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知的財産訴訟検討会(第16回) 議事録

(司法制度改革推進本部事務局)



1 日 時
平成16年1月21日(水) 13:10 〜13:30

2 場 所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)
中山信弘(座長代理)、荒井寿光、飯村敏明、小野瀬厚、加藤 恒、小林昭寛、櫻井敬子、沢山博史(敬称略)
(事務局)
山崎潮事務局長、近藤昌昭参事官、吉村真幸企画官、平瀬知明参事官補佐

4 議題
 知的財産高等裁判所(仮称)の在り方について

5 議 事

○中山座長代理 定刻になりましたので、第16回知的財産訴訟検討会を開催いたします。委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。
 本日は、伊藤座長がやむを得ぬ急用とのことで、座長代理の私が議長を務めさせていただきます。
 今年最初の検討会でございます。本年もよろしくお願いいたします。本日は、これまで皆様に御議論をいただきました内容を踏まえまして、事務局に知的財産高等裁判所の在り方についての方向性を整理した案を作成してもらっています。事前に事務局が皆様の御意見を伺っておりまして、御異存は少ないものと伺っているようでございますけれども、これについても皆様の御意見を伺い、最終的な方向性をとりまとめることができればと考えております。
 では、最初に事務局からお手元の資料の確認をお願いいたします。

○近藤参事官 配布資料の確認ですけれども、資料1といたしまして「『知的財産高等裁判所(仮称)』の設置について」という配布資料1枚でございます。

○中山座長代理 それでは、知的財産高等裁判所の在り方について検討を進めてまいりたいと思います。まず、事務局から資料に基づいての説明をお願いいたします。

○平瀬補佐 それでは、資料に基づき、知的財産高等裁判所の設置について御説明いたします。本日ここにお示しした案は、今までの検討会で御議論いただいたことを踏まえて作成したものでございます。
 まず「1 知的財産高等裁判所(仮称)の設置」でございますが、裁判所の専門的処理体制の一層の強化を図るため、東京高等裁判所に、知的財産に関する事件を専門的に扱う独立性の高い組織として、知的財産高等裁判所を設けるものといたしております。
 取扱事件につきましては、2にお示ししたとおり、知的財産高等裁判所は、東京高等裁判所の管轄に属する事件のうち、①の東京地方裁判所又は大阪地方裁判所に提起された特許権等に関する専門的な知見を要する事件の控訴事件、②の東京高裁の管轄区域内に所在する地方裁判所に提起された、著作権等に関する専門的な知見を要する事件の控訴事件、③の特許庁の審決取消訴訟を始めとする、特許権等に関する行政訴訟事件、更には、④のその他主要な争点につき知的財産に関する専門的な知見を要する事件を取り扱うものといたしております。
 次に「3 知的財産高等裁判所(仮称)に勤務する裁判官等」につきまして、①や②のとおり、最高裁判所が知的財産高等裁判所に勤務する裁判官を定めるとともに、その裁判官のうち一人に、知的財産高等裁判所長を命ずることとしております。
 また、③の裁判事務の分配等の知的財産高等裁判所における司法行政事務につきましては、知的財産高等裁判所の独自のものとして、そこに勤務する裁判官の会議の議により決定することとしておりまして、その会議は知的財産高等裁判所長が総括することとしております。
 更に4ですが、知的財産高等裁判所の庶務をつかさどらせるため、知的財産高等裁判所事務局を置くことといたしております。
 なお、知的財産高等裁判所を設置する法案は、単行法としてまとめたいと考えております。

○中山座長代理 ありがとうございました。ただいまの事務局の説明にございました「知的財産高等裁判所(仮称)」の設置につきまして、どなたからでも結構でございますので、御意見、御質問ございましたらお願いいたします。

○飯村委員 事務局の案に対して、全く異存はございません。

○加藤委員 独立型の知財高裁を希望しておりました、産業界側の委員として申し上げたいと思います。残念ながら独立型ということにはなりませんでしたが、知財高裁という形がとにもかくにも設立できる方向で結論が得られましたことは、ミニマムラインが突破できたという意味でありがたく存じます。ついては、本案に賛同することとして、この知財高裁の実現と実際の稼働のために産業界として協力する責務があると、このように感じております。
 若干の確認的な小さな質問で恐縮ですが、事務局案について各項目とも最後に「専門的な知見を要するもの」という言葉が入っておりますが、これは今までの議論からした場合について、決して制約的な意味ではないという理解でよろしいでしょうか。それが1点でございます。
 それから、2の「④その他主要な争点につき知的財産に関する専門的な知見を要する事件等」という意味は、例えば②に属しないような意匠権や商標権の侵害事件も扱うことがあり得るというような考え方という意味でとらえてよろしいのでしょうか。

