備するために、家庭裁判所委員会制度の充実を図るとともに、地方裁判所においても、これと同様の仕組みを導入することとし、所要の措置を講ずるということにしております。
 現在、家庭裁判所に家庭裁判所委員会というものを設置しております。その概要は資料4をごらんいただきたいと思います。この家庭裁判所委員会と申しますのは、例えば離婚、あるいは子の親権、遺産分割などの家族あるいは親族間の問題に関わる家事事件、あるいは少年の非行などに関わる少年事件を取り扱うという家庭裁判所の性格にかんがみまして、地域社会とのつながりを深めて、その運営に国民の意見を反映することが適当であるという観点から、家庭裁判所創設と同時に各家庭裁判所に設けられたものでございます。
 こうした家裁委員会を従前設置・運営していたところでありますが、こうした状況を踏まえて、今後裁判所運営について広く国民の意見を反映させるための仕組みとして、更にこの家庭裁判所委員会の充実を図るとともに、これと同様な機関として、各地方裁判所に地方裁判所委員会を設置したいと考えております。そこで、この規則の制定につきまして、一般規則制定諮問委員会に諮問いたしまして、1月31日開催の諮問委員会において御議論いただきましたので、その状況について御報告させていただきたいと思います。
 そこで資料の8をごらんいただきたいと思います。委員会での御議論の説明に先立ちまして、我々の方で考えております地方裁判所委員会及び家庭裁判所委員会の概要について御説明をさせていただきたいと思います。
 まず設置でありますが、全国50の各地方裁判所及び各家庭裁判所に、それぞれ地方裁判所、家庭裁判所の運営に意見を反映させることを目的とした委員会を設置したいと考えております。
 次に所掌事務でございますが、この新しい委員会におきましては、委員と裁判所との双方向での自由な意見交換を行うこととしたいと考えております。こうしたことによって、委員から率直な意見を述べていただいて、活発な委員会運営を行っていきたいと考えております。そこで所掌事務につきましては、諮問に応ずるだけではなく、諮問がなくても意見を述べることができるような規定としたいと考えております。
 次に構成であります。現在の家庭裁判所委員会は、30人以内の委員で構成するものとされております。実際には平均で約21名となっております。しかし、この21名という人数は実質的で活発な意見交換を行うにはいささか人数が多過ぎるのではないかと考えられるところでございまして、新しい委員会におきましては、原則として15名以内の委員で構成することとしてはどうかと考えております。
 他方、東京地方裁判所のような特大規模庁におきましては、取り扱う事件の範囲、あるいは量が膨大でありまして、必ずしも1つの委員会で裁判所全部の運営について意見交換を行うことがふさわしいとは限らないことから、例えば民事部門、刑事部門に分けて議論いただく、あるいは執行とか倒産の事件処理の在り方について、臨時に意見を聞く機会を設けさせていただくといったことも考えられるのではないかと思います。このような場合には、必要に応じて委員数を25人の範囲内で増やして、その上で幾つかの部会を設けて、機動的、弾力的に意見交換を行っていただくことが必要ではないかと考えております。
 委員の構成につきましては、現在の家庭裁判所の委員会におきましては、法曹三者以外の委員の多くが、例えば地方公共団体の保健福祉機関ですとか、あるいは少年鑑別所、保護観察所といった矯正保護機関など、言うなれば家庭裁判所と密接なつながりのある専門的な機関から選出された委員となっております。必ずしも一般の国民の視点から率直な御意見をお伺いするというのに適した構成とはなっていなかったのではないかと思っております。
 また、参加いただく関係機関の方々も、例えば市長、助役、県警本部長など、当該機関のトップ、あるいはそれに準ずるような方が少なくなかったわけでありまして、必ずしも現場レベルの議論をいただくにはふさわしくなかった点があろうかと思います。
 こうした現状を踏まえまして、委員の構成につきましては、次のようにしてまいりたいと考えております。まず、法曹三者以外の学識経験者につきましては、委員の過半数を下回らないようなものとするということが適当ではないかと考えております。また、学識経験者の委員は、この委員会の設置目的に照らして、それにふさわしい多様なバック・グラウンドを持つ方に参加していただけるよう、その構成に配慮すべきだと考えております。また、委員のレベルにつきましても、従来のようなトップクラスではなく、例えば市役所でございますと、市民相談の窓口を担当しておられる部署の部長さん、あるいは課長さんといった実務担当者レベルにしていきたいと考えております。
 運用の実情ですが、開催回数のところをごらんいただきたいと思います。委員の任期については、任期を2年とすることを考えておりますが、年1回の開催ですと、任期2年では2回参加しただけで任期満了ということになってしまいまして、十分な御意見をお伺いする機会を設けることができないと考えられます。そうしたことから、各庁の実情に応じてできる限り年複数回の開催をするよう努めていきたいと考えております。
 意見交換の内容としましては、資料8に書いてあるようなものが考えられるのではないかと思います。現在、司法制度改革が進行中でありまして、例えば医療過誤訴訟のような専門的事件について、専門的な知識をどのようにして裁判に生かしていくかといったことについて、議論されておりますが、そのようにしてできた制度を運用するに当たってどのような工夫が考えられるかとか、あるいは利用者である国民の視点から、裁判所の受付相談窓口をどのように充実させていったらよいのかとか、あるいは裁判所からの情報発信につきまして、どのような情報をどういうメディアで発信していくのが適当かとか、あるいはどのように更に充実させていくことが適当かといった問題について、いろいろな御意見をいただくことが考えられようかと思います。
 また、裁判所の方からテーマを設定しまして、委員の方にお尋ねするだけではなくて、委員の方からも疑問に思われる点を提起していただいて、それについて意見交換を行うといった工夫も行っていきたいと考えます。
 更に委員会を活性化していくために法廷傍聴、あるいは模擬審判見学、あるいは支部や簡裁の実情を視察していただいて、その上で意見交換を行うとか、あるいは委員会にゲストスピーカーを招いて、その方のお話を聞きながら、意見交換をしていただくとか、定期的に委員会通信を出すなどして、委員に必要な情報をお伝えしながら、その上で意見交換をしていただくとか、更に委員会でいただいた意見、これが裁判所でどのように取り扱ったかという対応結果を委員会に適時報告をしていくという工夫などを考えているところでございます。
 以上の説明を踏まえまして、資料7「地方裁判所委員会及び家庭裁判所委員会規則要綱(案)」について、諮問委員会で御議論いただいたところでございます。議論の詳しい内容につきまして、資料6の議事概要に記載したとおりでございますが、その結果を冒頭の「一般規則制定委員会における議論の状況について」というペーパーにまとめておりますので、これをごらんいただきたいと思います。
 まず要綱案についてでありますが、設置の部分につきまして、裁判所の運営に広く国民の意見を反映させるという趣旨の設置目的を入れるべきであるという意見が出されまして、諮問委員会で御検討の結果、そうした設置目的を明記した要綱案に修正の上、次回検討していただくということになっております。
 また、資料7の要綱案の「4 委員の任命」のところでございますが、原案では裁判官、検察官、弁護士、学識経験者という順で項が並んでおりましたけれども、この委員会が国民の意見を広く反映するために設置する委員会であることからしますと、学識経験者を最初に記載すべきではないかという御指摘があったところがございまして、この項の順番を学識経験者、弁護士、検察官、裁判官という順に並べ変えるということにしたいと考えております。
 以上のほかは、要綱案につきまして、原案どおり御了解をいただいたところでございます。
 その次に確認事項についてという部分でございます。諮問委員会におきまして、要綱案を検討していただく中で、幾つか確認事項を設けたらどうかという御意見が出されたところでございまして、表現振りを幹事において検討して、案を作成した上で、次回の諮問委員会に提示して御検討いただくことになっております。具体的には4つの確認事項を検討しております。
 まず1番目の委員構成でありますが、学識経験者が過半数を下回らないようにする。多様な委員構成となるよう配慮するという趣旨の確認事項を設けることでどうかということになっております。2点目、開催回数につきましても、できる限り年複数回開催するよう努めるという趣旨の確認事項を設けることでどうか。3番目の議事録の公開につきましては、「原則として、議事録を公開し、報道機関に限り議事を公開することが望ましいが、最終的には委員会の決定によるものとする」という趣旨の指針を確認事項で設けることはどうか。4番目に「委員会での意見の裁判所での取扱いについて、委員会への報告を確認事項に盛り込む方向で幹事において検討する」ことが検討課題になっているところでございます。
 1月31日の諮問委員会における議論の状況は以上のとおりでございます。次回、2月24日の諮問委員会におきましては、前回の議論を踏まえ、ここに記載しました項目を中心に御議論いただくという予定になっているところでございます。
 以上でございます。

【伊藤座長】どうもありがとうございました。それでは、先ほど申し上げましたけれども、事務局から、事務局資料16−1について説明をお願いします。

【植村参事官】それでは、事務局資料16−1「裁判所運営への国民参加 検討のたたき台(案)」について御説明をいたします。
 ただいまの最高裁からの御説明によりまして、第6回一般規則制定諮問委員会における検討状況がお分かりいただけたかと思います。その内容を先ほど座長から御紹介もありましたとおり、これまでに公開されました同委員会の議事概要に基づきまして、事務局として整理いたしましたのが、事務局資料16−1でございます。
 第6回一般規則制定諮問委員会の議事概要のどの部分から引用したのか、お分かりいただけますように、議事概要の当該部分に下線を引いたものを用意いたしまして、事務局資料16−2として配布させていただきました。
 以上でございます。

【伊藤座長】それでは、ただいま最高裁及び事務局から説明をお願いいたしましたけれども、その内容についてまず御質問がございましたらお願いいたします。

【平山委員】裁判所の運営に関する国民の意見反映という意味は、3つに分けられるのではないかと思います。すなわち、組織体としての裁判所、裁判体、裁判ですね。このどれを主に指しているということで問題になっているのでしょうか。

【最高裁(鹿子木課長)】私たちの理解としましては、一番最初におっしゃいました組織としての裁判所、要するに、司法行政について御意見を聞いていくということを考えております。個々の事件の中身、判決とかについては、ここで議論いただくものではないと理解しております。

【平山委員】裁判体はどうですか。個々の裁判そのものではなくて、裁判の進行とか、やり方。

【最高裁(鹿子木課長)】個々の事件について、ここで議論いただくということは考えておりませんので、その意味での裁判体は対象ではないと考えます。

【平山委員】御質問しましたのは、本日、最高裁から御提出いただきました資料8、色分けしてある意見交換等の内容という、運用のところです。この中には、裁判における専門知識の活用とかも入っておりますので、その裁判体の運用について何か意見を言うということもあるのかないのか、一般的なものとしてです。具体的、個別的な事件ではございません。例えばそこで委員会が開かれたときに、この専門委員の制度をこのように利用するのはどうかとか、そういう議論も予定しているのでしょうか。

【最高裁(鹿子木課長)】そういう議論はあり得ると思います。例えば専門知識の活用という観点で、新しくできる制度をどういう分野から人を得ていくのがいいのかとか、どういうところに選任依頼をしていくことが考えられるとか、あるいは鑑定人の選任につきましても、どういう形で選任推薦をしていくのが協力を得られやすいかという議論というのは考えられると思います。

【平山委員】裁判所に関係することについては、参加した人に幅広く、いろいろな角度からの意見を述べる機会があると理解してよろしいのですか。

【最高裁(鹿子木課長)】さようでございます。

【木村委員】今の平山委員の発言にも関連しますが、資料6の4ページを見ますと、今回の委員会の設置目的は国民から広く裁判所の運営について意見を聞くことであるとなっています。ですから、設置規則を見ただけで分かるように工夫すべきであると思います。当然、平山委員の御指摘のような疑問が出てくるかと思うのです。
 したがって、ここでは次の5ページを見ますと、私が今ここで見た範囲では、個別の裁判に対する介入意見は当然排除されるべきである云々と書いてあるわけですが、私はこの一般規則制定諮問委員会の議事概要を全体的に拝見して、非常に活発な意見がなされていると思います。その1つとして、公聴会のことについて随分指摘されています。議事録に従えば、裁判所は基本的に公聴会を開くということができないので、こういう委員会を国民に開かれた形で行うのが良いのではないかという御意見であると思うわけですが、公聴会というよりも、せっかくこういう形で国民のための司法という形で出てくるわけですから、委員会自体を公開するという論議はなかったのでしょうか。これは閣議決定で政府関係の審議会、委員会については原則公開ということで、司法は行政ではありませんけれども、国民の司法改革の最先端を担う司法部としては、国民に開かれたものを新しく作り、もちろん、人数その他の限定はございますでしょうから、厚生労働省などでやっておりますように、あらかじめインターネットまたはFAXで希望者を出して、セレクトして、そこに参加していただくというようなことも含めて、委員会自体の公開という方向性を出していただけたらいいのではないかと思うのが第1点。
 第2点でございますが、先ほどのお話では、委員会の構成の多様性ということにつきまして、意見が一致して確認をするということなのでございますけれども、多様性の中に、委員会自体が両性をもって構成され、つまり男性も女性も参加するようにできればと思います。例えば女性が半分入ると言われるとこれは非常に難しいというのが日本の状況でありましょうから、男性と女性でもって構成するというのではいかがでしょうか。女性が一人だけでも必ず入るように、厚労省で、平成13年にヒトゲノム・遺伝子解析の倫理ガイドライン案を作りましたときに、女性の委員が入ることが望ましいという表現を入れましたところ、望ましいというのは問題ではないか。むしろ男性と女性とをもって構成すると、きちんと入れておいた方がいいのではないかという意見があり、委員で審議して、そのようにしました。ました。その点について諮問委員会でどのようにお考えなのか。多様性ということの中に、もちろん性別が入るかと思いますが、そこの問題点について第2点でお伺いしたかったわけです。
 第3点ですけれども、できる限り複数開催ということになっていますが、この開催もあらかじめ、例えば議題なりを公開する形で参加者を応募するという形のシステムが採れないものかどうか。そういう形での情報提供ということに諮問委員会としてはどのようにお考えだったのかと、恐らくその議論があったのではないかと思うのですが、これら辺の3つの点についてお伺いしたいのです。

