第2回配布資料一覧

仲裁検討会資料5

仲裁人及び仲裁廷についての検討項目案



(前注)arbitral tribunalの邦訳について,当面「仲裁廷」の語を充てる。

I 仲裁人の数について

 仲裁廷を構成する仲裁人の数については,当事者が合意により自由に定めることができると考えられるが,このような合意がない場合の標準的な数について,どのように考えるか。例えば,次のような考え方はどうか。
(1) 3人とする。
(2) 1人とする。
(3) 仲裁の目的の価額により,1人又は3人とする。

【コメント】
 各国の立法例では,仲裁人の数について,当事者が自由に定めることができるとし,当事者の合意がない場合には,1人とするもの,あるいは3人とするものが多いとされている。モデル法(模範法)第10条第(2)項は,後記のとおり,当事者の合意がない場合には3人としている。
 仲裁廷の公正,仲裁判断の適正等の観点からは,仲裁廷を3人の合議体とすることが望ましい一方,手続の迅速,費用の抑制等の要請や適格な仲裁人候補者の確保等の難易度等の考慮から,例外を許容しつつ1人を原則とすることも考えられる(後記英国法第15条参照)。
 国内の仲裁機関の仲裁規則においては,原則的人数を1人としている例も多いこと(国際商事仲裁協会商事仲裁規則第23条,東京第二弁護士会仲裁センター仲裁及び和解あつせん手続規程第5条等),仲裁費用を抑制することなどを考えると,対象事件の目的の価額が低いものについては1人,高いものについては3人とすることも考えられる。
 なお,国内仲裁と国際仲裁とで分けることも考えられないではないが,両者を明確に区別しうるかという問題があろう。

(参考)
(注)仲裁人の選任手続は,当事者が自由に合意して定めることができると解されるが,そのような合意のない場合の補充規定の在り方については,標準的な仲裁人の数を何人とするかの結論を待って検討する必要があろう。

II 仲裁人の資格について

 仲裁人の資格について,どのように考えるか。

(検討対象事項)
 次のような場合が問題となる。
1 法人
2 破産者

(参考)

III 仲裁人の忌避及び退任について

1 忌避事由について
 仲裁人の忌避事由について,どのように考えるか。例えば,次のようなものが忌避事由になるものとすることはどうか。
(1) 当事者が合意した資格を有しないこと。
(2) 仲裁人に「不偏又は独立について正当な疑いを生じさせるような事情」(後記モデル法(模範法)第12条第(2)項参照)又は仲裁の「公正を妨げるべき事情」(民事訴訟法第24条第1項参照)があること。

【コメント】
 モデル法(模範法)第12条第(2)項は,後記のとおり,仲裁人の不偏独立性という観点から忌避事由を規定しており,裁判官の忌避事由である「裁判の公正を妨げる事情」との異同について吟味する必要があると考えられる。

(参考)

(参考文献)

2 忌避事由開示義務について
 仲裁人候補者又は仲裁人は,忌避事由に該当する事由があると思われるときは,当事者に対し,速やかにこれを開示しなければならないものとすることはどうか。

(参考)

3 忌避手続について
 仲裁人の忌避手続について,どのように考えるか。例えば,当事者が忌避手続について合意で定めることができることを前提として,そのような合意がない場合の標準的な手続について規定するものとすることはどうか。

(参考)

4 忌避以外の退任事由について
(1) 仲裁人の退任事由について
 仲裁人の退任事由として,忌避以外にどのようなものが考えられるか。また,この点について規定を設けるべきか。

(検討対象事項)
ア 仲裁人の死亡
イ 仲裁人の破産
ウ 仲裁人の後見等の開始
エ 仲裁人契約の解除
オ 仲裁人の職務の不能又は懈怠
カ 仲裁人の辞任

(参考)

(2) 仲裁人の職務の不能又は懈怠について
 仲裁人の職務の不能又は懈怠が退任事由となるとした場合,その判断手続はいかにあるべきか。

(参考)

IV 仲裁人の権利義務について

1 仲裁人の責任について
 仲裁人の行為義務,損害賠償責任等について,どのように考えるか。
(参考)

2 その他
 その他仲裁人について,論ずべき事項があるか。

(注)仲裁人の報酬については,仲裁費用の問題の一環として後に検討する予定である。