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司法制度改革推進本部顧問会議(第13回)議事録



日 時 : 平成15年9月18日(水)13時〜14時50分

場 所 : 永田町合同庁舎2階第1会議室

出席者 :
(顧 問)
佐藤幸治座長、今井敬顧問、大宅映子顧問、小島明顧問、笹森清顧問、志村尚子顧問

(推進本部)
森山眞弓副本部長(法務大臣)

(事務局等)
山崎潮事務局長、伊藤眞法曹制度検討会座長、柏木昇国際化検討会座長、
塩野宏行政訴訟検討会座長、山川隆一労働検討会座長代理 他

議事次第 :
1 開 会
2 司法制度改革全般の状況について
3 今後の立法課題等に関する検討会における検討状況について
4 閉 会

【佐藤座長】 それでは、定刻になりましたので、ただ今から第13回司法制度改革推進本部顧問会議を開会いたします。
 顧問の皆様におかれましては、何かと御多用のところ御出席賜りまして、ありがとうございます。
 今日は、奥島顧問、佐々木顧問は、所用のために御欠席でございます。
 本日は、法曹制度検討会の伊藤座長、国際化検討会の柏木座長、行政訴訟検討会の塩野座長、労働検討会の山川座長代理に御出席いただいております。本当にお忙しいところ、今日はどうもありがとうございました。
 それでは、早速、議事に入りたいと思いますが、まず最初に、司法制度改革全般の状況につきまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【山崎事務局長】 それでは、私の方から全般について簡単に御説明を申し上げます。
 資料は、資料1と、資料2−1、資料2−2でございます。それを御覧になりながら、お聞きいただきたいと思います。
 まず、資料1は検討会の検討状況でございますけれども、時間の都合もございますので、説明は省略させていただきます。また適宜なときに御覧いただければと思います。
 前回の顧問会議におきましては、司法ネットの関係でいろいろ御議論をいただきまして、総理大臣からも、中核となるセンターが担うべき事業内容と既存の関連サービスとの連携や協力の在り方について、速やかに検討を進めて欲しいという御発言がございました。
 これを受けまして、現在、司法ネットの具体的な制度設計について検討を急いでおります。また、その際に運営主体の名称についても分かりにくいという御指摘もございました。そういう関係から、意見募集を行った上で検討を進めていくということを考えております。
 また、この問題につきましては、具体的な方向性が出てまいりました段階で、改めて御議論をいただければと考えております。
 次に、先般、関係府省等から平成16年度予算の概算要求が提出されております。司法制度改革に関連するものといたしまして、まず、裁判官、検事等の増員要求の内容について御紹介をいたします。
 資料2−1と資料2−2でございます。
 裁判官につきましては、平成15年度予算では、45人の増員が認められておりましたけれども、平成16年度概算要求では、判事42人、判事補10人、合計52人の増員要求がされているということでございます。
 また、検事につきましても、平成15年度予算では39人の増員が認められておりましたけれども、平成16年度概算要求では、56人の増員要求がされているということでございます。
 更に、裁判所職員や検察事務官につきましても、資料に記載されておりますとおり、それぞれ80人、147人の増員要求がされております。
 なお、法科大学院への財政支援に関する文部科学省の概算要求の内容につきましては、文部科学省の方から御説明をいただくということを予定しております。
 説明は以上でございます。なお、お手元にパンフレットを配らせていただきましたが、私どもで、新しく作成したものでございます。今まで成果が上がったもの、あるいは新たに加わったものも含めまして、新しいバージョンにいたしました。
 特に、真ん中を見ていただきますと、司法ネットを見開きで大きく掲載してございます。我々としても大変重要なテーマだということで、見開きを全部使ったということでございます。また何かの折に御覧いただければと思います。
 以上でございます。

【佐藤座長】 ありがとうございました。
 それでは、今、触れられましたけれども、引き続いて、文部科学省から平成16年度の概算要求について、御説明をお願いしたいと思います。

【文部科学省清水大臣官房審議官】 文部科学省でございます。お手元の資料2−3を御覧いただければと思います。
 法科大学院の財政支援についてでございますけれども、これは改革審意見書にもございますように公平性、開放性、多様性の確保という観点から、いわゆる経済的理由から進学する機会が閉ざされないようにという要請及び中核的養成機関にふさわしい教育水準の確保という、2点に重点におきまして、機関補助と個人補助をどのように適切に組み合わせていくか、そして、それによって公平な競争的環境をどう作っていくかということを考えて予算要求を組み立てたということでございます。
 御覧いただきますと、①にございますように、まず、法科大学院の支援経費として私立大学等経常費補助金として、新規に法科大学院分として50億円を要求するという考え方でございます。
 これは主としてアクセスという観点、あるいは公平な競争的環境という観点から、私立法科大学院の授業料引き下げ分を含めた経常的補助ということでございます。
 なお、国立の法科大学における授業料標準額(案)として78万円、現行の52万800円の1.5倍ということを予定しております。
 なお、この支援によりまして、申請時の私学の平均授業料約158万円が30万〜50万円程度引き下げられるということを一つの目標としているようなところでございます。
 2番目は「学生個人に対する経済的支援」でございます。日本学生支援機構の奨学金事業、これは育英会を改組するものでございますけれども、法科大学院分として貸与時に4,800人、内訳として無利子2,400人、有利子2,400人ということで要求しております。有利子につきましては最大貸与月額を現行の修士課程の上限である13万円から7万円引き上げまして、20万円ということにしておりまして、年額でいいますと240万円借りることができるようになります。また無利子と有利子の併用貸与1,400人分要求の中に入れておりますので、無利子、有利子を併用貸与すると344万円を奨学金として借りることができるようになります。貸与率は、これまで修士課程について、平均50%を切っておりましたが、法科大学院については80%を見込んだ形としております。以上のように、まさに望まれる者に対しては奨学金をということを実現し得る内容になろうかというふうに思っております。
 3点目は「国公私を通じた法科大学院等の形成支援」ということでございます。
 まだまだ法科大学院は、平成16年4月からの学生受け入れを目指して、各法科大学院でいろいろ構想中でございますけれども、これをどう具体化していくかというのが大きな課題でございます。
 したがいまして、国公私を通じてプロジェクトの申請に対する補助ということで、78億円を新規に要求することといたしております。
 例えば、これによりまして国際渉外、あるいは知的財産権等の先端的なカリキュラムの開発、あるいはまさに理論と実務の架橋にふさわしいような教育方法、教材の開発でございますとか、海外ロースクールとの提携、あるいは社会人の受け入れ、地域社会との関係等々、さまざまな形の特色ある法科大学院について、国公私を通じて、その計画を、あるいはその実績を評価していくというふうな形で競争的に、まさに切磋琢磨してその基盤をつくりたいと、このように考えているところでございます。
 合計で申し上げますと、いわゆる予算分といたしまして、有利子奨学金60億円部分除きますと、法科大学院分については150億円余ということになります。
 なお、私学助成の中に一般助成として、法科大学院分として当然計上されるものが見込みでございますけれども、約50億円あるということも含めて考えますと、法科大学院の支援ということで約200億円ということになろうかというふうに思います。
 この予算要求につきましては、本部、法務省等関係機関、取り分け森山副本部長からいろいろ御心配、御配慮いただきました。感謝申し上げますとともに、また、この予算について、実際上確保できるかどうかが問題というふうに課題として認識しておりますので、私どもとしては全力を挙げてまいりたいと思っておりますので、よろしく御支援の方お願いいたします。

【佐藤座長】 ありがとうございました。
 それでは次に、法科大学院の派遣法に係る政令について、事務局から説明をお願いします。

【山崎事務局長】 資料3を御覧いただきたいと思います。以前、御承認いただきまして、国会で成立しました法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律がございますが、これに伴う政令を定める案件でございます。
 政令で定めます事項といたしましては、まず1に記載しましたとおり「裁判官が法科大学院において教授等の業務を行った場合における法科大学院設置者の国庫納付金について」でございますが、その金額等を政令で定めるということにされております。
 裁判官が法科大学院に派遣される場合には、裁判官の給与は減額されずそのまま維持されて払われますので、法科大学院から支払われます授業に関する手当は国庫に納付をするという考えによるものでございます。その国庫に納付する金額をどのように算定するかを政令で定ると、こういうことでございます。
 ここに具体的に記載されておりますけれども、基準額、日額ですが、これを定めた上で、裁判官がその大学院において教授等の業務を行った日数、これを乗じて算定するということでござます。
 現在、最終調整を行っておりますけれども、大体1日当たり5万円程度とするという方向で調整中でございます。
 2ですけれども、法科大学院に派遣されました検察官等に関する共済組合関係の特例という技術的な規定を設けるというものでございます。
 この政令は本年10月ごろ公布することを予定しております。
 これに関連いたしまして、最高裁判所規則、人事院規則、これも定めるということになっておりますが、これらの規則につきましても10月の公布を目指して、現在、作業中であるというふうに聞いております。
 以上でございます。