【最高裁(鹿子木課長)】まず1点目の公開の問題でございますが、これは諮問委員会の中でも議論になったところでございます。原則として、各委員会の公開、そのものは委員会の目的がそこで自由活発な議論をいただくということにありますので、まずは委員会で決めていただくことだろうということは前提といたしまして、この諮問委員会としてはできる限り公開の方向で考えていくべきだろうという意見が多かったところであります。
 具体的には、先ほど申し上げましたとおり、原則として議事録を公開し、議事については報道機関に公開していくということが望ましいというところで大方の意見が一致したところでございます。
 それから2点目、委員会の多様性の関係でありますが、女性の委員を入れるべきだろうという点につきましては、御指摘のとおり多様性という中には性別への配慮というものも当然含まれると考えております。
 3点目の開催する中で議題を公開する形で参加者を募ってはどうかという御指摘のところは、先ほどの公開のところとつながるところがあろうかと思いますが、議題自身は委員から提案をいただく、あるいは裁判所から提案して決めていただくということで、事前に決めていくことになろうかと思いますけれども、これは先ほどのように、この諮問委員会の意見の状況としては、一般に対する公開までやるべきだという意見ではなかったものですから、希望者を募るという形の運営は現時点では考えていないということであります。

【木村委員】確かに報道機関に公開することによって一般国民に周知させるということの1つのやり方があるかと思うのですが、報道機関の方々が参加しておりましても、新聞に載らない、あるいは違った形で新聞に載るというケースがあって、実際にうまく趣旨が伝わらないことが随分あるわけです。報道機関よりもそこに国民がいて、こういう熱気があって、こういう論議がされたということを直接感ずるような機会があるととてもいいと思うのです。
 アメリカの大統領の生命倫理諮問委員会などでもスペースがないものですから、大統領官邸のホワイトハウスのそばのホテルの下を借り切って行いましたりとか、厚労省の場合も、審議会の委員として大変にユニークだと思ったのは、隣の霞が関ビルにある東海大学の会館の会議室を借り切って行いました。官公庁は比較的スペースがないかと思いますが、そういう工夫を是非お願いしたいと思います。報道機関はもちろん、それなりに大変に重要なお仕事をしていらして、国民へ新聞を通していろいろな情報を伝えていることは間違いないところですけれども、国民が直接その委員会の中に参加するような工夫をしたら、すごくアピールできるのではないかと思いましたから、重ねて指摘させていただきました。

【伊藤座長】どうもありがとうございました。では、松尾委員、お願いします。

【松尾委員】裁判所の諮問に応じるだけではなくて、裁判所に意見を述べるという双方向性のやり方については私は非常にいい仕組みだと思っております。その上で、実際の裁判所の運用問題で外部の委員の意見も聞くということになりますが、外部委員の意見によって外部の者たちがどういう考え方を持っているのだろうかということを聞くだけではなくて、裁判所に寄せられる苦情、逆に建設的な意見だとか、そういったものがあろうかと思うのですが、そういったものは委員会の討議資料として使われるのでしょうか。
 と申しますのは、資料6の5ページにもありますが、国民の意見を聞くということをあまり強調すると裁判の独立が影響されかねない危惧が出てくるという意見があるくらい、裁判所内部には、委員会の外部委員の意見を聞くということは大事かもしれませんが、それ以外の外部情報について、それを資料としてこの問題をいろいろ討議することは影響があるのではないかとも読めますので、そこのところがどうなっているかお聞きしたいと思います。

【最高裁(鹿子木課長)】今、松尾委員御指摘のとおり、諮問委員会の中でも御指摘のような苦情をこの委員会に報告をして、それについての意見を聞くことにしてはどうかという御意見もあったところでございます。
 裁判所の中に寄せられる苦情、中には事件処理の内容にわたるところのものもございます。そうしたものを個別に検討するのは適当ではないかもしれませんが、それ以外のもの、裁判所の例えば接遇とか手続案内について寄せられる意見、こうしたものは参考にしていくことが適当だろうと考えております。
 この委員会にそれを提供するかどうかにつきましては、それぞれまた委員会の中で考えていくことになりますが、今いただいた御意見、それから諮問委員会でいただいた御意見、いずれも十分参考にさせていただいて、今後の運営の中で検討させていただきたいと思っております。

【松尾委員】そういうことならば、一応前向きの方向だと思うのですが、この制度の目的が、書かれているように、広く国民の意見を反映するということですから、そこを非常に重く認識すれば、単なる外部委員の意見だけではなくて、いろいろな外部の情報を参考にされて、誠実に討議された方がいいと思います。

【最高裁(鹿子木課長)】今御指摘のとおりだろうと思っています。そもそもこの委員会を設置する目的というのは、この司法制度改革を裁判所として取り組んでいく中で、1つは、裁判所からの情報発信の努力が不十分であったこと、必ずしも国民に裁判所のことを理解していただいていないということがございますし、それから、今まで裁判所の側でも、十分に国民の意見に耳を傾けていなかった点があったのではないかというところに思いを致したところでございまして、そうした点、今後広く意見を聞いて裁判所運営に当たっていきたいという思いから、これは審議会の中で裁判所の方から提案した問題でございます。
 そうした思いを持っておりますので、今、松尾委員御指摘の点、重々承知して運営に当たってまいりたいと思います。

【小貫委員】この資料7の規則要綱案の7の部会の(6)に「部会の議決をもって委員会の議決とすることができるものとする」とうくだりがあるのですが、この議決をするという対象はどんなことを想定されているのでしょうか。委員会内部の議事手続などを決めるときがそうなのかなと思うのですが、裁判所の方から諮問したことについても議決をいただくのか、あるいは事項によっては議決をいただくけれども、それ以外の事項については意見拝聴というところにとどまるのか、その辺りどんな想定をされているのかお尋ねしたいのが1点でございます。
 もう少し言葉を足しますと、せっかく委員会を作っていただくので、余りサロン風に作っていただくのはいかがかなと思います。できるならば、中で真剣勝負をするような場面もあってもいいだろうという思いがございまして、この要綱案をまとめた段階での議論内容で御紹介いただけるものがあれば、お伺いしたいと思います。
 もう一点は、従来から家裁の委員会があって、昭和23年からやっておられたようですね。審議会の意見書ではこれを充実させなさいと言われているのだけれども、実際、現状をつぶさに見ておられて、どんな点が足りなかったのか。あるいは反省すべき点があるのか。今回はその反省に立って、どこが変わっているのか。もう少し詳しく教えていただきたい。先ほど聞いたところでは、委員の構成が変わりました。あるいは人数も少し工夫しましょう、運用ではいろいろ工夫点も出しましたと伺ったのですけれども、もう少し詳しい御説明をいただければありがたいと思います。

【最高裁(鹿子木課長)】先に家裁委員会での反省点と言いますか、今回何を見直していきたいと思っているかということを御説明させていただきたいと思いますが、まず、先ほど委員構成、人数の問題、それから、選ばれて参加していただいている委員のレベルのことを申し上げましたけれども、もう一つ重要な点としましては、従前の家裁委員会は裁判所から一方的な説明を行いまして、その上で各委員に順次意見をお伺いするというような運営が少なくなかったところであります。
 そういう意味では裁判所の1つの情報発信のルートとはなっていたのですが、必ずしも率直な意見をお伺いするという場面が少なかったのではないかと思っております。
 こういう反省に立ちまして、今回の委員会で一番大きな点は、裁判所の方で土俵を設定して、その土俵においでいただいて、こっちの話を申し上げるというのではなくて、国民の土俵に立って、双方向の意見交換をさせていただきたい。その中でいただく多様な意見を裁判所の運営に生かしていきたいということを考えております。
 そういう意味で双方向の意見交換をできる限り率直にやっていくということが最も重要だと考えているところであります。
 そこで先ほどの議決の問題になってくるわけでありますが、確かに御指摘のとおり、この要綱案に議決の規定を置いております。ただ、今のような委員会の運営の目的からいたしますと、必ずしも何か1つの事項について、諮問して検討し、議決していただくという場面は余りないのではないかと考えております。そういう意味で、先ほどサロン風とおっしゃいましたけれども、サロン風はともかくとして、率直な意見交換をその場でやっていただくというのが一番重要だと思っております。
 そういう意味で必ずしも議決ということが主目的ではないのですが、部会を設置するということになりますと、その部会で何か決めていただいたときに、この規定がございませんと、もう一度委員会で議決をしないと、その部会の議決が委員会の議決にならないという法制上の問題がございまして、大体部会の規定を置くときには、その規定を併せて置いていることが多いという法制的な理由でこの規定を置いているのであります。
 委員会の運営のイメージとしては、先ほど申し上げたとおり、双方向での意見交換というのは最も重要だと考えておりますので、どういう場合に議決をするかということについて、現時点で、こういう諮問でこういう議決というのを考えているものはございません。

【小貫委員】資料8「考えられる工夫」の中で、「意見への対応結果等を委員会に報告」となっているのですが、議決されたのであれば、当然応答義務が出てくるのだろうと私は思うのですけれども、応答義務があるのであれば、この要綱案の規則の中に入れた方がいいのではないかと個人的に思ったものですから、質問させていただきました。

【最高裁(鹿子木課長)】委員会に対する報告、これは委員会の意見をいただいたときには、適時その対応結果について御報告するのは必要だろうと考えております。我々としてもそう行っていきたいと思いますし、諮問委員会の中でもその点は確認事項の中に盛り込むべきだという御指摘をいただいて、現在、その方向で次回の諮問委員会にお諮りをしたいと思っております。

【岡田委員】審議会の意見書の中には出ていないのですけれども、今回の地方裁判所の委員会ということでは、私たちから見ますと、簡易裁判所はとても身近になって、一方で地方裁判所はまだちょっと敷居が高いという感じがあるのですが、判決を見ていましても、地方裁判所の判決というのが大変私たち消費者のことも考えて出していただけているなと感じる判決も増えてきているのです。ところが、高等裁判所になると、地方裁判所でかなりいい結果が出ていても、何か突き離されてしまうような判決も見かけるのです。そうした場合に、一般規則制定諮問委員会の中でも、高等裁判所に対しての意見に関しては、高等裁判所に伝えると書いてあるのですけれども、伝えるだけで、それに関しても報告されるのかどうかということと、あと、将来的に高等裁判所にも委員会というものができるのかできないのか、その辺のところをお聞きしたいと思います。

【最高裁(鹿子木課長)】2点あろうかと思いますが、判決の内容について、ここで個別具体的に御議論いただくということは考えていないということはまず申し上げたいと思います。
 それから、高裁について、議論をした場合に報告がされるかということにつきましては、この地裁委員会、家裁委員会の中で、高裁に関する御意見をいただいたときには高裁に伝えて、当然その伝えた結果について、適宜の形で適時報告をさせていただくことを考えております。
 更に高裁に委員会を設置してはどうかという点につきましては、現在、国民が一番利用する裁判所としては、第一審の裁判所ということになろうかと思っておりまして、その第一審の裁判所にこうした裁判所運営について意見を聞く仕組みを作っていくことが必要ではないかと思っております。
 高裁につきましては、もちろん上訴されれば高裁に行くという意味で国民に利用していただくのでありますが、高裁プロパーの問題で、どういう御議論になるかというのは必ずしもイメージができないところがありまして、とりあえず地裁委員会、家裁委員会でいろいろ御意見をいただいたところを高裁の運営にも反映していくことによって、問題点については改善を図っていきたいと思っております。

【岡田委員】結局、高等裁判所に控訴すること自体を消費者がやめてしまうという傾向があるのではないかと思ったものですから、高等裁判所に対して国民がもっと知ることによって、ないしは国民の意見を反映しているのだということを知ることによって、地裁と同じように納得がいかなければ控訴するという形になるのではないかと思ったので、ちょっと申し上げたのです。

【木村委員】いろいろな新しい方向性がこうやって出てくるのは大変すばらしいことだと思っているのですけれども、一番最後のページの資料8の「考えられる工夫」というところもいろいろなことが書いてありますが、これは恐らく委員の方々を対象にしているのだと思うのですが、ここに2番目に「委員への定期的な情報提供(「委員会通信」などを発行)というのは、地方裁判所、または家庭裁判所が委員に対してですか。それとも、この委員会が委員の間に情報を提供するということだとすれば、それは国民にどういう形で、ニューズレターみたいな形で行くのかどうかというのが第1点。
 第2点が、例えば裁判所が主宰をするのは非常に問題があるけれども、委員会が主宰して、スペースの広いエントランスホールで人権週間の写真展をやるとか、あるいは日本の司法の歴史のシンポジウムを開くとか、そういうようなことを主宰できるのかどうか。機能の問題です。
 つまり、何か御意見拝聴だけではなくて、実際に案ができるのかどうか。もし、案ができるとすれば、例えば小学生、中学生を対象にした日本の法律を考える小さなゼミを開いたりとか、あるいは先ほど言いましたように、日本の司法の歴史の写真展を開いたりとか、何か非常にユニークな形でこの委員会が果たす機能も展開できる可能性を持っていると思うのです。そういうことをやってはいけないとなりますと、また問題ですけれど、そういう可能性を秘めているのでしょうか。将来的な方向として、そういうことも考えていいのかどうかということ。そこら辺のところは何か諮問委員会でお話が出たのでしょうか。その2点についてちょっとお伺いしたいのです。

