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司法制度改革推進本部顧問会議(第2回)議事録



1 日 時
平成14年2月19日(火)18:00〜19:00

2 場 所
総理大臣官邸大客間

3 出席者
(顧問)
佐藤幸治座長、大宅映子顧問、奥島孝康顧問、小島明顧問、笹森清顧問、志村尚子顧問

(推進本部)
福田康夫副本部長(内閣官房長官)、森山眞弓副本部長(法務大臣)、上野公成本部長補佐(内閣官房副長官)、古川貞二郎本部長補佐(内閣官房副長官)

(推進本部事務局)
山崎潮事務局長 他

4 議事次第
(1) 開会
(2) 司法制度改革推進計画(骨子)(案)について
(3) 閉会

【佐藤座長】それでは、ただいまから「司法制度改革推進本部顧問会議」第2回会合を開会いたしたいと思います。
 顧問の皆様には、本日、大変お忙しいところ御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
 初めに前回御欠席でいらっしゃいました奥島顧問を御紹介したいと思います。早稲田大学総長の奥島孝康顧問でございます。

【奥島顧問】奥島でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤座長】なお、今井顧問と佐々木顧問は本日所用のため御欠席でございます。また、笹森顧問は若干遅れてお見えになると伺っております。
 本日の議題は「司法制度改革推進計画(骨子)(案)」についてでございますけれども、まず、最初に事務局から資料の説明をお願いいたします。

【事務局長】それでは、私の方から「司法制度改革推進計画(骨子)(案)」につきまして、御説明をさせていただきたいと思います。お手元の資料にあるかと思いますので、目を通しながらお聞きをいただきたいと思います。
 まず、司法制度改革推進計画策定のスケジュールでございます。本日その骨子案について、御議論をいただきまして、その結果を踏まえまして、3月7日に予定されております次回顧問会議で計画本体をお諮りした上、本部会合を経て、3月中には閣議決定をお願いしたいと考えております。
 お手元にお配りしてございます案をごらんいただきたいと思います。まず第1ページでございます。ローマ数字Iの「はじめに」のところに書いてございますけれども、この司法制度改革推進計画は、司法制度改革推進法に基づきまして、司法制度改革に関し、政府が講ずべき措置について、その内容、時期、法案の立案等を担当する府省などを明らかにするものでございます。
 このように政府が作成する司法制度改革推進計画は、政府が行うべき措置に限って記載するものでありまして、最高裁、日弁連が自らの責務の下に、その権限に基づいて行うべき取組については記載しておりません。これらの点については、最高裁、日弁連におきまして、それぞれの立場で政府と同様の計画を作成する予定と伺っておりますが、これらの計画と政府の計画が併せて公表されることによりまして、このたびの司法制度改革の全体像が示されることになるわけでございます。
 本日、最高裁、日弁連からも計画の(骨子)(案)が提出されておりますので、併せて御参照いただきたいと思います。
 また、本日お配りいたしました政府の(骨子)(案)では、法案提出以外の措置については、時期を省略しておりますし、また、法案の立案等を担当する府省等も記載してございませんけれども、推進計画本体には、これらも記載する予定でございますし、内容についても、司法制度改革審議会意見に沿って、より詳しく記載する予定でございます。
 それでは、計画の具体的内容につきまして、法案提出を予定している項目を中心に御説明をさせていただきたいと思います。
 1ページのローマ数字IIの「国民の期待に応える司法制度の構築」でございます。
 その中でまず「民事司法制度の改革」でございますが、民事関係を中心とした法案は、基本的に平成15年の通常国会に提出させていただく見込みでございます。1ページから2ページにかけまして、記載してございますように、

計画審理の義務付け等による民事訴訟の充実、迅速化。
知的財産権関係事件を始めとする専門的知見を要する事件への対応強化などの観点からの、民事訴訟法の改正法案。
人事訴訟事件の家庭裁判所への移管。
簡易裁判所の事物管轄の拡大。
民事執行制度の強化。
訴え提起の手数料の見直し。
仲裁法制の整備のための法案。
 これなどの提出をこの時期にしてまいりたいと考えております。
 次に2ページでございますが、「刑事司法制度の改革」でございます。これにつきましては「1刑事裁判の充実・迅速化」。「2被疑者・被告人の公的弁護制度の整備」などのほか、ちょっと飛びますけれども、6ページにローマ数字IVの「司法制度の国民的基盤の確立」の第1の「国民的基盤の確立(国民の司法参加)」の1の「裁判員制度」の導入も含めまして、刑事関係を中心とした法案につきましては、刑事訴訟手続の基本構造に関わる問題でございますし、また、相互に密接な関連性を有するということから、平成16年の通常国会に提出することを予定しております。
 次に、3ページのローマ数字IIIの「司法制度を支える体制の充実強化」でございます。
 この点につきましては、法曹人口の拡大に関する所要の措置について記載しておりますほか、法科大学院の導入に関連いたしましては、司法試験法の改正法案を本年中に提出する予定とさせていただいております。この法案が本部として提出する最初の法案になる見込みでございます。
 それから、4ページから5ページに記載されておりますけれども、「第3弁護士制度の改革」に関連しまして、司法書士、弁理士への訴訟代理権等の付与に関する司法書士法、弁理士法の改正法案を、今通常国会提出することを予定しております。弁理士法の改正法案につきましては、経済産業省において準備が進められてまいりましたが、本日国会へ提出のための閣議決定がなされたと伺っております。司法書士法につきましても、現在、法務省において準備中でございます。
 また、弁護士法等の必要な改正法案につきましても、平成15年通常国会に提出する予定でございます。このほか、検察官制度の改革、それから裁判官制度の改革につきましても、必要な対応をしてまいりたいと考えております。
 なお、弁護士制度の改革、裁判官制度の改革につきましては、最高裁、日弁連、自らの取組が重要であると考えられる一方、必要な場合には、政府としても所要の対応を行うべきであると考えられますことから、それぞれの検討状況を踏まえた検討を行い、必要な場合に所要の措置等を行う旨の記載をさせていただいているところでございます。
 以上が司法制度改革推進計画の(骨子)(案)の概要でございます。御検討のほど、よろしくお願いを申し上げます。
 最後に、本日の御議論の便宜のために、前回の顧問会議で配布させていただいた資料をファイルに編てつして席上に配布させていただいておりますので、御活用いただければと思います。
 以上でございます。