【佐藤座長】 ありがとうございました。ただいま3点御説明いただきましたけれども、この事務局及び文部科学省からの説明について、何かお尋ねになりたいことがございましたら承りたいと思いますが、いかがでしょう。
 何かございませんか、よろしいでしょうか。
 特に法科大学院に関する概算要求につきましては、前回も話題になりましたけれども、先ほど清水さんもお触れになりましたが、副本部長であられる森山法務大臣を始め関係の皆様に大変御尽力いただき、こういう段階にまで至ることができたということにつきまして、私個人としても大変ありがたく思っております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 特にございませんでしたら、次の議題に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは引き続きまして、今後の立法課題等に関する検討会における検討状況について、御説明を受けたいと思います。
 初めに御出席の各座長の方々に、それぞれ簡潔に御説明いただきまして、最後にまとめて御質問、御意見をちょうだいしたいと思います。 まず最初に、法曹制度検討会の検討状況につきまして、伊藤座長の方からお願いします。【伊藤法曹制度検討会座長】 では、伊藤から御報告申し上げます。
 法曹制度検討会におきます弁護士資格の特例の見直しについての検討状況についての報告でございます。関係の資料は資料4−1及び4−2でございます。
 第156回国会において成立いたしました、司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律によりまして、司法試験に合格後7年以上企業法務を担当した者等に対して、所定の研修を修了すれば、司法修習を経ることなく弁護士資格を付与するなどの弁護士資格の特例の拡充が行われたところでございます。
 ところで、その審議におきまして、一定の範囲の大学の法律学の教授等に対して、司法試験に合格していなくても弁護士資格を付与する制度等につきまして、与野党を通じて見直しを求める趣旨の質疑をいただきますとともに、衆参の法務委員会におきまして、政府に対して適切な見直しを求める附帯決議がなされたところでございます。
 法曹制度検討会では、この附帯決議を受けまして、弁護士資格の特例の見直しについて検討してまいりました。
 そこで検討会における弁護士法改正の方向性を御説明させていただきたいと存じます。制度改正を図示いたしました資料4−2でござますが、このピンク色の部分が今回の改正部分ということになります。
 まず、この資料の一番下にございますとおり、大学教授等に関する特例措置を廃止することにしております。そして、今後は司法試験合格後、大学教授等の職にあった期間が5年以上となる者に対して、所定の研修を修了すれば、司法修習を経ることなく弁護士資格を付与することとしております。
 以上、要するに、大学教授等の職にあったことを弁護士資格付与の要件から、司法修習免除の要件に見直すということになります。
 また、現行制度では、司法試験合格後、衆議院もしくは参議院の法制局参事、または内閣法制局参事官等の職にあった期間が5年以上となる方には弁護士資格が付与されていますが、司法試験等に合格後一定の実務経験を経ることによって司法修習を免除することとされている他の方々と同様に、実際に弁護士として御活躍いただくためには、所定の研修を受けていただく方が望ましいということから、このような方々にも所定の研修の修了を要件として付加することにしております。
 その他、既にこれまでの制度により弁護士資格を有している方につきましては、従前の例による、すなわち、これまで同様の取り扱いをするなどの経過措置を置くこととしております。
 以上でございます。

【佐藤座長】 ありがどうございました。それでは次に、国際化検討会の検討の状況につきまして、柏木座長の方から、よろしくお願いします。

【柏木国際化検討会座長】 国際化検討会の座長の柏木でございます。
 本日、資料5としまして「『弁護士( 法曹) の国際化への対応強化・法整備支援の推進等』について( 議論の整理メモ) 」と題する資料を配布しておりますので、その資料も参照しながら、国際化検討会の検討状況の説明をさせていただきたいと思います。
 国際化検討会では、弁護士と外国法事務弁護士等との提携、協働の推進、弁護士(法曹)の国際化への対応強化、法整備支援の推進、その他の検討課題について検討を進めてまいりました。
 特に、弁護士と外国法事務弁護士等との提携、協働の推進、すなわち外国法事務弁護士制度の改革につきましては、昨年1月から本年2月までの間に計10回を超える会合を開催し、最優先に検討を進めてまいりまして、弁護士と外国法事務弁護士との提携関係をより一層推進する内容の法改正を行ったところでございます。
 要約して申しますと、外国法事務弁護士についての弁護士の雇用及び弁護士との共同事業等に関する規制の緩和等の措置を講じた次第であります。
 また、残りの検討課題、すなわち弁護士の国際化への対応強化、法整備支援の推進につきましては、昨年2回、そして本年5月から7月までの間に3回の会合を開催いたしまして、関係機関からのヒアリングも踏まえつつ、その在り方などについて議論をしてまいりました。
 検討の結果は、本日配布させていただきました資料5の「議論の整理メモ」にとりまとめたところでございます。
 以下、議論の内容を簡単に紹介させていただきます。
 資料5の1ページを御覧いただきたいと思います。「1.弁護士( 法曹) の国際化への対応強化」につきましては、司法制度改革審議会意見書にもありますとおり、今後、国際的な法律問題が量的に増大し、かつ内容的にも複雑、多様化することが予想される中、弁護士が国際化時代の法的需要を十分満たすことのできる、質の高い法律サービスを提供できるようにすべきであると考えられます。
 このような見地から、国際的な企業買収案件のような大型の渉外案件に対応するため、弁護士事務所の執務態勢の強化が必要である。ビジネスローに関する研修の機会を増やすなど、日弁連の制度の拡充・強化を図り、弁護士の専門性を強化すべきであるといった意見。 2ページを御覧いただきまして、法曹養成に関連して、弁護士の語学力、コミュニケーション力、ディベート力を向上させるため、法科大学院のカリキュラムの内容に創意工夫が必要であるといった意見が出されました。
 3ページを御覧いただきたいと思いますが、法整備支援の推進につきましては、これは経済社会のグローバル化が進み、知的支援としての法整備支援の重要性が増大しつつある中、特に民商事法の分野におきましては歴史も浅く、まだまだ少数の人材によるボランティア的な支援が行われているのが現状であると思われます。
 これにつきましては、まず、目的・理念について、国としての戦略を策定することが必要といった御意見や、法曹の義務という面から支援を行うべきとの御意見が出されるとともに、財政、人的基盤について、法整備支援の一層の推進には、さらなる拡充・強化が必要であるといった意見が出されました。
 さらに、4ページを御覧いただきますと、実施機関の在り方につきましては、法整備支援を統一的かつ効率的に行うために、各実施機関の相互の連絡協調体制を強化することが重要であるといった意見が出されております。
 その他の検討課題といたしまして、司法制度の国際化への基盤整備という観点から、日本の基本的法令や判例の英訳の作業を早急に推進すべきであるといった意見が出されております。
 議論の整理メモの御説明は以上です。この議論の整理メモは、司法制度改革推進本部のホームぺージにも掲載するなどして関係機関や国民に周知を図り、国際化等への取り組みの参考に供することといたします。
 最後に、議論の整理メモをまとめましたことにより、国際化検討会といたしましては、一通り、検討課題の検討を終えたところでございます。
 以上です。

【佐藤座長】 どうもありがとうございました。
 それでは次に、行政訴訟検討会の検討の状況につきまして、塩野座長から御説明をお願いしたいと思います。これは論点が非常に多岐にわたっていると思いますので、適当な範囲で御報告いただければと思います。

【塩野行政訴訟検討会座長】 それぞれ簡潔にいたしますので。

【佐藤座長】 はい、よろしくお願いします。

【塩野座長】 私の方から、行政訴訟検討会の検討状況につきまして、資料6−1から6−3までの資料が用意されておりますので、それに沿いながら簡単に御説明をいたします。
 平成13年6月12日の司法制度改革審議会意見書におきまして、「司法による行政のチェック機能の強化」ということで、「行政に対する司法のチェック機能については、これを充実・強化し、国民の権利・自由をより実効的に保障する観点から、行政訴訟制度を見直す必要がある。」といたしまして、更に具体的には「行政事件訴訟法の見直しを含めた行政に対する司法審査の在り方に関して、法の支配の基本理念の下に、司法及び行政の役割を見据えた総合的、多角的な検討を行う必要がある。政府において、本格的な検討を早急に開始すべきである。」というふうにされております。
 これを受けまして、本行政訴訟検討会で議論を続けてまいりましたけれども、資料6−1にありますように、本検討会では昨年2月の初会合以降、9月17日の検討会まで、現在まで23回開催されております。
 本年7月の検討会における論点整理の資料として、これも資料6−2、資料6−3に出ているところでございますけれども、主な検討事項をまとめました。
 主な検討事項は、御覧になっていただければと思いますけれども、この検討会で検討されている主な考え方と、これらについての論点をまとめております。
 検討会の意見が現時点でおおむね一致しているというものに限らず、今後、検討すべき主な事項についての考え方も含まれておりまして、その意味では、ニュアンスの異なったものが1つにまとめられているということでございます。
 主な検討事項では、基本的な見直しの考え方として、行政訴訟制度を見直して、国家賠償や行政不服審査の制度と相まって、国や公共団体による権利利益の侵害を受けた者の救済を実効的に保障することができる制度としております。
 具体的なものとしては、そこにヘディング的に出ているものがございますけれども、行政訴訟を利用しやすくするための見直しといたしまして、行政庁を被告としている行政訴訟、これは現行法でございますが、これを端的に国や地方公共団体を被告とすればよいという被告適格者の見直し。こんなことをわざわざ申しましたのは、被告を間違えたために裁判所で却下される例があって、却下されて結果的に出訴期間を徒過しているというような、そういったかなり硬直的な運用がされてきたという面も踏まえまして、端的に国や地方公共団体を被告とすればよいというようなこと。
 訴える側の住所地に近い裁判所にも管轄を認める行政訴訟の管轄裁判所の拡大。行政庁の所在地中心というものをもう少し改めたらどうかということであります。
 出訴期間等の教示、つまり、この処分を受けた場合には何か月後あるいは何日までに出訴しないと争えなくなりますということをお知らせすること。更に審理を充実・迅速化させるための方策の整備として、訴訟の早期の段階で資料の提出を求めて、処分の理由を明らかにするための方策を講ずること。これもなかなか行政側で資料を提出しないという実態も踏まえての話でございます。
 本案判決前における仮の救済の制度の整備、権利利益の救済を実効的に保障するための多様な救済として、行政に対する義務づけとか差し止めなどの訴えを可能とすることなど、権利利益の実効的救済を実現するための具体的な方策について、鋭意検討を進めております。
 佐藤座長から先ほどお話がありましたように、なかなか多岐にわたるものでございますので、ほかの検討会より多少遅れていることは、座長として認めざるを得ませんけれども、これは仕事の性格上仕方がないというふうに思っております。
 7月末には、行政官庁等からのヒアリング、6月から8月にかけては国民からの意見募集が行われました。そのときに資料として使わせていただきましたのが資料6−3で、これをホームページ等にも掲げるとともに、関係機関にも配布して意見を求めたわけでございます。
 その結果につきまして、9月5日の第22回行政訴訟検討会において事務局から報告がございました。現在と申しますか、昨日もあったことでございますけれども、行政官庁等からのヒアリング、国民からの意見募集の結果をも踏まえまして、主な検討事項に掲げられた論点について、更に議論を深めているところでございます。
 昨日の検討会で了承されたことですが、次回10月の検討会では、座長の私の方で事務局とも相談しながら、今後の検討のたたき台となるようなものを作って、来年の通常国会への法案提出に向けた詰めの検討を更に進めていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

