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司法制度改革推進本部顧問会議(第18回)議事録



日 時 : 平成16年11月12日(金) 17:33〜19:04

場 所 : 総理大臣官邸2階小ホール

出席者 :
(顧問)
佐藤幸治座長、今井敬顧問、大宅映子顧問、奥島孝康顧問、佐々木毅顧問、志村尚子顧問

(推進本部)
小泉純一郎本部長(内閣総理大臣)、細田博之副本部長(内閣官房長官)、南野知惠子副本部長(法務大臣)、杉浦正健本部長補佐(内閣官房副長官)、二橋正弘本部長補佐(内閣官房副長官)

(推進本部事務局等)
山崎潮事務局長、青山善充ADR検討会座長、柏木昇国際化検討会座長、塩野宏行政訴訟検討会座長、田中成明法曹養成検討会座長 他

議事次第 :
1 開会
2 内閣総理大臣挨拶
3 司法制度改革推進計画の進捗状況等について
4 自由討議
5 閉 会

【佐藤座長】 それでは、ただいまから「司法制度改革推進本部顧問会議」の第18回会合を開会いたします。
 皆様におかれましては、大変御多用のところ御出席賜りまして、ありがとうございます。
 今日は小島顧問と笹森顧問はやむを得ない所用のために御欠席でございます。両顧問からは、お手元にお配りしたとおり書面が届いております。
 また、本日はADR検討会の青山座長、国際化検討会の柏木座長、行政訴訟検討会の塩野座長、法曹養成検討会の田中座長に御出席いただいております。ありがとうございます。
 本部からは、本部長の小泉総理大臣、副本部長の細田官房長官及び南野法務大臣に御出席いただいております。ありがとうございます。
 それでは、早速ですけれども、議事次第に従いまして、司法制度改革の進捗状況について事務局から御説明お願いいたします。

【山崎事務局長】 それでは、資料1をごらんいただけますでしょうか。これに基づきまして、私の方から御説明を申し上げます。
 政府におきましては、司法制度改革について、司法制度改革推進計画にのっとり、さまざまな施策を講じてまいりました。この資料1はこれらの施策のうち、主なものを掲げたものでございます。
 講じた施策は大きく分けて3つでございまして、1つ目が「国民の期待に応える司法制度の構築」、これが1ページから始まっております。
 2番目が「司法制度を支える体制の充実強化」ということで、3ページから始まっております。
 3番目が「司法制度の国民的基盤の確立」、6ページ以下と、この3つに分かれるわけでございます。
 まず「国民の期待に応える司法制度の構築」でございます。
 国民の期待に応える司法制度の構築のうち、民事司法の改革といたしましては「民事裁判の充実・迅速化」、知的財産権関係事件や労働関係事件への総合的な対応強化、「裁判所へのアクセスの拡充」「司法の行政に対するチェック機能の強化」などの施策を実現してまいりました。
 これらの中でも、裁判の迅速化法の制定や、司法ネットの構想につきましては、この顧問会議で顧問の皆様のアピールと、総理大臣の御発言が契機となって実現したものでございまして、国民生活にも大きな影響を与える改革であったと考えております。
 また「刑事司法の改革」に関しましては「刑事裁判の充実・迅速化等」、「被疑者・被告人の公的弁護制度の整備」「公訴提起の在り方」の見直しなどが行われました。
 それから「国際化への対応」といたしましては、法令の外国語訳の基盤整備等についても、検討が行われました。
 3ページ以下の「司法制度を支える体制の充実強化」でございます。
 司法制度を支える体制の充実強化といたしましては、法曹人口の大幅な増加や裁判官、検察官、裁判所職員、検察庁職員等の増員が実施されております。
 また、法曹養成制度につきましても、法科大学院の設置を中心として、大幅な改革を行いました。
 法科大学院は既に本年4月からスタートしているわけでございますけれども、各校で充実した教育が行われていると聞いております。
 更に弁護士制度・検察官制度・裁判官制度のそれぞれにつきましても、さまざまな改革が行われております。
 次に6ページの「Ⅲ 司法制度の国民的基盤の確立」でございます。
 このための方策の1つである「国民の司法参加」につきましては、国民が裁判員として裁判官とともに刑事裁判に参加する裁判員制度に関する法律が制定されました。この裁判員制度は平成21年5月までに実施に移されるということになっております。
 また、国民的基盤の確立のための条件整備のために、わかりやすい司法の実現、司法教育の充実なども行われてきたところでございます。
 このように司法制度改革につきましては、推進計画に基づいて実施されてまいりましたけれども、これで実施されました施策は、いずれもより身近で速くて頼りがいのある司法を実現するために重要な意義を有する改革であったと考えています。顧問の皆様方を始め、関係の方々に厚く御礼を申し上げます。
 私からの説明は以上のとおりでございます。

【佐藤座長】 ありがとうございました。総理は、6時ごろまでおいでいただけるというとでございます。ただいまの事務局長からの説明を受けて、これは最後の顧問会議になりますので、この3年間にわたる過程での顧問の方々にいろいろな思いがおありかと思いますが、御感想、あるいは御所感などをちょうだいできればと思います。よろしくどうぞお願いいたします。

【奥島顧問】 2点御指摘したいと思います。まずは大変膨大な作業がよく3年内にできたものだと思います。桃栗三年と言いますが、3年経てば何かができるんだなという感を深くしているわけであります。それにしてもこれは大変な大事業であったと思いまして、大事業であっただけに、この経験をきちっと後世に残していくためには、文書等については、ごみまで残すくらいのつもりでしっかりと作業の文書を保存していくということを是非お考えになっていただきたい。それが利用できるように是非ともやっていただきたい。それが1点であります。
 もう一点は、今日が最後ということでございますけれども、これからは法務省を中心とした専門家が作業を続けられると思いますが、これまでの経緯を考えてみますと、まだまだ積み残しというよりも、これから充実していかなければいけない点がたくさん残っております。
 例えば法科大学院1つとってもそうでありますが、今後の検討の際においては、この顧問会議のように、民間の関係者が入ることは重要な会議の在り方ではないかと思いますので、法科大学院協会であるとか、弁護士会であるとか、あるいはマスコミ界からのそういう民間からの代表が、今後の検討の中に入っていける仕組みを御検討いただきたいということだけ希望として申し上げます。

【佐藤座長】 文書の保管の点につきましては、これは後世に伝えていくという点で非常に重要な御指摘かと思います。
 2番目の点につきましては、事務局長の方からお答えになるようなものはありますか。

【山崎事務局長】 1番目の点も、私ども留意して残すべきものは残したいと思っております。
 ただ、私どもの資料は全部オープンにやっており、インターネットにも載っておりますので、これはいつでも御利用いただけるということでございます。それ以外のものについても、貴重なものは全部残したいというふうに考えております。
 2番目でございますけれども、これからのいろいろなテーマ、あるいは実行に移す場面で外部の意見を聞くことができるようなシステムを設けるべきであるという御質問だろうと思いますけれども、これにつきましては、実行の方は法務省を中心にやっていただきまして、総合調整の方は内閣の方でやっていただくことを考えておりまして、いわば、車の両輪の形でやらしていただくということになろうかと思いますが、その全体の中できちっと外部の意見を聞くことができるようなシステムを考えていきたいと思っております。

