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法曹制度検討会(第22回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり

1 日時
平成15年10月21日(火) 13:30〜17:20

2 場所
司法制度改革推進本部事務局 第1会議室

3 出席者
(委 員) 伊藤 眞(座長)、太田 茂、岡田ヒロミ、奥野正寛、釜田泰介、木村利人、 佐々木茂美、田中成明、中川英彦、平山正剛、松尾龍彦(敬称略)
(説明者) 小池 裕(最高裁判所事務総局審議官)
金井康雄(最高裁判所事務総局人事局参事官)
(事務局) 山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、古口章事務局次長、松川忠晴事務局次長、植村稔参事官

4 議題
(1)  裁判官の人事制度の見直し−裁判官の人事評価について、可能な限りその透明性・客観性を確保するための仕組みを整備すること
(2)  裁判官の人事制度の見直し−裁判官の報酬の進級制(昇給制)の在り方について(報酬の段階の簡素化を含む)
(3)  その他

5 配布資料

【事務局配布資料】
[裁判官の人事評価についての仕組みの整備]
○資料22−1 裁判官の人事評価についての仕組みの整備 検討のたたき台(案)その1
[裁判官の報酬の進級制(昇給制)の在り方について]
○資料22−2 裁判官の報酬等に関する法律
○資料22−3 裁判官の報酬の進級制(昇給制)の在り方について(報酬の段階の簡素化を含む)・説明レジュメ
○資料22−4 裁判官の報酬の進級制(昇給制)の在り方(報酬の段階の簡素化を含む)に関する主なやりとり
○資料22−5 第90回帝国議会 貴族院議事速記録第23号 抄
○資料22−6 一般職国家公務員と裁判官(判事、判事補)の報酬の進級制(昇給制)
○資料22−7 裁判官(判事、判事補)の報酬の進級制(昇給制)の沿革
○資料22−8 12回国会 衆議院法務委員会議録 抄
○資料22−9 昭和23年、26年当時の国家公務員一般俸給表(15級制による給与制度)
○資料22−10 第31回国会 衆議院法務委員会議録 抄
○資料22−11 公務員制度改革大綱 〔平成13年12月25日 閣議決定〕抄

【最高裁配布資料】
[裁判官の人事評価についての仕組みの整備]
○資料 裁判官の人事評価制度の整備に関する検討状況について
○資料 最高裁一般規則制定諮問委員会関係資料
  ・資料1 最高裁判所一般規則制定諮問委員会議事概要(第8回)
  ・資料2 諮問事項(委員会配布資料1)
  ・資料3 裁判官の人事評価に関する規則要綱(案)(委員会配布資料2)
  ・資料4 裁判官の人事評価の概要(案)(委員会配布資料3)
  ・資料5 司法制度改革審議会意見書(抜粋)(委員会参考資料1)
  ・資料6 司法制度改革推進計画要綱(抜粋)(委員会参考資料2)
  ・資料7 裁判官制度関係法令(委員会参考資料3)
  ・資料8 司法制度改革審議会(第56回)議事録(抜粋)(委員会参考資料4)
  ・資料9 裁判官の人事評価のあり方に関する研究会報告書(委員会参考資料5)
  ・資料10 下級裁判所裁判官指名諮問委員会(第3回)議事要旨(抜粋)(委員会参考資料6)
  ・資料11 指名諮問委員会において指名の適否について判断する基準について(検討用たたき台)(委員会参考資料7)
  ・資料12 裁判官に求められる資質・能力について記載された文献等(委員会参考資料8)
  ・資料13 法曹制度検討会(第7回)議事録(抜粋)(委員会参考資料9−1)
  ・資料14 法曹制度検討会(第8回)議事録(抜粋)(委員会参考資料9−2)
 
[裁判官の報酬の進級制(昇給制)の在り方について]
○資料 裁判官報酬制度の概要と実情について

【委員配布資料】
○資料 「司法制度改革審議会意見書」と「裁判官の人事評価の概要(案)」との異同について(平山委員)
○資料 裁判官人事評価の評価権者に関する疑問と提案(平山委員)

