【伊藤座長】所定の時刻になりましたので、第2回「法曹制度検討会」を始めさせていただきます。
御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
まず、議事に先立ちまして、事務局から、お手元の配布資料の確認をしていただきます。
【植村参事官】それでは、私の方から確認をさせていただきます。
事務局からお配りいたしました資料は2つございます。資料2−1が「司法制度改革推進計画案」でございます。資料2−2が「主な検討事項と検討順序」というペーパーでございます。このほか、日弁連、法務省、最高裁から資料の御提出がありましたので、御紹介いたします。
内容につきましては、会議の次第という1枚紙を配らせていただいておりますが、そこに書いておりますので、御参照ください。
また、前回、中川委員から当検討会における基礎的な事項等について、説明をお受けになりたい旨のお申出がございました。
そこで事務局におきまして、既に司法制度改革審議会の審議過程において使用された資料等から、裁判官・検察官・弁護士の各制度についての基礎的と思われる資料を見繕いまして、皆様のテーブルの上に配らせていただいております。適宜御利用ください。
なお、事前に事務局から同種の資料をお渡しいたしました委員もいらっしゃいますが、若干の補充を行った部分もございます。本日お配りしているものが最新のものとなりますので、その点は御留意をいただきたいと思います。
更に、前回、木村委員から「国民から事務局に寄せられた意見を委員にもお知らせ願いたい。」という御要望がございました。こうした意見につきましては、事務局で保管しているところでございます。これにつきましては、現在目録を作成しているところであり、間もなくでき上がるということでございます。御希望の委員の方には、今後この目録をお渡しいたしまして、必要部分の御閲覧をいただくようにしたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
【伊藤座長】どうもありがとうございました。
それでは、早速議事に入りたいと思います。
前回もお話がございましたけれども、法曹制度の問題につきましては、日弁連・法務省・最高裁におきまして、審議会の意見書を踏まえて、この検討会の検討対象となるべき事項につきましても、独自の改革や取組が既に行われている、あるいはこれから行われることになっていると承っておりますので、関係機関として御出席いただいております法曹三者から、それぞれの取組、検討状況について報告をいただくことにしたいと思います。
その検討状況を頭においていただいた上で、司法制度改革に関し、政府が講ずべき措置内容、実施時期等につきまして、本年度内のとりまとめを目途に進められている司法制度改革推進計画の策定作業、これも相当進んできているようでございますので、現段階の推進計画案に基づいた当検討会における今後の検討事項、検討順序等につきまして、議事を進めたいと思います。
それでは、まず法曹三者からの説明をお願いしたいと思います。最初に日弁連からお願いしたいと思いますが、説明をしていただく方は恐縮でございますが、席の方にお移りいただければと存じます。
【日弁連(山内副会長)】日本弁護士連合会副会長の山内でございます。司法制度改革に関する日弁連の取り組み状況を報告する機会をお与えいただきまして、感謝申し上げます。
お手元に配布いたしました「司法制度改革に関する日弁連の取組状況について」というレジュメがございます。資料1−1でございます。それをごらんいただきながら、お聞きいただければと思います。
司法制度改革審議会意見書の法曹制度改革の冒頭は、「制度を活かすもの、それは疑いもなく人である。」といった言葉から始まっております。制度を担う人の改革なくしては、いくら制度をいじっても改革の目的は遂げられないということを的確に指摘されておるわけでございまして、その意味で私どもは司法を担う人の改革を取り扱う、この法曹制度検討会の御審議は、今回の司法制度改革の成否を左右するものと受け止めております。
これまで日弁連は、国民の基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の団体といたしまして、1990年以来、市民のための大きな司法の実現を目指して、懸命の努力を続けてまいりました。弁護士は敷居が高いとか、国民のニーズに的確に応えていないなどといったさまざまな御批判を謙虚に受け止めまして、自らを国民にとりまして、より身近で、親しみやすく、頼りがいのある存在として脱皮させて、国民に対する責務を果たすために、たゆまない自己点検と自己改革を重ねてきたつもりでございます。
そこで具体的な改革課題につきまして、まず日弁連のこれまでの取組の状況と、それから、今後の取組の予定につきまして、御報告を申し上げ、次に、弁護士の在り方に密接に関係しておりますところの、裁判所、検察官の改革につきましても、簡単に述べさせていただきたいと存じます。
まず、弁護士制度の改革でございます。
日弁連は弁護士制度の改革につきまして、これまで司法制度改革審議会に対してさまざまな意見を述べさせていただきましたが、その基本的な要点は、本日の資料にあります「弁護士のあり方」と題する平成12年8月29日付と、平成13年1月23日付の久保井日弁連会長のプレゼンテーションに盛り込まれております。
また、本年3月7日の推進本部の顧問会議には、今後日弁連が取り組む司法制度改革推進計画を提出いたしましたので、それも合わせて本日配布させていただいております。
日弁連は大きな司法を実現するためには、まず、法曹人口の大幅増加がすべての改革課題の前提であるというふうに考えまして、平成12年11月1日、臨時総会を開催いたしまして、法曹人口について決議をいたしました。その内容は、国民が必要とする数を、質を維持しながら確保するように努めるということであります。
質と量を備えた法曹人口の大幅増加を図ることによりまして、質の高い法曹が数多く社会の隅々まで厚い層を成して存在する。そういった日本社会を構築し、今回の司法制度改革が目指している民主主義の再生を果たそうとするものでございます。
この決議は、もとより弁護士自身にとりまして大きな痛みを伴うものでありますが、弁護士会といたしましては、これを克服いたしまして、司法制度改革推進のために必要な人的基盤を拡充、整備する方向を明確に打ち出したという点で、この決議は私ども日弁連にとりまして、歴史的な転換点であったと考えております。
この法曹人口の大幅増加ということは、弁護士人口の大幅増加とともに、裁判官、検察官の大幅増加もうたって、三者相まって司法が総体として人的・物的に大幅に拡充され、あらゆる分野に法の支配を徹底して、司法の再生、日本社会の活力の再生を図るということに目的があると考えております。
そこで、まず弁護士へのアクセスの拡充の問題でございます。
弁護士の地域的偏在を解消するために、日弁連は96年以来、全国的に法律相談センターの開設を進めてきておりまして、地裁及び支部所在地のうちいまだ設置されていない箇所は10か所にとどまっております。この10か所につきましても、平成14年度中には設置が完了する予定でありまして、法律相談センターの全国展開が完了する見込みであります。
また、地方裁判所支部の地域に、弁護士がゼロ、または1人といった、いわゆるゼロワン地域が数多くありますので、日弁連はこのゼロワン地域を解消するために、公設事務所を全国的に開設する運動を進めております。
この公設事務所といいますのは、日弁連が全会員から特別会費を徴収して、基金を設立しまして、この基金は「日弁連ひまわり基金」と称しておりますが、そういった基金を設立いたしまして、この基金で公設事務所の開設資金等を賄うものであります。運営は弁護士会が選定した会員が行います。名称は、公益目的であることから、公設と称しておりますが、決して国とか公から金が出ているものではなくて、弁護士会自身の会費で開設費用を賄っている私的な事務所であります。2000年4月から始まりました、この公設事務所の開設運動は、その後急速に進展いたしまして、現在までに設置済みのものが9か所、設置予定のものが13か所に上っております。今後、加速度的にこの設置を推進してまいる所存でございます。
更に都市部におきまして、経済的な事情などから弁護士へのアクセスが困難な状況がございますので、これを解消していくために、都市型公設事務所を開設する取組、これも始めております。既に昨年大阪弁護士会、第二東京弁護士会が開設いたしまして、東京弁護士会も近く開設する予定であります。
こういった取組に関連して、弁護士の執務体制の強化がございます。日弁連が長年運動を続けてきました弁護士法人制度が本年4月からスタートいたします。これを契機といたしまして、弁護士の共同化、過疎地対策の強化、専門性の強化、隣接法律専門職種の協働化といった執務体制を強化するための方策を更に推進してまいります。また、弁護士報酬の透明化、合理化を図るために、日弁連は市民も参加する検討機関を設置いたしまして、報酬契約の在り方や、依頼者への報酬説明義務の徹底化などをしてまいります。
弁護士情報の公開も、既に幾つかの弁護士会におきまして、弁護士情報開示制度を設けまして、ホームページなどで公開しておりますが、今後、この制度を日弁連全体の制度としてまいります。
次に、弁護士の活動領域の拡大、社会的責任の関係でございます。
弁護士は依頼者のために法的なサービスを提供することを通じまして、国民の基本的な人権を擁護し、法の支配を社会の隅々まで行き渡らせるといった公益的な役割を担っております。この役割を果たすために、日弁連は、今後、公的な機関や民間企業、労働組合、国際機関といった社会のあらゆる分野に弁護士が積極的に参加してまいりたいと存じます。この障害となっております弁護士法30条の規制撤廃なども大きな課題であります。
90年から始まって、今や全国的に定着しました当番弁護士制度も、まさにこういった公益的な役割に基づくものであります。日弁連は長年にわたり公費による被疑者弁護制度の実現を強く求めてきておりますが、いまだに被疑者公的弁護制度は設けられず、国の費用による補助も行われておりません。やむなく日弁連は90年、国に代わりまして、弁護士会自らの費用負担により被疑者の接見制度体制を発足させました。これが当番弁護士制度でございます。この制度の利用件数は年々増加しておりまして、平成12年度では年間約4万件に上っております。弁護士会が支出する費用も、平成13年度には7億2,000万円に達しております。そして今後更に増加することが予想されまして、現在、会員から徴収しております会費だけでは到底足りない。そこで、日弁連は去る2月28日の臨時総会におきまして、この当番弁護士制度を維持するための特別会費を、現在の弁護士一人当たり月額2,800円から4,200円に増額することを決議いたしました。
このように弁護士会は、公益活動のために、人も金も出して全力を尽くしておるところであります。意見書にもありますとおり、一刻も早い被疑者公的弁護制度の発足を強く求めるものでございます。ただ、この関係は当検討会の所管事項ではないように伺っておりますが、弁護士会がこういった公益活動を懸命に行っているということを御理解いただくために申し上げる次第でございます。
こういった弁護士の活動領域の拡大を図る上で弁護士研修の強化と、弁護士倫理の徹底厳守、これは欠かせないところであります。日弁連はこれまで既にさまざまな研修を実施してきておりますが、今後これを更に強化いたします。弁護士倫理につきましても、平成2年の総会決議で鮮明にし、平成9年には倫理研修を会員に義務化しております。更に現在の規定を見直して、強化することを、市民も加えた委員会で現在検討しております。
次に弁護士会の在り方でございます。
弁護士は基本的人権を擁護し社会正義を実現するといったその職責上、事案の内容によっては国家権力と鋭く対峙する必要が生じますが、弁護士が裁判所や法務大臣の監督に服する制度の下では、このような使命と職責を到底全うすることはできない、ひいては国民の人権も守られない、このようなことから弁護士自治が認められているものであります。しかし、弁護士自治といえども、それは国民から負託されたものである以上、その負託に応えて弁護士会の運営や、懲戒手続の透明化を図り、国民に対してその内容や運営状況を説明する義務があると考えております。
こういった観点から、日弁連は綱紀・懲戒の手続につきまして、弁護士以外の市民、学識経験者の参加を求めたり、あるいは懲戒に付するかどうかということにつきまして、市民の意見を聞く手続を設ける、そういった改正を行うことについて14項目ございますが、去る2月28日の臨時総会におきまして、お手元にございます「綱紀・懲戒制度の改革に関する基本方針」、これを採択、決議いたしました。今後はこの方針に基づいて、懲戒手続等の透明化と市民の参加を具体的に図っていく所存でございます。
次に、弁護士会の運営につきましても、その透明化を図りまして、情報公開を進め、本年から弁護士白書を発行する計画を進めております。
次に、隣接法律専門職種との関係でございます。
司法書士に対しまして、信頼性の高い担保措置を講じた上で、簡易裁判所における一定範囲の訴訟代理権を付与すること、あるいは弁理士に対し特許権の侵害訴訟につきまして、弁護士が代理人となっている事件に限った訴訟代理権を付与する内容の改正法案が、今通常国会で審議される予定と伺っております。この制度が実施される場合には、利用者である国民から安心して依頼できるように、能力を担保をするほか、職業倫理や懲戒等の制度、運用の整備が必要になると考えております。
それから、司法試験合格後に民間などで一定の実務経験を経た者に対して、法曹資格を付与する制度につきましては、日弁連としましては、企業法務について検討を行い、必要な提言をしてまいりたいと考えております。