【今井顧問】 この顧問会議の冒頭でも申し上げたんでございますけれども、司法制度改革というのは、佐藤先生の審議会の意見書にも書いてありますように、「この国のかたち」の再構築に関わる一連の改革の要と言いますか、総仕上げと言いますか、そういう位置づけだと思うんでございます。
 そういう意味で、今、奥島先生がおっしゃったように、この3年間で司法制度改革というものを国民に身近で、国民に信頼される司法制度の構築を国家の戦略の1つとして、大作業を進められたということに関しまして、私は高く評価いたしたいと思います。
 これで制度や法律ができても、国民の理解を得ないと意味がないわけでございますので、今後国民に対してわかりやすく広報・啓蒙活動を続けていただきたいと思います。
 この本部は今月で解散するわけでございますが、これから後は一体的にフォローアップしていくことが大切なんで、そういう体制を是非政府の方でお考えいただきたい。これだけでございます。
 あと各論がございますが、それは後ほど申し上げます。

【志村顧問】 ほかの顧問の方々もおっしゃいましたように、これは日本の社会の構築のために非常に重要な法曹、司法というところで、関わられた方々の大変な御努力によって、大変な業績を残してくだすったわけでございます。今後はそれが法的な制度として実現されるわけでございますけれども、私も今井顧問がおっしゃいましたように、国民の皆様にこれが十分に理解していただけるということが非常に重要であると思いますので、その点十分に留意して、この先の作業を進めていただきたいと思っております。
 以上でございます。

【佐藤座長】 ありがとうございます。

【佐々木顧問】 既に多くの顧問の方がおっしゃられましたように、本当にこれは大事業でありまして、これを成し遂げるに当たりまして、事務局の方々、検討会の皆様を始め、これだけの法案を国会にという中で、適宜処理をしていくということは恐らく大変なことであったろうということでございまして、その点につきまして、その御尽力に対しては本当に敬意を表したいと思うわけであります。
 それだけにこれが実際にどのように運用され、どのように定着していくかということについて、大きな責任が残されたというふうにも考えられるわけでございます。先ほどフォローアップの必要性について御指摘がございましたが、その点も当然のことでございまして、まだ、どちらかというとかなりの部分は紙の上ではでき上がったということでありますが、国民がそれに従って動き出すという肉体化作業はこれからでございます。そういう意味で、このフォローアップの仕組みというのも決してこれまでの仕事、作業と比べて実質的に小さなものではないというふうな覚悟で是非とも総理を始め、皆様方にはその体制の整備につきまして、御尽力を賜りたいと思っております。
 ここは大変難しいところでございまして、内閣が責任を持って体制をつくるということと、実施段階との間の移行というのは、いずれにしても避け難いことで、それはそのとおりだと思うんでありますが、これがうまくいきませんと、こちらの話はこちらの話、こちらの話はこちらの話ということになるのは、これまでの皆さん方の努力を結果として十分生かし切れないという可能性を含んでおりますので、この点につきまして、大臣を始め皆様方の格段の御留意をお願いしたいと思っております。
 どうも本当に御苦労様でございました。

【大宅顧問】 ほとんどの皆様のおっしゃったことと重なってしまうんですけれども、3年も経ったかとびっくりしているんです。最初のときに総理が「思い出の 事件を裁く 最高裁」とおっしゃいました。それで裁判の迅速化というのが実際動き出しました。あれは実感しています。
 それと直接つながっているわけじゃないんですけれども、宅間容疑者の死刑があったら、今度は早過ぎるという話が世の中から出てくるわけで、なかなか個人の中で法律が定着するというのは難しいなといろいろ思います。
 法律というのが日常の生活にどうやったら身近になるのかいうのは物すごく大変なことで、それをやらなければいけない。
 もう一つは、最初の思い入れがそのとおりにちゃんと動いているかどうか。運用していくにつれどんどんずれていったりするということがあるようです。それがちゃんと最初の思い入れどおりに機能するようにチェックするという形のことが何か要るのではないかという気がしています。
 以上です。

【佐藤座長】 いずれの御指摘も本当にそのとおりだと私も思います。私の方から最後と言ったら何なんですけれども、一言御礼をかねて申し上げさせていただきます。
 率直に申しまして、本当によくぞここまでたどり着けたという気持ちでございます。この10年の改革の中で、司法改革というのは、自律的な社会をつくる上での最もベーシックなインフラだと考えてまいりました。これを立ち上げるについては、最初は場合によってはお金のかかることかもしれませんけれども、自律的な社会がうまく機能していくことによって、それだけ政府の負担が軽くなって、長い目で見ると、むしろ経済的な面もあるんではないかと思っておりまして、ここまでたどり着けたということを本当にうれしく思う次第でございます。
 最初のころ、本部長である総理大臣が、「思い出の…」ということをおっしゃいましたし、今までの日本の司法というのは高ねの花である、それをそうではないものにしなければならない、ということをおっしゃいましたが、その辺の考え方も今回の改革の中に織り込まれて、全体として非常にすばらしいものになったのではないかと思っている次第でございます。
 ここに来るにつきましては、本部長、副本部長、あるいは官房副長官を始めとする官邸の方々の大変なリーダーシップの下で進められてきたからだと思い、感謝しますとともに、更にこの事務局が、先ほどいろいろな顧問がおっしゃいましたけれども、大変な作業を成し遂げられた。資料1をさっき事務局長は1、2分でさっと説明されましたけれども、一つひとつを見ても、かつてだったら1本でも数年かかったような法律がずらずら並んでいるわけであります。これを一括して、こういうシステムの中で推進したことによって、できた。こういうことは、日本の戦後の歴史でもめったにないことだったのではないかと思っております。
 勿論、検討会の座長の皆様、そのメンバーの方々、非常にお忙しい中を、20回、30回、あるいはもっと超えて会合を開いていただきまして、これを支えていただいたということについて、本当に心から感謝申し上げる次第でございます。
 それから、この顧問会議もペーパーを出したり、いろいろなアピールをしたり、それなりに一定の重要な役割を果たしたのではないかと考えておりまして、顧問の皆様に心から御礼を申し上げたいと存じます。
 司法制度改革審議会の意見書は、言わば設計図を示したということでありますけれども、ほぼこれで設計図どおり骨格が実際にでき上がったというように受け止めております。
 ただ、先ほども佐々木顧問始め、いろいろ御指摘がございますように、内装をどうするか、そこで働く人としてどれだけいい人を得て、どれだけいい仕事をしていただけるかというのは、まさにこれからの話でございまして、その意味で総理大臣を始めとする内閣の引き続きの強い御関心の下に関係者を叱咤激励して進めていただければと心から願っている次第でございます。
 小島顧問の書面、笹森顧問の書面でチェック機能、フォローアップ機能が非常に重要だという御指摘が書いてありますけれども、その辺を踏まえまして、総理大臣におかれましては、これからもよろしくお願い申し上げたいと存じます。
 何か更にこの点を付け加えたいということはございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、先ほど申し上げましたように、御無理を申しまして、総理大臣も6時ごろまでということでございますので、そろそろ御退室していただかなければならないわけであります。御退室になる前に、総理大臣から一言ごあいさつをいただければと思いますが、その前に報道関係者の入室がございますので、ちょっとお待ちいただきます。

(報道関係者入室)

【小泉内閣総理大臣】 皆さん、本当にありがとうございました。司法制度改革に関して、この3年間、裁判の迅速化、司法ネットの構築、新たな法曹養成制度の確立、裁判員制度の導入など、身近で早くて頼りがいのある司法を実現するため、推進計画にのっとり、さまざまな改革を着実に進めてまいりました。
 このような司法制度改革が成果を上げることができたのも、顧問の皆様方から、大所高所に立った御意見をいただいたことによるところが極めて大きいと思って、改めて御礼を申し上げます。
 本部は本年11月末をもって終了いたしますが、今後は一連の司法制度改革の成果を国民が実感できるよう、改革の本旨に従った運用が行われることが重要であると考えております。政府としても、そのための努力は重ねてまいりますが、顧問の皆様を始めといたしまして、御出席の皆様におかれましては、今後とも司法制度改革の実現に御支援をいただきますよう、心からお願い申し上げます。本当にありがとうございました。