【佐藤座長】 どうもありがとうございました。また、委細につきましては、質疑のところで御議論いただければと思います。
 最後になりましたけれども、労働検討会の検討状況につきまして、山川座長代理から、よろしくお願いします。

【山川労働検討会座長代理】 本日、労働検討会の菅野座長がよんどころない事情で欠席されておられますので、座長代理として出席させていただいております。
 労働検討会におきましては、司法制度改革審議会意見書の提言を踏まえまして、労働関係事件への総合的な対応強化につきまして、検討を行ってまいりました。
 具体的には、第1に、導入すべき労働調停の在り方。
 第2に、雇用・労使関係に関する専門的な知識経験を有する者の関与する裁判制度の導入の当否。
 第3に、労働関係事件固有の訴訟手続の整備の要否。
 第4に、労働委員会の救済命令に対する司法審査の在り方という4つの検討事項でございます。
 これまで、26回にわたって検討を重ねてまいりましたけれども、この8月にこれまでの議論を踏まえまして、労働関係事件への総合的な対応強化に向けた考え得る対応の方向等に関しまして、中間的なとりまとめを行ったところでございます。
 この中間的とりまとめは、お手元の資料7−2に全体が用意されてございます。その概要につきまして、簡単に御説明いたします。
 「第1 はじめに」ということで、労働検討会の検討事項や検討の経緯を簡単に記載しております。
 次に、第2にありますように、検討会の中間とりまとめにおきましては、雇用・労使関係に関する専門的な知識経験を有する者が関与する新たな紛争解決の制度として、仮称でございますけれども、労働審判制度というものを導入するという方向を打ち出しております。
 この制度は、裁判所における個別的な労働関係紛争の簡易迅速な紛争解決手続としまして、労働調停制度を基礎としつつ、裁判官と雇用・労使関係に関する専門的な知識経験を有する者とが事件を審理いたしまして、合議によって権利義務関係を踏まえた事件の内容に即した解決案を決するという制度でございます。
 ここでは、3回程度の期日で迅速に事件の処理を図ること等を想定しておりますけれども、具体的な制度の詳細につきましては、注がかなり付いておりますけれども、今後、労働検討会におきまして、更に検討していくことを予定しております。
 なお、労使関係者が関与する訴訟制度、いわゆる労働参審制の導入につきましては、労働検討会では相当の時間をかけて議論を行ってきたところですけれども、委員間で必ずしも意見の一致には至っておりませんで、中間とりまとめにおきましては、注の7に書きましたとおり、将来の重要な問題と考えるとしたところでございます。
 続いて、第3の労働関係事件固有の訴訟手続の整備の要否という点でございますけれども、ここにありますように、労働関係事件につきまして、より適性かつ迅速な裁判の実現を図るという観点から裁判官、弁護士等の実務関係者間において、例えば、計画審理、あるいは定型訴状の在り方等を始めとして、実務の運用に関わる事項について具体的な協議を行うことを通じて、訴訟実務の改善に努めることとしております。
 実際、労働検討会の検討の中から既に東京地方裁判所の労働部の裁判官と専門の弁護士の方々との間で、そこでの手続の運用の改善について協議をする労働訴訟協議会という場が設けられて、鋭意協議が進められていると伺っておりまして、そこでも大きな成果が上げられることを期待しております。
 最後に、第4の労働委員会の救済命令に対する司法審査の在り方という点でございますけれども、中間とりまとめにおきましては、労働委員会における不当労働行為事件の審査の際に提出を命じられたにもかかわらず提出されなかった証拠につきまして、救済命令等の取消訴訟において提出されるということに何らかの制限を課するという、いわゆる新証拠の提出制限について、引き続き検討するということを提言しております。
 なお、その他の救済命令の取消訴訟におけます審級省略の問題ですとか、いわゆる実質的証拠法則の導入という問題につきましては、委員の間で必ずしも意見の一致に至っておりませんので、中間とりまとめにおきましては、この第3の注3に書きましたとおり、更に検討されるべき重要な課題であるとしたところでございます。
 最後に、今後の検討予定ですけれども、労働検討会の中間とりまとめにつきましては、広く国民の意見募集を実施したところでございます。今後、募集した意見の内容等を踏まえつつ、更に具体的な制度設計について、今後更に検討を深めていくという予定でございます。
 以上です。

【佐藤座長】 どうもありがとうございました。ただいま4つの検討会の検討状況について御説明いただいたわけですけれども、ただいまの御説明につきまして、御質問あるいは御意見をちょうだいしたいと思います。
 必ずしも御説明の順番にとらわれなくて結構でございます。どの点からでもよろしゅうございますから、どうぞ御遠慮なく。
 どうぞ、笹森顧問。

【笹森顧問】 2つの検討会についてお聞きしたいと思います。
 1つは、行政訴訟です。これはこれまでほとんど使えない代物だというような受け止め方をされていたと思うんですが、そういう意味では、今回の改革に寄せられる期待は大変大きいと思うんです。
 ところが、中身からいうと、原告適格など訴訟要件の部分も含めた、この行政訴訟の重要な部分について、まだ合意ができていないところもあるように思います。
 したがって、この合意について大変だとは思いますけれども、事務局がかなり力を入れてやってもらって進めていただかないと、間に合わないのではないか。中途半端に終わらせないように改革の趣旨を生かした最終的なところに結び付くように努力をお願いをしたいと思います。
 2つ目は、労働検討会の内容なんですが、労働側の立場からすると、それに固執するわけでもないし、注文を付けるという意味で言うのではないのですが、もともと私どもは労働参審制をお願いをしてきたという経過があります。
 ところが、今、報告されましたように、中間とりまとめでは訴訟の今後の状況、あるいは労働審判制度の実績等を踏まえて、将来の重要な問題と考えられるというふうに、今、説明がありました。
 私が危惧をしておりますのは、労働参審制の論議がとんざをしてしまうのではないかということなんです。審議会の意見書では労働事件に関係して調停制度の導入、あるいは労働参審制度の導入の当否について検討するということになっていたわけで、なぜ今この段階で労働参審制を導入をしないのか、その理由や根拠、このことをもうちょっと明らかにしておく必要があるのではないか。
 仮に時期尚早だとするならば、いつ、どのように、だれが、どんな形で検討を行うのかということについて示していただきたいと思います。労働審判制の問題、これも中身的には対応強化というところにつながるというふうには思っておりますけれども、詳細が詰め切れておりませんので、使えるものになるのかならないのか、これからの議論次第だと思います。労使の十分な意見を聞いていただいて、本当に使い勝手のいいというものになるような制度に検討をお願いしたいと思います。
 以上、2つです。

【佐藤座長】 どうもありがとうございました。それでは、最初に行政訴訟関係について、塩野先生お願いします。

【塩野座長】 御要望がございましたので、御要望に答えるべく、一生懸命やりたいと思っておりますし、先ほども申しましたように、昨日の検討会で10月の段階では、直ちに要綱案までには至りませんけれども、審議を一歩進めるためのたたき台を事務局と一緒に作り、これを検討会に提出するという段取りになっております。
 何かまとめていいもの作りたいというお気持ちは、検討会の委員全員の意見でもございますし、また事務局にもそれを一生懸命支えてもらっているということでございます。
 私の方からは以上です。

【佐藤座長】 先ほどの資料6−2ですが、具体的な見直しの考え方のところ、一枚紙で第2のところですけれども、1から9までありまして、1、2、3のところは検討会でおおむね意見が一致していると。
 そして下の方へ行くにつれて、なお相当な議論が必要な事項だという理解でよろしいわけですね。

【塩野座長】 その後も議論を進めておりますので、今、どこまでならば合意を得られるというふうには申し上げませんけれども、現在進行形で合意を得るべく、ずっと議論を進めているということでございます。
 ですから、4以下のところでも、この点は大体いいではないかというような小項目もありますし、そうでもないところもあるということになりまして、昨日、私が申し上げたところは、こういった今までの議論の熟度に応じて、少し整理をさせていただきたいというふうに申し上げているところでございます。

