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司法制度改革推進本部顧問会議(第5回)議事録



1 日 時 平成14年7月5日(金)18時〜19時30分

2 場 所 総理大臣官邸大会議室

3 出席者

(顧問)
佐藤幸治座長、大宅映子顧問、奥島孝康顧問、小島明顧問、佐々木毅顧問、笹森清顧問、志村尚子顧問

(推進本部)
小泉純一郎本部長(内閣総理大臣)、福田康夫副本部長(内閣官房長官)、森山眞弓副本部長(法務大臣)、上野公成本部長補佐(内閣官房副長官)、古川貞二郎本部長補佐(内閣官房副長官)

(事務局)
山崎潮事務局長、田中成明法曹養成検討会座長 他

4 議事次第

(1) 開 会
(2) 司法制度改革について
(3) 検討会の検討状況等について
(4) 閉 会

【佐藤座長】 それでは、ただいまから「司法制度改革推進本部顧問会議」第5回会合を開会いたします。顧問の皆様には、本日御多用のところ御出席賜りまして、心から厚く御礼申し上げます。
 今井顧問は、本日所用のため御欠席でございます。
 また、本日は、法曹養成検討会の田中座長においでいただいております。どうもありがとうございます。  それでは、議事次第に従いまして、まず司法制度改革に関する顧問アピールについて皆様にお諮り申し上げたいと存じます。
 これまで顧問会議でもいろいろ御議論をいただいてまいりました。この司法制度改革は重要であるにも関わらず、事柄の性質上やや盛り上がりに欠けているところがあるのではないか、顧問会議として総理に私どもの考え方をお伝えし、国民の皆さんにアピールする必要があるのではないかというような御意見であったかと思います。
 皆様の御意向を受けましてペーパーを書かせていただきましたけれども、私の非才の故に十分なものができず、御不満の点多々あったかと思いますけれども、お陰様を持ちまして皆様の貴重な御意見を参考にしながら、お手元にあるようなペーパー案としてまとめることができました。
 司法制度改革審議会意見書の趣旨、司法制度改革の重要性ということを、これからも折に触れて訴えていく必要があるかと思いますけれども、今回はその最初の最も重要な作業ということになるのではないかというように存じております。
 司法制度改革の3つの柱は、司法制度改革審議会意見書に従ったものでありますけれども、このアピールでは21世紀の日本を支える司法の姿を、「FAMILIAR」「FAIR」「FAST」という3つの「F」を使ってまとめ、お手元にあるような形にさせていただいた次第でございます。
 皆様のそれぞれの御意見をここで十分反映しているかどうかは、心もとないところがございますけれども、この辺りのところで御了解をちょうだいできれば大変にありがたいんですけれども、いかがでございましょうか。

【笹森顧問】 前々回の顧問会議のときに、国民的なアピールをどうするか、特に司法制度改革審議会の中で進められたときのいろんなマスコミを含めた反響の問題、国民的な世論形成の問題、政府自体の取り組みの力の入れ方が少し薄いのではないかというような話が全部の委員から出されました。佐藤座長に内容的なものについては一任をする形でとりまとめていただいたんですが、この内容については極めて評価をさせていただきたいと思います。
 ただ、問題は、今座長のお話の中にあったんですが、これを単なる顧問会議のアピールとして発表するのか。せっかくここまで司法制度改革の3つの柱に基づいて、FAMILIAR、FAIR、FASTというのを出して、極めてコアの部分、簡潔にまとめた内容になっていますので、総理あてに顧問会議の意見書として提出をして、その上で、これに付随するアピールについてどう扱うか、という位置付けをまず確認した方がよろしいのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

【佐藤座長】 ありがとうございます。今の笹森顧問の御指摘についてはいかがでごさいましょうか。
 そういう御理解でよろしゅうございますか。

(「賛成」と声あり)

