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法曹制度検討会(第18回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり

1 日時
平成15年4月22日(火)13:30〜15:00

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員) 伊藤 眞(座長)、岡田ヒロミ、奥野正寛、小貫芳信、釜田泰介、木村利人、佐々木茂美、田中成明、中川英彦、平山正剛、松尾龍彦(敬称略)
(説明者) 田中敏夫(日本弁護士連合会副会長)
塚原英治(日本弁護士連合会弁護士制度改革推進本部委員)
伊藤茂昭(前日本弁護士連合会事務次長)
(事務局) 大野恒太郎事務局次長、古口章事務局次長、松川忠晴事務局次長、植村稔参事官

4 議題
(1) 弁護士の執務態勢の強化・専門性の強化−弁護士の執務態勢を強化するとともに、その専門性を強化するため、法律事務所の共同化・法人化、弁護士と隣接法律専門職種などによる協働化・総合事務所化(いわゆるワンストップ・サービス化)等を実効的に推進するために必要な方策
(2) その他

5 配布資料

【事務局配布資料】

[弁護士の執務態勢の強化・専門性の強化]
○資料18−1 司法制度改革審議会意見書(抜粋)及び司法制度改革推進計画(抜粋)

[その他]
○資料18−2 第10回顧問会議資料(抜粋)

【日弁連配布資料】

[弁護士の執務態勢の強化・専門性の強化]
○資料 ワンストップサービスの推進策について
○資料 隣接業種との共同事務所の経験
○添付資料
 ・資料1 法律事務所の共同化及び弁護士法人の現状(弁護士白書抜粋)
 ・資料2 所属弁護士10名以上の事務所数の推移
 ・資料3 事務所規模別所属弁護士数(アメリカ)
 ・資料4 弁護士数の多い事務所
 ・資料5 弁護士法人の数
 ・資料6 弁護士法人一覧表
 ・資料7 弁護士法人設立の手引き(抜粋)
 ・資料8 Q&A弁護士法人制度(抜粋)
 ・資料9 隣接法律専門職種との協働化の現状
 ・資料10 事務所内での法律関連職種
 ・資料11 第11回弁護士業務改革シンポジウム第1分科会報告・資料集(表紙)
       「隣接業種との協働による新たなステップ」
 ・資料12 東京シティ法律税務事務所(事務所案内パンフレット)

6 議事

 議事に先立ち、事務局から、事務局配布資料18-1、18-2及び日弁連配布資料について確認がなされた。

(1) 弁護士の執務態勢の強化・専門性の強化−弁護士の執務態勢を強化するとともに、その専門性を強化するため、法律事務所の共同化・法人化、弁護士と隣接法律専門職種などによる協働化・総合事務所化(いわゆるワンストップ・サービス化)等を実効的に推進するために必要な方策

ア 日弁連からの説明
 日弁連配布資料「ワンストップサービスの推進策について」、「隣接業種との共同事務所の経験」及び添付資料1から12に基づき説明がなされた。

イ アの説明に対して、次のような質疑応答・意見交換がなされた。(○:委員、□:日弁連、■:座長。)

○:弁護士の執務態勢の強化・専門性の強化をもう一歩進めて、弁護士会としてホームページ等によって利用者がどこの事務所に行ったらよいのかについての情報を提供していくという、いわゆるインターメディアリー的なことは考えていないのか。

□:弁護士会として事務所を評価することは難しいが、週刊誌等では弁護士の格付けも行われているようである。弁護士会によっては、サービスとして、各弁護士が主にどのような分野で活動しているのかという情報や、どの弁護士がどういう分野に関する研修を受けたか等の情報を公開している弁護士会もある。