特任検事経験者、副検事、簡易裁判所判事経験者の有する専門性の活用につきましては、必要な提言を行いたいと考えておりますが、これらの者に対する法曹資格の付与につきましては、法曹人口を大幅に増やしていく中で解決を図ることが基本であり、その例外を広げていくということについては慎重でなければならないと考えております。
以上が弁護士制度改革の関係でございます。
次に裁判官制度に関する取組について申し上げます。
意見書の求めている裁判官制度の改革は、多様で豊かな知識・経験と人間性を備えている質の高い裁判官を安定的に確保し、これに独立性をもって職権を行使させるということが課題でございます。これは法曹全体が協力して初めて達成できることでありますから、裁判所が率先してなされる改革に対しまして、弁護士会といたしましても、積極的に関与し、共に改革を図っていきたいと考えております。なお、弁護士任官は、この改革につきまして、重要な位置を占めておりますが、その報告は後ほど最高裁判所と共同で説明させていただきます。
今次の裁判官制度改革の第1は、判事補がその身分を離れて裁判官以外の法律専門家としての経験、いわゆる他職経験と申しておりますが、その他職経験を積ませるという制度の確立であります。判事補が裁判官の身分を離れるということ、そして、実のある経験を積むにふさわしい相当期間の他職経験を積むために、弁護士会としましては、判事補を受け入れる事務所を多数確保していく所存でございます。各地の弁護士会で多数の受入希望が現にありますので、受入体制の整備を今後強力に進めてまいりたいと思っております。
また、審議会意見書は、この他職経験を制度的に担保する仕組みを整備すべきであるとしております。従いまして、この他職経験を経たことを判事の任命要件とすることなど、そういった方策も検討されてしかるべきではなかろうかと考えております。
第2は、特例判事補制度の計画的・段階的な解消でございます。
特例判事補制度は計画的・段階的に解消すべきでありますが、その場合に、判事の大幅増員が必要となります。弁護士会といたしましても、弁護士任官を強力に推進することによりまして、その一翼を担っていきたいと考えております。
改革の第3は、裁判官の指名過程に国民の意見を反映する機関の設置でございます。この機関につきましては、裁判官の選考について、実質的な判断を行うことができるよう、地域ブロックごとに下部組織を設置しまして、その下部組織が実質的な判断を行い得るようにすることが重要であると考えております。弁護士会では、弁護士任官候補者につきまして、多角的に調査し、適任かどうかを市民とともに評価し、面接して判断していくといった、弁護士任官の適格者選考委員会というものを、各高等裁判所所在地等に順次設置していっております。この3月までに8か所で立ち上がります。近畿弁護士連合会では1年前に発足しておりまして、この経験から申し上げますと、候補者について、市民からの視点を含めた多角的な視点での検討が重要で、こういった経験も加味して検討していただければ、裁判官の指名過程に国民の意見を反映する制度も早期に制度化していくことができるのではなかろうかと考えております。
第4は、裁判官人事制度の透明化・客観化でございます。
最後に、検察官制度に関する日弁連の取り組みについて申し上げます。
検察官制度改革のキーワードも量の拡大と質の維持向上であると考えております。量の問題につきましては、地方裁判所の刑事事件のうち、法曹資格のない副検事等によって処理されている事件が約70%となっておりまして、検事が処理しているのはわずか約30%にすぎないようでございます。このような実情を踏まえまして、検事の大幅増員を進めるため、日弁連といたしましても、弁護士からの検事任官が増加するように努力してまいります。質の点に関しましては、検事が一定期間、身分を離れて他職経験をすることが裁判官と同様に必要であると考えております。そのために、日弁連といたしましては、検事の弁護士経験の受入れを、積極的にその方策を進めていきたいと考えております。
以上、御報告を申し上げました。よろしくお願い申し上げます。
【伊藤座長】どうもありがとうございました。それぞれの問題につきましては、また、これから十分議論をする機会がございますけれども、今の段階で、ただ今の山内副会長の御説明に対して御質問などございましたら、5分程度でございますけれども、質疑の時間をとりたいと思います。どなたからでも結構でございますので、どうぞ。
【木村委員】日弁連の臨時総会で、平成12年11月1日に法曹人口の増加についての決議をなさったという御報告をいただきましたが、これは司法制度改革審議会意見書を見ますと、例えば判事についての増員が500人とか、検事についての増員が1,000人とか具体的な数字が入っているんですが、この決議に至る論議の過程でどれくらい弁護士人口があれば日本弁護士連合会としてはいいのかという増加目標、どのくらいかとの数字は出てきたのでしょうか。
【日弁連(山内副会長)】12年11月1日に臨時総会を開催したわけですが、その前の8月の上旬に、司法制度改革審議会で法曹人口の増加はどのくらいがいいかという集中審議がございまして、そこで年間司法試験合格者3,000名という1つのとりまとめがなされております。
日弁連といたしましては、それを念頭におきまして、11月に国民が必要とする質と数の増加ということを決議したわけでございます。その決議書の主文はそういう形になっておりますが、その理由の中身は、司法制度改革審議会が3,000人のとりまとめをしたということを踏まえて、こういう実現をするということが書いてあります。
ですから、我々としては、3,000名を念頭においた決議と理解をしております。
【伊藤座長】ほかにいかがでしょうか。
【松尾委員】過疎地の対応として公設事務所を創設していくということは、大変有意義なことだと思うのですが、これを更に全国的に広げていく上で弁護士会が負担する費用の問題の見通し、あるいは継続的に増設の可能性はあるのかどうか、それをどのようにお考えになっていますか。
【日弁連(山内副会長)】私どもは開設するといいましても、まず場所、人、いろいろな金が相当かかるわけで、現在のところは各単位会が原則として会費の中からこれを出しているわけです。将来的には例えば地方公共団体と提携をいたしまして、その応援を求めていくということも1つの選択肢として考えられるだろうと思います。
しかしながら、現在、基本的には、我々自らの力で会費の中から出してやっていこう、そうしないと、こういった弁護士の過疎問題はなかなか解決できない。そのためには、我々は人も金も出そうという気構えで取り組んでいるところでございます。
【中川委員】当番弁護士ですが、これは今、何人というか、義務的に持ちまわりみたいなことですか。
【日弁連(山内副会長)】原則として、各単位会で所属会員が登録をいたしまして、登録弁護士のうちから、だれは何月何日に待機してくださいとなります。その日に裁判所、あるいは警察等から連絡が来ます。そうしますと、待機している会員に割り振るわけです。待機していた弁護士はすぐ警察に行って接見をするということになります。特に地方は会員数が少ないものですから、非常に負担が大変なわけです。大都市の方は人数が多いのですが、それでも当番弁護士に登録をしておりますと、例えば東弁では一人当たり年間3回か4回は行くわけですが、地方になりますと、それがもっと増えておりまして、地方の会員は非常な犠牲を払っているのが実態でございます。
【中川委員】それに対して何か法的な手当てをしようという動きはあるのでしょうか。
【日弁連(山内副会長)】起訴されました後の被告人の場合、国選弁護制度が法的に整備されておりますが、被疑者段階の当番弁護士制度についてはまだ公的な手当が全くなされておりません。
【中川委員】その動きもない。
【日弁連(山内副会長)】動きはございます。これから別の検討会におきまして、公的弁護制度をいつ、どうやって整備していくか、御検討をされているようでございます。私どもはそれに非常に期待しています。それまでは非常に負担も大変ですが、頑張っているところでございます。
【伊藤座長】ほかに御質問があるかと思いますが、いずれの問題につきましても、御審議をお願いすることになるかと思いますので、今日の段階ではここで一応終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、法務省からの説明をお願いしたいと思います。恐縮ですが、説明者席の方におつきいただけますでしょうか。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
【法務省(甲斐参事官)】法務省刑事局参事官の甲斐と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。 法務省からは、1枚の資料を配布させていただきました。これを見ながら御説明をさせていただきたいと思います。
検察官制度改革に関しましては、資料の左半分にありますように、司法制度改革審議会の意見書で各種の提言がなされております。意見書では大きく分けて3つの提言がございました。
一つは、検察官の意識改革のための方策の実施ということでございます。それから、2点目は、専門的知識・経験を習得・向上させるための研修制度でございます。3点目が、刑事手続への新たな国民参加制度実施のための研修制度の導入ということでございます。それから、「2 検察庁運営への国民参加」について、国民の声を聴取し反映させることが可能となるような仕組みを導入すべきであるということも提言がなされております。
私どもはこうした提言を受けて、これに対する方策について検討をしてまいりました。また、御承知のように、昨年発生いたしました福岡地検の前次席検事に係る事件を契機といたしまして、法務大臣から検察官の意識改革のための方策についての検討の指示がなされました。
そこで、最高検察庁において検討会を設置し、新たな外部派遣制度の導入を含む諸方策について報告がとりまとめられましたので、これも念頭において今後どうすべきかという検討を進めてきたところでございます。
そこで資料の右側にあります法務省のこれまでの取り組みについて御説明をいたします。
まず第1点は、検事の外部派遣制度の導入についてでございます。
福岡事件でも指摘されましたが、検察官は刑事事件について捜査し、訴追するという、ある意味で非常に大きな権限が与えられています。それだけに一般の国民の意識とは乖離してはいけない、市民感覚を常に持っていなければならない、という批判を受けたところでございます。
そこで意見書でも触れられていますように、検事を一定期間、一般の国民の意識、感覚を学ぶことができる場所で執務させるという方策が提言されました。
この方策につきましては、実は2種類考えられたところでございます。一つは、検事としての身分を離れて民間に派遣するという方法。もう一つは、検事としての身分を保有したまま、現行法の枠内で派遣する方法と2つ考えられるところでございます。
前者につきましては、種々の手当、特に立法的な手当も必要になるのではないかと考えられるところであり、今後、この改革推進本部、それから検討会でも御検討いただけるものと思っております。
他方で、後者の現行法上可能な範囲での派遣につきましては、可能な限り早期に実施したいと考えました。ずっと準備を進めてきたところでございますが、現在のところ、来年度、すなわち今年の4月から実施したい。実施の方法につきましては、検事の身分を保有したまま、民間の団体、特に公益的な活動をされている団体、それから民間の企業に派遣をいたしまして、そこの職務に従事して、実際のいろいろな職務を体験してもらうということを計画しております。派遣先につきましては、現在、受入先と最終的な詰めを行っているところでございますが、現在のところ、数か所程度と協議をしております。そこで、派遣期間につきましては、短いものは2、3週間、長いものでは6か月、あるいは1年という期間を予定しています。派遣者の検事につきましては、数名程度を検討しております。
これによって公権力の行使とは関わりのない場所で、様々な人々と密接な交流を行いながら執務をするということを通じて、市民感覚を学ぶということを期待しております。
2点目は検察管理セミナーの新設でございます。
これは被害者の心情でございますとか、警察の活動の理解を深めるとともに、検察官が独善に陥ることを防ぐための研修等の充実強化でございます。御承知のように、検察庁におきましては、任官後、さまざまな段階で検察官に対する研修を行ってまいりました。これまでにもそういった既存の研修の枠組みの中で、被害者問題などをテーマにして、外部講師による講義を実施するようになってきております。そして、今回の改革審意見書の趣旨を踏まえて新たな研修を導入いたしました。これが検察管理セミナーというものでございます。対象者でございますが、これは検察幹部クラスということでございまして、具体的にはここにも書いてありますように、任官22年目程度、年齢で言うと40半ばよりもっと上の方くらいでございます。普通の地検で言えば部長クラス、東京等の大地検であれば副部長クラス、現場の一線の指揮をとっている検察官ということになります。こういった方々を対象として、検察管理セミナーというものを導入することとして、本年度につきましては、今年の1月に既に実施をいたしました。内容といたしましては、被害者から見た検察ということで、被害者支援に携わっていらっしゃる先生から講義をしていただく。それから、警察から見た検察ということで、一線の警察官からの講義をしていただく。それから、マスコミから見た検察ということで、マスコミ関係者から検察がどう見られているのか、国民から一体どう見られているのかという点も講義をしていただく。もう一つは、検察事務官から見た検察ということで、日ごろ検察官は検察事務官と二人三脚で仕事をしているわけですが、検察事務官からどう見られているかということをテーマとして研修を実施したところでございます。
3点目は、警察への派遣研修の実施ということでございます。
