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法曹制度検討会(第21回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり

1 日時
平成15年10月3日(金) 11:00〜11:45

2 場所
司法制度改革推進本部事務局 第2会議室

3 出席者
(委 員) 伊藤 眞(座長)、岡田ヒロミ、木村利人、佐々木茂美、中川英彦、平山正剛、松尾龍彦(敬称略)
(事務局) 大野恒太郎事務局次長、古口章事務局次長、松川忠晴事務局次長、植村稔参事官

4 議題
(1) 検察官・裁判官の身分を離れて弁護士となった者が、検察官・裁判官に復帰した場合の、退職手当や共済関係等の面での適切な配慮
(2) その他

5 議事

(1) 検察官・裁判官の身分を離れて弁護士となった者が、検察官・裁判官に復帰した場合の、退職手当や共済関係等の面での適切な配慮について

前回に引き続き、次のような意見交換がなされた。(○:委員、●:事務局、■:座長、△:最高裁。以下、同じ。)

○:9月9日の法曹制度検討会における事務局提案を受けて、9月19日に日弁連理事会が開催された。そこでは、「司法制度改革審議会の意見書が理想としている形は、裁判官や検事の身分のみならず、公務員としての身分も離れて弁護士経験をすることであるという認識に異論はないが、それでは、憲法上の身分保障のある裁判官が、処遇上の大きな不利益を被った上で任意の選択によって弁護士経験をすることは、少数しか期待できない。多数の裁判官に弁護士経験をしてもらことが最も重要なのであって、現下の状況では、事務局提案のスキームは十分検討に値する。」という旨の意見が相次いで出され、採決の結果、賛成多数で事務局提案を受け入れることとなった。
 個人的な意見としても、判事補や検事が弁護士経験をすることは極めて重要であると思うので事務局案で立法作業を進めていただきたいが、具体的な検討に当たっては、弁護士業務への支障や懲戒権の問題が生じることのないよう、十分に配慮していただきたい。
 また、官民交流法22条1項の規定に類似した報告義務を課する規定を置くことは考えているのか。また、置くとした場合、弁護士法23条の弁護士の守秘義務との関係についてはどのように考えているのか。

●:官民交流法22条1項の規定と類似の規定を設けるかどうかについては、検討中であるが、本制度においては、行うことのできる弁護士業務に対する制約は設けないことを考えているので、この点から業務の遂行状況の報告を求める必要はないものと考えられる。また、弁護士業務を行うに当たっての守秘義務の重要性にかんがみれば、仮にこのような報告義務の規定を設ける場合でも、弁護士の守秘義務に反しないものとすべきであると考えている。

○:弁護士には守秘義務があるが、弁護士経験をしている元判事補は、刑事訴訟法239条2項の告発義務を課されることはないのか。また、弁護士経験をしているときに、その職務上ある者が不法残留をしているということを知った者が、裁判官に復帰して以降、その職務に関係して、その者がまだ我が国に滞在していることを知った場合、告発義務はどうなるのか。

●:刑事訴訟法239条2項には、「その職務を行うことにより」とあるが、「その職務」とは公務を指しており、弁護士経験をしている者は公務に従事しないので、そもそもこの規定によって告発義務を課せられることはない。また、弁護士経験をしているときに職務上知ったことは、裁判官に復帰した後も弁護士であった者の守秘義務の対象となるが、それとは別に、裁判官に復帰して以降、裁判官の職務を行うことにより、新たにその者が不法在留をしていることを知ることは、具体的には想定しにくい。

○:判事補が2年なり弁護士経験をしていた期間の評価は、誰がどのようにすることを考えているのか。

△:御指摘の点については、裁判官の人事評価に関する検討において、これから検討したいと考えている。

○:本制度について理想を言えば、裁判官や検事の身分を離れるだけでなく、公務員の身分も離れることである思うが、それは事務局からも説明があったとおり現実的には困難であると思う。理想に固執するあまり、本制度をつぶしてしまっては意味がない。少しでも多くの判事補、検事に弁護士経験をしてらうことのできる制度するためには、事務局案しかないのではないか。

○:事務局の説明によると、弁護士として行うことのできる業務の範囲は制約しないつもりであるとのことであるが、政治的な色彩のある刑事事件等も取り扱うことができるという理解でよいのか。

●:弁護士法3条等には、弁護士の職務の一般的なルールが規定されているが、事務局としては、現行の一般的なルールに新たな制約を加えることは考えていない。

○:公務員の身分が残るとのことであるが、国家公務員法の適用があることについては法律に明記することとなるのか。

●:裁判所事務官又は法務事務官に任命されることによって、国家公務員法が適用(準用)されることは明らかであるので、本制度の法案に明記することは考えていない。

○:本制度は、我が国で初めての試みであり、運用面ではいろいろな懸念が出てくると思うが、送り出す側の最高裁、法務省と受入側である日弁連との間で連絡を密にして、実りある制度となるような運用を検討して欲しい。

■:それでは、この問題については、前回事務局から提案のあった方向で立法化をお願いすることとしたい。

(2) 次回の予定

次回(10月21日)は、裁判官の人事評価の仕組みの整備等について議事を進める予定。

以 上