事務局から、検討会資料20について説明がされ、同資料12ページ(2)の枠内の「仲裁人」を「仲裁廷」に訂正する旨の補足がされた。
同資料について次のような意見交換がされた。なお、検討事項6(2)については特段の意見は出されなかった。
(1 仲裁判断の基準について)
○「衡平と善」の明示の指定は、機関規則で定めることは可能か。
●可能と思われる。
○当事者が指定した基準に仲裁人が従わなかった場合に、それを理由として仲裁判断を取り消せるかは問題となりうる。ドイツでは、恣意的な法適用でなければ取り消せないという説が多いようだが、異論もある。
(2 複数の仲裁人で構成される仲裁廷の意思決定(評決)の在り方について)
○機関規則で、評決は過半数による旨と、合議体の長が手続を指揮する旨を定めている。
○第三仲裁人が仲裁廷の長になることが多く、手続の指揮の他、書面提出期限延長申請等で急を要するときに単独で決定する。
(3(1) 仲裁手続中に成立した和解の取扱いについて)
○合意内容が公の秩序に反するとまでは言えなくても、仲裁廷として許容しうる枠を超え、仲裁判断書にするのは妥当でない場合が考えられる。モデル法や韓国法のように、仲裁廷に異議がないことを要件とする方がよい。
○その懸念は当事者の合意が真意に基づくかどうかの問題ではないか。当事者が真意に基づいて合意したのなら、和解内容に基づく仲裁判断の作成を仲裁人が拒みうるとする必要はない。
(3(2) 仲裁人による話合いによる解決のあっせんについて)
○当事者の同意がない場合は和解のあっせんはできないとすべきである。規定を置くとすれば、両当事者の同意を要件とするのが望ましい。
○法律で両当事者の同意を要件とした場合に、機関規則で、一方当事者の同意があれば和解を勧めることができると規定できるか。
●機関規則を用いることに双方が同意するのだから、許されるのではないか。
(4(1) 仲裁判断書の記載事項及び仲裁人の署名について)
○仲裁地の記載がない場合は、仲裁機関の主たる事務所所在地を仲裁地とみなす規定がほしい。
(4(2) 仲裁判断書の送付について)
○当事者が仲裁判断書の受領を拒否する場合の扱いを検討する必要がある。
○実務の扱い(当事者に送付する決定書にも仲裁人が署名をし、コピーと表示する等の扱いはしていない)を前提とすれば、法律的にはすべて原本と考えられ、「謄本」を送付するという表現は使いづらいのではないか。
(6(1) 仲裁手続の終結について)
○14ページのコメント2点目につき、相手方が紛争解決について正当な利益を有するかどうかの判断は難しい。相手方の同意だけを要件とするのがよい。
○正当な利益の有無は定型的に判断できると思われ、モデル法の表現でよい。
(7(1) 仲裁判断の訂正(更正)及び解釈(補足説明)について)
○職権での更正には、期間制限は不要ではないか。明らかな誤植等も直せないとすると、執行の際に不都合が生じるおそれがある。
(7(2) 追加の仲裁判断について)
○原案は、職権による追加仲裁判断は規定しない趣旨か。
●その趣旨である。