【佐藤座長】 何かあればまた後でお尋ねいただきたいと思います。労働検討会の方について、ただいまの御質問に関し、よろしくお願いします。

【山川座長代理】 御指摘のありました労働参審制につきましては、かなりの回数にわたって検討を重ねてきたところでありますけれども、なお委員間で見解の一致が見られていないという状況でありまして、中間とりまとめの資料の7−2の注7にありますが、先ほども御指摘がありましたように、将来の重要な問題と考えられるという位置づけとなっております。
 その労働審判制度につきましては、ある意味では専門的な知識経験を有する労使の方が関与するという制度設計になっておりますので、その実績も踏まえるという位置づけになっております。
 これから、更にいただきました御意見を踏まえまして検討していくことになると思いますけれども、時間的な関係では、労働審判制というものが恐らく優先されることになるのであろうと思いますけれども、労働参審制等についても、先ほど申しましたとおり、将来の重要な問題であるという位置づけになっております。

【佐藤座長】 よろしいでしょうか。

【笹森顧問】 そのとおりだとは思いますが、先ほど、2つ目のところで申し上げたように、いつ、どんな形で、どういうような検討の仕方をするのかというのを、できれば審判制度が先で、参審制度がそこから先の論議ということになりますが、そのやり方について明らかにしていただければと思います。

【佐藤座長】 お答えになるには難しいところがいろいろあるかもしれませんけれども、何か。

【山川座長代理】 直ちにここでお答えするのは、座長代理ということでもありますので、難しいのですけれども、そういう御意見が出ましたということは十分お伝えして、また具体的な進め方、その内容等につきましては、検討会の中で議論されていくということになるかと思います。

【佐藤座長】 では、小島顧問どうぞ。

【小島顧問】 特に関心があって心配しているところが行政訴訟関係なんですが、ちょっと行政訴訟検討会の応援をしたいと思います。いつも私は漠然とした言い方をして申し訳ありませんけれども、21世紀の日本の社会をどういう社会に仕立てていくかという視点で、法律を改革しているわけですが、その際、恐らく極めて重要なのが、法律の制度と司法の制度と行政の制度との関係だと思います。
 あるいは、行政を司法の面からどうチェックできるかということ。チェックされるということですから、行政に関わる人はみんな余り歓迎しないテーマだと思うんですね。
 しかし、よく民主主義の基本として、民主主義国家が三権分立をとっています。アメリカは司法が強くて、あるいはばらばらで三権分裂というのが実態かもしれませんが、日本は一権が突出しているんですね。それは行政です。行政と司法の在り方をどういうふうにちゃんとバランスを取るかということは、司法がひとり立ちできる司法になるかどうか、極めて重要な問題だと思うんです。
 皆さんもお好きな作家である司馬遼太郎が、昔、日本の政府についてこんなこと言っていました。日本の政府は、例えば、予算の規模とか役人の数とかいうことで考えると、必ずしも大きな政府ではないと。しかし、日本の政府は重たい政府だというんですね。
 重いというのは、要するに絶えず企業がビジネス活動をやるとき、個人が生活をしているとき、何かいつもお伺いを立てなくてはいけないとか、行政にチェックされている。行政の重たさがある。重たさがなぜ出てくるかというと、実際問題として司法が行政をチェックできないためです。
 チェックできない1つの理由は、行政主導の背景になっている、いわゆる裁量行政。司法がちゃんと判断できないところとか、司法が行政に判断を委ねてしまっているというところが余りに大き過ぎるんじゃないかという議論がです。
 今また自民党のトップをだれにするかで大騒ぎでヒートしていますが、その中の一人は、日本はこのままではハゲタカにやられてしまうというんですが、日本の今の問題はハゲタカが入ってこないことが問題ですね。
 要するに、日本のビジネスモデルや社会はもうからない仕組みだというのです。いったん入った資本もどんどん撤退しているわけです。
 なぜかと聞いてみますと、やはりこれはやってはいけないがあとはやっていいだろうと思って来たら、いろいろ行政のチェックがあって、やれないことがいっぱいあったためだというわけです。
 しかし、法律にはやってはいけないと絶対書いていない。それはいろいろありまして事情があってといった説明でらちが明かなくて撤退する。
 これまで日本と海外との経済的な摩擦というのは、民間企業がダンピングやるとか、そういう非常に民間部門の原因で摩擦が起こったことが多かったですが、最近、徐々に制度のハーモナイゼーションを議論する中で、日本の行政の裁量部分、あるいはそれは法律でちゃんと説明がつかないところ、そこが議論の対象になってきている。21世紀のこれからの行政の問題としては、行政が信頼されて尊敬される行政で、よりよき機能を果たし続ける行政であるためには、行政自身としてもそれなりに効率的な有効な機能を司法も加えて、立ち上げておいた方がいいんじゃないかという感じがします。
 これまで、この10年ぐらい見ても、あるいはある役所は薬害被害についてのいろんな問題があって、その資料を隠すとかあったりですね。あるいは、政策ミスをしても、要するに無謬性のイメージで、要するに先送りをするというような結果、大変なミスが結果的には大きくなっている。
 いろんな形でそのチェック・アンド・バランスを行政訴訟という視点でしっかり組み込んでいくことが、21世紀の日本の社会が日本自身にとっても世界とのバランスにおいても活力を持ち、行政自身もよき機能を果たし続け、国民に支持され信頼されるということになるんじゃないか。
 私も公正取引委員会の勉強会に入って感じたこともあります。公取の対象というのは私的独占なんですね。私的独占よりも最近問題になっているのは、公的な談合ですよ、官製談合。
 経済企画庁の分析でも、日本のGDP経済活動の6割はいろいろ規制にかかっている、つまり官が入っているわけです。ここで官というのは司法じゃなくて行政ですね。
 ですから、これはある意味では私的経済活動の対象、独禁法の対象から外れているわけですね。むしろ21世紀の日本のことを、社会をどう組み立てるかという視点で考えて、是非とも行政というものは信頼を持ち続け、しっかり機能を果たす、そのために何が必要なのかを考えて欲しい。何か法的なチェックがあることは恐らく行政に携わる人にとっては、非常に不愉快であったり、余り歓迎しないことであることはわかります。
 しかし、長い目で見て日本の社会に極めて重要であるという視点で、一つひとつの議論されていることを点検していただければと思います。
 二十何回にもわたる検討は、もう頭が下がる思いですので、是非ともそういう視点で議論して欲しい。ハゲタカが来るというのは、やはり日本で食べられる肉があるからですね。今、肉がなくなってしまっているんですよ、なぜなくなっているかというと、以上のようなことも一因です。やはり行政が重たい。悪いということではないですよ、だけど、ちゃんと説明が付く、透明性がある、法律で説明が付く、そういうような行政にするためには、行政自身に自らチェック・アンド・バランスの仕組みを、こういう制度の導入あるいは整備を通じて入れていくことが、日本にとって重要であるし、行政にとっても極めて、自分自身にとって重要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

【佐藤座長】 塩野先生、いかがでしょうか。

【塩野座長】 大変大きなお話でございますので、私の話も少し大きなことになってしまうかと思いますけれども。
 1つ、私が外国に留学したときの典型的な印象を申しますと、行政はいつも裁判に対応するように行政をしていると、あるいは文書の管理もいつ訴訟が出てくるかわからないということを前提にして、文書管理あるいは行政処分を打つわけですけれども、日本の場合には、まず行政処分をしても訴訟が提起されないだろうと。あるいは私の経験したところでは、今まで何十年間か役所に勤めたけれども、今度、不服審査が出たのが初めてで、一体どんなものか、これから勉強するというようなお話もあったような状況でございました。
 しかし、最近、随分改まってまいりましたが、それを一応前提といたしましても、いろんな日本の裁量行政についての御批判を私どもも随分伺っております。それに対応するのにはいろんな手法がございまして、この手法としては随時、私は制度整備されてきていると思います。
 行政手続法、情報公開法、それからそれに裏腹の関係での個人情報、行政機関等個人情報保護法、それから政策評価法ということで、かなりのメニューがそろってまいりました。
 しかし、それだけでは足りませんので、法に反するような、あるいはたがうようなことがあれば、それは司法のチェックをしなければならないということで、こういった日本の裁量行政を是正して、あるいは公正透明化を徹底して、国民あるいは外国の方々の信頼を確保するための手法というものが逐次整備されてきて、私もそれにずっと関与してまいったわけでございますが、今度がそれの一種の最後の仕上げだというふうに私個人では思っておりますし、あるいは検討会の皆様方もどこかで、今、申し上げたシステムの作成に関与しておられた方々ばかりでございますので、本当に最後の仕上げのつもりで取り組んでおられるというふうに思います。
 ですが、他方、そういったことを申し上げたのは、司法のチェックだけではだめなんで、情報公開法をもっとうまく使っていただくとか、国民も行政手続の当面の相手になったらば、果敢に戦っていただかないといけないわけですね。
 私、非常に感銘を受けましたのは、このことで韓国で日本の行政訴訟制度のことを説明に行きましたらば、どんなに制度つくったって日本の行政訴訟が少ないのは、もっと別のところにあるんじゃないですかと、訴訟制度の整備と別のところでしょうと言われまして、随分鋭いことを韓国の方はおっしゃる、あるいは見ておられるなという感じを受けました。
 しかし、私はそれにもかかわらず、訴訟制度の改革は日本にとって喫緊の課題であるということを強調はしておりました。そういうつもりで皆さんやっておられるというふうに思います。
 ただ、もう一つここで申し上げておきたいのは、そのためには司法の環境整備というのが非常に重要でございます。これからいろいろな形での訴訟が出てきたときに、司法と申しますのは法曹一般を含めてですが、行政訴訟に習熟された弁護士が、どこの町とは申しませんけれども、どこの地方にもおられるということが重要でございますし、それから行政訴訟に習熟した裁判官というものが所々方々に、あるいはどこかにきちんとおられませんと、それを受け止めてくれないということもございますので、これは私の守備範囲を多少超えるところでございますが、環境整備ということについても十分御配慮いただきたいと思います。
 以上でございます。

