事務局から、検討会資料16について説明がされ、次のような意見交換がされた。なお、1、3(1)、4(2)及び6については特段の意見は出されなかった。
(2 仲裁人の資格について)
○A案がよい。仲裁人は自然人に限ると思うが、自然人に限る旨の規定を設けると、団体を仲裁人に指定する合意の扱いが問題となるので、むしろ規定を置かない方がよい。
○パブリックコメントでA案を提示するのなら、法人も仲裁人となりうることを前提としての提示なのか、それとも、仲裁人は自然人に限り、法人を指定したら仲裁合意が無効になりうることを前提としての提示なのかを詰める必要がある。
○仲裁人の忌避、死亡等の規定からすれば、仲裁人は自然人に限るのが当然の前提ではないか。
(3(2) 当事者の合意がない場合の標準的な選任手続について)
○コメントの点につき、実務上は就任の内諾を得てから仲裁人を選定するので、問題にはならないと思われる。
(3(3) 合意された仲裁人選定手続が功を奏しない場合の対応について)
○仲裁人を確保するための「必要な措置」は、モデル法作成過程では、裁判所自ら仲裁人を選定する意味と解釈していたと記憶している。
(4(1) 忌避事由について)
●イの「不偏又は独立」に[ ]のかっこを付したのは、具体的な表現はな検討する趣旨であり、この用語でどうかという趣旨ではない。
(4(3) 忌避手続について)
○コメント2点目につき、忌避申立につき裁判所で判断がなされた場合に、仲裁判断取消手続で再び忌避事由を問題にすることを認めるのはよくない。
□確かに蒸し返しになるが、事務局案は、忌避手続の裁判所への不服申立ては上訴ができないと整理しているので、仲裁判断取消手続を認めないと上訴ができないので、仲裁判断取消手続において再度忌避事由を問題とせざるを得ない。
○忌避事由を仲裁手続中で主張せずに仲裁判断取消の時に初めて主張するのは、信義則に反する。当事者は忌避事由があるときは遅滞なくその旨を相手方に伝達し、それを怠ったときは責問権放棄とするのがよい。
○忌避申立について仲裁廷がした判断に対する不服申立てを所定期間内に「しなければならない」と規定するか、「することができる」と規定するかが問題となる。モデル法は「することができる」と権利の形で規定しており、それでよいと思う。
○「することができる」とすると、忌避申立についての仲裁廷の判断には不服申立てをしないでおいて、終局判断が意に反したら仲裁判断取消手続をおこせばよいということになりかねない。
●コメントの1点目に付き、事務局としては、不服申立を許さない裁判は、仲裁手続の障害となる事項について裁判所が簡易な手続で仲裁手続続行に協力し、仮に仲裁判断が出れば、それ以上協力する意味がないので訴えの利益はなくなり、裁判はしないという形で考えている。
○仲裁判断が出ても当然には申立ての利益は失われず、裁判所が忌避決定をすることは可能と理解するのが一般と思う。仲裁判断後に忌避申立を認める裁判が出た場合の効果は、将来仲裁判断取消請求がされた際に事実上の拘束力が生じるか、損害賠償請求の前提になるのではないか。
(5 仲裁人の退任(任務終了)について)
○(1)のアとイの関係が判然としない。イbの「仲裁人が任務を怠っていること」はアの解任の理由ではないか。
●アは両当事者の合意による場合、イはその他の場合として区分した趣旨である。
(7 仲裁人の責務等について)
○規定は是非置いてほしい。
○「公平に」職務を行うという規定は妥当ではない。一方当事者によって選定される仲裁人は当事者の利益代表的な場合があり、「公平に」と規定すると利益代表を否定する趣旨に読めてしまう。
○忌避事由の不偏独立は当事者選定仲裁人にも第三仲裁人にもかかる。規定を置く必要はないと思うが、「公平」は当事者選定仲裁人、第三仲裁人とも同じ規制であるはず。