【佐藤座長】ありがとうございました。本日の議題に関連しまして、最高裁判所及び日本弁護士連合会からも資料が提出されております。こちらについても、最高裁、及び日弁連から何か御説明がございましたら、承りたいと思いますが、まず最高裁はいかがでしょうか。

【最高裁小池審議官】最高裁の審議官の小池でございます。
 裁判所の推進計画要綱案の骨子について御説明申し上げます。着席で御説明させていただきます。
 本日、席上に裁判所から「司法制度改革推進計画要綱(骨子案)」、タイトルとして「着実な改革推進のためのプログラム」というものを配布させていただきました。これは裁判所が今後進めていくべき司法制度改革推進計画案の骨格につきまして、具体的なイメージをお示しするためのものでございます。
 裁判所は改革を推進する責務を負う国の機関として、政府とともに、司法制度改革を総合的、かつ計画的に進めていくべき立場にございますが、裁判所が主体となって行うべき措置は、最高裁判所規則等の整備や、運用面での方策など多岐にわたるところでございます。
 裁判所といたしましては、自らが行うべき措置についての計画を定めるため、推進本部と連携を取りつつ、政府と同様に、言わば裁判所版の計画案の作成を進めているところでございます。
 本日お配りしました骨子案はその概要でございます。若干説明を申し上げます。
 まず1ページから3ページに掛けまして、「国民の期待に応える司法制度の構築」として、より迅速で適正な裁判、あるいはより利用しやすい裁判の実現を目指し「民事司法制度の改革」、それから「刑事司法制度の改革」についての項目を掲げてございます。
 基本的には、政府におかれまして、法案を提出されました法の施行に伴う最高裁判所規則の整備等の所要の措置が中心となりますが、例えば2ページの中ほどの「⑦裁判所へのアクセスの拡充」というところに、「利用相談窓口の充実のための所要の措置等」とございますが、こういったものについては、裁判所が運用面で実行していくというものでございます。
 それから、3ページから5ページに掛けましては、「司法制度を支える人的体制の充実強化」として、いわば司法の礎でございます人的基盤の充実強化を目指し、法曹人口の拡大、法曹養成制度の改革、そして、裁判官制度の改革等の項目を掲げてございます。裁判官制度の改革としましては、①以下にございますように、給源を多様化・多元化し、任命手続を見直す、あるいは人事制度を見直すという、よりよい裁判官制度を目指した項目を、自ら取り組んでいくべき事項を掲げたものでございます。
 5ページに「司法制度の国民的基盤の確立」として、幾つかの参加制度の導入、拡充に関する項目を掲げさせていただきました。
 今後、本体であります計画要綱案を更に検討した上、政府の推進計画の公表の時期に合わせまして、その内容を確定し、公表していく所存でございます。
 以上でございます。

