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法曹養成検討会(第13回)議事録

(司法制度改革推進本部事務局)



1 日時
平成14年9月30日(月)14:00〜15:00

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)田中成明座長、井上正仁、今田幸子、加藤新太郎、川野辺充子、川端和治、ダニエル・フット、永井和之、牧野和夫、諸石光熙(敬称略)
(事務局)山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、片岡弘参事官

4 議題
(1) 司法試験法及び裁判所法の改正について
(2) 法曹養成に関する法律について

5 配布資料
資料1 法曹養成検討会(第12回)議事概要
資料2 司法試験法及び裁判所法の一部改正について(骨子)(案)
資料3 法曹養成のための法科大学院の教育と司法試験等との有機的連携の確保等に関する法律(仮称)について(骨子)(案)

6 議事
 (□:座長、○:委員、■:事務局)

□ 所定の時刻になりましたので、第13回の法曹養成検討会を始めたいと思います。
 まずは、検討に先立ちまして、事務局から本日の配布資料の確認をお願いしたいと思います。

■ それでは、本日の配布資料の確認をお願いいたします。
 資料1は、「法曹養成検討会(第12回)議事概要」であります。資料2は、「司法試験法及び裁判所法の一部改正について(骨子)(案)」でございます。内容については、後ほど御説明申し上げます。資料3は、「法曹養成のための法科大学院の教育と司法試験等との有機的連携の確保等に関する法律(仮称)について(骨子)(案)」でございます。この内容についても、後ほど御説明申し上げます。

□ それでは検討に入りたいと思います。本日は司法制度改革推進本部において、この秋の臨時国会に向けて立案作業を進めている各法案の立案の基本方針につきまして、最終的な検討を行ってまいりたいと思います。
 法曹養成の基本理念等を定める法律、これは前回まで「ブリッジ法」などと言っておりましたけれども、これと司法試験法の改正の立案方針につきましては、基本的な方向性としては、前回までに事務局から報告のあった方向で立案作業を進めていただいておりましたが、幾つかの点につきまして、前回、委員から御指摘がありましたので、それらの点につきまして、事務局において、更に検討を加えていただくことになっておりました。また、司法修習の期間を短縮する裁判所法の改正につきましては、本日の検討会で最終的な方針を確認するということになっておりました。
 そこで、本日はこのような点を中心に、事務局及び関係機関から説明を受けた上で、更に検討を加えることにしたいと思います。
 本日は立案の基本方針につきまして、この検討会としての最終的な確認を行いたいと考えておりますので、御協力よろしくお願いいたします。

