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司法制度改革推進本部顧問会議(第18回)議事概要



1 日 時  平成16年11月12日(金) 17:30〜18:45

2 場 所  官邸

3 出席者

(顧問)
佐藤幸治座長,今井敬顧問,大宅映子顧問,奥島孝康顧問,佐々木毅顧問,志村尚子顧問

(推進本部)
小泉純一郎本部長(内閣総理大臣),細田博之副本部長(内閣官房長官),南野知恵子副本部長(法務大臣)

(推進本部事務局等)
山崎潮事務局長,青山善充座長(ADR検討会),塩野宏座長(行政訴訟検討会),柏木昇座長(国際化検討会),田中成明座長(法曹養成検討会) 他

4 議事次第
(1) 開会
(2) 内閣総理大臣挨拶
(3) 司法制度改革推進計画の進捗状況等について
(4) 自由討議 (5)閉会

5 配布資料[PDF形式]

小島顧問提出意見

笹森顧問提出意見

○ 事務局資料
 1 司法制度改革推進計画に基づく主な措置事項
 2 法令の外国語訳に関する取りまとめの概要
 3 隣接法律専門職種に対する裁判外紛争解決手続の代理権の付与
 4 行政訴訟検討会最終まとめ −検討の経過と結果−
 5 司法試験に関する意見の整理

最高裁判所提出資料
 ・司法制度改革推進計画要綱について(平成16年11月)
 ・司法の窓 裁判員制度特集号 [掲載省略]

○日本弁護士連合会提出資料
 ・日本弁護士連合会「司法制度改革推進計画」の進捗状況について
 ・日本弁護士連合会「司法制度改革推進計画」の取組の状況 (資料1)
 ・「日本司法支援センターに関する要望書」について (資料2)
 ・弁護士白書 2004年版 [掲載省略]

○法務省提出資料
 ・法教育研究会報告書の概要
 ・我が国における法教育の普及・発展を目指して
  −新たな時代の自由かつ公正な社会の担い手をはぐくむために−
 ・日本司法支援センター地方準備会について
 ・裁判員制度広報のスケジュール(イメージ)
 ・法の日週間中央行事について(実施報告)
 ・裁判員制度がはじまります! [掲載省略]

6 会議経過

 (1) 開会の後,山崎事務局長から,司法制度改革推進計画の進捗状況等について,事務局提出資料1に基づいて,説明がなされた。
 上記説明に関し,概要,以下のような意見があった。

  •  3年間でこれだけの大事業がよくできたと思う。この経験を後世に残すために,関係する文書を保存して利用できるようにしてもらいたい。今後は専門家が改革の実施作業を続けることになるが,これからも充実していかなければならない点が多くあり,この顧問会議のように民間から人が入って検討が行われるような仕組みが必要だと思う。    (事務局から,文書の保存に関しては,残すべきものはきちんと保存したい。改革実施の場面で外部の意見を反映してという趣旨の御指摘だと理解するが,全体の中できちんと外部の意見を聞けるシステムを考えていきたいとの説明があった。)        

  •  司法制度改革はこの国の形を作る上で,一連の改革の総仕上げの意味を持つ。この重要な改革が,国家戦略の1つとして大作業を進めたことは高く評価できる。今後,改革の内容を国民が理解しやすいように,広報等に努めてもらいたい。また,改革のフォロー・アップの体制も考えてもらいたい。        

  •  この国の形の構築という意味で重要な業績だと思う。この先,国民に理解してもらえるような形で取り組んでもらいたい。    

  •  大事業であり,事務局,検討会の皆様をはじめ,大変なことであったと思う。その尽力に,敬意を表する。今後は,どのように制度が運用され,定着していくかが重要である。動き出すのはこれからである。しっかりしたフォロー・アップの仕組みをお願いしたい。この作業は決して小さな作業ではないので,その体制の整備について御尽力を賜りたい。内閣で責任をもってやっていただきたい。    

  •  個人の中で法律が定着するのは難しい。司法を国民に身近なものにするのは大変なことである。目標どおりに運用されるよう,チェックする必要がある。        

  •  よくここまでこられたと思う。この10年の改革の中で,司法改革は自律的な社会を作るインフラである。お金のかかる面もあるが,自律的な社会が形成されることによって,政府の負担が軽くなって,長い目で見ると,政府の負担が減る面もある。司法は,改革前に比べてより早く身近なものになった。これも,本部長を初めとする関係各位がリーダーシップを発揮されたおかげであり,感謝したい。事務局もよく頑張った。検討会も,忙しい中,精力的に議論を重ねていただいた。顧問会議も,アピールを出すなどして貢献した。司法制度改革審議会の意見書が示した設計図に従い,これで骨格はできた。今後は内装をどうするかである。本部長を初め,関係各位には,引き続き,改革に関心を持っていただき,御指導をお願いしたい。

