第3回議事次第

平成14年3月7日

司法制度改革推進計画要綱(案)
−着実な改革推進のためのプログラム−

最高裁判所




第1 はじめに

1 要綱の趣旨
 この要綱は,司法制度改革審議会(以下,「改革審議会」という。)の意見の趣旨にのっとって最高裁判所が行うべき司法制度改革に関する措置の全体像を明らかにするとともに,司法制度改革推進本部(以下,「推進本部」という。)の設置期限(平成16年11月30日)までの間に行うことを予定する措置の内容,実施時期を示し,司法制度改革の計画的な推進を図るものである。

2 基本的な指針
 最高裁判所は,裁判制度を運営する国の機関として司法制度改革に関する施策を策定・実施する責務を負う立場から,政府が行う司法制度改革の推進に積極的に協力するとともに,最高裁判所が自ら行うべき施策を着実に策定・実施することにより,総合的かつ集中的に司法制度改革を推進することとする。
 また,本要綱に基づき司法制度改革に関する施策を計画的に実施していくために,推進本部等と適切な連携を図るとともに,本要綱に基づく施策の実施状況等を踏まえながら,必要があれば本要綱を見直すものとする。

第2 改革を推進するための措置

 最高裁判所は,第1の2の基本的な指針に基づき,司法制度改革を総合的かつ集中的に推進するため,推進本部の設置期限までの間に,以下の措置を講ずることとする。
 なお,その後においても,司法制度の機能を一層向上させるため,継続的に改革・改善の検討を進め,必要な措置を講じていく予定である。

1 国民の期待に応える司法制度の構築
 国民がより利用しやすく分かりやすい制度,公正かつ適正な手続の下でより迅速,適切かつ実効性のある制度を構築するため,以下のとおり,改革を推進する。

(1) 民事司法制度の改革
 国民にとってより実効性を備えた民事裁判制度を構築するため,民事裁判の一層の充実・迅速化,専門的知見等を要する事件や労働関係事件等への対応の強化,家庭裁判所・簡易裁判所の機能や民事執行制度の充実・強化等を図る必要がある。
 国民の司法へのアクセスを拡充するため,利用者の費用負担の軽減,民事法律扶助の拡充,利用相談窓口の充実を含む裁判所の利便性の向上,被害救済の実効化を図る必要がある。
 司法に対する国民の多様なニーズに対応するため,裁判外の紛争解決手段(以下,「ADR」という。)について,その運営主体の公正さ,判断の適正さを確保しつつ,裁判手続との連携の強化などを含め,その拡充と活性化を図る必要がある。また,三権分立制の下で,司法が果たすべき役割の重要性にかんがみ,司法の行政に対するチェック機能の強化を図る必要がある。
 これらの課題を解決し,国民の期待に応える民事司法制度を実現するため,推進本部等と連携,協力しつつ,推進本部の設置期限までに,以下のような措置を講ずる。

ア 民事裁判の充実・迅速化
 ○ 計画審理(手続の早い段階で,裁判所と両当事者との協議に基づき,審理の終期を見通した審理計画を定め,それに従って審理を実施することをいう。)を一層推進するための法律の施行に伴い,最高裁判所規則の整備等の所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)
 また,複雑な民事訴訟事件を中心として,その審理の充実を図り,合理的な期間内に解決するための所要の措置を講ずる。
 ○ 訴え提起前の時期を含め,当事者が早期に証拠を収集するための手段を拡充するための法律の施行に伴い,最高裁判所規則の整備等の所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)

イ 専門的知見を要する事件への対応強化
 ○ 各種専門領域における法曹以外の専門家が裁判の全部又は一部に関与し,その分野の専門技術的見地から裁判官をサポートする訴訟手続への新たな参加制度(専門委員制度)について,関係機関と連携を図りつつ,検討を行う。
 ○ 鑑定手続を改善するための法律の施行に伴い,最高裁判所規則の整備等の所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)
 ○ 第2の1(1)アのとおり,民事裁判の充実・迅速化に関する措置を講ずる。
 ○ 法曹の専門性を強化するため,関係機関と連携を図りつつ,第2の2(2)のとおり,法曹の継続教育の充実等の所要の措置を講ずる。

ウ 知的財産権関係事件への総合的な対応強化
 ○ 東京・大阪両地方裁判所の専門部を実質的に特許裁判所として機能させるため,専門性を備えた裁判官や裁判所調査官の集中的投入等の裁判所の専門的処理体制の一層の強化についての所要の措置を講ずる。
 ○ 第2の1(1)ア及びイのとおり,民事裁判の充実・迅速化に関する措置等を講ずる。
 ○ 法曹の専門性を強化するため,関係機関と連携を図りつつ,第2の2(2)のとおり,法曹の継続教育の充実等の所要の措置を講ずる。

