首相官邸 首相官邸 トップページ
首相官邸 文字なし
 トップ会議等一覧司法制度改革推進本部検討会法曹制度検討会

法曹制度検討会(第25回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり

1 日時
平成16年7月1日(木) 13:00〜15:10

2 場所
永田町合同庁舎 第4共用会議室

3 出席者
(委 員) 伊藤 眞(座長)、太田 茂、岡田ヒロミ、木村利人、佐々木茂美、田中成明、中川英彦、平山正剛、松尾龍彦(敬称略)
(説明者) 小川宏嗣日本弁護士連合会副会長、岩井重一日本弁護士連合会副会長、大谷晃大法務省大臣官房司法法制部司法法制課長、中村慎最高裁判所事務総局総務局第一課長、戸倉三郎最高裁判所事務総局人事局参事官
(事務局) 山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、古口章事務局次長、松川忠晴事務局次長、植村稔参事官

4 議題
(1)  第159回国会における法曹制度検討会関係の立法について
(2)  企業法務等の位置付け−いわゆる特任検事、副検事、簡易裁判所判事の経験者の活用等を検討し、少なくとも、いわゆる特任検事経験者に対して法曹資格を付与すること(特任検事経験者の活用等を除く。)
(3)  その他

5 配布資料

【事務局配布資料】
[副検事、簡易裁判所判事の経験者の活用等]
 ○資料25−1 副検事、簡易裁判所判事の経験者の活用等について
 ○資料25−2 副検事、簡易裁判所判事の経験者の活用等・参照条文

【日弁連配布資料】
[副検事、簡易裁判所判事の経験者の活用等]
 ○資料 副検事、簡易裁判所判事経験者の専門性の活用について
[その他]
 ○資料1   弁護士制度の改革の到達点
 ○資料2   日本弁護士連合会会則
 ○資料2−2 議事規程
 ○資料2−3 弁護士法人規程
 ○資料2−4 公職就任の届出等に関する規程
 ○資料2−5 営利業務の届出等に関する規程
 ○資料2−6 綱紀委員会及び綱紀手続に関する規程
 ○資料2−7 綱紀審査会及び綱紀審査手続に関する規程
 ○資料2−8 懲戒委員会及び懲戒手続に関する規程
 ○資料2−9 懲戒処分の公告及び公表等に関する規程
 ○資料2−10 弁護士会の懲戒の通知に関する規程
 ○資料2−11 外国法事務弁護士の公職就任の届出等に関する規程
 ○資料2−12 外国法事務弁護士の営利業務の届出等に関する規程
 ○資料2−13 外国法事務弁護士綱紀委員会及び綱紀手続に関する規程
 ○資料2−14 外国法事務弁護士懲戒委員会及び懲戒手続に関する規程
 ○資料2−15 外国法事務弁護士懲戒処分の公告及び公表等に関する規程
 ○資料2−16 弁護士の報酬に関する規程
 ○資料2−17 外国法事務弁護士の報酬に関する規程
 ○資料2−18 営利業務及び公務に従事する弁護士に対する弁護士会及び日本弁護士連合会の指導・監督に関する基準
 ○資料2−19 懲戒処分の公表等に関する規則
 ○資料3   弁護士常駐型公設事務所一覧
 ○資料3−2 法律相談センター開設状況一覧
 ○資料4   弁護士法5条にかかる弁護士資格認定のための研修について
 ○資料4−2 弁護士資格付与のための指定研修平成16年度実施要領
 ○資料4−3 カリキュラム表
 ○資料4−4 弁護士法5条による弁護士資格認定者数等について

【法務省、日弁連配布資料】
 ○資料 検事の弁護士職務経験制度の運用に関する取りまとめ

【法務省配布資料】
[副検事、簡易裁判所判事の経験者の活用等]
 ○資料1 副検事について
 ○資料2 副検事の選考方法
  (別添1)検察官・公証人特別任用等審査会委員名簿
  (別添2)第112回副検事の選考筆記試験問題(平成15年8月11日実施)
  (別添3)副検事の選考受験者数及び合格者数調
 ○資料3 年度別副検事任官者・現在員数調
 ○資料4 年度別副検事退職者数調
 ○資料5 副検事の職務内容等
 ○資料6 副検事の研修等
 ○資料7 平成5年以降に退職した副検事の分布状況