     (2) 小泉本部長から,概要,以下のとおり挨拶があった。

     司法制度改革に関しては,この3年間,裁判の迅速化,司法ネットの構築,新たな法曹養成制度の確立,裁判員制度の導入など,より身近で,速くて,頼りがいのある司法を実現するため,推進計画にのっとり様々な改革を着実に進めてきた。
     本部は本年11月末をもって終了するが,今後は,一連の司法制度改革の成果を国民が実感できるよう,改革の本旨に従った運用が行われることが重要であると考えている。政府としても,そのための努力を重ねていくが,今後とも司法制度改革の実現に御支援を頂くようお願いする。

     (3) 続いて,司法制度改革への取組に関して,最高裁判所から最高裁判所提出資料に基づいて,日本弁護士連合会から日本弁護士連合会提出資料に基づいて,法務省から法務省提出資料に基づいて,それぞれ説明がなされ,事務局から,法令の外国語訳,隣接法律専門職種に対する裁判外紛争解決手続の代理権の付与,行政訴訟検討会の最終まとめ,司法試験に関する意見の整理について,事務局提出資料2ないし5に基づいて説明がなされた。
     上記に関し,国際化検討会,ADR検討会,行政訴訟検討会,法曹養成検討会の検討状況について,各検討会委員から,概要,以下のような補足説明があった。

  •  国際化検討会や法令外国語訳ワーキンググループでは法令の外国語訳の必要性・重要性については,全く異論を見なかった。法令の外国語訳推進のため,政府として積極的に取り組むことを明確に意思決定すべきであるという意見が多くの委員から出された。        

  •  ADR検討会に与えられた任務は,ADRの拡充活性化に向けた制度的基盤の整備と,隣接法律専門職種の活用の2つがあった。制度基盤については,裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案が提出された。隣接法律専門職種の活用についても検討が進んでおり,ADRの促進に関する法律が制定される時期までには,きちんとした法律ができるのではないかと思っている。裁判外紛争解決手続が裁判と並ぶ魅力的なものとなるには運用が重要である。内閣と法務省とでしっかりフォロー・アップをしてもらいたい。        

  •  行政事件訴訟法の改正は40年ぶりの大事業だった。この改正のキーワードは,国民の権利利益の実効的な救済であり,使い勝手のよい制度を目指している。これをうまく使いこなす必要がある。行政訴訟検討会では,残された時間で,行政立法・行政計画の司法審査、裁量に関する司法審査及び団体訴訟の各論点を検討した。これらの論点を取り上げたのは,一般的にいうと,多様化する国民と行政との関係を踏まえて,三権分立の中で司法の在り方・役割について,一層掘り下げた検討が必要な重要な課題だと考えたことによる。事務局には,この資料が広く活用されるように努力してほしい。        

  •  法曹養成検討会においては,昨年の12月に意見の整理を行った。整理をする視点としては,①移行期間中の現行司法試験の合格者数については,法科大学院を新しい法曹養成制度の中核的な教育機関とするという基本設計との関係で検討するべきである,②新しい制度に切り替えるということが明確に現れるようにするべきである,③新たに法曹を目指す人々が法科大学院を経由せずに法曹を目指すことは新しい制度の設計では想定されていない,④法科大学院が増えてくると新司法試験の合格者数が増えていき,現行司法試験の合格者数が減るのが基本であるということを考えていた。意見の整理の「数百名程度」というのは,大体500名から600名程度をという理解の下で検討した。

     上記に関し,法務省から,概要,以下のような発言があった。

  •  新司法試験の合格者数については,司法試験委員会で概括的な議論がスタートしたところであり、司法試験委員会に,法科大学院が新しい法曹養成の中核となることや,法曹養成検討会における検討状況などを説明した。これら全体を議論の材料にして,司法試験委員会において議論がされるところである。法科大学院の成績評価,修了認定がどのように行われ,何人卒業者が出るかや,現行司法試験の受験者の今後の推移が現段階では明らかでなく,新旧試験の合格者数の割り振りは難しい問題であるが,司法試験委員会においては,今年度中に考え方を明らかにする方向で検討が進められている。    

