○田中座長 おはようございます。それでは、所定の時間になりましたので、第17回法曹養成検討会を始めます。
本日は、法科大学院の実務家教員の確保と、司法修習生の給費制の在り方について、引き続き御検討をお願いしたいと思います。
まず、法科大学院の実務家教員の確保につきましては、「法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案」、いわゆる教員派遣法案が国会に提出されましたので、その法案の概要につきまして、事務局から説明を受けることにしたいと思います。
また、法科大学院への裁判官や検察官の派遣につきましては、実際の運用がどういうものになるかということが非常に重要でございますので、法務省及び最高裁から運用に関する現在の準備状況について説明を受けることにしたいと思います。
さらに、司法修習生の給費制の在り方に関連いたしまして、日弁連の方から、法科大学院の奨学金等に関するアンケートの結果などについて、説明を行いたいという要望が出されておりますので、その説明を伺った上で、引き続き検討を行うこととしたいと思います。
そのほか、司法研修所の管理運営につきまして、最高裁における検討が進んでいるようでございますので、最高裁から御説明をいただきたいと考えております。
それでは、まず検討に先立ちまして、事務局から本日の配布資料の確認をお願いいたします。
○ 片岡参事官 おはようございます。それでは、本日の配布資料の確認をお願いします。事務局からの配布資料といたしましては、資料1の「法曹養成検討会(第16回)議事概要」、資料2−1から資料2−3まで「法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案」、いわゆる教員派遣法案の関係の説明資料でございます。
そのほか、法務省提出資料、最高裁判所提出資料を配布してございます。また、日本弁護士連合会から、法科大学院の奨学金等に関するアンケート調査結果等の資料が席上に配布してございます。
また、今国会に司法制度改革推進本部から提出しました4法案それぞれの法案につきましても席上に配布してございますので、御参考にしていただければと思います。
以上、確認をよろしくお願いいたします。
○ 田中座長 ありがとうございました。
それでは、本日の議事に入りたいと思います。最初の検討事項は、「法科大学院の実務家教員の確保について」でございます。この関係では、先週の金曜日、3月14日に、いわゆる教員派遣法案が国会に提出されましたので、まずこの法案の概要につきまして、事務局から説明を受けることにしたいと思います。よろしくお願いします。
○ 片岡参事官 それでは、「法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案」につきまして御説明申し上げます。
この法案につきましては、おかげさまをもちまして、去る3月14日に閣議決定され、今通常国会に提出することができましたので御礼を申し上げます。
資料といたしまして、資料2−1の法案の条文のほか、資料2−2と資料2−3の2種類の説明資料を配布させていただきました。この法案は昨年秋の臨時国会で成立しました「法科大学院の教育と司法試験等の連携等に関する法律」、いわゆる連携法の趣旨に則り、国の責務として裁判官及び検察官等を法科大学院の教員として派遣するための制度を整備するものであります。
なお、昨年秋の衆議院法務委員会の附帯決議におきましても、現職の裁判官及び検察官等を含む法曹が法科大学院の教員として安定的かつ継続的に参画することを可能にするための法制面での措置等を講ずることとされているところでありまして、この法案もそのような実務家教員の安定的・継続的な確保を目的としております。
それでは、まず、法案の概要について、資料2−2の「法科大学院への検察官その他の一般職国家公務員(検察官等)の派遣」という表題の資料を御覧いただきたいと思います。この法案におきましては、法科大学院の要請に応えるため、検察官等の派遣の方式として、二つの派遣方式を整備することとしております。この資料の右側に記載しました「いわゆるフルタイム派遣」と、左側に記載しました「いわゆるパートタイム派遣」の2つの派遣方式であります。
いずれの派遣方式におきましても、検察官等は、法科大学院からの要請があって初めて派遣されるものであり、要請もないのに国が検察官等の派遣を押しつけるということはない制度になってございます。また、法科大学院からの要請があった場合には、法科大学院と任命権者が協議を行って、勤務条件等について取決めをした上で派遣することとしており、事前に法科大学院の意向を十分に聞くことができる制度となっております。
まず、この資料の右側のいわゆるフルタイム派遣について御説明申し上げます。このフルタイム派遣の方式は、専ら法科大学院において教員の業務に従事し、本来の職務には従事しないという派遣方式であります。最初に法科大学院から任命権者に派遣の要請があり、それを受けて法科大学院と任命権者との間で取決めをいたします。そして、適任と思われる検察官等を法科大学院に派遣するわけですが、派遣の期間については原則として3年以内としております。
フルタイム派遣の場合、派遣された検察官等は本来の職務に従事いたしませんので、その派遣期間中、国からの給与は原則として支給しないこととし、法科大学院からの報酬等の支払いによって賄うということとしております。この場合、法科大学院から相当額の報酬等を支払っていただくことを前提としております。この法案では、法科大学院から支払われる報酬等については、任命権者が取決めをするに当たって相当額が確保されるよう努めなければならないものとすることとしております。その上で特に必要があると認められるときには、当該検察官等には給与の一部を支給することができるものとしております。この給与の一部の支給は、あくまでも法科大学院から相当額の報酬等が支払われることを前提としておりまして、例えば法科大学院が相当額の報酬を用意している場合において、諸般の事情からより高い給与水準の検察官等を派遣しようとするような場合に、給与の一部を支給することとして、できるだけ派遣される者の処遇を維持し、その同意を得やすくすることにより、安定的・継続的な検察官等の派遣を実現しようというものであります。しかしながら、いかに派遣の必要性が高い場合でも、国の負担が法科大学院の負担を上回ることは適当ではないという考え方から、その支給の上限は給与の100分の50以内とすることとしております。
もう一つの派遣方式は、この資料の左側のいわゆるパートタイム派遣でございます。これは本来の職務とともに教員の業務に従事するというものであり、例えば本来の職務に従事しながら、1週間のうち数日とか数時間などというように、一定の日数や時間に限って法科大学院の教員として派遣するというものでございます。基本的な制度設計は、フルタイム派遣と同様に、最初に法科大学院の要請があり、任命権者との間で取決めをし、検察官等の同意を得て派遣するというものでございます。そして、パートタイム派遣の検察官等は、法科大学院において教員の業務を行う時間は、本来の職務に従事いたしませんので、本来の職務に従事しない時間につき、給与を減額して支給するものとしております。その分は法科大学院から支払われる報酬等で賄うわけですが、この法案では、先ほどのフルタイム派遣の場合と同様に、任命権者は、取決めをするに当たって、派遣される検察官等が法科大学院から受ける報酬等について相当額が確保されるよう努めなければならないものとしております。
その上で、フルタイム派遣の場合と同様の趣旨から、特に必要があると認められるときには、その減額された給与の一部を支給することができるものとしております。その上限につきましては、給与の減額分の100分の50以内としております。
次に、裁判官のパートタイム派遣について御説明申し上げます。資料2−3の「法科大学院への裁判官の派遣」という表題の資料を御覧いただきたいと思います。
この裁判官の派遣につきましても、最初に法科大学院からの要請があること、法科大学院と最高裁判所の間で取決めをすること、派遣対象者の同意を要件とすることなど、いずれも先ほどの検察官等のパートタイム派遣の場合と同様でございます。
その一方で、裁判官につきましては、憲法上の身分保障などを考慮し、裁判官としての給与は減額されないものとし、その代わりに法科大学院において報酬等の支払いを受けないものとしております。
そうしますと、法科大学院は裁判官に対しては報酬等を支払わなくてもよいということになるため、いわゆる受益者負担の観点を考慮して、法科大学院は政令で定める金額を国庫に納付しなければならないものとしております。
なお、裁判官につきましては、裁判を行ういわゆる開廷日が毎週決まった曜日とされているなどという特殊な勤務形態にあることなどから、パートタイム派遣のみで対応することができるため、裁判官の身分保障等にも考慮した上で、フルタイム派遣の制度は設けないこととしております。
以上の概要説明を踏まえまして、法案の条文について、若干御説明を申し上げたいと思います。資料2−1の条文を御覧いただきたいと思います。
第1条は目的規定であります。いわゆる連携法第3条の趣旨にのっとって国の責務として裁判官・検察官等を教員として派遣すること等を定めてございます。
第2条は定義規定でございます。2ページの第2項では、「検察官等」という用語について、検察官その他の一般職の国家公務員を「検察官等」と定義しております。
第3条は、法科大学院設置者による派遣の要請について規定したものでございます。パートタイム型、フルタイム型の双方とも法科大学院設置者からの派遣の要請があって、初めて派遣するということとしております。
第4条は、職務とともに教授等の業務を行うための派遣、いわゆるパートタイム派遣について規定したものであります。第1項及び第2項は裁判官の派遣に関する規定、第3項及び第4項は検察官等の派遣に関する規定であります。いずれにつきましても、派遣される裁判官又は検察官等の同意を得て、法科大学院設置者と最高裁判所又は任命権者との間の取決めに基づいて派遣することとしております。
4ページの第5項は、派遣に関する取決めにおいて定める事項について規定したものであります。
第6項は、取決めの内容を変更しようとするときも、当該裁判官又は検察官等の同意を得なければならないことを規定しております。
