1. 日弁連からの説明
日弁連配付資料1−1「司法制度改革に関する日弁連の取組状況について」に沿って説明がなされた(説明内容は日弁連配付資料1−2)。これに対して、次のような質疑がなされた。(○:委員、●:日弁連)
○ 平成12年11月1日に法曹人口増加について日弁連の臨時総会において決議をしたということであるが、議決の過程で、弁護士人口増加の目標的な数字は出たのか。
● 臨時総会前の8月上旬に行われた司法制度改革審議会の集中審議において、年間の司法試験合格者を3,000名とする取りまとめがなされており、それを念頭においたものであった。
○ 弁護士過疎地域の対応を全国的に進めていく上で、弁護士会が負担する費用の見通しはどう考えているか。
● 現在は各単位弁護士会が負担しているが、将来的には地方公共団体と提携をすることも一つの選択肢である。基本的には、弁護士会で負担して進めていくということで取り組んでる。
○ 当番弁護士の体制はどうなっているのか。
● 原則として、各単位会で登録をする。あらかじめ待機する日が決められており、連絡があったら警察等に行き接見することになる。大都市は会員数が多いので、年間3,4回であるが、地方は会員数が少ないため、負担が大きい。
2. 法務省からの説明
法務省配付資料「検察官制度改革に関する法務省の取組状況」に沿って説明がなされた。これに対して、次のような質疑がなされた。(○:委員、●:法務省)
○ 検事の身分を有したままでの外部派遣制度について準備中とのことであるが、制度導入につき、どのような難しい点があったか。
● やはり、受入先の確保に苦労している。現在いくつかの受入先と交渉中である。
○ 検事の身分を離れての方策についての検討状況はどうか。
● 裁判官制度とも関係があるが、給与問題等の身分保障について、派遣された者の立場に配慮する必要があり、立法的手当が必要になる可能性がある。推進本部の事務局とも連携をとりながらこれから検討を進めていきたい。
○ 検察官倫理に関する仕組みはどのようになっているのか。
● 任官後、様々な研修が行われている。研修は相当の回数を重ねて実施しているが、今回さらに任官22年目程度の検事を対象として、「被害者から見た検察」、「警察から見た検察」等をテーマとした研修を実施した。懲戒制度については、検察官も公務員であるため、法務大臣の懲戒処分が当然にある。他方、準司法官的な立場としての身分保障があることから、検察官適格審査会において検察官としての適格性について審査が行われるという制度になっている。
3. 最高裁からの説明
最高裁配付資料1「裁判官制度の改革に関する検討状況について」に沿って説明がなされた。これに対して、次のような質疑がなされた。(○:委員、●:最高裁)
○ 平成14年度の概算要求において裁判官は45名程度増員されているが、審議会意見書にも大幅増員と書かれており、衆議院・参議院の附帯決議にも特段の予算措置を行うよう努めるとされていることからすると、もう少し大幅な増員要求をすべきではなかったか。
● 45名とは相当数の増員であると考える。裁判官増員については、最高裁としても、審議会において、10年間で500名程度が必要との試算を示した。増員必要数は、現在の事件数を前提としても、今後様々な改革がなされていき、様々な手続法の改正がどのように進んでいくのか、弁護士を始めとする訴訟活動・弁護士事務所の状況がどのように変わるのか、どれだけ審理を早くすることができるのか等と相関関係にある。今後、本部の各検討会の検討状況等を見ながら考えていきたい。今回の最高裁推進計画要綱でも、「大幅な増員」をうたっている上、本部設置期間中においても、増員をめぐる様々な状況を踏まえて、計画性をもった増員を図ることが必要であるとしており、従前の審議会の議論や意見書の内容とも整合性のとれたものと考えている。
○ 裁判官の任命手続については、どのような検討状況か。
● 現在最高裁の審議官室で内部的には検討しているが、検討会の議論も踏まえ、なるべく早く具体的な計画を立て、この場でも紹介したい。
○ 裁判官の人事評価の在り方を検討しているというが、人事の決定そのものの在り方についても検討しているのか。
● 研究会で議論しているのは評価方法についてである。もちろん、評価は人事に反映するためにするのであるから、これを踏まえて人事のシステムは考えていくことになる。
○ 裁判官の他職経験についての検討状況はどうか。
● 最高裁の人事局において内部的には検討をしているが、弁護士会等の受入先との協議もあるため、なるべく早く計画を立て、この検討会にも報告しつつ進めていきたい。
4. 最高裁・日弁連からの説明