(報道関係者退室)

【佐藤座長】 総理、どうもありがとうございました。

(小泉内閣総理大臣、細田官房長官退室)

【佐藤座長】 それでは、引き続き審議を続けてまいりたいと思いますが、最初に最高裁から司法制度改革への取り組みについて御説明をお願いいたします。

【最高裁判所】 最高裁判所審議官でございます。今日はお手元にお配りしております11月12日付けの「司法制度改革推進計画要綱について」と題する書面に沿いまして、最高裁の推進計画要綱の進捗状況をお話しいたします。
 時間の関係もございますので、昨年の4月の顧問会議でも御報告させていただいておりますので、本日はその後に行いました主な措置事項を中心に御報告させていただきます。
 まず、資料1ページから2ページにかけてでございます。まず「国民の期待に応える司法制度の構築」に関しまして、先ほどもお話がありましたが、裁判の迅速化に関する法律に関しましては、昨年の10月に「裁判の迅速化に係る検証に関する規則」というものを制定いたしまして、現在、この規則に基づいて開催しております検討会で、審理の長期化要因、データ分析の手法等についての意見交換をしながら、来年6月ごろに予定しております第1回目の検証結果の公表に向けた作業を進めているところでございます。
 次に「民事司法制度改革」に関しましては、知的財産関係事件への総合的な対応強化といたしまして、東京高裁、東京地裁、大阪地裁の体制を整備いたしました。
 また、先の通常国会で成立いたしました知的財産高等裁判所設置法、あるいは労働審判法等に関しましては、今年度中に必要な最高裁規則を整備する予定でございます。
 そのうち労働審判法に関しましては、今月の18日に規則制定のための民事規則制定諮問委員会の開催を予定しております。
 5ページ、司法制度を支える人的体制の充実強化に関しまして、まず司法修習制度につきましては、最高裁に設置されました司法修習委員会が本年7月に平成18年度から始まります新しい司法修習の基本方針等についての議論のとりまとめをいたしております。
 これを受けまして、最高裁と司法研修所におきまして、現在新しい司法修習の具体的内容について検討を進めているところでございます。
 6ページから7ページにかけまして、裁判官制度改革の点について御説明いたします。まず裁判官の「給源の多様化・多元化」の関係では、先の通常国会で成立いたしました判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律に関しまして、日弁連との間でその運用につきまして、基本方針を合意するとともに、最高裁におきましては、判事補の弁護士職務経験に関する規則を制定いたしました。
 現在、日弁連から受け入れ可能事務所のリストの提供を受けた上、来年4月の実施に向けた準備を進めているところでございます。
 また、これらの環境の整備を受けまして、本年6月23日の最高裁の裁判官会議におきまして、原則としてすべての判事補に裁判官の職務以外の多様な経験を積む機会を与える旨の基本方針を議決いたしました。
 7ページの「裁判官の任命手続の見直し」、あるいは「裁判官の人事制度の見直し」に関しましては、判事・判事補等に任命されるべき者の指名の適否等につきまして、最高裁に意見を述べる機関として設置されております下級裁判所裁判官指名諮問委員会は、その立ち上がり以降、現時点では活動開始後2年目に入っております。この間、非常に充実した審議をしていただいておるところでございます。
 また、裁判官の人事評価制度に関しましても、平成15年12月に評価手続の透明化・明確化を図り、外部の意見も配慮することなどを内容といたしました裁判官の人事評価に関する規則を制定いたしました。この規則は本年4月から実施されております。
 8ページ「司法制度の国民的基盤の確立」の関係では、裁判員制度につきまして、先の通常国会で裁判員の参加する刑事裁判に関する法律が成立しましたことに伴いまして、その具体的な運用につきまして、最高裁で裁判員制度を想定した模擬裁判を実施するなどいたしまして、手続上の問題を検討しているところでございます。これは同時に同じ国会で成立いたしました刑事裁判の充実、迅速化のための刑事訴訟法等の一部改正法もございますが、これに関しましても、最高裁規則を検討しているところでございますが、この規定の多くは裁判員裁判の審理と密接不可分の関係にございますので、裁判員裁判の手続上の問題の検討と並行して、規則の内容の検討を進めているところでございます。
 また、国民の裁判員制度の意義を理解していただき、積極的に参加していただくための広報活動につきましては、最高裁としても、法務省、検察庁、弁護士会とも密接な連携を取りつつ、積極的かつ効果的な広報活動を展開してまいるつもりでございます。
 本日は最高裁としても、独自に広報もやっておりまして、その1つといたしまして、最高裁の広報誌であります「司法の窓」の「裁判員制度特集号」を御参考までにお手元にお配りしてございます。
 また、裁判員制度広報の在り方に関しましては、多角的な視点から意見や助言をいただくことを目的といたしまして、最高裁事務総局に学識経験者により構成される裁判員制度広報に関する懇談会を設置し、これまで2回の会合を開催したところでございます。
 最後になりますが、最高裁といたしましても、これまで推進計画要綱に従いまして、真摯に改革に取り組んできたところでございますが、このたびの推進本部の設置期間期限経過後になりましても、最高裁といたしましては、引き続き改革の趣旨に沿った制度の運用を行うための取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 御報告は以上でございます。

【佐藤座長】 どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、日本弁護士連合会から司法制度改革への取り組みについて御説明をお願いします。

【日本弁護士連合会】 日弁連副会長の岩井でございます。本日は日弁連の司法制度改革推進計画の進捗状況につきまして、御報告させていただく機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。
 お手元に日弁連資料等目録をお配りさせていただいております。その中に資料1として、「日本弁護士連合会『司法制度改革推進計画』の取組の状況」というペーパーがございますけれども、やや詳しい内容になっております。そこで本日は2枚つづりの青色のレジュメを用意させていただきましたので、資料1を御参照いただきながら、レジュメに沿って御報告させていただきます。
 なお、昨年の4月14日に中間報告をさせていただいておりますので、それ以降の取り組みということで報告をさせていただきます。
 第1番目の「弁護士の社会的責任(公益性)の実践」に関連しまして、日弁連は弁護士倫理の全面的改定を目的としまして、今月10日の臨時総会におきまして、弁護士職務基本規定を会規をもって定めることにいたしました。このことにつきましては、資料1の1ページから2ページに記載がございます。
 この基本規定の施行は来年4月1日でございます。会規化によりまして、弁護士の職務遂行に際して守るべき行動指針を示し、規範としての位置づけを明確にするとともに、国民の皆様に対して、弁護士の職務についてより一層の説明責任を尽くしてまいる所存でございます。
 2番目の「弁護士の活動領域の拡大」についてでございますけれども、公職についての兼職禁止規定の削除や、営業の許可制から届出制への移行に伴いまして、営利業務従事弁護士が今年の10月27日現在で 948名と飛躍的に増加し、公職就任弁護士につきましても、任期付き公務員が8月26日現在で49名、民事調停官、家事調停官が10月25日現在で57名となっております。このことにつきましては、資料1の3ページに記載がございます。今後一層の増加が見込まれるところでございます。
 3番目の「弁護士へのアクセス拡充」についてでございますけれども、法律相談活動などの充実といった観点で、法律相談センターの全国的設置に取り組んでまいりました。弁護士会の法律相談センターが10月27日現在で 283か所設置されております。これは資料1の4ページに記載がございます。
 また、過疎地型公設事務所の設置につきましても、10月27日現在で全国32か所となりました。今年の11月から来年の3月まで、更に7か所の設置を予定しております。今後も日本司法支援センターによる司法過疎対策の取組との調整を図りながら鋭意努力してまいります。
 更に弁護士任官や公設事務所への派遣、法科大学院のリーガルクリニック、被疑者公的弁護への対応などを目指して、都市型公設事務所の設置にも取り組んでおります。10月27日現在、全国に8か所設置され、来年4月までに2か所の設置が予定されております。
 次に「弁護士報酬の透明化・合理化」の取組でございますけれども、弁護士法の改正に伴って、報酬等基準規定を廃止した上で、別途、審議会意見書の意見に沿った弁護士の報酬に関する規定を制定いたしました。
 また、弁護士報酬を巡る無用なトラブルの発生を未然に防止し、弁護士の報酬に関する規定の周知徹底を図るために、弁護士報酬ガイドブックを作成いたしました。
 「外国法事務弁護士等との提携・協働」についてでございます。資料1の8ページに記載してありますけれども、弁護士が国際化時代の法的需要に対応するため、外国法共同事業の新たな枠組みと、外国法事務弁護士による弁護士の雇用の自由化を図る観点から、今月10日の臨時総会におきまして、外弁法の改正を踏まえて、日弁連会則を一部改正するとともに、雇用に関する規定と共同事業に関する規定を新たに制定いたしました。
 「弁護士会運営の透明化」でございますけれども、資料1の9ページに記載がございます。弁護士会運営の透明化の観点から、昨年7月に日弁連市民会議を設置をいたしまして、今日まで4回開催しておりますが、市民会議のメンバーより貴重な御意見をいただいております。このたび日本司法支援センターの設立運営に関しまして、日弁連に対して取組の要望書をいただきましたので、資料2として御配布させていただいております。
 また、弁護士の業務や弁護士会の活動、財務状況などにつきまして、弁護士白書を定期的に発行しておりますが、最新版、厚い出版物でございますけれども、お手元に配布させていただきました。
 司法試験合格後の民間等での実務経験を経た方々や、特任検事経験者に対する法曹資格付与のための制度整備に関連しまして、これは資料1の14ページに記載がございます。
 日弁連では、本年9月から10月までの期間で第1回の指定研修を行いました。指定研修を受けられました方々は49名となっております。そのほかの弁護士制度改革や、弁護士任官、非常勤裁判官、判事補及び検事の弁護士職務経験制度、法科大学院、裁判員制度、日本司法支援センターなどの取組につきましても、法曹三者の一員として鋭意努力しているところでございます。
 時間の関係上、以上をもちまして、日弁連の取組状況を報告させていただきました。ありがとうございました。

