第1回配布資料一覧
資料8
新司法試験等に関する主な論点
(司法制度改革審議会意見)
「点」のみによる選抜から「プロセス」としての新たな法曹養成制度に転換するとの観点から、その中核としての法科大学院制度の導入に伴って、司法試験も、法科大学院の教育内容を踏まえた新たなものに切り替えるべきである。
第1 新司法試験について
1 試験科目
2 試験方法
・短答式、論文式、口述式のいずれの方法によるかなど
(司法制度改革審議会意見)
法科大学院において充実した教育が行われ、かつ厳格な成績評価や修了認定が行われることを前提として、新司法試験は、法科大学院の教育内容を踏まえたものとし、かつ、十分にその教育内容を修得した法科大学院の修了者に新司法試験実施後の司法修習を施せば、法曹としての活動を始めることが許される程度の知識、思考力、分析力、表現力等を備えているかどうかを判定することを目的とする。
新司法試験は、例えば、長時間をかけて、これまでの科目割りに必ずしもとらわれずに、多種多様で複合的な事実関係による設例をもとに、問題解決・紛争予防の在り方、企画立案の在り方等を論述させることなどにより、事例解析能力、論理的思考力、法解釈・適用能力等を十分に見る試験を中心とすることが考えられる。
3 対象者(受験資格)
(司法制度改革審議会意見)
法科大学院制度の導入に伴い、適切な第三者評価の制度が整備されることを踏まえ、それによる適格認定を受けた法科大学院の修了者には、司法試験管理委員会により新司法試験の受験資格が認められることとすべきである。
上記のように第三者評価による適格認定に基づいて司法試験管理委員会が法科大学院の修了者に新司法試験の受験資格を認める場合には、適格と認定されていた法科大学院について、その認定が第三者評価を実施する機関によって取り消されることとなったときに、新司法試験の受験資格について、当該法科大学院の在学生に不測の不利益を与えないよう適切な配慮が必要である。
(注)第三者評価(適格認定)と司法試験の受験資格との関係
法科大学院の第三者評価(適格認定)の仕組みは、新たな法曹養成制度の中核的機関としての水準の維持、向上を図るためのものであって、大学院としての設置認可や司法試験の受験資格とは、密接に関連しつつも、独立した意義と機能を有するものであり、評価(適格認定)基準の策定や運用等に当たっては、それぞれの意義と機能を踏まえつつ、相互に有機的な連携を確保すべきである。
4 受験回数等の制限
・制限の内容
・制限内に合格することができなかった者が一定期間を経た後に再受験することを認めるかなど
(司法制度改革審議会意見)
第三者評価による適格認定を受けた法科大学院の修了者の新司法試験の受験については、上記のような法科大学院制度及び新司法試験制度の趣旨から、3回程度の受験回数制限を課すべきである。
5 実施時期
・法科大学院在学中(毎年3月ころまで)に実施するか、修了後数か月程度が経過してから(毎年夏ころに)実施するかなど
第2 予備的な試験について
(司法制度改革審議会意見)
また、経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者にも、法曹資格取得のための適切な途を確保すべきである。このため、後述の移行措置の終了後において、法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度の趣旨を損ねることのないよう配慮しつつ、例えば、幅広い法分野について基礎的な知識・理解を問うような予備的な試験に合格すれば新司法試験の受験資格を認めるなどの方策を講じることが考えられる(この場合には、実社会での経験等により、法科大学院における教育に対置しうる資質・能力が備わっているかを適切に審査するような機会を設けることについても検討する必要がある。)。
いずれにしても、21世紀の司法を支えるにふさわしい資質・能力を備えた人材を「プロセス」により養成することが今般の法曹養成制度改革の基本的視点であり、およそ法曹を志す多様な人材が個々人の事情に応じて支障なく法科大学院で学ぶことのできる環境の整備にこそ力が注がれるべきであることは、改めて言うまでもない。
なお、予備的な試験に合格すれば新司法試験の受験資格を認めるなどの方策を講じることとした場合の受験回数については、別途検討が必要である。
第3 その他
1 現行司法試験と新司法試験の関係(スケジュール)
・〜平成17年:現行司法試験のみ
・平成18年〜平成22年:現行司法試験と新司法試験の併存
・平成23年〜:(予備的な試験及び)新司法試験
(司法制度改革審議会意見)
新司法試験は、平成17(2005)年度に予想される法科大学院の初めての修了者を対象とする試験から実施することとすべきである。新制度への完全な切替えに至る移行措置として、現行司法試験の受験生に不当な不利益を与えないよう、新司法試験実施後も5年間程度は、これと併行して現行司法試験を引き続き実施すべきである。
2 現行司法試験と新司法試験の併存の問題点
・現行司法試験と新司法試験の重複受験を認めるかなど
3 司法試験管理委員会の改組
(司法制度改革審議会意見)
新司法試験と法科大学院での教育内容との関連を確保するため、例えば、司法試験管理委員会に法科大学院関係者や外部有識者の意見を反映させるなど適切な仕組みを設けるべきである。
4 いわゆる丙案の廃止
(司法制度改革審議会意見)
なお、現行司法試験におけるいわゆる合格枠制(丙案)については、現行試験合格者数が1,500人に達することが見込まれる平成16(2004)年度から廃止すべきである。