第7項では、派遣の期間は原則として3年を超えることができないこととし、法科大学院設置者から延長を希望する旨の申出があり、かつ、特に必要があると認めるときは、最高裁判所又は任命権者は、当該裁判官又は検察官等の同意を得て、当該派遣の日から引き続き5年を超えない範囲内で、これを延長することができることとしております。
第8項は、派遣される裁判官又は検察官等は、取決めに定められた内容に従って、当該法科大学院において教授等の業務を行うものとすることを規定しております。
第9項は、派遣された検察官等の勤務時間の関係を規定したものでございます。
第10項は、この法律による派遣については、国家公務員法第104条の兼業許可を必要としないという趣旨の規定であります。
第5条は、派遣の終了に関する規定であります。
次の6ページの第6条は、派遣期間中の裁判官の報酬及び国庫納付金の納付に関する規定であります。
第1項では、法科大学院において教授等の業務を行う裁判官は、その教授等の業務に係る報酬等の支払いを受けないものとし、教授等の業務を行ったことを理由として、裁判官として受ける報酬その他の給与について減額をされないものとしております。
そして、第2項及び第3項では、法科大学院設置者の国庫納付に関する定めを置いております。
第7条は、派遣期間中の検察官等の給与等に関する規定であります。
まず、第1項で、任命権者は、法科大学院設置者との間で取決めをするに当たって、当該検察官等が法科大学院設置者から受ける教授等の業務に係る報酬等について、相当の額が確保されるよう努めなければならないものとしております。
そして、第2項では、検察官等が法科大学院において教授等の業務を行うため勤務しない時間については、その勤務しない1時間につき、1時間当たりの給与額を減額するということとした上で、ただし書において、特に必要があると認められるときは、当該法科大学院設置者から受ける報酬等の額に照らして必要と認められる範囲内で、その給与の減額分の100分の50以内を支給することができることとしております。
第3項では、その場合の給与の支給に関し、必要な事項は人事院規則等で定めることとしております。
以下、8ページの第8条は、派遣される者についての国家公務員共済組合法の特例、9ページの第9条は、給与法の休職に関する規定の特例、10ページの第10条は、国家公務員退職手当法の特例について、それぞれ規定しております。
10ページの第11条以下は、専ら教授等の業務を行うための派遣、いわゆるフルタイム派遣についての規定であります。
第1項及び第2項では、派遣される検察官等の同意を得て、法科大学院設置者と任命権者との間の取決めに基づいて派遣することとしております。
第3項は、派遣に関する取決めにおいて定める事項について規定したものであります。 第4項はパートタイム派遣に関する規定を準用するもので、取決め内容の変更、派遣期間の延長等について、パートタイム派遣に関する規定を準用しております。
第5項は、派遣された検察官等は、その派遣の期間中、検察官等としての身分を保有するが、本来の職務には従事しないということを定めております。
第12条は、職務への復帰に関する規定であります。
12ページの第13条は、派遣期間中の給与等に関する規定であります。
まず第1項で、任命権者は法科大学院設置者との間で取決めをするに当たって、当該検察官等が法科大学院設置者から受ける教授等の業務に係る報酬等について、相当の額が確保されるよう努めなければならないものとしております。
そして、第2項では、派遣された検察官等には、その派遣の期間中給与を支給しないこととした上で、ただし書において、特に必要があると認められるときは、その派遣の期間中、当該法科大学院設置者から受ける報酬等の額に照らして必要と認められる範囲内で、俸給及び諸手当のそれぞれ100分の50以内を支給することができることとしております。
第3項は、その場合の給与の支給に関し、必要な事項は人事院規則等で定めることとする規定であります。
以下、13ページの第14条は、派遣される者についての国家公務員共済組合法の特例、15ページの第15条は、公立の法科大学院へ派遣される者についての地方公務員等共済組合法の特例、16ページの第16条は、私立の法科大学院へ派遣される者についての私立学校教職員共済法の特例、17ページの第17条は、児童手当法の特例、18ページの第18条は、給与法の休職に関する規定の特例、第19条は、国家公務員退職手当法の特例、19ページの20条は、派遣後の職務への復帰に伴う措置、20ページの第21条は、社会保険関係法の適用関係等について政令への委任をする規定をそれぞれ定めております。
20ページになりますが、第22条では、この法律に定めるもののほか、裁判官又は検察官等の派遣に関し、必要な事項は最高裁判所規則又は人事院規則で定めるものとしております。
また、附則第1項では、この法律の施行期日を平成16年4月1日とし、ただし書において、派遣の要請等の事前行為に関する規定は、平成15年10月1日から施行することとしております。
附則第2項は、この法律の施行前であっても、必要な準備行為をすることができる旨の規定であり、附則第3項以下は、その準備行為に関する必要な読替えや経過措置等を規定したものであります。
以上が、法案の概要でありますが、この法案につきましては、法科大学院側の準備期間等を考慮しますと、早期の成立が必要となります。実際にも法科大学院の設置を予定している相当数の大学から、裁判官や検察官等を教員として派遣してほしい旨の要望が最高裁判所及び法務省に対して出されていると承知しておりますので、この法案が早期に成立しませんと、法科大学院の設置に支障が生ずるおそれもあるのではないかと考えております。事務局といたしましても、この法案の早期成立に向け鋭意努力しているところでありますので、委員の皆様におかれましても、何とぞ御理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
以上であります。
○ 田中座長 どうもありがとうございました。まず、ただいまの法案の概要の説明につきまして、御質問のある方はどうぞお願いいたします。
あるいは運用と一体に質問してもらった方がわかりやすいかもしれませんので、運用の説明をしてもらった上で、全体の質問を受けることにいたしましょうか。
それでは、法科大学院の裁判官及び検察官等の派遣につきましては、今、御説明いただいたような法案の内容だけではなく、実際の運用がどのようなものになるかが非常に重要でございますので、運用面の事務に当たっていらっしゃいます法務省及び最高裁から説明を伺った上で、さらに御検討いただきたいと思います。
それでは、まず法務省から説明をお願いします。
○ 法務省 法務省の太田でございます。よろしくお願いいたします。まず、法科大学院への検事派遣要望状況等について御説明申し上げます。
まず、法務省では、法科大学院への検事派遣等の協力につきまして、法科大学院開設支援法務・検察連絡協議会、長い名前ですけど、こういうものを設けております。これは私ども法務省では、現場の検察庁はもとより、省の中でも複数の部局がそれぞれの立場から様々に関与しておりますため、これらの各部局が円滑な連携の下に法科大学院開設を支援する体制を確保する必要がございますことから、今年1月6日付けをもちまして、法務事務次官、法務総合研究所長、最高検察庁検事から成るこの連絡協議会を設置いたしまして、私がその事務局長ということを務めているところでございます。
全国の法科大学院からの検察官教員派遣要請は、現在私どもの事務局が窓口となっております。各大学から各地の高等検察庁や地方検察庁に対して申出等があった場合でも、それらを当事務局で集約して対応を行っております。これは、検察官は全国的に異動人事が発令されますので、地方の検察庁レベルでは検察官教員を大学に派遣することについての具体的な協議ですとか、あるいは将来にわたる約束が行えないということから、窓口を一本化する必要があるためでございます。
これまで、3月18日現在で35校から検察官教員の派遣の情報が参っております。内訳は関東地区が20、近畿が6、東海が3、その他が6となっております。大学の種類別では、国立12、私立22、公立が1となっており、派遣の希望形態としましては、フルタイム専任が15、みなし専任が8、非常勤が12ということになっています。
現在はまだ打診程度の段階であったり、あるいはまだ大学側であまり準備が整ってない大学も相当数あるように見受けられますので、今後派遣の希望数が増える可能性はあるのではないかと思っております。
また、私どもの事務局を通さず、直接OBと交渉して教員を確保している大学も相当数あると漏れ聞いておりますし、あるいは検察官教員という形では特段教員を確保する予定はないという大学もあると推測しているところでございます。もっとも、先ほどの35校の中には、派遣開始年度は平成16年4月からでなく、平成17年4月からでも構わないというところも相当数ございますので、初年度からの派遣はこの数よりも少なくなる可能性もございます。
今、派遣希望形態について、フルタイム専任が15、みなし専任8、非常勤12と申し上げましたが、押しなべて見た傾向といたしましては、例えば定員が200〜300人という大規模校については、少なくともフルタイム専任を一人は是非確保したいというところが多うございます。70〜100人くらいの中規模校では、例えば週2日程度来てくれれば十分賄えるとして、みなし専任で十分だというところも比較的多うございます。
もう一方で、50人程度の小規模校につきましては、例えば刑事実務基礎の2単位だけを担当してくれれば大丈夫だということで非常勤の要望が多いという傾向があるように思われます。これは法科大学院が少人数教育を主眼とする中で、特に大規模校では、おのずとたくさんのクラスが必要となり、検察官教員の担当単位数も増えることからフルタイム専任を要望し、小規模校では、1クラスで、非常勤での週1コマの派遣でも足りるという場合が比較的多くなると考えられ、いわば自然な流れではないかと思われます。
検察官教員に担当を希望する科目につきましては、最も多いのが刑事実務の基礎で、そのほかには刑事法の総合演習、実体法と手続法の融合科目のゼミ形式の授業が多うございまして、これらのほかにも模擬裁判あるいは法曹倫理等についても、ほかの教員とともに関与して欲しいという要望も多うございます。
そのほかに展開・先端科目としまして、例えば経済刑法や、国際犯罪の分野などの専門的な講義を期待するというような要望もございまして、要望は実に多様となっております。