6 議事

 議事に先立ち、事務局から、事務局配布資料22-1から22-11、最高裁配布資料及び委員配布資料について確認がなされた。

(1) 裁判官の人事制度の見直し−裁判官の人事評価について、可能な限りその透明性・客観性を確保するための仕組みを整備すること

① 最高裁からの説明
 最高裁配布資料「裁判官の人事評価制度の整備に関する検討状況について」、「最高裁一般規則制定諮問委員会関係資料」1から14に基づき説明がなされた。

② ①の説明に対して、次のような質疑応答及び意見交換がなされた。(○:委員、●:事務局、■:座長、△:最高裁。以下、同じ。)

[裁判官の人事評価制度全般について]

■:裁判官の人事評価制度全般についてどうか。

○:民間の観点からは、人事評価とは、評価の結果を、昇任、昇格、異動、昇給の人事の四つの基本要素に反映させるものであると考えるが、裁判官の人事評価制度にはその結びつきがない。これは、自己査定の蓄積であって、民間の感覚では、人事評価とは呼べないのではないか。また、絶対評価では競争原理が働かないので、民間では相対評価が基本となる。以上の2つの要素がないからいけないというのではなく、裁判官の特性からくるということの説明が必要である。

○:裁判官の人事評価は、民間における人事評価とは異質のものなのだと割り切ることができれば、このような制度であっても理解できる。そのためには、最高裁が裁判官の人事評価とはどういうものであるかをはっきりと説明する必要がある。

○:裁判官は、全国津々浦々のどの裁判所に配置され、どのような職務を担っていても、事件処理を全力投球して行うものであり、事件処理に対する社会的評価等から若干離れたところで仕事をしていること、裁判官の評価というものは、ある短い期間をとらえて給与に結びつけて評価するという性質のものではないことを理解してほしい、という意見が現場では多い。

△:裁判官の人事評価については、短期的な視点から各期ごとの明確なランク付けをする形での何らかの効果を伴った処分といったものではなく、むしろ長期的視点から裁判官の適性に関する情報を提供し、それを集積していくための仕組みとして考えるのが、裁判官の身分、人事のありように、よりふさわしいと考えている。裁判官の人事評価は、適材適所の配置をするために裁判官がいかなる適性を有しているのかを知り、経験年数の長い裁判官の昇給の適否の資料となり、判事への任命、再任の際に適格性を欠く者を適切に排除していくための資料として活用される。このように、裁判官の場合、多くの組織で行われている各期の評価を直ちに勤勉手当や賞与の額に反映させるといったことが考えられないところに、大きな違いがあると考えている。

[人事評価の実施について]

■:それでは、事務局資料22−1に記載された順序で検討していただきたい。まず、「1 人事評価の実施」はどうか。

○:規則要綱(案)の1項にある「公正な人事」には、10年ごとの再任も含まれるのか。

△:そのとおり。

■:「人事評価の実施」については、了承されたものとしたい。

[評価権者について]

■:「2 評価権者」についてはどうか。

○:委員配布資料「裁判官人事評価の評価権者に関する疑問と提案」に記載したとおり、所長、高裁長官も裁判官の人事評価の対象とすべきである。また、最高裁の裁判官会議が最終的な評価権を持つことを、対外的に明確にすべきである。

○:高裁長官は、所長や部総括を経てなる官職であることや、その職務内容に照らすと、今回作る人事評価制度の目的からみて、この制度の中で人事評価をすることは相当ではない。

○:所長、高裁長官の評価は民間でいう役員の評価と似ていると思うが、役員には一般の従業員の評価制度の適用はなく、その評価はマーケットが行うものとされている。会社の業績不振は、役員の解任に結びつく。人間である以上、誰かが評価する必要があると思うが、一般の評価制度をもってくることには無理がある。

△:所長、高裁長官を人事評価の対象とするかどうかの問題、最終的な評価権が最高裁にあることを明示するかどうかという問題については、更に一般規則制定諮問委員会で検討してもらうことにしたいと思う。

■:「評価権者」に関する要綱(案)の枠囲いの中は了解されたものとしたい。

[評価の基準等(1)について]

■:「3 評価の基準等(1)」はどうか。

○:資料の別紙の内容に異論はないが、裁判官に対する国民の信頼の点からすると、3番目の点がトップにくるべきではないか。

△:これまでの人事評価研究会、指名諮問委員会でのこの問題に関する検討の際の順序に従って記載したものである。

○:評価項目については、どのように軽重を付けて評価するのかを考える必要がある。

■:実施や運用に当たり更に検討、工夫されることと思うが、「3 評価の基準等(1)」については、次回の一般規則制定諮問委員会で検討を継続する部分を除き、了承されたものとしたい。