【佐藤座長】 どうぞ、小島顧問。

【小島顧問】 塩野先生、例えば、我々、メディアで、ときたま心配になるのは、税法ですね。脱税だというふうにリークがあったりすると、たちまちテレビでかなりのニュースになったり、新聞の社会面のトップになったりするわけです。
 だけど、多くの場合は節税であるのか、脱税であるのか、境界線でいろいろな問題があって、これは解釈の問題で、省がしっかり強いところは、その省の面々で解釈を争うということなんですが、現実には日本では税等も行政当局がすべて解釈し、そこで行われた解釈が、結果的にはほとんど、99%そのとおりにしかならないという実態だと思うんですね。その解釈を争うと、あるいはその発想すら、今の法曹界にないというのが実態のような感じがするんですけれども。

【塩野座長】 法曹外の方が問題で、ですから、例えば会社の方が問題なんで、それは幾ら制度をつくったって会社が闘う気がなければどうしようもないです。
 しかし、私が今考えているのは、闘う気のある人に対して、できるだけ闘いやすくしようと。武器対等の原則を訴訟の場合にも持ち込もうというつもりになんです。最初から闘うのは嫌だという、そういった企業とか、そういった方はこの制度にちょっとなじまないのではないかというふうに思います。
 しかし、それでも日本の方はなかなか訴訟におっくうな方もおられますので、やはりそこは一生懸命こちらの方も環境整備ということを考えますけれども、もともと闘わないという方は、これはちょっと無理で、そこを恐らく韓国の人は突いてきたと思うんですね、一番私が痛いところを突かれたと思います。

【佐藤座長】 会社の場合は、闘うということじゃなくて、闘われる、訴えられることばかり考えて、自ら闘うということを余り考えないようですね。それがどこから来ているのか、まさに文化の問題なのかもしれませんけれども。
 今の問題に関連してもよろしゅうございますし、他の論点に移っても結構でございますので、どうぞ。
 行政訴訟の検討会では、やはりそういう日本の文化の問題も視野に入れて、いろいろ議論なさって。

【塩野座長】 発言の背後には、それぞれの皆さんの文化論を背景に議論はしておられると思いますけれども、文化論をそのまま出したのでは、行政訴訟検討会にはならないということだと思います。

【佐藤座長】 その辺はなかなか難しいところだと思いますけれども。
 話は、また行政訴訟に戻ってもよろしゅうございますし、前後して結構ですけれども、私の方から、柏木先生にちょっとお伺いしたいんですが、現在、もう既に弁護士事務所の法人化も相当進んでいるし、外国の弁護士事務所との連携、一緒に仕事をするというのはかなり進んでいるというような話を聞きます。その辺の現状について、何か承知しておられるところがあれば教えていただきたいと思います。
 2ページのところですけれども、上の方ですが、専門認定制度ですね。弁護士の専門性を高めるため、その情報開示に関連して、専門認定制度などの仕組みが必要であると。この辺は審議会の審議のときも、問題になったんですけれども、何か具体的な仕組みについて御議論があったのであれば、その内容などについてお話いただきたいと思います。
 3番目ですけれども、この顧問会議でよく御意見が出たように思うのですが、日本の法令の英訳ですね。まさにこれは国際化に直結している話じゃないかと。ちょっと触れられておりますけれども、その辺について検討会で何か御議論があったとすれば、併せて御紹介いただければと思います。

【柏木座長】 法人化の問題につきましては国際化検討会の守備範囲から外れるのですけれども、私の理解しておりますところでは、法人化の枠組みはできたけれども、そんなに進んではないということを聞いております。いかがでございますか。事務局の方から何か補足はございますか。

【山崎事務局長】 余り多くないというふうに、私も聞いております。

【佐藤座長】 外国の弁護士事務所との連携ですが、いろんな連携の仕方あるんでしょうけれども。

【山崎事務局長】 外国法事務弁護士が、日本で今、大体200人ぐらいいると思いますけれども、そういうところで、いろいろな事業形態をとって協働していると聞いております。今、ありますのは特定共同事業というものがあるわけですけれども、それ以外にも事実上、協働してやっているというタイプも随分あるんだと思いますが、そういう意味ではかなり国際化は進んですると思います。
 しかし、まだまだ世界の全体のところから見れば、後れているという状況だろうと思います。

【柏木座長】 外国法事務弁護士が日本の弁護士事務所とパーマネントな形で事務所を設けられずに、特定な案件についてのみ、個別的に協働関係を形成できたという事情がありまして、それでは、今の非常に複雑な法律関係を企業の側が要求するような形では、処理できなかったのです。もっと緊密な形で弁護士と外国法事務弁護士が協力していただきたいというのが、国際化検討会の検討課題であったわけで、今度の法令改正によりまして、外国法事務弁護士と日本の弁護士との協働パートナーシップというものが可能になったわけです。
 例えば最近の問題で2つの会社が合併しますと、その影響が世界に及びます。世界に及びますと、いろんな独禁法が関連してきます。そういうときに日本の弁護士事務所ばかりではなくて、外国法事務弁護士事務所と緊密な連携をとりながら、グローバルな形で問題解決を図ることができるようになるということで、サービスは非常に向上するのではないかと期待をしております。
 専門認定制度ですけれども、これは余り深くは議論しておりません。そういう制度があった方が、情報公開としてユーザーの弁護士の選択がしやすくなるんではないかということを議論いたしましたけれども、では具体的にどういう試験制度をするのかとか、認定制度をするのかとか、そこまでは議論はしておりません。
 法令、判例の英訳の問題ですけれども、これも議論が出まして、やはり信頼できる英訳が基本法についていないということは、例えば法整備支援についても非常にネックになりますし、勿論、日本の法律ビジネスの国際化にとってもネックになりますし、検討会では信頼できる日本法典の英訳が必要であるという現状認識では意見が一致したのですけれども、では具体的にどうするかといいますと、この推進本部の権限という問題がありまして、どこかの省にこれをやれという具合に命令を出すという役割を持っていません。そこで日本法典の英訳の必要性を議論の整理メモで大きく声を大にして叫んで、それに応じて関連のある機関がボランティア的に英訳に乗り出してくれるというところを期待しているという状況でございます。

【佐藤座長】 英訳に取り組むとなると、こういう作業は具体的にはどこになるんですかね。

【山崎事務局長】 これは、それぞれの省庁が所管する法律は、それぞれの省庁で行うというのが現在の建前でございまして、公的な訳はあるかといったらございません。そういう現状でございまして、これを政府全体で集中的にやるかというシステムはありません。
 もう一つ、これを非常に難しくしているのは、外国法の概念と日本法の概念が違うということでありまして、それをどういうふうに訳したらいいのか、これが正しいのかというところ、そこが英訳が進まない原因のようでございます。柏木座長も、アメリカには債権と物権の区別がないが、日本にはある、それをどういうふうに説明するかというのが非常に難しいんだとおっしゃっておられましたけれども、そういう問題がかなりネックになっているんではないかと思います。
 この検討会でも、この間成立した仲裁法を検討していただいたわけですけれども、そのベースになるのがUNCITRALのモデル法で、11月のUNCITRALの会合でその内容を報告することになりますが、そのときに間に合わせようと思って、今、英訳作業をやっております。ただ、英訳が大変に難しく喧々諤々の議論があって、結局間に合わないという状況で、もう少し時間がかかるということでございます。
 法律の英訳化は確かに大変重要な問題でございまして、ある程度進めていかないと、これから日本の国際的な取引のときに、根拠法として日本法を使おうということにはなっていかないだろうと思うのです。もう一つ、通達もそうでございます。これらが英訳されていないと、これからの日本はアジアとの取引を広げていくことが重要になりますが、なかなか日本の法律を使っていただけないということにもなりますので、このことは国益に大いに関係があることだということでございます。

【佐藤座長】 英訳の話は、この顧問会議でも小島顧問や何人かの顧問がおっしゃったような気がするんですね。昔から英訳は難しい難しいと言われてきたんですけれども、国際化を本当に名実ともにやろうというなら避けて通れない課題だろうと思うんですね。
 どうぞ、志村顧問。

【志村顧問】 今、伺っておりまして、私も、難しいことですけれども、そんなに進んでいないという現状に驚愕を覚えたんですけれども、本当にこれからのグローバル化の世界に、すべての分野において非常に重要なことだと思いますので、これは内閣全体といいますか、そうしますとやはり総理大臣の御命令ということになるのかもしれませんけれども、是非全般的に積極的に進めていただきたいことではないかと思います。

【佐藤座長】 本当、私もおっしゃるとおりだと思うんです。皆さんも、それは共有の認識だろうと思うんですけれども。この顧問会議で、どこかで何かをやって欲しいというのを具体的に提言することまでいけますかね。いや、いけますかねなんて私が言っては困るんですけれども。

【志村顧問】 外国で出版された本などは、出版されるかされないうちに日本で翻訳されるというようなことが他の分野ではできているわけですから、何とか力を結集すればできないことはないのではないかと思いますが。

【佐藤座長】 私は、日銀法の改正問題に関係したことがあります。旧日銀法は昭和17、18年の頃総動員体制のときにできた、古色蒼然たる法律だったんですけれども、それが改正されてすぐ英訳されました。そしてイギリスに送ったら、イギリスの人たちがものすごく感心したという話を聞きました。日本でこういう日銀法、中央銀行法ができたのかと。イギリスがそれを参考にしたとか、そういう話さえ聞きました。こうした努力はやはりものすごく重要なことなんだろうと思うんですね。