○:例えば、求人情報誌のように、企業側と弁護士側をつなげる役割を担うような機関ができれば使い勝手がよくなると思う。

□:有償で弁護士を紹介することには、非弁提携等の問題もあるが、今後の検討課題であると思う。

○:日弁連は以前、弁護士の専門認定制度について検討することを打ち出していたが、現在の検討状況はどうなっているのか。また、成年後見等の社会福祉関係の事件をはじめとして、消費者の事件、交通事故の事件といった比較的少額の事件については、今後、弁護士事務所は積極的に取り組んでいくのか。

□:専門認定制度については、アメリカの制度を参考に一つのアイデアとして考えられたものであるが、日本でどのように制度化するかについては問題も多く、検討はしているがこの場で説明できる状況には至っていない。
 また、少額の事件については、少額訴訟事件や、国選弁護人事件等、公的バックアップを必要とする部分もあるが、日弁連としても隣接専門職種に限らず、他の職種と連携しながら総合的な施策を検討する必要があると思う。

○:アメリカの制度が日本と違うのは分かるが、例えばある学会でトレーニングを受けたことがその弁護士の経験としてカウントされるというようなことも考えられるのではないか。

□:東京の3弁護士会の具体的な取組として、弁理士会とも連携しながら、東京都からの要請に応える形で知的財産分野に関する研修を受けた弁護士を派遣するなど、アクセスを容易にする努力をしている分野もある。

○:消費者側からのイメージとして、個人の弁護士は費用についても融通が利くが、弁護士法人となると敷居が高いという感じがする。消費者関連事件では悪質な業者や弁護士も増えている。弁護士会で、本当に安心して相談できる弁護士事務所を専門分野ごとに交通整理するなどのシステムを作ってもらいたい。

□:弁護士会で個別の事務所を紹介することは難しいが、公設事務所は信用してもらって間違いはない。東京3弁護士会は、悪質な弁護士事務所を撲滅するための活動も行っている。
 構想段階ではあるが、東京弁護士会では、池袋に加えて北千住に総合型の公設事務所を設置して、刑事事件、クレジット・サラ金事件、弁護士任官の推進等、基本的な部分の対応を行いたいと考えている。

□:消費者のニーズに応えるために法人化、協働化している事務所もあり、いろいろな形態がある。

○:日弁連のワンストップ・サービスの推進に関する取組を高く評価したい。大事なことは、ワンストップ・サービスが進んで弁護士事務所が大型化しても、地域に根付いた個人の事務所も大事にしていくことである。利用者が一番使いやすい選択ができるシステムを考えて欲しい。

○:隣接法律専門職種とのタイアップはいいことであるが、そのことが弁護士の専門化を遅らせる原因ともなりうるのではないか。

□:例えば、同じ税金に関する問題でも弁護士と税理士の役割は分かれている。税務申告については税理士の分野であるが、国の徴税行為に関する行政事件などについては弁護士でないと対応できない。弁護士が増加する中で、新しい協力関係、新しい仕組みを作っていく必要も出てくると思う。

○:弁護士事務所は大型になればなるほどマネジメントが必要となると思う。単に個々の弁護士の集合体ではなくて、事務所全体としての報酬体系があるとか、一定の予算で一つの法律問題を請け負ってもらえるとか、大型事務所のメリットを出す必要がある。 日本の事務所もアメリカのパートナーアソシエーツのような体制になるのか。

□:日本でも渉外事件を扱う100人規模の事務所では、マネージングパートナーや執行パートナーを選任するパートナーシップ形式を採っているのが大部分だと思う。今後は、日本も依頼者側がもっと注文をつけていい時代になっていくので、それを法律事務所がどう受け止めて、どう応えていくかだと思う。

■:弁護士の執務態勢の強化・専門性の強化の問題については、本日出た意見も踏まえて、今後とも日弁連における取組をお願いしたい。

(2) その他
  顧問会議における報告について

 事務局から、事務局配布資料18-2「第10回顧問会議資料(抜粋)」に基づいて、第10回顧問会議に関する報告がなされた。

(3) 次回の予定

 次回(7月22日)の議事については、今後関係機関とも調整してお知らせする。

以 上