【佐藤座長】どうもありがとうございました。
 続いて、日弁連の方はいかがでしょうか。

【日弁連山内副会長】日弁連副会長の山内でございます。本日は貴重な時間をお当ていただきまして、ありがとうございます。
 この場をお借りしまして、日弁連の取り組みとその決意を申し上げまして、その後、日弁連提出の推進計画の骨子につきまして、ごく簡単に説明をさせていただきます。座って失礼させていただきます。
 日弁連では、司法改革制度審議会が2年にわたって精力的な審議を行われて、最終意見のとりまとめが行われました。この意見は司法改革の基本理念を示した上で、制度的な基盤の整備、人的基盤の拡充、国民の司法参加の3本柱を立てられて、改革の方向性を明らかにされました。
 この審議会意見に示されました司法改革構想が現実のものになるかどうかは、まさに法曹三者を始めとする国民各層の意気込み次第であって、日弁連はこれに全力を尽くす所存でございます。
 日弁連は90年の第1次司法改革宣言以来、今日まで憲法と世界人権宣言の基本理念に従いまして、個人の尊厳と人権を確立するために、これまで官僚的で小さな司法を見直しまして、市民のための司法、すなわち市民が参加する大きな司法を確立することを目指しまして、司法改革運動を展開してまいりました。
 そして、日弁連は既に推進計画(骨子)(案)に示しております様々な分野で改革の内容を現実に始めております。
 まず第1に、法曹人口につきましては、2000年11月の臨時総会におきまして、国民が必要とする数と質を維持しながら確保するよう努めることを決議いたしまして、大幅増加に踏み切っております。
 そして、これを分母といたしまして、弁護士過疎地域を解消するために、全国的に法律相談センターであるとか、公設事務所の開設を進めておりまして、あと数か所で弁護士不在の地域はなくなる段階に来ております。
 第2に、ここにあります裁判官制度改革がございますが、これに伴う弁護士任官につきましても、昨年の4月から最高裁との間の協議を開始いたしまして、昨年の12月にとりまとめを行いまして、多様な任官形態の創設を合意いたしました。
 これに基づきまして、東京三会であるとか、あるいは全国の8ブロックの弁護士会連合会におきましては、市民を加えた弁護士任官適格選考機関の立ち上げを急いでおります。そして、判事補の他職経験であるとか、非常勤裁判官制につきまして、目下最高裁との間に引き続き協議を進めているところであります。
 第3に、ロースクールにつきましても、法科大学院の在るべき姿を目指しまして、カリキュラム案の策定とか、各地の大学との協議など、積極的に提言し、行動をしております。そから第4、被疑者弁護がございます。この被疑者弁護につきましても、92年から会員から特別会費を徴収いたしまして、弁護士会自らの負担におきまして、当番弁護士制度を創設いたしまして、既に全国的に制度が定着してきております。最近ではこの需要が急増いたしまして、財政的に大きな赤字となっております。日弁連では、来る2月28日に臨時総会を開きまして、この特別会費の増額を図る予定であります。
 そうして、この増額によりまして、被疑者公的弁護の立法がなされるまでの間、当番弁護士の制度を支えていく覚悟でございます。
 さらに、第5に、99年10月から広告の自由化とか、民事法律扶助法の施行による扶助の拡大、権利保護保険の導入をしております。
 昨年の4月からは、法律事務所の法人化も実施しております。
 さらに第6に、長期公開制度につきましても、その手続に国民が参加し、透明化を図るための制度改善を今月の28日の臨時総会に諮る予定でございます。
 このように、日弁連は審議会意見に示されました各改革課題につきまして、既に積極的に取り組んできており、今後更にこれを推進していく所存でございます。
 本日はお手元に配布させていただきました当連合会の推進計画(骨子)(案)は、政府が行う司法制度の改革に対応いたしまして、審議会意見の趣旨にのっとりまして、日弁連が行う取り組みの内容を審議会意見の記載の順序にしたがいまして、記載したものでございます。推進本部の計画案が本日明らかにされておりますので、今後、これに応じまして、更に検討を加えて内容を深めていく予定でございます。内容につきましては、ここにごらんのとおりでございます。
 弁護士会自らが行うべきもの。それに弁護士会の改革に関連いたしまして、関連する法制度の改革分をここに記載してございます。
 顧問会議の皆様方におかれましては、改革が後退することがないよう、一層のお骨折りをいただきますことをお願い申し上げまして、簡単でございますが、御説明に代えさせていただきます。
 以上でございます。

【佐藤座長】どうもありがとうございました。
 それでは、先ほどの事務局からの骨子案の説明につきまして、御意見、あるいは御質問をいただきたいと思います。また、ただいま最高裁、日弁連から御説明いただきましたので、それについても併せて御意見、御質問があればお伺いしたいと思います。
 その前に、本日、御欠席の今井顧問からコメントが寄せられております。最初に御紹介させていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 それでは、読み上げさせていただきます。5点について斟酌をお願いしたいという趣旨でございます。
 まず、第1点目は、2ページの「7裁判所へのアクセスの拡充 (1)利用者の費用負担の軽減」についてです。その冒頭の「訴え提起の手数料の低額化」につきまして、司法制度改革審議会意見の趣旨を踏まえ、「提訴手数料について、スライド制を維持しつつ、必要な範囲でその低額化のための法案提出」としてはどうかというものです。
 2点目は、同じく2ページの「(3)裁判所の利便性の向上」について、意見書の趣旨を踏まえ、「利用相談窓口の充実及び情報提供の強化のための所要の措置」の次に、「裁判所等への情報通信技術(IT)の導入、夜間・休日サービスの導入、及び」を追加してはどうかというものです。
 3点目ですが、同じく2ページの「(4)被害救済の実効化」についてです。その後段の「いわゆる団体訴権の導入等に関する検討」は、意見書の趣旨の通り、「いわゆる団体訴権の導入等に関しては、適格団体の決め方等とともに、個別の実体法において検討」としてはどうかというものです。
 4点目ですが、3ページの「4(1)新たな時代に対応しうる捜査・公判手続の在り方」についてです。その前段にあります「いわゆる刑事免責制度等」については、意見書では、「我が国の国民の法感情、公正感に合致するかなどの問題もあり、直ちに結論を導くことは困難であって、」との認識を示しており、従って、「いわゆる刑事免責制度等の新たな捜査手法の導入の是非」としてはどうかというものです。
 最後に、5点目は、4ページ・5ページの「6隣接法律専門職種の活用等」についてですが、意見書の趣旨を踏まえて、最後の「予測可能性確保のための所要の措置等」を、「予測可能性確保のための所要の措置(企業法務との関係を含め)等」としてはどうかというものです」。
 以上が、今井顧問からの御意見の内容でございます。この点、事務局の方、ちょっと御説明いただけますか。

【事務局長】ただいまの今井顧問の御意見でございますけれども、第2点目の問題につきましては、裁判所の運用に関わる事項でございまして、これは政府の骨子(案)の中には書いてございません。これは最高裁の方で対応されるべき事項でございまして、計画の本体の中には盛り込まれる予定と伺っております。
 それから、その他の点につきましては、これは私ども本部の問題でございますけれども、これも骨子という性格上、かなり省力化して文章を書いたこともございまして、ただいまの御指摘の点は、かなり意見書を踏まえたものでございますので、最終的な本体に関しましては、御指摘を十分に踏まえまして、検討したいと考えております。

【佐藤座長】先ほど御説明いただいたものは、今、お話しのように、本当にスケルトンというか、簡潔に表現したということですね。

【事務局長】そうです。

【佐藤座長】それでは、御出席の皆様から、御意見、御質問をいただきたいと思います。どの点からでもよろしゅうございますが、いかがでしょうか。

【笹森顧問】遅くなりまして、富山から戻るのに雪で遅れたもので済みませんでした。説明を聞かないで質問をするというのも変な話なんですが、もし説明があったんなら、そうだというふうに言っていただければいいと思いますが、3つばかりよろしいでしょうか。