【佐藤座長】 ありがとうございました。
 続きまして、法務省から司法制度改革への取組につきまして、最近の状況も含めて改めて御報告いただければと思います。

【法務省】 司法法制部長の寺田でございます。法務省の取組につきまして、御説明の機会を与えていただきましたので、御説明申し上げます。
 法務省は基本的には政府の一員でございますので、政府の司法制度改革推進計画にのっとって、推進本部の御検討に協力をし、また自らも推進ということで努力を重ねてきたわけでございます。
 ただ、せっかくの機会でございますので、ここでは特に法教育に関する検討状況、それから総合法律支援の準備状況、裁判員制度の施行に向けた準備状況、この3点につきまして、御報告をさせていただきます。
 まず法教育でございますが、御承知のとおり司法制度改革審議会の意見におきましても、国民の司法教育という観点からその充実が謳われておりました。そこで昨年の7月から法務省内において、法教育研究会を発足させまして、9月から今年の10月までの間、合計16回の会議を開催いたしまして、法教育の在り方を検討し、その内容を具体化した4つの教材を試案的に作成し、これらの成果を報告書としてとりまとめて今月の4日に法務省に提出をいただいたという状況でございます。
 その報告書が本日皆様のお手元にお配りいたしました「我が国における法教育の普及・発展を目指して−新たな時代の自由かつ公正な社会の担い手をはぐくむために−」と題する報告書でございます。報告書の概要とともにお手元にお配りしてございます。
 この研究会には法曹関係者のほか、学者の皆様、教育関係者、有識者、さまざまな分野の方々に委員として御参加いただきました。
 報告書の内容を若干御紹介いたしますと、報告書本体と教材の2つに大きく分かれてございます。本体の方は法教育の意義、重要性等が示されておりまして、法教育を法律専門家でない一般の人々が、法や司法制度、これらの基礎になっている価値を理解し、法的な物の考え方を身に付けるための教育というふうにとらえまして、そのような観点から目指すべき法教育の内容等についてとりまとめをしておりますが、それを更に具体化いたしたものが4つの教材になるわけでございまして、教材はルールづくり、私法と消費者保護、憲法の意義、司法の4つとなっています。
 具体的にどのようなものかは、教材の43ページ以下をごらんいただきたいと思いますが、ごみ収集場所やマンションのペットの飼育のルールづくりを通じまして、法やルールの基本となる考え方が身に付くような工夫がされているところでございます。
 今後はこのような報告書に基づきまして、文部科学省を始めとする関係機関、関係団体の御協力を得ながら、法教育の普及・発展を目指していくということになります。
 法務省といたしましても、今後もこの法教育についての実践に関する情報交換でございますとか、教材の研修・改訂を行うための協議会の開催を継続してまいりたいと考えております。
 次に、総合法律支援の実施に向けての準備状況について御説明をいたします。
 総合法律支援の中核となる日本司法支援センターは、平成18年の春ごろの設立を目指しておりまして、秋ごろに少なくとも全国の地方裁判所の本庁所在地50か所に事務所を設けて業務を開始するいう予定でございます。現在、法務省では司法支援センターの開設準備のためにプロジェクトチームであります総合法律支援準備室を置きまして、日弁連等関係機関と協議をいたしながら運用面での検討を進めておりますが、また、並行いたしまして、各都道府県の弁護士会、法律扶助協会、司法書士会等に制度の内容を説明し、協力依頼を行うという作業を行っているわけでございます。特に法曹三者、法律扶助協会、法務局、司法書士会を中心といたしまして、準備室の準備作業をサポートする地方準備会をそれぞれの県単位、地方裁判所単位でつくっていただけるように関係機関にお願いをいたしているところでございます。
 国の機関との関係では、司法制度改革推進本部の主催で関係省庁の連絡会議を開催いたしておりますが、この点につきましても、いろいろな御協力をお願いいたしているところでございます。
 大変な作業でございますけれども、今後とも関係機関、団体と協議しながら国民にとって身近な司法を実現するために努力をいたしてまいりたいと思います。
 最後に裁判員制度について申し上げますと、この国民の周知につきましては、既に最高裁、日弁連の方からも御報告がございましたけれども、政府においては法務省が中心となりまして、広報・啓発を進めていくというつもりでおります。この点につきまして、裁判員広報のスケジュールという1枚の資料を渡しておりますが、今後は概略このようなスケジュールでもって広報啓発を積極的に進めていくことになるわけでございます。とりわけ最高裁、日弁連との協力が重要でございますので、本年の8月に三者でそれぞれの広報担当幹部を構成員とする裁判員制度広報推進協議会というものを発足させました。
 既にこの協議会で検討いたしまして、制度をわかりやすく開設したパンフレットを作成するなど、広報活動を開始したところでございます。引き続きこの協議会におきまして、効果的な広報の進め方について検討しなから、更に充実した活動を実施していくことといたしております。
 最後に、このポスト本部は、先ほど顧問の先生方からも御指摘がありましたように、制度の運用ということが大変重要になるわけでございます。法務省はその中心となるべきところでございますので、省内にも特別の体制を置きまして、十分に取り組んでいくつもりでございます。
 以上でございます。