エ 労働関係事件への総合的な対応強化
 ○ 労働調停の導入を図るため政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(遅くとも本部設置期限までに政府による措置の予定)
 ○ 労働委員会の救済命令に対する司法審査の在り方,雇用・労使関係に関する専門的な知識経験を有する者の関与する裁判制度の導入の当否,労働関係事件固有の訴訟手続の整備の要否について,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(遅くとも本部設置期限までに政府による措置の予定)
 ○ 第2の1(1)ア及びイのとおり,民事裁判の充実・迅速化に関する措置等及び第2の2(2)のとおり,法曹の継続教育の充実等の法曹の専門性の強化に関する措置を講ずる。

オ 家庭裁判所・簡易裁判所の機能の充実

(ア)人事訴訟等の家庭裁判所への一本化
 ○ 離婚などの家庭関係事件(人事訴訟等)を家庭裁判所の管轄へ移管するための法律の施行に伴い,最高裁判所規則の整備等の所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)

(イ)調停委員,司法委員,参与員への多様な人材の確保等
 ○民事・家事調停委員,司法委員及び参与員について,その選任方法の見直しを含め,年齢,職業,知識経験等において多様な人材を確保するための所要の措置を講ずる。

(ウ)簡易裁判所の管轄拡大
 ○ 簡易裁判所の事物管轄について,経済指標の動向等を考慮して,訴額の上限を引き上げるための法律の施行に伴い,所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)

 ○ 少額訴訟手続の訴額の上限を大幅に引き上げるための法律の施行に伴い,所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)

カ 民事執行制度の強化
 ○ 民事執行制度を改善するための法律の施行に伴い,最高裁判所規則の整備等の所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)
 ○ 家事審判・調停等により定められた少額定期給付債務の履行確保のための制度を整備するための法律の施行に伴い,最高裁判所規則の整備等の所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)

キ 裁判所へのアクセスの拡充

(ア)提訴手数料
 ○ 提訴手数料の低額化のための法律の施行に伴い,所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)
 ○ 簡易裁判所の少額訴訟事件の提訴手数料について,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(平成15年3月までに政府による措置の予定)

(イ)弁護士報酬の敗訴者負担の取扱い
 ○ 一定の要件の下に弁護士報酬の一部を訴訟に必要な費用と認めて敗訴者に負担させることができる制度を導入するための法律の施行に伴い,所要の措置を講ずる。(遅くとも平成16年通常国会に政府による法案提出の予定)

(ウ)訴訟費用額確定手続
 ○ 訴訟費用額確定手続の簡素化について,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(平成15年3月までに政府による措置の予定)

(エ)裁判所の利便性の向上
 ○ ホームページ等を活用したネットワーク化の促進により,ADR,法律相談,法律扶助制度を含む総合的な情報提供を強化するなど,司法の利用相談窓口を充実させるための方策について,関係機関と連携を図りつつ検討し,所要の措置を講ずる。
 ○ 裁判所の訴訟手続,事務処理,情報提供などの各側面での情報通信技術(IT)の積極的導入を推進する計画を策定・公表するための所要の措置を講ずる。
 ○ 現在,既に実施している裁判所の夜間サービスについて,国民へ周知した上,夜間サービスの拡大及び休日サービスの導入に関する検討を行う。
 ○ 裁判所の配置について,人口,交通事情,事件数等を考慮し,関係機関と連携を図りつつ,見直しに関する検討を行う。

ク 被害救済の実効化
 ○ 損害賠償額の認定に関する制度について,関係機関と連携を図りつつ,検討を行う。
 ○ 団体訴権の導入等について,関係機関の検討状況を踏まえつつ,必要な検討を行う。

ケ 裁判外の紛争解決手段(ADR)の拡充・活性化
 ○ ADRの拡充・活性化に向けた関係省庁等の連絡会議や関係諸機関による連絡協議会の体制を整備するため,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(平成14年半ばころまでに連絡会議を設置する等の政府による措置の予定)
 ○ 紛争解決に関する総合的な相談窓口の充実と情報通信技術を活用した関係機関等の連携により容易に情報を入手できる環境の整備について,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(平成16年3月までに政府による措置の予定)
 ○ ADRの担い手の確保について,情報の開示・共有を促進した上で必要な知識・技能に関する研修等を充実させるための方策について,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(平成16年3月までに政府による措置の予定)
 ○ 仲裁法制(国際商事仲裁を含む。)を整備するための法律の施行に伴い,所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)
 ○ 総合的なADRの制度基盤を整備する見地から,ADRの利用促進,裁判手続との連携強化のための基本的な枠組みを規定する法律案の検討等について,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(遅くとも平成16年3月までに政府による措置の予定)

