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法曹制度検討会(第6回) 議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり


1 日 時

平成14年7月9日(火)14:00〜17:30

2 場 所

司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者

(委 員)
伊藤 眞(座長)、岡田ヒロミ、奥野正寛、小貫芳信、釜田泰介、木村利人、佐々木茂美、田中成明、中川英彦、平山正剛、松尾龍彦(敬称略)

(説明者)

川中 宏(日本弁護士連合会副会長)
永尾廣久(日本弁護士連合会副会長)
有吉 眞(日本弁護士連合会事務次長)
黒川弘務(法務省大臣官房司法法制部司法法制課長)
金井康雄(最高裁判所事務総局人事局参事官)

(事務局)

大野恒太郎事務局次長、古口章事務局次長、植村稔参事官

4 議 題

(1)弁護士倫理等に関する弁護士会の態勢の整備等−弁護士会による 綱紀、懲戒手続の透明化・迅速化・実効化を図ること
(2)弁護士法第72条について、隣接法律専門職種の業務内容や会社形態の多様化などの変化に対応する見地からの企業法務等との関係も含め検討した上で、規制対象となる範囲・態様に関する予測可能性を確保すること(企業法務との関係を除く。)
(3)弁護士報酬の透明化・合理化−報酬規定の会則の必要的記載事項からの削除
(4)企業法務等の位置付け−いわゆる特任検事、副検事、簡易裁判所判事の経験者の活用等を検討し、少なくとも、いわゆる特任検事経験者に対して法曹資格を付与すること(副検事、簡易裁判所判事の経験者の活用等を除く。)
(5)企業法務等の位置付け−司法試験合格後に民間等における一定の実務経験を経た者に対して法曹資格の付与を行うための具体的条件を含めた制度整備
(6)その他

5 配布資料

【事務局配布資料】
[弁護士倫理等に関する弁護士会の態勢の整備等]
資料6−1日弁連綱紀審査会(仮称)の議決の種類と論点(案)
[弁護士報酬規定]
資料6−2「資格者団体の活動に関する独占禁止法上の考え方」の公表について(平成13年10月24日公正取引委員会)
[民間等における実務経験を経た者に対する法曹資格の付与]
資料6−3「企業法務等の位置付け」について
資料6−4規制改革推進3か年計画(改定)平成14年3月29日閣議決定(抜粋)
資料6−5企業法務等の位置付けに関する司法制度改革審議会の審議の状況
資料6−6現在の司法修習制度の概要
資料6−7企業法務関係資料
資料6−8国家公務員に係る法律事務の取扱いについて(内閣官房行政改革推進事務局公務員制度等改革推進室)

【日弁連配布資料】

資料綱紀審査会メモ
資料綱紀審査会の議決

【最高裁配布資料】

資料裁判官の人事評価の在り方に関する研究会の協議の経過

6 議 事

 議事に先立ち、事務局から、7月5日の顧問会議でとりまとめられた「顧問会議アピール」及び同会議における小泉内閣総理大臣(司法制度改革推進本部長)あいさつについて説明がなされ、続いて、事務局配布資料6−1から資料6−8まで、日弁連配布資料、最高裁配布資料等について確認がなされた。

(1) 弁護士倫理等に関する弁護士会の態勢の整備等−弁護士会による綱紀、懲戒手続の透明化・迅速化・実効化を図ること

① 日弁連綱紀審査会(仮称)の議決について、前々回及び前回の検討に引き続き、日弁連から、日弁連配布資料「綱紀審査会メモ」及び「綱紀審査会の議決」に基づいて、日弁連の考え方について説明がなされた後、事務局配布資料6−1「日弁連綱紀審査会(仮称)の議決の種類と論点(案)」に記載された順序に従って議論がなされた。

② その結果、日弁連綱紀審査会の議決の種類とその要件については、日弁連配布資料「綱紀審査会メモ」の2枚目に記載された綱紀審査会メモ(�bQ)のとおり、「懲戒委員会の審査に付することを相当とする議決」の要件としては、出席者の3分の2以上の多数によることとされ、「日弁連綱紀委員会の再調査(ないし再審査)に付することを相当とする議決」は認めないこととされた。
 その際、「日弁連綱紀委員会の再調査(ないし再審査)に付することを相当とする議決」を認めないこととする点に関しては、委員から、実際の日弁連綱紀審査会の審査においては、できるだけの審査資料を収集し、審査を尽くす必要があるという趣旨の意見等が出された。

③ 綱紀・懲戒制度については、改正点も相当数に及んでおり、相互の関係等を整理しながら法制的に全体として整合のとれた制度にする必要があるため、法制面での検討等は、今後、事務局において、関係各方面と調整しながら行い、適宜検討会に報告することとされた。

(2) 弁護士法第72条について、隣接法律専門職種の業務内容や会社形態の多様化などの変化に対応する見地からの企業法務等との関係も含め検討した上で、規制対象となる範囲・態様に関する予測可能性を確保すること(企業法務との関係を除く。)