【最高裁(鹿子木課長)】まず「委員会通信」の関係でありますが、これは裁判所の方が作成いたしまして、委員に定期的に委員会の開催の間にお送りするということを考えているものであります。こうした資料につきまして、裁判所のホームページで公開をして、国民の方々にもごらんいただくようにしていきたいと思っております。
 それから、委員会が主催して独自の活動をしていくことはどうかという御指摘につきましては、新しい御指摘でございまして、諮問委員会の中では特にそうした御議論はなかったところでありますが、この要綱案をごらんいただきますと、委員会がどういうことをやっていくのかということは、割合オープンなものになっておりますので、委員会で御議論いただいて、委員会独自の活動としてそうしたものが必要だということになれば、それはまた、委員会の中で御検討いただければと思います。

【伊藤座長】それでは、貴重な御意見をいただきました。時間の関係もありますが、どうぞ奥野委員。

【奥野委員】意見も言ってよろしいですか。

【伊藤座長】先ほどから意見をおっしゃっていただいておりますので、どうぞおっしゃってください。

【奥野委員】1つは質問でもあるのですけれども、岡田委員がおっしゃった高裁との関係ですけれども、高裁の場合に控訴の棄却とか、門前払いなどが多いので、地裁とは随分違うケースも結構多いわけです。それを考えなくていいのかということ。
 もう1つは、最高裁について、一般規則制定諮問委員会というのがあることは分かっているのですが、これは一般規則の諮問ですね。そうではなくて、もう少し一般的に最高裁の運営を国民に広く反映させるという趣旨の委員会というのをお考えになっていらっしゃないのかというのが1点です。これは質問です。
 もう1点は、意見で、これは先ほど木村委員がおっしゃった具体的な文面で言うと雑則の原則として、座長がまとめられた「原則として、議事録を公開し、報道機関に限り議事を公開することが望ましい」という部分なのですが、私は報道機関というものに限りという文意が私には理解できない。つまり、国民に議事を公開することが望ましいのであって、少なくとも最低限報道機関にはという趣旨だったらまだ分からなくはないのですが、私はとりわけ日本の報道機関というのは、ケースによっては、必ずしも公正中立ではないと言いますか、報道機関の身勝手な報道もなくはないと思うのです。経済関係に関する報道機関の料金付けに関する、いわゆる新聞の料金というのは最低価格が付いていて、カルテル料金になっているにもかかわらず、実は新聞業界、報道機関業界はそれを決して悪いことではないというキャンペーンを張るわけです。そういうことがこういうところで起こるとは必ずしも思いませんけれども、報道機関であったら公正中立だというお考えは、正しくはないと私は思います。
 そもそも報道機関という言葉にきちんとした定義もないわけですから、そういう意味でも報道機関に限りという文章は是非考え直していただきたいと思います。

【最高裁(鹿子木課長)】まず、高裁、あるいは最高裁について、こうした機関を考えていないかという点でありますが、高裁については先ほど申し上げたように、地裁、家裁以外で御指摘いただいたものを検討するようにしていきたいと思っております。
 それから、最高裁の運営そのものについてということではございませんが、現在、最高裁の中にも、「明日の裁判所を考える懇談会」という懇談会を設けさせていただいているところでございまして、司法制度改革を行うに当たって裁判所として考えていくべき視点とか、あるいは意見といったものをいただく機関というのを設けております。大体1、2か月に1回くらい開催しておりますが、非常に活発な御議論をいただいているところでありまして、そこでいただいた意見というのは非常に我々としても参考にさせていただいているところでございます。裁判所全体の運営ということでありましたら、そういうものも設けております。
 それから、報道機関に限りというところにつきまして、今のような御指摘も踏まえて、表現振りについては、検討させていただきます。

【伊藤座長】それでは、貴重な御意見をいただきましたが、どうぞ。

【中川委員】委員の選び方なのですけれども、特に学識経験者の方を管轄地域の区域内に居住・執務する方に限るとなっていますね。そうすると、おらが裁判所ということで、非常に愛する裁判所ということにもなるのでしょうが、非常に閉鎖性と言いますか、何か村とか班とか、50か所の裁判所で非常に閉鎖的な団体ができてしまうような感じがしてならないのです。
 特に1人の方が兼務するということもあり得ると思うのです。非常に立派な方だから、この裁判所でも是非来ていただきたいという方が、これだと兼ねることができません。ですから、もう少しここを広げて、周辺地域とか、何かそういう閉鎖性を打破するようなことにされた方が運営が楽になるのではないでしょうか。
 また、情報公開についても、あの裁判所はこうやっているけれども、こっちはこうやっているというような情報の交換がありますから、その辺もお考えになったらどうかという感じがします。

【松尾委員】私もその関連で意見を述べますが、これは大事なことなのです。この制度が効果的に運営されるかどうかということは、まさに委員をどうやって任命していくかということなのです。先ほど御説明がありましたように、家裁での問題点はそこにあったと思うのです。形だけの閉鎖的な運営であったり、地域的なお偉方が出てきて、やっているというだけでは何にも実りがないのではないか。サロン的という発言もありましたが、まさにサロン的な状況だけで運営されていくということになるのかどうかは、まさにだれを任命するかにかかってきていると思うのです。
 東京、大阪みたいに人材もあって、実務的にも有能な人たちを幅広く任命するということは可能でしょうが、どこの県とは言いませんが、地方の裁判所でそのようにやってもらうとなったときに、これは真剣に考えないと有名無実になります。東京、大阪の大都市で人材のいるところは非常にうまくいっているが、そうではないところは、形式的な委員会になっているということのないように、そこまで言っておきたいと思います。

【最高裁(鹿子木課長)】まず兼務の関係でございますが、今のところ住所、勤務地という制約を1つ設けまして、自分と何らかのつながりがあるところの裁判所の御意見を伺うことを考えているところでありますが、先ほど中川委員御指摘のとおり、非常に貴重な意見をいただく方について、例えばほかの委員会にゲストスピーカーとしておいでいただいて、その場で意見をいただくといったことができるのではないかと思っております。幾つかの委員会を兼務するというのも考えられなくはないのですが、結構負担にもなりすので、そういうような運用をしながら、特に参考となる意見、例えば京都と大阪で、大阪の裁判所ではこうしているということを京都で紹介いただくとか、京都はどうだという紹介だとか、そういったことも十分考えられますので、そうしたゲストスピーカーを活用するということもやりながら、考えてまいりたいと思います。
 それから、松尾委員御指摘のところは、これらの委員会の一番の生命線でございまして、そういったところについて十分配慮しながら活発な委員会運営ができるように工夫してまいりたいと思っております。

【伊藤座長】それでは、それぞれの御意見については十分最高裁にも御理解いただいたと思います。地方裁判所委員会及び家庭裁判所委員会の規則要綱案、確認事項につきましては、基本的には最高裁の一般規則制定諮問委員会における検討内容を了解するということでよろしゅうございますね。

(「はい。」との声あり。)

【伊藤座長】 答申案の具体的な表現振りにつきまして、若干の問題が残っているようでございますが、それらの点につきましては、最高裁の一般規則制定諮問委員会の方では、幹事会にお任せするということでございます。当検討会といたしましては、一般規則制定諮問委員会における最終的な答申内容、それを踏まえての規則の内容については、その都度最高裁から御報告いただく、このようにさせていただきたいと思います。
 どうも鹿子木課長ありがとうございました。
 それでは、続きまして、「いわゆる弁護士任官の推進」の問題と、「特例判事補制度の計画的かつ段階的な解消の条件整備に資する方策」の問題に入りたいと思います。
 まず、日弁連から弁護士任官の推進の問題について御説明をお願いいたします。これは川中副会長ですね。