[評価の基準等(2)について]

■:次回の一般規則制定諮問委員会で検討を継続する部分を除き、了承されたものとしたい。

[評価の基準等(3)について]

■:「3 評価の基準等(3)」はどうか。

○:裁判官が提出する書面は、評価項目の3項目について、自分がどういう職務を遂行したのかを記載してもらうべきである。また、全国一律のフォーマットを作成すべきである。

△:具体的に想定される記載事項としては、御指摘のとおりであると思う。ただし、各裁判官が、自己の担当職務についての客観的な事実や組織運営に関する活動の実績、これらについての所感を書くということが想定されるが、初めての試みであり、裁判官の反応を見定めつつ、運用を重ねる中で改善を図っていくべき事柄であると思っている。発足当初、硬い項目立てをし、それについて記載してもらうということになると、運用としてはいかがかと思っており、当初は比較的自由度の高い形で始めたらどうかと考えている。

○:審議会意見書が本人の意向をくみ取る方法としているところとは異なっているのではないか。

△:一般規則制定諮問委員会でも意見があったところであるが、今回提案の書面には、職務活動についての客観的な事実の報告だけでなく、それについての感想や所感も記載することができるので、十分に意見書の趣旨に即している、裁判官の心情を考えると、審議会意見書がいう「自己評価書」よりも、提案にかかる書面の方が望ましい、という議論になったものである。

■:職務の状況に関し書面の提出を受けること自体については共通の認識がある。評価項目との関係でどういうものが最も望ましいものか、他方、制度の導入当初に当たってどの程度のものが適当か、これらについてはいろいろな要素を考えないといけないと思う。実施、運用に当たってはいろいろな工夫をお願いしたいと思う。

[人事評価の結果の開示について]

■:「4 人事評価の結果の開示」については、了承されたものとしたい。

■:最高裁の一般規則制定諮問委員会における検討が熟してきたと考えられる、事務局配布資料22-1「裁判官の人事評価についての仕組みの整備 検討のたたき台(案)その1」に記載された「1」から「4」の事項については、次回の一般規則制定諮問委員会で検討を継続する部分を除き、当検討会においても了承をいただいたものとしたい。

■:次回検討会においても、今回に引き続き、最高裁一般規則制定諮問委員会の検討状況を説明していただき、質疑応答、意見交換を行いたい。

(2) 裁判官の人事制度の見直し−裁判官の報酬の進級制(昇給制)の在り方について(報酬の段階の簡素化を含む)

① 事務局からの説明
 事務局配布資料22-2から22-11に基づき説明がなされた。

② 最高裁からの説明
 最高裁配布資料「裁判官報酬制度の概要と実情について」に基づき説明がなされた。

③ ①及び②の説明に対して、次のような質疑応答及び意見交換がなされた。

○:弁護士や検事との交流を促進し、法曹三者の流動化を反映するような報酬制度を取り入れられないか。例えば、判事補レベルでは、能力主義にしたり、あるいはどのように裁判官が評価されているのかということを、何らかの形でシグナルを出せるような仕組みはできないものか。また、国家公務員には人事院勧告の制度があるが、裁判官の場合には弁護士との報酬の差を今後どのように調整していくのか。

●:人事院勧告が出ると、国家公務員の給与法の別表の数字が、その年に出されたパーセンテージに基づいて上下する。裁判官報酬法も、それと全く同じ考え方で上下させており、現状としては人事院が行っている民間準拠の手法を前提にしていると言える。

△:裁判官の報酬も民間に準拠するということで、最高裁から立法依頼をして、法務省提出法案として裁判官報酬法が改正されている。判事の報酬水準は、一般職の国会公務員でいえば指定職のところに対応しているが、弁護士の収入を想定したとしても流動性というものの大きな障壁になるものではないと考える。そういう意味では、委員御指摘のようなことは、十分かどうかは別として、考慮されたシステム作りをしていると思う。