検察官教員が教育を担当する方式につきましても、各大学の要望は様々でございます。例えば刑事実務の基礎の2単位を例にとりましても、ある大学からは、弁護士教員が中心的なコーディネーターになり、これに検察官教員も共同して参加してほしいとの要望もあり、逆に検察官教員にコーディネーターになってもらう形を要望している大学もあります。また、2単位15コマを法曹三者の教員に平等に5コマずつ負担させて、オムニバス方式でやりたいという大学や、あるいは選択科目として、一つは検察官教員が主に捜査の観点から、もう一つは、弁護士教員が弁護の観点から、それぞれ主眼を置いて同一の授業を担当させるという方式もございまして、各大学の方針、教員の顔ぶれによって多種多様であるということがいえます。
希望する検察官教員の年代、経験等につきましてもまちまちでございまして、検事正経験者等の相当なベテランを希望する大学ですとか、あるいはむしろ若手ないし中堅が望ましいという大学など多様でございますけれども、どちらかといえば、豊富な実務経験や指導教育の経験を十分に有するとともに、最新の実務にも携わっている中堅クラスを期待する大学が比較的多いように思われます。
以上が、要望の概況でございますが、私ども法務省の派遣についての基本的な姿勢等について申し上げます。主に二点ございまして、一つは実質的な公平性という問題でございます。これは法科大学院が従来と異なって司法試験の受験資格と制度的にリンクしたものとなります以上、検察官教員の派遣につきましても、各法科大学院からの派遣の要望を踏まえまして、各大学に対し公平を旨として協力することが大切であると考えています。
また、全国の適正配置という観点からも、大都市のみならず地方における法科大学院開設が望まれるところでございますけれども、法務省としましても、大都市の大規模校であろうと、地方の小規模校であろうと、また国立、公立、私立の区別を問わず基本的に公平に協力できなければ、制度の理念に沿ったものにはならないと考えております。
ただ、その公平という観点は、決して画一的・形式的な公平ということではなく、あくまで各法科大学院からの要望を踏まえまして、できる限り、実質的に公平に対応するということでございます。したがいまして、各法科大学院からの多様な要望に対して、できる限り協力したいと考えておりまして、ある大学の要望には100%なり120%協力するが、ある大学には協力を惜しむなどということは全く考えてございません。
ただ、一般的に、検察官の業務は非常に多忙であり、現場における検察官に対する切実な捜査・公判のニーズがございますので、特定のある年度に多数の検察官を一挙に法科大学院に派遣することは人事上容易でないこともまた事実でございます。初年度から各法科大学院の派遣要望に完全に応じるということも決して容易ではございませんので、私ども今要望されている各大学院に対しては、いろいろな考え得るオプションを提示していただきたいと思っております。例えば、第一希望はどうか、あるいは次善の策はどのようなものか、また、最低限度としてどの程度の協力があれば法科大学院側としては対応できるのかといった、いろいろなオプションを提示していただきたいと考えております。また、派遣を必要とする時期など具体的な事項についても検討して事務局に伝えていただけないかといった対応をしております。
また、実質的な公平を図って派遣を行うためには、各法科大学院の派遣要望が一通り出揃って、かつ教員派遣法案が国会で成立することが、法科大学院側と具体的な折衝をする前提となりますので、今の段階では、どの大学に対しても、具体的な派遣形態などについて返答はしておりません。もう大分時期も迫っておりますけれども、できる限り早く、検察官教員派遣に関する要望がほぼ出揃ったと思われる段階から、各大学の要望を踏まえて、さらに個別的に折衝して、具体的な検討に取りかかりたいと考えております。
いずれにしましても、法科大学院の要望を詳細にお聞きして、その要望にできるだけ沿うように教員を派遣することを考えておりまして、法科大学院側の意に反して、こちらから何か教員を押しつけるというようなことは全くあり得ないところでございます。
また、派遣予定者の確定につきましては、条文上「同意を得て」となっており、本人の納得を得ることを基本的な要件とするとともに、各法科大学院にも、この人なら受け入れましょうと十分納得していただく必要があるため、事前に十分な打ち合わせをさせていただくことになると思います。
もう一つの私どもの基本姿勢は、各法科大学院の自主性・多様性を尊重するということでございます。特に各法科大学院における教育内容、カリキュラム等につきましては、自主性・多様性の尊重が極めて重要であると考えますので、刑事実務の基礎を例にとりましても、理論と実務を架橋するという大きな目的は共通であっても、それへのアプローチはいろいろあってもよいのではないかと思います。この法案に基づく制度は新たな試みですから、最初から王道というものは恐らくないだろうと考えられますし、各法科大学院が人的体制、教員の顔ぶれ、規模等に応じて、それぞれの創意工夫のもとにより良いものを作り上げていくことが大切であると思います。
したがいまして、現役検察官を教員として派遣する場合であっても、法務省としましては、同一のカリキュラム、シラバスのもとに統一的な教育を行うよう各法科大学院に押しつけるというような考えは全くございません。
先ほど申しましたように、派遣要望の前提としての法科大学院の検察官教員に期待する内容も様々でございますので、これを尊重することは当然でありますし、派遣された各法科大学院において、同僚である研究者教員、裁判官教員、弁護士教員等のチームワークのもとに、その法科大学院にとって最もふさわしい教育内容・方法を創意工夫により競い合ってより良いものを作り上げていただきたいと思っております。
このことは、一人の検察官が複数の法科大学院に派遣される場合でも同様でございまして、各法科大学院の教員スタッフの顔ぶれ、規模、カリキュラム体系等が一様でない以上、刑事実務基礎の教育の在り方も法科大学院ごとに異なることは当然でありますので、複数の法科大学院で教えるからといって、当該検察官が統一的なカリキュラム、シラバスにのっとらなければならないというような必然性もないのでございます。
最後に教員派遣法案の円滑な成立への期待ということで申し上げたいのですが、以上の話から御理解いただきたいと思うのですけれども、法務省及び検察庁といたしましては、今回の教員派遣法案は是非とも速やかに成立させていただきたいと考えております。
今回の教員派遣法案は、裁判官については非常勤派遣のみで、検察官等の一般職の国家公務員につきましてはフルタイム派遣との2本の柱がございますが、これは検察官と裁判官の執務体制の違いに基づくところが大きいと考えます。検察官について言えば、身柄事件を始めとする捜査というのはおよそ計画的なスケジュールになじみにくいものでございまして、公判も自ら期日を指定することもできないという執務体制のもとで、単発的な講義でありましたらともかく、長期間にわたって定期的に法科大学院で教育を担当することは、職務の性質からも本来困難でございます。特に大規模校におきまして、多数の単位を負担するような場合につきましては、捜査・公判等のかけ持ちは不可能といってもよろしいかと思いますので、検察官の教員派遣については、フルタイム派遣のスキームは不可欠の重要な柱でございます。
また、フルタイムで派遣を行うに当たりまして、法科大学院の所在地や担当する単位数によっては、例えば一人の検察官が二つの法科大学院をかけ持ちするという形で派遣することは十分可能でございまして、現実に要望される大学に伺っても、それで全く問題ないというような要望がほとんどでございます。
他方、週に1回、2単位程度の教育の負担だけでよいということであれば、検察庁内で何とか人員のやりくりや担当職務についての若干の配慮をしまして、派遣される者の負担をある程度軽減して派遣することにより、対応可能な場合もあります。特に地方の小規模校の場合はそういうやり方の方がむしろ現実的かなという感じがしております。
したがいまして、今回の教員派遣法案は、各大学の派遣要望の多様性に即して、多様な派遣のメニューを用意するための制度整備でありますので、教員派遣法案に御理解を賜りまして、是非とも早期成立をお願いしたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○ 田中座長 どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、最高裁から御説明をお願いいたします。
○ 最高裁 では、私どもの方から簡単に申し上げたいと思います。お手元に資料がございます。一つは、お話し申し上げる項目を書いたものと、もう一つは、プロジェクトチームの紹介でございます。
現在、法科大学院の立ち上げに向けて、関係機関が非常に熱心な御努力を進めておられます。裁判所といたしましても、法科大学院の教育と実務が架橋されるということを大いに期待しておりまして、できる限りの協力をしてまいりたいと思っております。
教員派遣法案を御紹介いただいたところで、その成立を心から期待しているわけでございますが、裁判所といたしましては、裁判官の教員の派遣に積極的に協力するということに加え、司法研修所で実施されてきました実務教育のノウハウ、あるいは教材を大学の御要望に応じて適宜の方法で提供するなど、様々な角度から法科大学院の教育の充実に向けた御協力をしてまいりたいと考えております。
すなわち、まず、法科大学院の御要望に沿った協力をしてまいりたいというのが、最高裁判所の基本的なスタンスでございます。そういったスタンスに立ちまして、統一の窓口として、ペーパーの2枚目にありますプロジェクトチームを最高裁判所事務総局審議官室に作りまして、現在、各大学から御要望をお聞きしているところでございます。
このプロジェクトチームでは、これまでに約30の大学からいろいろお話を承りました。その御要望は、太田局長からお話がありましたところとほぼ同様でございますが、裁判所に対する要望の特徴としましては、パートタイム形態での派遣ということを考えておりますので、各大学ともおおむねみなし専任、あるいはスポット的な非常勤の形態での派遣の御要望でございます。この派遣の要望人数も大学によって違いますけれど、おおむね1人ないし2人というものが多いようでございます。私どもがお話を伺った大学は設置に必要な専任教員は既に確保されており、さらに教育を充実させるため、中堅の現役裁判官に実務を踏まえた教育をしてほしいという御要望が多いようでございます。