【佐藤座長】はい。どうぞ。

【笹森顧問】1つは、推進計画の骨子案の関係なんですけれども、審議会の意見書の項目の取扱いがどうなっているか。これはすべて推進計画の中に記載をされているのかどうかということを確認をさせてください。
 もし、記載をされていない項目があるとすれば、その取扱いについてどういうことになるのか。最終的な推進計画の中に、全項目について記載をするという取扱いになるのかどうか。そのことが1つ。
 検討、あるいは必要な措置、法案提出という言葉の使い方になっておると思うんですけれども、現段階で法案提出を予定をしていなくても、検討会等での検討の結果、法案提出が必要になるということも出てくるんではないかと思うんですが、そのときに、今の段階で検討及び必要な措置との表現をされているのは、そういう扱い方も含まれているのかどうか。
 それから、法案提出を予定しているものについては、提出時期が書かれていると思うんですが、それ以外の項目で、今申し上げたようなことで、検討とか必要な措置という場合に、いつまでに検討して、必要な措置については、どういうふうな時期にするのかということについては、どのタイミングで明らかにされるのかどうか。
 2つ目の項目としては、法曹人口の拡大と司法試験の関係なんですが、2010年ころに3,000人程度を目指すという書き方になっておりますね。この人数については、合格者数の上限という意味になるんでしょうか。審議会の意見書では早期の達成目標であって、上限を意味するものでないことに留意する必要があると、こういうふうに書かれておったと思うんですけれども、もしそうだとすると、現行試験制度での合格者数において、この精神で早期に目標を達成をしなければいけないのではないかと思っているんですが、その辺についての御見解を承りたい。
 もう一つは、ロースクールの関係と司法試験の関係なんですが、法科大学院が骨抜きになってしまうんではないかという懸念がある。というのは、バイパスをかけて法務省案ではプロセスによって養成をするという、バイパスを認めるという法務省案になっているんではないかと思うんです。そうなると、もともと法科大学院を設置をしたというのは、プロセスによる養成ということで、試験が最も優れた人材を適用させるという場所だということではなかったと思うんですが、今回の案ですと、そちらの方に行っているなのかなと。肝心かなめのところが違うふうに扱われるんじゃないかと受け止めているものですから、その3点をお願いしたいと思います。

【事務局長】まず、計画の本体に記載される事項の問題でございますが、これにつきましては、意見書を開いていただきますと、枠囲いをしているところがございますが、これが意見書の趣旨でございまして、それ以外の部分は理由付けと理解しておりまして、この枠囲いにしているものは、ほとんど計画案に拾い上げて、記載をするというルールでやっておりますので、御理解をいただきたいと思います。
 また、本体計画全部が出てきたときに、漏れがありましたら、御指摘をいただければと思います。意見書は席上に置いてございますが、その意見書をばらばらと見ていただきますと、四角囲いがあろうかと思います。第1点はそういうことでよろしゅうございましょうか。

【笹森顧問】そうすると、現時点ではまだ全項目入れてないということですね。入れてあるということですか。

【事務局長】囲いはほとんど入っているんですが、記載の仕方で何々等ということで、具体的な表記がされていないところはございます。最終的なでき上がりのところでもう一度御確認をいただきたいと思います。

【笹森顧問】わかりました。

【事務局長】2番目でございますが、記載方法については、使い分けております。まず、法案を提出することがほぼ確実なものを法案の提出と記載してございます。
 それから、措置と書いているものもございます。措置につきまして、運用でできるもの、検討していって、法案提出に至るもの、双方が含まれているという趣旨で措置と書いているわけでございます。必ずしも運用だけではないということでございます。
 それから、検討という文言もございます。これはこの意見書の中で、方向がまだ定まらないけれども、検討を早急に開始すべきであるというものもあり、検討はするけれども、最終的にどういう着地点とかが決まらないまま記載されているものもあるわけでございます。そういうものについては、意見書の方でも検討という文言を使っているわけでございます。私ども基本的にはそれと同じ検討という文言を使っておりまして、検討の結果できるものもあるかもしれまんし、検討したけれども、結局、意見がまとまらずにできなかったというものもあり得るということを含んでいるものでございます。
 それから、時期の問題でございますけれども、冒頭に御説明いたしたんですが、計画本体では法案を提出するものと何らかの措置をするものにつきましては、時期を明記いたします。一番遅いものは本部設置期限、平成16年11月30日までというのがございます。
 また、本体の計画のところでチェックをいただきたいと思います。この点はよろしゅうございますか。