これは全国で統一的に実施するというよりも、各地検レベルでの試みということになりますけれども、第一線の警察官の活動に対する理解を深めるということを目的として、幾つかの検察庁で検事を警察に派遣して実際の活動に立ち会って、その苦労を見てくるという研修を行っております。本年1月には横浜地検で、2月には佐賀地検で実施しております。内容といたしましては、所属の検事を警察署に派遣いたしまして、事件相談でございますとか、犯罪現場への臨場でございますとか、事件送致手続に立ち会う。それから宿直勤務に一緒に泊まりまして、寝起きを共にするという形で警察官の活動を直接見聞させる研修を実施いたしました。研修を受けた検事からは、記録だけではわからない警察官の苦労でございますとか、治安維持のために日夜努力している警察官の真摯な姿を目の当たりにして深い感銘を受けたという感想が寄せられております。
4点目は、情報システム専門研修の実施でございます。
改革審意見書では、専門的知識・経験を向上させるための研修の導入が提言されておりますけれども、これを受けまして、最近、不正アクセス等のコンピュータ犯罪が発生していることもございますので、こういったコンピュータ犯罪に適正・迅速に対処するために、ハイテク犯罪について、特に情報通信ネットワークに関する基礎知識を習得させるという研修を導入することといたしました。本年度につきましては、平成14年2月に既に若手の検事15名を対象として研修を実施したところでございます。
それから、左側の上から3つ目の青い枠の中の刑事手続への新たな国民参加制度の実効的実施を支え得るような研修、これはいわゆる裁判員制度に対応するための研修ということになると思いますが、裁判員制度につきましては、今後更に制度が具体化される現状であり、それを見ながら研修の在り方についても検討してまいりたいと考えております。
最後に検察庁運営への国民の参加についてであります。改革審意見書では、検察庁運営への国民参加という点が論じられておりますが、その中心となるものは、検察審査会の建議、勧告制度の充実・実質化でございます。これにつきましては、裁判員制度を検討する検討会で、実際の法改正の在り方も含めて検討されることと考えておりますが、このほかに私どもでやれることを検討したところ、本年の4月から最高検が中心になりまして、検察庁でホームページを開設することになっておりますので、その中で一般の方からの意見を受け付けるコーナーを設けるということを検討しております。
現在までの取組は以上のようなことでございます。
【伊藤座長】どうもありがとうございました。今の点、この段階で何か御質問ございますでしょうか。
【平山委員】大変素早い対応をしていただいていると思いますが、法務省配付資料の右側の1で検事外部派遣制度でございますが、身分を有したままの派遣をとりあえずおやりいただいたということでございまして、このときに相手方とのいろんな折衝の中で、どういうところが難しい問題としてあったか、それをどういうふうにクリアしておられるかということがわかれば、今後のいろいろなことに参考になると思いますので、お願いします。
もう一つは、おっしゃるとおり身分を離れてという場合は、裁判所の場合も幾つか問題がありますけれども、この身分を離れてという場合の検討状況といいますか、どういう検討状況にあるのかわかれば教えていただきたいという2つです。
【法務省(甲斐参事官)】身分を有したままの外部派遣制度につきましては、4月から実施したいと考えておりますので、現在の段階で派遣しているわけではございません。一番苦労しているのは、やはり受入先をどうやって確保していくかという点でございまして、やはり民間でございますので、検事が来るというのが、それだけで非常な重大事項でございます。また、先方に相当の御負担もお掛けするところでございますので、何とか受け入れていただけるように、各所にお願いするという点が最も私どもとしては苦労したところでございます。
今、幾つかの受入先に何とかお願いをして、受け入れていただけるとの話をいただいており、かなりの長期間にわたって、いろいろな業務を実施するのを見せていただく、あるいは実際にやってもらうということで、温いお言葉をちょうだいしておりますので、何とかそういう形で実施できればと思っております。
それから、身分を離れてという方策につきましては、これは裁判官の派遣制度でも同じような問題があろうかと思いますが、やはり給与の問題でございますとか、いろいろな身分保障の点でその派遣された者の立場というものに配慮する必要もございますので、そういった点について、立法的な手当が必要であろうと思われます。私どもも実質的にはこれからそういった点については、どういう方策があるのか、検討してまいりたいと思っておりますし、実際には法改正、立法的な手当が必要であろうと考えておりますので、推進本部事務局ともよく相談しながら、知恵を出していこうと思っております。
【木村委員】大変美しい色刷りの資料でわかりやすい報告をいただきましてありがとうございました。
検察の方もいろいろお仕事が多くて、恐らく人間が質と量で量の方も確保も必要になってくると思います。それに伴っていろいろな方々、先ほども御説明の中にありましたように、福岡の事例とか、いろいろあるかと思うのですが、例えば国家公務員法とか国家公務員の倫理に関する規定とかいろいろあるわけですが、検察官のための倫理綱領、職務ガイドライン教育を含めた研修の場所がどこかにあるのかどうか、これを見ながら思ったのです。今まで検察官の倫理綱領みたいなもの、特別に検察のための、そういうものは今までございますか。
それと、例えば日弁連の方は、取組で綱紀・懲戒制度の改革に関する基本方針で積極的に改革に取り組んでいるという方向を先ほど山内副会長からお伺いしましたが、検察の方も国民の目から見ますと、いろいろな問題があって、それがそのままきちんとした形で綱紀・懲戒につながらない場合もないわけではないということになりますと、国民の目から見にくい点もある。それがあるいはガイドラインとか法の改正とか、どういうふうに現状ではなっていくかという点、もしお伺いできればと思います。
【法務省(甲斐参事官)】私のわかる範囲でお答えさせていただきますが、まず、倫理綱領的なものという点では、特段そういうものはないと思います。検察官独自のものという趣旨ではないと思います。
最初に申し上げましたけれども、検事については、任官した後、さまざまな研修を行っています。ちょっと概略だけ申し上げますと、まず検事に任官しますと、新任検事の研修というのがありまして、東京地検に集めて実施するわけですけれども、そこはもう実際の事件、捜査処理をしながら、検察官の在り方についても、直に先輩検事から教え込んでいるという作業過程でございます。
それから、時期的には、記憶だけで申し上げておりますけれども、任官後、おおむね3、4年程度で検事一般研修というものを実施しておりまして、ここでまた中央に集めまして、種々の講義、被害者対策についてでございますとか、検事としての在り方の心得でございますとか、そういったいろいろな方面からの研修を行います。
それから、任官後おおむね7年から10年くらいの段階で、検事専門研修というものを行いまして、これはむしろ専門的事件、知能犯事件でございますとか、そういったものについての知識・経験を養成するというものでございます。
その後、検察管理研修と申しまして、地方の次席になられるような方にきちんと検察行政についても学んでもらい、検察の在り方について、もう一度見直す機会を持つというものでございます。
更に、新任の検事正になられるときにも、別途研修をしてもらうという形で、かなり回数を重ねてこれまでは研修を実施してきました。ただ、先ほど申しましたように、22年目程度のところが実はありませんでした。したがって、まさに現場の第一線で部下を使って毎日の仕事を指揮している方たちにも、今一度、検察が外からどう見られているのかということを振り返ってもらう機会を設けたということでございます。
それから、懲戒制度につきましては、検察官も公務員でございますので、法務大臣の懲戒処分というものが当然ございます。最近では、検察官についても、厳しい目が向けられておりますので、これについても厳しい対応がなされております。他方で検察官につきましては、身分保障というものも強く求められているとろでございます。特に準司法官としての立場がございます。そういったことで検察官について、また別途、検察官適格審査会というものが設けられておりまして、ここで検察官の適格性についての審査が行われるといった手当がなされているところでございます。
【伊藤座長】ほかにもまだ御質問あるかと思いますが、時間の関係で、今回はこの程度にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
引き続きまして、最高裁からの説明をお願いしたいと思いますので、説明者は席にお着きいただければと存じます。
【最高裁(小池審議官)】最高裁の審議官の小池でございます。よろしくお願いいたします。
お手元の最高裁の封筒の中に資料が5つございます。その資料の1の説明骨子とあります枠が付いた資料がございますが、これに基づきまして、今の検討状況、あるいはこれからの検討のスタンスということについて、かいつまんで御説明申し上げたいと思います。
改革審議会の意見を受けまして、司法制度改革を推進するために昨年の11月に改革推進法が制定されたわけでございますが、最高裁といたしましては、裁判制度の運営を担う国の機関といたしまして、この推進法の理念、あるいは方針に基づきまして、政府の検討に積極的に協力するとともに、自ら行うべき施策の実現に向けて最大限の努力をしていく所存でございます。
資料2にございますが「司法制度改革推進計画要綱(案)−着実な改革推進のためのプログラム−」と題する要綱案がございますが、これは先日の顧問会議で紹介させていただきました裁判所の推進計画の案でございます。
この中に、裁判官制度の改革につきましての検討の指針等も記されております。今般の司法制度改革は3つの柱が掲げられておりまして、裁判官制度の改革は、その1つである司法制度を支える人的基盤の充実の一環を成すものでございます。最高裁といたしましては、審議会の意見の趣旨、政府推進本部の推進計画、そして私どもの裁判所の推進計画にのっとりまして、これからの我が国社会におきまして、裁判所が国民から負託されました機能を十全に果たしていくために、裁判官の能力及び資質を一層向上させていくための制度の整備等を図る必要があるという認識でございます。そして、よりよい裁判官制度を築いていくために、主体的かつ積極的に取り組んでいく所存でございます。
資料1に記載させていただきましたが、最高裁といたしましては、今般の司法制度改革の重要性を考えますと、自ら実行していくべき施策につきましても、広く各方面の御意見を伺って改革を進めていきたいと考えております。各界の有識者の意見をお聞きする場としましては、本年、最高裁の事務総局に、明日の裁判所を考える懇談会というものを設置いたしました。資料3−1というのがございますが、これにはこの委員の方々の名簿を掲げさせていただきました。資料3−2に設置の趣旨を掲げさせていただきましたが、今後、裁判官制度の改革等の課題に取り組むに当たりましては、この懇談会で出していただきました意見を十分に踏まえつつ、検討を進めてまいりたいと存じます。また、後ほど説明させていただきますが、裁判官の人事評価の在り方につきましても、昨年、裁判所の外の有識者5名の方と、裁判官2名から成ります研究会を設置しまして、現在、月2回のペースで協議を進めております。これも資料4というところで、そのメンバーについて御参考までに資料を付けさせていただきました。
最高裁が改革を進めていく場合に、推進計画にございますように、所要の措置ということを掲げてございますが、その中身は、最高裁判所規則の整備、あるいは運用上の手当というものが中心になるわけでございます。特に最高裁判所規則と申しますのは、憲法に根拠がございまして、憲法に最高裁の規則制定権というものがございますが、それに基づく重要なものでございますので、裁判官制度の改革に関しまして、最高裁規則を制定する場合には、有識者の方々に委員になっていただきます規則制定諮問委員会というところでいろいろ御審議いただきまして、その答申を踏まえて検討するなど、広くいろいろな意見を伺って進めていきたいと存じます。また、このような委員会におきます議事内容につきましても、できる限りオープンにしていくことを考えてまいりたいと思います。
また、裁判官制度の改革を進めるに当たりましては、裁判所のみならず、関係機関の方々と連携を図ることも重要でございます。既に日本弁護士連合会との間におきまして、昨年の4月、弁護士任官等に関する協議会を設置いたしまして、以来、月2回のペースで協議を重ねまして、昨年の12月には弁護士任官により実効性を持たせるために、当面講じていくべき措置について合意をしたわけでございます。この内容については、後ほど御説明申し上げたいと存じます。
以下、個別の課題の検討状況、これからの取組方針等について御説明申し上げます。
まず、判事補の経験の多様化ということでございます。この方針につきましては、資料1の2ページの枠にございますが、原則としてすべての判事補に裁判官の職務以外の多様な法律専門家としての経験を積ませることを制度的に担保する仕組みを整備することを目指しまして、積極的に取り組み、平成15年末までに所要の措置を講じたいと考えております。私どもといたしましては、判事補がさまざまな経験を積むことによりまして、多様で豊かな知識、経験を備えた判事として、言わば厚みを持った力強い法律家として成長していくことは、これからの我が国の国民の皆様からより一層の信頼を得ていくためには必要であり、そういったシステムというのは極めて有意義であるという考えでございます。