【笹森顧問】 それでは、顧問会議で強制力とか決定権があるわけではないのですが、今のような意見で特に志村先生のお話はもっともだと思うんですね。
 確かに概念的に言ったり、難しさがあるということで、それでずっと手を付けないという方がよほど悪いんだから、ここでもって外国版というものを作れという提言を出したらどうですか。それは省庁ごとにやるというなら大臣がおられるので、もっと全部に網かけてね。

【佐藤座長】 大臣、何かございますでしょうか。

【森山法務大臣】 なかなか難しいですけれども、確かに必要という御意見はごもっともですね。私もそんなに何もやっていないというのは初めて知ったような気もしますし、前から難しいという話は聞いていますけれども、それにしてもやはりやり方がいろいろあるのではないでしょうか。正確無比で1つも間違いがないものでなければ出さないというのではなくて、何かこれはテンタティブ・トランスレーションだということを、もし言うなら言って、だけど大体こういうものだというのが8割か9割わかるようなもので、少なくとも間違いだけはないように、そのような意味の英語なら英語の翻訳を大急ぎで、いろいろな主な法律については作るということが重要なのではないんですかね。
 私はときどき英訳した法律を見たことがあるような気がするんですけれども、あれはみんなでたらめなのでしょうか。

【山崎事務局長】 あります、省庁で作ったものあるいは民間で作ったものはあるんですけれども、ではこれが公式な訳だというのようなものはないということでございます。

【森山法務大臣】 だから、公式と言わなければいいんじゃないですか。

【山崎事務局長】 実際上は、それを使っているわけですからね。

【大宅顧問】 それこそさっきの文化論と同じで、日本人は完璧主義だから、どこから突つかれても100点じゃなくてはいけない、相手にも、文化も全く違う人たちにもわからなければいけないと思うから難しくなってしまうんで、今、おっしゃった8割方OKならいいんじゃないと思えば、日本はものすごく元気になると私はいつも思っているんですよ。
 だから、細かいことは抜きにして、日本ではこの言葉をこういうふうに使っているというふうに説明ができればいいんで、日本人が英語ができないのも同じですね、完璧に言わなければいけないと思うからしゃべれなくなる。そうすると黙っていたらばかかと思われてしまうわけですから、何もないかと思われる、とりあえず何か言わなくてはいけないでしょう。それは本当に急いでやった方がいいと思いますよ。

【森山法務大臣】 例えば、日本国憲法なんて英文があるじゃないですか、あれはまた別の理由かもしれませんが、そういうふうに、英語のうまい人はたくさんいるんだから、その方たちが何人か集まって、大体こうじゃないかというのを作って、それを法律家の専門の人にも見てもらって、いろいろ相談すれば8割9割正しいものができるんじゃないかなと思うんですけれども。これが公式だって言わなければいいんですよ。

【笹森顧問】 それと、日本語で作るでしょう。すると英語に訳せない日本文はやめろと言われたんです。

【大宅顧問】 そうですね、英語にしようとしたときに論理が成り立っていないかどうかというのが、すごくよく分かるんです、

【小島顧問】 そういう具体的な努力を始めることを宣言して動き出せば、司法改革は非常に進んでいるようなイメージが生まれまして、いいんじゃないですか。

【森山法務大臣】 御提言いただくのはいいんじゃないですか。顧問の皆様方のお話で。

【佐藤座長】 では、具体的な文章は、ちょっと考えさせていただきたいと思いますが、この顧問会議として提言をするという方向で考えるということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 また私の方のお尋ねで恐縮ですけれども、伊藤先生の方なんですが、絵がありますね。所定の研修というところですが、上の方がピンクで、下の方が黄色。これは研修の内容が違うという趣旨でしょうか。それぞれの研修の内容は、大ざっぱなところ、具体的にどんなものが念頭に置かれているんでしょうか。

【伊藤座長】 研修の具体的な内容についてまでは、研修を実施される機関による検討を経た上でということになるかと思います。
 ただ、座長の前半のお話の、所定の研修の内容について、上のピンクの部分と下の黄色の部分。内容が質的に違うかというと、そういうことはないと思います。

【山崎事務局長】 この間、法律を御承認いただいたときに、所定の研修が新たに設けられまして、国会議員の方、あるいは企業法務の方にも、これを受けていただくということになりましたが、今度、新しく法制局の参事官等にも所定の研修を受けていただくということになります。あるいは大学の先生で司法試験に受かった方も受けていただくということで、研修としては同じものでございまして、新たにそういうものが付け加わりますよという意味でピンクになっております。

【佐藤座長】 わかりました。細かなことで申し訳ありません。どうぞほかの方、いかがでしょうか。

【笹森顧問】 この項以外でもいいですか。

【佐藤座長】 どうぞ。

【笹森顧問】 先ほど、2つ目の司法制度改革全般の状況についてのところで申し上げればよかったんだけど、予算の関係だけの質疑かなと思ったものだから、ちょっと抜けまして、戻させてもらいたいと。3つあります。
 1つは、今、ちょうど英訳の問題で顧問会議のかなりリーダーシップ性みたいなお話が出たのですが、この司法制度改革の各検討会の論議も全部承ると、後半戦に入ってそれらも最後の詰めになってきて、ここでもってかなり意見対立でデッドロックに乗り上げているというようなところもあるというような状況になってきていますね。
 まさか多数決で採るなんて決定の仕方はしないだろうと思うんだけれども、本当に方向性が検討会で対立して決められないというようなときに、この顧問会議がある部分方向性を示すとか、顧問会議の中で論議をするとか、座長、副座長に入っていただいてということになるんですが、そういうような取り扱いをしていくことがそろそろ必要なのかなと。
 特に重要案件の中で、対立が非常に厳しくなっているというところは、そんな感じがしています。
 もう既に入り始めているところもあるんですけれども、これが改革の方向に進んでいるかどうかというチェックをどこでかけるかというチェックの仕方について、そろそろ顧問会議の中でも検討していくことが必要じゃないかと。これは、まず全体的なものとして1つです。
 2つ目が、迅速化、充実化の問題について、この顧問会議でも相当論議をいたしましたが、特にこの中で、民事と刑事の両方で改革を進めようとしている中身が、もし出ていれば、その資料を出していただければいいんですが、不勉強でまだそのことを見ていませんので、わかりやすい形で審理のイメージといったものが示せるような、そういう内容をもし作っていないならば、顧問会議の方に提示をしていただけないだろうかと。これが2つ目です。
 3つ目は、裁判員制度の問題です。これは集中審議がされたと聞いていますが、かなりの意見対立があったようですけれども、方向性としては裁判官三名制という方がかなり意見的には多かったというふうに聞いています。
 このポイントは2つあると思うんですけれども、現実的に3人いるのかというと、これは特に右陪席の存在についてどうなのかということが1つあります。
 それから3名にした場合に、現状の中でも裁判官が不足だという中で、単独事件について対応し切れない、どのくらい増やせばいいのかという問題も出てくる。
 先ほどの予算の関係から言うと、そんな大幅な増員というのはとても見えないという状況もありますので、そうなってくると、もともとが国民の方の裁判参加に伴って、裁判官については数がいいのかどうかという見直しをしていく中で、方向性としては最初は裁判官1というようなことで出たと思うんですね。それが現状の3人ということで固定をされるような方向になっていくと、少し改革の方向性と違うのではないか。
 これは与党の中の論議の中では、2名制というようなことが大分論議が詰まってきているというようなところもあるので、人数の問題について、私は1名がいいと思っているんですが、そこのところをきちんと出していただき、もし検討会でだめなら、顧問会議で何ができるかとか、そういうこと。
 もう一つは、国民参加の形になった場合に、かなり広い範囲の中のいろんな各種、各層、各界、それから多種多様な人たちの中から人選をしていくということになりますので、そうなると年齢だとかいろんな意味合いを込めまして、人数が余り少ないとその趣旨が通らないということになってくるのではないかと。
 外国の例でいけば、大体10人前後かなと、こんなふうな人数も今までも話としては出ていたように思いますので、顧問会議で少しこの問題については、今言ったようなことも含めて議論してみる、あるいは場合によっては、大体の方向性についても論議の中に入れて出していってもいいのではないか。座長のお計らいをいただきたいと思います。

【佐藤座長】 1番目と3番目は、問題としては構造的には一緒の問題だというように受け止めましたけれども、この裁判員制度については、集中審議が11日、12日に行われたんですね。そこでの議論状況などについては、また機会を改めて御報告いただいて、何が問題なのか、どこが意見が違っているのか、その辺をこの顧問会議に御報告いただいて、そして我々として、ここで意見が一本になるかどうかはわかりませんけれども、ここでやはり御議論をいただく必要があるかというように思っています。その点、何か事務局の方でお考えになっているようなことがありましたら、今後の持って行き方について。

【山崎事務局長】 この9月に2日間にわたりまして、集中審議が行われました。これはたたき台の第2巡目の議論ということで、この議論を終わらせた後、その議論を踏まえて、もう少し案をいろいろ絞りながら、また、たたき台を作っていくという状況でございまして、現在、例えば、笹森顧問からおっしゃられました裁判官の人数、あるいは裁判員の人数、いずれもいくつかの考えがありまして、議論が伯仲しているところでございます。
 こういうような作業を踏まえましてどのようにしていくかを決めていくことになりますが、これにはもうしばらく時間がかかりまして、まだ今の段階でどちらという状況ではございません。もう少し事務局の検討会の方で議論を煮詰めさせていただきまして、その上で顧問会議の方にも、検討状況を御報告させていただきまして、また御意見をちょうだいするということを考えております。もう少し時間をいただきたいと思います。