【笹森顧問】はい。

【事務局長】それから、法曹人口の拡大の点につきまして、御指摘のとおり、3,000人を目指すわけでございますが、上限ではないということは意見書にも書かれているわけでございまして、私どもそれを踏まえているつもりでございます。今回につきましては、これは骨子でございますので、こういう記載にさせていただいているということでございます。これで終わりということを意味するものではないということでございます。
 それから、ロースクールの点につきましては、最近、新聞にも載っておりまして、特に司法試験の関係について、社説で書かれたと思いますけれども、これにつきましては実は本日、この関係の検討会が5時まで、3時間くらい開かれておりました。先週、文部科学省の中教審の方でもこの予備試験というバイパスを認めてしまったら、ロースクールをせっかく認める意味がないじゃないかという御意見がかなりあったということを伺っておりました。前回の検討会のときに、法務省のペーパーが出まして、十分に議論の時間がないままで終わってしまい、そのペーパーの印象で言われたんではないかと考えておりまして、本日、きちっと趣旨を御説明して、一応了解はいただけたと思っております。その内容を申し上げます。
 この予備試験は、法科大学院に行かれない方でも、例えばこの意見書でまとまっておりますが、経済的理由などによって、法科大学院に行かれない方に道を開けるべきだというまとめになっておりまして、確かにこれが本道になったら困るわけで、私どもそれは十分理解しております。ただ、これを実現していくときに、経済的理由、その他、いろんな理由があると思いますけれども、これをどう表現できるか、法文に一体書けるのかどうかという問題が1つございます。
 仮に書けたとして、これをだれがどのような資料によって認定するのかということの問題があり、まずそこの認定で落ちたり受けられたりということを決めるのは、極めて難しく、そこのところでまずハードルをかけることは非常に難しいということで、要件から落ちているわけです。このことが広いバイパスというイメージを与えているわけですが、実はそうではなくて、バイパスを認めるということは、法科大学院を卒業したと、同程度の力があるということを認めないといけないわけでございますので、試験の内容に関しましては、極めてハードルの高いものとなります。法科大学院を卒業する能力を備えた者が合格できるような予備試験にせざるを得ないということでございまして、そういう意味では、極めて狭い範囲になるということで、決してバイパスが本道になるということではないということです。記載の文言でやや誤解が生じたんではないかということを反省しておりますけれども、そういう趣旨でございますので、御理解をいただきたいと思います。また、質問がございましたら、御説明をしたいと思います。

【笹森顧問】誤解をされたかどうかということとは別に、書いてある法務省から出てきた文章そのものが変わったということではないんですね。

【事務局長】文書の記載が変わったわけではありません。内容はもともとそういうことを考えていたわけでございますが、それを十分に説明する時間がないまま終わってしまい、その文章が外へ出たというように私は理解しております。

【笹森顧問】検討会では、その解釈を含めて、了解をもらえたというふうに受け取っていいわけですか。

【事務局長】全員が完璧に了解したかどうかわかりませんけれども、そういう趣旨であり、極めてハードルの高いものであるということで、大体皆様方の認識は一致したんではないかと考えております。

【佐藤座長】よろしいでしょうか。意見書には、検討、あるいは必要な措置といった表現があります。その検討なんですけれども、意見書を詳しくお読みになりますと、将来の課題として引き続き検討とか、更に検討とか、微妙な言い回しがあるんですが、中身はいろいろ種類がありまして、関係の機関が非常に多くて、そこでの更にいろんな調整をやって詰めてもらう必要があるということで検討と書いたものもありますし、審議会として具体案を示すに至らなかったと言いますか、そこまで踏み込んで書くに至らなかったものもあります。審議会の意見書は大きな構図を描くという前提でやってきたものですから、審議会としてそこまで踏み込んで書くまでもないんじゃないかという種類もございます。しかし、詰めの段階で詰めていただきたいということで検討という表現をしているものもありまして、そういうことですから、基本的には成案を得ていただきたいという趣旨があるんじゃないかと思っております。いずれにしても、今、言いましたように、前後のコンテクストの中でお読みいただかないといけないのもありまして、その辺はこれからの審議の過程で更に注意していただければと思います。
 それから、ロースクールと司法試験との関係ですが、今、山崎局長の方から御説明のとおりでありまして、中教審の法科大学院部会でも、検討会の審議状況をちょっと伺って議論し、部会での議論状況を検討会の委員も兼ねておられる委員を通じてお伝えいただくことにしました。今日、検討会でいろいろ御議論があったということでありまして、先ほどの局長の御説明のようなことであれば、意見書の趣旨を十分踏まえているものだというように私としては理解しております。検討会で引き続き更に検討するということなんで、それを見守りたいと思います。意見書を忠実に実現する、具体化するということが肝心なことで、その方向で御検討いただけるものと期待しております。

【小島顧問】今、笹森顧問が言われた3点の試験の問題、同じ懸念を共有していましたので、特に強調しておきたいと思います。
 それから、基本的には意見書の趣旨であり、意見書が示している目的に照らして、あと解釈の余地がないような明確な文言で処理していただきたいと思います。
 これは法治国会というと、非常に漠然とした議論がありますが、ルールが明確であって、その運用についても明確であって、したがって透明性のある社会。この意見書の中で言っている開かれた社会ということを確保するものだと思うんです。
 実は去年ショッキングなレポートに出会いまして、スイスのIMDというビジネス・スクールが世界50か国くらいのいろんな制度を比較しているんです。政府の透明性という項目があります。日本はその一番下なんです。その上にインドネシアがあるんです。その上に中国があるんです。なぜ透明性がないのか。これは世界3,000人くらいの有識者から集めた意識調査です。1〜5までの○を付けた数字で選ぶんですが、点数を全部合わせても0点なんです。なぜそうなのか。やはり文言が、いろんな解釈ができる格好で出てきている。法律についてのですね。あるジョークを聞きました。ドイツでは法律で禁止されているものは当然全部禁止されている。中国では法律で許されていることも時には禁止される。こんなことを言うとお国にしかられるかもしれませんが、これはジョークとして言われていることですからね。
 イタリアでは法律で禁止されていることも時には許されると。アメリカでは法律で禁止されているもの以外はすべて自由である。イギリスは、法律に何が禁止されているか、成文がないわけですけれども、日本については法律でやっていいと明確に記述してあるもの以外は、すべて行政にお伺いを立てる。その行政は本来法律をつくるんじゃなくて、運用をするわけで、解釈は司法がやるべきですが、かなりの解釈が行政でなされている。解釈の余地が広い。それは行政裁量です。恐らくそこをちゃんとしなくちゃ、法治国家として透明性とか、「意見書」にもある予見可能性、これを担保できないと思うんです。最近、海外からいろんな企業が入ってきています。結局、あきらめて引き上げるという方向にまた変わってきています。
 聞いてみますと、要するに、制度の予見可能性、あるいは透明性がない。したがって、経営の長期的なプランが立てにくい。突然こうだと思ったら、違う解釈があってということがあるんで、法治国家の基本である透明性、客観的に解釈できるという明確さが是非とも必要なのに、そこがない。意見書に沿っていろんな制度なり法制化をしても、実際の運用では解釈の余地が絶えず行政裁量となるのでは、結果的に不透明である。それは開かれた社会にならないし、開かれた社会にならないと、優秀な資源や人材や新しい可能性というのは開けてこないわけですから、日本がどういう社会を求めるかという基本の法制改革、司法制度改革という基本で考えますと、そういう目的に照らして、誤解がないような対応をしているかという、そこを絶えず点検していただきたい。常々思うことでありますので、強調させていただきした。