【佐藤座長】 どうもありがとうございました。それでは事務局の方からお願いします。

【山崎事務局長】 それでは、資料の2から資料5までについて、補足的に御説明申し上げます。
 まず法令外国語訳でございますけれども、資料2をごらんいただきたいと思います。
 法令の外国語訳につきましては、本年7月から国際化検討会の下にワーキンググループを設置をいたしまして、御検討いただきました。先月22日にとりまとめがされまして、今月5日には国際化検討会でも御了承をいただいております。その結果が資料2ということになるわけでございます。
 とりまとめでは、1枚目にございますように、まず法令の外国語訳推進の基盤整備の必要性を指摘しております。その上で基盤整備の基本的枠組みについて、正確でわかりやすく、全体として統一性のある翻訳が継続的に行われることを目指し、翻訳ルールの策定、アクセス体制の整備を行うということにしているわけでございます。
 2枚目にございますとおり、推進本部の設置期限後におきましては、内閣の下に有識者と各府省が横断的に参加する検討会議を設置し、1年を目途に法令外国語訳推進に関する基本的方針などの基礎的かつ重要な事項について、引き続き検討するとともに、翻訳ルールの作成作業を行うこととしております。
 ルールの作成はコンピュータシステムを活用いたしまして、一部法令の翻訳も行いながら進めていくということにしております。その上でまず英語訳を本格的に実施していくというふうに考えているところでございます。
 次に資料3、隣接法律専門職種に関するものでございます。これの2枚目の資料でございます。手続実施者としての活用につきましては、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案、これを今国会に提出して御審議をいただいているところでございます。
 更にADRの利用の促進を図っていくためには、紛争の当事者が事案の専門性の内容や、あるいは程度に応じて専門的知見を有する者の中から手続の代理人を選択することができるよう、制度整備を図っていくことも必要でございます。
 そこで次のページにございますけれども、ADR代理権を付与する社会的ニーズや、その職種に代理業務を適切に行うために必要な法律的な能力、あるいは倫理規律が存するかどうかという観点から代理権付与の是非、あるいは条件等を検討してまいったわけでございます。
 その検討結果をまとめましたのが次のページから続きます表でございます。
 左のAの欄は現行の主な業務を書いてあります。真ん中のBの欄は各職種団体の要望が書かれております。右のCの欄は、検討の結果を表しているわけでございます。詳細な点は時間もございませんので、割愛させていただきますけれども、結論といたしまして、司法書士、弁理士等、一定の職種について、ADR代理権を付与したり、その範囲を拡大することが適当ではないかと考えているわけでございます。
 今後、推進本部事務局におきまして、以上の検討結果に沿って、具体的な措置事項を整理をした上で、次期通常国会以降の各担当省庁における各士業法の法改正に向けての筋道をつけたいと考えております。私ども本部といたしましては、基本方針を定め、その基本方針に従って、来年の通常国会以降、それぞれの担当の省庁で法改正をやっていただくという趣旨でございます。
 次に資料4をごらんいただきたいと思います。行政事件訴訟の関係でございます。
 行政訴訟検討会では、これまで31回にわたって検討を行いまして、10月29日の最終会合において検討の成果について、資料4のとおりとりまとめがされました。これまでの検討結果といたしまして、先の通常国会では行政事件訴訟法の一部を改正する法律が成立したわけでございます。行政訴訟検討会では、この法律の成立を踏まえまして、行政訴訟制度に関して更に議論を深めておく必要があると考えられる論点につきまして、引き続き検討が行われました。
 検討が進められました論点は、行政立法、行政計画の司法審査。それから、裁量に関する司法審査。それと団体訴訟についてでございます。
 検討会におきましては、論点を指摘し、これらの各論点について資料を整理いたしまして、よりよい行政訴訟制度の在り方を考えるに当たって、今後の参考に資することを期待して最終のとりまとめがされたものでございます。
 その内容等につきましては、後ほど塩野座長から御報告があると思われます。
 次は資料5、司法試験関係ですが、この点につきましては、前回の顧問会議でも御議論がございました。その関係で法曹養成検討会での検討状況を御説明いたします。
 新旧司法試験の合格者数につきましては、本年1月に法務省に設置されました司法試験委員会で検討・決定がされる事項ではございますけれども、法曹養成検討会におきましては、司法試験委員会が設置される前の段階において、司法試験委員会での議論の参考としていただくという趣旨で、いわゆる移行期間中の現行司法試験の合格者数に関しまして、その基本的な考え方について検討するという前提の下で議論を行ったものでございます。
 検討会では3回にわたって議論が行われましたけれども、この資料に書かれておりますとおり、検討会としての意見が整理されまして、その後の検討を司法試験委員会に引き継いだものでございます。
 この資料5の第2にございますように、平成16年度以降の現行司法試験の合格者数について、現行司法試験については、現在の受験者に不当な不利益を与えないようにするとの観点から、引き続き実施されるものであるということ。それから、平成18年度以降の現行司法試験の合格者数については、年間数百名程度とし、毎年暫減させることとしても、現在の受験者に不当な不利益を与えることにはならないものと考えられる、こういうふうにまとめられているわけでございます。
 新旧司法試験の合格者数につきましては、法曹養成検討会での議論、あるいは意見の整理、それから前回の顧問会議での議論やとりまとめ、これを踏まえまして、現在司法試験委員会で検討されていると聞いております。
 最後にポスト本部の関係でございます。これは特段資料はございません。
 今月末をもちまして、本部の存続期間が満了いたすわけでございます。今後はこれまでの一連の改革の成果を国民が実感することができるように改革の本旨に沿った制度の実施を図ることが重要となってまいります。
 具体的には、裁判員制度の実施準備、それから総合法律支援体制、いわゆる司法ネットでございますけれども、これの整備。それから裁判外紛争解決手続の拡充・活性化。法令外国語訳の基盤整備等に関する事務等が重要な課題となっているわけでございます。
 そこで法務省を始めとする実施の担当省庁と総合調整を行う内閣、これの双方において必要な体制を整備して、司法を国民に身近なものとするための改革に引き続き取り組んでいくということが必要であると考えているところでございます。
 説明は以上のとおりでございます。

【佐藤座長】 どうもありがとうございました。ただいま事務局から取組の状況についての御報告をいただきましたけれども、座長に御出席いただいておりますので、ただいまの御報告に関連して、是非とも補足と言いますか、御説明をちょうだいできればと思います。最初に国際化検討会の柏木座長、何かございますか。

【柏木国際化検討会座長】 とりまとめの概要につきましては、事務局長から御説明いただいたとおりであります。
 法令の外国語訳の推進の問題につきましては、ワーキンググループにおきましても、それから国際化検討会におきましても、活発な御議論をいただきました。外国語訳推進の必要性、重要性については全く異論を見なかったところであります。特に国際化検討会では、このとりまとめを受けて、今後の検討会議での検討の進め方や、その後の各府省等による外国語訳推進の在り方などについて、さまざまな具体的な御意見をいただきました。
 それと同時に、政府として法令の外国語訳の推進という課題に積極的に取り組むことを早期、かつ明確に意思決定すべきであるとの御意見が多数の委員から表明されておりますので、付け加えて報告させていただきます。
 以上です。

