第2回議事次第

平成14年2月19日

司法制度改革推進計画(骨子)(案)




I はじめに


 本計画は、司法制度改革に関し政府が講ずべき措置について、その内容、時期、法案の立案等を担当する府省等を明らかにするものである。
 政府は、司法制度改革推進法に定める基本理念及び基本方針に基づき、以下の措置を講ずることとする。


II 国民の期待に応える司法制度の構築

第1 民事司法制度の改革

1 民事裁判の充実・迅速化
 審理期間のおおむね半減を目標とした審理計画の協議の義務付け及び証拠収集手段の拡充のための法案提出(15年通常国会予定)。

2 専門的知見を要する事件への対応強化
 専門委員制度について、裁判所の中立・公平性の確保等に十分配慮しつつ専門性の種類に応じて行う導入の在り方の検討、鑑定制度の改善のための法案提出(15年通常国会予定)等。

3 知的財産権関係事件への総合的な対応強化
 特許権等に関する訴訟事件の東京・大阪両地裁への専属管轄化のための法案提出(15年通常国会予定)等。

4 労働関係事件への総合的な対応強化
 労働調停の導入についての所要の措置、労働委員会の救済命令に対する司法審査の在り方等に関する検討及び所要の措置等。

5 家庭裁判所・簡易裁判所の機能の充実

(1) 人事訴訟等の家庭裁判所への一本化
 離婚等の家庭関係事件(人事訴訟等)の管轄の家庭裁判所への移管等のための法案提出(15年通常国会予定)。

(2) 簡易裁判所の管轄拡大、少額訴訟手続の対象事件の訴額上限の引上げ
 簡易裁判所の事物管轄及び少額訴訟手続の対象事件の訴額上限の引上げのための法案提出(15年通常国会予定)。

6 民事執行制度の強化
 民事執行制度の改善及び少額定期給付債務の履行確保のための法案提出(15年通常国会予定)。

7 裁判所へのアクセスの拡充

(1) 利用者の費用負担の軽減
 訴え提起の手数料の低額化のための法案提出(15年通常国会予定)、弁護士報酬の敗訴者負担制度について、不当に訴え提起を萎縮させないよう制度設計を検討した上で、一定の要件の下に弁護士報酬の一部を負担させることができる制度を導入するための法案提出(遅くとも16年通常国会予定)、訴訟費用額確定手続簡素化のための所要の措置等。

(2) 民事法律扶助の拡充
 民事法律扶助制度充実のための所要の措置。

(3) 裁判所の利便性の向上
 利用相談窓口の充実及び情報提供の強化のための所要の措置、裁判所の配置の見直しに関する検討。

(4) 被害救済の実効化
 損害賠償額の認定に関する制度についての検討、いわゆる団体訴権の導入等に関する検討。

8 裁判外の紛争解決手段(ADR)の拡充・活性化

(1) ADRに関する関係機関等の連携強化
 関係省庁等の連絡会議の設置及び関係諸機関の連絡協議会の体制整備等を通じ、ADRに関する情報提供面及び担い手の確保面での連携強化を図るための所要の措置。

(2) ADRに関する共通的な制度基盤の整備
 仲裁法制整備のための法案提出(15年通常国会予定)、総合的なADRの制度基盤を整備するための方策の検討及び所要の措置(ADRの利用促進、裁判手続との連携強化のための基本的枠組みを規定する法案の提出も含め検討)等。

9 司法の行政に対するチェック機能の強化
 行政に対する司法審査の在り方に関する総合的多角的な検討等。

第2 刑事司法制度の改革

1 刑事裁判の充実・迅速化
 刑事裁判の充実・迅速化に向けた新たな準備手続の創設、証拠開示の拡充及び連日的開廷確保のための法案提出(16年通常国会予定)、直接主義・口頭主義の実質化、裁判所の訴訟指揮の実効性担保等に関する検討等。