【日弁連(川中副会長)】川中でございます。資料1が間違った文書をコピーして配布させていただいておりましたので、本日差し替えさせていただきます。そのことをあらかじめお断り申し上げて話をさせていただきます。
 私たちが弁護士任官制度と言っております制度が始まりましたのは、1991年、平成3年の10月に日弁連と最高裁との間で裁判官選考要領が合意されて、弁護士からの任官の道が始まったことであります。
 この弁護士任官に対する日弁連の基本的な評価というのが資料1にある1992年、平成4年の日弁連の定期総会における決議に集約されていると思います。
 第2段落目ですが、弁護士任官は市民感覚豊かで人権意識に富む弁護士が多数任官することにより、裁判官と検察官の質と量を充実させ、官僚主導の弊害を是正するとともに、法曹一元制度に近づけることを目指したものであるということでございます。ここでは検察官も書いてございますが、本日は全部裁判官への任官ということでお話をさせていただきたいと思っております。
 こういうことで決議でも弁護士任官推進に関する決議を挙げて、ある意味では大々的に取り組みを開始したのですが、その後の任官者数というのは、10年の間に、つまり2001年12月までの間に47名でございますので、年間5名に満たないという数で推移をしてきました。低調であったということを言わざるを得ないと思っております。
 その原因について、日弁連として分析をしたことがございますが、市販されております「市民に身近な裁判所へ」という日弁連が編集した本がございますが、この中で7点ばかり、弁護士任官が低調に推移してきた経緯について分析をしております。
 順番はどれが大きな原因とか何とかじゃなくて、考えられる7つの原因について申し上げていきたいと思いますが、まず、一番先に挙げなければならないのは、現行キャリアシステムや官僚主導制度の中に組み込まれたときの困難さであります。
 現在の裁判所は、裁判官の増員にも積極的になってきていると言えると思うのですが、過去10年間を見てみますと、私たち弁護士会から見れば少数精鋭主義で裁判事務を運営してきていると見えておりました。そういう少数精鋭主義の下で任官をすれば、忙し過ぎる裁判官の日常が待っている上に、市民的自由の行使を満足にできない。率直に言えば窮屈な生活を多かれ少なかれ余儀なくされる。弁護士の場合には自由でやりがいのある弁護士にあえてなっているということがあるわけですので、そういう生活を捨ててまで任官することになかなか踏み切れないという実情があったと思います。
 2番目の問題として、最高裁判所の採用基準が必ずしも明らかではなくて、採用留保という名の任官拒否ですね。弁護士会を通して裁判官になりたいという意思表示をしていたにもかかわらず最高裁の方から何の返答もないままに1年も2年も過ぎているというような人が出ているのに、この問題が何ら解決されないまま経緯してきたということであります。
 3番目は、弁護士会の問題なのですが、弁護士会の理事者が毎年変わるものですから、弁護士任官を推進する継続的な取組みが極めて不十分だったということが言えると思います。
 4番目には、弁護士会側の推薦を経て、最高裁に採用申し込みをしてから、裁判官として採用されるまでの手続が必ずしも明確でない。例えば今年の1月に採用の申し込みを出したら、いつごろ内定の返事が来るのか。そして、いつごろ採用されるのかということが分からないということがありまして、裁判官としての採用の希望を出してからは、事件を受けていいのやら悪いのやらということで大分悩むということもあったと聞いております。
 5番目では、弁護士事務所の共同化が十分に進んでいないために、事務所の閉鎖の問題。それから、事務員さんの処遇の問題、退職をどうするのかという問題、また長年顧問料をもらって顧問をしていた会社に、裁判官になりますから、これで終わりですというわけにいかないので、その手当てをどうするのかという問題、自分が係属している事件をだれにやってもらうのとかという事件の引継ぎ等の問題の煩しさも解決されてなかったということであります。
 6番目には、これは率直な意見でございますが、弁護士に任官した中に、さすが弁護士任官した裁判官だという人ばかりでなくて、裁判官からも弁護士からも、必ずしも高い評価を得ていない裁判官も現にいたということが、弁護士任官を進めてもどうなるのかという雰囲気が一部弁護士会の中に生じていたということがあります。
 それから、弁護士任官をした後の裁判官としての仕事の内容について、事前研修やオリエンテーションが十分なされていなかったために、自分が裁判官になって本当にやれるのかどうか。一回試してみたいという方もいるわけですが、その点は、そういう不安が解消されなかったということです。
 これらの原因が1つばかりではなくて、複合的にいろいろ作用し合って低調に推移してきたと言えるだろうと思います。
 司法制度改革審議会が始まりまして、その中間報告において、弁護士任官の進展について最高裁と日弁連との間で改めて協議をするようにということが求められまして、2001年の4月から、最高裁と日弁連とか改めて弁護士任官に関する協議を開始いたしました。ほぼ月2回の協議を重ねてまいりまして、2001年12月7日に新しい弁護士任官に関するとりまとめが合意されました。その内容は、資料の3の「弁護士任官資料集」というものをお手元にお配りさせていただいていますが、その28ページ以下に掲載されております。
 内容を簡単に言いますと、日弁連が日弁連としての弁護士任官推薦基準と推薦手続を定めて、多様で豊かな知識経験と人間性を備えた裁判官となり得る資質と能力を持つ弁護士を、できる限り多く裁判官候補者として推薦するように努め、最高裁は、それを了承するということが第1点であります。
 日弁連は今申し上げたような任官の障害となるような事由の除去に努めて、弁護士任官推進のための環境整備を行うということ。最高裁も弁護士が裁判官に任官しやすくするための環境をより整備するという観点で、新しい裁判官採用選考要領を作るということであります。新しい裁判官採用選考要領では、任官しやすいように採用を希望してから、採用に至るまで手続期間が明記されました。のみならず、短期間任官、裁判官を5年間くらいやって、あとはやめてもらってもいいというような短期間任官と、それから、専門分野任官、自分は家事審判官としてだけ裁判官をやりたいとか、あるいは知的財産権の問題だけを扱う裁判官として勤めたいとか、そういう専門分野の任官が認められるようになったということがこの2001年12月のとりまとめでございます。
 この新しい弁護士任官のとりまとめの意義は、最高裁と日弁連が、それぞれの立場から弁護士任官が低調に終わってきた原因を取り除くための方策を推進するということを確認したということにありますけれども、より根本的には、私たち日弁連から言わせれば、日弁連と最高裁が裁判官の給源の多様化、多元化を図り、21世紀の我が国の司法を担う質の高い裁判官を安定的に確保するために弁護士任官を大幅に拡大する。そういうことが極めて重要だという点で、その基本的認識が一致したという点に新しい任官のとりまとめの何よりの意義があるだろうと思っております。
 比喩的に申し上げますと、それまでの最高裁は日弁連が弁護士任官を進めるのであれば、受け入れるにやぶさかではないという言わば消極的賛成という立場から、このとりまとめでは、積極的な賛成というか、積極的推進の立場に変わったと言えるのではないかと思います。昨年の11月に日弁連が主催をしまして、司法シンポジウムを行いました。その中で、裁判官制度改革に向けた実践として、弁護士任官をいかに進めるかということをテーマにしてパネルディスカッションをやりまして、中川委員にも出ていただきましたが、史上初めてということで最高裁総務局長の中山さんにもパネラーとして出ていただきました。中山さんの発言に非常に感銘を受けたのですが、中山さんの発言の中で、我が国の裁判官制度であるキャリア・システムが50年も経つと、知らず知らずのうちに制度疲労を起こしている。その制度疲労を是正していくその改善策の1つとして、弁護士任官を積極的に推進するのだということを言っていただきました。私たち日弁連もこれに応えて更に積極的に弁護士任官を進めていかなければならないと決意を新たにしたところでございます。
 それから、日弁連が任官適格者選考委員会というものを全国の8つの弁護士連合会の下と、それから東京の3つの弁護士会の下に作っております。それがこの資料集の63ページ以下に、近畿弁護士会連合会の分だけを取り上げておりますけれども、市民の人たちにも入っていただいた弁護士任官適格者選考委員会を作りまして、任官希望者の同意を得て、その人が裁判官として適格かどうかについての調査をして、中で合議をして推薦をするということにしております。
 詳しく言っていると時間がなくなりますので、これを見ていただいたらお分かりいただけると思いますが、かなり詳細に資料も出していただき、本当に適格者かどうかについての実質的な審査をして、推薦を行っております。
 これからの任官者がどれくらい出るのか。あるいはこれからどうしていくのかということでございますが、昨年11月の日弁連の司法シンポジウムのときには、任官をした人、あるいは任官を決意して、弁護士会の適格者選考委員会で推薦をして欲しいと申し入れた人を含めて、32名の人たちが出ています。
 この司法シンポジウムは、従前のシンポジウムと違いまして、弁護士任官をしやすくする環境の整備、それから、弁護士任官そのものの推進を実践的に行いつつ、その成果を報告し、更に今後の課題を確認するためのものとして行いました。そこで32人の任官、あるいは任官候補者を確保したということは、今、申し上げたとおりでございますが、10年間に47名で推移してきた新しいとりまとめ以前の弁護士任官の数と比べると、飛躍的に増大したと言えるのではないかと思います。
 弁護士会としても、任官促進の環境整備として、法律事務所の共同化、法人化の推進をしていくということが確認されております。弁護士法人が弁護士法上認められたということも、その1つの大きな要素になっております。
 それから、任官も展望した公設事務所を大きな大阪弁護士会、東京弁護士会等東京3会の弁護士会では作っております。
 大阪弁護士会では、大阪公設事務所というものを作りまして、そこの所員弁護士が任官をしていく。あるいは、退官した後弁護士に再登録する場合に、また受け入れるという役割も担った公設事務所が大阪に作られております。東京弁護士会の場合には、池袋に東京パブリック法律事務所を昨年作りました。第二東京弁護士会は、フロンティア基金法律事務所を新宿に作っております。
 東京弁護士会は更に足立区の北千住に第二公設事務所の設置を決めておりますし、第一東京弁護士会も渋谷に弁護士任官も展望した都市型公設事務所の開設をする方針で準備を進めております。
 こういうところに勤めていた弁護士が任官をしていく場合には、先ほど言いましたように事務所の閉鎖の問題とか、それから事務員さんの解雇の問題とか、事件の引き継ぎ等の問題のようにどの弁護士も煩せる問題が解決されるという点がありますし、退官してきた後は、経済的な活動よりも社会に役に立つ仕事を中心的にしたいという方がおられますので、受入れの事務所としても、こういう公設事務所は大いに弁護士任官を促進するものとして機能するのではないかと期待しているところであります。
 それから、3番目には、弁護士任官支援事務所ですが、これは任官をする前に公設事務所ではいないのですけれども、それぞれの事務所で任官する前の弁護士を受け入れて、そこから送り出す。あるいは先ほども言いましたように、退官後に戻ってきて弁護士をやる場合には受け入れるという支援事務所を日弁連で公募しまして、100を超える事務所が、自分のところがそういう形で援助をするということを申し出ているということであります。
 それから、弁護士の復帰を容易にする法制度の整備でございますが、これはある意味では微々たることかもしれませんが、弁護士任官をして、退官をして、更に弁護士会に再登録をしますと、弁護士バッジの番号が変わってしまうという問題もございます。
 それから、弁護士会が進める弁護士任官をして、裁判官の仕事を何年かやって、再登録するときに、改めて弁護士会に登録料を、日弁連の場合は6万円ですが、これを取られるというか、納めなければならないというのはおかしいではないかという弁護士任官による退官者の意見もありまして、昨年の日弁連総会ですが、これも改めて、再登録の際は登録料は免除しました。それから、登録番号と弁護士記章は、希望すれば日弁連でお預かりして、その昔の番号のまま、再登録するときには昔の弁護士バッジを付けていただくということにもしております。
 それから、弁護士任官者に対する経済的な支援という点では、兵庫県弁護士会の場合には、弁護士任官をする人には100万円を寄付するということでありますし、東京弁護士会の場合には、貸与するという経済的な支援も行っております。これについてはいろいろ意見はあるのですけれども、任官をする場合に、自分が手持ちの事件を同僚の弁護士、あるいは友達の弁護士に引き継いでもらうときには、ただでは頼めないということが現実にあるようでございますので、結構金が要るということもあります。この点は金の問題ではないということもあるわけですけれども、一応弁護士会として検討しているところでございます。
 それから、これから弁護士会としては、弁護士任官等推進センターを今年の1月に立ち上げまして、日弁連と全国の単位会が系統的、継続的に弁護士任官の問題を推進していくということを決めております。ちなみにこの委員長はここに座っておられる平山委員に務めていただいております。
 それから、弁護士任官がこれから発展していく可能性として、非常勤裁判官制度が発足しました。これは弁護士任官の意思を持っている方が非常勤裁判官として務めるということでございますので、この点はこの検討会で最高裁の方から報告されましたので、省略させていただきます。
 3番目の問題としては、下級裁判所裁判官指名諮問委員会が設置されて、任命手続の透明化、客観化が確保されるということで、この点も弁護士任官を推進するのに大いに有利に働くだろうと考えております。
 最後の弁護士任官を進める意義の再確認と共有化という問題でございますが、私たちはもちろん、裁判官の給源の多様化、多元化を図るということで、そのことでキャリアシステムの持っている幾つかの問題点が改善されたら、それに超したことはないわけでありますけれども、弁護士会としては、すべての裁判官は弁護士出身者、弁護士経験者から採用すべきだという法曹一元の理念を弁護士会発足以来の理念としてずっと掲げてきておりますので、この法曹一元に近づいていく方法ですが、弁護士任官を積み重ねていくということによって、法曹一元に近づいていくという道筋が、再確認され、そのことが弁護士会の中に幅広く共有化できるようになれば、そのことも大きなモチベーションとなって、弁護士任官が推進されていくのではないかと期待しているところでございます。
 以上でございます。

【伊藤座長】ありがとうございました。それでは、続きまして、最高裁から弁護士任官の推進のほか、特例判事補制度の計画的、かつ段階的な解消の条件整備に資する方策、これにつきまして、検討状況を御報告願います。

【最高裁(金井人事局参事官)】参事官の金井でございます。私の方からは、弁護士任官の推進の関係について、御説明させていただきます。
 本日はお手元に弁護士任官の推進についてというレジュメと資料を配布してありますので、それをごらんいただけたらと思っております。
 昨年3月の当検討会におきまして、弁護士任官等に関する協議会での協議の状況等につきまして御報告させていただきました。本日はその後の取組みの状況を中心に御説明いたします。
 まず、「1 平成14年度の弁護士任官者の状況」の関係でございます。お手元のレジュメに記載してありますとおり、平成14年度は判事4名、判事補1名、合計5名の方が裁判官に任官されたということでございます。
 なお書きで書かせていただいておりますけれども、平成13年12月の日弁連との合意に基づきまして、新たな要領に基づく弁護士任官が始まったわけでございますが、その要領に基づく、言わば第一期生が今年の4月期に誕生するということになっております。その数ですけれども、現在、判事4名の任官が内定しているという状況でございます。
 次に2として、弁護士任官推進のために主に平成14年度に、どのようなことをしてきたかということを御報告いたしたいと思います。4つの柱で御説明させていただきます。
 まず、(1)の関係でございます。研修の充実が必要であると考えております。この点、平成9年から司法研修所におきまして、弁護士から任官した人を対象に、1週間程度の集中的な導入研修を実施してまいりました。平成14年度も任官1年後程度まで、比較的経験の浅い裁判官を対象に、7人でございますけれども、研修を実施いたしました。その具体的な内容は、資料1という形でカリキュラムを示させていただきました。
 弁護士任官者に対する研修を考えてみますと、それぞれの方の弁護士経験の期間であるとか、弁護士経験の内容、裁判官になられてから後の担当職務の面におきましても、さまざまでございます。こういったさまざまなバック・グラウンドを持った人に対して、どういった形で研修、研鑽をしていったらいいのかというなかなか悩ましい問題がございます。こういった実情を踏まえまして、よりきめの細かいサポートをしていきたいということで、平成14年度にはこのレジュメの黒ポツ、2番目、3番目に書かせていただいたような事柄、すなわち1つは、必ずしも司法研修所で研修の対象者に予定していない方でありましても、弁護士から任官された方については、御希望を伺って、希望があればそういった研修に参加していただくという道を14年度から開くようにいたしました。
 主として初めて特定の分野の事件処理を担当する裁判官に向けて、司法研修所でビデオ教材の作成を始めました。こういったビデオ教材も、弁護士任官の方にも視聴していただいて、円滑な職務への導入を図っていきたいと考えております。
 今後とも弁護士任官者の意見とか要望を十分伺いながら、早期に裁判官の職務に習熟できるようにしていきたい。これはOJTの面、OFFJTの面、双方から工夫、配慮していただきたいと考えております。
 次に(2)ということで、弁護士任官者の配置の在り方について工夫をしているところを御報告したいと思います。
 レジュメの1枚目の下から2枚目にかけてでございます。考えてみますと、同じ法律家とは言いましても、弁護士としての活動と裁判官としての職務との間には相当の隔りがございます。ですから、弁護士としての経験を生かしまして、裁判官としての職務に習熟していただくためには、任官後、しばらくの時期にどういった職務を担当してもらうのか。これが非常に重要になってこようかと思っております。こういった観点から、弁護士任官者御本人の希望であるとか、その方の弁護士としての経験の内容、あるいは受入れ庁の実情等も考慮いたしまして、任官当初の配置を決定しているとろでございます。
 具体的にはレジュメの黒ポツに書かせていただいたようなことでございます。
 3番目といたしまして、既に御案内のとおり、昨年8月に調停手続の分野に、いわゆる非常勤裁判官制度を導入することに向けまして、日弁連と最高裁で協議し、合意が成立したところでございます。この制度を導入することは、弁護士任官の推進のための有力な方策になるものと期待しております。裁判所いたしましては、この制度が法制化され次第、できるだけ早く実行できるように、その準備を整えていきたいと考えている次第でございます。
 それから、最後(4)ということで書かせていただきましたけれども、平成14年度におきましても、弁護士任官推進に向けまして、レジュメ記載のとおり、日弁連との連携、協力関係の強化にも努めているところでございます。
 今後の方針ということになりますけれども、資料2をごらんいただきたいのですけれども、最高裁といたしましては、昭和63年からこの弁護士任官を積極的に進めていく必要性を認識いたしまして、今日までやってまいりました。この昭和63年から今日までちょうど15年間になるわけですけれども、この間の弁護士から裁判官への任官者は、この資料2の真ん中の右端、総計欄に記載されているとおりでございます。合計しますと、判事47名、判事補10名、合計57名の方が任官されております。年平均いたしますと、4名弱ということになろうかと思っております。
 裁判官に任官するという点の障害事由等につきましては、資料4をごらんいただきたいと思いますが、これは弁護士から裁判官に任官された方々の感想や意見などを最近の弁護士会の会報などから拾い上げたものでございます。これをごらんいただければお分かりいただけるかと思うのですが、受任事件の引継ぎの関係であるとか、顧問先や依頼者との関係の清算をどうしたらいいのかとか、事務所経営上の問題が指摘されることが多いように思われます。
 そのほかに、担当職務に対する不安であるとか、任地や収入に対する不安などを上げておられる方々もおられます。
 また、その下に任官しての感想というところも記載されていただきましたけれども、一番下の黒ポツをごらんいただきますと、現在、裁判所は弁護士任官を裁判官制度の中に位置づけようと本気で考えており、やる気のある人が来れば、やりがいのある仕事を早くからやらせてくれると思いますということで、今後に続く方々へのエールがここで交わされているのかなと思っております。
 裁判所といたしましては、今後裁判所が国民から負託された職責を十全に果たしていくためには、その要請に応える優秀な人材を弁護士等から多数確保して、給源の多様化、多元化を図っていく必要があると考えております。
 また、この方策は、特例判事補の段階的解消を始めとする判事補制度の改革でありますとか、判事の大幅な増員、それから裁判官の専門性の確保等の人的基盤の整備を実現するためにも、非常に重要な基盤になっていくものだと思っております。
 最高裁といたしましては、今後ともより多くのすぐれた弁護士が裁判官を希望されるよう、日弁連と連携・協力をしなから、この弁護士任官の推進に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 以上でございます。