○:今後は、民間、行政職公務員及び弁護士の三にらみぐらいでうまく柔軟に対応していける仕組みを作ってもらいたい。

○:個人的には、法曹三者の中では裁判官が最高に頑張っていると思うし、今の報酬が高すぎるとは思わない。しかし、裁判官の職権行使の独立性に影響を及ぼさないようにすること等が審議会意見書でも言われているので、その点は十分議論していく必要があると思う。そこで、ここでの議論の進め方はどうすべきであろうか。

■:委員の間にはいろいろ意見があると思うが、それをそれぞれ開陳していただき、委員の意見がまとまるのか、あるいは多様な意見が出されるのか、それをみて判断したいと思っている。

○:結論から言って、これまでの国会の審議の流れ、特に昭和26年以降の国会の審議の流れ、あるいは国家公務員の俸給の刻みの状況又は裁判官の報酬制度がそれに準じて決められているということ、それから、キャリア制度をとっているドイツ、フランス等の諸外国の制度との比較等を考え合わせると、裁判官の進級制については、変える必要があるとは考えない。
 それから、平成13年12月に公務員制度改革大綱が閣議決定されているということは、現時点である程度の結論を出したとしても、将来この大綱に基づいて公務員制度が相当変わってくるはずである。そしてこれによって、裁判官の報酬の問題も変わってくると思う。

○:裁判官の仕事の特質というのは理解できるが、一般的に外から見ると、同期の裁判官の間で20年間も全く給与が変わらないということには違和感を感じる。そのような中でも、裁判官の異動の際には何らかの差異がつけられているのではないかと考える。現実にいろいろと不満を持っている人たちは、任地を問題視しているように思う。

△:異動については,能力以外の様々な要素を考慮する必要がある。裁判官として率直に言うと、東京とか大阪の事実審の裁判長というのは夢であると思う。しかし、裁判官はプロの集団であるので、そこはまた適材適所で、持ち味を生かす人事というものがなされていると思う。

○:昨年、人事院が公務員給与の減額を勧告し、最高裁も裁判官報酬の減額を承認したが、重大な問題を含んでいた。イギリスでは、第二次大戦後、公務員の給与を減額したことがあるが、裁判官の給料には手を付けなかった。私は、裁判官の人事評価に当たっては、本日配布された最高裁一般規則制定諮問委員会関係資料の資料4(配布資料3)の別紙「評価項目及び評価の視点」にある3項目のうち、3が最も重要であると考えているが、3に掲げられた点を貫くためには、確固とした経済的な裏付けが必要である。下級裁の裁判官も憲法判断を求められる。その際、一切の圧力を排して判断を下すには、身分保障が不可欠である。一番大事なのはこの点であり、裁判官の報酬を減額したように、我が国の議論は薄っぺらなものになっている。我が国の制度は、明治以来のものであるから、我々が数時間議論してもこれを変えるような案は出てこない。やろうと思えば、公務員制度全体との関係で、別途委員会を設けて徹底的に議論するしかない。そうすれば、裁判官の報酬がどういう意味を持っているのか、国民自身が考えるチャンスになると思う。

○:裁判官の職務というものは、費用対効果とか、業績主義というものには基本的にはなじみにくいと思う。そして、政財界を揺るがすような、あるいは経済に大きな影響を与えるような大事件であろうと、少額の事件であろうと、生じた事件に対しては、公平・厳格・適正に対処していくことが求められる。また、裁判官も検察官も優秀な人だけを東京に集めるというわけにもいかない。全国の小規模地裁・地検と、東京地裁・地検というのは等価値であるから、全国に優秀な人材を配置する必要がある。そういった性質は是非御理解いただきたいと思う。
 給与の画一・公平ということについては、いろいろ見方があると思うが、裁判官は皆、非常に忙しい。24時間判決のことを考えている人がほとんどだと思うので、そういう中で、若いときから1年単位で差をつけていくというのはいかがなものかという感じがする。

○:裁判官の報酬の刻みの問題はあまり気にならない。これを給与差別というのは時代おくれの話ではないか。また、司法の権威や独立性を守るためにかなり高い報酬を支払うということも構わないと思う。
 民間での考え方を参考に申し上げると、大体35歳を基準にして、そこで昇給をストップする会社が多い。それは、35歳ぐらいが能力発揮の限度だと見ているわけであって、35歳から45歳ぐらいまでがいわゆる働き盛りと考え、45歳を過ぎると、もう給与はダウンさせるということが一般的に行われているやり方である。それを考えると、20年間同一の処遇というのは少し長いのではないか。人間の能力の限界というものは、裁判官であろうが誰であろうが同じではないか。法律に取り入れるのは難しいかもしれないが、考えるべきではないか。