【佐藤座長】 ありがとうございます。そうしたら、内容についてはこれでよろしゅうございますか。では、「案」を取るということになりますが。

【笹森顧問】 内容は極めて評価をしますと申し上げたんですが、特に、第1の柱のところの、これは総理も言及されていると思うんですが、2年以内に判決が得られるようにと、ここを明確に出したということ、私はこれは裁判上の決着がつく、事件が解決をするということとして、極めてこれは重要視をしなければならないと思うんです。したがって、このことが入ったことについて、評価をさせていただきたいのと、それから、2ページの一番下の○のところに、労働関係事件への総合的な対応強化という部分、これは、年間100 万件を超す個別労使紛争の相談があって、実際的には4,000 件足らずの裁判しかなく、ほとんど泣き寝入りだった。そのことを明確に打ち出していただいたということについて、特に評価をさせていただきたいと思います。

【佐藤座長】 ありがとうございます。私も、2年以内に判決が得られるようにすること、これが、今回の私どものペーパーの最も重要なコアをなすものだというように考えております。また、労働関係事件につきましては、審議会最終意見書の文言をそのままここで表現させていただきました。審議会でも非常に議論となったところでございまして、意見書の趣旨を盛り込んでいるところです。
 そうしましたら、内容については御了解いだだいたということにさせていただきます。この文書の性質についてですが、先ほど笹森顧問が御指摘なされたように、私ども顧問会議としての考え方を総理にお伝えする、お願いするということが主眼ですが、付随的に、当然、国民の皆さんに司法制度改革の重要性を訴える、アピールという意味も持ってこようかと思います。このペーパーの趣旨はそういうものである、私どもの理解はそれで一致しているということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

【佐藤座長】 どうもありがとうございます。この間、文章などにつきまして顧問の皆さんに本当にいろいろ貴重な御意見を寄せていただき、ここにたどり着くことができたということに対して、改めて心から厚く御礼申し上げたいと思います。
 それでは、ここで、「案」が取れた、お手元の文書には「案」というのが入っておりますけれども、その「案」が取れたものを総理にお渡ししたいと思います。その前に、カメラが入るということですので、しばらくお待ちください。

(報道陣カメラ入室)

【佐藤座長】 それでは、総理、よろしくお願いいたします。

(アピールを佐藤座長から小泉総理に手交)

【佐藤座長】 ここで、総理から顧問会議のアピールに対する感想も含めてごあいさつをちょうだいできればありがたく思います。

【内閣総理大臣】 お忙しいところ、ありがとうございました。前に、私はこの場で、「思い出の事件を裁く最高裁」という川柳を御披露したことがあるんです。これは、余り裁判に時間が掛かり過ぎではないかと、この国の司法制度が国民の思いからかなりかけ離れている状態を皮肉ったものと考えています。別に私がつくったんじゃないですよ。新聞で、こういう川柳が出ていたということを御披露したまでです。これは国民の率直な感情だなと思っています。
 そういうことから、改革でまず必要なのは司法を国民の手の届くところに置くべきではないかと、全国に3,300 余りある市区町村の85%には、弁護士が一人もいないという説明を聞きました。
 例えば、私の地元で言えば、横須賀市には、23名の弁護士がいる一方で、三浦市も私の選挙区なんですが一人もいないということなんです。司法改革は人材を育成し、法曹人口を増やすことを柱の1つとしています。その意味するところは、全国どの町に住む人にも法律サービスを活用できる社会を実現することでありますから、その具体的な方策を講じていく必要があります。
 次に、司法を国民にとって頼りがいのあるものにするためには、迅速な判決、迅速な権利の実現を期待できる制度にしなければならないと思います。具体的な目標として、裁判の結果が、必ず2年以内に出るように改革していきたい。刑事、民事とも、地裁の判決が出るまで5年、10年という時間が費やされる場合があるということは、余りにも遅過ぎるのではないか、めまぐるしい時代の変化や人の寿命の長さから見て、我が国の司法は世の中の期待に応えているとは言えない面が随分あると思います。現状の司法手続や司法現場における運用において、2年以内という目標の達成が困難であるというなら、これをいかに可能にするか、その仕組みを考えなければならないと思っております。
 また、裁判が下っても、その執行によって権利の実現が速やかに図られなければ、国民の信頼を勝ち得ることはできません。「事後チェック・救済型社会」が求める、迅速で力強い司法へと着実に改革を進める必要があります。
 私は、司法改革こそ構造改革の根底をなすと信じております。司法に必要とされる知識が専門化している現代社会においては、一層多種多様な人材に門戸を開くことで、我が国の法曹界も競争による活性化の道を選択すべき時に来ていると思います。司法改革を決して「絵に描いた餅」に終わらせてはなりません。
 改革を進めようとすれば、すべての関係者にとって快適なものにはなり得ません。現状に安住する余り、改革に躊躇を示したり、抵抗する向きが現れることは、どの分野でも同じであります。国民に、身近で頼りがいのある司法の実現に私は全力を挙げたいと思っております。
 本日、顧問会議から、国民に向けた明快なアピールを受け取り、私自身、改革への意を強くしたところであります。このアピールの趣旨に沿った司法改革を確実に実現できるよう、引き続き皆様方の御尽力、お力添えを心からお願いを申し上げて、ごあいさつに代えさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【佐藤座長】 ありがとうございました。それでは、報道のカメラは退室をお願いします。