【伊藤座長】それでは、引き続いて小池審議官お願いいたします。

【最高裁(小池審議官)】引き続きまして、特例判事補の見直しについて御説明申し上げます。お手元の資料2月18日付「特例判事補制度の見直しについて」をごらんいただきたいと思います。特例判事補と申しますのは、裁判所法では、判事になるためには、10年の判事補経験が必要だとされております。これは弁護士も学者の場合もそうでございます。この特例判事補制度というのは昭和23年に判事補の職権の特例に関する法律によって創設されたものです。裁判所法ができましたのが昭和22年でございますので、その翌年に誕生した制度ということでございます。
 この特例判事補制度につきましては、レジュメの1にありますように、審議会では、計画的かつ段階的に解消すべきであるという方向性が提言されました。ただ、こういった方向性を実現していくためには、判事の増員、それからこれに対応するため弁護士等からの任官の推進が必要であるということが掲げられているわけであります。裁判所としまして、この審議会意見を踏まえて、具体的方策を検討し、進めてまいりたいと考えております。
 ただ、ここにありますように判事の増員、あるいは弁護士任官の推進といった条件整備を見ながら、また、その現状において特例判事補が後に申し上げますように、非常に大きく役割を果たしておりますので、現実的な視点に立って、段階的にこの制度を解消していくという方針で進めてまいりたいと考えております。
 そこで特例判事補の現状について申し上げたいと思います。2に記載してございますが、特例判事補は全国でいろいろな事件を担当しているわけでございます。このレジュメの後ろの方に資料1という色刷りの円グラフがございます。その配置状況を本庁、支部別にまとめたものでございます。現在、特例判事補は403で、全国各地におります。本庁に約270、支部には約130人という配置になっております。その約130人のうちの20人は、いわゆる離島、遠隔地などの1人支部というところに勤務しております。ちなみに1人支部というのは、全国で65庁あるわけでございます。そのうちの20人です。また、離島は6つあります。そういうところに判事補は行っているわけでございます。
 それから、資料2にありますように、約400人の特例判事補は集合図のようなものがございますが、そのうちの約300人が単独の民事・刑事の訴訟事件を担当しているということでございます。
 各庁に配属されました特例判事補は、こういった民事・刑事の単独訴訟事件等を中心に担当しているわけてございますが、そのほか本庁でもそうですし、支部等に参りますと、民事執行事件、破産事件、あるいは家事調停事件、少年事件等、いろいろな事件を同時に担当しております。
 例えば一人支部といったところの実情を申しますと、例えば今おりますところでは、佐渡、長崎の厳原、これは対馬でございますが、鹿児島の名瀬支部、これは奄美大島です。こういうところにおるわけでございますが、こういったさまざまな事件を担当するとともに、ここは一人でございますので、夜間令状事件というのは24時間体制になります。そういったものを電話がくればすぐ起きて対応するという、言わば24時間体制で地域司法を担う役割をしているわけでございます。このような勤務条件の厳しい地に裁判官を配置するというのは、最高裁としてはなかなか人事上は難しい面がございます。
 例えば判事に任官する年齢、大体30代後半から40代になりますと、学齢期の子どもの教育、あるいは親の介護といった事情を有するものが非常に増えてきます。特例判事補は30代前半のものが多いわけで、比較的こういった支障が小さいということで、ひとはだ脱いでくれということで離島・遠隔地の裁判所の赴任を引き受けてもらっている。特例判事補もこういうところへ行きますと、一人で事件をやりますので、非常に張り切って赴任しまして、地域の信頼も、若いけれども、いい裁判官が来ているということで、かなりよくとけ込んで、公私にわたって地域の方と交流しているようでございます。
 判事補の育成の流れについて関連して申し上げますと、判事補は任官しますと5年間、合議事件の左陪席、あるいは少年事件等を経験して、特例判事補となりますと、赴任庁の状況に応じて、今申し上げたような各種事件を担当しているわけでございますが、各庁からしますと、訴訟事件の負担が重いですし、事件数も増加傾向にございますので、民事・刑事の単独訴訟事件を担当する傾向が強いわけでございます。
 審議会におきまして、こういう方向性を出されたわけでございますが、やはり私どもとしまして、特例判事補が担っている職務の中で、その見直しの方向性としては、民事・刑事の訴訟事件の単独処理について見直してまいりたいと考えております。
 訴訟事件は裁判所の中でも最も重要な手続であります。その単独事件の処理というのは判事が行うというのが裁判所法の原則でございますので、そこを見直してまいりたいと思います。
 この見直しを行っていくためには、ただいま弁護士任官のお話がございましたけれども、特例判事補が行っている仕事を代わって担当する判事の確保が必要条件です。その判事を得るためには、やはり早くそこを解消していくために、弁護士任官の実績の向上というものが必要不可欠ということであります。
 そこで今、弁護士任官の実績、あるいは今後の見通しというものを考慮しますと、その段階的解消の現実的な方策としては、任官6年目、7年目の特例判事補による単独の訴訟事件の担当から見直していくということが第1ステージだろうと考えております。資料2のところで、集合図の中で、ピンクに塗りました6年目、7年目の特例判事補、約90人が単独訴訟事件を担当しているとありますが、まずここが最初の目標ということでございます。
 それに代替する判事の人数の確保、それから支部勤務の実情が先ほど申し上げたようなことでございますので、まず、都市部の裁判所から見直しをし、それから条件整備の状況、特に弁護士任官の実績を踏まえて、見直しを推進してまいりたいと思います。
 支部等の見直しにつきましては、ここに判事が赴任するということでございますので、今後弁護士任官者の支部への勤務、転勤といったことも考えていかなければなりません。今のところ弁護士任官者の勤務地につきましては、優遇措置がございますが、ここもやはり今後は考えていかなければならないということになるわけでございます。
 更にこの集合図で400人の特例判事補を見直していくとなりますと、これに代わる判事を確保していくということでございます。
 現在、裁判所はこういった特例判事補の見直しという課題のほかに、審理を充実する、専門化に対応する、迅速化する、事件増に対応するということで、これも判事が必要だということでございますので、こういった政策的課題を推し進めながら、特例判事補の見直しを進めていく必要がございますので、この特例判事補の見直しという問題について、ある程度の時間を要するということは御理解いただきたいと思います。
 それから、もう1つ補足させていただきますと、特例判事補の見直しというのは、判事補から判事の養成の問題とも関連してくるわけでございます。やはり10年間で判事補をどういう力のある判事に育てていくかということがございますので、特例の付く前の判事補がどういう仕事をし、特例が付いてからどういう仕事をするのか。その特例判事補の仕事の見直しということも、判事補をどのようにトレーニングしていくかということを視野に入れた中で検討していく必要があると思います。そういった意味で司法研修所の一部というところで、判事補の研鑽の在り方も検討しておりますが、そういった問題と関連してくることになります。
 具体的に申しますと、今後、特例判事補の職務を見直していく場合には、地家裁で申しますと、民事・刑事の訴訟事件の合議事件を中心とする、特に専門的事件、大型事件の主任というものを見てくれというのではなくて、むしろ5年以上経験した力のある判事補が主任としてやっていくということが考えられますし、破産・民事執行、家事調停、少年等の事件も難しさが増しております。こういうところで活躍してもらうとうことが考えられます。
 また、簡裁においての民事・刑事の訴訟事件、調停事件の担当ということも考えられると思います。
 また、今後判事補の多様な経験ということについても、この検討会でも御議論いただきますが、そういった多様な経験のタイミングをこの特例判事補の時代に考えていくということも1つの方策だろうと思っております。
 最後に、4というところになりますが、繰り返しになりますけれども、特例判事補の見直しを実現していくに当たっては、全国的な司法サービスと申しますか、そういったものを維持・向上させつつ、裁判所の戦力を確保しながらこれを進めていくということが重要でございます。
 この問題は、これまでも申し上げました裁判官の人的体制の充実の問題、あるいは弁護士任官の促進の問題と、一体不可分の問題でございます。
 最後に繰り返しになりますが、民事・刑事の単独訴訟事件を担当する実力を備える判事の確保、特にその給源として、特例判事補以上の力を備えた弁護士任官者の確保がまず第1に必要であるということになります。
 第2に、全国的な司法サービスの維持、向上という観点から、大都市以外の裁判所、特に支部配置の特例判事補に代替する判事の確保が課題になります。そのため、人事配置のありよう、弁護士任官者の配属の在り方について、今後検討していく必要があるということを最後に申し上げたいと存じます。
 以上でございます。

【伊藤座長】どうもありがとうございました。それでは、ただいまの日弁連、最高裁からの御説明について、まず御質問をお願いします。どうぞ木村委員。

【木村委員】いろいろ質問があるのですけれども。

【伊藤座長】余りまとめてなさらないで、切ってお願いします。別の方にもお聞きしますので。

【木村委員】金井参事官の方の特例判事補と、今の弁護士任官のところでございますが、御配布いただきました資料の2ページのところに「3 今後の方針」というのが下の方にございまして、そこに裁判官の給源の多様化・多元化を図っていく必要があって、弁護士からの任官を積極的に推進していくという全体の流れになっているわけです。そこで今の特例判事補の問題がいろいろ出てくるのですが、ここにも絡んでくるのですが、特例判事補の問題で1つだけ最初にお伺いしたいのは、特例判事補というのは、今、小池審議官からのお話をお伺いしていても、非常に仕事が大変と言うか、要するに裁判官と同じ仕事をしているわけですね。そういう意味では特例判事補というのは簡単に言うと判事だと思います。そこで、特例判事補の給与のスケールというのは、判事補のスケールなのですか、それとも判事のスケールでいいのですか。

【最高裁(金井人事局参事官)】判事補としての報酬を得ているということでございます。

【木村委員】そうすると判事補のスケールのサラリーで判事の仕事をしているということになるわけですね。同一労働、同一賃金ということからすると、特例判事補の方々は、要するに判事補のサラリーで判事の仕事をしているわけですね。

【最高裁(金井人事局参事官)】はい、一人で単独訴訟事件を持てるということに非常に魅力を感じておりまして、皆さん一生懸命励んでいるというのが実情でございます。

【木村委員】魅力を感じていても、それに見合った給与を出すように、これから考えなければいけないと思うのです。
 しかし、実際問題として、判事の定員を増加させていくということは、これは予算措置の面で非常に大きな問題で、つまり判事補と判事のサラリーのスケールは大幅に違うわけですね。基本的には判事の方が多いわけですね。そうすると、10年経って判事というシステムの予算が組まれているわけですね。
 ですから、例えば私が素人として見ますと、6〜7年でこれだけの仕事をやっていれば、もう判事にしてしまっていいのではないでしょうか。そして将来構想としては、判事補の制度を見直すと言いましても、実際上弁護士任官がそれだけどんと増えるというわけにもいきませんし、ここで判事にすると、つまり10年ではなくて、法律を改正して7年ぐらいで判事にするというシステムにした場合に、財政の破綻などは起きる可能性はないのですか。判事の数が必要になってきますね、今、これで見ましたらすごい人数がいますね。そこら辺のことも踏まえて、私の今日の質問の1つは、将来構想で判事補であっても判事と同じような仕事をしている人に、経済的保障を十分に考えるということと、それからそういう方々が将来、諮問委員会もできることですので、必ずしも10年ではなくて、7年とか8年とか、そこら辺でフルタイムの仕事にするような方向も予算的に考えられるのかどうかという2点について最初にお伺いしたいのです。