【佐藤座長】 どうもありがとうございました。
 それではADR検討会の検討状況ついて、青山座長の方から何かございますか。

【青山ADR検討会座長】 事務局からの御説明に加えて私が申し上げることは2点ございます。
 1つは、ADR検討会に与えられた任務は2つございまして、1つは、ADRの拡充・活性化に向けた制度基盤の整備ということでございます。
 もう一つは、隣接法律専門職種のADRにおける活用を考えなさいという2点が私どもへ宿題として与えられたわけでございますが、その第1の方は、先ほども事務局から御説明がありましたように、裁判外紛争解決の促進に関する法律の骨格を定めまして、現在、国会で審議をいただいているということでございます。
 第2の点は、先ほど御説明がありましたように、これは隣接法律専門職種、7職種につきまして、どういう形でADRの代理についての権限を与えるのか、どういう条件を付すのかということで、これもおおむね検討が進みまして、これからADRの促進に関する法律が制定される時期までにはきちんとした法律ができるのではないかと思っております。
 ADR検討会は全部で38回、各検討会の中では一番回数を重ねまして、何とかまとめあげたということでございますが、これは報告でございます。
 ただ、意見書で掲げられたものにつきまして、私の感想を申しますと、意見書では国民にとって裁判と並ぶ魅力的な選択肢となるようにADRの拡充・活性化を考えろということにつきましては、法律を定めればそうなるというものではございませんので、これからさまざまな仕掛けを用いながら推進していかなければいけない。これにつきましては、先ほど車の両輪というお話がありました。内閣と法務省のそれぞれの仕掛けで、これをきちんと魂を入れていただきたいと思っております。これは希望でございます。
 以上でございます。

【佐藤座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、行政訴訟検討会の塩野座長からお願いいたします。

【塩野行政訴訟検討会座長】 先ほど事務局長の方から御報告がございましたけれども、今次の司法制度改革における立法課題につきましては、既にこの考え方をとりまとめまして、これを踏まえて、先の通常国会において、行政事件訴訟法約40年ぶりの改正ということになりました。御案内のとおりだと思います。
 そのキーワードは、国民の権利利益の実効的確保と言いますか、実効的救済ということでございますが、もう少し別の言い方をしますと、使い勝手のいい行政訴訟制度をつくりたいというのが委員共通の希望でございました。
 また、議論の中では使い勝手ばかりだと大変なので、使われる方の身にもなって考えてほしいというようなような御発言もありまして、両方のバランスを取りながら、しかし、使い勝手の方に重点を置いてつくったと考えているわけでございます。
 使い勝手と申しましても、実際にお使いになる原告の方、弁護士の方にうまく使いこなしていただくことが大変重要なのですけれども、それにも増して裁判所、あるいは法務省の訟務部門がその改正の意味を十分に体して対応していただかなければいけないことだと思いまして、この点は私からもお願いをする次第でございます。
 なお、残された時間が多少ございましたので、更に議論を深めておく必要があるという論点を幾つか拾い上げまして、事務局長からも御紹介がありましたように、政省令などの行政立法の司法審査、それから行政計画の司法審査、裁量に関する司法審査、団体訴訟についての4つの点を取り上げたわけでございます。
 これらのテーマを取り上げた理由等につきましては、資料に2ページから3ページにかけて記載されておりますので、後ほどごらんいただくといたしまして、一般的に申しますと、これは結局、多様化する国民と行政との関係を踏まえて、三権分立の中での司法の在り方、役割について一層掘り下げた検討が必要な重要な課題であるというふうに考えたわけでございます。
 ただ、時間の関係がございまして、これについて一定の方向性を出すという整理はできませんでした。しかし、それに代えまして、主要な学説の考え方とか、参考となる主な判例を整理いたしまして、具体的な論点の指摘を行ったわけでございます。
 こういった資料や行政事件訴訟法改正の前提となりました行政訴訟制度の見直しの考え方のとりまとめに至るまでのいろんな資料を含めまして、最後の検討会においてこの最終的な資料としてまとめたわけでございますけれども、この資料の3ページをごらんになっていただくとおわかりになると思いますけれども、これには実は資料がいっぱい付いているわけでございまして、そのうちの特に8〜11が今回残された課題としてとりまとめた検討資料でございます。
 私から言うのも何でございますが、これは事務局が非常に力を入れて集めていただいたものでございまして、昭和37年に成立した行政事件訴訟法につきましては、実はそういった資料がないので、我々あの当時何を議論したかというのを調べるのに大変苦労したわけでございますけれども、今回はこの8〜11という資料を付け加えまして、国民の皆様に、各方面の方々に今後の検討材料として提起したものでございます。
 そういうわけで、これがまたどこかの倉庫にしまわれては困りますので、事務局におきましては、この資料を皆様に利用していただくということに格段の努力をしていただきたいと思いますし、また、国民各層、各位の方々にこの資料を是非活用していただきたいと希望する次第でございます。
 以上でございます。

【佐藤座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、最後になりましたけれども、法曹養成検討会の検討状況について、田中座長の方からお願いします。

【田中法曹養成検討会座長】 法曹養成検討会における司法試験の合格者数に関する検討の状況と結果につきましては、先ほど事務局長から御説明いただいたとおりでございます。若干補足して説明させていただきます。
 検討会では昨年の12月に先ほどのような意見の整理を行ったわけですが、その前提としてどのような視点から整理をするかが議論されました。その中で重要な点を幾つか紹介させていただきます。
 1つは、移行期間中の現行司法試験の合格者については、法科大学院を新しい法曹養成制度の中核的な教育機関とするという基本的な設計との関係で、それを前提として検討すべきであるというのが点でございます。
 第2番目に、新しい制度に切り替えるということが現行試験と新しい試験の合格者数の配分などにおきましても、明確に現れるような司法試験の在り方とすべきであるという点でございます。
 第3番目に、新たに法曹を目指す人々が法科大学院に進まずに現行司法試験を受けるということは、新しい制度の設計では想定されておらず、既に約 1,500名が合格する機会を2回与えた上で、どう配分するかという前提で検討すべきであるという点です。
 4番目に、法科大学院が増えてくると、新しい司法試験の合格者数が増えていって、現行司法試験の合格者数は減っていくというのが共通の理解でございます。
 最後に司法試験委員会が発足する前に、12月の段階で意見を整理をいたしましたのは、ちょうどこのころから法科大学院の初年度の入学者選抜が始まっておりまして、その段階で、法科大学院に進むか、それとも現行司法試験を受けるか、迷っている者に対してきちんとしたメッセージを送るべきだということから意見を整理したものでございます。
 そして、意見の整理につきまして、平成18年度以降の現行司法試験の合格者数については、年間数百名程度ということにしておりますけれども、この段階で具体的な数字まで挙げることはできないということで、大体 500名から 600名程度という理解の下で数百名程度という記載になっております。
 なお、前回の顧問会議では法科大学院が新しい法曹養成制度の基幹的な高等教育機関であるという趣旨に照らして検討すべきであるというとりまとめがなされたと伺っておりますけれども、法曹養成制度検討会でも、今御説明させていただきましたとおり、基本的には同じような観点から議論を行なって、先ほどのような意見の整理になったものでございます。
 以上でございます。

【佐藤座長】 どうもありがとうございました。
 ただいまの田中座長からも御説明について、法務省から何か御発言ございますか。

【法務省】 若干御説明をさせていただきます。
 先ほど山崎事務局長から御説明があり、また今、田中座長からも御説明がありましたとおり、現在、この新しい司法試験の合格者をどうするかということにつきまして、司法試験委員会で概括的な議論をスタートさせたところでございます。
 私どもといたしましては、これまで司法制度改革の中で議論をされました新しい法曹養成制度の概要、その意義、取り分け、先ほども御指摘がありましたとおり、法科大学院が新しい法曹養成の中核になるということ、加えまして、ただいま座長から御説明がありました検討会における検討状況というものを司法試験委員会に御説明をし、その全体を議論の材料にして、更にこれから司法試験委員会で御議論されるという段階でございます。
 この司法試験委員会が決めるべき新司法試験と現行司法試験の並行期間における割り振りというのは大変難しい問題がございます。
 そもそもプロセスとしての法曹養成ということになりますと、当然のことながら、法科大学院においてどのような進級管理が行われ、どのような卒業認定が行われるかということがございますので、一体法科大学院から何人卒業者が出るだろうということがわからないわけでございますけれども、現段階ではなかなかそれが明らかになっていないわけでございます。
 また、現行司法試験の受験者というのは今後どうなるかということも必ずしも明らかではないわけでございますので、試験委員会としては大変難しい作業を求められているわけでございまして、本当はなかなか決め難いところではございますが、しかし、何も決めないということになりますと、関係者にとって全く手がかりがないところでこれからのことをいろいろ決めなければならないということになりますので、司法試験委員会としては、一応本年度中にはこれらについて考え方を明らかにする見通しである、こういうことで私ども理解をいたしているところでございます。