【最高裁配布資料】
[副検事、簡易裁判所判事の経験者の活用等]
 ○資料1 簡易裁判所判事の選考手続について
 ○資料2 選考による簡易裁判所判事に対する研修の概要
 ○資料3 簡易裁判所判事の職務内容
 ○資料4 選考による簡易裁判所判事の新規任命者数
 ○資料5 選考による簡易裁判所判事退官者数
 ○資料6 簡易裁判所判事の現在員数
 ○資料7 簡易裁判所判事選考受験者数・合格者数・合格率推移

[その他]
 (判事補の経験の多様化について)
  ○資料1 判事補の経験多様化に関する基本方針
 (平成16年6月23日最高裁判所裁判官会議議決)
  ○資料2 判事補の経験の多様化について
  ○資料3 判事補の弁護士職務経験制度に関する取りまとめ
 (平成16年6月23日最高裁判所・日本弁護士連合会)
  (裁判官の人事評価について)
  ○資料4 裁判官の人事評価に関する規則
 (平成16年最高裁判所規則第1号)
  ○資料5 裁判官の新しい人事評価制度の概要
 (調停官制度について)
  ○資料6 調停官配置表(平成16年4月1日現在)

【委員配布資料】
 ○副検事、簡易裁判所判事の経験者の活用問題についての意見(抄)(釜田委員)

6 議事

 議事に先立ち、事務局から、事務局配布資料、日弁連配布資料、法務省配布資料及び最高裁配布資料について確認がなされた。

(1) 第159回国会における法曹制度検討会関係の立法について

事務局から、「弁護士法の一部を改正する法律」及び「判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律」の成立について説明がなされた。

(2) 企業法務等の位置付け−いわゆる特任検事、副検事、簡易裁判所判事の経験者の活用等を検討し、少なくとも、いわゆる特任検事経験者に対して法曹資格を付与すること(特任検事経験者の活用等を除く。)

① 法務省からの説明
 「副検事関係資料(法務省配布資料1から7)」に基づき説明がなされた。

② 最高裁からの説明
 「簡易裁判所判事について(最高裁配布資料1から7)」に基づき説明がなされた。

③ 日弁連からの説明

  日弁連配布資料「副検事、簡易裁判所判事経験者の専門性の活用について」に基づき説明がなされた。

④ ①から③の説明に対して、次のような質疑応答及び意見交換がなされた。(○:委員、□:日弁連、■:座長、▲:法務省、△:最高裁。以下、同じ。)

○:法務省の構想は、副検事を各区検察庁の管轄する区域のみで活動する限定弁護士としたいということか。また、そのような構想は法務省の統一的な見解なのか。

▲:特定区域に限定した資格を念頭に置いているわけではない。また、権限が限定的な弁護士資格は、一つの考え方として提案したものであって、法務省で細部にわたる検討をしているものでもない。その他にも、ADRの手続実施者等としての活用も提案させていただいた。

○:最高裁配布資料によると、簡易裁判所判事はこの1年で新規任命者が増えているのに対し、法務省資料によると、副検事はこの1年で任官者数が減っている。これはどういうことを意味しているのか。

▲:試験の結果、合格基準に達した受験者が少なかったということである。

○:副検事の地方検察庁での検察官事務の取扱いの現状はどうなっているのか。また、そのような状況は今後も続くのか。

▲:地方検察庁の特捜部などには、ベテラン副検事が数人配置され、その経験や専門性が活用されている。通常の検事が増員されたといっても、事件は日々複雑困難になってきており、副検事に協力を求める状況は今後も続くと思う。

○:簡易裁判所判事には司法書士となる道があり、副検事には試験を受けて特任検事となる道があるのに、新たな資格の創設を提案する理由は何か。

△:司法書士の仕事は登記申請がメインであって、それに新たに簡易裁判所における代理権が加わったというものである。今回の提案は、簡易裁判所判事の経験者には端的に訴訟をメインとして簡易裁判所での訴訟代理権を付与したいとする考えに基づくものである。 

▲:副検事には、広域での異動を伴う特任検事の道を選ばず副検事のままで地元に貢献している人も多い。このような副検事経験者の退官後も地元に貢献したいという希望を叶えたいとの考えに基づいている。

○:これまで日弁連が、特任検事に弁護士資格を認め、司法書士にも限定的な代理権を認めたのはどういう理由からか。

□:特任検事については、特に難関とされる選考に合格し、通常の検事と同様の職務を行っている。加えて所定の研修の終了を要件としたからである。司法書士についても、研修によって能力を担保する認定制度を前提としたからである。