私どもとしましては、御要望を一通りお聞きした上でできる限り早く計画を立てたいと思っております。ただ、先ほど太田局長からもお話がございましたが、裁判所においても同様の事情がございまして、裁判の本来の仕事について迅速化あるいは専門事件に対応するため、現場からの切実な人的要請もございますので、法科大学院への裁判官教官の派遣につきましては、このような要請との調整を図りつつ、各大学におきますカリキュラムの検討の進み具合や、国会の審議状況などを睨みながら、具体的な計画を進めてまいりたいと思います。
ただ今、派遣を希望されている裁判官の数について、申し上げましたけれども、裁判所への御要望としては、民事の関係のものが多いように思います。裁判官OBを専任教員として確保されておられる大学も相当数ありますが、民事は範囲が広いことから、そのような御要望が多くなっているのではないかと思います。ただ、率直に感じたところですと、私どもから、現役の裁判官にどういう教育を期待されているのかをお尋ねしたときに、大学側から必ずしも明確な考え方が返ってこない場合が少なからずありまして、そのようなことについても裁判所にお任せしますなどと言われると、大学の方で少し頑張ってください、と申し上げたくなります。
それから、私どもから大学に、1年次の科目と2年次、3年次の科目の有機的関連性をどのようにお考えなのか、研究者教員と実務家教員との連携をどのようにお考えなのか、我々が送り出す裁判官はどういうことを踏まえていくべきか、というお尋ねをいたしておりますが、非常によくお考えになられていてその構想についてもお聞かせいただける大学もある一方、回答に窮する大学もあり、その辺りの中身の問題についても、十分御検討いただいた上で、御相談をお受けしてまいりたいと思っております。
それから、もう一つ付け加えさせていただきますと、法科大学院の教育を充実したものにするためには、実務家教員だけが単に協力するだけではなく、研究者教員の方が実務的な視点も踏まえて教育を行っていただくことが特に重要であろうと考えております。その一助になればと考えまして、法科大学院協会設立準備会とも御相談しながら、司法研修所の授業の傍聴、あるいは司法研修所の教育の概要、教育手法等について研究者教員の方々にお話しをする機会を設けることも検討しております。
縷々申し上げましたように、裁判所としては、法科大学院教育の充実に向け様々な面での協力を惜しまないと考えております。ただ、平成16年4月には、相当多数の法科大学院が一斉に立ち上がると聞いておりますので、何分このような状況の中で、一挙に裁判官の教員派遣に協力するには、派遣に伴う手続等について、関係各方面に御配慮いただくことが必要かと思っております。また、そういう措置を御配慮いただきますと、私どもの協力も非常に円滑にいくことになりますので、この場をお借りしまして、お願い申し上げます。
以上でございます。
○ 田中座長 どうもありがとうございました。ただいまの説明と、先ほどの片岡参事官の説明とを併せて教員派遣法案に関する事項について質問、意見を承りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、いつ頃この法案が成立することを前提に、大学側は各種準備を行えばよろしいのでしょうか。ちょっと微妙な質問なのですけれども、理想的な場合も含めお教えください。
○ 山崎事務局長 4月中の成立を、とずっとお願いはしていますが、ただ、現在の政治情勢と、御存知のように国会の法務委員会の審議の関係もありますので、極めて不透明な状況であります。しかし、大学側の準備に支障を来すおそれがありますので、4月中の成立を更に強くお願いしてまいります。客観情勢はまた別途でございますが、早期に法案が成立するよう頑張っていきたいと思います。
○ 田中座長 次回の検討会は6月を予定しておりますので、今、山崎局長がおっしゃったようなスケジュールに関連して、質問、意見がございましたらお伺いしたいと思います。
○ 井上委員 その日にち等の関係なのですけれども、附則を見ると、附則第1項で、さっき御説明がありましたように、ただし書で準備行為等は前倒しできるとなっているのですが、それも平成15年10月1日施行ですから、どんなに早く成立しても準備行為ができるのは10月からということになるのですか。法科大学院の設置認可申請との関係では、設置認可申請は、文部科学省から6月末までと言われているのですが、それに向けて事前に準備をするということもできないということですか。
○ 片岡参事官 この施行期日の関係については、文部科学省とも御相談は申し上げておりますが、従前から御指摘がありましたように、設置認可申請の際に、例えば、この制度に基づいて派遣される教員について、具体的な実務家教員の個人の名前まで入ってないと認可がおりないということはないと思います。準備行為を平成15年10月1日から施行としましたのは、国立大学の関係で、平成16年4月1日から国立大学法人が発足する関係で、今年の10月1日から、この附則第3項の最後の行にもある「当該国立大学法人の学長となるべき者」、つまり準備段階の国立大学法人の学長となるべき者が出現し、正式に国立大学法人の関係の準備行為が、学長となるべき者の名前において開始できるようになることがまず一つにあります。
それから、先ほど縷々申し上げましたように、人事院規則あるいは最高裁判所規則で手続面を規定することを考えておりまして、その規則の制定等にも若干時間を要するということで、正式な手続は平成15年10月1日からということです。もちろん事実上の準備段階については、今、御説明がありましたように、もう既に始まっていると理解しておりますので、正式な要請、取決め、本人の同意というような関係につきまして、正式に進められるのは本年10月1日以降という理解でございますので、よろしくお願いいたします。
○ 井上委員 文部科学省との調整はもちろんやっておられると思うのですが、文部科学省の方にもちゃんと制度の趣旨を伝えていただいて、是非御理解を得ておいていただきたいというのが大学人としてのお願いです。
○ 川端委員 今の関係については、私も実は設置審議に関与しているものですから、どうするのかなと疑問があるのですけれども、設置審査では、今のところ予定としては7月末から構想、教員やカリキュラムの審査を始めることになっていて、8月初旬に個別の教員について、その人が実務家教員であれば、どれだけ実務経験がちゃんとあるかということと、それから教育能力が一体何によって示されているか、担当する科目との関係で、教員候補者の経歴や教育能力との間で科目適合性があるのかどうかということを審査することになっています。
その教員審査について、教員派遣法によって派遣される裁判官、検察官等は、一切審査なしで白紙のまま設置認可をするということになるのでしょうか。弁護士の場合は科目適合性という点で非常に苦労しているという実情がありまして、確かにこの人は立派な実務家だけど、今まで全然その科目についての能力を示す実績がない、論文を何も書いてないなどという場合にどうするのだろうという問題を抱えて、本当に設置審査のときに審査を通るのだろうかという心配をしながら派遣に向けた人選等を行っているのです。それとの関係で、裁判官や検察官を派遣するということを決めれば、それは自動的に教員の用件を満足しているということになって設置認可が認められるという制度にするということなのでしょうか。
○ 法務省 よろしいですか。
○ 田中座長 法務省としての意見を言ってもらってよいとは思いますが、川端委員がおっしゃったことはここで議論すべきことかどうかということにやや疑問のあるところです。
○ 法務省 私も御指摘の点を文部科学省の大学設置・学校法人審議会の法科大学院特別審査会の場で十分に議論する必要があると思います。確かにとにかく検察官や裁判官を1名出しますということで設置認可を受けることができるわけではないだろうと思います。個人的な見解として、各大学との相談に当たって、「とにかく検察官1名お願いします」ということでは、こちらも人を選べないと申し上げています。今大学に在籍している研究者教員、既に予定しておられる弁護士などの実務家教員によく話し合っていただいて、教員の役割分担や授業内容などをしっかり決めて、この教員はこの部分をこういう大体カリキュラム、シラバスでやるということを考えた上で、その担当としてふさわしい検察官を派遣してくださいという要望を出してもらいたいところです。私どもはそれを受けて、法科大学院が期待する内容を十分果たし得る人材を春以降人選して、割り当ての作業を進め、それで最終の設置認可がおりる前に、中間的にでも教員に関する審査を進めていくということにしないといけないと考えており、川端委員のおっしゃるように、認可のときに誰か分からないということではいけないのかなという感じは持っております。
ただ、もう一つの問題は、先ほど申しましたけれども、刑事実務の基礎を平成17年4月からお願いしたいという学校は少なくないのですが、再来年の人事はおよそ決められません。ただ、例えば刑事実務の基礎というのは、検察官個人個人によってそれほど大きな違いはありませんから、それを担える人材はともかく検察官が教員として派遣されるという信頼のもとに平成17年度の教員については、個々人は特定されないということもあり得ると思いますが、平成16年度の教員の特定については、何れかの時点で詰めていくことは必要なのではないかと思っているところです。
○ 田中座長 川端委員がおっしゃったように、教員審査は一回限りでなくて、段階的に何回かやりますので、最後まで白紙ということはあり得ないと思います。例えば、一種の仮認可、条件付認可といったいろいろな形で対応することによって、平成16年度の教員に関してはある程度対応できると思うのですけれども、今、太田局長がおっしゃったような平成17年度からの派遣予定という場合に審査においてどのように対応するかというのは新しい問題であり、年度内に処理することについては、さらに検討が必要ですが、いずれにしろ、きちんとした認可がおりるときには、誰が担当するかということについては、何らかのスクリーニングは要るという前提で手続を設計するということになると思います。ただ、6月末の申請の段階で全部明確な形にできるかどうかについては、10月1日以前に行われる準備行為でどの程度明確にしてもらえるかという問題があり、それは法案が成立しないと具体的な折衝ができないので分からないというのが現状ではないかと思います。
○ 川端委員 別の点についてよろしいですか。
