事務局から、資料2−1から2−3までに沿って法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案(以下「教員派遣法案」という。)の概要についての説明、法務省から、法科大学院への検察官派遣の準備状況等についての説明、最高裁判所から、法科大学院への裁判官派遣の準備状況等について説明がそれぞれなされた後、以下のような質疑応答・意見交換が行われた。
□ 教員派遣法案はいつ頃成立することを考えているのか。
■ 4月中に成立することを希望しているが、委員会の日程等もあり、現在のところ、明確な時期は申し上げられる状況ではない。
○ 教員派遣法案の附則によれば、準備行為に関する規定は平成15年10月1日から施行すると規定されているところ、設置認可申請に関し、具体的な教員の確保については、それ以前に調整が必要であると考えられるが、その点については、どのように対応すればよいのか。
■ 準備行為に関する規定の施行期日は、この通常国会に提出された国立大学法人法案を踏まえたものである。また人事院規則や最高裁判所規則を制定するための時間も必要である。本年10月1日以前においても、事実上の準備行為をすることは当然あり得ることであると考えている。
○ 文部科学省にもそのような趣旨をしっかり伝えていただきたい。
○ 今後の設置審査のスケジュールを踏まえると、設置認可申請の段階では、裁判官や検察官等の具体的な派遣予定者は決定していないものと考えられるが、派遣される裁判官や検察官等については教員審査は行われないのか。
□ その問題については、設置審議会においても検討されている。派遣される裁判官や検察官等についても、何らかの審査は必要であり、一連の設置認可の審査手続の中で対応されていくものと思う。
○ 大学から特定の検察官等を指名して派遣の要請があった場合にはどのように対応するのか。
● 希望としては承るが、検察官の人事については全国で行っていること等もあり、特定の検察官の派遣を不可欠の条件とされれば、対応は難しいと言わざるを得ない。今のところ、大学からそのような要望はない。
○ 教員派遣法案第5条第3項の「教授等の業務を継続することができないか又は適当でないと認めるとき」とはどのような場合か。人事異動で急遽派遣を途中で取りやめてしまうような場合もあり得るのか。
■ 同項の規定で想定しているものは、心身の故障などである。教員派遣に当たっては、法科大学院と任命権者間での取決めがなされるので、やむを得ない人事異動の必要性が生じた場合等についても取り決めで定めておくことが望ましいと考えられ、派遣期間中にやむを得ず人事異動を行うような場合には、任命権者は後任者の手当てをする
いうような取決めをすることも考えられる。
○ 取決めに関してはマニュアルなどをつくる予定はないのか。
■ 教員派遣法案第4条第5項において、取決めで定めるべき事項を規定している。
○ 取決めに関して、法律に規定している内容はミニマムであると解してよいのか。
■ そのとおりである。
○ 多くの私立大学においては、必ずしも教員の勤務時間等に関する内部の規程が整備されていないと思われる。このような規程が未整備の場合、特にフルタイムで派遣される検察官等の勤務条件はどのようになるのか。
■ 内部規程がなければ、労働法規が適用されることもあり得る。なお、パートタイム派遣の場合は、勤務しない時間について減額して給与を支給することとなるので、法科大学院での勤務時間を明確に定める必要があると考えている。
○ 法科大学院は、理論と実務を架橋した新しい法学教育を行うという理想をもって始まったわけであり、実務家教員と研究者教員が共同でカリキュラムや授業方法について検討することが不可欠ではないか。
□ 研究者教員と実務家教員との融合を図ることは重要である。派遣される検察官等の報酬の算定に当たり、講義の時間だけではなく、そのために必要な準備時間なども含めて単価を設定する必要があり、この点について、十分に考慮して欲しい。
■ 「教授等の業務」の中には、当然、カリキュラムの作成準備や学生指導などの業務も入るものと考えている。
○ 実務家教員と研究者教員の協働の重要性については、設置審査の際のシラバスの評価や設置後の評価で担保されることになるのだろうが、派遣される検察官等には、授業だけを行えばよいというのではなく、カリキュラムにも参画していただきたい。
● 法務省としては、大学側において、当該法科大学院の教育の全体像を十分に検討し、これを提示した上で、必要な人材を主体的に要望していただきたい。
□ 法科大学院への教員の派遣については、更に関係者の検討と御協力をお願いしたい。
日本弁護士連合会から、法科大学院の学生に対する支援の在り方について、日本弁護士連合会が主催したシンポジウムの概要、アンケート調査の結果などにつき説明がなされた後、以下のような質疑応答・意見交換が行われた。
○ 法科大学院への入学を希望する者に対して周知する時間は少ないが、法人化を控えている国立の法科大学院の授業料はどの程度になるのか。
○ 国立大学の法科大学院の授業料については、何らかの基準が示されると思うが、現時点では決まっていない。
□ 適性試験の実施時期などを踏まえると、各大学は自己の責任で、入試に関する各種情報を適宜に告知していく必要があるのではないか。
○ 民間金融機関に対して、法科大学院の学生向けの教育ローンの充実についての検討を行うよう働きかけることが重要ではないか。
(日本弁護士連合会)民間金融機関に対して打診したが、司法試験の合格率などが不明確であり、商品化がなかなか難しいとのことである。奨学金、教育ローンなど多様なメニューを提示することが重要であると考える。
□ 司法修習生の給費制と法科大学院の学生に対する支援の問題については、次回以降も引き続き検討することとしたい。