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法曹制度検討会(第19回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり

1 日時
平成15年7月22日(火)15:00〜16:30

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員) 伊藤 眞(座長)、岡田ヒロミ、小貫芳信、釜田泰介、木村利人、佐々木茂美、田中成明、中川英彦、平山正剛、松尾龍彦(敬称略)
(説明者) 木村 靖(日本弁護士連合会副会長)
高中正彦(日本弁護士連合会弁護士制度改革推進本部事務局長)
小池 裕(最高裁判所事務総局審議官)
(事務局) 古口章事務局次長、松川忠晴事務局次長、植村稔参事官

4 議題
(1) 第156回国会における法曹制度検討会関係の法律改正について
(2) 大学教授等に対する弁護士資格付与制度の見直しについて
(3) その他

5 配布資料

【事務局配布資料】
○資料19−1 第156回国会における法曹制度検討会関係の法律改正について(国会における修正内容について)
○資料19−2 弁護士法の一部改正 −弁護士資格の特例の拡充について−
○資料19−3 第156回国会における司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議のうち、弁護士資格の特例措置の見直しに関する事項
○資料19−4 大学教授等に対する弁護士資格付与制度の見直し 検討のたたき台(案)
○資料19−5 大学教授等に対する弁護士資格付与制度の沿革

【日弁連配布資料】
○資料 年度別登録数とその内訳(弁護士登録前の職業と資格取得事由)
○資料 弁護士法5条3号に基づく登録件数の推移
○資料 弁護士法5条3号に基づく登録請求一覧

【最高裁配布資料】
○資料 下級裁判所裁判官指名諮問委員会委員名簿
○資料 下級裁判所裁判官指名諮問委員会地域委員会地域委員名簿

6 議事

 議事に先立ち、事務局から、事務局配布資料19-1から19-5、日弁連配布資料及び最高裁配布資料について確認がなされた。

(1) 第156回国会における法曹制度検討会関係の法律改正について

① 事務局からの説明
 事務局配布資料19-1から19-3に基づき説明がなされた。

② ①の説明に対して、次のような意見交換がなされた。(○:委員、●:事務局、□:日弁連、■:座長、△:最高裁。以下、同じ。)

○:今回の修正により、弁護士資格については、司法試験合格、司法修習の修了が原則であり、その特例については、試験合格に加え、司法修習に代わるものとしてそれぞれの実務経験と事前研修が必要であるとの図式ができたのではないかと思う。国会議員自らの手によって修正が加えられたことは素晴らしいことだと思う。

(2) 大学教授等に対する弁護士資格付与制度の見直しについて

① 事務局からの説明
 事務局配布資料19-4及び19-5に基づき説明がなされた。

② 日弁連からの説明
 日弁連配布資料「年度別登録数とその内訳(弁護士登録前の職業と資格取得事由)」、「弁護士法5条3号に基づく登録件数の推移」及び「弁護士法5条3号に基づく登録請求一覧」に基づき説明がなされた。

③ ①及び②の説明に対して、次のような質疑応答・意見交換がなされた。

○:弁護士法5条3号に基づく登録請求を、日弁連が拒否したケースは様々だと思うが、一般的に言えばどんなケースが問題とされたのか。

□:弁護士法5条3号に規定する「法律学」に該当するかが問題とされた。日弁連は、同号に関する審査基準や過去の資格審査会の議決例に基づいて判断している。

○:登録請求者の著書や論文等についても審査の対象としているのか。

□:東京弁護士会においては、著作目録を提出してもらって著作物の内容も審査の対象としている。他の弁護士会についても同様の扱いが多いと思う。

○:登録時の平均年齢が61歳と高齢なのは、どんな理由が考えられるのか。

□:大学教授の方々は、定年まで学術的な研究に専念し、それを終えてから弁護士になるというケースが多いようである。

○:大学によっては教授と弁護士との兼業が禁止されていることから、現職の間は弁護士登録をしないだけであって、実力的にできる方はいくらでもいると思う。

■:事務局資料19-4の「1」の司法試験に合格していない大学教授等に対する特例措置の廃止についての御意見を伺いたい。

○:現行弁護士法が制定された昭和24年当時とは、大学の法学部の数も違っており、衆議院・参議院の附帯決議に見られるような法改正の趨勢から考えても、廃止はやむを得ないと思う。ただ、現に要件を具備しているような方については、改正法施行後の経過規定によって配慮すべきであると考える。