【佐藤座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明を踏まえて、顧問の方から御意見をちょうだいしたいと思いますが、どなたからでもどうぞ。

【今井顧問】 法令の外国語訳の問題ですけれども、本当に柏木座長始め、短期間に集中的にこういう大枠を決めていただいて、大変ありがたく思っております。
 一応この11月で本部は解散しますので、本部として外国語訳というのは、政府全体として非常に重要なと言いますか、優先的に取り組むべき事項だということを決めておいて、次の体制に送っていただけないかというものでございます。

【佐藤座長】 ただいまの点について、ほかの顧問の方いかがですか。

【奥島顧問】 今、中国とか東南アジアとか、法令の整備が行われているんですけれども、日本の法令の外国語訳が早くできておれば、これは随分と影響力が違ったと思うんです。実は日本の法令というものにのっとった形で法令づくりが行われるということは、日本の国益にとっても大変有益なことでありますので、そういうこともあって私は早急にこの作業を進めるべきだと思っておりましたけれども、それに加えて、最近では御存知のように、FTAが急速に進むという形勢が見られますので、そういう意味でもこれは今、今井先生がおっしゃいましたように、単にその方向で努力するということではなしに、まさに具体的に数年間の計画的な取組をしていただきたい。これは柏木座長が非常に力強いことをおっしゃいましたので、私はその方向に向かうのではないかと思って期待しております。

【佐藤座長】 ありがとうございます。この問題については、今日御欠席の小島顧問とか、あるいは大宅顧問もおっしゃったように思いますが、ほとんど全員の顧問が触れられたのではないかと思いますし、前の前の副本部長の森山法務大臣も是非やるべきだという御意向をこの顧問会議で明らかにされたことでもあります。
 先ほどの事務局あるいは柏木座長の御報告を踏まえて、この顧問会議としても、その点について明確に確認しておきたいというように思いますが、よろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

【佐藤座長】 考えていたのは、こういう表現であります。「法令外国語訳推進のための基盤整備について、これまでの検討結果を引き継ぎ、政府の施策として積極的に取り組む」。このことを推進本部として明快に打ち出していただきたいということを顧問会議として今日決めさせていただくということであります。
 先ほどの御説明にもありましたけれども、「その具体的な取組として、政府内に政府を挙げた検討会議を設置し、国内外のユーザーほか有識者の意見を十分に尊重した上で、必要な基盤整備に関する検討を早急に行い、その結果を踏まえ、各省庁が必要な措置を講ずる」。そういう内容で進めていただきたいということを、今日の顧問会議で我々として確認できればと思うんですけれども、こういうことでよろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

【佐藤座長】 ありがとうございます。それでは、この件は以上にして、ほかの点につきまして、いかがでしょうか。

【奥島顧問】 ここに佐藤座長の「3つの視点、5つの要望」という書類が配られておりますように、この後に緊急アピールなどで、各大学がいろいろこの問題について言われております。先ほど法務省の方で御説明になりましたので、今後、お考えだとは思いますが、法科大学院協会に入っている3分の2の大学から、新旧の司法試験合格者の問題については、非常に高い関心と、法科大学院がスタートしているのに、それを力づけるメッセージないしはアピールがここのところ薄れてきているのではないかという非常に強い危機感が表明されているわけであります。この点につきましては、今後の検討で是非とも法科大学院協会の意見も反映できるような仕組みをお考えいただきたいというのが私の要望であります。
 以上です。

【佐藤座長】 今、座長とおっしゃったんですが、お手元にあるペーパーは法科大学院協会の理事長代行ということになっていまして、そちらの立場のものでございます。
 趣旨は、今奥島顧問がおっしゃったようなことであります。

【青山ADR検討会座長】 私が発言していいかどうかわかりませんが、今の問題に関しまして、新聞等で漏れ承っているところによりますと、数の問題が先行しているような気がするので、非常に憂慮しております。
 先ほどの資料5の法曹養成検討会でまとめられた資料は、法科大学院を中核的な教育機関とするという精神にのっとって、しかし、その中で現行の司法試験の受験生に不当な不利益を与えないようにするという両方を考えろという基本的なところを押さえているにもかかわらず、今、司法試験委員会で御検討中の案が何か漏れているような気がする。そうすると、数の問題がますます先行してしまいまして、数というのは非常にシリアスな問題でありまして、裁判員のときにも数の問題がまず大問題になりましたけれども、基本的な点をきちんと押さえた上で、この意見の整理にのっとって、法曹養成の中核は法科大学院だということを押さえた上できちんと対応していただきたいと思っている次第でございます。

【大宅顧問】 中核にするためには、今まで受けていた人よりも、げたをはかせるという話ですか。違いますよね。

【青山ADR検討会座長】 げたをはかせるというのはどういう意味ですか。

【大宅顧問】 法科大学院の人の方をたくさん入れなければいけないという、いわゆる逆差別ですね。数が必要だから、法科大学院を出た人をなるべくたくさん早く司法試験を通らせようという話ではないですね。

【青山ADR検討会座長】 げたをはかせるということではございません。

【大宅顧問】 そうすると、数がこっちが少ないのはおかしいという議論もおかしいと私は思うんです。

【田中法曹養成検討会座長】 新しい司法試験と現行司法試験というのは、基本的には位置づけが違うわけでして、従来は司法試験を一つの点としてすべてを選抜するというシステムだったわけですけれども、新しい法曹養成制度では、法科大学院からはじまってプロセスとして法曹を養成していくシステムに変わったのであり、そのプロセスの一環として司法試験があるということです。司法試験に期待されている役割というのは、基本的には法曹に適した人を選ぶ点では同じだと思うんですが、位置づけが基本的に違っているということから、両者をそう簡単に比較できない。システムそのものが変わったのだということを十分踏まえた上で数を議論する必要がある。単に数がどうのこうのというだけの問題ではないというふうに理解しております。

【大宅顧問】 試験ではなくてプロセスにしたからといって、必ずしも質が確保されるとは限らないでしょう。

【田中法曹養成検討会座長】 おっしゃる趣旨がよくわからないです。

【大宅顧問】 法科大学院というものの質がまだわからないわけです。まだ1回も受験者が出ていないわけだから。そこで数の話が出てくること自体が変です。

【田中法曹養成検討会座長】 質というのはどういう質を考えておられるか。

【大宅顧問】 司法試験に受かるだけの教育がちゃんとなされるか、なされないかという話です。

【田中法曹養成検討会座長】 それは司法試験で判定されるということです。

【大宅顧問】 だから、そこで先に数を決めるという話がどうしても私は引っかかるんです。もしかしたらだれも受からないかもしれない。

【佐藤座長】 試験の内容、仕方も変わってくるわけですね。ですから、単純に両者を比較して、どっちの試験を通った人の方が質が高いとか低いとかという話ではない。その辺が、今の大宅顧問の御質問のように、そして青山座長がおっしゃったように、数が先行してくると何となくそういうように受け取られるものですから、今。田中座長がおっしゃったようなことを、もっと理解してもらうように、PRと言いますか、理念を踏まえた説明の仕方を徹底する必要があると思います。
 青山座長 何か付け加えることはありますか。