【伊藤座長】どうぞ、小池審議官。

【最高裁(小池審議官)】私の方から申し上げますと、これはここでも御議論いただきたいと思うのですが、特例判事補の問題は、今後非常に専門化した非常に難しい事件があるという中で、判事の職務のありようをどのように考えていくかという問題とも関連してくると思います。特例的な措置ということで、特例判事補制度ができて、現在非常に頑張っているわけでありますけれども、これからの裁判制度を考えていくときに、確かに頑張っていますけれども、制度からいきますと、弁護士10年、検察官10年、裁判所法はそのようにできております。確かに5年経って判事と同等の職務をやっているということについて、経済法則から考えるということもあるでしょうけれども、では、そういった実情を踏まえながらどのように制度を考えていくのかということは、またもっと違う視点からも考え得るのではないかと思います。ここでも御議論をいただきたいと思いますし、また審議会でもいろいろな議論を踏まえた上で1つの方向性が出たわけでございますので、それを踏まえて私どもとしては、また考えてまいりたいと思っております。

【木村委員】是非お願いしたいと思います。
 第2点で金井参事官にお伺いしたいのですが、資料「弁護士任官について」の2ページのところなのですが、弁護士からの任官を積極的に推進する背景に、私は裁判官の給源の多様化・多元化を図るということで、これは弁護士任官だけを本日は取り上げていますが、例えば学者任官です。裁判所法などを見ますと、学者につきましても、10年で裁判官になる資格を有するということになっているようでございますので、キャリア裁判官ではない、いろいろな経験を持った学者任官についての積極的な推進を最高裁は正面から取り組んでいるのかどうかという点です。
 現在までのところ、学者任官というのは、いろいろな方々が積極的に学者として判事になられたようにお伺いしておりまして、その実情は、何人ぐらいの方々が学者任官をされておられるのでしょうか。そして今後、ロースクールその他ができて、いろいろな法律学の教授のニーズが増えると思いますが、積極的に学者任官のことも考えていかないと、多元化する給源は、弁護士任官だけでは不足するのではないかという気がするのですが、いかがでございましょうか。

【最高裁(金井人事局参事官)】方向性としては、今、木村委員が御指摘のとおりだと思います。では、学者の方々が実績としてどの程度裁判官になってきているのかというところでございますけれども、私の経験からいたしまして、ここ10年間取り上げてみますと、2人が裁判官に任官されているというような実情でございます。非常に少ないではないかというお感じもあるかもしれませんけれども、これは法科大学院が本格的に展開していきますれば、実務を意識した教育も行われていくだろうと思います。そういった中で、もう少し法科大学院の教員などから裁判官に転身を図られるという人たちも増えてくるのではないかと期待しているところでございます。

【木村委員】例えば弁護士任官については相当積極的にキャンペーンをやって、最高裁としても日弁連と合同でいろいろな取り決め、その他をやっていらっしゃるようですが、何か学者任官についての特別なキャンペーンというのは現状ではやっているのでしょうか。

【最高裁(金井人事局参事官)】特にそういうことはしていません。

【最高裁(小池審議官)】やはりシステムとしては、裁判所法42条というのは、アメリカ流のなるべく広いところから裁判官の人材を得ようというもので、その異なった経験、キャリアを持った人がぶつかっていくことによって、裁判というのは、いろいろな常識に基づいて1つの判断をしていこうという世界が理想とされている思想に立っていると思うのです。
 ところが、これは今回の法科大学院構想というのも大きな課題だったのですが、実務と大学との教育というものに乖離があったと、非常に理論的な教育を研究されるのが大学、それが実務との架け橋がなかったわけですが、こういう場合に幾ら笛を吹いても、実務家としてのスキルというものがないとなかなか裁判官としてやっていきにくいところがありますので、そこは政策として強力に推し進めていく、言わば素地がなったということになると思います。
 ただ、これから法科大学院ということで、実務を視野に入れた教育というものができていけば、やはりここの領域というものも、やはり多様性・多元性というところの素地を成すものとして、また別の光が当たってくると思いますし、また私たちはそこは政策課題として浮上してくるのではないかと考えております。

【伊藤座長】それでは、先に釜田委員お願いします。

【釜田委員】日弁連に質問なのですが、このシンポジウムの記録を拝見いたしますと、ここで任官推薦手続と、推薦という言葉を使っていらっしゃいますが、同時に拝見しますと、そこでは任官の意思表明という個々の弁護士からの意向と言いますか、任官の御意思がありますかというようなアンケートも取っていらっしゃいます。
 日弁連は、現在、これからも本当に適任者を本人の御意思とは無関係に、例えば弁護士経歴10年以上の方の中から、この方は適任であると、同僚の中でもなっていただきたいというような方、いわゆるイギリスの裁判官誕生過程でやっていますような、ああいうことまでなさろうとお考えになっていらゃるのか。
 先ほどの御説明を伺いますと、希望者を募り、それも数年の間お勤めいただくと、そして元の弁護士のお仕事に戻られることをいろいろ手当てするという御説明がございましたが、その点はいかがでしょうか。

【日弁連(川中副課長)】アンケートを弁護士会が取る場合に、自分はなれなくても、この人は適任だと思う人の名前を書いて欲しいということで、そういうアンケートの取り方はしております。
 それで、私は京都弁護士会ですから、どうしても京都弁護士会の例を出してしまいますけれども、京都弁護士会は330人ぐらいの会員でアンケートを取りますと、この人は裁判官にふさわしいのではないかということで、相談したわけではないのに、A弁護士ならA弁護士の名前が何人かから載ってくるということはあります。そういうことを理事者なり推薦委員会なりが、先生はこんなに推薦されていますということで、是非みんなからも期待されているのだから是非お願いをしますというような説得活動をしてなってもらうということはあります。
 ただ、本人が希望しないのに、推薦してしまって、いい裁判がやれるのか。いやいや裁判をやっていたら、これは裁判を受ける当事者がかわいそうですから、やはりそこに本人の自発的な意思というのが介在するということが必要だと、私は思っております。

【釜田委員】ただ日弁連の御方針としては、ここにも法曹一元というようなことを繰り返しおっしゃっています。本当にそれをお考えであれば、今、おっしゃいましたように、個人の意思に関係なく、同僚からそういう推挙を受けた方は、積極的にそこで裁判官になるべく方向転換をしていただくということはどうですか。そこまで本当にお考えになっていらっしゃるのですか。

【日弁連(川中副会長)】そこまでいかなくても、私はあと1、2年すれば、任官希望者は、今までよりもたくさん出てくる可能性はあると思うのです。他薦がたくさんある場合であっても、家庭の事情もありますし、個人的な事情、事務所の事情等いろいろありますから、任官していくための障害となっているような事務所の問題、事務員さんの問題というのは、本人がその気にならなければ解決しにくいとも思いますので、やはり本人がその気になってもらうということが介在しないといけないのではないかと思います。
 いやいや裁判官をやるというのは、かわいそうだと私は思いますので、やはり自分が弁護士任官者としての特質を生かして、精一杯頑張ってみようというようなことでないと、押し付けられて裁判官になるということではまずいのではないかと思います。

【伊藤座長】では、中川委員お願いします。

【中川委員】小池審議官に、ちょっと教えていただきたいのですが、特例判事補の制度というのは、先ほどの御説明では、昭和23年からもう55年間続いてきたということですが、要すれば特例判事補というものが、裁判所の中でそれなりに根づいて戦力化されているのではないかという気がするのです。具体的にも、若い人があちらこちらで非常に活躍されているのが実態だとすれば、なぜ特例判事補制度をやめなければいけないのか。審議会意見は、そう言っているのですけれども、せっかく55年間根づいて若手を活用しているということであれば、それでいいのではないかと思います。それを改善するという面は必要かもしれませんけれども、段階的に解消しなくていいのではないかという根本的な疑問があるのですが、その点はどういう説明になるのですか。

【伊藤座長】小池審議官お願いします。

【最高裁(小池審議官)】これについては、いろいろな考えがあります。裁判所の中でも、今、中川委員から御指摘のようなお話もあります。
 ただ1つ考えていくときに、先ほども申し上げましたけれども、今までの事件と、それから最近の事件とでは中身の難しさというのが随分違ってくると思います。これから裁判所としては、オールラウンドの裁判官というのを1つの理想像として目指してきましたけれども、やはりもう少し専門性を持った形に取った方がいいだろうし、今、単独事件でやっている事件についても、やはり三人寄れば文殊の知恵ではありませんが、合議事件というものを充実していくという1つの方向性もあるわけでございます。
 そういったことを諸々考えていったときに、今、確かに運用としては5年目で単独事件をやってもらっておりますけれども、その時期は合議事件を担当して、非常に手強い事件についての主任というのは、単独1件やるよりも何十倍の力が付くというところがございますので、そういうものとして事件を担当していくというのは、それは裁判官として力を付けていくという意味からも意味がありましょうし、何よりも今求められている裁判とか、専門性とか、妥当性といったものについて国民のニーズにも応えていけるようなシステムを作っていけるのではないかという考えが根底にございます。そういう意味で、段階的に私どもとしては後ろ倒ししていくということでございます。
 それについても、先ほど申しましたような政策の前提となる条件があるわけでございます。そこから先、単独事件をどういう形で担当するのがいいかどうかというのは、そういった条件が整った段階で、再度いろいろな形で考えていけばいいのではないかと思っております。

【伊藤座長】中川委員、続いてお願いします。

【中川委員】今の御説明では、特例判事補を廃止するという議論にはつながらないと思います。専門性を高める経験は必要だという御説明は分かるのですけれども、だからといって廃止せねばならないという理論的なつながりはないと思うのが一つ。
 もう一つが、能力という要素を全く無視されているのではないかということです。つまり、5年目になれば、全員が能力があろうがなかろうが、特例判事補になることも何か変だと思うのです。能力がなければ、特例判事補にする必要もないと思うのです。それから10年目に全部を判事にすること、これも何か変ですね。能力がある人は、もっと早く判事にすればいいと思うし、ない人は10年経ってもしなければいいと思います。その辺がどうも能力要素というものを全く無視した、一種の年功序列みたいな感じがするのです。
 何か特例判事補制度そのものを解消するということと、今の経験なり、能力を高めるということとの関係とか、あるいは能力そのものをどう評価するのかという問題とか、その辺の問題点が何か整理されているのか、されていないのか、今一つよく分からないという感じを私は持っているのですけれども。

【最高裁(小池審議官)】これもなかなかお答えするのが難しいのですが、これは審議会でもいろいろ議論があったところですが、要するに裁判するということは非常に大きな権力を行使するものでありますので、それは実務家としての10年のキャリアというものを経たところで、判事としてそういう権限を行使できるというのが裁判所法の原則であろうと思います。
 55年前の話ですけれども、特例措置として推移してきたけれども、それは判事が足りないという1つの条件によるものでした。これから判事、裁判官も数多く養成していこうということがあり、そのベースとしては迅速化とか、専門性というものがあります。そのときに特例判事補制度というものをどう考えていくかという議論で、そういう方向性が出されたと思いますので、私どもはそれを踏まえて考えています。
 もちろん、中ではいろいろな議論があったということは申し上げておきたいと思いますが、短い時間の中での御説明でございますので、合点がいかぬとおっしゃっるかもしれませんが、私どもはいろいろ議論を踏まえた上で、段階的にそういった中期目標を立て、その後のことはまた考えてまいりたいということで検討を進めているわけでございます。

【伊藤座長】どうぞ、中川委員。

【中川委員】だから、特例判事補制度を廃止するのであれば、裁判所法42条、要すれば、10年経たなければ判事にできないという制度も同時に廃止すべきではないかという感じがするのです。そうすると非常に整合性が取れると思います。では、何でもって判事にするかと言うと、それは適正な人事評価です。今、お考えになっていますね。一応10年目を目途とするとしても、適正な人事評価というもので判事にするか、しないかを判断するのだというのであればすっきりした感じがするのです。これは一種の意見になるかもしれませんけれども。

【最高裁(小池審議官)】現行の制度も最低限10年以上の経験を要するというシステムだと思うのです。

【中川委員】10年ではなくてもいいというシステムにできないのかということです。

【最高裁(小池審議官)】それは任期が10年でございますから、任期と判事登用というところは論理的必然はありませんから、そういうシステムはあり得ると思いますけれども、今は10年以上のキャリアがあるというところから判事を任命していこうというシステムでございますので、10年経ったのでフリーパスで判事にするというシステムではないと思います。
 指名諮問委員会というのは、そこは一つ外部の目を入れて適正な任命、再任ということをやっていこうということに立っておりますので、今、中川委員のおっしゃったところと齟齬がある考えに立っているものではないと考えております。

【平山委員】特例判事補制度の廃止問題全般についての私の質問、意見は、後ほどまとめて述べさせていただきますが、取り敢えず、中川先生の判事に関するただいまのご意見については、この時点で、関連発言をさせていただきたいと存じます。
 私は、判事の要件については、基本的には、小池審議官のご発言に賛成する立場です。判事は、国家制度、とりわけ、司法制度の中で、その根幹をささえる重要な役割を担うものだと思います。そのため、世界的にも、判事たる者、単に聡明であるだけでなく、社会的に十分な経験を積んだ人物でなければならないというのが、ほぼ確立された期待される判事像だと思うのです。歴史的にみても、例えば、16世紀の「カロリナ法典」において、判事の要件として「敬虔で、廉正で、聡明であるだけでなく、社会的経験のある人物でなければならない」と謳われていたと思うのです。勿論、当時と現在では、裁判の手続構造には大きな違いがありますが。
 そういう意味で、現行の裁判所法が判事について、10年の経験がある者の中から任命するという仕組みは、極めて意義深い制度であり、堅持すべきであり変えるべきではないと考えます。その点だけは、ここで申し上げさせていただいたわけであります。

