第2回配布資料一覧
日弁連・最高裁配付資料
弁護士任官等に関する協議会における協議の状況
(法曹制度検討会における共同説明・骨子)
平成14年3月12日
- 1 弁護士任官協議会の設置等
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- 最高裁と日弁連は、昨年4月、司法制度改革審議会における審議を受けて、「弁護士任官等に関する協議会」を設置(資料1参照)。
- 弁護士任官の推進及び判事補が弁護士の職務経験を積む制度を実効あらしめるための具体的方策について協議することを目的に発足。
- おおむね月2回のペースで協議を継続。
- 2 弁護士任官の推進に関する協議
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- まず、弁護士任官の推進のための方策について協議を進め、昨年12月7日、当面講ずべき措置について、「弁護士任官等に関する協議のとりまとめ」(資料2参照)のとおり合意。
- この協議においては、最高裁と日弁連の両者が、裁判官の給源の多様化・多元化を図り、21世紀の我が国社会における司法を担う高い質の裁判官を安定的に確保するため、弁護士任官を大幅に拡大することが極めて重要であるとの基本認識の下に議論を重ねることにより、とりまとめの作成に至ったもの。
- その概要は、以下のとおり。
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- (1) とりまとめの1項—日弁連が、「任官推薦基準及び推薦手続」を策定し、その「推薦基準」に基づき、その「推薦手続」を経ることを通じて、裁判官となり得る資質、能力を有する弁護士が、できる限り多く裁判官候補者として推薦されるように努力するとの方針を表明し、最高裁がその方針を了承。
- (2) とりまとめの2項—最高裁が、任官希望者の採否についての基本的方針を表明し、日弁連がその方針を了承。具体的には、最高裁は、日弁連を通じて提出された資料のほか、任官希望者の法律実務家としての資質・能力等裁判官としての適格性に関する資料を実際の訴訟活動等を通じて収集し、それをその他の資料と共に判断材料とすることにより、総合的に見て裁判官としてふさわしいか否かという観点から採否を判断。不採用の場合には、本人から申し出がされたら、書面により、その理由を本人に対し開示。
- (3) とりまとめの3項—日弁連が行う弁護士任官推進のための環境整備方策。
- この関係で、2点付言するに、
- 第1点は、各弁護士会又は弁護士会連合会に「弁護士任官適格者選考委員会」を設置し、推薦手続を行う体制を整備。また、任官希望者名簿を整備。
- 第2点は、任官に伴う受任事件の引継ぎを円滑に行い、また、退官後の弁護士への復帰を容易にするなどの観点から、弁護士任官希望者や弁護士任官の退官者が在籍することができる事務所の設置、運営を促進する等の推進策を整備。
- (4) とりまとめの4項—最高裁が行う弁護士任官推進のための環境整備方策。
- 3つの方策の1つは、「弁護士からの裁判官採用選考要領」の改訂。「短期間の任官」及び「専門的分野への任官」について、最高裁が、本人の希望を踏まえ、積極的に取り組むとの方針を表明。専門的分野への任官については、例えば倒産事件、知的財産権事件、商事事件、家庭事件等の分野の裁判事務を担当する形態での任官希望が出された場合には、当該分野に関する本人の知識・経験、受け入れ部署の実情等を踏まえ、積極的に取り組む方針。
- (5) さらに、判事補が裁判官の身分を離れて弁護士の職務経験を積む制度の整備に向けて、今後、両者が、司法制度改革推進本部等の関係機関と協力しつつ、努力すること(5項)、両者が、こうした課題について、今後とも継続して協議すること(6項)を合意。
- 3 今後の協議の予定
- (1) 判事補が弁護士の職務経験を積む制度
- 最高裁と日弁連は、とりまとめの5項を受けて、この制度の整備に向けて、司法制度改革推進本部等の関係機関と協力しつつ、協議することを予定。
- 2月26日には、判事補を弁護士事務所で受け入れることに伴う運用面の問題を中心に実質的な協議を開始。次回は3月26日の予定。
- (2) 調停事件の分野におけるいわゆる非常勤裁判官
- 弁護士任官等に関する協議会において、調停事件の分野について、いわゆる非常勤裁判官制度を導入する方向で具体的に検討を開始する旨とりまとめ(4(4)項)。
- 上記とりまとめを受けて、最高裁と日弁連は、その具体化に向けて、近く協議を開始する予定。
- 実現のためには立法措置が必要になると考えられるので、推進本部と連携を図りながら、制度の具体化に向けて検討予定。