     続いて,概要,以下のような意見交換が行われた。    

  •  法令の外国語訳の推進については,短期間によくやっていただいた。司法制度改革推進本部として,政府の優先事項と決めて,次の体制に送ってほしい。        

  •  法令の外国語訳は法整備支援の面でも影響がある。FTAも急速に進んでいる。具体的に計画を立てて進めてもらいたい。        

  •  法科大学院協会に入っている3分の2の大学が新旧司法試験の合格者数の割り振りに関心を持っている。今後の検討では,法科大学院協会の意見も反映するような仕組みを考えてほしい。        

  •  合格者数の割り振りに関しては,数字ばかりが先行しているようで,憂慮している。法曹養成の中核は法科大学院であるという基本を押さえた上で対応してもらいたい。        

  •  法科大学院を中核にするというのは,法科大学院の卒業者に下駄を履かせて司法試験に合格させるという話ではないだろう。それでは逆差別になる。そうすると,卒業者への合格者数の割当てが少ないのはおかしいという議論自体がおかしいと思う。        

  •  今後はプロセスとして法曹を養成するというシステムになったので,それを踏まえて,合格者数を考えるという話である。単なる数の問題ではない。        

  •  プロセスにしたから必ず質が確保されるとは限らない。法科大学院の卒業者の質はまだ分からない。それなのに,数字を決めるという話自体理解し難い。        

  •  合格者数をどちらにどう割り振るかという話ではなく,システムが変わったというメッセージをどのように送るかという話である。        

  •  この問題に関しては,前提についての共通の理解が必要だろう。その上で,誤解のないメッセージを出すよう,関係方面の努力をお願いしたい。この場で何か確認しておくことがあれば,確認してはどうか。    

    (4) 以上のような意見交換等の結果,次のような取りまとめがされた。

  •  法令外国語訳推進のための基盤整備について,これまでの検討結果を引き継ぎ,政府の施策として積極的に取り組むべきである。その具体的な取組として,政府内に政府を挙げた検討会議を設置して,国内外のユーザーのほか,有識者の意見を十分に尊重した上で,必要な基盤整備に関する検討を早急に行い、その結果を踏まえ,各省庁が必要な措置を講ずるべきである。    

  •  「制度を活かすもの,それは疑いもなく人である」とは,今般の司法制度改革の根幹をなす思想である。例えば5年後に実施予定の裁判員制度も,あるいは司法ネットの構築も,質量とも豊かな法曹なくしては成功は覚束ない。グローバル化の進展する国際社会において日本が名誉ある地位を占めていく上でも,質量とも豊かな法曹を早急に養成することが不可欠である。そのような法曹の養成のための様々な方途が考えられる中で,過去への痛切な反省と将来への希望を託して,辿り着いたのが法科大学院構想であった。
     法科大学院は,「司法試験,司法修習と連携した基幹的な高度専門教育機関」たることを目指し,「理論的教育と実務的教育を架橋」する中で,豊かな人間性・教養の涵養・向上と高度の専門的資質・能力の習得を可能とする場たらんとするものである(司法制度改革審議会意見書参照)。そして法科大学院は,国民代表機関たる国会においてその趣旨を是とし,法曹養成制度の中核として位置付けられ,内閣においても厳しい財政状況の中にあって法科大学院の成長発展を促すための様々な方策が講じられてきたものである。
     新司法試験の在り方については,このような法科大学院の理念とその創設に至る経緯を踏まえ,とりわけ公開の場で進められた司法制度改革審議会における審議と意見書及び司法制度改革推進本部法曹養成検討会における議論と意見の整理に十分に留意しつつ,関係機関において法科大学院を育成する方向での適正な結論が得られるよう切望する。

    (5)南野副本部長から,概要,以下のとおり挨拶があった。

     司法制度改革は,裁判の迅速化,司法ネットや裁判員制度の導入,法曹養成制度の改革をはじめとする様々な成果を上げている。内閣が進めてきた様々な改革の中でも,最も多くの成果を上げたものの一つであると考えている。このように司法制度改革が成功を収めることができたのも,ひとえに,顧問の皆様をはじめとして,御出席の皆様のお力添えによるものと思っている。
     司法制度改革推進本部は,今月末に設置期限が到来するが,今後はこれまでの司法制度改革の成果を国民が実感できるよう,改革の趣旨に沿った運用を図ることが大変重要である。政府としても,所要の体制を整備して,より身近で,速くて頼りがいのある司法を実現するための改革に引き続き取り組んでまいりたい。

     (6) 閉会

  • 以 上

    文責:司法制度改革推進本部事務局
    注)速報のため、事後修正の可能性あり