(1) 司法試験法及び裁判所法の改正について

□ それでは、まず司法試験法及び裁判所法の改正についての検討に入っていただきます。
 まず事務局から立案作業の状況などについて説明をお願いいたします。

■ それでは資料2の「司法試験法及び裁判所法の一部改正について(骨子)(案)」を御覧ください。前回の検討会では、この秋の臨時国会に、司法試験法の改正に加え、司法修習の期間を1年に短縮する裁判所法の改正案についても提出すべきであるとの御意見を頂戴しましたので、この資料はそれを踏まえまして、裁判所法改正についての基本方針も組み込んだものであります。裁判所法改正については、後ほど御説明申し上げます。
 まず「第1 司法試験法の一部改正」について御説明申し上げます。
 全体としまして立案の基本的な方針につきましては、これまで御説明した内容と変更はありません。前回までの御指摘をも踏まえて法制面を中心に更なる検討を加えた点について御説明申し上げます。
 まず2ページの一番上の(6)を御覧ください。
 「(6) 司法試験においては、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を適確に評価するため、知識を有するかどうかの判定に偏することなく、法律に関する理論的かつ実践的な理解力、思考力、判断力等の判定に意を用いなければならないものとする。」という趣旨の規定を置くこととしました。
 この点につきましては、前回までの御指摘をも踏まえて更なる検討を加えましたところ、やはりこのような趣旨の規定を置く必要があると考えたものであります。前回も御説明申し上げましたように、今回の改正では、短答式試験と論文式試験の成績を総合して最終的な合否を判定することとしておりますが、その際には論文式試験の成績により比重を置いて合否を判定するものであることから、そのことを確認的に明らかにするためにもこのような規定が必要であると考えたものであります。
 また、このような規定を置くことにより、司法試験は単なる受験技術的なものによって取得できる知識のみでは対応できないものである、という趣旨をも示すことができると考えております。
 そして、新しい司法試験の内容に沿った規定振りとするため、「法律に関する理論的かつ実践的な」という部分を加えたものであります。
 次に3ページを御覧ください。
 3ページの6の「司法試験委員会」の「(2) 所掌事務」という部分でありますが、この所掌事務について、「①」から「④」まで記載しました後、4ページになりますが、4ページの上から2行目にありますとおり、「委員会は、その所掌事務を行うため必要な場合には、関係行政機関又は関係のある公私の団体に対し、必要な資料の提供その他の協力を求めることができるものとする」としております。これは、例えば司法試験の選択科目や出題範囲を決定するに当たって、法科大学院における授業科目の開設状況等を確認するために、司法試験委員会が文部科学省などに対して資料の提供等の協力を求める必要が生じることなどが考えられますので、このような規定を置くこととしたものであります。
 そのほか、司法試験法の関係では、表現振りについて、前回までの資料を若干変更した部分がありますが、これは法制的に更なる検討を加えた結果によるものでありまして、立案の基本的な方針を変更したというものではございません。
 次に5ページの「第2 裁判所法の一部改正」についてであります。
 「司法修習生の修習期間を、少なくとも1年間に短縮するものとする」としております。具体的には裁判所法第67条第1項において、司法修習の期間につき、「少なくとも一年六月間」としている規定を「少なくとも一年間」と改正するものであります。これにより、司法修習の期間は1年間を基本とするということになります。
 なお、いわゆる移行期間中における現行司法試験合格者の司法修習の期間につきましては、現在の1年6か月とあるところを、1年に短縮する案や1年4か月に短縮する案などが出されているものと承知しておりますが、本日は関係機関の御意見を伺った上で、その基本方針を検討していただきたいと考えております。
 なお、参考までに、移行期間中における司法修習の重複に関し、事務局限りで行ったシミュレーションについて御説明申し上げます。
 まず、新司法試験合格者の修習期間を1年とし、現行司法試験合格者の修習期間を1年6か月とした場合についてですが、現行司法試験合格者につきましては、大学の在学中に合格する者がございますので、どうしても4月から開始せざるを得ないということで、4月から修習を開始することとし、現行どおり前期修習を3か月とします。そして実務修習があって、翌年の7月ごろ司法研修所での集合修習に入りまして、後期集合修習を3か月するということでございます。そして、新司法試験合格者に対する修習につきましては、11月ころから修習を開始し、導入教育を行った後、翌年8月まで実務修習を行い、その後11月まで総合実務・集合修習を行うことを想定した場合、最後の集合修習の部分に、現行司法試験合格者の修習と重なる部分が出てくるということでございまして、毎年8月ころから10月ころにかけて、新司法試験合格者と現行司法試験合格者の集合修習が重複することになります。
 次に、新司法試験合格者の修習期間を1年とし、現行司法試験合格者の修習期間を1年4月として前期修習・後期修習各2か月として組んだ場合には、集合修習の重複を何とか回避し、連続していますが、それぞれ異なる時期に集合修習をすることができると考えております。
 続きまして、どちらの修習も1年にすることとし、現行司法試験組につきましては、前期修習・後期修習を各2か月とする場合にも、集合修習の重複を回避することができます。
 これらは、修習の具体的な内容を抜きにしまして、枠組みだけで考えた場合にどのようになるかということを参考のために検討したものでございます。

□ どうもありがとうございました。それでは、司法修習の期間などにつきましては、本日、日弁連から御意見をお伺いすることになっておりましたので、まず日弁連からお願いしたいと思います。

