第2回配布資料一覧

大学評価について




 「大学評価」とは、大学の教育研究水準の活性化・維持向上を図り、その目的及び社会的使命を達成するため、当該大学における教育研究活動等の状況について評価を行うことである。評価の目的は大学の自己改善支援や資源配分など多様であるが、評価主体別には以下のように分類できる。
 ○自己点検・評価 … 各大学がその理念・目標に照らして自らの活動状況について点検・評価
 ○外部評価 … 大学によって選任された当該大学以外の評価実施者が評価
 ○第三者評価 … 当該大学から独立した第三者が専門的・客観的な立場から評価

大学評価に係る主な経緯

昭和22年 CIE(GHQ民間情報教育局)による指導を踏まえ、大学が連合して「大学基準協会」を設立
→ 加盟判定審査及び会員校に対する評価
《加盟校数の推移》
  国 立 公 立 私 立
設立時正会員校18校2校26校46校
平成14年1月正会員校38校17校207校262校
賛助会員校59校33校194校286校
61年 臨時教育審議会第2次答申(大学の自己検証・自己評価を要請)
平成 3年 大学設置基準の大綱化(大学の自己点検・評価の実施を努力義務化)
→ 以降、各大学において取組が進む
《自己点検・評価実施校数(平成5年7月時点)》
国立98校、公立30校、私立274校、計402校(全大学の77%)
10年 大学審議会答申「21世紀の大学像と今後の改革方策について−競争的環境の中で個性が輝く大学−」(第三者評価システム導入を提言)
11年 大学設置基準の改正(大学の自己点検・評価の実施を義務化)
《自己点検・評価実施校数(平成12年10月時点)》
国立99校、公立55校、私立442校、計596校(全大学の92%)
「日本技術者教育認定機構(JABEE)」発足
・技術者教育プログラムについて、各分野を通じた共通基準及び分野別基準を満たしているかを審査・認定。
・平成12年度は9分野20プログラムを対象に試行審査。
12年 「大学評価・学位授与機構」創設
・全学テーマ別評価、分野別教育評価、分野別研究評価の3種類の評価を実施。
・平成14年度までは対象分野・機関数等を絞って段階的に実施。平成15年度から本格実施を予定。
・私立大学は、当分の間、対象から除外(文部科学省令)。

※ 機構は、現在は国の行政機関(国立大学と同様の特別な位置付け) であるが、国立大学改革の動向を踏まえ、一層の自律性を確保する 観点から、法人化の方向で検討中。

チャータリングとアクレディテーション等の第三者評価

 ○ 大学の自主性・自律性を尊重しつつ、大学の質的水準の維持向上を図る観点からは、事前チェックである「チャータリング(設置認可)」と事後チェックである「アクレディテーション(適格認定)」等の第三者評価を組み合わせて実施するというのが一般的である。
 ○ 以下の各国の例が示すとおり、チャータリングは行政当局、アクレディテーション等の第三者評価は行政当局から認定を受けた民間団体ないし行政当局から一定の独立性を有する大学評価の専門的機関が行っているのが通例である。
 ○ なお、アクレディテーションには、大学を全体として評価する「機関別アクレディテーション」と、経営、法律といった分野ごとのプログラムを評価する「専門分野別アクレディテーション」がある。

解説図

《各国の代表的な例》

  アメリカ イギリス ドイツ フランス
チャータリング 設置認可権者 州政府 国王 州政府   −
備考 アクレディットを受けた大学に対し改めて学位授与権の認可を行う 設立勅許状による 全ての大学が国立大学
アクレディテーション等の第三者評価 評価機関 1.機関アクレディテーション協会
2.専門アクレディテーション協会
高等教育財政評議会
(HEFCE)
州大学中央評価機関
(ニーダーザクセン州の場合)
大学評価委員会
評価機関の性格 非営利法人(連邦教育省等が認定) エージェンシー 州の大学等が共同設置する公法上の法人 日本の行政委員会に相当する行政機関
運営経費 団体に加盟する大学の会費等 国が負担 州政府からの補助金 国が負担
備考 「大学」としての品質保証等のために活用 評価結果を主として資源配分に反映させるために実施 大学の自己改善支援

我が国における最近の動向

 平成13年12月 総合規制改革会議第1次答申、及び答申内容尊重の閣議決定


《答申の概要(関係部分》 → 資料3−3参照
 競争的環境を整備することを通じて大学の教育研究活動を活性化し、その質の向上を図っていくため、大学の設置等に係る事前規制を緩和するとともに、事後的チェック体制を整備することが必要。
○大学・学部の設置認可の準則主義化【平成14年度中に措置(検討・結論)】
 ・大学・学部の設置等に係る認可に対する抑制方針の見直し
【平成14年度中に措置】

 ・大学の設置等における校地面積基準、自己所有比率規制の緩和
【平成14年度中に措置】

 ・工業(場)等制限法の在り方についての抜本的見直し
【平成13年度中に措置(検討・結論)】

 ・大学等の設置における制限区域の廃止
【平成14年度中に措置】

○第三者による継続的な認証評価(アクレディテーション)制度の導入
【平成14年度中に措置(検討・結論)】

 このような状況を踏まえ、現在、中央教育審議会大学分科会の中の将来構想部会において、設置認可とアクレディテーションの適切な組合せによる大学の質の保証に係るトータルシステムづくりについて検討中(平成13年度内に方向性を提示)。

大学評価に関する基本的視点

○大学制度全体との整合性のとれた評価システムの構築
○大学の自主性等への配慮(行政の謙抑的な関与)
○評価機関の自律性の確保(財政基盤、人員体制等)