その制度化をするに当たりましては、判事補が経験を積むのにふさわしい受入先を確保するとともに、その実施に伴いまして、現場におります判事補は、多数現場を離れるということになりますので、それをカバーする人的な要員を確保することも必要でございます。こういった課題につきましては、日弁連等関係機関の方々とも協議・連携を図りつつ検討を行っていく所存でございます。
先ほど法務省からも御説明がございましたが、改革審の意見では、判事補が裁判官の身分を離れてさまざまな法律専門家としての経験を積むことが基本であるという意見でございますが、判事補には任期を10年とする憲法上の身分保障がございますので、意見書でも指摘されておりますように、身分保障面において適切な配慮をし、進んで判事補が任意でこういったものに参加していくシステムにすることが課題になります。この点につきまして、立法措置が必要となる可能性が高いと考えておりますので、推進本部と十分連携を図りながら検討する必要があると考えているところでございます。
以上申し上げましたように、この仕組みの整備につきましては、いろいろな課題がございますが、この問題は基本的に判事補養成の在り方に関わる問題でございますので、現在、私どもがいろいろ検討しております判事補に対するそのほかの研修の在り方とも関係します。まずは、そういった意味で最高裁において、こうした仕組みづくりに向けた検討を進め、所要の措置を講じてまいりたいと考えている次第でございます。また、こうした検討状況につきましては、随時この検討会に御報告申し上げたいと考えております。
次に特例判事補制度の関係でございます。
これにつきましては、3ページの枠にございますが、改革審の意見書は、特例判事補制度につきましては、計画的かつ段階的に解消すべきである、そのためにも判事を増員するとともに、弁護士等からの任官を推進すべきあるということでございますが、改革審議会でも指摘がございましたように、この計画的・段階的な解消につきましては、特例判事補に代わる判事の増員、あるいは弁護士任官等を含めた判事の充員と言いますか、人を充てていくという基盤整備が必要となるわけでございます。私どもとしましては、このような前提条件となります基盤整備の条件をよく見つつ、改革審議会の意見書の趣旨を踏まえまして、特例判事補の担当職務の在り方等につきまして、その運用面の改善に向けた方策を講じてまいりたいと考えております。また、こういった状況につきましても、随時この検討会に御報告申し上げたいと考えております。
弁護士任官の推進につきましては、先ほど申し上げたように、昨年12月に日弁連との間で協議のとりまとめの合意に達したものでございます。後ほどまた、詳しく御報告申し上げますが、弁護士任官によりまして、優秀な弁護士さんができる限り多く裁判官に任官していただくということは、裁判官制度をよりよいものにしていく施策を推進する意味で不可欠であると考えております。そういった意味で、この合意の意義は非常に大きいと考えている次第でございます。
次に裁判官の任命手続の見直しでございます。5ページになります。
改革審の意見書では、最高裁判所が下級裁判所の裁判官として任命されるべき者を指名する過程に国民の意思を反映させるために、最高裁判所に、その諮問を受け、下級裁判所の裁判官として指名されるべき適任者を選考し、その結果を意見として述べる機関を最高裁に設置すべきであるとし、その上で最高裁に設置された機関が十分、かつ必要な資料、情報に基づきまして、実質的に適任者の選考に関する判断を行うように、例えば、下部組織を地域ブロックごとに設置することなど、適切な仕組みを整備すべきであるとされております。正確な情報を提供する機関が必要であるという指摘でございます。最高裁といたしましても、裁判官に対する国民の信頼感を高めるという観点から、この意見書の趣旨にのっとりまして、下級裁判所の裁判官の指名に関する諮問機関を設置することが適当であると考える次第でございます。なお、この制度化につきましては、最高裁に憲法上与えられた指名権の行使の在り方の一環をなす問題でございますので、推進本部の計画等にもございますように、まずは最高裁におきましてこの仕組みづくりの検討を進めまして、できますれば、所要の措置を講じてまいりたいと考えている次第でございます。また、こういった検討状況については、随時検討会に報告申し上げたいと考えております。
人事制度の見直しにつきましては、5ページの下の段にございます。
最高裁としては、改革審の意見書にのっとりまして、裁判官の人事評価につきまして、できる限り透明で客観性を担保するための仕組みを整備することとしたいと考えておりまして、平成15年末を目途に所要の措置を講じたいと考えております。先ほど申し上げましたように、裁判官の人事評価の在り方に関する研究会におきまして、裁判官の人事評価の在り方全般につきまして、現在、多角的に調査、検討を進めております。この研究会におきましては、有識者の方々からいろいろな御意見をお聞きする、いわゆるヒアリングを行いましたほか、第一線の裁判官からの意見も聴き、更に、全国各地の高裁単位で裁判官の意見交換会というものを行っておりますが、そこにおいて出ましたこういった人事評価に関する第一線の裁判官の意見も参考としながら、現在検討を進めております。今年の夏を目途に検討結果をとりまとめる予定でございます。また、この検討状況につきましては、最高裁のホームページで広く紹介しております。この裁判官の人事評価は、裁判官の人事と密接に関連する問題でございますので、まずは最高裁におきまして、責任を持って検討し、こういった研究会の報告を踏まえまして、裁判官の人事評価制度の整備を図っていきたいと考えております。また、こうした検討状況につきましては、随時この検討会に御報告申し上げたいと考えております。
次に、裁判官の報酬の進級制の在り方につきましても、改革審議会で取り上げられております。ここでは、報酬の段階の簡素化を含め、その在り方を検討すべきであるという意見が付されたわけでございますが、この問題の検討に際しましては、意見書でも指摘されておりますように、裁判官の職権行使の独立性、あるいはその職務の特質というものを踏まえて検討する必要があると考えている次第でございます。なお、裁判官の報酬は、裁判官の報酬等に関する法律において定められておりますので、推進本部と適切に連携を図りながら、検討を進めてまいりたいと考えております。
6ページの下からですが、裁判所運営への国民参加について記載がございます。これも改革審の意見書に指摘されましたように、裁判所運営につきまして、広く国民の御意見を反映させる仕組みを導入するように検討を進めてまいりたいと考えております。現在、下級裁判所におきましては、それぞれの家庭裁判所に家庭裁判所委員会というものがございまして、そこで各地の有識者の方々の御意見を賜るという組織がございますが、この委員会をより充実させていただくことを検討したいと考えております。また、地方裁判所につきましても、この家庭裁判所の委員会と同様の機関の設置に向けまして、検討を進めてまいりたいと考えております。最高裁におきましては、改革審の意見書の趣旨にかなう仕組みづくりに向けた検討を進めまして、所要の措置を講じてまいりたいと考えております。こうした検討状況につきましても、また、この検討会に随時御報告申し上げたいと思います。
最後に最高裁裁判官の国民審査の実効化の関係でございます。この問題につきましては、最高裁の裁判官の国民審査制度に関しまして、最高裁の裁判官のプロフィールを紹介するなど、裁判官に関します情報の開示の充実を図る措置について検討してまいりたいと考えております。
やや早口で駆け足で申し上げましたが、以上が検討状況、あるいは今後の取組に関してでございます。
【伊藤座長】どうもありがとうございました。いずれも当検討会の任務と密接に関連するものでございますが、何か御質問があればどうぞ。
【平山委員】資料1で「明日の裁判所を考える懇談会」というのがありますが、裁判官の倫理・評価・在り方に関する研究会を発足させていただいて、非常に私は敬意を表します。非常に早い対応だと思いますが、先日、顧問会議にお出しいただきました資料2の推進計画、これに関しまして、審議官の方で現段階でおわかりであれば聞いておきたいと思います。
一つは、平成14年度の概算要求で、45名程度の裁判官の増員ということが出されたやに聞いておりますが、少しセーブされているのではないかという気がいたしました。司法制度改革審議会の意見書の59ページにありますように、大幅増員とされておりまして、最低でも10年間で500名、事件数によりましては、更にプラスして300とか400という形にされておりまして、それに見合ったものを衆議院・参議院の附帯決議でも、司法については特別の予算措置をしなさいということが明確されております。そうすると少し抑止的ではないか。もう少し大幅な増員を要求される必要がなかったのかということで、今回の推進計画要綱では11ページで、必要な増員とされておりますけれども、大幅な増員ということについて、実情的には要求というのがなかなか難しいのかなということにつきまして、人口増の関係で率直な感じをお伺いしたい。
二つ目は任命手続の問題でございます。今、審議官のお話でわかりましたけれども、これについては、この司法制度改革推進計画要綱の14ページでございますけれども、具体的にどういうところで、どういうことを始めたということはまだお書きいただいていないのですが、人事評価の方は始まっているということはわかるのですが、任命手続の問題の方は、既に着手されているのでしょうか。これは早くやっていただければ、それほど難しい問題ではない気がいたしますので、いかがなものかということでございます。
それから、3番目には、人事制度の方の評価の方は始めていただいているわけですが、これは人事決定の方も入るという趣旨なのでしょうか。誰をどこに配置していくとか、いろいろありますね。人事の決定ですね。その仕組みについても、そういう研究会、あるいは懇談会で協議がされるのかという問題について、どの範囲でやっておられるのでしょうか。
もう一つは、まさに他職経験です。弁護士会も非常に関係が深いわけですが、これについては、今日、検事の方の話にもあったんですが、身分を離れてという場合と、身分を持ったままというのが考えられていて、司法制度改革審議会の意見書は離れてと書いておりますけれども、この検討状況というのは、裁判所の率直な考えで、他職経験の期間などについてどのようなことをお考えになっているのでしょうか。これはさっきの予算との関係で、10年以内にどの程度増員していくかということの関係でございますので、その辺りの検討は既に始まっていて、どんなことをお考えになっているかということについて、今聞くことができれば教えていただきたいと思います。
以上です。
【最高裁(小池審議官)】たくさんの質問どうもありがとうございます。
個々の問題につきましては、また、しかるべき検討の場面があると思いますので、そこで詳しくお話しするといたしまして、ごく簡単にお話しいたします。
まず最初の増員のところは、今年は判事30名、判事補15名の増員の要求をしております。45名というのは相当規模の増員であり、横浜とか、そのくらいの裁判所になるんじゃないかと思いますが、そういう増員をしています。審議会のときに、現在の事件数を前提としても、さまざまな改革がなされていった場合の1つのシミュレーションとして、500人の増員ということを申し上げましたが、これはさまざまな手続法の改正がどう進んでいくのか、弁護士を始めとする訴訟活動や弁護士事務所の状況がどう変わるのか、どれだけ審理を早くし得るのかというものとの相関でございますので、1つのシミュレーションとして申し上げました。勿論、そういったものを念頭においた45人という数でございますが、まさに推進本部で検討していること、挙げて10の検討会が非常に精力的に検討されていますが、そういった検討状況を見ながら、増員計画というものは考えていく必要があります。最高裁推進計画要綱の11ページのところでは、最初のところで、裁判官の大幅な増員を始めとする裁判所の人的体制の充実ということが書いてございますし、それから、以下の所要の措置というのは、この3年間の間でどうしていくかということに関しましても、増員を巡るさまざまな状況を踏まえまして、計画性を持った増員を検討することが必要だというスタンスをとっているわけでございます。その意味で、従前、審議会で検討されました中身、そこで申し上げました裁判所の意見というものと整合性のとれたものであると考えております。
それから、任命手続の具体的検討ということでございますが、これは先ほども申し上げましたように、私どもとしましては、顧問会議で議論いただきました推進計画案の方向性に沿って裁判所が第一次的に検討してまいりたいと考えております。今の憲法におきます指名権の位置づけということからしますと、裁判所で考えていくということになります。最高裁の規則で私どもを中心として対応していくのが適当ではないかと考えております。これは私がおります審議官室で内部的には検討しておりますけれども、これをどう進めていくかにつきましては、こういった検討会での御議論なども踏まえまして、スケジュールを立てていきたいと思います。ただ、委員がおっしゃいますように、こういったものはなるべく早くに実現した方がいいと思いますので、このような御意見、御指摘も踏まえまして、なるべく早くに具体的な計画を立て、この場でも御紹介できればと考えております。
それから、人事制度の関係でございますが、裁判官の人事評価の在り方に関する研究会で検討していただきますのは、評価の件でございます。何のために評価をするかと言いますと、それを人事に反映していくということでございますので、それを踏まえて人事のシステムというものを考えていくということになろうかと思います。人事というのは、あらゆる機関で試行錯誤を重ねている問題でございますので、ベストのものというのはなかなか難しいと思いますが、一歩でも前に歩を進められるようなものにできればと思います。そのために、研究会の知恵というものを大いに活用させていただきたいと思っております。