(日本弁護士連合会) 日弁連では、本検討会におきまして、修習期間について関係機関で協議してくるようにというような方向付けがなされましたので、それ以降いろいろ検討を重ねてまいりました。結論から申し上げますと、法科大学院の完成期、すなわち実務基礎科目群の必修科目が9単位ということになった場合の修習期間あるいは移行期における新司法試験合格者の修習期間、これについては1年程度に短縮するということで考えております。
 次に移行期における現行司法試験合格者の修習期間は1年4月程度に短縮するのが妥当だと考えるに至りました。
 次に検討の結果等、意見を若干述べさせていただきます。
 まず完成期における新司法試験合格者の修習内容でございますが、これは9月18日に本検討会で最高裁が述べられた御意見とほぼ基本的には同じでございます。まず新司法試験合格者の修習の内容は、法科大学院の教育内容、これが充実されることから、実践的な充実したより高度の実務修習を中心とした修習がなされるということでございます。我々もそのようになされるべきだと考えております。
 次に、完成期における修習期間についての日弁連の基本的な考え方でございますが、これは先ほど申しましたように、従前の1年6月の期間をある程度短縮することはやむを得ないということでございます。その理由でございますが、法科大学院が法曹養成の中核的機関となることによって、法曹養成期間が必要以上に長期化されないように配慮するということであるならば、修習期間が一定程度短縮されることはやむを得ないという結論に達しておるわけでございます。
 日弁連は6月4日の本検討会で意見を述べました。そのときには、1年ないし1年2月というようなプレゼンテーションをしたと思いますが、その後、今日まで新司法試験の合格者の修習期間についていろいろ検討してまいりました。その結果、法科大学院での教育が理論と実務を架橋するものとして、司法制度改革審議会意見書で述べられている基本的理念が実現されることを前提とすれば、現行修習の前期修習に相当する部分は、既に法科大学において教育が満たされているということでございますので、これに対して更に修習の内容を工夫・充実させていければ、1年程度に短縮することは可能だということから、先ほど申しましたように、1年程度に短縮することはできると考えた次第でございます。
 次に移行期における新司法修習の期間についてでございますが、これは移行期におきましては、完成期における実務基礎科目群の必須単位が9単位であるのに対して、移行期においては5単位でございますから、これを同一期間ですることは若干理屈に合わない、すなわち筋が通らないのではないかという考えを基本的にはしております。したがいまして、これを1年ということにするのであれば、早期にこういう問題を解消するように日弁連では希望している、すなわち早期に法科大学院の教育内容が充実されるということを希望しておると、こういうことでございます。
 それから、移行期における現行司法試験合格者の修習期間でございますが、移行期における現行司法試験の合格者は、いわゆる一発試験で合格した者である。したがいまして、法科大学院での充実した教育を受けていない。更にしたがいまして、この現行司法試験の合格者と新司法試験合格者の修習期間が同一であるということについては、理屈から言って不合理であると基本的には考えております。しかし移行期におきましては、これまでにない多数の修習生を受け入れねばならないという現実面と、それから新旧二つの異なった教育を受けてきた者に対する修習を始期、終期を異にして併存させなければならないと、こういった様々な現実面を考えますならば、修習期間をある程度短縮することについてはやむを得ないと考えるに至った次第でございます。
 なお、この場合の修習の内容につきましては、前回、最高裁の方では、集合修習・分野別実務修習・総合型実務修習というようなことで3つにお分けになって考えられておられますが、弁護士会としても集合修習・実務修習を実施することについては異論はございません。ただし、その具体的な期間とか内容につきましては、今後、最高裁、法務省等関係機関と協議した上で決定していきたいと考えております。
 ちなみに、これまでに日弁連がここに至った経過等について若干御説明させていただきたいと思います。日弁連では、従前から1年6月を維持すべきだという意見が多数ございました。そこで日弁連内部でいろいろ検討いたしましたけれども、今申し上げたように、1年6月とすべきだという意見がございました。更に1年6月が無理ならば、旧司法試験と新司法試験の合格者の修習期間については、これはある程度の差を設けるべきで、そうでなければ合理性がないという意見もございました。そして司法修習生が大幅に増員されても、弁護士会としては方法について工夫をいろいろしていけば、1年6月という修習期間でも頑張れるというような意見もございました。そして修習期間を先に議論するのではなくて、修習内容がどういうものになるのか、充実したものにすべきであり、ここを先に議論をして、その後に修習期間を考えるべきだという意見もございました。
 そこで日弁連といたしましては、これらの意見、当検討会の議論の状況、更に最高裁判所との協議の結果、こういうものを考慮いたしまして、先ほど申し上げましたような1年4月にすることが妥当であるという結論に達したわけでございます。
 なお、弁護士会は、法曹養成過程において、重要な位置を占める司法修習の実施については、重大な責任を負担しているということを自覚しております。旧司法試験合格者の修習期間が1年4月ということになった場合、私たち日弁連は修習担当弁護士の必要数を確保しなければなりませんので、この選任方法や修習の方法等を工夫して司法修習が充実したものとなるようにこれからも頑張っていきたい、必ず充実した司法修習ができるように、更に努力を続けていきたいという考え方をしております。
 簡単でございますが、以上でございます。

