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法曹養成検討会(第11回) 議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日時
平成14年8月28日(水)14:00〜16:00

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)
田中成明座長、井上正仁、今田幸子、加藤新太郎、川野辺充子、川端和治、諸石光熙(敬称略)
(説明者)
久保公人・文部科学省高等教育局主任大学改革官
(事務局)
山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、古口章事務局次長、松川忠晴事務局次長、片岡弘参事官

4 議題
(1) 関係機関の検討状況等について
(2) 司法試験法の改正について
(3) 司法修習の期間について

5 配布資料
資料1  法曹養成検討会(第10回)議事概要
資料2  司法試験法の改正について(骨子)(案)

6 説明資料(文部科学省)
中央教育審議会答申(平成14年8月5日)

7 議事
(□:座長、○:委員、■:事務局、●:文部科学省)

(1) 関係機関等の検討状況等について

 文部科学省から、法科大学院の設置基準等に関する中央教育審議会答申について、説明資料に沿って説明がなされた。
 事務局から、今般の法曹養成制度の改革において、学校教育法及び司法試験法の改正のほか、法科大学院と司法試験等の有機的連携を図るための施策の基本理念や国・関係者の責務等を定める特別の法律(以下「特別法」という。)を立案する必要があり、その検討を進めているとの説明がなされた。
 文部科学省及び事務局の説明に対し、次のような質疑応答がなされた。

○ 法科大学院の設置基準等に関する中央教育審議会の答申は、どのような形で法令化していくのか。

● 現在検討中であるが、法科大学院に特有の事項について、設置の関係は主として政・省令に規定されることになる。また、法曹や法務省の関与については、特別法に規定されることになると考えている。

□ 当検討会では、法科大学院については、入学者の割合等の重要事項のチェックを毎年行うことを前提に検討してきたが、第三者評価を何年ごとに行うかについては、法科大学院と他の大学とで異なるのか。

● 検討中であるが、一般の大学と法科大学院等の専門職大学院とで、第三者評価の頻度を異にすることは考えられる。

□ 評価機関ごとに第三者評価の頻度が異なるのは適当でないのではないか。

○ 新しい法曹養成制度においては、大きな司法を作るために、相当の人的・財政的資源を投入することが必要であり、奨学金等の経済的支援に関する国の責務や、現役の裁判官・検察官の法科大学院への教員派遣に協力する責務のようなものを、特別法に規定してほしい。

■ 法曹が後継者の養成に協力するという理念は規定することが可能ではないかと思われる。更に検討したい。

○ 制度の成熟状況を見ながら柔軟に見直す旨を規定すべきではないか。

■ 特別法の附則に、見直し条項を規定することは可能であると思われる。

○ 中央教育審議会答申で提言されている、第三者評価の結果を踏まえた設置認可取消し等の措置については、学校教育法に明確に規定されるのか。

● その方向で検討しているが、「設置認可の取消し」という文言となるかについては確定していない。

○ 第三者評価の結果を踏まえた措置とは、具体的にはどのような手続でなされるのか。

● 第三者評価機関が適格認定をしない場合には、その旨が文部科学大臣に通知され、調査が開始されるという手続となる。関係資料は、大学から文部科学大臣に提出され、法令違反状態となっているかどうかについては、大学設置・学校法人審議会に諮って議論が行われることになる。

○ 第三者評価の結果と法令違反に対する措置との関係について、大学一般の場合と法科大学院の場合とで違いはあるのか。

● 大学一般については、第三者評価の結果と大学に対する行政措置が結びつかないが、法科大学院については、両者を結びつけるような制度設計が必要であると考える。法科大学院については、適格認定を行うが、他の分野で適格認定を行うかどうかは検討中である。

□ 本検討会では、法科大学院については、第三者評価(適格認定)と設置認可、司法試験の受験資格とを何らかの形で結び付けるという前提で検討してきたので、これを踏まえて検討していただきたい。

(2) 司法試験法の改正について

 事務局から、司法試験法の改正骨子案について、資料2に沿って説明がなされた後、以下のような質疑応答・意見交換がなされた。

○ 資料2の2(6)は、現行司法試験法第6条第5項と同様の表現であり、新司法試験は現行司法試験と変わらないという印象を与えるのではないか。司法制度改革審議会意見で提言されている新司法試験のイメージが出るように工夫すべきではないか。

■ 「知識を有するかどうかの判定に偏することなく」という部分に意味があるという考えもある。

○ 移行期間中の現行司法試験については、法文上はどのように規定することになるのか。

■ 移行期間中の現行司法試験も新司法試験も、その合格が司法修習生の採用の前提となる「司法試験」である。移行期間終了後は新司法試験に完全に移行することから、移行期間中の現行司法試験は、附則で規定する方向で検討している。