【佐藤座長】大変含蓄のある御指摘で、まず、この会議から始めよう、そういうことですかね。

【小島顧問】検討と何とかの措置と止めておられる部分がありまして、検討というのは、大体「前向きに検討する」ということも実際には何もしないということで解釈されていますから、「前向き」のない検討というのは、ただ検討するということかもしれないから、要するに、措置が必要だったら、最善の措置を考えて、措置を取るという前提で文書をつくっていただいたらいいと思うんです。

【佐藤座長】検討の意味は先ほど申し上げましたので。

【小島顧問】先ほどの座長のコメントで安心しましたけれども。

【佐藤座長】どうもありがとうございます。局長の方で何かありますか。

【事務局長】先ほど申し上げましたが、基本的にはここにある記載は、特に本体計画のものを見ていただきますとおわかりだと思いますけれども、この意見書の記載をかなり忠実に反映しておりますので、意見書で法案と書いてあれば法案、措置と書いてあれば措置、あるいは検討と書いてあれば検討という受け方をしております。ただ、これは今後、議論をしていって、検討と書いてあるものでも成案を得て、法案が必要であれば提出をするということになろうかと思います。決して後ろを向いているわけではないということで御理解いただきたいと思います。

【佐藤座長】これからも注意して見ていただきたいと思います。

【奥島顧問】私の言いたいところは言ってもらいましたので、ローマ数字のIIIの第1の「2 裁判所、検察庁の人的体制の充実」というところでありますが、この法科大学院の議論が始まったとき以来というか、一番最初に私が考えて、そして言っておりますのは、この点ばかりでありまして、ずっとこのことは一貫しております。勿論、ここに書かれているのは、充実のための所要の措置ということでありますから、充実されるんだろうというふうに私たちも思うわけでありますけれども、しかし、ここ全体の司法サービスを上げていくというのは、弁護士の人数が増えていくから、その面での司法サービスが上がっていくかもしれないし、報酬等も透明性を持ちますし、いろんな形でもっていいかもしれませんが、問題は裁判所がやっていっても、やはりいろんな手続を、いくら簡素化しようがどうしようが、決定的に人数が足りないというところが日本の司法の問題じゃないかと私などは思うわけであります。
 こういう例は余り適切ではないと思いますが、私の教え子が検事として取り調べ中にばたっといった。過労で死んだということが千葉でありました。そういうことも見ておりまして、とにかく裁判官にしろ、検察官にしろ、一人当たりの業務量というのが物すごく多いということ。そのことが裁判では恐らく一方では和解の強制ということになり、検察の取り調べでは、恐らく検察官の人数が足りませんから、しかるべくなさっているんだろうということは私も聞いております。
 そういうことではなしに、この辺りについての人的な体制を充実するということを一挙にはうまくいかないと思いますけれども、段階的に将来的に、方向性というか、そういうものをある程度、検察にしても、それから最高裁判所にしても、そういう計画を出させるべぎじゃないでしょうかね。そういうものを出してもらって、それが現在の事件処理、裁判処理の問題と絡み合わせて、この程度は充実していかなければいけないんじゃないかというような、少し方向性というものをここら辺で出しておかないと、せっかくここを増やしていっても、司法試験合格者3,000人にもなったんだけれども、裁判所も検察庁もちっとも充実しないために、事件処理や司法サービスというのは進まないなどということにはならないとは思いますが、しかし、単に制度とか気合だけではなしに、できるような実態をつくり上げていくということを相当考えなかったら、今回の改革というのは、絵に描いた餅とは申し上げませんけれども、しかし、きれいごとで足踏みしてしまうということになりはしないかということを私は前々から思っておりまして、その点についてのみ、私はこれまで発言してきたわけでありますが、今回もそのことをまずここでは、こういった人的体制の充実のための所要の措置ということではなくて、どの程度やろうということを考えたら、どの程度政府に対して要求すべきなのか、その辺りを現業官庁ではない法務省というのは、予算に対して非常に弱いことは私ども知っておりますので、こういうところで少し歯止めを掛けるというか、そういう点についての明確な方向性を示すべきではないか、そういうふうに思います。

【佐藤座長】ありがとうございます。局長、何か今の点で。

【事務局長】私どもも改正を行って、必要なものは政府にお願いして、充実をさせていきたいと考えておりますけれども、ただ、この計画を練るについて、今の段階で計画がどうだということまでは難しいということは御理解をいただきたいと思っております。