□ どうもありがとうございました。
 前回の検討会では、いわゆる移行期間中における現行司法試験合格者に対する修習の期間をどうするかという問題が残っていたわけです。この点につきまして、今、日弁連から1年4か月程度が妥当ではないかという御意見があったわけでございますが、法務省から、何か補足意見はございますでしょうか。

(法務省) ただいま御説明がありましたとおり、移行期間中には新司法試験合格者に対する新しい修習と現行司法試験合格者に対する現行修習が開始時期を異にしながら並行して実施されることになるわけでございますが、移行期間における現行修習の期間をどうするかは、移行期間という限られた期間内における例外的措置の在り方についての問題ではありますけれども、その中で、これまで同様、修習に遺漏のないよう十分な体制を維持しておく必要があると考えます。
 しかしながら、本日事務局から説明があったシミュレーションからも分かるとおり、現行修習の期間をこれまでどおり1年6か月としたままでは二つの修習について十分な体制を維持しておくことは困難と言わざるを得ません。また、一般論として申し上げれば、授業内容や時間割の工夫、入所前の課題や課外授業の活用によって、期間が仮に短縮されたとしても、ある程度これを補うことも可能である上、修了後、弁護士会その他の研修を充実させることで対応することも期待できるものと考えます。
 その意味で、移行期間中における現行修習の期間を、ただいま日弁連がおっしゃったように、ある程度短縮することは、現行修習と新修習との間の実務修習や集合修習の重なり合いを考えますとやむを得ないものと考えております。
 期間につきましては、法科大学院の教育を受けていない者が受ける現行修習が新修習よりも長期間にわたるべきであるという御意見にも十分な理由があると思われますので、本日の日弁連の御意見を踏まえた上、いま申し上げたような方向で移行期間中の現行修習の具体的内容について、日弁連や最高裁とも十分御相談し、移行期間中においても二つの修習に遺漏がないよう万全の体制を敷くべく努力をしてまいりたいと考えております。
 以上です。

□ どうもありがとうございました。最高裁の検討状況はいかがでしょうか。

(最高裁判所) 最高裁から移行期間における現行修習の在り方について御説明させていただきます。裁判所は、前回の検討会におきまして、この移行期間における現行修習の在り方については、移行期間における教育指導の内容、あるいはその体制を踏まえた方策として、その期間を短縮するなどの特例措置について検討する必要がある旨の考え方を示したところであります。
 また、前回の検討会におきましても、このような方向性の御議論がされまして、とりまとめにおいて、法曹三者において、この方向性を踏まえて、更に具体的な検討をすべきであるとされたものと承知しております。
 その後、法曹三者におきまして、前回の検討会における御議論を踏まえまして、その移行期間における現行の司法修習の在り方について更に検討いたしました。先ほど日弁連からお話がございましたように、日弁連はその期間を1年4か月とすることが妥当であるという考え方をお示しになられましたが、裁判所としても限られた教育指導体制の中で、教育的効果を損なわない形で現行の司法修習を実施するためには、その期間を1年4か月とする考えは適切なものであろうと考えております。また、このような考え方は、前回の検討会における御意見にも沿うものではないかと考えている次第でございます。この移行期間における現行の司法修習期間について法曹三者がこのように検討したわけでございますが、このような検討結果を踏まえまして、推進本部におきまして、短縮する方針が示された場合には、引き続きこの司法修習の担い手であります法曹三者におきまして、ただいま日弁連、法務省からもお話がございましたが、その具体的内容を協議・検討してよりよいものにしてまいりたいと考える次第でございます。
 以上でございます。