【佐藤座長】 細かな専門技術的な事柄については、ここで立ち入って議論するという場ではないというように私自身は理解しております。けれども、今、笹森顧問がおっしゃった裁判員制度の具体的な骨格ですね、裁判官の数とか裁判員の数という、その骨格については、これはかなり裁判員制度の理念といいますか、それに直結する問題でもありますので、その辺の意見の違いがあれば、その違いはどういう理由でどうなのかということをここでシンプルな形で紹介いただいてここで御議論いただくというようなことが必要なプロセスだろうと私は思っております。
 行政訴訟についても、先ほど、小島顧問の方からも御指摘がありましたけれども、司法改革、行政改革両方にまたがる非常に根本的な問題であり、同時にまた非常に技術的な事柄でもあります。
 ですから、その辺、少し整理して、またの機会に。何ていいますかね、対立と言ったらなんですけれども、意見の違いがあってどうするかという基本的な選択の問題がこういう形であるというようなことがありましたら、それをまた、ここで御説明いただいて、ここで御議論いただく。行政訴訟についても、そういうプロセスがあるかと私自身は思っておりますけれども。
 どうぞ。

【塩野座長】 行政訴訟検討会でいろいろ議論がありまして、なかなか伯仲しているというときに、検討会の状況はこういうことでございますということで、だれがここで発表するかは別としまして、顧問会議での卓抜な御意見を伺うということは十分あり得ると思います。
 しかし、私は行政訴訟検討会におきまして、日本のあるべき行政訴訟について十分考えて、とにかく議論をまとめてほしいという依頼を受けておるつもりでございますので、意見が対立した事項については顧問会議が引き受けるから、ここで決めるから、おまえたち適当に議論をしろと言われては、これは私は引き受けられません。それはお断りいたします。

【佐藤座長】 そういう趣旨で申し上げているんじゃなくて、やはり顧問会議は顧問会議としての役割がありますもんですから、その役割を申し上げているんです。検討会の位置づけ、これもかねていろいろ議論のあるところですけれども、推進本部で意見書を実現する上で、幅広く専門家の御意見を伺って、そこでよき意見を得て推進本部として実現したいということなわけですね。
 この顧問会議は、その過程でいろいろ問題があれば、その意見書を忠実に実現する上で必要なことについては、この顧問会議で議論して、その全体のプロセスの中に反映していただくという役割持っている。ここで上から決めてこうしてくださという、そういうつもりで申し上げているのではありません。

【塩野座長】 私もそういうふうに理解いたしました。私も顧問会議の御意見はこういう御意見があったということであれば、御議論いただいたものは、それは重要な資料になります。十分尊重して議論していきたいと思いますけれども、決まらないことはおれたちが決めるからというふうな、そう心得ろと言われては検討会は引き受けることができません。

【佐藤座長】 そういうことではなくて、意見の違いがあるときに、大事な問題ですから、これはこういう理由でこうなんですということを、まず顧問会議にその状況を御説明いただきたいということです。
 それについて、顧問会議でどう受け止めるか、これについて顧問会議でいろいろ御議論していただく。これは審議会そのものでもありません。顧問会議は顧問会議ですか。そのことは十分承知しておりますけれども、しかし、本部長である総理、副本部長である大臣が出席されている場ですから、そこでの議論というのはそれになりの意味を持っているものだというように私は思っております。そういうものとしてお受け止めいただきたいと。

【塩野座長】 もう一言言ってもいいですか、対立が少しでも残らないように、できれば議論のまとめ方を検討会でするというのが、私は座長の役目だと思っておりますので、そう簡単に意見対立しているのは逐次報告しろと言われても困るわけでございまして、できるだけ意見を闘わせて、それぞれの委員が、自分は言いたいことは言ったと、そこまで詰めた形になった上での御報告ならば、あれでございますけれども、途中途中で意見の対立があるところに御報告をせよと言われても、なかなか困るところでございます。
 どうか口幅ったい言い方でございますけれども、それぞれの座長にお任せいただきたいと、しかし、節目にはきちんと御報告をいたします。

【佐藤座長】 そういうものとして、この顧問会議は運営されてきたというように思います。それぞれの検討会の座長として、できるだけ一つにまとめたいというようにお思いになるのは、これはまた当然のことであります。しかし、その過程でさっきから申し上げているように、やはりこういう基本的な考え方の違いがありますというようなことは、顧問会議にもインフォームしていただくということが非常に大事だというように考えているわけです。そういうものとしてお受け止めいただければと思います。
 それから、笹森顧問が2番目にお触れになった、充実、迅速の問題なんですけれども、これもかねてここでいろいろ御意見が出されました。できるだけビジュアル化するというか、一般の国民にわかりやすいように何か簡略に示す必要があるんじゃないかという御指摘を何回か受けておりまして、私もその都度、何か考えたいと思いますということを申し上げてまいりました。
 今まで具体的にお示ししてこなかったのは、検討会で刑事、民事、あるいは行政事件もそうですが、それぞれについて検討中なものですから、まだしばらくと思い、しかるべき時期を見てというように考えてきましたけれども、そろそろそういう時期に差しかかっているかなという認識は持っております。
 いつということはちょっと難しいですけれども、しかし、来年の通常国会に法案を提出するというようなことにもなりますので、そう先のことではないというように認識しております。その辺は、多少アージェントな問題として考えさせていただきたいというように思っております。
 充実・迅速、第一審判決は2年以内にというときに、民事訴訟、刑事訴訟の審理の姿が具体的に従来とどういうように変わっていくのかという辺りの問題ですね。さっき既にお触れになりましたけれども、行政訴訟の場合も、迅速化の要請がどのように受け止められることになるのか。第一審の裁判で15年、20年、あるいは25年もかかる例があるんですね。刑事の場合も長くかかるのがないわけではありませんけれども、行政訴訟の中には結構長くかかるのが入っているんですね。伊方原発は20年ぐらいかかったんじゃないですかね。本人訴訟だったということも関係しているのかもしれませんけれども。
 さっきの塩野座長のお話の中にも、充実、迅速のことも念頭に置きながら、具体的な姿を考えているということがあったように思いますけれども、その辺に関連してさらに何かここでお話になるべきことがございましょうか。

【塩野座長】 行政訴訟固有の審理期間を議論したことはありません。民事が2年なら行政は3年なんて、そんな議論はしておりません。
 その意味では、国民の裁判を受ける権利を迅速かつ充実に努めるということについては行政も民事も同じだと思います。
 私どもが考えておりますのは、民事の場合ですと、双方全く対等で証拠をいつ出すとか、これは出さないとか、そういったやりとりが訴訟の場で行われるわけですけれども、行政訴訟の場合に、先ほど審理の充実、迅速化と申しましたのは、行政処分をする以上はそれなりの理由があるだろうと。その理由も自分の都合のいい証拠だけではなくて、都合の悪い証拠も調べた上でこういう処分をしたということであれば、それは都合のいい資料、都合の悪い資料もまとめて出すと。それが行政の在り方ではないかと。
 行政をやっている最中には情報公開とか行政手続法とかいうことで行政の説明責任、あるいは手の内情報もできるだけ国民に提供した上で決定をするという説明責任の原則が、最近非常に強く出ています。これは佐藤座長も一緒におられる情報公開部会で出たことでございますし、それに先行する行政手続法の過程においても行政側はきちんと、できるだけ資料、情報を提供した上で行政決定をすべしということが、行政の透明性の確保に非常に重要だということになってきたわけですが、それが訴訟になった途端に、当事者対等なんでお互い弁護士を立てて、訴訟をまさに闘うというのは、やはり一貫しないのではないかと存じております。
 訴訟の場になっても行政というのは、当該相手に対して、あるいは国民に対しての説明責任を負うのではないかと。そういった形から、訴訟の場での資料の提出の仕方にも民事とは違ったルールがあってしかるべきではないかと、そういった角度からの行政訴訟特有の審理の充実、あるいは迅速化という議論はしております。
 ただ、先ほど申しましたように、行政訴訟は大変だから3年ぐらいで勘弁してくださいというような議論はしていません。

【佐藤座長】 みんな入っているわけですね。2年以内の中に当然行政訴訟も入っているということの上でのことですけれども、10年、15年もかかるものがあったという中で、2年以内でやるとすれば、審理の姿、形が従来とどのように変わるのか。今おっしゃったように、行政側と原告側とが対等で闘えるような姿にする必要がある。そういうときにどういう仕組みがあり得るのかということをちょっと申し上げただけです。

【塩野座長】 それは冒頭に行政側としては、裁判所の文書提出命令でいくか、釈明権の行使の一環でやるか、それはいろいろ議論がありますけれども、できるだけ早い機会に行政側は手持ちの資料を出すと、それがつまり迅速化の第一歩だというふうに、私は理解しております。

【佐藤座長】 それはそのとおりでありましょう。
 どうぞ山崎局長。

【山崎事務局長】 ただいまの笹森顧問からの御質問でございますけれども、この間、裁判の迅速化法を御承認いただきました。これに伴いまして、民事なら民事、刑事なら刑事、行政なら行政、それぞれ必要な個別の手続をそれに伴って変えていくということで考えておりまして、今、行政は塩野座長からございましたような争点について議論をしております。
 民事につきましては、この間の通常国会で民事訴訟法の改正等が行われましたが、まだこれは施行されておりませんので、この実態を見ていかなければならないだろうと思います。
 それから刑事は、まさに来年の通常国会に裁判員制度を提案しますが、審理の迅速化をどうやって確保していくかという方策もその中に含めて案を出していきたいと思っていますので、そういうものが出そろって、しばらくその運用を行ってみて、具体的な審理の姿が見えてくるのかなということになります。
 裁判の迅速化法のときにございましたが、2年ごとに最高裁の方で調査・検証をしていただきまして、そういうものも踏まえて、またいろいろ必要な手当を加えていくと、こういう構造になっていますので、まだ今はその途中ということで、明確な姿は今はまだ出せないということで御理解いただきたいと思います。