次に他職経験についてですが、私どもは他職経験というよりは多様な判事補の経験という言葉で言いますけれども、審議会意見でも、身分を離れることを基本としつつということで、身分を離れてというものと、それと同視し得るような多様な経験というものをもっと広く考えなさいという内容となってございますので、そうしたものを含めて考えております。これも私ども審議官室で内部的には検討いたしておりますけれども、これは弁護士会との受入先の協議ということもございますので、そういったものを含めまして、なるべく早く具体的な計画を立てて、この検討会でも御報告しつつ、前に進んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
【伊藤座長】大分予定の時間が過ぎておりますので、次の説明も内容的には関連をいたしますから、次の説明を伺ってからまた質疑をしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、最後に日弁連及び最高裁から「弁護士任官等に関する協議会における協議の状況」についての説明をお願いいたします。どうぞ席にお着きください。
【最高裁(金井参事官)】それでは、弁護士任官等に関する協議会における協議状況につきまして、最高裁と日弁連の共同で御説明させていただきます。私、最高裁の人事局の参事官をしております金井と申しますが、便宜、私の方から御説明いたします。
お手元に「共同説明・骨子」という資料が配られておりますので、それに則しまして御説明させていただきたいと思います。
まず、弁護士任官協議会の設置のいきさつ等でございますけれども、このレジュメの1というところに書かせていただいております。最高裁と日弁連は、司法制度改革審議会における審議を受けまして、昨年の4月になりますけれども、弁護士任官の推進、それから判事補が弁護士の職務経験を積む制度を実効あらしめるための具体的方策について協議するために、この協議会を設置いたしました。協議会での協議事項等は、その後の資料1ということで付けてございますけれども、後ほどご覧いただけたらと思います。
この協議会ですけれども、昨年の4月以来、おおむね月2回のペースで精力的かつ率直に協議を重ねてきております。まず最初に議論されましたのは、弁護士任官の推進のための方策についてでございます。そして昨年12月7日に、当面、講ずべき措置につきまして、合意に達しました。その際の合意文書が資料2「弁護士任官等に関する協議のとりまとめ」という文書でございます。
今回の協議におきましては、最高裁と日弁連の両者が、弁護士からも裁判官任官を大幅に拡大することが極めて重要であるという基本認識の下に協議を重ねることによりまして、とりまとめ文書に至ったものでございます。以下、そのとりまとめの中身、概要をレジュメに則しまして、ごくかいつまんで御説明したいと思っております。
まず、取りまとめ(資料2)の1項でございます。ここでは日弁連が「任官推進基準及び推薦手続」を策定いたしまして、裁判官となり得る資質、能力を有する弁護士が、できる限り多く裁判官候補者として推薦されるよう努力するという方針を表明されました。最高裁がその方針を了承したところでございます。
それから、取りまとめの2項でございます。今度は最高裁の方ですけれども、任官希望者の採否につきまして、このレジュメに記載している内容の基本方針を表明いたしまして、日弁連がその方針を了承したということでございます。資料2の2ページの一番上でございますけれども、不採用の場合につきましては、本人から申し出がなされましたら、書面により、その理由を本人に対し開示するということも最高裁として表明してございます。
取りまとめの3項にまいりますと、日弁連が弁護士任官推進のために3つの環境整備方策を実施するということを表明しております。この関係で2点付言させていただきたいと思います。第1点目は、各弁護士会、または弁護士会連合会に「弁護士任官適格者選考委員会」というものを設置いたしまして、推薦手続を行う体制を整備しようということでございます。また、任官希望者名簿の整備もお考えのところでございます。第2点目は、弁護士任官希望者、それから弁護士任官をされた後弁護士に戻られるといった方々が在籍することができる事務所の設置、運営を促進するなどの推進策の整備を進めたいということでございます。
取りまとめの4項でございます。こちらは最高裁が弁護士任官推進のためにすべき方策について3つの環境整備方策を掲げております。この1つといたしまして、短期間の任官、専門的分野への任官ということにつきましても、最高裁が本人の希望を踏まえまして、積極的に取り組むという方針を表明しております。
取りまとめの5項ですけれども、後ほど御説明いたしますが、判事補が弁護士の職務経験を積む制度の整備に関しまして定めております。
また、6項では、両者がこうした課題につきまして、今後とも継続して協議するということをそれぞれ合意しております。
弁護士任官に関する協議の取りまとめの概要は以上でございます。
この協議会の今後でございますが、レジュメの2ページの一番下にあります今後の協議の予定について2点御説明したいと思います。
まず1点目は、判事補が弁護士の職務経験を積む制度に関する協議でございます。レジュメの3ページに具体的な事柄が書かれておりますけれども、最高裁と日弁連はとりまとめの5項を受けまして、今後、この制度の整備に向けて推進本部等の関係機関と協力しながら協議をすることを確認しております。2月26日に判事補を弁護士事務所で受け入れることにともなう運用面の問題を中心に実質的な協議を開始いたしました。次回は3月26日を予定しております。
もう一つは、調停事件の分野におけるいわゆる非常勤裁判官の問題でございます。この問題につきましては、協議会におきまして、日弁連から、非常勤裁判官の制度化を検討すべきであるという考え方が示されました。これに対しまして、最高裁からは、その制度化について、憲法上の問題点等が指摘されているわけですけれども、常勤の裁判官への任官を促進するといった機能も期待できるので、民事、家事の調停事件の分野につきまして、いわゆる非常勤裁判官制度を導入する方向で具体的に検討を開始したい、そのほかの非訟事件につきましても、導入できる分野がないか、研究したいという説明をいたしました。こういった説明につきまして、日弁連が了承したという経緯がございます。今後でございますけれども、この協議会におけるとりまとめを受けまして、今後、調停手続の分野におきまして、現在、裁判官が担っております役割を弁護士が非常勤の形態で担うことができる制度の具体化に向けた検討作業を進めることになろうと思います。最高裁と日弁連は近くこの点につきまして、協議を開始する予定にしております。これを実現するためには、立法措置が必要になってこようかと思われます。推進本部と連携を図りながら、検討を進めていきたいと思っております。
駆け足でまいったわけですが、この協議会の模様は以上のとおりでございまして、弁護士任官の推進は各種の裁判官制度改革の基盤となるものでございますので、本日の御報告の最後といたしまして、最高裁と日弁連から一言ずつ付言させていただくことで、とりまとめとさせていただきたいと思います。
まず、最高裁判所の方から述べさせていただきたいと思います。
内外の社会経済情勢の変化が著しく進んでいる状況の下で、国民の負託に応える裁判を進めていくためには裁判官の給源の多様化、多元化を図りまして、裁判官に多様な人材を確保をする必要があると考えております。
弁護士任官を推進するということは、そのための最も現実的、また、意義がある方策であると思われます。その意味で、このたび日弁連との間の協議によりまして弁護士任官を積極的に推進していくための具体的な方策につきまして合意に至ったということは誠に意義深いと裁判所として受け止めているところてございます。
今後、より多くの優れた弁護士が裁判官を希望するように、今回の合意文書でまとめられた施策を裁判所として確実に実行してまいりたいと考えているところでございます。
【日弁連(山内副会長)】日弁連といたしましても、最高裁との間に昨年の12月にこういった一応の取り決めがなされたことは、画期的なものと評価をしております。日弁連ではこのとりまとめを受けまして、具体的に様々な協議のとりまとめの結果に基づいた取組を開始しております。
「弁護士任官適格者選考委員会」を、今月中に全国8ブロックのうち5ブロックと東京の3つの単位弁護士会で既に設置し、あるいは設置される見込みでございます。残りの3ブロックにつきましても、立ち上げに向けて努力をしております。
そして、近畿弁護士会連合会では、この協議のとりまとめに定められた推薦手続にのっとりまして、既に6名の推薦手続を最高裁の方にとっております。
また、各単位会におきましては、弁護士任官支援事務所であるとか、弁護士任官推進基金の設置といった、この取りまとめにあります弁護士任官推進のための具体的、制度的な環境整備の取組を始めております。
日弁連では、2年に1度、司法シンポジウムを開催しておりますが、平成14年秋のシンポジウムのテーマは、この弁護士任官でございます。それも従来型の研究型ではなくて、何名の任官者を出すかといった実践的なシンポジウムと位置づけておりまして、11月を目指しまして、具体的な弁護士任官推進の成果を挙げるように努力を重ねております。それから、各地単位会との懇談会を全国的に開催しておりまして、具体的な弁護士任官輩出のための取組を進めております。
また、ただ今御報告を申し上げました非常勤裁判官制度と、それから他職経験のための制度の実現は、極めて重要なものだと考えておりまして、今後、日弁連はこの2つの課題について、早期にこれが実現するよう全力を尽くす所存でございます。
【伊藤座長】どうもありがとうございました。何かこの段階で御質問等ございますか。
【松尾委員】ここにありますように、弁護士任官を大幅に拡大することは極めて重要であるという基本認識は私も大いに同感であり、賛成いたします。また、弁護士任官の大幅拡大のためにそれぞれの環境整備を急ぐとか、あるいはこれまで必ずしも両者の間でかみ合わなかった点についても、双方努力されまして、これまで取りまとめをしたということは大いに評価しております。
ただ、現実の問題として、どの程度、どういう形で増大していくかという姿が見えにくいということです。最近では弁護士任官者は年に3〜4人でしょう。近畿弁護士連合会からの推薦手続者が6人という話がありましたが、その程度のことで弁護士任官を大幅に拡大するということが果たして言えるんだろうか。
つまり、制度的にもしっかりした制度設計はするものの、現実に弁護士任官を希望する人たちがどの程度なのかというイメージがはっきりわかないという印象を持っております。
したがって、最高裁と日弁連が合意した確認に沿って、その辺のところを十分に検討し、弁護士の意識も大きく変え、具体的に進めていく形をとっていかないと、せっかくの司法制度改革の根幹とも言える部分、つまり弁護士任官制度の改革問題が揺らいでくるのではなかろうかという感想を持っております。
【最高裁(金井参事官)】御指摘のところはもっともだと思っております。そういう基本的な認識に立ちまして、今回、最高裁と日弁連とで昨年の4月から精力的にいろいろな議論をいたしました。その中で、お互いのスタンスを確認し合いながらこのとりまとめに至ったという実績がございます。私どもとしましては、そういった実績を踏まえながら、今後、この制度を伸ばしていきたいと思っているところでございます。
【日弁連(山内副会長)】私どもも今、松尾委員が御指摘のとおりの認識でおりまして、これは単に制度をつくって、結果的にできないで済む問題ではないと考えております。これまでの弁護士任官は、出せれば出しただけでいい、出さなくても制度には直接は影響ないという位置づけだったのですが、今回は判事補の他職経験といったことを実施するためには、その後の補充をこの弁護士任官でしなくてはいけないという意味で、全く今までとは違った新たな位置づけを持ってきています。そういう新しい認識がありますし、それから、先ほど申し上げました法曹人口の大幅増加、それを分母にいたしまして、その環境整備も、具体的に支援事務所を作ったり、もっと大事なことは、そういった会員の弁護士任官に対する認識を基本的に変えていく、任官することは非常に名誉なことだという意識を持つということも必要であると思います。
それと同時に、非常勤裁判官制度導入のお願いを申し上げたのは、非常勤裁判官につきましては、会員の間でも非常に希望者が、現実的に、まさに何百人単位で十分出せるということがあります。もし制度が実現しましたらできるわけです。具体的には、仮に週1回くらい事件単位で受任して登庁してやっていくという話になりますと、現在、弁護士は調停委員その他を週1回くらいは何百人対応でやってやっておりますので、そういったことによって、まず非常勤裁判制度も突破口にしながら、ある程度非常勤裁判官として執務しているうちに、では、通常任官に、本格的に任官してみようかと考えるということもありますし、他方では、裁判所の方から見ますと、質の高い裁判官をスクリーニングする作用もございます。そういった両面から、一つのステップをおきながらやっていき、通常任官は通常任官で進めて環境整備をしていくいうことが考えられます。
【松尾委員】そういうふうな形で多分に弁護士任官制度の拡大強化が期待される状況になった場合に、今のように、東京や大阪だけの任官という形は望ましくありません。少なくとも全国的にそういう弁護士任官を希望する方たちが、しかも有能な方たちが出てくるシステムにしないといけません。確かに弁護士が東京、大阪にたくさんいらっしゃることはわかります。それから、地方も自分の仕事で精一杯という実態もわかっておりますが、弁護士任官という大きなシステムを考えていく場合に、地域的に大都市集中型というのはいかがなものだろうと考えますが、いかがですか。