□ ありがとうございました。
 それでは、ただいまの関係機関並びに事務局の説明につきまして、司法試験法の改正の件も含めて御質問や御意見のある方はどうぞ。

○ 前回の検討会のときに、移行期間中の司法修習について、現行司法試験合格者の修習期間を新司法試験合格者と同じように1年に揃えないといけないのではないかというようなことをちょっと申し上げたと思うのですが、それは現行司法試験合格者の実務修習の1コマが3か月、新司法試験合格者の実務修習の1コマが2か月ということになって、3か月の修習と2か月の修習が実務庁で同時並行的に行われると、実務庁に非常に過大な負担を与えるのではないか、ひいてはそれが修習の内容にも悪影響を及ぼすのではないかというふうに危惧したものですから、そのようなことを申し上げたのですけれども、いろいろな創意工夫によって、3か月組と2か月組を並行的に修習させても、修習の内容が充実して行われるということであれば、特に私としては異論はございません。現行司法試験合格者に対する修習を1年6か月でやりますと、先ほどシミュレーションによると集合修習が重なってしまい、1年4か月だとそれが回避できるということですので、その方向で異存はございません。

□ ほかにございますでしょうか。

○ 実際に修習を担当されるところでそれぞれお考えになって、これで内容的にも何とかやっていけるということなら、それはそれでいいのかなと思います。二点申し上げたいのですが、日弁連の方で、移行期は実務関連が5単位で、移行期が終われば9単位というように御説明されたと思いますが、これは理解が違うのではないかと思います。要するに、とりあえず5単位ですが、法科大学院の整備が進めば、いずれは9単位にしようということであって、移行期かどうかということとは連動しないものだと私などは理解していますので、そこのご理解はちょっと違うのではないかと思います。
 もう一つ、現行司法試験合格者の修習期間を1年4月とすると、事務局のシミュレーションによれば、それと重ならないようにするためには11月ぐらいに新司法試験合格者組の修習を開始しないといけないとのことでしたが、そうすると、その開始時期をさらに前に持ってくるのは、重なりを生じさせますので、以前に、できるだけ早く開始すべきだとおっしゃった委員もいらっしゃいますけれど、そういうことは難しくなりますね。その点はそれでよろしいのかどうか。私自身は、これでしようがないとは思うのですが。

■ 新司法試験合格者の修習を1班制とすれば、集合修習は最後の2か月間になる。それで、開始時期について多少の前倒しは理屈の上では可能なのですが、2班制になると、恐らく、ただいまの委員の御指摘のとおり困難な状況になると思います。