【佐藤座長】 どうぞ、志村顧問。

【志村顧問】 行政訴訟に関して、そして先ほど小島委員が提起なさった日本の文化の問題ですね、なかなか訴訟を起こさない社会であると。これはアメリカ辺りに比べると非常に際立っていると思って、アメリカのように何かというとすぐ訴えるというのも、私は好ましいやり方ではないと思いますが、日本はまたその逆の極端で、これをどう変えていくかというときには、やはり行政訴訟に関しては訴えられる側の行政官が啓蒙するというのも何かおかしなものなのかもしれませんけれども、多少そういうことが必要ではないかと思います。
 啓蒙といいましても、常々情報開示に積極的であるとか、説明責任を十分に果たすとか、いろいろなやり方があると思いますけれども、やはり行政の方の積極的な努力がないと、なかなかこの根強い文化というものは変わらないのではないかという気がいたしますが。

【佐藤座長】 その辺の評価は立場によっていろいろありますんでしょうけれども、今おっしゃったように、日本の場合は、ある意味ではアメリカとは反対の極にあったわけですね。それをやはりある程度変えなければいけないというので司法改革が始まったんだろうと思うんです。
 ですから、それを変えるために、どこをやればすぐ全体が変わるというものではなくて、法曹人口の増員だとか、法科大学院だとか、いろんなものの仕組み、裁判員制度もそうですが、そういう全体を変えていく中で、変わるべきところは変わっていただかなければならないということだろうと思うんですね。
 ですから、行政が何だから、すべて司法へということでもないと思うんです、それは。

【塩野座長】 主な検討事項の6−3の資料の5ページを開いていただきますと、出訴期間の教示という制度をつくってはどうかということがございます。「訴えの提起の機会をより実質的に保障するため、行政庁は、処分をする際に、その相手方に対し、出訴期間の制限などを教示しなければならないものとする」というのが5ぺージの枠の中に入っておりますけれども、これはもともと不服申立をするときの行政不服審査法にはあった制度でございますが、今回、こういった制度を入れたらどうかということ、これは大体さっき佐藤座長が言われた星印の付いているところでして、しかし、これをまた日本のお役所になりますと、一体その教示の相手方はどうかとか、教示しなかったら一体どうなるのか、いろんな議論を重ねているところでございますけれども、基本的な方向性はこういうことでやっておりますので、これも志村顧問のお考えに、真正面から答えているわけではございませんけれども、少しでも自分の権利を主張したい方はどうぞ、こういう形で主張できますということは、示すための一つのメッセージというふうにお考えいただいて結構だと思いますが。

【佐藤座長】 教示しなかったら、どういう法的効果が出るだろうという、そういう難しい議論をやっているわけですね。

【塩野座長】 やらなければ、なかなか法案にならないというのがあるんですけれども、昨日もそれをやりました。

【佐藤座長】 どうぞ、志村顧問。

【志村顧問】 素人の一市民としましては、今、期間の制限を教示すべきか、すべきでないかというので、いろいろ御議論があったということを伺って、改めてちょっと驚いたんです。何か処分をするときには、それに不服があったら、いつまでにということを知らせるというのは当然のように私には思えたものですから、何かそういう意識のずれというのはかなり大きいような気がいたします。

【塩野座長】 それもまた議論をすると大変なんですけれども、それは一般的な法律に書いてあるわけなんです。一般的な行政事件訴訟法に、3か月あるいは1年と書いてあるんです。
 しかし、それはなかなか一般の方も御覧になる機会がないでしょうから、ということで、まず行政不服審査法段階で出発をいたしました。
 ただ、これは普遍的な制度であるかどうかというと、ちょっとわからないんですね。例えばドイツ人なんかになりますと、いつでもすぐ訴えてしまいますので、いちいち教えてくれなくたっていいやということになるかもしれません。フランスは教示という制度をきちんとつくっておりまして、教示がない限りは、この出訴期間は走らないといったルールができているということでございますので、ここは是非、実現したいというふうに、ここだけではございませんけれども、今の志村顧問の御質問については、ここのところはそういうふうにするというふうに考えているところです。

【佐藤座長】 いわゆる被告適格のところも、訴えたら、訴える相手を間違っているからだめだということになる。ややきつい言葉ですが、トリッキーな仕組みだと言わざるを得ないような感じもするんですけれども、これを変えるだけでも、かなりの意味、1つの大きな意味を持っているのかもしれませんね。身近な司法というには何と言ったらいいですかね。国民のための司法というより、専門家のための仕組みだったと言われてもやむを得ないところがあったのかもしれませんね。
 ほかにいかがでしょうか、どうぞ。

【小島顧問】 佐藤顧問にも判断、意見をお伺いしたいんですが、各検討会で集中的な大変な御努力をされて、それも改革のタイムリミットを念頭に置きながらの御努力だと思いますが、それぞれの検討会は、極めて重要なテーマ、課題をいっぱい抱えていらっしゃるわけですね。ひょっとして時間が足りなくて時間切れというような事態もあるのか、ないのか。
 しかし、我々が議論している、皆さんも議論をしている司法制度の改革というのは、次の新しい立派な社会をどうやってつくるかという宿題ですから、時間切れだといってそこでやめてしまうということは、そういう役割を放棄するということですから、時間切れは許されないんじゃないかと。
 しかし、時間が足りないというときどうするかと、具体的には法案つくって次の通常国会に間に合わせなくてはいけないという非常に厳しい中で、検討会の座長の皆様を中心に大変な御努力をされていることはわかりますし、そのために非常に会議も頻繁に開かれているのはわかるんですが、これからこの何十年に1回しか本格的にこういう改革はできないわけですから、そういう戦略的な時間の使い方ということと、万一時間が足りなくなった場合にどうするのかと。
 推進本部も来年の11月で期限が切れるんですか、もし、それで切れてしまったら、その改革を推進する仕組みがなくなってしまうわけですね。だから、そのリスク管理も考えて、ある時点まで来たら、来年12月以降も念頭において、この大きな歴史的な改革をどうやって考えるかと。あるいはどうやって継続するかということも議論しなくてはいけないという感じもするんですが、その辺はどう思われますか。

【佐藤座長】 これは私よりも副本部長がお述べになるべきことかもしれませんけれども、現段階ではやはり全力を挙げて3年間でやらなければならないことをやると。今の時点はそれだと思うんですが。どうぞ、山崎局長。

【山崎事務局長】 確かにおっしゃっておられること、客観的にはそういう問題があるのかもしれませんが、私の立場で言わせていただければ、まず、やるべきものは期限内に全部やるという気持ちで臨んでおり、その先のことを考えてしまうと力が抜けてしまいますので、私は、今、そのことは全く考えておりません。やるべきことは、とにかく来年すべてをやろうということです。
 仮に何か事態が変わってくるという状況が生じてくれば、それはそのときの状況で考えざるを得ないとは思いますけれども、今のところはその議論はまだ早いと思っておりますので、御了解をいただきたいと思います。

【小島顧問】 承知しました。

【佐藤座長】 ともかく全力挙げてやっていただくということだと思います。我々としても、それを全面的に応援するといことだろうと思うんです。

【山崎事務局長】 3年でやるんです。

【佐藤座長】 ほかはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 一応、3時まで予定しておりましたけれども、御議論が大体出そろったかと思います。
 最後に、法曹制度検討会の伊藤座長から御説明のあった、弁護士資格の特例に関する事項でございますけれども、立案の基本的な方向を示していただいて、この方針でよろしいということを我々としても了解するということで。この点よろしゅうございますね。
 では、どうもありがとうございました。
 それでは、時間はちょっとありますけれども、今日はこの辺で審議を終わりたいと思います。
 検討会の座長の皆様には、お忙しいところ御説明いただき、質疑にお答えていただきまして、どうも本当にありがとうございました。
 最後に、大臣の方からお言葉をちょうだいできればと思います。

【森山法務大臣】 大変、今日もお忙しいところ、お出かけいただいてありがとうございました。大変活発な御議論をちょうだいしまして、大変成果があったかと存じます。
 いろいろ事務局、あるいはその他の皆様から御説明をいただきまして、だんだんと議論が煮詰まってきまして、最後におっしゃいましたように、この顧問会議も次第に後半に入ってきたということになりますので、そのせいかもしれませんが、議論が非常に専門的なものにも及んでまいりまして、大変深く突っ込んだ議論ではないかと拝聴いたした次第でございます。
 その中で、英語の訳の問題など、座長のお取り計らいで適当な進言を出していただけるなら大変結構だと思って拝聴していたわけでございます。
 残り半分の中で、やるべきことは本当に山のようにたくさんございまして、これから時間、あるいは国会のプロセスなどを考えますと、非常に大変ではございますけれども、先生方にも是非どうぞそれぞれ御努力いただいて、是非、この約束ができるだけ時間内に果たせますように、御協力のほどよろしいお願いしたいと存じます。
 顧問の皆様にも引き続き、御指導のほど、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【佐藤座長】 どうもありがとうございました。事務局の方から何か。

【山崎事務局長】 ただいま、大臣からもお話ございましたようにやることは山のようにありますが、やるべきことはやります。頑張ります。しばらくは内容を詰めるということもありまして、次回の日程は、こちらの進行状況に合わせながらまた別途御相談させていただくということでお願いしたいと思います。
 どうもありがとうございました。

【佐藤座長】 では、どうもありがとうございました。

(以上)