○ 田中座長 はい。
○ 川端委員 太田局長の方から、本人の同意だけでなくて、大学の納得も得ることが必要だという話がありましたけれども、逆に前にもここで議論されていましたけど、大学の方から、具体的にこの人に来てほしいというような要請があったときはどう扱うのですか。
○ 法務省 それは御希望としては念頭に置かせていただくということはあると思います。ただ、現役検察官の人事異動は全国レベルの人事配置計画の中で動かしていますので、特定の人を指名して、この方に来てくださいということを不可欠の前提として要請されても、その方を必ず派遣することとすることはとても無理だと思います。ただ、御希望はとにかく率直に伺おうという姿勢でおります。今のところ三十強の大学から派遣の要請が来ていますけど、特定の人を指名した要請はなく、教員としてふさわしい人をお願いしますという要望がほとんどです。
○ 永井委員 教授等の業務を継続することができないというふうに判断した場合に取りやめるというのは、例えば人事異動に伴い、派遣されている者を転勤させたいので、法科大学院に教員として派遣し続けることができないという場合に、3年の任期中でも引き上げるということなのでしょうか。
○ 片岡参事官 まず、その前に派遣期間を3年と決めた取決めがございますので、それは取決めの一方当事者である任命権者や最高裁判所において、取決めに違反するようなことはなさらないと思っております。つまり、途中でそういうこともあり得ると、取決めで定めておけば別ですけれども、そうでない限りは取決めに定める期間というのが前提となると考えられます。この条文の「派遣を継続することができない」というのは、例えば心身の故障で客観的に教員として派遣し続けることが不可能であるというようなことを想定しており、国側の人事異動等で取決めに違反することをするようなことは想定しておりません。
○ 田中座長 ということは、大学と相手側との取決めの中身次第ということですか。
○ 片岡参事官 補足的に申し上げれば、先ほどと同じ話なのですが、ただ、人事異動はあり得るわけでして、問題はやむを得ない事情で人事異動があるときに、法務省も最高裁も後任を手当てしないというのは、これは取決めの内容からも問題があるので、そういう事後的な事態が生じた場合の協議をするということも、それも取決めの内容に従って行っていただくということをお願いしていくということでございます。
ですから事後的な緊急事態というのは全くないとは言えませんので、そういう場合の想定、特に後任者の確保ということも、主として運用面の問題として、十分この制度の中に盛り込んでいっていただきたいと思っております。
○ 井上委員 取決めについては、もちろん個別的には個々の関係者の間で話し合うのでしょうけれども、大体こういうことについて取決めをするのだというような標準みたいなものは、本部としては、どこかで示すことをお考えなのですか。
○ 片岡参事官 パートタイム、フルタイムについてそれぞれ規定がありますが、パートタイムの条文で言いますと、4ページの第4条第5項になりますが、第1項又は第3項の取決めにおいては、勤務条件や業務の内容、派遣の期間、派遣の終了に関する事項、その他派遣の実施に当たって合意しておくべきものとして裁判官については最高裁判所規則で、検察官等については人事院規則で定める事項を定めるものとするということとなっております。
ただ、内容を画一的にするかというと、それはそれぞれ特にパートタイムなどの場合は、具体的な合意に応じて内容が変わるわけですから、あくまでもこれは例示された事項であります。また、関係機関との協議や相談の中で強く指摘されましたことは、実態として労働基準法を下回るような過酷な労働条件にならないように、取決めにおいてもやはり労働法規関係は実質的にクリアーしていただき、例えば全く休憩を与えないで10時間働かせる形にするなどということのないようにし、また、当初予測していなかった事態が生じた場合には事後的に取決めを変更する中で対応するというような柔軟な対応をしていただくこともお願いしたいと思っているところでございます。
○ 井上委員 いずれにしても法律で書いているのはミニマムで、例示された事項については当事者間で決めてくださいということですね。
○ 片岡参事官 そうです。しかもこちらからお願いする事項については、内容ではなくて項目が中心になるということです。
○ 永井委員 私立大学の場合は国立大学と違って、教員についての職務規程というのはあまり完備されておらず、場合によっては勤務時間もない大学が多く、また、抽象的なものしかないという大学も多いと思われます。今、自分の大学ではそれを制定しようとしていますけれども、、フルタイムで法科大学院に来た場合に、その方について勤務時間とかはっきりしていないことは実務家教員の受入れに何か響くでしょうか。できる限りそういうのはきちんとしていた方がよいとは思いますけど。
○ 片岡参事官 フルタイム派遣に関してかなり限定的に申し上げますと、これは検察官及び一般職の国家公務員の場合ですから、そういう決まりがないと労働基準法等の労働法規が適用になるという可能性が高くなると思われます。つまり取決めの内容が労働法規に実際に反してないということであれば、もちろん取決めが優先するわけですが、取決めも何もない、大学でも何も定まってないということであれば、1日8時間労働という、労働法規の規定を尊重せざるを得ないことになります。
○ 井上委員 取決めがある場合、取決めが、雇用される人と雇用する方との間の契約関係を縛るという構成ですか。
○ 片岡参事官 これは条文上、例えばパートタイム派遣に関する5ページの第4条第8項において、「取決めに定められた内容に従って、法科大学院において教授等の業務を行うものとする。」と定められており、取決めの内容自体が労働法規に反するようなものであれば問題がありますので、これはここで申し上げるまでもございませんが、最高裁判所あるいは任命権者、及び法科大学院において、そういうことも注意しながらやっていただくということであって、もちろん労働法規より緩やかな勤務条件であれば、取決めの方が優先するということでございます。
○ 田中座長 検察官の場合、例えば大学がフルタイムで雇用するということになれば、ほかの法科大学院の教員と同じようにやってくださいということになるのであって、ただ、国家公務員の身分を持っていることに伴う一種の規律がかかるので配慮が必要になるということではないでしょうか。それ以上、何かございますか。
○ 永井委員 教員の場合、勤務時間も有給休暇もなく、要するに授業以外は自由であり、一方で、勤務も夜遅くなることもあるし、それでも手当がつくわけではないという、非常にフレキシブルな地位にあるのですが、この点はどのように考えればよろしいですか。
○ 片岡参事官 今御指摘の点については、実際上問題になると思います。しかし、一方で検察官等の一般職の国家公務員の場合は勤務時間の概念がございますので、法科大学院にパートタイムで派遣された場合、勤務しない時間については給与が減額されますので、特にパートタイムの場合は何時間業務を行うのかについて、取り決めていただかないとならないと考えております。
○ 永井委員 その方が簡単です。
○ 片岡参事官 取決めにおいては、当然に派遣元と大学院双方のよって立つシステムの違いを前提にし、考慮した上で取決めを行うこととし、また、事後的に解決しないといけない部分も生じ得るので、事後的な協議もお願いする取決めにしていただきたいと考えております。
○ 川端委員 意見ですけれども、法科大学院は、新しい法学教育をやるという理想を持って創設した制度ですけれども、それは今までの法学部で理論教育、研修所で実務教育の両方がいわば混じり合った、実務をしっかりと踏まえた理論教育と、理論を踏まえた実務教育、言うならば、実務と理論のメルティングポットにおける新しいアマルガムを生み出すような教育をそもそも目指したわけですね。これは教員派遣法案だけでなくて、実務家教員が大学に行くこと全体について、心配されることなのですけど、今日の最高裁の説明で「とにかく裁判官を派遣してくれ」とか、「1年次の科目とのつながりについても何も考えてない」という状況であると聞いて余計心配になったのですけれども、この制度では弁護士の実務家教員も大体任期付きであり、実務家が頻繁に入れ代わりで大学に行くことになると、せっかく法科大学院を作ったのに理論家は理論家として、実務家は実務家として教育を行うことになり、水と油のように溶け合わないような教育がまた引き続き行われてしまうのではないかという心配があるのですね。ですから、そうならないように、ただ派遣をするのではなくて、要請を受けた側でも、是非法科大学院の理想を踏まえた派遣要請に応える形になるように、いわば注文をつけていただきたいと思います。また、大学の方も、とにかく実務家に来てもらって、現行実務を実務科目で教えてもらえばよいのだというような派遣要請をしないようにしていただきたい。実務家教員と研究者教員の分離というのは、法科大学院の出発時点における日本の今までの法曹教育の特殊性を引きずった現象だと思いますので、できるだけ早い将来に実務家と研究者の壁がお互いに意識されなくなって、法科大学院の教員は全員法曹資格を有して、多少の実務経験がある人が教えているというような姿に持っていっていただきたいと思いますので、是非そのような方向で運用していただきたいと思います。
○ 田中座長 今、川端委員がおっしゃったことに私も全く同感なのですけれども、それに関連して、法科大学院にパートタイム派遣する場合の一コマ当たりの報酬を計算する場合に、講義時間だけをベースにして計算するというのでなくて、みなし専任教員の場合にはカリキュラムについて一定の責任を持って関与するということがありますから、講義の時間だけでなく、講義を行うために必要な打ち合わせとか教材作成などに関する時間、あるいは講義に関連して学生の指導を行うといった時間を含めた報酬計算を是非していただきたいと思います。1時間いくらという1コマ単位の計算しか行わないとしますと、今、川端委員がおっしゃったような問題がありますので、研究者教員と実務家教員が交流してよい教育ができるような報酬の計算になるように、文部科学省にもこれは我々としても言わざるを得ないのですけれども、こちらの検討会としては是非そういう視点でやっていただきたいと思います。