○ そこは、修習の内容と期間に多少の柔軟性を持って組めば、ある程度前倒しもできるということなのかなと思うのですが。

□ 委員の御指摘は、特に再考しろという趣旨ではないのですか。

○ そういうことではなくて、そのようなことを踏まえて、内容をより詰めていただきたいということです。

○ 先ほどの委員からお話がありましたけれども、実務基礎科目の単位ですが、これはいろいろな整備が必要であるということで、当初は5単位を必修にすれば足りるということになりましたけれども、弁護士会としては、できるだけ早く9単位を実施するように法科大学院に頑張っていただきたいというのが本日の説明の趣旨ではないかと思います。私自身も、移行期間における新司法修習も当初から1年ということになりまして、これは導入教育をやることにはなっておりますけれども、こういうものができるだけ早くなくしてしまえるような、そういう充実した実務基礎教育が法科大学院において行われるべきだと思います。今まで我々が得ている情報では、恐らく相当多くの法科大学院でそのような体制を実現していただけるものと期待しておりますし、日弁連としても、それが可能になるように、実務基礎科目の教材の開発とかあるいは教員の研修というものにこれから力を尽くしたいと考えておりますので、ぜひ、そういうことを前提に法科大学院の方で御準備いただきたいと思います。
 それから、修習期間ですけれども、いろいろな実務的な難点等を考えて、結局、この新司法修習1年、現行修習について1年4月ということで、何とか実施できるという案が法曹三者の間でまとまったものでありますから、私はそれはそれで異論がございませんので、この機会に申し上げておきます。

□ ほかにございますでしょうか。

○ 私も期間につきましては異議がないのでございますけれども、新修習の最初のところに、1か月でしょうか、導入というのがございまして、細かい話になるのですが、実務修習が8か月、総合実務・集合修習が4か月ということになりますと、この導入がもし1か月要するのであれば、厳密に言えば1年1か月になって、もし実務修習の方に食い込むのであれば、1週間ずつ、ただでさえ短い実務修習が更に短くなるということになりますので、その辺はいかがなのでしょうか。

■ まず事務局の理解を申し上げます。まず先ほども申し上げましたが、当初、新司法試験合格者については1班制での実施もあり得ると考え、その場合に、総合実務・集合修習の総合実務の方などをやりくりしまして、集合修習は2か月が維持できるということでございます。
 それから、2班制になった場合、これは最高裁あるいは法曹三者にお聞きしないといけないのかもしれませんが、導入をある程度もう少し短く数週間単位にするとかで、それぞれ実務修習あるいは集合修習の方でやりくりするということで全体を1年に抑えるというようなことを承っておりますので、導入の部分を明確に1か月行うというわけではございませんので御考慮いただきたいと思います。

□ ほかにございますでしょうか。
 ございませんでしたら、司法試験法及び裁判所法の改正につきましては、事務局から説明のあった方向で最終的な立案作業を進めていただくことにしてよろしゅうございますでしょうか。
 それから、いま御議論がありました、移行期間中の現行司法試験合格者に対する修習の期間につきましては、関係機関、事務局、委員の方々の意見を踏まえて、1年4か月を基本として事務局で立案作業を進めていただくことにしまして、修習の具体的な実施の在り方につきましては、いただいた御意見を踏まえて関係機関において引き続き検討していただきたいと思いますけれども、それでよろしゅうございますでしょうか。

○ その場合には法文上はどうなるのでしょうか。

■ 前回、御説明申し上げたところであります。裁判所法の本則に「少なくとも一年六月」とあるのを「少なくとも一年」とし、そして、附則で1年4か月の趣旨が読めるように書かないといけないわけですが、どの期間の修習を1年4か月とするかということを規定することになると、ちょっと技術的に難しい点ございますので、ポリシーとしては移行期間中の現行司法試験合格者の司法修習は1年4か月とするという趣旨で、あとはテクニカルにこれから検討させていただきたいと思います。

□ よろしゅうございますでしょうか。

○ はい。

(2) 法曹養成に関する法律について

□ それでは引き続きまして、もう一件の案件でございます法曹養成の基本理念等を定める法律、いわゆる「ブリッジ法」と前回から呼んでいるわけですけれども、この立案作業などにつきまして、その状況を事務局から御説明願いたいと思います。