○近藤参事官 まず、前者の質問については、今の運用を制約するという趣旨ではありません。④の事件がどんなものを想定されているのかと言いますと、特許に係る保全の事件ですとか、それから知財事件に関する抗告事件について高裁が扱う場合。あと、最後の「等」と書いてあるものでは、①から③の知財事件に関連をして、知財事件そのものではないですが、関連事件として併合審理すべき事件というものがございます。そういうものも含まれるという意味で、④を設けております。
 後者の質問として、②で書かれているいわゆる著作権等の事件について、管轄が今までなかったものが出てくることになるのかという御質問だと思いますけれども、この2の①から④で書かれている事件というのは、管轄を規定しているものではなくて、知的財産高等裁判所を設置するに当たって、どういう事件を取り扱うことになるのかを規定しているものでして、管轄の規定は別途今までの民事訴訟法において規定されておると理解をしておりまして、今まで扱わなかった、意匠とか商標の西日本のそういうものを、この④の規定によって扱うことになるということを想定しているものではございません。

○荒井委員 事務局の案に異存ございません。今、加藤委員からもお話がありましたが、是非、知財高等裁判所を設置するということで、名実ともに立派なものになっていくように関係者が力を合わせてやっていくということを希望したいと思います。
 この機会ですが、伊藤座長、中山座長代理、それから山崎事務局長、近藤参事官始め事務局の皆さんが、大変資料の作成に御苦労され、それから非常にいろんな意見があったわけですが、それの調整に多大な労を取られたことに敬意を表しますとともに、心から御礼申し上げます。

○小野瀬委員 私はこの事務局の案に賛成いたします。

○小林委員 この事務局案に異存ございません。それから、今回がこの会議の最後かどうかわかりませんが、この論点だけではなくて、ほかの論点につきましても、いろいろな意見を出していただいたことと、それから事務局に対しまして、とりまとめの労を取っていただきまして、どうもありがとうございました。特許庁としても、非常に感謝をしております。

○櫻井委員 私は、この案は特に可もなく不可もなくであると思っておりまして、名もないし実もないと思っているのですけれども、しかし致命的な欠陥がないという意味で反対はいたしません。これが私の意見でございます。

○沢山委員 櫻井委員の後で、大変言いづらいのですが、大変結構な案だと思います。この案だけクローズアップされて、新聞報道もされて、1年以上委員として議論に参加させていただいた者としては、非常に釈然としない思いがしております。我々は、これだけではなくて、大事な議論をしてきたよなという思いがあるのですが、何となくこれだけがクローズアップされているという印象を受けているのがちょっと残念です。
 1年間御指導いただきました委員の皆さんと事務局の皆さんに、大変感謝しております。

○近藤参事官 本日、御都合がつかなかった、阿部委員と末吉委員ですが、事前にこの案について意見をお伺いしております。事務局に対しては、阿部委員、末吉委員ともに、この案に賛成であるとおっしゃっていただいております。それだけ御報告させていただきます。

○中山座長代理 私も座長代理ではなくて、委員としてこの案には賛成したいと思います。伊藤座長も、今日は本当はお見えになるはずだったので御意見を出されていないのですけれども、お話を聞いている限りはこの意見に賛成であると思います。そういうわけで知的財産高等裁判所の改正の方向性につきましては、全員の御了解をちょうだいしたものと思います。事務局におきましては、更に法制上の問題点を詰めていただきまして、最終的には内閣として今国会に法案を提出してもらうということになると思います。
 それでは、今後の予定につきまして、事務局より連絡をちょうだいしたいと思います。

○近藤参事官 法案の方向性についておとりまとめいただきましたので、予備として日程をお取りいただいている1月26日については、開催しないことになりますので、よろしくお願い申し上げます。知的財産訴訟検討会は、今回をもって一応終了ということになるのですが、なお今後必要が生じた場合には、また御参集いただくこともあり得ると考えておりますので、そのときにはまたよろしくお願いいたします。
 ここで、事務局を代表して事務局長の山崎よりごあいさつをさせていただきたいと思います。

○山崎事務局長 ただいまおとりまとめをいただきまして、大変ありがとうございます。この1年数か月の間に、本当にハードな熱い議論をいただいたと思っております。最後にこの知財高裁の問題が残って、今日決着ということになったわけですが、これについてはいろんないきさつがございました。しかし、いきさつはさておき、皆様からの熱い議論があったからこそこういう形で生まれるわけでございまして、本当に画期的なことであろうと思っております。
 我々にとっては、この通常国会、大変ハードな国会でございます。法案も山ほどあるという状況の中で、どうやって早く御承認をいただくか、最大限の努力をしていきたいと思っております。なるべく早い時期に、皆様方に成立をしたという御報告ができるように、頑張りたいと思います。
 今後ともいろいろな形で御支援を賜りたいと思います。ありがとうございました。

○中山座長代理 どうもありがとうございました。それでは、これをもちまして、第16回知的財産訴訟検討会を閉会させていただきます。
 委員の皆様にはこれまでの長い間、御議論をちょうだいいたしまして、誠にありがとうございました。数多くの貴重な御意見をちょうだいしたわけでございます。お陰様で、この検討会といたしまして、知的財産訴訟の更なる充実・迅速化に向けた大きな制度改正の案を提案することができたと考えております。今後、御参集をお願いすることもあり得るということでございますので、一応の締めということになろうかと思いますけれども、皆様におかれましては、今後ますます御活躍されますことをお祈りいたしまして、本日の知的財産訴訟検討会を終了させていただきたいと思います。誠にありがとうございました。

(以 上)