【日弁連(山内副会長)】大都市に弁護士が実際上集中しているものですから、やむを得ないところもあるのですけれども、おっしゃるとおり、これは全国的にバランスがとれるように努力していきたいと考えています。
【伊藤座長】ただいまの点は、松尾委員の御指摘を踏まえて、これから適宜御報告をちょうだいできればと思いますので、どうぞよろしくお願いたします。それでは、大分時間が過ぎておりますので、少し急ぎますけれども、ただいまの御説明どうもありがとうございました。
続きまして、以上の点を踏まえまして、事務局から推進計画策定の進捗状況や、現段階における推進計画案に基づきまして、今後、当検討会で検討すべき事項、その検討順序について説明をお願いしたいと思います。
【植村参事官】では、私の方から御説明をさせていただきます。
現段階の司法制度改革推進計画案に基づきまして、法曹制度検討会において検討すべきであると考えられる事項とその大まかな検討順序につきまして、御説明をさせていただきます。
お手元の資料2−1、これは現在司法制度改革推進本部事務局を中心にして、作成作業を進めております推進計画案でございます。去る3月7日、顧問会議におきまして審議され、基本的に御了解をいただいたものでございます。推進計画は、最終的には、閣議で決定していただくということになります。
資料2−2「主な検討事項と検討順序」と書いてございます紙をごらんください。これは現段階の推進計画案に基づきまして、推進計画案に取り上げられました政府の行うべき措置などを左側の事項欄に並べてございます。そして、推進計画案に盛り込まれました法案提出時期等の観点から、政府の行うべき措置等につきまして、第1類型から第4類型までの4つの類型に分類させていただいたものであります。
まず、第1類型から第4類型の欄をご覧ください。
ここにありますように、第1類型は、推進計画案におきまして、平成15年通常国会に、本部において法案を提出することが予定されているものであります。
第2類型は、推進計画案におきまして、平成15年末までに本部において所要の措置を講ずるとされているものであります。
第3類型には3つのタイプを記載しております。
①と書いてございますのは、推進計画案におきまして、日弁連、最高裁にまず第一次的な検討をお願いし、その検討状況を踏まえて本部において検討し、なお必要な場合には、本部設置期限までに所要の措置を講ずるとされているものであります。
②は、具体的な期限は明示せずに、すなわち本部設置期限までに、本部において所要の措置を講ずる、とされているものであります。
③は、具体的な期限を明示せずに、同じように本部設置期限までに、本部において所要の検討を行う、とされているものであります。
第4類型は、法務省やほかの検討会が検討、あるいはそれに基づいて措置を行うとされているものであります。
この資料2−2の一覧表によりまして、推進計画案に取り上げられました各事項につきまして、以下、おおまかな御説明をさせていただきます。
当検討会の関係部分と申しますのは、大きく言いますと意見書の「III 司法制度を支える体制の整備」の相当部分であるということは前回御説明したとおりでございます。このうち「第1 法曹人口の拡大」の2といたしまして、「裁判所、検察庁等の人的体制の充実」というものがございます。このうち(1)で裁判官・検察官の必要な増員、(2)が裁判所職員・検察庁職員の質・能力の向上及び必要な増加、(3)が、これらのほか、司法を支える人的基盤の充実強化、という3つの項目が挙げられております。
このうち、裁判官・検察官や裁判所職員・検察庁職員の増員等につきましては、最高裁・法務省において、措置が講じられることになりますので、いずれも第4類型ということになります。(3)の司法を支える人的基盤の充実強化につきましても、法務省の予算措置等によって対応していただく部分が大であると思われます。したがいまして、相当部分は第4類型ということになります。当検討会におきましては、予算措置の推移も見た上で、予算措置以外の方策について検討していただくことになると思われますが、これは特に措置時期等が明示されておりませんので、第3類型ということになります。
続きまして、「第3 弁護士制度の改革」のうち、「1 弁護士の活動領域の拡大」すなわち、弁護士の公務就任の制限の自由化等につきましては、推進計画案におきまして、日弁連における検討状況も踏まえた上で検討し、必要な法案を提出する。その時期については、平成15年通常国会を予定とされております。したがいまして、第1類型となります。
1枚めくっていただきまして、「2 弁護士へのアクセス拡充」でございます。このうち「(1)法律相談活動等の充実」、すなわち「弁護士会の法律相談センター等の設置を進めること」につきましては、推進計画案におきまして、「日弁連における検討状況を踏まえた上で検討し、なお必要な場合には、本部設置期限までに、所要の措置を講ずる。(法務省)」と記載されておりますので、日弁連の検討状況を踏まえまして、必要な場合には、法務省において措置が行われることになります。したがいまして、第4類型ということになります。
同じ項目の「(2)弁護士報酬の透明化・合理化」、すなわち「弁護士報酬の透明化・合理化の見地からの、個々の弁護士の報酬情報の開示・提供の強化」等につきましては、推進計画案におきまして、「日弁連における検討状況を踏まえた上で検討し、なお必要な場合には、本部設置期限までに、所要の措置を講ずる(本部)」とされておりますので、第3類型となります。ただし、意見書におきましては、現在、弁護士法により弁護士会会則の必要的な記載事項とされております弁護士の報酬基準の必要的記載事項からの削除について言及されております。これにつきましては、他の弁護士法改正部分と併せて改正すべきであると思われますので、別に取り出して第1類型といたしました。
次いで「3 弁護士の執務態勢の強化・専門性の強化」のうち、(1)の「法律事務所の共同化・法人化、弁護士と隣接法律専門職種などにより協働化・総合事務所化(いわゆるワンストップ・サービス化)などを実効的に推進するために必要な方策」につきましては、推進計画案におきまして、「日弁連における検討状況を踏まえた上で検討し、なお必要な場合には、本部設置期限までに所要の措置を講ずる。(本部)」とされております。したがって、これは第3類型ということになります。(2)の「弁護士の専門性の強化」につきましては、推進計画案では「III の第2の4のとおり、必要な対応を行う」とされております。IIIの第2の4では、法務省及び文部科学省におきまして、逐次、所要の措置を講ずる、とされておりすので、第4類型といたしました。
3ページ「5 弁護士会のあり方」でございます。いくつかの項目がございます。
まず「(1)「弁護士会運営の透明化」、すなわち「弁護士会の会務運営について国民の意見を反映させることが可能となるような仕組みを整備することを始め、弁護士会運営の透明化を図ること」につきましては、推進計画案におきまして「日弁連における検討状況を踏まえた上で検討し、なお必要な場合には、本部設置期限までに、所要の措置を講ずる。(本部)」とされておりますので、第3類型となります。
次に「(2) 弁護士倫理等に関する弁護士会の態勢の整備等」でございますが、そのうちの「ア 弁護士会により綱紀・懲戒手続の透明化・迅速化・実効化を図ること」につきましては、推進計画案において、先ほど日弁連の方から臨時総会の御報告もございましたが、「日弁連における検討状況も踏まえた上で検討し、必要な法案を提出する(平成15年通常国会を予定)。(本部)」とされております。したがいまして、これは第1類型になります。
なお、「イ 法曹養成段階での倫理教育の強化」につきましては、推進計画案によりますと、法曹養成検討会や文部科学省で検討された上、所要の措置が講ぜられることになりますので、第4類型となります。
「6 隣接法律専門職種の活用等」につきましては、前回御説明したとおり、当検討会のテーマとしては、「(3)弁護士法第72条について」「規制対象となる範囲・態様に関する予測可能性を確保すること」が該当しております。この点につきまして、推進計画案は「遅くとも平成16年3月までに、所要の措置を講ずる。(本部及び法務省)」としておりますが、弁護士法第72条の改正が必要であるとすれば、弁護士法の他の部分と同時に改正を行うのが妥当と考えられますので、第1類型に分類しております。
4ページの「7 企業法務等の位置付け」でございますが、本検討会の検討対象としては、「(2) いわゆる特任検事、副検事、簡易裁判所判事の経験者の活用等を検討し、少なくとも、いわゆる特任検事経験者に対して法曹資格を付与する」ことが該当しております。 推進計画案では「そのための所要の法案を提出する(平成15年通常国会を予定)。(本部及び法務省)」とされておりますので、第1類型として取り扱うことになります。
次の大項目は「第4 検察官制度の改革」でございます。
このうち、「1 検察官に求められる資質・能力の向上等」につきましては、まず、推進計画案におきまして、「(1)検事が一定期間、国民の意識・感覚を学ぶことのできる場所で執務する制度の整備のための所要の措置を平成15年末までに講ずるなど、逐次、検察官の意識改革のための所要の措置を講ずる」こととされております。このうち「検事が一定期間、国民の意識・感覚を学ぶことのできる場所で執務する制度の整備のための所要の措置」は、平成15年末までに講ずることとされております。したがいまして、この部分は第2類型となります。なお、これ以外の検察官の意識改革のための措置については、法務省が検討し、逐次、所要の措置をされますので、第4類型となります。
次に(2)にあります各種「研修制度を導入するなど、検察官の能力・資質の向上を図るための所要の措置」につきましては、既に御報告によりますと、一部実施されているということでございましたが、法務省において講じられることになりますので、第4類型ということになります。
続いて「2 検察庁運営の国民参加」でございますが、推進計画案におきましては「検察庁運営について、国民の意見を反映させることが可能となるような仕組みを整備すること」が取り上げられております。ここには、検察審査会が検事正に対して行います建議・勧告の制度を充実・実質化することに関する所要の法案の提出が含まれておりますが、これについては前回御説明したとおり、裁判員制度・刑事検討会で別途検討されることになります。それ以外の措置につきまして、法務省で検討し、措置が行われることになりますので、第4類型となります。
次の大項目が5ページの「第5 裁判官制度の改革」でございます。
まず「1 給源の多様化・多元化」については、3つの項目がございます。「(1)原則としてすべての判事補に裁判官の職務以外の多様な法律専門家としての経験を積ませることを制度的に担保する仕組み」の整備については、推進計画案において、「最高裁における検討状況を踏まえた上で検討し、なお必要な場合には、平成15年末までに、所要の措置を講ずる。(本部)」とされております。これは既に最高裁からも問題意識が御披露されましたが、判事補に多様な法律専門家としての経験を積ませることについては、何らかの法制上の措置が必要ではないかという問題意識であり、平成15年末までに所要の措置を講ずることとされておりますので、第2類型となります。
次に、「(2)特例判事補制度の計画的かつ段階的な解消の条件整備に資する方策」につきましては、推進計画案におきまして、「最高裁における検討状況を踏まえた上で検討し、なお必要な場合には、本部設置期限までに、所要の措置を講ずる。(本部)」とされておりますので、第3類型となります。
また、「(3)いわゆる弁護士任官の推進」につきましても、推進計画案において、「最高裁及び日弁連における検討状況を踏まえた上で検討し、なお必要な場合には、本部設置期限までに、所要の措置を講ずる。(本部)」とされており、第3類型となります。
なお、先ほどのプレゼンテーションにございました、弁護士任官等協議会における、いわゆる非常勤裁判官制度についての議論は、この分野に関係するものでございます。最高裁から民事調停、家事調停の分野において、現在、裁判官が担っている役割を弁護士が非常勤の形態で担うことができる制度の具体化に向けて、両者で協議を開始する予定であるという御説明がございました。そして、その実現のためには、立法措置が必要になると考えられるので、推進本部と連携を図りなから検討を進めたいということでございました。
本部事務局といたしましても、立法化に向けて積極的に取り組んでいきたいと思っております。
次に、「2 裁判官の任命手続の見直し」でございます。推進計画案におきまして、「最高裁に、その諮問を受け、下級裁判所の裁判官として指名されるべき適任者を選考し、その結果を意見として述べる機関を設置する」ことなどが挙げられており、これに関しては、「最高裁における検討状況を踏まえた上で検討し、なお必要な場合には、本部設置期限までに、所要の措置を講ずる。(本部)」とされております。したがって、第3類型となります。
次は6ページの「3 裁判官の人事制度の見直し」であります。
これにつきましては、まず「(1)裁判官の人事評価について、可能な限りその透明性・客観性を確保するための仕組みを整備すること」につきまして、推進計画案におきまして、「最高裁における検討状況を踏まえた上で検討し、なお必要な場合には、本部設置期限までに、所要の措置を講ずる。(本部)」とされております。したがって、第3類型となります。
次に、「(2)裁判官の報酬の進級制(昇級制)の在り方について、報酬の段階の簡素化を含め、検討する。(本部)」とされており、これも第3類型になります。
また、「4 裁判所運営への国民参加」については、「裁判所運営について、国民の意見を反映することが可能となるような仕組みを整備すること」とされております。これも推進計画案におきまして、「最高裁における検討状況を踏まえた上で検討し、なお必要な場合には、本部設置期限までに、所要の措置を講ずる。(本部)」とされておりますので、第3類型となります。