○:新たな法曹養成制度による弁護士資格付与制度の変化、国会での審議の過程等を考慮に入れると、この制度の廃止はやむを得ないと考える。

○:経過措置については、十分御検討願いたい。

○:50年以上前に設けられた制度は、既にその役割を果たしたと国会が判断したのだと理解している。今が制度の見直しの時期だと思う。

○:制度廃止については賛成である。ただし、廃止に伴う代替措置を検討する必要がある。

●:経過措置に関する御意見は、改正法施行時に既に資格要件を具備しているような方についてまで遡って資格を奪うことは妥当でないという趣旨であると理解した。仮に法改正を行う場合の経過措置については、今後政府内で検討していきたいと考える。

■:事務局資料19-4の「1」については異論はないということで承った。次に「2」の、司法試験に合格していない大学教授等に対する特例措置を廃止する場合、司法試験に合格し司法修習生となる資格を得た後、法律学の大学教授等の職に在った期間が通算して5年以上となる者に対して、研修を修了することを要件として弁護士資格を付与することについてはいかがか。

○:事務局の案には、改正後の弁護士法5条の2各号との並びから考えても賛成である。ただし、このような改正となった場合に、司法試験合格と研修という二重のしばりがかかることを考えると、日弁連の「法律学」の解釈は狭いのではないかと思う。法制史学、法哲学、比較法学等の基礎法学も重要であり、その点については十分御検討いただきたい。

○:法科大学院ができれば、法律学のみならず、複数の科目を教える場合が多くなるはずである。司法試験合格と研修というしばりもかかることなので、「法律学」の枠を外し、「法科大学院」の教授等とするのが適切ではないか。

○:これまでの日弁連の資格審査基準は、司法試験合格も研修もなしが前提となっていたが、改正となって司法試験合格と研修が前提とされれば、「法律学」の内容も解釈として緩やかになっていくと思う。

●:事務局資料19-4の「2」を法制化するに当たっては、従前の制度との関係もあることから、「法律学」という枠を外してしまうことは相当困難であると認識している。

○:「法律学」とすると、どうしても限定的に解釈される傾向にあると思う。「法学」とすれば基礎法学も当然含まれると考える。日弁連の資格審査の過程で、この問題が蒸し返されるのは制度として好ましくないと思う。

□:「法律学」の定義に関しては高裁の判決があり、実定法ないしはこれに準ずるものという限定解釈がなされていたが、最近の高裁の判決には、「法律学」の中身の詳細までは問わないとするものも出てきており、今後法改正となった場合には、個人的な意見であるが、日弁連として「法律学」の解釈を変えていく余地は十分にあると考える。

■:「法律学」という言葉を従来よりは含みのある概念として運用されるであろう、あるいは、そうずべきだとの御意見が大方だと思うので、その御意見を踏まえた上で、事務局の原案について御了解いただければと思うがいかがか。

○:異議なし。

■:当検討会としては、事務局資料19-4の「1」及び「2」を了承したこととしたい。事務局には、本日出された意見も参考にしながら、更に検討を進めていただきたいと思う。なお、事務局から、衆議院、参議院の附帯決議を受け、現行弁護士法第5条第2号に規定された方々についても、研修課程の修了を要求する方向で検討したいという説明があったが、特に異論はないということでよいか。

○:異議なし。是非とも実現させてほしい。

(3) その他
  関係機関タイム

① 最高裁からの説明
 最高裁から、最高裁配布資料「下級裁判所裁判官指名諮問委員会委員名簿」及び「下級裁判所裁判官指名諮問委員会地域委員会地域委員名簿」に基づいて、下級裁判所裁判官指名諮問委員会での審議の状況に関する報告がなされた。

② ①の説明に対して、次のような意見交換がなされた。

○:下級裁判所裁判官指名諮問委員会地域委員会における議論も、下級裁判所裁判官指名諮問委員会における議論と同様に、インターネットで公開されるのか。

△:基本的に同じ扱いであり、一般的な事項については公開、個別具体的な事項については非公開となると思う。

(4) 次回の予定

 次回(9月9日)の議事については、今後関係機関とも調整してお知らせする。

以 上