2 被疑者・被告人の公的弁護制度の整備
 被疑者・被告人の公的弁護制度の整備のための法案提出(16年通常国会予定)、少年審判手続の公的付添人制度に関する検討。

3 公訴提起の在り方
 検察審査会の一定の議決に対するいわゆる法的拘束力付与のための法案提出(16年通常国会予定)。

4 新たな時代における捜査・公判手続の在り方

(1) 新たな時代に対応し得る捜査・公判手続の在り方
 いわゆる刑事免責制度等の新たな捜査手法の導入及び参考人の協力確保・保護の方策に関する検討等。

(2) 被疑者・被告人の身柄拘束に関連する問題
 被疑者・被告人の不適正な身柄拘束の防止・是正に関する検討、取調べの過程・状況の書面による記録を義務付ける制度の導入のための所要の措置。

5 犯罪者の改善更生、被害者等の保護
 犯罪者の矯正処遇、更生保護に関わる制度及び人的体制の充実のための所要の措置、刑事手続の中での被害者等の保護等に関する検討、被害者等への支援体制整備のための所要の措置。

第3 国際化への対応

 国際捜査・司法共助制度の拡充・強化、開発途上国に対する法整備支援の推進及び弁護士の国際化への対応強化のための所要の措置、弁護士と外国法事務弁護士との特定共同事業の要件緩和等のための法案提出(15年通常国会予定)等。

III 司法制度を支える体制の充実強化

第1 法曹人口の拡大

1 法曹人口の大幅な増加
 司法試験の合格者数を14年に1、200人程度に、16年に1、500人程度に増加させるための所要の措置。新たな法曹養成制度の整備状況等を見定めながら、司法試験合格者数3、000人程度を目指す。

2 裁判所、検察庁等の人的体制の充実
 裁判官、検察官を始めとする裁判所、検察庁等の人的体制の充実のための所要の措置。

第2 法曹養成制度の改革

1 法科大学院
 法科大学院に関する制度を設け、16年4月に学生受入れを開始するための所要の措置。

2 司法試験
 法科大学院の教育内容を踏まえた新司法試験の実施及び合格枠制廃止のための法案提出(14年末までを予定)等。

3 司法修習
 新司法試験実施後の司法修習の在り方に関する最高裁の検討状況を踏まえた検討、司法研修所の管理・運営に関する最高裁の検討状況を踏まえた検討及び必要な場合の所要の措置、司法修習生の給費制の在り方に関する検討。

4 継続教育
 法曹の継続教育に関する態勢の整備のための所要の措置。

5 新たな法曹養成制度の円滑な実施に向けて
 法科大学院の設置認可及び第三者評価(適格認定)のための基準について、その内容を公表・周知するための所要の措置。

第3 弁護士制度の改革

1 弁護士の活動領域の拡大
 弁護士の公務就任の制限及び営業等の許可制の届出制による自由化を図ることに関する日弁連の検討状況を踏まえた検討及び必要な法案提出(15年通常国会予定)。

2 弁護士へのアクセス拡充

(1) 法律相談活動等の充実
 法律相談センター等の設置を進めることに関する日弁連の検討状況を踏まえた検討及び必要な場合の所要の措置。

(2) 弁護士報酬の透明化・合理化
弁護士報酬の透明化・合理化の見地からの弁護士の報酬情報の開示・提供の強化等に関する日弁連の検討状況を踏まえた検討及び必要な場合の所要の措置等。

3 弁護士の執務態勢の強化・専門性の強化
 法律事務所の共同化・法人化、隣接法律専門職種との協働化・総合事務所化等の推進に関する日弁連の検討状況を踏まえた検討及び必要な場合の所要の措置等。