【伊藤座長】そもそも我々にとってのあるべき裁判官像がどうであるべきかということになりますと、また根本の議論に戻るわけですけれども、しかし、一応当検討会の任務ということで意見書で言われていることを踏まえて検討していただいた結果を報告してもらっておりますので、もちろんどうしても議論の背景にそれぞれの裁判官像の在り方というのはあることは間違いないけれども、直接の御議論はやはりそこに絞ってしていただきたいというのが私からのお願いであります。
 では、奥野委員どうぞ。

【奥野委員】今の座長が言われたことに関してなのですけれども、ほぼ1年と少しですが、この検討会に参加してきて、率直に言って非常に違和感を感じているのです。これは多分法曹界の慣習なのかもしれませんけれども、普通こういう何らかの意味での、有識者とか、いろいろな関係者を集めて委員会を開くときには、結論にある程度縛りがあるというのは分かりますけれども、結論はもう決まっていて動かせないので、あとは細かい制度設計だけしなさいというような形で議論をされると、非常におかしなことが起きてきています。
 実際、ひょっとしたら縛りとしてかかっていること自体がおかしいかもしれないわけですね。そこに対して疑問が出てきても何も言えないというのが、民主主義の世の中であっていいものなのかと、別に縛りを無視しなさいということを言うわけではないのですが、この検討会は余りにもそこの部分が厳し過ぎるということです。
 これでも私は結構いろいろなところの審議会に出ておりまして、極端に言えば、最近の審議会では、委員の方が全部最終的な報告の論調から方針から全部決められているところもあって、それが本来は司法制度改革審議会の役目だとは思いますけれども、そういう意味でセカンダリーな検討会だとは思っていますけれども、それにしても少し厳し過ぎるのではないかと思います。
 やはり、いろいろな意見が出てきたときに、それが本来の改革審議会の意見と違うからと言って、それは押しとどめないで、こういう意見もあったのだということを取り分け顧問会議に戻していただくということをしていただけないかと考えます。
 それで今みたいな意見が出たときに、検討会の全体の論調が、お一人だけの御意見であれば別ですけれども、多数の意見として、私はセカンドするのですが、年功で10年で決めてしまうと、50年前であればそれは意味のある制度だったかもしれないけれども、今や官僚だって、国立大学だっていろいろ変わりつつある時代ですから、そういうような意味でも、そういう方向性というのは議論すべきではなかったのかと、あるいは今からでも可能性があるならば議論するべきではないかと思います。
 そういう意味で、御迷惑とは思いますけれども、座長の御責任で少し顧問会議の方に、これは私と中川先生だけの御意見であれば、もちろんしょうがないことですけれども、もし多数の意見であれば是非そういうことを申し上げていただけないかと思います。

【伊藤座長】今、おっしゃったことは、私も納得できまして、この場で多数ないし有力に出された御意見を、別に全員の総意という意味ではありませんが、こういう意見がありましたということは何らかの形でお伝えをするということは当然あるべきことでございます。
 ただ、このようなことばり言って大変恐縮なのですが、限られた時間の中で、ともかく課題については一応の結論を出していただかないと困りますので、それに加えて、なおこういう問題があるし、こういうことについても考えるべきではないかという御意見をお出しいただくのは結構だと思いますが、その辺りは大変奥野委員には申し訳ないのですけれども、制約条件についてもある程度御配慮いただければありがたいと思いますが。
 どうぞ、岡田委員。

【岡田委員】私も中川委員や奥野委員と同じ考えなのですけれども、弁護士任官にしろ、ロースクールができて判事補をたくさん採用したとしても、特例判事補の問題というのは解決しないのではないかという気がして仕方がないのです。弁護士を10年やった方、そういう方が判事になって本当にやっていけるのだろうかと思います。弁護士任官して退官した15人中、依願免官者が9人というところを見ても、多分私たちの想像するとおりだろうという感じがするのです。
 あと、弁護士でも10年やらないで判事補の任官希望者も、平成14年度は1人いますけれども、判事補でもどんどん若く10年経験しない方が判事に任官していただくのがよいと思います。これから100人以上の判事補を採用したとしても、やはり10年近くはかかってしまうのではないかと考えますと、判事になるために判事補10年という要件が、本当にそうなのか、裁判をするというのに、経験というのが本当に必要なのか、若くても能力のある人は立派な判決を出すだろうと考えると、やはり特例判事補の問題よりも、判事補を10年という方を変えた方いいような気がするので、中川委員に加えて、私も述べたいと思います。

【伊藤座長】もう御意見に入っていますから、御質問でなくても結構ですので、ただいまの議論についてどなたか御議論があれば出していただいて、それから平山先生にお願いします。
 どうぞ、木村委員。

【木村委員】関連ですけれども、先ほど金井参事官からお配りいただいた資料「弁護士任官の推進について」の2ページの下から4行目にある「特例判事補の段階的解消を始めとする判事補制度の改革」というのは、特例にかかっているのでしょうか。もし、判事補制度全体を何か改革しようという意味でここに出てきているとすれば、その具体的内容はどういうことなのでしょうか。私の知る限りでは、新聞情報ですけれども、矢口元最高裁長官が、判事補制度の改革が必要だということを言われたという記事が出ていたような気がするのです。そうしますと、今までの判事補制度の中での特例判事補の問題よりも、つまり判事補制度全体が問題だという、今の奥野委員の言われたような、我々の論議を超えた大きい問題になるのではないかと思うのですけれども、これはいかがでしょう。

【最高裁(金井人事局参事官)】そこだけ申し上げますと、判事補制度の改革というのは、今の特例判事補の見直しの問題と、もう一つ判事補に多様な裁判所外の経験をしてもらうという、主な構想としてはその2つを思い浮かべながらここに書かせていただきました。
 これは、また審議会の意見でも、そういうくくりになっていたと認識しております。

【木村委員】判事補制度をなくすとか、そういう意味ではないのですね。

【最高裁(金井人事局参事官)】はい、今申し上げた2つの構想が主な検討課題ということです。

【平山委員】金井参事官の御説明も、小池審議官の御説明も事実の説明としては、私は非常に的確にしていただいていると思いますので、特に申し上げることはないのですが、先ほどの問題に少し関連するのですけれども、この審議会意見書をどう実現するかという建前で、いつも、そういう観点から申し上げて恐縮でございますが、特例判事補の制度については、意見書は計画的かつ段階的に解消すべきだということを提案いたしているわけであります。そうすると、それを受けて、小池審議官に伺いたいのですけれども、何年ぐらいで段階的に解消するという計画を裁判所はお持ちなのかどうかという点についてお尋ねします。先ほどのお話は、運用改善という観点からは、こういう努力をしているという点からお聞きしますと非常によく分かるのですが、段階的、計画的解消の案としては、今日の御説明は私としては理解が困難です。
審議会意見書は、判事補制度そのものは、別に廃止しろとは言っていないと思うのです。ですから、例えば判事補を増員することと、特例判事補制度を廃止することは別の問題と思うのです。小池審議官がおっしゃるように、非常に難しい事件が増えてきております。それと迅速化法まで登場いたしまして、短期間に難しい事件をこなしなさいということになりますと、10年後には経験の多い判事が多数必要となる時代が来ると思っているのです。そうしますと、判事を倍増する必要があるのではないかと思います。今の2,000人を4,000人にもっていくぐらいのことでないと、短期間にそういう難しい事件を1人でこなすのは無理ですから、3人の合議体でやっていただくという時代を我々としては考えておかなければならない。更に、特例判事補制度は、廃止するということになりますと、一体今どういう手順を決めなければいけないか、そういうことについて、例えば現在年間100人程度の判事補の採用を年間200人程度の採用とするというようなことも1つの考え方としてあり得ると思います。裁判所は緻密にご検討いただいているとは思いますが、その計画を具体的に出していただけないだろうかという期待をいたしておりまして申し上げました。
 それから、特例判事補につきましては、もともと「当分の間」と昭和23年に法律ではなっているのです。当分の間というのに、50年というのは、いかにも当分ではありませんね。ですからそういうことも考えて、今、中川先生のお話もございますけれども、とりあえずは、特例判事補を本日御説明のように活用することによって、つまり判事としてではなくて、そのほかの部分についていろいろ活用して、裁判全体を促進するとか、そういう役割というのはたくさんあると思いますが、将来的には、審議会意見書の線にそって、計画的、段階的に特例判事補制度を解消する方向で、着実に準備を進めていただきたく思います。
 そういう立場から、現在、裁判所は、具体的に何か計画があるのかということをお聞かせいただきたいと思います。

【最高裁(小池審議官)】段階的解消というところの方策というのは、先ほど申し上げましたようなところでございます。単独事件から合議事件とか、あるいはほかの執行事件、破産事件、そういったところを担当しているということでございます。
 ただ、計画的というところは、まだ迅速化法案につきましても、これからどう進めていくかというところは流動的で、それから裁判員制度にどのように入っていくかというのも流動的ですし、それから弁護士任官ということも、これは順位の問題になりますけれども、そこもまだ見通しが立ちにくいというところですので、計画的というところにつきましては、更にそういったファクターを見ながら詰めさせていただきたいということになります。

【伊藤座長】では、松尾委員お願いします。

【松尾委員】まず、弁護士任官の問題は、私は司法改革、特に裁判官改革の中で大きな重みを持つものだと思います。弁護士任官の課題については、御説明もありましたし、それはそれとして、この弁護士任官の制度が理想的に成功するかどうか、それによって、司法改革、特に裁判官改革の成否を決めるぐらいのものになるのではないか、それぐらいの大きな問題だと私は認識しています。
 現状では、確かに人数的にも少ないでしょうが、これはおいおい増えていかざるを得ないと思いますし、先ほど御説明があったように最高裁と日弁連が協力して推進していこうというシステムを作られたということは、非常に大事なことであり、私は非常に高く評価しています。
 ただ、そういう仕組みで形を作ったけれども、現実にそれだけの量と質が、これに該当するような状況になってくるかどうか、そこのところを一番見なければいけないのですが、いずれにしても、先ほど申しましたように、弁護士任官が成功するかどうかというのは非常に大きな問題かと思います。
 これができなければ、まさに特例判事補の問題もできないし、それから裁判官の給源の問題もおかしくなってくるということで、端的に言えば、何か司法改革そのものが、揺らいでくる状況になってくるのではないかという気がします。
 そこで特例判事補の問題ですが、これを計画的、段階的に解消するという方向が果たしていいのかどうかということは、私自身も実は迷いもありまして、明確に答えられません。しかし、特例判事補がなぜできたのか、当分の間ということだったのですが、そのときの裁判のやり方、あるいは訴訟提起の件数の問題とか、そういういろいろなことを考えてやらざるを得なかったという状況がそのまま来たと、そのまま放置されてきたとは思いませんが、やらざるを得なかったという状況があったと思います。
 ところが、現時点では、そういう裁判進行のやり方も、裁判に関する質的量的変化、環境も大きく変化してきたことで、やはりこの特例判事補の問題を発展的に見直していかなければならないのではなかろうかということになった。こういう意味での計画的、段階的解消だと思うのです。
 要するにもう必要がなくなったから要らないということではなくて、これをうまく現代の裁判制度の中に組み込んでいくためには、どうすればいい形になるのかという前向きの解消ではないかと、こう考えているわけです。
 もう一点、先ほどの検討会の問題が出ましたが、私は、こういう問題は改革審議会の中で十分論議されて、そしてその結論としてこういう解消問題が提言されていると考えておりますので、検討会は、やはり検討会の場として、それをどう具体化し、最高裁の方策をどう考えていくかというところに基本的な役割があると思います。これを縛りとおっしゃる面もあると思いますが、縛りというような非常に厳格な考え方はなくて、少なくとも改革審議会の中で相当論議されて、まさに改革審の結論として提言された問題を具体化するにはどうすればいいかというところは、この検討会に与えられた役割だろうと考えますので、何も縛りに拘束されてやっているということとは少し違うのではないかという感想を持っております。
 もちろん、その過程の中でそういうことを問題点として意見を述べられることは自由であろうと思います。

【伊藤座長】では、当検討会の任務等の関係では、日弁連、最高裁に弁護士任官の推進方をお願いすると、この点は恐らく異論はないところかと思います。
 また、最高裁については、御説明があった方向で特例判事補制度の計画的かつ段階的解消に向けた方策を講じていただくこと、このこともそれがどういう意味があるかということについての認識は、委員の間で必ずしも一致しているとは言えないかもしれませんけれども、その点はその点としてお認めいただいて、先ほど数人の委員の方から御発言がございました判事補経験が必ずしも10年ではなくても、判事に任命することを認めるということを考えてもいいのではないかと、むしろそちらの方に合理性があるのではないかという御意見につきましては、弁護士任官の状況とか、特例判事補制度の解消の方策の進捗状況といったものと併せて考えてみる必要があるかと思いますが、いずれにしても貴重な御意見として何らかの形で外部に御理解いただければと思っております。
 本日のところは、そういうとりまとめでよろしゅうございますか。

