第2回配布資料一覧

日弁連・最高裁配付資料---資料2

任官推薦基準及び推薦手続




(別紙1)

 日本弁護士連合会は,全国の各地域の弁護士会連合会又は弁護士会において,「推薦基準」(以下「1」に記載)に従った「推薦手続」(以下「2」に記載)が行われ,司法制度改革審議会が示したような多様で豊かな知識・経験と人間性を備えた裁判官となりうる資質を有する,多数の候補者が推薦されるよう努めるものとする。

1 推薦基準

(1) 形式的基準は以下のとおりとする。

  1. 弁護士経験10年以上の判事任官が望ましいが,当面弁護士経験3年以上の判事補任官も可とする。
  2. 年齢55歳位までの者を基本とする。
  3. 懲戒処分を受けたことがないこと

(2) 実質的基準は以下のとおりとする。
  1. 法律家としての能力,識見
    a 事実認定能力,識見
    b 法令の解釈適用上の法技術能力
    c 事件処理に必要な理論上及び実務上の専門的知識能力
    d 幅広い教養に支えられた視野の広さ
    e 人間性に対する洞察力
    f 社会事象に対する理解力
  2. 人物・性格面
    a 廉直さ
    b 公正さ
    c 寛容さ
    d 忍耐力
    e 決断力
    f 慎重さ
    g 注意深さ
    h 独立の気概
    i 精神的勇気
    j 協調性
    k 積極性
    l 柔軟性
    m 基本的人権と正義を尊重する心情
    n 自己管理能力・自己評価能力
    o 思いやり・親切心
  3. その他
     推薦にあたっては,任官希望者の人種,信条,性別,社会的身分,門地,宗教については,これを考慮しない。

2 推薦手続

(1) 所属弁護士会に対する推薦の申込

  1. 他薦の場合は本人の承諾を前提とする。
  2. 自薦,他薦を問わず,推薦者がある場合には,推薦書を添付する。

(2) 所属弁護士会又は弁護士会連合会の「弁護士任官適格者選考委員会」による選考手続
  1. 本人から質問票への回答及び関連資料の提出を受ける。
    a 質問票は,情報収集のための照会先に関する事柄を含む。
    b 質問票は,弁護士としての実績や任官基準の適否に関する事柄が理解できる内容のものとする。
    c 関連資料は,取り扱った主要事件や弁護士会会務に関して作成した書面,論文及び随筆等,質問票への回答書記載の事実が認定できるものを含む。
  2. 上記の回答に基づいて,次のうちの複数の関係者に質問票を送付する。
    a 同一事務所の所属弁護士
    b 同一弁護士会の所属弁護士
    c 司法修習の同期生
    d 事件を共同して担当した弁護士
    e 事件の相手方であった弁護士
    f 事件の審理を担当した検察官
    g 事件の審理を担当した裁判官
    h その他
  3. 弁護士会から以下の事項に関する資料の提出を受ける。
    a 会務,役職等に関する経歴
    b 賞罰,倫理に関する事項
  4. 上記の資料に基づいて,本人に対する面接を行う。
  5. 上記の結果に基づいて,推薦の可否を答申する。

(3) 所属弁護士会又は弁護士会連合会による推薦
所属弁護士会又は弁護士会連合会は,上記答申を尊重し,推薦の可否を決定する。

(4) 最高裁判所への申込方法
上記推薦手続に基づく任官希望者は,日本弁護士連合会を経由し,上記推薦手続を行った弁護士会又は弁護士会連合会の推薦書及び資料等を添付して,最高裁判所事務総局人事局に所定の申込書を提出する。

(5) 推薦手続を経ない任官申込みの取扱い
任官希望者から最高裁判所に直接申込みがなされた場合,最高裁判所において,上記推薦手続が存在することを教示し,その手続を経る機会を与える。