4 弁護士の国際化
 弁護士と外国法事務弁護士との特定共同事業の要件緩和等のための法案提出(前掲)等。

5 弁護士会の在り方

(1) 弁護士会運営の透明化
 弁護士会運営の透明化に関する日弁連の検討状況を踏まえた検討及び必要な場合の所要の措置。

(2) 弁護士倫理等に関する弁護士会の態勢の整備等
 弁護士会の綱紀・懲戒手続の透明化・迅速化・実効化に関する日弁連の検討状況を踏まえた検討及び必要な法案の提出(15年通常国会予定)、法曹養成段階での倫理教育についての所要の措置。

6 隣接法律専門職種の活用等
 司法書士への簡裁における訴訟代理権等の付与、弁理士への特許権等の侵害訴訟(弁護士が訴訟代理人となっている事件に限る)における代理権の付与のための法案提出(14年通常国会予定)、司法書士・弁理士の能力担保のための研修の開始、ADRを含む訴訟手続外の法律事務における隣接法律専門職種等の活用及び弁護士法第72条の規制対象に関する予測可能性確保のための所要の措置等。

7 企業法務等の位置付け
 司法試験合格後に民間等における一定の実務経験を経た者への法曹資格付与のための具体的条件を規定する法案提出(15年通常国会予定)、いわゆる特任検事経験者への法曹資格付与のための法案提出(15年通常国会予定)等。

第4 検察官制度の改革

1 検察官に求められる資質・能力の向上等
 検事が国民の意識・感覚を学ぶことのできる場所で執務する制度の整備、研修制度を充実させるなどの検察官の能力・資質向上のための所要の措置。

2 検察庁運営への国民参加
 検察審査会の建議・勧告制度の充実・実質化のための法案提出(16年通常国会予定)等。

第5 裁判官制度の改革

1 給源の多様化・多元化
 判事補に多様な法律専門家としての経験を積ませることを制度的に担保する仕組みの整備及び特例判事補制度の計画的かつ段階的解消に資する方策に関する最高裁の検討状況を踏まえた検討及び必要な場合の所要の措置、弁護士任官の推進のための方策に関する最高裁及び日弁連の検討状況を踏まえた検討及び必要な場合の所要の措置。

2 裁判官の任命手続の見直し
 最高裁に、その諮問を受け、下級裁判所裁判官として指名されるべき適任者を選考し、その結果を意見として述べる機関を設置するとともに、その機関が十分かつ正確な資料に基づき判断し得る仕組みを整備することに関する最高裁の検討状況を踏まえた検討及び必要な場合の所要の措置。

3 裁判官の人事制度の見直し
 裁判官の人事評価の透明性・客観性確保のための仕組みの整備に関する最高裁の検討状況を踏まえた検討及び必要な場合の所要の措置、裁判官の報酬の進級制(昇給制)の在り方に関する検討。

4 裁判所運営への国民参加
 裁判所運営に国民の意見等を反映することが可能となるような仕組みの導入に関する最高裁の検討状況を踏まえた検討及び必要な場合の所要の措置。

5 最高裁裁判官の選任等の在り方について
 最高裁裁判官選任過程の透明性・客観性確保のための適切な措置及び最高裁裁判官の国民審査制度の実効化を図るための措置の検討。

第6 法曹等の相互交流の在り方

 法律専門職間の人材の相互交流促進のための所要の措置。

IV 司法制度の国民的基盤の確立

第1 国民的基盤の確立(国民の司法参加)

1 刑事訴訟手続への新たな参加制度の導入
 刑事訴訟手続に、広く一般の国民が、裁判官とともに責任を分担しつつ協働し、裁判内容の決定に主体的、実質的に関与することができる新たな制度(いわゆる裁判員制度)を導入するための法案提出(16年通常国会予定)。

2 その他の分野における参加制度の拡充
 検察審査会の一定の議決に対するいわゆる法的拘束力付与のための法案提出(前掲)等。

第2 国民的基盤の確立のための条件整備

 基本法制改正作業の推進、学校教育等における司法に関する学習機会の充実、検察庁における情報公開・提供の推進のための所要の措置。