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法曹養成検討会(第12回) 議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日時
平成14年9月18日(水)15:00〜17:00

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)
田中成明座長、井上正仁、今田幸子、加藤新太郎、川野辺充子、川端和治、木村孟、ダニエル・フット、永井和之、牧野和夫(敬称略)
(説明者)
小池裕・最高裁判所事務総局審議官
(事務局)
山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、古口章事務局次長、松川忠晴事務局次長、片岡弘参事官

4 議題
(1)法曹養成に関する法律について
(2)司法修習の期間について
(3)司法試験法の改正について

5 配布資料
資料1  法曹養成検討会(第11回)議事概要
資料2  法曹養成に関する法律について(立案の方針)(素案)
資料3  司法試験法の改正について(骨子)(案)

6 説明資料(最高裁判所)
・ 新しい司法修習の内容等について

7 議事
(□:座長、○:委員、■:事務局、●:最高裁判所、▲:文部科学省)

(1) 法曹養成に関する法律について

 事務局から、法曹養成に関する法律(以下「特別法」という。)の立案作業の状況について、資料2に沿って説明がなされた後、以下のような質疑応答・意見交換がなされた。

○ 資料2の3に、国の責務として、「法科大学院における教育の充実」と記載されているが、具体的には、国は何をするのか。

■ 設置基準等の制度面のほか、運用面において、必要な施策を講ずることが考えられる。

○ そこには、国による財政的措置も含まれるのか。

■ 必要な財政的措置を講ずることは含まれる。

○ 今般の司法制度改革は、大きな社会的インフラの整備であり、法曹の養成も重要な課題であって、財政的措置を講ずることを明文化する必要があるのではないか。

■ 司法制度改革推進法第6条に、司法制度改革に必要な財政上の措置を講ずる旨が規定されており、この規定との関係も問題となる。

○ 他の具体的措置を規定しながら、財政的措置についての規定がない場合には、法科大学院に対する財政的措置は不要であるとの印象を与えるのではないか。

○ 今般の法曹養成制度改革は、プロセスによる養成に転換するものであり、法科大学院における教育の充実だけでなく、これと司法試験や司法修習との有機的連携を図るための国の財政的な責務も規定すべきではないか。

○ 財政的措置は重要であるが、今回の特別法は、法科大学院と司法試験等との連携について規定するものであり、財政的措置についての規定を設けることが適切かどうかという問題があるのではないか。

○ 資料2では、法科大学院における教育の充実の具体化に関する規定が不十分であり、教育の充実のための財政的措置について規定すべきではないか。

■ 今回の特別法は、いわば恒久的な性質を有するものであり、一定の施策を推進するための措置とは性質を異にするという法制上の問題もあるので、更に検討したい。

□ 法科大学院における教育の充実には、必要な財政的措置が含まれると考えられるが、財政的措置を規定することについて、事務局において更に検討していただきたい。

○ 学校教育法の規定と今回の特別法の規定との関係はどのようになるのか。また、認証評価機関が適格認定をした場合にも、文部科学大臣は法務大臣にその結果を報告することになるのか。

■ 特別法は、認証評価機関が法科大学院の適格認定を行うことや、適格認定を受けられなかった場合に文部科学大臣が大学に対し資料提出等を求めることなど、法科大学院について、学校教育法の特則を規定するものである。評価結果の法務大臣への通知については、認証評価機関による適格認定を義務付けることから、その結果を法務大臣に通知する必要があると考えたものである。

▲ 法科大学院が適格認定を受けられなかった場合に文部科学大臣が大学に資料提出等を求めるものとすることについては、学校教育法の特則的な内容を規定するものである。また、学校教育法で、第三者評価の結果を文部科学大臣に報告するものとしていることを前提として、特別法で、文部科学大臣が法務大臣に通知するものとすることを規定するものである。

○ 評価と適格認定は別のものであり、評価基準には様々な切り口のものがあるので、「法科大学院評価基準に適合している」という表現は適切でないのではないか。

■ 評価基準に適合している旨の認定を行う制度を新たに創設するとの趣旨であるが、評価基準の具体的内容については、更に検討したい。

□ 本検討会で検討してきたようなミニマム・スタンダードが、法科大学院の設置基準と評価基準にどのように盛り込まれるのかを整理する必要があるのではないか。

○ 資料2の5の冒頭は、評価機関の認証基準にミニマム・スタンダードが盛り込まれ、これを踏まえて、各評価機関が評価基準を策定するという趣旨ではないか。

□ そのような仕組みにする必要があると思われる。

○ 資料2の6の法務大臣から文部科学大臣に対する要請は、文部科学大臣から通知される第三者評価の結果とは別の契機に基づいて行われることも考えられるのか。

■ そのような場合もあり得ると考えられる。

□ 本検討会では、法科大学院の教育活動の評価を中心に検討してきたが、資料2の5で、法科大学院の教育研究活動等の状況を評価する旨が記載されている趣旨は何か。

○ 世界的に見ても、適格認定の対象は教育活動のみである。

○ 専門職大学院では研究指導を要しないとされていることとの整合性も問題となるのではないか。

▲ 大学全体の第三者評価や専門職大学院一般の第三者評価では、教育研究活動を評価するものとしており、また、教員組織については、教育活動と研究活動を分けることが難しいという問題もある。