コ 司法の行政に対するチェック機能の強化
 ○ 行政事件訴訟法の見直しを含めた行政に対する司法審査の在り方について,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(遅くとも本部設置期限までに政府による措置の予定)

(2) 刑事司法制度の改革
 刑事裁判の一層の充実・迅速化を実現するため,効率的かつ効果的な公判審理を確保するとともに,被疑者及び被告人に対する公的な弁護制度の整備を図る必要がある。
 公訴提起の在り方について,検察審査会の機能の強化等を図る必要がある。また,新たな時代に向けた捜査・公判手続の整備,犯罪者の改善・更生及び被害者等の保護の体制の整備も必要である。
 このような国民の期待に応える刑事司法制度を構築するため,推進本部等と連携・協力しつつ,推進本部の設置期限までに,以下のような所要の措置を講ずる。

ア 刑事裁判の充実・迅速化
 ○ 刑事裁判の充実・迅速化を図るための方策として,充実した争点整理のための新たな準備手続の創設及び証拠開示の拡充並びに連日的開廷の確保のための関連諸制度の整備を行うための法律の施行に伴い,最高裁判所規則の整備等の所要の措置を講ずる。(平成16年通常国会に政府による法案提出の予定)
 ○ 直接主義・口頭主義の実質化を図るための関連諸制度の在り方及び裁判所の訴訟指揮の実効性を担保する具体的措置等について,推進本部の検討状況を踏まえつつ,必要な検討を行う。

イ 被疑者・被告人の公的弁護制度の整備
 ○ 公正中立な機関が公的資金を受けて運営する公的弁護制度を導入し,被疑者・被告人段階を通じ一貫した弁護体制を整備するための法律の施行に伴い,最高裁判所規則の整備等の所要の措置を講ずる。(平成16年通常国会に政府による法案提出の予定)
 ○ 少年審判手続における公的付添人制度について,推進本部の検討状況を踏まえつつ,必要な検討を行う。

ウ 公訴提起の在り方
 ○ 検察審査会の一定の議決に対し法的拘束力を付与する制度を導入するための法律の施行に伴い,検察審査会の効率的体制を構築するための所要の措置を講ずる。(平成16年通常国会に政府による法案提出の予定)

エ 新たな時代における捜査・公判手続の在り方
 ○ 刑事免責制度等新たな捜査手法の導入の是非並びに参考人の協力確保及び参考人保護のための方策について,関係機関の検討状況を踏まえつつ,必要な検討を行う。
 ○ 被疑者・被告人の不適正な身柄拘束を防止・是正するための関係機関の検討状況を踏まえつつ,引き続き,刑事手続全体の中で,制度面,運用面の双方において必要な検討を行う。

オ 被害者等の保護
 ○ 刑事手続の中での被害者等の保護・救済への配慮について,関係機関と連携を図りつつ,検討を行う。

(3) 国際化への対応
 司法の国際対応力を強化するため,民事司法等の国際化,法整備支援の推進,弁護士の国際化について,推進本部等と連携,協力しつつ,推進本部の設置期限までに,以下のような所要の措置を講ずる。

ア 民事司法の国際化
 ○ 国際的な民事事件の増大に対応するため,第2の1(1)アの民事司法制度の充実・迅速化,第2の1(1)イの専門的知見を要する事件への対応強化,第2の1(1)ウの知的財産権関係事件への総合的な対応強化に関する措置を講ずる。
 ○ 第2の1(1)ケの仲裁法制の整備に関する措置を講ずる。

イ 法整備支援の推進
 ○ 開発途上国に対する法整備支援について,関係機関と連携を図りつつ,引き続き推進する。

ウ 弁護士の国際化
 ○ 国際化時代の法的需要に対応するため,法曹養成段階における対応方法について,関係機関と連携を図りつつ,所要の措置を講ずる。

2 司法制度を支える人的体制の充実強化
 司法制度を支える体制を充実強化するため,法曹人口の大幅な増加,裁判所の人的体制の充実,法曹養成制度の見直し,裁判官等の能力及び資質の一層の向上のための制度の整備を図るため,以下のとおり,改革を推進する。