【奥野委員】弁護士任官の方なのですけれども、私もこういうことが進むというのが法曹界全体にとって非常にいいことだし、裁判所の今後のためにもプラスだと思うのですけれども、先ほど川中副会長からのお話だと、1つの非常に大きな問題は、感心を持っていらっしゃる方は、実際にやってみたときにいろいろな問題が起きる可能性があるのだけれども、それがよく分からない、例えば実際に仕事がどういう中身であるか分からないとか、任官した後の処理をどうしたら分からないとか、そういうことがあるわけです。そういうことが実は学生の就職のときなどにも当然あるわけで、どの会社に決めようかというときに、実際に仕事をしてみないと分からないという話はたくさんあるわけです。そういう話をできるだけスムーズにするために最近行われている仕組みとしてインターン制度というものがあって、実際に会社に行って短期間トライしてみるという仕組みをこういう場に入れたらいいのだろうというのが私の印象なのです。その仕組みとして考えられたのではないかと私は思うのですが、非常勤裁判官制度というのがあるわけですが、ただ、非常勤裁判官制度は非常勤裁判官制度で議論されていて、弁護士任官の方は日弁連の方で推薦委員会を作って、それで推薦されるという仕組みになっていて、両者の関係を整合的に考えていらっしゃるのかどうか。むしろ、弁護士任官をする前には一度非常勤をやるのですよとか、推薦をするときに非常勤の経験というものをどう位置づけるのですかとか、あるいは希望が出てきたときには、まず非常勤をやってみますかということを聞いてみるとか、そういうことをおやりになられるような話というのはないのでしょうかというのが1点です。
 ついでにもう1点だけ、私がこういうことを言うとまたかと思われるかもしれませんが、そういう意味で言うと、もう一つの推薦委員会という仕組みが私はよく分からなくて、別に私は常に裏を悪く悪く読むせいだと御理解いただいて、聞いていただきたいのですが、さっきの学生の例で言うと、これを聞いて連想するのは、例えば医学部とかそころ辺にありそうな話でありまして、工学部などもそうですが、学生が、弁護士が最高裁というある会社に就職したいときに、何が必要かというと、指導教官の推薦が必要だという話しになって、そうすると、卒論から実験から何から、全部指導教官の言うことを聞かなくてはならないという話になりかねなくて、言わば市場として余りオープンでない仕組みになりかねないような気がするのです。そこら辺のことを最高裁と日弁連とで協議して決められたということなので、それはそれなりに見識のある方が議論されたわけでしょうから、そういう心配はないということだろうと思いますけれども、やや老婆心で少し心配をしている者がおりますので、そこら辺について心配はないのだということを説明していただけると助かると思います。

【伊藤座長】ちょっと時間の制約がありますが、川中副会長と、あるいは小池審議官、金井参事官、最高裁はいずれかの方、ちょっと御説明をお願いできますか。

【日弁連(川中副会長)】非常勤裁判官はまさに奥野委員がおっしゃったように、インターン的なものとしての試みとして始められたと私たちは理解しています。非常勤裁判官にどんどんなって、裁判所の中の空気も知って、自分も裁判官としてやっていけるという自信をつかんで、それで正式に常勤裁判官に任官するとなっていくのが一番理想だろうと思います。非常勤裁判官はこれから始まる制度で、当初は数も少ないでしょうが、やがてはそういう方向を目指していきたい。イギリスではそうなっていると聞いておりますので、そういう方向を目指していきたいと思っております。
 それから、弁護士会の適格者選考委員会の推薦委員会については、学生でいう就職のときの指導教官の推薦というものとは全然違いまして、同僚弁護士の目ですぐれた裁判官を選んでいくということとしてやっておりますので、人を裁く裁判官ということですので、だれでもいいというわけにはいかないだろうということで、同僚からも信頼され、評価も高い弁護士を裁判官に送り込んでいく、そういうシステムの1つとして、推薦委員会を機能させているのだということでございますので、そのように御理解いただきたいと思います。

【伊藤座長】最高裁の金井参事官お願いします。

【最高裁(金井人事局参事官)】奥野委員が御指摘になられた2番目の点について、ちょっと付け加えさせていただきたいと思います。弁護士任官協議の中で、日弁連と最高裁といろいろ協議したわけですけれども、その中で最高裁の方で考えていました仕組みというのは、日弁連からさまざまな裁判官としての適格性に関する資料が出てまいりましても、それだけでもって最高裁として裁判官への採否を決めようとしているわけではございません。そのほかに裁判官になることを希望している人について、実際の訴訟活動などを通じて収集された任官希望者の法律家としての資質とか能力等について、裁判官としてふさわしいかどうか、十分検証してまいりましょうということも日弁連との間で合意しております。単に日弁連からの推薦があったから、それで直ちに裁判官に採用していくという仕組みを考えているわけではございません。今申し上げたようなところも審査した上で、総合的に見て本当に裁判官としてふさわしいかどうかを審査するということで合意がされております。
 更に付け加えさせていただきますと、下級裁判所裁判官指名諮問委員会が立ち上がりますが、そこでは11人の委員により本当に裁判官に指名していいのかどうかという観点からの審査をしていただくことになっています。そういった枠組みで考えていただきたいということでございます。

【伊藤座長】どうもありがとうございます。では、小池審議官。

【最高裁(小池審議官)】奥野委員の御疑問というのは、ある意味で非常によく分かります。恐らくほかの世界から見ると、法曹界というのは変わった議論をしているのかもしれません。この弁護士任官という問題も、審議会のときもそうだったのですが、法曹一元が是か非かという一種の神学論争のような中で議論されていたきらいがあったわけです。
 ところが、一応審議会の意見書というのは、その是か非かというところではなくて、もう少しこの問題をプラクティカルに考えていく必要があるのではないか。弁護士任官というものを推進するにはどんな手立てがいいのか。もっと実際的に考えようと。非常勤裁判官というのも、やはりそういう脈絡で出てきた知恵でございますし、それから先ほど申し上げました指名諮問委員会も、そこはやはり透明化することによって、弁護士会なり、国民の皆さんが抱いていた一種の不透明感に基づく任官制度というものをもっと透明化していこうということになったと思います。
 まだ、神学論争のしっぽが付いているように見えるかもしれませんけれども、そこはステップ・バイ・ステップでここの議論を経て前に進んでいると御理解賜ればと考える次第でございます。

【伊藤座長】それでは、予定の時間ですが、10分程度延長を認めていただきまして、2月6日の顧問会議で当検討会関係の改正法案の概要を含む報告が行われましたので、事務局から説明をお願いします。

【植村参事官】かい摘んで説明させていただこうと思います。
 事務局資料の16−4をごらんください。このペーパーに基づきまして、弁護士法の一部改正について顧問会議に御報告をいたしました。この中でほとんどの項目はこの検討会で出していただいた方向性に沿ったものとなっております。2、3の点だけ指摘をさせていただきたいと思います。
 2の3つ目の○がございます。「弁護士会は、営利業務に従事する弁護士の名簿を作成し、これを公衆の縦覧に供する」というものでございます。これは実は弁護士の営業活動につきまして、許可制から届出制に移行するにつきまして、昨年4月の第3回検討会でございますが、私どもの方から営業等に従事する際の弁護士の行為規範に関する規定を法律・会則に設けることはどうかという提案をさせていただきまして、議論していただきました結果、行為規範について場合によっては、法律である程度抽象的なものを設けて、更にその具体化は会則に委ねるという可能性も残しておきたいということで御了解をいただいたわけでございます。
 その後、政府部内で議論をいたしまして、行為規範を新たに法律で規定することは今のところしないでおいて、これは弁護士会の会則に委ねたらどうか。ただ、情報公開の観点もございまして、個々の弁護士がどんな営業に従事されているのかというのは、依頼する側にとっても知っておきたい情報であると思いますので、弁護士会に従事者の名簿を作っていただきまして、どんな営業に従事されているかを国民の皆様がいつでも知りたいときに分かるような制度にしようという趣旨でございます。
 2点目は、2枚目の「(3)綱紀審査会」の2つ目の○でございます。綱紀審査会の構成人数につきましては、実は昨年の7月の第6回検討会で私どもの方から構成人数は若干人とする、そして、具体的には日弁連の会則で定めることはどうかという提案をいたしまして、この検討会で御了解をいただいたわけでございます。
 ただ、同じ日に懲戒委員会の審査に付することを相当とする議決につきまして、議決の要件についての議論をしていただきました。過半数にするのか、3分の2以上の多数にするのかという議論でございました。
 そのときに、3分の2以上の多数による議決とすることを支持された委員の方から、そうなった場合には、5人程度の委員数は相当でないという御意見がございました。その際、日弁連からも、今のところ10名ないし15名という人数を考えている、検察審査会の11人というのはよく考えられた数字であり、参考になるという御発言もあったわけでございます。
 皆様、御承知のとおり、その後、この件につきましては、3分の2以上の特別多数ということになったわけでございまして、その後、私どもでもいろいろと検討させていただきました結果、先ほど御紹介いたしました委員の御意見等を踏まえますと、このような特別多数による議決が不自然でない委員数を、むしろ法律ではっきりと決めておいた方がいいのではないかということになってまいりまして、11名とさせていただいてはどうかということでこの顧問会議に対する御報告になっております。
 あと(4)に「異議の申出及び綱紀審査の申出の期間」、これは検討会では御議論をしていただかなかったわけでございますが、重要な点でございますので、法律ではっきり書いておこうということにいたしております。
 以上が検討会で議論された当時と比べ変わっている点でございまして、ここで改めて検討会でも御了解をいただきまして、この方向で私どもとしては更に法案作成作業を進めたいと思っております。
 それから、資料16−3でございますが、これが民事調停制度・家事調停制度における、いわゆる非常勤裁判官制度の関係でございます。これは先ほど来、関係機関からもお話がございましたが、最高裁、日弁連からお出しいただいた制度の骨格、これは昨年の9月の検討会で出していただいた訳でございますが、すべてこれに沿いまして、制度設計を進めております。
 私からは以上でございます。

【伊藤座長】続いて小林参事官、お願いします。

【小林参事官】それでは、私の方からは、先ほどの資料に戻りますが、資料16−4「弁護士法の一部改正について(概要)」の「1 弁護士となる資格の特例の拡充」につきまして、補足的な説明をさせていただきたいと思います。
まず最初の○が企業法務の担当者、あるいは公務員の関係でございますが、この公務員、企業法務の担当者につきまして、まず実務経験の年数につきましては、ここにございますように、7年以上といたしたいと考えております。皆様御承知のとおり、この問題につきましては、本検討会でもさまざまな意見が出されました。10年という御意見もございましたし、5年という御意見もございましたが、最終的にはミニマム7、8年以上とされたわけでございまして、立案に当たりまして、7年とするのか8年とするのかということは、正直かなり悩んだわけでございますけれども、最終的には7年を選択したいと考えております。
 と申しますのは、7年とする場合の御懸念の点、つまり十分能力が身に付いていないものについてまで、資格が付与されてしまうのではないかという問題につきましては、適切な認定、あるいは研修を充実したものにするということによりまして、相当程度カバーできるのではないか。他方、逆に8年ということにいたしますと、十分経験を積み、能力が身に付いたという方についてまで8年まで待たなければならないという問題がございますので、これにつきましては、7年を選択させていただいたということでございます。御理解を賜りたく存じます。
 もう一つの要件でございます研修でございますが、この研修につきましては、実際の研修の実施機関といたしましては、日本弁護士連合会とすることを想定いたしております。したがって、研修の大要につきましては、本検討会で御議論いただきましたように、国が定めることになりますけれども、それにつきましては、実施機関でございます日本弁護士連合会など、関係者の方と十分協議しまして、また、その結果につきましては、改めて本検討会に御報告させていただきたいと考えております。
 以上申し上げた実務要件、あるいは研修修了という要件につきましては、これも本検討会で御議論いただいたように、国、具体的には法務大臣が認定することを予定いたしておりますけれども、研修修了につきましては、研修の実施機関から研修の履修状況を報告していただくことになっておりまして、その報告に基づき判断をしていきたいと考えております。
 次の○の国会議員につきましては、御議論いただきました方針に基づきまして、立案作業を進めているところでございます。
 私の方からは以上でございます。

【植村参事官】一言付け加えさせていただきますが、2月6日の顧問会議におきましては、この概要どおり御異論なく御了解をいただいた次第でございます。私どもといたしましては、3月上旬に閣議決定することを目標に、立案作業を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

【伊藤座長】ただいまの事務局の説明について、何かございますか。よろしいでしょうか。

(「はい。」との声あり。)

【伊藤座長】それでは、事務局には更に法改正について具体的な作業をよろしくお願いいたします。大変申し訳ないのですが、関係機関タイムということで、最高裁から下級裁判所裁判官指名諮問委員会に関する規則の制定についての報告を小池審議官、お願いいたします。

【最高裁(小池審議官)】今、御紹介のありました規則につきまして、2月12日の裁判官会議でお手元の規則どおり成立いたしましたので、御報告いたします。規則の施行は5月1日、そして、今年の秋、10月に採用される新任判事補からこの委員会が実質的な審査を開始いたします。
 以上でございます。

【伊藤座長】どうもありがとうございました。何か特にございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、この問題につきましても、今後とも適宜最高裁から御報告いただければと存じます。
 大変時間を超過して申し訳ございませんでしたが、本日の議事はこの辺りで終了にしたいと思います。次回は3月18日、午後1時30分から午後5時までを予定しています。弁護士報酬の透明化、合理化の問題について、日弁連に検討状況の御説明をお願いし、議事を進める予定です。
 それから、判事補に多様な法律専門家としての経験を積ませることを制度的に担保する仕組みの整備について、最高裁に検討状況の御説明をお願いし、議事を進めたいと考えております。
 どうも長時間にわたりまして、ありがとうございました。

以 上