続いて、「5 最高裁裁判官の選任等の在り方について」の項目では、「(1)最高裁裁判官の地位の重要性に配慮しつつ、その選任過程について透明性・客観性を確保するための適切な措置を検討する。(本部)」。「(2) 最高裁裁判官の国民審査制度について、審査の対象となる裁判官に関する情報開示の充実に努めるなど制度の実効性を高めるための措置を検討する。(本部及び総務省)」とされております。したがいまして、これらはいずれも第3類型となります。
最後の大項目でございます「第6 法曹等の相互交流の在り方」は、法律専門職(裁判官、検察官、弁護士及び法律学者)間の人材の相互交流の促進に関するものでございますが、これは、推進計画案において法務省の担当とされておりますので、第4類型とさせていただきました。
以上のとおり、推進計画案に取り上げられました事項を、推進計画案に盛り込まれた法案提出時期等の観点から分類させていただきますと、当検討会において検討すべき事項は、資料2−2の第1類型から第3類型までに分類された事項になります。そして、これらの事項の検討の優先順序でございますが、推進計画案に基づきまして、ごく大まかに言えば、第一に平成15年通常国会への法案提出を予定している第1類型、次いで、平成15年末までに所要の措置を講ずることとされております第2類型、そして、日弁連、最高裁に、まず第一次的な検討をしてもらい、その検討状況を踏まえて本部において検討し、なお必要な場合には、本部設置期限までに所要の措置を講ずるとされております事項や、期限は明示せずに、すなわち本部設置期限までに所要の措置を講ずることとされたり、あるいは所要の検討を行うこととされている事項、すなわち第3類型に分類される事項になろうかと考えております。
第3類型につきましては、日弁連や最高裁に第一次的な検討をお願いする事項が数多く含まれております。これらの事項についての具体的な検討時期につきましては、今後、事務局が日弁連、最高裁の検討スケジュールや実際の検討の進捗状況を把握いたしまして、当検討会において、御議論ができる状況になった段階で、当検討会で取り上げ、日弁連、最高裁から検討状況についての御報告を受けた上で、御議論をいただくということになろうかと考えております。このため、事務局といたしましても、日弁連や最高裁の検討の進捗状況等につきまして、今後、日弁連、最高裁と連絡を一層密にいたしまして、的確に把握していく必要があると考えており、場合によっては督促をさせていただくこともあろうかと考えております。
それから、日弁連・最高裁の検討の進捗状況によりましては、第3類型に含まれる事項につきましても、第1類型の事項についての検討と同時並行的に検討会で議論していただく場合があるかもしれないと思っております。例えば、本日、法務省から、検察官の身分を離れて検事を民間に派遣する場合には、恐らく立法的措置が必要になるのではないかと思われる、という話がございました。最高裁からも、原則としてすべての判事補に裁判官の職務以外の多様な法律専門家としての経験を積ませることを制度的に担保する仕組みの整備については、退職手当や共済関係等の面について、適切な配慮をすることが課題であり、立法措置が必要になる可能性が高いので、本部と連携を図りながら検討する必要があるというお話もございました。この事項につきましては、推進計画案におきまして、平成15年末までの措置を求められております。この事項のうち、退職手当や共済関係等の面について適切な配慮をするという点についてだけ切り離しまして、早い時期に最高裁の検討状況を検討会に報告していただくという可能性もあるようにお聞きした次第であります。
ところで、日弁連・最高裁に第一次的な検討を進めていただく事項につきましても、日弁連、最高裁による検討が固まるのを待つ、ということではございません。そうではなくて、日弁連の場合であれば、例えば弁護士会の会則で規定するということがあろうかと思いますが、そういう会則で規定する内容が固まる前、最高裁の場合であれば、例えば最高裁規則で規定するということがあろうかと思いますが、その規定する内容が固まる前に検討会に持ち込んでいただくということを考えております。
更に、日弁連、最高裁に第一次的な検討を進めていただく事項につきましては、最高裁からもその方針であるというお話も既にいただきましたが、今後開催する各検討会におきまして、適宜、日弁連、最高裁から、検討の進捗状況等につきまして、御報告をいただきまして、必要に応じて質問等の機会なども設けまして、皆様方で検討していただければと考えております。
推進計画案に基づきまして、この検討会で検討すべきであると考えられる事項と、そのおおまかな検討順序につきましての、事務局からの説明は以上でございます。
【伊藤座長】どうもありがとうございました。ただいまの説明でおわかりいただいたと思いますけれども、特に第3類型に区分している事項につきましては、しばらくはここで何もやらないとか、情報が全く入ってこないとか、あるいは入ってくるころには内容が固まっているということではございません。内容が固まる前に出していただくし、その前にも必要な報告を受けたり、議論をしたりという機会は当然設けるという前提で考えてよいと思います。
それでは、今のことにつきまして、何か御質問がございましたらどうぞ。
【木村委員】大変わかりやすく図示していただいてありがとうございました。いろいろ項目が書いてございますけれども、いわゆる司法制度改革審議会の意見書の中の、司法制度を支える体制の充実強化という項目は大変重要だと思います。法曹制度の中で一つの山になっていると思うのです。そこで、具体的に裁判官とか検察官とか裁判所書記官などの増員についての事項がございますが、全体的な法曹人口の拡大ということをフォローするという意味で、全体を通して法曹養成検討会など他の検討会も含めて討議する必要がどこかで出てくるのではないかと思うのです。
例えば、意見書を見ますと、58ページですが、先ほど山内副会長から御説明がありました、年間3,000人ということがあって、弁護士会の方でも対応を考えたということですが、ここの一番最後を読みますと、我々が検討しなくてはいけないと思うのですが。この3,000人というのは、「計画的にできるだけ早期に」達成すべき目標であって、上限を意味するものではないと書いてあるところです。これは大変なステートメントです。上限はだれが決めるのか。そういうことも含めて、法曹人口というのは今後の日本における在り方、例えば訴訟の増加とか、あるいはその訴訟に係る時期、何か月で訴訟が終わっているのか、そのようなデータも含めて、本当にこれだけの増員が必要なのか。それとも、上限を意味するものではないということは、もっと増員が必要となってくるのか。特に法曹養成、ロースクールとの関係で、その辺の根本的な討議をどこかでやっていかないといけないのではないかと思います。
それに関連して言えば、資料2−2のIII の(3)ですが、「上記(1)(2)のほか、司法を支える人的基盤の充実強化をはかること」というところで、法務省による所要の措置と書いてありますけれども、ここは、最高裁の方でも裁判官、裁判所書記官の増員が必要であり、日弁連の方でも弁護士の増員が必要であるということであれば、そういうことを項目として入れて、第3類型でやる必要があるのではないと考えましたものですから、発言させていただきました。
【大野次長】法曹人口の拡大につきましては、今、木村委員から御指摘のあったとおり、これは上限ではないということになっているわけです。そして、将来、本当に必要な法曹人口がどうなっていくかということは、意見書にも記載されているように、これからいろいろな状況が複合的に絡まって決まっていくのだと思います。例えば、制度改革によって、社会の法的なニーズがどのように動いていくのか、あるいは、法曹養成制度の改革がどのような実効を上げていくのか、そのような複合的な要因により、あるべき人数というのも決まってくるのだと思います。これを見極めていくのには少々時間が必要なのではないかと考えております。
意見書で言っておりますのは、平成22年に3,000人というのをとりあえずの目標に置いているわけですけれども、この3,000人達成後の姿についてどうするのかというのは、もう少し時間をおいて、いろいろな不確定要素が、もう少しはっきりした後で議論する方が適切なのではないかという印象を持っております。
【奥野委員】法律は素人なので何が起こっているのかよくわからないのですが、素人から見て異様に感じたことをお聞きしたいと思います。それは何かというと、法曹三者と言って、日弁連、最高裁、検察とあるわけです。弁護士と判事に関しては日弁連と最高裁に一次的検討を任せるというのがあって、それで必要な場合には措置をするということでこの検討会に戻ってきます。必要な場合を判断するのは多分この検討会だと思うのです。ところが、検事に関わるものは、第4類型であって、法務省が勝手にやるということになっており、我々は口出しはできないということになっているわけです。これはどういう法律的な根拠によって、こういうことが起きているのでしょうか。素人から見ると異様な感じがするので、その辺を教えていただければと思います。
【大野次長】確かに法曹三者と言いましても、その中で、裁判所と弁護士の部分はそれぞれの検討を待つという部分が多いわけであります。これは前回も御説明申し上げましたように、裁判所については司法の独立があり、弁護士については、弁護士会の自治という問題がありますので、それぞれ第一次的に最高裁、あるいは日弁連に取り組んでいただくという仕組みになっているわけであります。それでは、検察官に関する部分はどうかということになるわけでありますけれども、検察官は、広い意味の行政に所属するわけでありますから、最高裁や日弁連のような、政府から見た場合に特別な取扱いをする必要というのはないということになるわけです。ただ、検察官に関わる諸制度につきましても、運用上の問題、それから、法整備を要する場合と、恐らく2つあるのだと思いますけれども、運用上の問題は、基本的に所管の法務省で対応していただければいいと考えております。しかし、運用で賄えないような立法を要するものは、内閣に司法制度改革推進本部が設けられた趣旨に鑑みましても、これは本部として取り組んでいく必要があるということで、そこのところを書き分けているわけでございます。
【奥野委員】私は、法曹制度検討会を普通の審議会のようなものとして位置づけています。普通の審議会とは何かというと、行政が独走しないように、審議会というものが第三者的な立場から行政に対して何らかのチェックをするという形でやっていて、むしろ日弁連とか最高裁のような独立した、行政とは無関係なものに関しては、審議会的なものは余り口出ししないというのが普通のような気がするのです。そういうことで言うと、行政がやっていることに関して、我々はむしろ言うべきであって、日弁連、最高裁に関してはできるだけ独立させた方がいいということの方が、私は本来の在り方のような気がするのです。しかし、ここではやり方は全く逆転していて、意見書にそう書かれているのは、仕方がないのかもしれませんが、むしろ行政に関連することは我々は口出しできなくなっています。むしろ本来、独立機関である日弁連、最高裁に関して我々は口出しろと言っているという感じがするのですが、これは誤解でしょうか。
【植村参事官】私の方から御説明したいと思うのですが、今回、本当に何十年ぶりかの大きな司法全体の見直しの機運が起こってまいりまして、それで、現在の推進本部が引き継ぐ前提となっておりましたのが司法制度改革審議会でございます。司法制度改革審議会が内閣の下に置かれまして、司法制度全体にわたりまして、政府が法律を作成して対応すべきところ以外の裁判所の分野でございますとか、日弁連にやっていただく分野につきましても、いろいろ検討していただいて、去年の6月の段階で審議会の意見を出していただいたわけでございます。いろいろ出していただいた中で、法律を作って対応していかなければならないものがたくさんございまして、基本的には、その部分を本部が引き受けたということでございます。そして、これを実施するために10の検討会をつくりまして、いろいろな分野にわたって検討していただいているわけでございます。
当検討会の分野と言いますのは、先生御指摘のとおり一番わかりにくい分野でございます。裁判所、日弁連、検察官の世界を扱うものでございますから、もともとは最高裁の事柄というのは、今日の御説明でもありましたとおり、憲法上、最高裁に規則制定権というのがありまして、それで賄えるところもあるわけでございます。それから、日弁連におきましても、弁護士自治が認められておりまして、会則をつくっておられまして、会則で対応することが可能なものというのも多々あると思っております。第一次的に日弁連や最高裁に検討をお願いしておりますものの中には、意見書の趣旨を十分反映して、きちんと対応され、検討会の皆さんにお諮りしても、そこまでやるならよいであろうということであれば、もともと先生が御指摘になりましたように、最高裁の規則で対応する、あるいは日弁連の会則で対応するということで十分であり、最終的な決着を見るものもあろうかと思います。ただ、それでは足りないという可能性もございまして、最高裁、日弁連に検討状況を報告してもらい、委員の先生方の御意見を賜りながら検討させていただいて、少々足りないので、法律にしましょうというものがあれば、この検討会で検討していただいた上、法律を作成するということになっておるわけでございます。非常に錯綜しておりますが、そのようなところです。