○ 片岡参事官 この法案はあくまでも「教授等の業務」という規定の仕方をしてございまして、講義だけではなくて、パートタイム派遣の場合でも教授等の業務ということで、現実問題としてあるのは、学生と触れてほしい、学生を指導してほしいということや、先ほど来話が出ていますカリキュラム関係への参画ということも、法律上この表現で読み込むべきだと思っております。あとは報酬等の関係もございますが、具体的にどのような業務を指すのかということになろうかと思います。これは各法科大学院における教授等の業務の定義に従わざるを得ないわけですが、教室で教えるだけの業務を想定してこれを書いているわけではございません。その点は付け加えさせていただきます。
○ 田中座長 いかがでしょうか。
○ 井上委員 今の点は、この問題に携わってきた者は、かなり意識的にやっているのですけれども、そうでもない方々の間では必ずしもまだそこまで意識は行っていないということを表すものだと思うのですね。ですから、この検討会でおっしゃっても、あまりそういうところには届かないので、派遣する場合にも、さっきも最高裁が言われたように、具体的にどういうことをやるのだということで、協議の中で注文つけていただくということも必要でしょう。むろん、あまりやり過ぎると、最高裁とか法務省が授業の内容まで仕切るのかという声も出てくるので、難しいと思うのですが。
最終的には設置審査のときのシラバスの審査ですとか、あるいはでき上がった後の評価で、どういうことが行われているのかについて厳しい評価をしていただくということが制度的な担保となるのではないかと思うのですが、もう一つは、派遣されてくる方が、そのときだけ、授業だけやればよいのだということではなくて、やはり大学で育った人間といろいろな機会に接して、カリキュラムなどについてどんどん、編成だとか中身について意見を言っていただくということが日常的に行われることが必要なのではないか。
ですから、川端委員よりは、少し悲観度が小さいのですけれども、人間同士直に接していくと、かなり雰囲気も違ってきて、意識も変わってくるのではないかと思っています。
○ 加藤委員 法律案の第3条で、派遣要請する場合には、「必要とする事由を明らかにして」とされていますから、その派遣必要事由の解釈と運用の問題だと思うのです。ですから、この法律ができたら、派遣を求める法科大学院としてはそうした点についての見解をきちんと述べられればよいのではないかと思います。
○ 法務省 ちょっと補足説明ですが、最高裁がおっしゃられたことは、私も同様のことを感じておりまして、大学側に対してカリキュラム審査をする気持ちは毛頭ございませんが、ただ、とにかく何とか検察官一人を数合わせのために派遣してくださいよという要請ではいかがかなと思います。その大学の準備体制の中でしっかり検討して、こういうカリキュラムを組みたい、ここは弁護士教官にお願いする、ここは裁判官教官に、ここは共同でやるなどといった構想についてきちんとした姿を見せていただいて、そのためにはこういう検察官がこの程度必要であるということを示してくださいと申し上げたいわけです。それなしで、とにかく数が足りないから、というわけにいかないだろうということでありますが、確かに最高裁がおっしゃったように、各大学の準備状況には温度差がございます。
私が先ほど申し上げた実質的公平性の判断の中で、きちんとした準備と考え方のもとに整理して派遣の要請を行っているかどうかということも派遣に当たっての考慮の一要素になるのかなと思っています。ただ、繰り返しますが、カリキュラム審査をやる気持ちは全くありません。
○ 田中座長 いろいろ御意見をお伺いしたわけですけれども、とにかく教員派遣法案が成立することが大前提であり、成立したといたしましても、運用面については、今後関係者の間で具体的に検討していただく事項はたくさんあると思いますので、もちろん大学関係者も含めてでございますけれども、関係者の皆様方にはよろしくお願いしたいと思います。
教員派遣法案が、先ほど山崎局長から御説明があったような時期に成立するとしても、時期的にもぎりぎりではないかという感じがいたします。これ以上遅れると、先ほど川端委員からの御意見にありましたように、設置審査その他いろいろなことに波及していくこともありまして、法科大学院の設置運営について非常に大きな支障が生ずることになりますので、事務局におきましては、教員派遣法案ができるだけ早い時期に、4月中に成立することを目指して、御苦労でございますけれど、引き続き御努力いただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
○ 山崎事務局長 ちょっとよろしいですか。
○ 田中座長 はい。
○ 山崎事務局長 今日、4法案をお配りしているのですが、この教員派遣法案が順番的にはトップということでお願いをしておりますし、そのことは国会の関係方面に御理解いただいておりますが、現実にいつ審議に入れるのかというところが不透明ということでございますので、そこは御理解をいただきたいと思います。
○ 田中座長 あまりスムーズにいかない場合には、検討会を臨時に開いて決起集会でも行わないと先に進まないということになりかねないので、そういうことがないようによろしくお願いいたします。
それでは、次に司法修習生の給費制の在り方に関する検討に移りたいと思います。この問題につきましては、法科大学院の学生に対する奨学金等々の問題についても併せて検討しておくことが必要であるという意見が出されていましたことから、前回の検討会では、文部科学省の担当者においでいただいて説明を受けたところでございます。
本日はこの点に関連しまして、日弁連からアンケート調査結果などについて説明を行いたいという要望が出されましたので、それをお伺いすることにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○ 日弁連 日弁連の法科大学院設立・運営協力センターの委員長の飯田でございます。本日はお忙しいところお時間をいただきまして、どうもありがとうございます。
法科大学院の学費とか学生の経済的負担の問題が非常に重要な問題になっておりますことから、日弁連では本年2月12日に法科大学院に関する経済的支援をテーマにシンポジウムを行いました。また、このシンポジウムに先立ちまして、法曹志願者を対象にアンケート調査をいたしました。このアンケートについては、実施期間は平成15年1月10日から24日の2週間で、全国46都道府県から5,496名もの多数の回答がございました。
アンケートの分析結果についてかいつまんで簡単に御報告申し上げたいと思いますが、まず「法科大学院入学に関して考慮する要素は」という設問でございますが、この中では選択肢1の、「法科大学院が学費が負担できるものかどうか」という回答が最も多くて約7割にのぼっております。法曹志望者が、法科大学院に進学を決めるに当たりまして、この学費の問題を最も心配しているということも伺えるわけでございます。
次に奨学金等の貸与等がない場合に「法科大学院の学費が、どの程度であれば入学を志望するか」という問いでございます。これに対しましては、「100万円以下」という回答が半分、「150万円以下」という回答が約25%になっております。つまり奨学金の貸与等がない場合、法科大学院の学費が100万円を超えた場合には、半数の人が進学を断念し、学費が150万円を超えた場合には約75%の人が進学を断念するということになるわけでございます。
また、法科大学院の学費が年間200万と仮定した場合に、奨学金の支給額が年間100万円未満でも法科大学院に進学するという方はわずか16.7%でございます。100万円以上200万円未満であれば進学するという人は44.3%になっております。他方、年間200万円以上の奨学金の支給がなければ、約3分の1の人が進学を断念するという結果になっているわけでございます。
現在、日本育英会の有利子貸与「きぼう21」の大学院生に対する貸与条件が月額13万円、すなわち年間156万円であることを考えますと、これが全員に行き渡ったとしましても、なお、3分の1をはるかに超える法曹志望者が法科大学院進学を断念するということになると考えられるわけでございます。
すなわちこれはアンケートの質問の作り方にも問題があったわけでございますが、奨学金貸与が100万円以上200万円未満であれば進学すると回答した人が44.3%あるわけでございますけれども、この中には、「きぼう21」の156万円を超える貸与がないと進学を決断できないと考えている人も相当の割合で含まれていると考えられるわけでございます。
したがって、「きぼう21」の満額貸与がありましても、なお、法科大学院に進学できない人の割合は、先ほどの3分の1よりもはるかに大きなものになる、そのように考えられる次第でございます。
ところで、2月12日のシンポジウムは、法曹志望者121名を含む合計279名の参加者がいらっしゃいました。このシンポジウムには、7名のパネリストをお招きしましてディスカッションを行ったわけでございます。パネリストには、マスコミからNHKの若林誠一解説委員、国会議員からは、自民党の福島啓史郎議員、塩崎恭久議員、公明党の荒木清寛議員、民主党の鈴木寛議員、大学関係者では、関西大学の永田眞三郎先生、そして、この検討会の委員でもあられる中央大学の永井和之先生にもおいでいただいたわけでございます。
ディスカッションでは、「経済的支援は、今年8月末の概算要求までにまとめなければならない緊急課題であること」がすべてのパネリストの一致した見解でございました。その具体的方法としては、荒木議員は、「日本育英会の有利子貸与奨学金を現状の13万円から20万円に引き上げるべきだ。国民生活金融公庫の教育ローンを現状の200万円から400万ないし500万円に引き上げるべきだ」とおっしゃっていました。塩崎議員は、「奨学金制度の充実、教育機関への寄付金制度の税制見直し」等をおっしゃっておりました。また、福島議員は、「大学による学費を抑える努力。補助金の充実。奨学金75億円の特枠を設け、希望者全員に行き渡らせるべきだ」という御意見でございました。鈴木寛議員からは、「GDP1.5%の教育予算を確保、文部科学省、法務省の縦割り予算の弊害の除去、専門職大学院生へのスカラシップ制度(給付制奨学金)の創設、クーポン制(国が学生に教育クーポンを配布し、学生が入学した大学にクーポンで学費を支払う制度)を導入するべきである」との御発言がございました。また、永井先生、永田先生におかれましては、大学への補助金の充実、特に私学助成について強調しておられたわけでございます。このように多様な具体的な方策が挙げられておりました。