【青山ADR検討会座長】 そういうことです。

【佐藤座長】 田中座長、さっき既存の試験は数百で、 500から 600、検討会ではそうだったという紹介だったんですけれども、全体との関係、新司法試験を含めた全体との。

【田中法曹養成検討会座長】 確かに先ほどおっしゃったように、新しい司法試験について、法科大学院の教育はどういうふうに行われて、どういう学生が生み出されるのかというのは、試験をやってみないとわからないのと同じように、現行の司法試験を受けている人が2年、3年後どういうレベルになっているかということも試験をやってみないとわからないということでございます。しかし、一応数値目標は示されているわけでして、平成18年の段階では、少なくとも 1,500名以上にはなっているだろうという前提で、どういうふうな割り振りにすれば、システムが変わったということがはっきりメッセージとして送れるかという観点から、両方のバランスを考えながら検討したものでして、決して数をどちらにどう割り振るかというだけの話ではなくて、システムとしてのメッセージをどう送るかという視点から整理したものです。

【佐藤座長】 佐々木顧問どうぞ。

【佐々木顧問】 ただいま検討会の方での検討結果について御説明ございましたが、確かに数の問題、いずれ数のことは出てくるんでしょうけれども、その前提についての共通理解というものをここでもかっちり持った上で、報告書以来の特に法科大学院を法曹養成の中核的な制度として位置づけるということについては、誤解のないメッセージを出すように関係者が努力していただくということはどうしても必要だろうと思っております。
 この問題は、取り扱いに十分注意して慎重にやっていただくという必要があるという面がございまして、大変御苦労をおかけしているわけでございますけれども、話が妙な方向に逸脱していかないように、一体どなたが、どういう責任でもってやられるかということについて、できればどういうふうに我々は理解して司法試験委員会というところが全責任を負って、最終的にはお決めになるんでしょうけれども、今までの経過からすると、この問題自体、実は間口が随分大きいものですから、その委員会もある意味では従来と比べると随分大きな課題をお引き受けになったということであるとすれば、法務大臣を始め皆様方に、その点について今までと違うということについての御認識を十分いただいておくということが必要になってくるのではないか。要するに、問題自体が大きな問題としてあって、それをだんだん具体的に実施に移していくときにどういうふうにすのかという、まさにこれは典型的な問題であるわけですから、その辺については、今日確認しておくべき点があれば、確認させていただければ大変ありがたいと思っております。

【佐藤座長】 ありがとうございます。今の佐々木顧問のお話は私自身も誠にごもっともだと考えるところです。
 前回、あるいはその前からもあれですが、特に前回のこの顧問会議での御議論を伺っておって、感じたことがございます。前回は前回なりのとりまとめにしたんですけれども、もし、今日の顧問の皆様の御意見を承って、余り違っていなければという前提で、顧問会議としてのまとめのようなものを考えてきたんです。配付させていただいてよろしゅうございますか。
 過不足がいろいろあるのかもしれませんけれども、先ほどの御発言の御趣旨を大体踏まえているのではないかというふうに思います。
 先ほど青山座長も御指摘になった点なんですけれども、読ませていただきます。
 「『制度を活すもの、それは疑いもなく人である』とは、今般の司法制度改革の根幹をなす思想である。例えば5年後に実施予定の裁判員制度も、あるいは司法ネットの構築も、質量とも豊かな法曹なくしては成功は覚束ない。グローバル化の進展する国際社会において日本が名誉ある地位を占めていく上でも、質量とも豊かな法曹を早急に養成することが不可欠である。そのような法曹の養成のための様々な方途が考えられる中で、過去への痛切な反省と将来への希望を託して、辿り着いたのが法科大学院構想であった。
 法科大学院は、『司法試験、司法修習と連携した基幹的な高度専門教育機関』たることを目指し、『理論的教育と実務的教育を架橋』する中で、豊かな人間性・教養の涵養・向上と高度の専門的資質・能力の習得を可能とする場たらんとするものである(司法制度改革審議会意見書参照)。そして法科大学院は、国民代表機関たる国会においてその趣旨を是とし、法曹養成制度の中核として位置付けられ、内閣においても厳しい財政状況の中にあって法科大学院の成長発展を促すための様々な方策が講じられてきたものである。
 新司法試験の在り方については、このような法科大学院の理念とその創設に至る経緯を踏まえ、とりわけ公開の場で進められた司法制度改革審議会における審議と意見書及び司法制度改革推進本部法曹養成検討会における議論と意見の整理に十分に留意しつつ、関係機関において法科大学院を育成する方向での適正な結論が得られるよう切望する」というものであります。言い尽くしてないのかもしれませんけれども、こんなまとめ方で今日の最後の顧問会議として決めておくということはいかかでしょうか。

(「賛成」と声あり)

【佐藤座長】 よろしゅうございますか。どうもありがとうございます。
 では、こういうとりまとめを今日の顧問会議としてしたということにさせていただきたいと思います。
 あと特にこの点はということはございませんでしょうか。言い出したらいろいろあるのかもしれませんけれども、よろしゅうございましょうか。時間の関係もあります。どうもありがとうございます。
 それでは、時間の関係もありますので、議論は以上で終わりにしたいと存じます。閉会に当たりまして、南野法務大臣からごあいさつをちょうだいしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

【南野法務大臣】 お疲れ様でございました。約3年前の平成14年1月18日に第1回の顧問会議が開催されまして以来、この顧問会議は今日までに合計18回開催されました。顧問の皆様におかれましては、お忙しい中、会議に御出席賜り、また、大変貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。
 司法制度改革は裁判の迅速化、司法ネットや裁判員制度の導入、法曹養成制度の改革を始めとするさまざまな成果を上げております。
 内閣が進めてきましたさまざまな改革の中でも、最も多くの成果を上げたものの1つであると考えております。
 このように司法制度改革が成功を収めることができましたのも、ひとえに顧問の皆様を始めとする御出席の皆様方のお力添えによるものと思っております。
 司法制度改革推進本部は、今月末に設置期限が到来いたしますが、今後はこれまでの司法制度改革の成果を、国民が実感できるよう、改革の趣旨に沿った運用を図ることが大変重要になります。
 政府といたしましても、所要の体制を整備して、より身近で速くて頼りがいのある司法を実現するための改革に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 顧問の皆様を始めとして、御出席の皆様におかれましては、今後とも司法制度改革の実現に御支援いただきますようよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

【佐藤座長】 どうもありがとうございました。
 最後に事務局から。

【山崎事務局長】 佐藤顧問を始め、顧問の皆様方には本当に3年間、お忙しい中ありがとうございました。お陰様で成果を出すことができたわけですけれども、これも顧問の皆様方の御支援のたまものと感じております。
 今後も司法制度改革は続くわけでございますので、更にまた御支援を賜りたいと思います。
 既に御案内を申し上げていると思いますけれども、来週火曜日16日の18時からこの官邸におきまして、関係者との懇談会を開催するということでございますので、御予定のほど、よろしくお願いを申し上げます。
 どうもありがとうございました。

【佐藤座長】 どうもありがとうございました。
 最後になりますので、一言だけ。
 先ほど所感めいたことを申しましたので、るる申しませんが、この間に至るまで顧問の皆様には本当にお世話になり、心から厚く御礼申し上げます。
 また、事務局の方々に対して、想像を絶する仕事を見事に成し遂げられたということに対して心から敬意を表したいと思います。それから、今日は検討会の座長は4人でございますけれども、ほかの座長の皆様そしてメンバーの皆様を含めて、検討会の皆様に対して心から厚く御礼申し上げたいと思います。
 そして、ここにいらっしゃる方々、ここ何年間か、いろいろな縁があって、お世話になりましたけれども、一人ひとりの皆様に対して心から厚く御礼を申し上げて、終わりのあいさつにさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。(拍手)