【大野次長】御質問の趣旨を踏まえて重ねて申し上げますと、本日の分類で、法務省において所要の措置となっている点が多いわけですけれども、実はこの表に書かれていないところで、最高裁において所要の措置、あるいは日弁連において所要の取組がとられる案件は多々あるのです。これらがなぜこの表に出てこないかと申しますと、この表の内容、すなわち政府の推進計画に盛り込まれているのは、あくまで政府による措置に限られているからです。最高裁や日弁連は、「政府」すなわち行政の一員ではないので、最高裁が規則や運用などで対応するものや、日弁連が会則や運用などで対応するものは、政府の推進計画の外になり、この表の中には表示されておらず、裁判官や弁護士の改革で政府の推進計画の中に入ってくるのは、立法による措置があり得る部分だけになるわけです。そこが推進計画の大変わかりにくいところでありまして、先ほど御説明申し上げました政府の推進計画と同時に、最高裁や日弁連の推進計画が明らかにされ、それらを全体としてご覧いただかないと、全体としての計画がわかりにくいと申し上げたのは、正にこうした点についてであります。
例えば、裁判官、検察官の増員について、法務省における所要の措置というのは出ているわけですけれども、実は裁判官の関係につきましては、同時に裁判所において所要の予算的措置がとられることになるわけです。しかし、それはこの表には出ていない。その見え方の問題が、先生がそのような印象を持たれた原因であると思いますので申しておきます。
【平山委員】資料2−2にまとめていただいたのは、非常にわかりやすくて大変結構だと思いますが、これにつきまして、確認を幾つかしておきたいと思います。
今のお話にもございましたように、第3類型のところで説明に「第一次的検討」という言葉が出てきましたが、これは今まではどこにもなかったと思うのです。そして、そのほかの部分については、「検討状況を踏まえた上で」と書かれておりますが、何か区別があるのでしょうか。それから、先ほどの奥野委員の質問にもございましたけれども、「なお必要な場合には」というのが出てまいりますけれども、これはこの検討会で必要な場合と判断するという趣旨なのかどうかというのがちょっと見えない部分があります。それから、「なお必要な場合」については、今の大野さんの話にもありますように、弁護士会の会則や裁判所の規則ができてしまってからでは、とても私は不可能だと思うのです。そういう意味で、できる前にこういう検討をしていますよということをこの検討会に出してもらわないと、できてしまってからではこの検討会でやることは何もないということでは困るので、そういう意味で、この点についてはどういうことを考えているかということをあらかじめ事務当局の話を聞いておきたいというのが1点でございます。
2つ目は、第1類型だけをずっと先行してやるということになると、なかなか難しい問題があるように思います。そういう意味で、前回も申し上げましたけれども、座長に今日は特にお願いしたいのですが、皆さんにお諮りいただきたいと思いますのは、法制審ですと第一読会みたいなことがありますけれども、ここは別だと思いますけれども、今回の改革の全体、第1類型から第4類型について、我々が共通の認識を得るために、みんなが今後のこの改革について、議論するにあたって、喩えて言えば、司法改革の森全体(個々の樹木の枝振りではなく)をよくわかり納得するためには、1、2回は少なくとも全体について議論していただいた方がいいと思うのです。その上で、例えば第1類型の、弁護士関係ですと、活動領域の拡大というのがありますが、これなどは、法改正をするかという問題ですから、しなさいということであれば、直ちにそれはやることにはなると思います。しかし、この制度の歴史的な背景、それから難しさ、例えば弁護士法30条でも1項、2項、3項がありまして、そう容易に料理できない部分がございまして、この辺りについては、問題点をきちっとわかるようにした上でやらないと、何となく委員が集まりましたけれども、何をやったかわからないうちに通過してしまったということになりかねないと思うのです。
そういう意味で、我々が共通認識を得るための議論の機会を、1、2回は御配慮いただきたい。その上で迅速にやっていくということは私は賛成ですけれどけも、資料2−2にあることを粛々とやりますという意味でもないと思いますけれども、この一覧表のとおりやれと言われても、これはなかなか皆さんの納得が得られないという気がします。
【伊藤座長】前半のことは事務方にお答えいただきますが、後半の方、先生がおっしゃったこともですが、前回中川委員からも、きちんとわかりやすく話をした上でやってくれという御要望もございましたので、今、平山委員が御指摘のような第1類型の問題についても、それぞれの事項を審議する際に、どうしてその事項が出てきたかというのはあらかじめ前提にして、そこの説明は一切なしでやるとかということはしないで、きちんとその問題の性質と内容と、なぜそれがここに出てきているかということを、必要であれば事務局、ないし別のところからも説明していただいてやっていくということでいかかでしょうか。
【平山委員】その際に、事務局の説明だけでは、私は納得性が低いと思うのです。そういう意味で、例えば弁護士法30条問題でしたら、弁護士会のヒアリングを十分やっていただきたいという意味です。事務方には非常に御苦労いただくのですけれども、裁判所の問題でしたら、裁判所のヒアリングを是非一回はしていただいて、詰めていくということをお願いしたい。
【伊藤座長】どうぞ。
【植村参事官】今の点でございますが、例えば弁護士法30条の御議論が出ておりますが、これについて申しますと、資料2−2の1枚目、第1類型で、「日弁連における検討状況も踏まえた上で検討し」とございます。したがいまして、事務局といたしましては、日弁連におかれまして、これまでこの弁護士の公務就任の制限の問題、営業等の許可制の問題、この点について御検討されておりますので、それにつきましても、この場で、どのくらいの時間をかけるかはともかく御紹介いただいて、その上で委員の皆様方からの質疑もしていただくということを考えております。
一つ一つのものにつきまして、日弁連等における検討を踏まえてとなっておりますものについては、十分に日弁連、関係機関からの説明も拝聴した上で、御検討をお願いしたいと考えております。
【伊藤座長】前半の方はどうですか。
【植村参事官】前半の方は、1ページに第3類型のところで第一次検討と書いておりますが、これは特に意味があって書いたわけではございません。中の方には第一次と書かないで、日弁連における検討状況を踏まえた上でと書いてございまして、これと区別はございません。
【平山委員】検討の段階というのはだれが判断するのでしょうか。
【植村参事官】第一次検討につきまして、日弁連、最高裁からその検討状況、検討結果ではなくて検討状況をまず報告していただきます。そして、委員の先生方から御意見をいただいて、それで最終的に法案作成が必要かどうかという判断がございます。これは皆様方と、つまり検討会と事務局が一体になって法案づくりをしていくわけでございますから、その一般原則に戻りまして、検討させていただくということになります。
それから、御確認の意味で御発言があったと思いますが、繰り返しになって恐縮でございますが、弁護士会や裁判所における検討結果が出る前に検討をしなければいけないという御発言がございましたが、それはまさにそのとおりでございまして、先ほど来申し上げておりますように、日弁連であれば、会則でこうしたいというのがあった場合、その内容が確定して動かなくなってから持ってきていただくのではなくて、その前に持ってきていただきます。最高裁につきましても、規則の検討がこれから始まる場合もあるかもしれませんが、その内容が決まってしまって動きがとれない段階ということではなくて、その前に持ってきていただいて、検討をさせていただきたい。このように考えております。
【木村委員】第1類型に平成15年通常国会法案提出予定とありますが、日程的にいうと、通常国会というのはいつごろになるのでしょうか。
【植村参事官】例年で申しますと、1月から始まりまして6月までが通常国会の会期で、150日間でございます。
【木村委員】そうすると、その前にいろいろ具体的に出さなくてはいけないわけですね。
【植村参事官】1月になってから法案固めをしていたのでは遅いわけでございます。
【木村委員】それは大変ですね。
【植村参事官】これに間に合うように準備をしないといけないということになります。
【木村委員】そうしますと、やはり全体として、どういう問題がこの平成15年通常国会に出てくることになるのか。それに伴って検討会の議論のプライオリティーがある程度決まってまいりますね。そこら辺のところの全体の見通しがはっきりしないところで議論するのか、あるいは、ある程度2回くらいは、全体的な見通しを踏まえて議論するのか。
例えば15年末ということは、その次の通常国会になるわけでございますね。
【植村参事官】通常国会は年に1回でございまして、それまでの間に例年で申しますと、臨時国会があるのが最近は多うございます。
【木村委員】そうしますと、臨時国会に出すことになるわけですか。
【植村参事官】15年末までに措置予定の案件で、法案を出さないといけないということになれば、15年の通常国会に間に合わなければ、仮に臨時国会があれば、そこに間に合うように出すということです。
【木村委員】第2類型も非常に重要なテーマがいろいろございますね。ただ、第1類型がプライオリティーということに一応なるわけですね。しかし、第1、第2、第3といろいろありまして、全体的な見通しで、なぜこれが第1類型で、なぜ国会に法案提出が必要かということの総合的な理解を踏まえて具体的な検討をするということで、座長にその方向でお願いできればと思います。
【松尾委員】我々、法曹制度検討会が何を対象に、どの範囲で検討するのか。失礼ですが、委員の間には、まだかなりの認識の濃淡があろうかと思います。だから、そこのところをきちっと全体で討議し、その結果を受けて、資料2−2にある類型の第1、第2、第3と、第4は具体的に関わりがないのかというようなことを討議していって、この検討会でこうしましょう、こういうところに問題を絞って討議しましょうという部分がないと、この順序でいっても、何か生半可に終わってしまう可能性があるのではないでしょうか。
【伊藤座長】大分御議論があるようですが、本日は、事務局から資料2−2の第1類型ないし第4類型についての説明をいただいて、それぞれいろいろな御意見をいただいわけですが、次回の最初に少し時間をとって、本日の議論の続きをさせていただくということではいかがでどうでしょうか。ただ、大変時間が限られておりますので、次回はそれだけということではなく、その問題を若干御議論いただいた上で、いずれにしても、第1類型については、今、御指摘ございましたように、非常に急ぐ話でございますので、第1類型に属する弁護士法改正問題について、事務局から具体的な論点を提示して、引き続いて議論をいただくということでいかがでしょうか。
それから、本日話がございました非常勤裁判官制度につきましても、民事調停、家事調停につきまして、どういう法改正の方向があるかということについても、個別議題としてやはり議論していただく。こんなことで次回は進めさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
【中川委員】この分割案の中で、最後の方に、最高裁判所判事の地位の重要性に配慮しつつ、選任過程について透明性、客観性を確保するための適切な措置というのがあります。これは大変重い問題でもありますし、どこまでやるかということについて、いろいろな問題もあると思います。この委員会で取り扱うのが本当に妥当なのかどうか。もっと広く議論を深めるべきではないかという感じもするのです。したがいまして、この問題については、次回までに最高裁なり事務局の方で、その辺はどういうお考えかを是非教えていただければありがたいと思います。この問題は、ちょっと異質と言いますか、この検討会だけで審議する問題ではないと思います。
【伊藤座長】そこはおっしゃるとおりです。また、いろいろな御意見があるかと思いますので、ちょっと事務局としても整理をしていただきたいと思います。
それでは、大変急ぎまして、申し訳ございませんけれども、ただいまのような議論を踏まえて、次回の段取りについて説明お願いできますか。
【植村参事官】次回は4月16日の午後1時30分から開会させていただきます。一応午後4時までを予定していただきまして、御議論いただきたいと思います。
先ほど議論がございまして、座長に取りまとめていただきましたとおり、議事の進め方につきまして更に議論をしていただいた上で、平成15年の通常国会に法案を提出することが推進計画の案の中で予定されております弁護士法改正問題について、個々の問題につきまして、事務局の方で具体的な論点をお示しいたします。そうすれば、大体どのようなことを具体的にこの場で議論するのかということを委員の皆様方にもおわかりいただけるのではないかないかと思っておりますが、そのような論点をお示ししまして、御議論を賜りたいと思っております。
ただ、先ほど平山委員からのお話もございましたとおり、具体的な議事の進め方につきましては、事項についての日弁連等からの御報告ということもありますので、その辺は今後十分検討いたしまして考えていきたいと思います。
それから、いわゆる非常勤裁判官制度につきまして、今座長からもありましたとおり、民事調停、家事調停につきまして、弁護士が裁判官の役割を務めるための法改正の方向性のようなものについて事務局の方でお示ししたいと考えております。
以上でございます。
【伊藤座長】それでは、なお、御質問や御意見があるかと思いますけれども、次回の最初に少し時間をとらせていただきますので、そこでよろしくお願いいたします。
それでは、本日の議事はこれで終了したいと思います。なお、本日の検討会の模様につきましては、会議の終了後に私の方から報道関係者に対して、いわゆる記者レクを行うことになっておりますので、この件も御承知おきください。長時間ありがとうございました。また次回もどうぞよろしく願いします。
(以上)