また、NHKの若林解説委員からは、「文部科学省、法務省の縦割りの弊害を世論と政治で変えていくことが必要である。大学人の方々の当事者として責任を自覚することが、法科大学院に関するすべての問題の前提になる」というような問題が示されておりました。
以上のようなシンポジウムの結果を踏まえまして、日弁連としては、次のようなことが急務ではないかと考えておる次第でございます。
まず、法科大学院自体への援助の確保でございます。学生の負担を軽減するには、何よりも学費そのものを低額化することが必要でございます。
次に日本育英会や国民生活金融公庫など、既存の制度の拡充を図ることが必要でございます。具体的には、日本育英会の「きぼう21」の貸与額の上限を引き上げるべきと考えております。先ほど御報告いたしましたように、現行の「きぼう21」の貸与を満額行ったとしましても、法科大学院の進学を断念する人が3分の1をはるかに超える割合ということでございます。そうなりますと、月額13万という貸与額では制度としては不十分ということでございます。
なお、日本育英会には無利子貸与制度がございまして、制度上は「きぼう21」との併用は可能でございますが、無利子貸与は「きぼう21」に比べて、その受給要件が厳しくて、法科大学院におきまして、この無利子貸与と「きぼう21」の併用を当然の前提に議論することはできないと考えている次第でございます。
さらにこの「きぼう21」の貸与額の上限を引き上げた上で、法科大学院において、これが希望者全員に行き渡るように、その予算を確保いただく必要があると考えている次第でございます。すなわち平成14年度の大学院修士課程に対する奨学金につきましては、大学院の修士課程には、無利子貸与が268億、有利子貸与が284億、総額で約550億円の貸与が行われておりますが、法科大学院生のうち仮に1万人に200万円の奨学金を支給すれば200億円必要になるわけでございます。5,000人に200万円支給したとしましても100億円の財源が必要になるわけでございます。したがいまして、抜本的な財政措置が必要とされるということでございます。
そして次に、「大学院生の奨学金の受給率」について御説明いたします。現在の大学院生における奨学金の受給率は全部でも42.1%、育英会については37.1%にとどまっております。真に希望者全員にこの貸与が行き渡るためには、現在、日本育英会で行われております各大学への貸与額の割当て制度を全面的に見直していくことが必要であるというように考える次第でございます。
さらに国民生活金融公庫の教育ローンの貸与額の上限も、現行の200万円を引き上げることを検討すべきであると考えております。また、現在、公庫の教育ローンは99%が進学者本人ではなくて、その親に対して行われております。法科大学院が社会人を含む多様なバックグラウンドを要する人材を迎え入れるためには、そして何よりもこれからの自立型社会において、自己責任で自己投資する機会を与えるためにも、こうした教育ローンは、親ではなくて進学者本人を対象として、進学者本人を借り主として行われるよう、その運用が見直されるべきであると考える次第でございます。
次に政府保証型教育ローン制度創設の必要性でございます。日本育英会や国民生活金融公庫等の制度は、基本的には政府予算を財源にしておりますことから、時の国家財政に左右されて十分な貸与が行われない場合も出てくることが考えられます。したがって、こうした制度を補充する新たな学生支援の教育ローンの制度が必要であると考える次第でございます。
アンケートにおいては、学生支援の方法につきまして様々なニーズがあることがうかがえます。こうした多様なニーズに応えるためにも、私どもといたしましては、一つでも多くの選択肢を制度として用意する必要があると考えている次第でございます。特に、回答者の約4割以上の方々が、「後で返済の必要があるとしても、必要十分な金額を借りられる貸与制」を希望しているということがございます。
こういうことを考えますと、私どもといたしましては、民間資金を活用し、政府予算に左右されにくい民間金融機関利用型の学生支援の制度を創設すべきであると考えておる次第でございます。例えば、アメリカにおける連邦教育ローン、SFEL等政府保証型の教育ローンが参考になると考える次第でございます。
そのほか、自治体や民間企業が法科大学院に財政支援を行えるよう、これを促進する法制度面や税制面での配慮と環境整備、制度作りが必要であると考えている次第でございます。
以上、私どもの考える対応策の概要につきましては、昨年11月に発表しました日弁連会長の声明文にも明らかにされております。
さて、法科大学院開校まであと1年、法曹志望者が法科大学院へ進学するか否かを意思決定する時期まであと半年ほどとなり、切迫した状態になってきております。法科大学院に関する経済的な支援は、まさに緊急な対処が必要な重要課題でございます。意欲と能力を有する多様な人材が経済的負担の問題ゆえに法科大学院の進学を断念することがなきように、経済的支援の制度の整備と法科大学院連携法に定める財政上の措置に向けまして特段の御配慮をお願いする次第でございます。
どうも長時間ありがとうございました。
○ 田中座長 どうもありがとうございました。それでは、まず、ただいまの御説明につきまして、質問のある方はございませんでしょうか。
○ 永井委員 国立大の法科大学院の授業料は一体どのぐらいの水準になるのか。まだ法人化をにらんで明確なところは分からないようですけれども、国立大学が安いのはよいことはよいのですが、もし国立大学が法人化して既存の大学院の授業料より、倍ぐらいになるのではないかというような噂も流れております。希望的観測かも分かりませんけれども、そのあたりをどういうふうに考えるかについて、この奨学金いかんも問題となりますが、もし法人化して、国立大の法科大学院の授業料が上がるとなると、大変なことになると思うのですが、どうなのでしょうか。
○ 田中座長 永井委員がおっしゃっているような噂が流れているようで、私学の授業料に合わせて国立大学も上げろという御意見もあると聞いています。国立大学が法人化された場合、授業料について決めるのは部局単位である程度独立性を認めるという方向になるとは思われますが、今、おっしゃったように、法科大学院の授業料だけ云々という話ではなくて、いろいろな議論の中ではむしろ医学部の例があって、医学部の授業料の私学と国立とのアンバランスの問題との関係で法科大学院が話題になっているようです。ただ、単に法科大学院が授業料を上げるだけというのは全くナンセンスで、法科大学院の授業料を仮に上げるとすれば、それを法科大学院に留保して、法科大学院の研究教育の充実に充てるという方式ならば多少は考えられますけれども、大学全体のものになるのなら、私学の経営の二の舞になりかねない。国立大学としてはあまり歓迎しないし、言われているようには法科大学院の授業料はそう高くならないと思われます。
○ 井上委員 私は噂が流れていることさえ知りませんでしたが、私の周囲の状況を基に考える限り、それは無責任な噂だと思います。まだ一般の授業料決定のスキーム自体がはっきりしないのですが、国からの交付金との関係では、まず一定の標準のようなものが示されるはずです。それを前提に各大学の中でいろいろな調整をして、田中座長がおっしゃったようなバランスなども考えながら決めていくことになるでしょう。ですから、あまりそういう噂に惑わされないで、それぞれのところで経営をお考えいただければと思います。
○ 永井委員 適性試験の申し込みが大学入試センターの場合は7月初旬になりそうです。そうするとやはり学生にとってみれば、その判断をする時期は、先ほど弁護士会がおっしゃったよりももっと早いのではないかと思うのです。ですから、そう悠長なものではなく、もうこの後、半年後でなくて、2〜3か月後には学生は自分の進路を決定しなければいけないはずだと思われます。
○ 田中座長 永井委員のお話のようには、国立の法科大学院の授業料は上がらないと思いますけれども、今、永井委員がおっしゃったようなスケジュールからいいますと、学生に知らせることができるようになった段階では、来年度からの入学希望の学生の進路決定には、多分タイムリミットが過ぎているかもしれません。将来的にはそういうことも検討の余地はあると思うのですけれども、もう来年の4月からに関しては難しいと思います。
○ 井上委員 関連法案や予算との関係もありますが、できるだけ早く授業料なども学生にお知らせしたいと関係者は考えており、少なくとも入試の概要については、早く公示しなければ、学生は選択できないわけですので、関係方面の御了解のもとで、従来とは違ってかなり前倒しで公示できるのではないかと思います。公示については、それぞれの大学の責任でやっていただき、最終的に予算が通らなければ、計画は御破算になることも覚悟して募集するということになると思います。
○ 加藤委員 別の質問ですが、学生がどういう奨学金制度を求めるかについて、後で返済するとしても十分な金額を借りられる貸与制を希望するという回答が一番多いということですね。これは大変合理的な希望だと思うのですけれども、そうすると教育ローンを充実していったらよいのではないかと思われます。教育ローンの実情についての日弁連の見解を見ますと、「法科大学院の学生の卒業の返済能力に一定の見通しがあったとしても、学生本人に貸与するということは現在の銀行融資制度のもとでは考えられないということのようである。」とされておりますが、ここが問題なのですね。ここを前向きに考えられるようにすればよいわけで、政府に「奨学金を増やせ」ということもさることながら、「法科大学院の学費にどんどん貸してもいくらでもビジネスになりますよ」と銀行に対してキャンペーンを張って、こういうローンを作っていったらどうかと提案するのが一番現実的な方法のようにも思いますけれども、いかがでしょうか。
○ 日弁連 金融機関とも接触しまして、法科大学院生に対するローンを考えることができないかどうかについて打診をいたしました。積極的に取り組もうとしているところもございますが、ただ、司法試験合格率が読めない状況だと非常に絞られたというか、リスクが読めないというところで、そこで壁にぶつかってしまっているという状況がございます。
○加藤委員 成績を要件にして貸すなど、いくらでもアドバイスの仕様があるのではないでしょうか。
○ 日弁連 一部の人にしかローンが行き渡らないということになりかねないという問題も出てくるわけであります。
○ 加藤委員 しかも弁護士になってから取引銀行になる可能性を考えると、優秀な弁護士になる学生がローンを借りたら先々のビジネスにもつながっていきます。