(報道陣カメラ退室)

【佐藤座長】 総理は、公務のため、ここで御退室されます。

(総理退室)

【佐藤座長】 それでは、続きまして検討会の検討状況等について、事務局から資料の説明をお願いします。

【事務局長】 それでは、私の方から進捗状況等について簡単に御説明を申し上げます。資料としては、2と3でございます。
 まず、前回の顧問会議におきまして、顧問会議と検討会の関係につきまして、相互に十分な意思疎通を図っていくことが必要だという御意見をちょうだいしたわけでございます。これを受けまして、去る6月19日に顧問と検討会座長との懇談会を開催いたしました。日程の関係上、顧問の方々の全員の御出席はいただけず、この点は残念ではございましたが、各検討会から座長、またはその代理の委員の方にお越しをいただき、また法務大臣にも御多忙中のところを御出席をいただきまして、有意義な意見交換をしていただくことができたと思っております。
 また、その際に、検討会の座長相互間の意見交換の機会も設けた方がよいのではないかという御意見もございましたので、この点も含めまして、今後も積極的にこのような機会を設けてまいりたいと考えているところでございます。
 さらに、本日は、法曹養成検討会の田中座長にお越しをいただいております。後ほど、法曹養成制度について御検討いただく予定になっておりますが、その際には、座長御自身から、検討会における検討状況を御説明いただくとともに、御議論にも参加していただきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に資料2でございます。検討会、関連の審議会等における検討状況につきましては、ここに記載したとおりでございますが、法曹養成以外では、特に平成15年の通常国会への法案提出を予定している事項についての検討が急ピッチで進められているところでございます。例えば、司法アクセスの検討会では、訴え提起の手数料及び訴訟費用額確定手続について前回の検討会で意見の整理が行われましたし、また、仲裁検討会では、論点について一通りの議論を行った上、これを踏まえまして、更に議論を進めているという状況でございます。
 それから、国際化検討会でございますけれども、弁護士と外国法事務弁護士との提携・協働の推進について論点項目の議論に入っております。
 また、法曹制度検討会におきましては、弁護士の活動領域の拡大、弁護士会の綱紀・懲戒手続の透明化・迅速化・実効化等の弁護士法改正問題について法改正の方向性等につきまして、検討が行われているところでございます。
 そのほか、裁判員制度・刑事検討会、公的弁護制度検討会等におきましても、主要な論点について検討が開始されているところでございます。
 検討会以外のものでございますが、ADR、これは裁判外の紛争解決手段のことを指すわけでございますが、その拡充、活性化に関しまして、司法制度改革推進計画に盛り込まれている事項である、ADRに関する関係機関等の連携強化を促進するために、ADRの拡充・活性化関係省庁等連絡会議を6月13日に設置したところでございます。この連絡会議は、ADRに関係する16の省庁の課長クラスによって構成されておりまして、今後、運用面において関係省庁として横断的、重点的に取り組むべき具体的な方策等について検討していただくことになっております。
 さらに、行政訴訟検討会の関係では、行政訴訟制度の見直しについて、事務局におきまして、7月1日よりインターネットのホームページ上で国民の意見募集を行っておりまして、今後寄せられた御意見をも参照して、秋以降、具体的な検討を進める予定でございます。御報告は以上のとおりでございます。