■ それでは資料3を御覧ください。
 この資料は、法曹養成の基本理念等を定めた法律につきまして立案の概要・方針を示したものでありますが、具体的な規定振りにつきましては、今後更に法制的及び技術的な観点から検討を加えることとしております。
 まず、この法律の法律名ですが、この資料のタイトルにありますとおり「法曹養成のための法科大学院の教育と司法試験等との有機的連携の確保等に関する法律」というようにすることを考えております。前回も御説明申し上げましたとおり、司法試験法や学校教育法の改正に加え、この法律を制定する意義を端的に法律名で示そうという趣旨であります。すなわち、新たな法曹養成制度においては、法務省や文部科学省などのそれぞれの所掌事務を前提としつつも、それらをいわばブリッジして、有機的連携を確保することが必要であり、そのためにこの法律を制定するという趣旨を示す法律名とするものであります。
 以下、立案の基本的な方針につきましては、前回の検討会で御説明申し上げたとおりでありまして、変更はございませんが、本日は更なる法制面での検討を加えた部分を中心に御説明申し上げます。
 まず「2 基本理念」の冒頭部分であります。
 「国の規制の撤廃又は緩和の一層の進展その他の内外の社会経済情勢の変化に伴い、司法の果たすべき役割がより重要なものとなり、多様かつ広範な国民の要請にこたえることができる」という部分を加えたものであります。
 これは司法制度改革推進法に定められている司法制度改革の必要性についての規定振りを参考としつつ、求められている法曹は、ここに記載しましたとおり、多様かつ広範な国民の要請にこたえることができるものでなければならないという趣旨を示そうとするものであります。
 次に2ページの「3 国の責務」の最後の「○」の部分で、「財政的措置に関する規定(検討中)」としております。前回の検討会では、政府の財政的措置に関する規定を置くべきであるとの御意見が出されたところであり、それを踏まえまして、現在関係機関等と調整しているところであります。この場合には司法制度改革推進法第6条が参考になろうかと思います。司法制度改革推進法第6条は「政府は、前条に定める基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない」としているところであります。
 今後この法案の提出に至るまでには、各省との協議や閣議決定を経なければならないわけでありますので、事務局といたしましては、財政的措置に関する規定を置くことにつきまして当検討会の御意見を踏まえつつ各省との折衝を粘り強く続けたいと考えておりますので、現時点で検討中、ペンディングとしていることにつきましては、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
 なお、そのような財政的措置に関する規定を置く場合でも、司法修習生の給費制の問題につきましては、従前から御検討いただいておりますように、次回以降の検討会でその見直しを含めて検討するという方針に変わりはないということを併せて御確認いただければと思っております。
 そのほか、この資料に関しまして、表現振りについて、前回の資料と若干変更した部分がありますが、いずれも法制面での更なる検討を加えて、その規定振り等を考えた上での微調整・微修文でありまして、立案の基本的な方針には変更がございません。
 以上であります。よろしくお願いいたします。

□ どうもありがとうございました。ただいまの事務局の説明について、質問又は御意見のある方はよろしくお願いいたします。

○ いわゆるブリッジ法で、法科大学院が法曹養成の中核だということが位置付けられ、更に学校教育法でも、司法試験法でも書きにくいいろいろなことがここで書けるという意味で、こういうブリッジ法という新しい法律をつくられるということを大変評価したいと思います。特に基本理念のところで、今まで我々は随分と議論をしまして、おおよそのコンセンサスになったことが、何か形に残らないと見失われてしまうのではないかという危惧を若干持っておったのですが、このような形でそのような基本的な理念がここへ盛り込まれたということについて大変評価したいと思います。
 特に基本理念のところで、「幅広い教養、国際的な素養、豊かな人間性及び職業倫理」というふうな、この検討会でも随分議論してきました幾つかのこと、これがここにあらわれているということを評価したいと思います。
 それから、後の方でも、「入学者の適性の適確な評価及び多様性の確保」というようなこと、あるいは「少人数による密度の高い授業」、「実務に必要な学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を涵養するための理論的かつ実践的な教育」、それから「厳格な成績評価及び修了の認定」、こういう押さえておくべき幾つかの項目がこの中に盛り込まれていることについて誠に適切なものだと思います。
 更にまた、国の責務ということで、国としての取り組み方を規定されるということは誠に結構なことだと思いまして、国・諸機関との相互の協力の強化とか、法曹である教員の確保というふうなことをうたっておられる。これから法科大学院が実を上げていくためには、裁判官、検察官、弁護士といった法曹の方々がどれだけ協力できるかということが決め手であろうかと思います。それについての協力体制というのは、これからできてくるのだと思います。その基本がここに明定されるということが誠に結構だと思います。
 今、おっしゃった財政的措置のところで、これはいろいろな諸事情の許す限りで、できるだけ積極的な規定をしていただきたい。少なくとも司法制度改革推進法から、少しでも具体化されたものができて、それによって新しく法科大学院ができるということで、全体としての養成期間が長くなることに対応して、学生に対する財政的な支援というものの端緒になり得るような、そういう規定ができればと願っております。
 以上です。

□ ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。

○ 国の財政的措置ですけれども、なるべく規定振りとしては、透かし彫りではなくて、もうちょっと見えるものにできる限り努力していただきたい。
 それから、1ページのところの言葉ですが、余りこのような規定のことはよく分からないのですが、「多様かつ広範な」というのは「国民」の修飾語になっているのですか。「多様かつ広範な国民」というのか、「国民の多様かつ広範な要請」なのか、「国民」に、このように「多様かつ広範」というような修飾語をつけるというのは法律にあるのですか。

■ 「要請」にかかっているものがあると思います。

○ 要請の方ですか。そうすると「国民の多様かつ広範な要請」という方がよいのではないですか。

■ そこは更に検討を加えさせていただきたいと思います。

○ どちらでもこだわりませんが。

○ 先ほどの委員が既に意見を述べられたのですけれども、私も先ほどの委員と全く同じ意見でして、特にまだ問題になっている財政的措置に関する規定、これは前回の検討会で申し上げましたけれども、これをこの法案に入れるべきだというのは、多分この検討会の総意ではないかと思いますので、ぜひもう一踏ん張りしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

□ そのほかございますでしょうか。それでは、この法律につきましても、この検討会としましては、事務局から説明があった方向で最終的な立案作業を進めていただくことにしたいと思います。
 それから、今、両委員からも御指摘がございました、財政措置に関する規定につきましては、前回の検討会の議論を踏まえていろいろ御尽力いただいているところでございますけれども、事務局におきまして、引き続き関係機関との協議を、事務局の言葉を借りますと、粘り強く続けていただきたいと思います。この検討会といたしましても、この法律に財政措置に関する規定、具体的には法曹養成の基本理念にのっとった施策を実施するために必要な財政措置を講ずる旨の規定を置いていただくことを希望するということにしたいと思います。その旨を明後日に予定されております顧問会議などにおいて報告することにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 なお、このような財政措置に関する規定が置かれました場合にも、先ほど事務局の説明もありましたように、司法修習生の給費制につきましては、今後見直しを検討するという、既にお決めいただいている方針は変わりないことを確認しておきたいと思いますので、その点もよろしくお願いいたします。

7 今後の予定

□ それでは、本日の検討はこれまででございますけれども、次回の検討会につきましては、事務局におきまして、別途日程を調整していただいた上、開催期日を決めることにしたいと思います。
 それから、臨時国会に提出する法案に関する状況につきましては、事務局の方から適宜各委員に連絡していただくことにしたいと思います。
 なお、前回御意見がございました、検討会の議事録に発言者名を記載するかどうかということにつきましては、次回以降に検討すべきテーマを整理した上で、次の検討会でお諮りするということにしたいと考えておりますけれども、それでよろしゅうございますでしょうか。

■ 事務局から御連絡、御報告がございます。本検討会の第1回会合の内容を記録した録音テープの不開示決定に対する取消訴訟が提起されましたので御説明申し上げます。
 本検討会の各会合の内容につきましては、議事録作成のために録音をしておるところでありますが、第1回会合の内容を記録した録音テープについて、3月14日に情報公開法に基づく開示請求があり、4月10日付けで不開示決定を行ったところであります。これにつきまして、5月7日に異議申立てが行われ、司法制度改革推進本部長からの諮問により、現在情報公開審査会で審議中でありますが、これと併せまして、不開示決定に対する取消訴訟が提起され、9月20日に訴状の送達を受けましたので、御報告申し上げます。

□ これで一段落ついたわけでございますが、まだいろいろ懸案事項が残っておりますので、それらは適宜具体化する必要があるものから検討を進めていきたいと思います。本日の検討会はこれで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。