○ 日弁連 そういう将来的に契約したいということで考えている金融機関も確かにあることはあるのですが、ただ、リスクが読めないというところが今の最大の問題になっております。貸し倒れリスクですね。
○ 田中座長 誰が保証するかですね。司法試験に受かった者については国が保証して、受からない者については各法科大学院が保証する。利率もそれに合わせて合格率に比例して決めていくという、シビアなことを言っている金融機関もあるようです。アメリカの実情は、国が保証するというシステムでやると、結局、経営の放漫というのか、モラルハザードが生じているようで、必ずしも言われているほどうまくいってないということのようなので、何もかも今、官から民へと言っていますけれども、そんなに民にしたからといって必ずしもうまくいかないというのが実情です。まだ国がきちんと奨学金を支給している方がうまくいっていて、国が保証して、かえって具合の悪い銀行等をまたサポートするのかというような見方もあるようなので、日弁連がおっしゃっているようにするのが適切かどうかかなり難しい問題があるようです。
ただ、経営的には成り立つことは成り立つようなので、一つは規模の問題があり、もう一つは合格率の問題であったりしますけれども、それらを解決する何かよい方法があればよいのですが。
○ 日弁連 一定のリスクをシェアしあうというような方式もあるかもしれません。
○ 田中座長 どこがシェアしあうかというので、日弁連もシェアの一端を負うとか。これは基本的には、親などと違って、学生が主体となるような条件を整備して、学生が自分でいろいろな形で、ローンや奨学資金と組み合わせて利用できるような仕組みになると思うのです。
○ 日弁連 多様な選択肢を御用意いただくことが必要なのかなというふうに考えております。
○ 田中座長 各大学単位で検討していらっしゃるところもあるようです。この問題については、まだいろいろと御意見もあると思いますので、この検討会では、この問題は司法修習生に対する給費制の在り方と一緒に検討してきているところでございますけれども、この司法修習生の給費制の在り方についても、引き続き次回以降も検討を加えることにしたいと思っております。今の日弁連の説明を伺って、法科大学院の学生に対する支援の在り方と司法修習生の給費制の問題について、今の段階で何か御意見がございましたら、それも併せてお願いいたします。
学生支援の在り方については、いろいろな問題と連動しておりまして、大学の中では法科大学院だけではなくて、医学部などほかの学部の学生支援の問題がありまして、あまり法科大学院だけ言っても説得力がありませんので、法曹養成過程全体として、司法修習生の給費制の問題と併せて考えないとなかなか社会的な理解を得にくいというところがあります。
それでは、奨学金の問題につきましては、いろいろな機関が関係しておりますので、関係機関の協議が必要であり、この検討会だけではなかなか結論を出しにくい問題でございますけれども、事務局の方でいろいろな関係機関等と協議を続けていただきまして、御検討をいただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○ 日弁連 よろしくお願いいたします。
○ 田中座長 それでは、最後に司法研修所の管理運営に関する検討状況につきまして、最高裁判所から説明いただきたいと思います。この点につきましては、司法制度改革審議会意見におきまして、司法研修所の管理運営については、法曹三者の協働関係を一層強化するとともに、法科大学院関係者や外部の有識者の声をも適切に反映させる仕組みを設けるべきであるとされているところでございますけれども、最高裁判所におきまして、その検討が進んでいるようでございますので、現段階でどのようにお考えになっているかということを最高裁判所から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○ 最高裁 それでは、お手元の資料1から5までに基づきまして御説明申し上げます。
ただ今、お話がございましたように、司法制度改革審議会意見におきまして、司法研修所の管理運営について新たな仕組みを設けるべきであるとの提言がされております。
これを受けまして、最高裁は昨年11月、資料1にありますように、最高裁判所一般規則制定諮問委員会に対しまして、この「司法修習の運営に関する機関を設置する規則の制定について」という事項を諮問いたしました。資料2が、一般規則制定諮問委員会の委員名簿でございますが、法曹三者あるいは有識者の方、学識経験者の方20名から構成されます。この一般規則制定諮問委員会で検討をいたしまして、本年2月24日に司法修習委員会規則要綱が答申としてまとめられました。その内容は資料3のとおりでございます。
併せて、資料4にあるように、この要綱に基づき規則を制定する、あるいは司法修習委員会の運営に当たり留意すべき事項としての確認事項が確認されたところでございます。
それでは、この要綱につきまして、資料3に基づき簡単に御説明申し上げます。まず1の設置は、委員会の設置あるいは目的を定めるものでございます。これは審議会意見にありますように、この管理運営に関し、「司法修習生の修習の充実及びその法科大学院における教育との有機的連携の確保並びに法曹相互の強化を図るため、最高裁判所に、司法修習委員会を置く」というものでございます。
所掌事務が一番重要になりますが、これが2でございまして、委員会は最高裁の諮問に応じまして、ア、イ、ウに記載されましたもの、アは修習の基本方針の策定等に関する事項、イが修習に係る司法研修所の管理運営に関する事項、ウがその他の事項について、調査審議することとされております。法科大学院の教育と司法修習とは有機的関連性を持ちますので、修習の進め方については大方アの中に入りますので、ウに入りますのは、例えば法科大学院の教官の方と司法研修所との教育ノウハウについての交流、あるいは外国の法曹養成制度を持っている機関との交流などといったようなものがウの中に入ってくると考えております。
また、委員会は、諮問を受けて答申するということのほか、諮問がなくても、ア、イ、ウに記載された重要事項については最高裁に意見を述べるということとされております。やや読みにくいのですが、委員会の所掌事務については、①において諮問を受けて意見を述べることと、②において諮問がなくても意見を述べるということを規定しており、両方を含む規定の仕方になっております。
それから、3が組織でございまして、これは委員10人以内で構成するとされており、4の「委員の任命」で委員構成について規定されております。この点につきましては、資料4「確認事項」の2にありますように、法曹三者各一人のほか、司法研修所長、学識経験者という構成で最高裁が任命するのが適当ではないかということが確認されております。
5、6は委員の任期、身分、委員長に関する一般的な定めとなっております。それから7の幹事というところでは、委員会に幹事を置くこととされております。幹事につきましては、(2)にありますような方々の中から最高裁が任命するということであります。幹事は委員を補佐することになります。特にこの委員会の検討事項は法曹養成に関する専門的・技術的なものが多いと思われることから、委員会で自主的な議論、法律的な議論を行うためには幹事の果たす役割も大きいのではないかと考えております。
8、9、10は、議事、庶務、雑則に関する規定で通例にならった規定でございます。
それから、開催の頻度や議事の公開については、資料4の「確認事項」にありますようなものが盛り込まれております。
今後の予定でございますが、最高裁ではこの答申されました要綱を踏まえまして、最高裁判所規則の策定作業をし、できれば、来週には規則を裁判官会議で決定したいと考え、準備を進めております。その上で、6月初めころまでには第1回の委員会を開催し、司法修習の具体的な内容について、法曹養成検討会でいろいろと御議論いただきましたことをさらに具体化していく作業を進めていきたいと思っております。
体制がすべてでき上がりますと、資料5にありますイメージのような形となります。司法修習委員会で先ほど御説明しましたようなこういった重要事項について定め、従来からございます教官会議で実質的なことを考え、そして実務修習を担当している各庁会の指導担当者の協力を得ながら、よりよい修習をつくってまいりたいと考えている次第でございます。
以上でございます。
○ 田中座長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問がございましたらどうぞ。よろしゅうございますでしょうか。
では、司法研修所の管理運営の在り方につきましては、最高裁におきまして引き続き御検討いただきたいと思います。
それでは、本日の検討会はここまでにしたいと思います。次回の検討会の日時につきましては、調整の上、おって御連絡申し上げることにしたいと思います。そのほか、事務局におきましては、先ほどもお願いしましたように、教員派遣法案の早期成立に向けて御努力いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
そして、次回以降の検討会では、引き続きまして、司法修習生の給費制の在り方について検討を行うことにいたしたいと思います。また、昨年末の検討会で御指摘がありましたように、新しい司法試験の在り方、特に選択科目の在り方につきましては、これは法科大学院におけるカリキュラム編成とも密接に関連しておりまして、いろいろと検討すべき点があるかと思いますので、この検討会におきましても、どういった方法で取り上げることができるのかということを私の方で検討した上でお諮りさせていただきたいと思っております。
最後に事務局から連絡があるようでございますので、お願いいたします。
○ 片岡参事官 それでは連絡申し上げます。以前にも御説明申し上げましたが、本検討会の第1回会合の内容を記録した録音テープについての不開示決定に対して異議申立てが行われ、情報開示審査会から議事の公開の協議の部分は不開示が妥当であるが、その他の部分は開示すべきであるとの答申がなされました。
そこで、当本部におきましては、答申を踏まえまして、3月12日付で全部不開示としておりました決定を変更いたしまして、議事の公開の協議の部分を除いてその他を開示する旨の決定を行いましたのでお知らせいたします。
以上です。
○ 田中座長 それでは本日はどうもありがとうございました。これで終わります。