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法曹養成検討会(第10回) 議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり


1 日時
平成14年7月19日(金)14:00〜16:20

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)
田中成明座長、井上正仁、今田幸子、加藤新太郎、川野辺充子、川端和治、ダニエル・フット、永井和之、牧野和夫、諸石光熙(敬称略)

(説明者)
板東久美子・文部科学省高等教育局高等教育企画課長
福崎弘・日本技術者教育認定機構事務局長

(事務局)
山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、古口章事務局次長、松川忠晴事務局次長、片岡弘参事官

4 議題
(1) 新司法試験の在り方について(意見の整理)
(2) 法科大学院の第三者評価の実施方法等について

5 配布資料
資料1  法曹養成検討会(第9回)議事概要
資料2  新司法試験の在り方について(意見の整理)(再修文案)
資料3  アメリカ法曹協会(ABA)のロースクール認定の概要
資料4  法科大学院への法曹・法務省の関与(イメージ)

6 説明資料(文部科学省)
・ 大学の質の保証のための新たなシステム
・ 大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について(中央教育審議会答申案)

7 議事

(□:座長、○:委員、■:事務局、●:文部科学省、▲:日本技術者教育認定機構)
(1) 新司法試験の在り方について(意見の整理)
 新司法試験の在り方について、配布資料2のとおり、現時点における意見の整理が行われた。

(2) 法科大学院の第三者評価の実施方法等について

 a) 文部科学省からの説明

 文部科学省から、大学全体の第三者評価制度の検討状況等について、説明資料に沿って説明がなされた。
 b) アメリカ法曹協会(ABA)のロースクール認定について
 アメリカ法曹協会(以下「ABA」という。)のロースクール認定について、事務局から配布資料3に沿って、その概要の説明がなされた後、委員から次のような補足説明がなされた。

○ ロースクールが毎年作成する年次調査票は、添付資料を含めると何百ページにも及ぶ詳細なものである。
 現地評価については、その実施の1年半も前から、学内に委員会を作り、資料の収集や課題ごとの議論を重ねるなどの準備を進めている。
 ABAの現地評価チームが作成する現地評価報告書については、ロースクール側でコメントを付すことができる。
 評価が悪い場合には、ロースクールに対する直接的なインパクトとなるばかりでなく、認定過程における情報が公表され、ロースクールのランキングの材料や、志願者の志望校選択の資料となるという間接的な効果もある。現地評価報告書での問題点の指摘だけではなく、その準備のための自己評価を通じて、ロースクールの改善に役立っている。他方、ロースクールや大学にとっての負担の問題があるほか、余りに細かい基準を定めると、望ましい教育の改革や多様性を妨げることにもなりかねないという指摘もある。

○ ABAのロースクール認定については、法学教育コンサルタント・オフィス以外の活動はすべてプロ・ボノ活動であること、認定委員会及び評議会の委員構成は、ロースクール関係者を半数未満とし、その他はロースクールのユーザーから構成されており、ロースクール関係者でない大学関係者が委員となっていることが特徴的である。また、仮認定から完全認定に進むプロセスが重要な意義を有している。

 c) 日本技術者教育認定制度について

 日本技術者教育認定機構(以下「JABEE」という。)事務局長から、JABEEのホームページ掲載の資料に基づき、日本技術者教育認定制度の概要(JABEEの活動状況、認定制度の目的、認定基準、認定・審査の方法、認定結果の公表、自己点検、試行審査の結果等)について説明がなされた。

 d) 質疑応答・意見交換

 以上の各説明の後、次のような質疑応答・意見交換がなされた。

○ JABEEの認定において、目標達成度の評価として、プログラムの修了者全員が目標を達成していることを根拠を示して証明しなければならないとしている点は、非常に参考になる。ABAでも、このような現実の達成度の評価をしているのか。7年に一度の評価では難しいのではないか。

▲ 成績評価に問題のある場合があり、このような場合には、試験問題と答案を見るなどの調査を行うこともある。大学自身が、成績評価を適正に行い、目標を達成していることを証明する必要がある。

○ ABAのロースクール認定でも、司法試験の合格率や就職率のような事項が問題となる。なお、現地評価でも、授業を視察して教育方法等をチェックしており、また、試験について教授にインタビューしたり、試験問題や答案を見ることもある。

▲ アメリカでは、大学卒業後2年を経過した者の評価について企業からの意見を聴き、大学の評価に活用しているところもある。

○ 現在の日本の大学には偏差値によるばらつきがあり、教育後のレベルにもばらつきが出るように思われるが、JABEEの認定では、その点については、どのように考えているのか。

▲ エンジニアとして国際的に通用するレベルも考慮しており、そのスタンダードないし最低のレベルは、今後の審査・認定を通じて、一定のレベルに落ち着くのではないかと考えている。適正な教育システムが作られているかどうか、一定のレベルが確保されているかどうかという観点から審査を行っている。

○ JABEEでは、どのような人が審査員になっているのか。

▲ 大学教授と企業の部長以上の人が審査員になっている。審査長となる審査員には、海外の審査を経験してもらい、審査について勉強してもらっている。

○ JABEEの認定では、項目別の審査は、最終的な認定にどのように反映しているのか。

▲ 項目別の審査は、審査方法について検討するため、試行的に実施したものである。

□ 仮認定と完全認定という仕組みについては、文部科学省ではどのような検討をしているのか。

● 設置認可と第三者評価については日米で制度が異なっており、仮認定のような制度を設けるかどうかについては、個々の第三者評価機関が決定することも考えられる。大学全体の一般的な第三者評価としては、必ずしも適格又は不適格と認定しなければならないというものではなく、設定した目標の達成が十分又は不十分であるというような評価方法も考えられるのではないか。

○ 文部科学省では、試験の問題や答案を見て達成度を評価し、これを公表することを検討しているのか。それとも、第三者評価の対象は、教員数等の外形的な事項のみで、教育の内容は評価対象とならないのか。

● 教育の内容や質的な面も評価することが、第三者評価の基本的な考えである。大学を訪問して、成績評価等の実際を見ることも考えられる。

○ 法科大学院の第三者評価を行う評価機関については、民間の機関が複数設立されることが見込まれているのか。

● 法科大学院についてはまだ分からないが、機関別評価を行う評価機関は複数できると思われる。

○ 第三者評価の結果と法令違反状態との関係については、どのように検討されているのか。

● 制度としては、直接結び付くものではなく、不適格認定の場合に、直ちに設置認可が取り消されるものではない。不適格認定を契機として、原因等の調査を行い、設置基準の違反があれば、一定の措置を検討するということになろう。

○ 第三者評価の結果と法令違反状態との関係については、中央教育審議会でも議論されており、両者を結び付けるべきであるという意見も出されているが、第三者評価機関が定める基準がかなり高くなったり、ばらつきが生じることも考えられるので、直接結び付けるのは難しいのではないかと思われる。

○ 第三者評価の結果の公表については、どのように考えているのか。

● JABEEのように、認定された事実だけを公表するという方法や、大学評価・学位授与機構のように、評価の内容まで詳しく公表するという方法等も考えられる。

□ 法科大学院の第三者評価の実施方法等については、今後も検討を続けることとしたい。

 以上の議事の後、事務局から、法科大学院の第三者評価のスキーム(司法試験の受験資格との関係等)に関する顧問会議等での議論の状況について、配布資料4を示すなどして説明がなされた。

8 今後の予定

 次回(8月28日 14:00〜16:00)は、事務局による立案作業の上で、更に検討が必要な論点について検討することとなった。
(以上)