○:法曹制度の検討に当たっては、これまでも①司法制度改革審議会意見書に明確に記載された事項については積極的に改革を進める、②国民の目線、市民の立場に立つ、③質の高い大きな法曹を確保するという三つ観点から考えてきた。これらの観点から考えても、現時点では新しい資格を創設するという必要性はないと考える。副検事、簡易裁判所判事の専門性の活用は個別に考えていけば良いのではないか。資格付与の問題は、新しい法曹養成制度、司法ネット構想、ADR制度等の今後の展開を見定めてから再度検討するのが適当だと思う。

○:消費者(利用者)の立場からすると、簡易裁判所判事は、一番身近である簡易裁判所において本人の話を根気よく聞き、納得いくまで説明をしてくれていると思う。その簡易裁判所判事に準弁護士的な資格を付与すれば、非常に頼りがいのある存在になるはずである。簡易裁判所判事、副検事には、弁護士がなかなかやってくれない消費者問題の分野での活躍を期待している。

○:副検事、簡易裁判所判事については、適切な人が適切な仕事をしていると思う。しかし、制度の問題として考えた場合、今ここで新しい資格を付与するということは、世界的な資格の一元化の流れや、利用者側の使い勝手の問題からして適切ではないと思う。ADRや司法ネットでの活用等、広い意味での法律事務における活用を考えていくべきではないか。

○:司法書士に簡易裁判所における代理権が付与されたのは、それなりのニーズがあったからである。その司法書士の代理人としての活動をリードし、教育していく立場の簡易裁判所判事に代理権を付与しないとするのは制度的に齟齬が出てくるのではないか。簡易裁判所判事はボランティア的な活動として自分たちの専門性を活用したいと思っている。認定司法書士制度の今後をも見定めながらこれからも検討を続けるべきだと思う。

○:将来の法曹人口が3000人になったとしても、国民のニーズは満たし切れないのではないかという懸念がある。弁護士が増えても、その多くは大都市に集中するであろう。副検事、簡易裁判所判事の専門性の活用は弁護士の職務と対立するものではなく、補完する関係にあると思う。この問題は、今後も中長期的な検討が必要であると考える。

○:①司法制度改革審議会意見書の書きぶり、②副検事から特任検事、簡易裁判所判事から司法書士への各ルートの存在、③限定的な代理人が利用者に混乱を与える危険性、④今後の法曹人口の大幅増加、⑤これから更に司法教育や司法ネット等における活躍の場ができること等を考え合わせると、今ここで副検事、簡易裁判所判事の経験者に新しい限定的な弁護士資格を付与することは相当ではない。

○:専門職種の経験者の活用は、副検事や簡易裁判所判事に限ったことではなく、その他の公務員、教員、民間企業等においても同様のことが言える。副検事や簡易裁判所判事の経験者も広い意味で法曹を支えるボランティアとしての活用を考えていくべきである。

○:副検事、簡易裁判所判事経験者の専門性の活用は、それぞれの地元における活用という方向性でもって、今後も検討を継続していくのが良いと思う。

■:この問題に関しては、何らかの弁護士に準じた資格の付与を前提としない活用については、今後関係機関において努力してもらうということで異論はないと思う。また、限定された範囲で訴訟代理権を付与したり弁護人となる資格を付与することについては様々な意見があったことに留意する必要があると思うが、本日の議論の最大公約数としては、今後の法曹人口の増加、司法ネットの整備、簡易裁判所における訴訟代理権の付与を受けた司法書士の職務遂行状況等を見極めながら考えていくべき問題ではないか、ということで取りまとめをしたい。

○:異議なし。

(3) その他

 ① 最高裁から、「判事補の経験の多様化について(最高裁配布資料1から3)」、「裁判官の人事評価について(最高裁配布資料4及び5)」、「調停官制度について(最高裁配布資料6)」について説明がなされた。

 ② 法務省から、法務省、日弁連配布資料「検事の弁護士職務経験制度の運用に関する取りまとめ」について説明がなされた。

 ③ 日弁連から、日弁連配布資料1から4−4に基づき、「弁護士制度の改革の到達点」について説明がなされた。

■:本日の検討をもって、当検討会としては司法制度改革推進計画で定められたすべて事項の検討を終了した。

以 上