【奥島顧問】それはよくわかっています。

【事務局長】将来的に頭に入れながら検討していきたいと思います。

【佐藤座長】今の点は審議会のときの議論でも、非常に大きな関心事でした、制度を動かすのは人であるというのが一番根底にある発想なんです。事前規制社会から事後監視救済型へといわれますが、さっきの小島顧問のお話しにも関連するんですけれども、事前規制はできるだけ縮小する、しかし、ルールはきちっと守ってもらうような社会にするということだと思います。ロー・エンフォースメント、コンプライアンスはきちっと確保するようにしなければいけない。そうではないと、自由な公正な社会はできないということで、法曹人口全体を増やすと同時に、裁判官、検察官の大幅増員ということをうたったわけです。このペーパーの3ページの御指摘のところを見ますと、大幅増員というようには書いていなく、所要の措置というように書いてあるわけですけれども、大幅増員をどういう段取りで、どう実現するかが、まさにこれから検討すべき事柄です。

【奥島顧問】例えばの話ですけれども、公務員総定員法の例外であるとか、そういうふうなことは明快に言っておく必要はあるんじゃないでしょうかね。

【佐藤座長】その辺のことも審議会で議論になりました。これは政府全体の計画の中で考えていただくべきことであり、そこまで意見書で明示するのはいかがかなものかということになったのです。ただ、意見書の60ページの一番下の方をごらんいただきますと、4行目から「国家公務員の総数についてはこれを削減することが行政改革の重要な課題であるが、司法を支える人的基盤については、行政改革を円滑に実施する観点からも、その飛躍的な増大を図っていくことが必要不可欠であって、そのために、法的措置を含め大胆かつ積極的な措置をとるべきである」と述べています。小島顧問の御指摘との関連でいえば、この表現はいかがなものかということになるかもしれませんけれども、かなり苦心して書いた。

【奥島顧問】そういうふうにえげつないくらいに書いておくべきだというのが私の主張なわけです。意味は非常にわかっておりますけれどもね。

【佐藤座長】御主張はわかりましたけれども、さっき申し上げたように、政府全体としての考えるべきところもございまして、意見書がこういう表現になっているという趣旨は御理解いただきたいと思います。

【奥島顧問】それはわかっています。

【佐藤座長】おっしゃりたいことはよくわかっておりますので、今後その辺は十分議論の過程で詰めていくべき事柄かと私も理解しております。
 そのほかいかがでしょうか。
 最高裁、それから日弁連の文書は今日始めてごらんになっているわけでありまして、まだ十分御検討いただいていないということもあるかもしれません。ただ、今日は前段階で、来月の3回目の顧問会議で、会議として考えるべきことをお決めいただきたいと思っております。まだ時間がございますので、お持ち帰りになって、御検討いただければと思いますが、特に今日、ここだけでは指摘しておきたいという点はほかにございましょうか。

【大宅顧問】日弁連の中に、人的基盤の拡充に、ほかのは、例えば弁護士は1,500人、2,000人と書いてあるんですけれども、そのことが一切触れていないのは何か意味があるんでしょうか。日弁連のこの骨子の中に弁護士を増やすという数。お言葉ではおっしゃったんですけれども、この中にはないので何か。

【日弁連】これは他意はございません。

【大宅顧問】本当はいやだというふうに私は読んだんですけれども。

【日弁連】そういうことではございません。先ほど山崎局長の方もおっしゃいましたが、意見書の中の枠囲いを中心に書いたものですから、内容としては、口頭で申し上げたとおりでございます。そういうことをイメージして、また、総会決議でも、そのことは日弁連としてはきちんとそういう方針を打ち出しております。

【佐藤座長】 大宅顧問、今の点はよろしいでしょうか。

【大宅顧問】さっきの小島さんのあれもあるんだけれども、ルールは守ると、日本は今は法治国家ではないと私は思うんです。法律はあるけれども、実際はそうじゃないとか、法律違反ではないけれども、いかがなものかといって糾弾されるとか。逆に言って、駐車違反は明らかだけれども、だれもあれは違反して悪いとは思わない。運が悪かったと思っている。なぜならば、駐車違反の車を全部引っ張っていくだけの駐車場もなければ、紙を張るだけで本当はいいんですけれども、それをやる人員もない。だから、あれは運が悪くて、今後改めようなどとだれも思わないわけです。駐車場と車の数は全然合わないわけです。土地収用法があっても、全然使われない。そういうことをどうするのというのが、即すごく細かいことに入っていって、そこに国民の共通認識がないと、何かまた専門家の人たちが何かいじっているのねというふうにならないかなとちょっと不安がある。

【佐藤座長】意見書の冒頭で、法の精神、法の支配をこれから本当に日本国民の血肉化しないといかぬのだということから説き起こしていますが、具体的な、制度的なレヴェルになると、今おっしゃっているようなことになってくるわけです。その辺はなぜ司法改革かという趣旨をいろんな形で訴えていく必要があるかと私も思っております。日本では、事前の段階では非常に難しいというか、複雑なんですけれども、一旦やってしまうと、その後は、コンプライアンス、ロー・エンフォースメントの辺りのところが、今の御指摘のような面もあるような気がするんです。その辺も含めて、トータルとして、まさに法の支配の貫徹する社会ということを考えないといけないんじゃないと思っております。

【小島顧問】冒頭に今井顧問の書面によるコメントを報告されましたが、これも当然自動的に公開されるわけですね。

【佐藤座長】コメント自体は私が読み上げるということにさせていただきたいと思います。それは議事録で全部残りますから、ペーパーそのものは何ですけれども、私の口頭での紹介ということにさせていただきたいと思います。