日弁連・最高裁配付資料「弁護士任官等に関する協議会における協議の状況(法曹制度検討会における共同説明・骨子)」に沿って説明がなされた。これに対して、次のような質疑がなされた。(○:委員、●:日弁連、□:最高裁)
○ 弁護士任官は、現実の問題として、どの程度増大していくのか見えにくい。制度設計をしっかりしても任官する弁護士がどの程度いるのかという印象がある。
□ 日弁連と最高裁との協議会でも、そのような認識で精力的に議論しており、取りまとめに至っている。その実績を踏まえ、制度をのばしていきたい。
● 単に制度をつくって結果的にできないということで済む問題ではないと考えている。判事補の他職経験を実施するためには弁護士任官での補充が必要であり、これまでの弁護士任官とは位置付けが異なる。弁護士会員の認識を変えることも大事である。非常勤裁判官制度が実現すれば、これは弁護士としても十分対応可能であるから、これを通常任官のステップとするということも考えられる。
○ 東京、大阪等の大都市にばかり任官者が集中するのはよくない。
● 全国的にバランスがとれるような仕組みになるよう努力していきたい。
○ 司法制度を支える体制の充実・強化は非常に大切だと考える。全体的な法曹人口の増加について、意見書には、新司法試験の合格者数を年間3,000人とすることは、計画的にできるだけ早期に達成すべき目標であって、上限を意味するものではない旨の記載があるが、本当に3,000人必要なのか、逆にそれ以上の増員が必要ではないかというような検討が必要ではないか。
● 意見書には上限ではないとなっている。法曹人口をどのようにすべきかの問題は、いろいろな状況が複合的に関係してくる。改革によって社会のニーズがどのように変化していくか、法曹養成制度の改革がどのような実効をあげるかなどを見ながら、あるべき人数を見定めていくのには時間が必要と考える。意見書では、平成22年頃にはとりあえず3,000人を目指すとされているのであり、その後については、少し時間をおいて、今後の変化による不確定な要素がはっきりした後に議論するのが適切と考えている。
○ 計画によると、弁護士制度と裁判官制度については、弁護士会と最高裁の検討の後、この検討会に戻って必要に応じて措置を講ずることとなっているが、検察官制度については法務省の検討の後、当検討会に戻ってこないものとしているのはどうしてか。
● 政府の推進計画に盛り込まれているのは、政府による措置のみである。最高裁や日弁連は「政府」すなわち行政の一員ではないので、最高裁が規則や運用等で対応するもの、日弁連が会則や運用等で対応するものは政府の推進計画の外になり、そもそもこの計画には表示されていない。政府の推進計画の中に入ってくるのは、立法による措置があり得る部分だけである。この立法措置の可能性のある分野についても、弁護士自治や司法の独立の観点から、第一次的検討を日弁連や最高裁にお願いすることとしている。
これに対し、検察官は行政に属しているため、立法まで必要ではなく運用で対応する部分についても政府の計画に盛り込まれている。推進本部の主たる任務は法案の立案であり、運用で対応する部分については、所管の府省に基本的にお願いすることになる。検察官制度に関し運用で対応する部分については、法務省にお願いしたということである。
なお、政府の推進計画に日弁連の計画と最高裁の計画を併せたものが全体の司法制度改革像ということになる。
○ 初めに日弁連や最高裁が検討するものについて、日弁連の会則や最高裁の規則が固まってしまってからではなく、検討状況の報告をお願いしたい。
● 検討結果ではなく、検討状況を報告してもらう。
○ 検討会の委員が共通の意識を持つために、読会のような機会を設けてもらいたい。
□ それぞれの事項を吟味する際に、必要であれば、その問題の性質、内容等について、事務局等からの説明を受けるということではどうか。
○ 事務局からの説明のみでは、当事者から見て納得性が低いように思うので、日弁連や最高裁のヒアリングもお願いしたい。
□ 承知した。
○ 当検討会において何を検討するのかという認識が委員によって異なると思う。全体で、検討順序や各類型の関わりについての討議が必要である。
□ 次回の冒頭に本日の続きの議論を行いたい。
○ 「最高裁裁判官の地位の重要性に配慮しつつ、その選任過程について透明性・客観性を確保するための適切な措置」については、大変重い問題であり、この検討会で取り扱うことは本当に妥当か。もっと別のところで議論してはどうかと思う。この問題は他の問題とは異質な感じがする。その辺はどう考えるべきか、事務局の方で考えてもらいたい。
□ この点についてはいろいろ意見もあると思うので、事務局としても考えてもらいたい。