○:裁判官にしても、検事にしても、法律上の紛争が絡む問題を扱うので、ある程度の経験の蓄積があって、だんだん熟していって、いろいろな判断ができるようになる職業であると思う。ビジネスの発想とは違うのではないか。

○:裁判官というのは最後の国家制度を支えているわけで、ここがぐらついてはどうにもならないと思う。経験の積み重ねでいい判決が出てくることも多いのではないか。だからこそ最高裁判所でいい判決が出て、それを我々は信頼している。
 今、問題なのは23段階の問題であるが、例えば、判事補については、3年目、5年目、7年目で果たすべき役割も変わってくるので、そういうところで一つの段階を設けるのはどうか。判事については、最高裁判所で10年ごとの評価をして、再任をしていくことになったので、そういう新しい制度も踏まえて検討する必要があるのではないか。一番気になるのは、判事4号から3号に行くところで不満が多いと聞いている。そこをきちんと説明して、透明性を確保できれば、審議会の意見書に答えることになるのではないか。

△:それぐらいの時期には部総括裁判官になるという場面が考えられる。そこでは裁判長であるとともに、部のマネジメントをする等、司法行政的な力量というものが問われる。20年ぐらい見てくると、裁判官としての理論の切れ味のほかにも、組織的な適応力とかいうものも次第に見えてくる。そういうところを判断して差をつけるということは、国の機関の在り方として、あるいは人事の在り方として合理的なものであろうと思っている。今後、自己申告、面談、開示といった人事評価のプロセスについて透明性を持った形で運用していきたい。人事の問題をトータルのものとして考えている。

○:裁判官の報酬の段階制については、もう少しシンプルにできることがあれば、それを検討すべきではないか。

●:事務局としては、今の段階では刻みが細かすぎるのではないかという意見と伺ったが、その理由を教えていただければと思う。どういう理由で今の段階は刻みが細かすぎるのか。その刻みが細かいことによって、どういう弊害が生じているとか具体的に教えていただきたい。

○:同期がそのまま上がっていくのであれば、細かい刻みが弊害であるとは思わない。例えば裁判官であれば、3年経過すれば何がやれる、5年経過すれば何がやれる、特例がつけば何がやれる、というようなことがあるので、そういうこととの絡みで、刻みの打ち方については検討に値するのではないかという意味である。

○:刻みを大きくするか、少なくするかはポリシーの問題だと思う。それでどうなるのかということではなくて、刻みの中にどう位置付けていくかという問題であって、人事評価の透明性、公明性を確保することで、社会的な納得が得られるのではないか。進級制(昇給制)自体を議論しても仕方ないと思う。

○:審議会の意見書にある、職権行使の独立性を侵しているのではないかという問題に対しては、21年間の同一処遇は、担当事件について公正・中立に全力投球をしていける運用を形作っていると考えている。また、もう一つの職務の複雑、困難及び責任の度合いが判然としないのではないかとの問題については、ある一定の時期から以降、地家裁の部総括、高裁の部総括、あるいは所長といったところに就き、長年の職務評価が経験とともに高められてそれが評価されていき、上位の号俸を受けているということではないかと思う。それから、刻みをどうするかの問題は、公務員制度改革と密接に絡んでいるので、そこでの議論を踏まえないと、刻みを粗くするかどうかという議論はできないと考えている。

■:全体として、正反対の議論がなされたとは思わないが、具体的なところについてすべて意見が一致したとも言えないと思う。そこで、私の責任で、議事整理メモを作り、それを顧問会議に対する検討状況の報告の中で生かしたいと思うがよろしいか。

○:異議なし。

(3) 次回の予定

 次回(11月18日)は、今回に引き続き、「裁判官の人事評価の仕組みの整備」等について議事を進める予定。また、「裁判官の報酬の進級制」については、本日の御意見に追加してさらに御意見があればお聞きし、議事整理メモに追加したい。

以 上