(1)法曹人口の拡大
 司法制度の充実強化を図る上で,多数の優れた法曹を確保することは最も重要な課題の1つである。新たな法曹養成制度の整備に伴う司法試験合格者の大幅な増加への実効的な対応,裁判官の大幅な増員をはじめとする裁判所の人的体制の充実について,推進本部等と連携,協力しつつ,推進本部の設置期限までに,以下のような所要の措置を講ずる。

ア 司法試験合格者の増加への実効的な対応
 ○ 現行司法試験合格者数の増加(平成14年に1200人程度,平成16年に1500人程度に増加)に実効的に対応する司法修習の体制の整備を図るため,所要の措置を講ずる。
 ○ (2)の法曹養成制度の改革における司法修習の内容の工夫,見直しや修習の体制の整備等に関する措置を講ずる。

イ 裁判所の人的体制の充実
 ○ より適正かつ迅速な裁判を実現し,専門事件への対応を強化することが求められており,適切な人材を安定的に確保するため,計画性をもった裁判官の増員を図ることが必要である。各種の制度改革の進展,裁判事件の動向等を踏まえるとともに,その制度等を効率的に活用しつつ,裁判官の必要な増員を図るため,所要の措置を講ずる。
 ○ 上記の目的を達成するため,裁判所書記官等の裁判所職員の質,能力の向上を一層推し進めるとともに,その必要な増員を図るため,所要の措置を講ずる。

(2)法曹養成制度の改革
 質量ともに豊かな法曹を確保するため,法科大学院における法学教育,司法試験,司法修習を有機的に連携させた「プロセス」としての法曹養成制度の整備が進められる下で,法科大学院に関する制度の整備や司法試験について推進本部等の検討及び措置を踏まえつつ,所要の措置を講ずるとともに,司法修習の在り方などについて検討し,推進本部の設置期限までに,以下のような所要の措置を講ずる。

ア 司法修習
 ○ 司法修習について,推進本部等における検討と連携しながら,司法修習生の増加に実効的に対応し,法科大学院の教育内容等を十分に踏まえたものとなるよう,実務修習を中核として位置付けつつ,司法修習の内容の適切な工夫,見直しや,司法修習体制の整備を図ることを検討し,政府における検討の結論を踏まえつつ,所要の措置を講ずる。
 ○ 司法修習生の給費制について,推進本部における検討状況を踏まえつつ,その在り方について必要な検討を行う。
 ○ 司法研修所の管理・運営について,法曹三者の協働関係の一層の強化,法科大学院関係者や外部の有識者の声をも適切に反映させる仕組みを設けることについて所要の措置を講ずる。

イ 継続教育
 ○ 法曹の継続教育に関する態勢を総合的,体系的に整備するため,関係機関と連携を図りつつ,所要の措置を講ずる。

(3)弁護士制度の改革
 推進本部等の措置を踏まえつつ,推進本部の設置期限までに,以下のような所要の措置を講ずる。
 ○ 法曹養成段階での倫理教育の強化について,関係機関等と連携を図りつつ,所要の措置を講ずる。

(4)検察官制度の改革
 推進本部等の措置を踏まえつつ,推進本部の設置期限までに,以下のような所要の措置を講ずる。
 ○ 検察審査会が検察事務の改善に関し検事正に対して行う建議・勧告の制度を充実・実質化することに関する法律の施行に伴い,所要の措置を講ずる。(平成16年通常国会に政府による法案提出の予定)

(5)裁判官制度の改革
 複雑多様化,高度化が進展する21世紀の我が国社会において,裁判所が国民から負託された機能を十全に果たしていくためには,裁判官の能力及び資質を一層向上させるための制度の整備等を図る必要がある。
 このような観点から,今後の我が国の社会における司法を担う高い質の裁判官を安定的に確保していくことを目指し,改革審議会の意見の趣旨にのっとって,関係機関と連携,協力を図りつつ,判事補制度の改革や弁護士任官の推進等給源の多様化・多元化のための措置等を行う。また,国民の意思を反映しうる機関が下級裁判所の裁判官の指名過程に関与する制度の整備や人事評価について透明性・客観性を確保するための仕組みの整備等を行う。
 推進本部等との適切な連携を図りつつ,推進本部の設置期限までに,以下のような所要の措置を講ずる。