 第5回検討会事務局配布資料5−5「検討のたたき台(案)」について、前回の検討に引き続き議論が行われ、弁護士法第72条ただし書きを、例えば「この法律及び他の法律に別段の定めがある場合は、この限りではない。」などと改正することが了承された。

(3) 弁護士報酬の透明化・合理化−報酬規定の会則の必要的記載事項からの削除

 第5回検討会事務局配布資料5−8「検討のたたき台(案)」について、前回の検討に引き続き議論が行われ、弁護士法を改正し、弁護士の報酬規定を会則の必要的記載事項から削除することが了承された。

(4) 企業法務等の位置付け−いわゆる特任検事、副検事、簡易裁判所判事の経験者の活用等を検討し、少なくとも、いわゆる特任検事経験者に対して法曹資格を付与すること(副検事、簡易裁判所判事の経験者の活用等を除く。)

① 事務局からの説明
 第5回検討会事務局配布資料5−14「特任検事経験者に対する法曹資格の付与 検討のたたき台(案)」について説明がなされた。

② 法務省からの説明
 第5回検討会法務省配布資料「特任検事関係資料」に基づいて、特任検事の概要について説明がなされた。

③ 日弁連からの説明
 第5回検討会日弁連配布資料「特任検事に対する法曹資格の付与について」及び「特任検事への法曹資格付与について」に基づいて説明がなされた。

④ ①ないし③の説明に対して、次のような質疑応答がなされた。(○:委員、●:事務局、□:法務省、■:座長)

○:法務省の説明によると、特任検事に合格するのは四十代後半ということである。資格付与のため、仮に特任検事としての5年の経験年数を求めるとすると、相当の年齢になるようにも思うが、法務省としては、特任検事が弁護士になった後の活躍の姿として、どのようなイメージを持っているのか。

□:仮に資格を認められたとして、それぞれの方々がその資格をどのように生かされるかは何とも申し上げられないが、特任検事の出身庁・出身地が各地方に分散していることからすれば、都会地より地方で国民の皆様のリーガルサービスに従事したいと考えている者が多いと想像している。

○:事務局が、たたき台(案)において、法曹資格を弁護士となる資格に絞っているのはなぜか。

●:通常、法曹資格という言葉は、「弁護士になる資格」だけではなく、「弁護士、検察官、裁判官となる資格」の意味で用いられることが多いと思う。たたき台(案)において、「法曹資格(弁護士となる資格)」としたのは、実質的には、意見書が、「III 法曹制度を支える法曹の在り方」の中で、まず法曹人口の不足の問題を取り上げ、これを受け、「第3 弁護士制度の改革」の中で、弁護士不足を補う方策として、まず、隣接法律専門職種の活用等を、続いて、企業法務等の位置付けの中で、司法試験合格後に民間等における実務経験を経た者に対する資格の付与や、特任検事経験者等の有する専門性の活用等を提言しているのであって、資格を付与された者が弁護士として活躍することを想定していると考えられることが理由である。法制面においても、現行の裁判所法をみると、判事・判事補になるためには、司法試験と司法修習を経ることが必要とされており、その例外は大学教授・助教授など極めて限定されているところ、特任検事経験者は、これらを経ていないという事情もある。これらからみて、特任検事経験者に対しては、弁護士となる資格を付与することが相当であると考えられるので、このようなたたき台(案)としたものである。

○:特任検事に弁護士資格を与えるということでよいと思っている。研修等の何らかの担保措置が必要かもしれない。

○:特任検事に弁護士資格を付与することに賛成である。意見書は、基本的には法科大学院を前提にした法曹養成を念頭に置いているが、いろいろなルートからの法曹も考えておく必要があるのではないか。経験年数は5年くらいが適当であろう。能力補完のための措置として研修が必要であると思う。

○:今は民事、刑事と分けられない問題が多い。弁護士は圧倒的に民事を得意とする方が多く、特任検事が弁護士になって刑事に強い弁護士が増えると使い勝手が良くなる。弁護士が少ない地方にも多くいるということも心強いところである。

■:特任検事に弁護士資格を付与すること、その場合の特任検事としての経験年数は5年とすることでどうか。

○:異議なし。

■:その他の条件については、研修等が必要であるとの話もあったが、そもそも条件を要求するか、要求するとしてどのようなものとするかについて、次回、引き続き議論したい。

(5) その他

関係機関タイム(最高裁)
 裁判官の人事評価制度に関する研究会の研究状況について、最高裁配布資料「裁判官の人事評価の在り方に関する研究会の協議の経過」に基づき説明がなされ、7月16日に出される予定の研究会の答申について、次回検討会(7月22日)で説明する予定である旨の報告があった。

(6) 次回の予定

 次回(7月22日)は、引き続き、特任検事経験者への法曹資格付与問題のほか、本日議論できなかった、司法修習を経ていない司法試験合格者への法曹資格付与問題等について議事を進める予定。

(以上)