○ 現行司法試験法においては、司法試験で判定する能力について第5条第1項で「裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力」と規定した上で、第6条第5項で「知識を有するかどうかの判定に偏することなく」と規定しているが、資料2の骨子案では、短答式試験及び論文式試験で判定する能力をそれぞれ具体的に記載しているので、現行法第6条第5項のような規定はこれと必ずしも整合せず、必要ないのではないか。

○ 資料2の骨子案は、司法試験の判定の対象となる能力と、判定の方法ないし留意事項とを書き分けたものであり、2(6)のような規定を設ける意味があるという考え方も成り立つのではないか。

■ この問題については、更に検討し、次回の検討会で御報告したい。

○ 受験回数の制限について、受験者がいずれの5年間においても3回の範囲内で受験できる制度設計とするという考え方は、単純かつ公平で、最も合理的である。

○ 法科大学院の在学生が現行司法試験を受けた場合には、修了前2年間に受験したものを受験回数制限の対象に算入するということだが、在学期間が2年より長くなった場合はどうなるのか。

■ 現行司法試験の受験者が法科大学院に在学中であるかどうかを審査することは実際上は極めて困難であり、再受験の場合に2年間の不受験期間を置くこととの均衡も考慮して、一律に修了前2年間の受験を算入することが適当であると考えたものである。

□ 法科大学院の在学中に現行司法試験を2回受けて不合格となった者が、2年間留年した場合には、結局、受験回数制限に算入されないことになるのか。

○ そのような者を安易に留年させてよいのかという問題があるのではないか。

○ 法科大学院修了前2年間の現行司法試験受験を受験回数制限に算入するという考え方は合理的であると思う。

○ 予備試験の実施状況等を踏まえて、その在り方を見直す旨を規定すべきではないか。

■ 予備試験を見直すに当たっては、法曹養成制度全体の観点から見直すことが必要となる。司法試験法のみを見直すのか、法曹養成制度全体を見直すのかという問題もあり、更に検討したい。

○ 予備試験は、社会での経験を有する者が合格するような試験内容とすべきであるが、資料2の骨子案で、法律に関する実務の基礎的素養につき、「法律に関する実務の経験により修得されるものを含む」としている点、口述試験の試験科目を法律実務基礎科目のみとしている点は、その趣旨が良く表れていると思う。

○ 司法試験委員会は、大臣の諮問を受けない限り、意見を述べることができないということになるのか。

■ 法制面の問題を更に検討する必要があるが、司法試験委員会は司法試験の実施主体であり、実際には、その実施に関する重要事項については、大臣に適宜意見を述べることができるものと考えられる。

○ 司法試験委員会の委員数については、どのように検討しているのか。

■ 法曹三者が過半数を占めるのは妥当でないという考えもある。委員の数については、関係機関とも調整中である。

□ 資料2の骨子案は、本検討会におけるこれまでの検討を踏まえたものとなっていると考える。引き続き事務局において検討し、次回の検討会で報告していただきたい。

(3) 司法修習の期間について

■ 司法修習の期間については、本検討会のこれまでの検討において、「修習期間を1年程度に短縮する方向で関係機関において引き続き検討する」とされているが、臨時国会に司法試験法の改正案等を提出する予定であり、司法修習の期間につき「少なくとも一年六月間修習をした」という裁判所法の規定を「少なくとも一年間修習をした」とする改正案も併せて提出するのが適切ではないかと考えられる。このような法改正を行った場合でも、移行期間中の司法修習については、法曹三者の更なる検討にゆだね、柔軟に対応することが可能であると思われる。臨時国会に司法修習期間に関する裁判所法の改正案も併せて提出することについて、御検討いただきたい。

○ 本検討会の検討で、司法修習期間を1年程度に短縮することについては合意されており、裁判所法の改正を格別に遅らせる理由はないのではないか。

○ 法科大学院や司法試験に関する法案を提出しながら、司法修習に関する法案を提出しないという問題と、新しい司法修習の具体的内容を更に時間をかけて検討するべきではないかという問題のいずれを重視するかという問題ではないか。法曹三者の更なる検討を待つ場合でも、期限を明確に設定する必要があるのではないか。

■ 裁判所法の改正案を提出するためには、司法修習の内容についての検討がある程度進んでいる必要があると思われる。

□ 司法修習の期間を1年程度に短縮することはコンセンサスができており、可能であれば、法科大学院や司法試験の関係の法案と一括して法案を提出するのが適当であると思われる。法曹三者においては、検討を早急に進め、9月30日の本検討会までには、最終的な意見を述べてほしい。

8 今後の予定

 次回(9月18日 15:00〜17:00)は、引き続き、事務局から立案作業の状況について報告を受け、更に検討することとなった。

(以上)