□ 特別法の立案については、資料2の内容を基本的な方針としつつ、事務局において、本日の意見も踏まえて更に立案作業を進めていただき、次回の検討会で更に検討することとしたい。

(2) 司法修習の期間について

 最高裁判所から、新しい司法修習の内容等に関する検討状況について、説明資料に沿 って説明がなされた後、法務省から、最高裁判所の説明の要点については法務省としても異存はない旨が述べられ、次いで、以下のような質疑応答・意見交換がなされた。

○ 総合型実務修習は、どこで行うのか。配属地に希望する修習先がない場合には、司法修習生の間で不公平感を生じるのではないか。地方に配属された司法修習生が、自ら修習先を開拓することは難しいのではないか。

● 総合型実務修習については、配属地以外で行うことも視野に入れ、その細部につき更に検討を進めてまいりたい。

○ 総合型実務修習は、司法修習生が主体的に法曹としての自己の将来像を決めるという新しい考え方によるものではないか。

○ 新しい集合修習の目的として、法的思考・分析能力や説得的な表現能力の養成を挙げているが、このような能力の養成は、法科大学院でも目的としており、法科大学院における教育との関係をどのように考えているのか。また、移行期間中の現行司法試験の合格者(以下「現行試験合格者」という。)に対する司法修習の期間を短縮すると、集合修習や実務修習の重複が少なくなるというが、具体的にはどのようになるのか。

● 新しい集合修習は、法科大学院で養成された法的思考・分析能力や表現能力について、具体的な事件を素材として指導することにより、更に発展させることを目的とするものである。また、説明資料添付の資料2のとおり、現行試験合格者の修習期間を1年6月のままとした場合には、次年度の新司法試験合格者(以下「新試験合格者」という。)や現行試験合格者と修習が重複するのに対し、現行試験合格者の修習期間を短縮すると、集合修習の重複がなくなり、実務修習の重複も少なくなる。移行期間中の特例措置として、現行試験合格者の修習期間を短縮することが必要ではないかと考えている。

○ 現行試験合格者の修習期間を1年程度に短縮する場合には、法科大学院を修了した新試験合格者の修習期間と同じになり、法科大学院における教育との関係が問題となるのではないか。

○ 法科大学院は司法修習の一部を代替するためのみのものではなく、法曹養成制度全体が改革されることに伴って修習の在り方を見直すのであるから、単純に修習期間のみを比較することはできないのではないか。

○ 現行試験合格者と新試験合格者の修習期間が同じになる場合には、現行試験合格者が法科大学院の実務基礎科目を履修していないことと整合しないのではないか。

○ 養成の仕方や修習の内容が異なるので、単純に修習期間のみを比較することはできないと考えられる。問題は、現行試験合格者について、現在1年6か月の修習期間を1年に短縮することが合理的といえるかどうかということではないか。

● 現行試験合格者に対する司法修習では、法科大学院での実務教育を受けていないことを踏まえ、前期修習を維持することとしている。また、指導方法についても様々な工夫が可能であり、司法研修所の入所前に課題を与えることも考えられる。

○ 実務修習の重要性からすれば、実務修習の重複が大きくなりすぎると、その効果が上がらなくなり、問題ではないか。

○ 同一の実務修習庁会で現行試験合格者の実務修習と新試験合格者の実務修習が重複し、2か月の実務修習と3か月の実務修習を同時並行で行うことは実際上不可能と思われる。現在各3か月の実務修習を各2か月に短縮し、前期修習と後期修習も各2か月に短縮して、現行試験合格者の修習期間を1年程度とするのが相当ではないか。また、新試験合格者の司法修習について、分野別実務修習の後、集合修習のため司法研修所に移動し、その後、総合型実務修習のため配属地に戻ることとする場合には、住居の問題等、司法修習生の負担を考慮すべきではないか。

● 移行期間中の司法修習については、効果的な教育指導を責任をもって行い得る態勢を整備する観点から、政策的・技術的に検討する必要があると考えており、本検討会でその大枠を決めていただき、その具体的内容については、法曹三者に加えて有識者の意見も聴きながら、今後更に検討してまいりたい。

□ 今般の法曹養成制度改革の全体像を示す観点からも、秋の臨時国会において、司法試験法や学校教育法の改正等とともに、司法修習の期間に関する裁判所法の改正をも併せて行うべきであると考える。移行 期間中の問題については、事務局及び関係機関において更に検討していただき、次回の検討会で最終的な報告をしていただきたい。

(3) 司法試験法の改正について

 事務局から、司法試験法改正の立案作業の状況について、資料3に沿って説明がなされた。

8 今後の予定等

 次回(9月30日 14:00〜16:00)は、引き続き、事務局から立案作業の状況について報告を受け、更に検討することとなった。

(以上)