ア 給源の多様化・多元化
 ○ 原則としてすべての判事補に裁判官の職務以外の多様な法律専門家としての経験を積ませることを制度的に担保する仕組みを整備することとし,平成15年末までに所要の措置を講ずる。
 ○ 特例判事補制度の計画的かつ段階的な解消に向けて,判事の増員,弁護士等からの任官の推進等の諸条件の整備の状況等を踏まえつつ,所要の措置を講ずる。
 ○ 弁護士任官等を推進するため,日本弁護士連合会と協議・連携を進めることにより,その方策について継続的に検討を行い,所要の措置を講ずる。

イ 裁判官の任命手続の見直し
 ○ 最高裁判所に,その諮問を受け,下級裁判所の裁判官として指名されるべき適任者を選考し,その結果を意見として述べる機関を設置するとともに,同機関が十分かつ正確な資料・情報に基づき実質的に適任者の選考に関する判断を行いうるよう,適切な仕組みを整備することとし,所要の措置を講ずる。

ウ 裁判官の人事制度の見直し
 ○ 裁判官の人事評価について,可能な限り透明性・客観性を確保するための仕組みを整備することとし,平成15年末を目途に所要の措置を講ずる。
 ○ 裁判官の報酬の進級制(昇給制)について,報酬の段階の簡素化を含め,推進本部における検討を踏まえ,必要な検討を行う。

エ 裁判所運営への国民参加
 ○ 裁判所運営について,広く国民の意見等を反映することが可能となるような仕組みを整備するために,家庭裁判所委員会制度の充実を図るとともに,地方裁判所においてもそれと同様の仕組みを導入することとし,所要の措置を講ずる。

オ 最高裁判所裁判官の選任等の在り方について
 ○ 最高裁判所裁判官の国民審査制度に関し,最高裁判所裁判官のプロフィールを紹介するなど最高裁判所裁判官に係る情報開示の充実を図るための措置について検討を行う。

(6)法曹等の相互交流の在り方
 関係機関等と連携,協力しつつ,推進本部の設置期限までに以下のような所要の措置を講ずる。
 ○ 国民の期待と信頼に応えうる法曹を育成・確保するための法律専門職間の人材の相互交流の促進について,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。

3 司法制度の国民的基盤の確立
 国民の司法制度への関与の拡充等を通じて,司法に対する国民の理解を増進させるとともに,その信頼を向上させるため,以下のとおり,改革を推進する。

(1)刑事訴訟手続への新たな参加制度の導入
 刑事訴訟手続において,国民が裁判官とともに責任を分担しつつ協働し,裁判内容の決定に主体的,実質的に関与することができる制度を導入するとともに,その他の分野における参加制度を拡充するため,推進本部等と連携,協力しつつ,検討を行い,推進本部の設置期限までに,以下のような所要の措置を講ずる。
 ○ 刑事訴訟手続において,広く一般の国民が裁判官とともに責任を分担しつつ協働し,裁判内容の決定に主体的,実質的に関与することができる新たな参加制度を導入するための法律の施行に伴い,最高裁判所規則の整備等の所要の措置を講ずる。(平成16年通常国会に政府による法案提出予定)

(2)その他の分野における参加制度の拡充
 推進本部の設置期限までに,以下のような所要の措置を講ずる。
 ○ 第2の1(1)イの専門委員制度の導入,第2の1(1)オの調停委員等の制度の拡充に関する措置を講ずる。
 ○ 第2の1(2)ウの検察審査会の一定の議決に対し法的拘束力を付与する制度の導入等に関する措置を講ずる。
 ○ 第2の2(4)の検察審査会が検察事務の改善に関し検事正に対して行う建議・勧告の制度の充実・実質化等に関する措置を講ずる。
 ○ 第2の2(5)イの裁判官の任命手続の見直しに関する措置を講ずる。
 ○ 第2の2(5)エの裁判所運営への国民参加に関する措置を講ずる。

(3)国民的基盤の確立のための条件整備
 推進本部の設置期限までに,以下のような所要の措置を講ずる。
 ○ 司法を国民の視点に立った分かりやすいものとするための基本法制の改正を踏まえ,判決書を分かりやすいものにするなどの工夫について引き続き検討を行う。
 ○ 学校教育等における司法に関する学習機会を充実させるための方策について,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(本部設置期限までに政府による措置の予定)
 ○ 司法の国民に対する透明性を向上させるため,検察庁,弁護士会と同様に,裁判所における情報公開・提供を引き続き推進する。
 ○ 判例情報を,プライバシー等に配慮しつつインターネット・ホームページ等を活用して公開し提供するため,所要の措置を講ずる。