第2回配布資料一覧

日弁連配付資料---資料1−2

司法制度改革に関する日弁連の取組状況について

2002年3月12日
日 本 弁 護 士 連 合 会
副 会 長  山 内 堅 史



第1 はじめに


 日本弁護士連合会副会長の山内堅史でございます。
 司法制度改革に関する日弁連の取組状況を報告する機会を与えられたことに感謝いたします。お手元に配布しました、「司法制度改革に関する取組状況について」というレジュメ(資料1−1)をご覧になりながら、お聞きいただければと思います。

 さて、司法制度改革審議会意見書の法曹制度改革の冒頭は、「制度を活かすもの、それは疑いもなく人である。」という言葉で始まります。この言葉に象徴されるように、審議会意見は、いくら制度を改革してもこれを担う人の改革なくしては、制度改革も活かせないことを明らかにしました。
 その意味で、数ある検討会の中でも、司法を担う人の改革を扱う、この法曹制度検討会での議論が、今次の司法制度改革の成否を握ると言っても過言ではありません。
 これまで日弁連は、国民の基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の団体として、多くの活動を行うともに、1990年以来、「市民のための大きな司法」を目指して、司法制度改革に努めて参りました。弁護士は敷居が高いとか、国民のニーズに応えていないなどといった、様々なご批判を謙虚に受け止め、自らを国民にとってより身近で、親しみやすく、頼りがいのある存在として脱皮するために、たゆまない自己点検と、自己改革を重ねてきました。
 ところで、審議会の議論は広く国民に公開されましたので、国民各層からも様々な意見が出されましたが、審議会では、まず法曹人口全体の拡大が全ての改革課題の前提であるとされ、弁護士制度改革のみならず、裁判官制度、検察官制度も、それを担う十分な数の法曹が確保され配置されて初めて司法制度の改革が現実のものとなるのであるとしました。
 このような認識のもとに、日弁連は、一昨年11月1日の臨時総会で、弁護士人口の大幅拡大へと方向を転換し、改革推進へと大きく一歩を踏み出しました。日弁連の司法制度改革の歴史において、この臨時総会決議は、大きな転換点だったと考えております。
 量の拡大が改革の一方の前提だとすれば、質の維持向上も同時にその前提であります。「質の高い法曹が、数多く社会の隅々にまで厚い層をなして存在すること」、そうすることによって初めて、今回の司法制度改革が目指した民主主義の再生が果たされると考えます。この意味で、「量の拡大と質の維持・向上」こそが、制度を担う人の改革のキーワードであると考えています。
 われわれも全力を尽くして、質の高い弁護士が社会の隅々にまで存在しているような世の中を目指して改革に取り組んでいく決意であります。
 以下、具体的な改革課題につき、これまで日弁連が行ってきたこと、これから予定している取り組みを紹介するとともに、裁判所、検察庁の改革として日弁連が必要だと考えていることにつき、申し述べます。