【小島顧問】あと、今日は1時間ですが、テーマによって1時間ではとても議論できないという問題が当然出てきますし、それは時間を1時間半にするとか、あるいは1時間にして、事後的にコメントを提出して、座長経由で自動的に公開するとか、何か知恵を使わないと、結果的には、それも運用の問題ですが、この機関が自動追認機関になります。それでは意味がなくなってしまうということになり、私がいる意味がないということになりますので、絶えずそういう工夫を重ねていくことを、お願いしたいと思います。

【佐藤座長】今回は顧問の時間の調整等でこのような時間になり、そして、審議時間も1時間ということになりましたけれども、1時間でなければいけないということは全くありません。事柄によっては2時間、あるいは2時間半、3時間掛けるということもあり得るというように思っております。十分御議論いただきたいと考えております。

【大宅顧問】1時間というメッセージは、余りよけいなことを言わないでよというふうに取れるんです。そう思いますよね。審議会で1時間というのは聞いたことないです。

【佐藤座長】司法制度改革審議会では4時間以上やったこともあります。大分怒られたんですけれども、本当にそれは事柄によります。そして、皆様の御都合がつけば時間は十分に取って御審議いただきたいと思っております。山崎局長、次回も遅いわけですか。

【事務局長】同じ時間帯でございます。法務大臣に御出席いただくという政治日程の関係等もございまして、夕方ということになっております。官房長官も、先ほど御退席されましたけれども、やはりなるべく御出席をしていただきたいという趣旨から夕方に入れております。
 それから、時間でございますが、私どもも事項によって時間を決めさせていただくようにしたいと思いますが、一応何時に終わるかという目途がないと、顧問の皆様方も時間のやりくりに困られると思いますので、今回は1時間で済むかなということで1時間とさせていただきました。難しい問題はもう少しかかるし、回数もかかるだろうと思います。

【佐藤座長】今回は、時間もそうですけれども、審議内容は、これから検討するスケジュール、項目のピックアップということですね。まさに計画の本当のスケルトン。

【事務局長】今回は計画のピックアップでございますので、中身ではございません。中身のときには、相当時間が必要だと思います。

【笹森顧問】時間も超えているんで、解明は次のときで結構なんですが、意見書を尊重したいというのが基本的にありまして、多分、顧問の先生方、みんなそうだと思うんですが、この中で、昨年の12月と今月だったですか、最高裁判所の裁判官をお二人任命されましたね。任命された方については、経歴、識見、私は別に不満があるわけじゃないんですが、意見書の中では、選任過程について透明性・客観性の問題について言及されています。これが今年の場合に、ほかに5人定年退官されるというふうに聞いておるんですが、今までのお二人の関係から言うと、新聞報道ですが、透明性とかがあったようには受け止められないし、これからの問題について、そのことについてどう扱われようとするのか、是非これは意見書を尊重していただきたいと思うんですが。

【佐藤座長】今の点について、局長の方から。

【事務局長】その点は意見書では検討課題となっていますので、検討することになります。

【佐藤座長】10の検討会がありますね。今の問題は基本的に内閣としてお考えになるべき事柄で、意見書でも、やや控え目に書いてあるんですけれども、この問題の検討は、どこの検討会でなされることになりますか。

【事務局長】選任される最高裁判事のいろいろな経歴等でございますね。

【佐藤座長】国民審査の方は基本的に情報提供のレヴェルですけれども、今の笹森さんの御指摘は、最高裁判所裁判官の任命そのものについてですね。意見書の99ページにはこういうように書いてあるんです。
 「内閣による指名及び任命に係かる過程は必ずしも透明ではなく、同裁判所裁判官の出身分野別の人数比率の固定化などの問題点が指摘されている。こうした現状を見直し、同裁判所裁判官に対する国民の信頼感を高める観点から、その地位の重要性に配慮しつつ、その選任過程について、透明性・客観性を確保するための適切な措置を検討すべきである」と。
 この趣旨のところは、検討会で言うと、どこで検討されることになるのか。今直ちに。

【事務局長】今わかります。この骨子の5ページの「第5裁判官制度の改革」の5に記載されているんですが、これは骨子でございますので、本体の方はもう少しわかりやすく記載をします。本部の方で検討するということになります。

【佐藤座長】今の段階で。

【笹森顧問】今の段階ではいきなり言っても無理だと思うんだけれども、2人なられて、今度は5人が、間違いなくスケジュールに入っていますので、できればそれまでに選任過程について明確にした方がいいんじゃないか。ここで代えられると、多分、またしばらくないということになると思います。

【事務局長】御指摘を踏まえまして、検討したいと思います。

【佐藤座長】難しい課題かもしれませんけれども。まだ、御意見がおありかもしませんが、時間も予定の時間をオーバーしてしまいました。今日ちょうだいした御意見を踏まえて、推進計画案の全体について、検討して、次回に皆様にお示しして、御審議賜りたいと思っております。
 本日予定しておりました議題は以上でございますけれども、閉会に当たりまして、法務大臣の方から何かございましたら。

【法務大臣】今日は大変お忙しい先生方、大勢御参加いただいて、御熱心な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。今日のテーマは骨子でございまして、これからの計画を具体的に進めていきますための非常に重要な柱でございます。先生方からいただきました御意見を十分踏まえまして、これから取り組んでいきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。

【佐藤座長】どうもありがとうございました。最後に事務局から何かありますか。

【事務局長】御連絡申し上げておりますけれども、次回は3月7日で、同じ時間を開始時間とします。終わりにつきましては、別途考えます。
 それから、机の上にありますファイルは、このまま置いておいていただけますでしょうか。常にここに置いておきますので。
 以上でございます。

【佐藤座長】どうもありがとうございました。本日はこれで終わりたいと思います。本当にどうもありがとうございました。

−以上−