【佐藤座長】 ありがとうございました。ただいまの事務局長の説明に関しまして、何か特にお尋ねになりたいようなところはございませんでしょうか。
 よろしゅうございますか。
 それでは、次に、これはかねて笹森顧問が御指摘になされておったところでありますけれども、最高裁判事の任命に関しまして、内閣官房の方から御説明があると伺っておるんですが、お願いいたします。

【内閣総務官室柴田内閣審議官】 内閣審議官の柴田でございます。お手元の資料4をごらんいただきたいと思います。
 今、座長からもお話がございましたように、笹森顧問から、最高裁裁判官の選任について透明性、客観性を確保する観点から、運用面で工夫できないかというような御指摘がございました。内閣官房としましては、6月の最高裁判事の任命からお手元の資料のような形で選考過程や選考理由を明らかにすることといたしました。
 具体的に申し上げますと、資料4をごらんいただきたいと思いますが、最高裁裁判官の任命は、最高裁長官の意見を聞いた上で、内閣として閣議決定をする。
 2つ目は、最高裁長官に意見を聞くのは、最高裁の運営の実情を踏まえたものとなるよう、人事の万全を期すために慣例として行っているものである。
 それから、最高裁長官の意見は、一般的には出身分野、候補者複数名とその中でも最適任候補者に関するものについて意見を伺うということであります。
 それから4番目でございますが、候補者につきましては、主として裁判官、弁護士、検察官の場合には、最高裁長官から複数候補者について提示を受け、行政、外交を含む学識経験者につきましては、原則内閣官房で候補者を選考し、いずれの場合も内閣総理大臣の判断を仰いだ上で閣議決定をするということであります。
 その際、最高裁の裁判官は、憲法上も国民審査を受けるという大変重い地位であることに鑑みまして、極力客観的かつ公正な見地から人選をしているということです。
 それから、最高裁の裁判官の出身分野についての御議論がございますが、現在の最高裁裁判官の出身分野は、最高裁の使命、扱っている事件の内容などを総合的に勘案した結果のものであるということです。
 こうでなきゃいけないと固定しているわけではありませんが、そこに現在最高裁裁判官の15人の出身分野というのをそこに記してございますけれども、裁判官出身の方が6名、民事5、刑事1、弁護士4、学識者5で、内訳はそこにあるとおりでございます。
 そして、最高裁裁判官の法律上の任命資格というのが裁判所法41条に規定されておりますけれども、識見が高く、法律の素養のある40歳以上の方で、15人のうち少なくとも10人は高裁長官又は判事を10年以上、それから、もう一つの要件は、高裁長官、判事、簡裁判事、検察官、弁護士、法律学の教授などで通算20年以上、こういう要件のある方、法律の専門家といいますか、そういう方を少なくとも10人は任命するようにということが、法律上規定されています。
 その結果として、任命した今の現在の状況というのがその1つ上の、先ほど申し上げた数でございます。
 それから、最高裁の使命は、言うまでもなく憲法判断とか法令解釈の統一ということでございますが、平成12年度の最高裁の新規受理件数というのを見てみますと、6,400 件、うち民事事件は4,500 、刑事事件は1,900 ということで、圧倒的に民事事件が多いということでございます。
 それから、大法廷での事件ということになりますと、そのうち大法廷で扱う事件ということでございますが8件ということでございまして、結果としては小法廷で扱われる事件というのが大変多いということでございます。
 こういうようなことを総合的に勘案した結果、今のこういう出身分野の比率になっているということでございます。
 以上のようなことにつきまして、内定後、官房長官記者会見で、可能な範囲で選考過程とか選考理由を明らかにするということにしております。
 なお、候補者を含めまして、具体的な人選の過程、だれとだれが候補者になってというような具体的な人選の過程は公表は差し控えるということでございます。
 以上でございます。

【佐藤座長】 どうもありがとうございました。ただいまの説明につきまして、何か御質問があればお願いします。

【大宅顧問】 出身分野は固定ではないとおっしゃったんですが、ここ数年大体こんな業種とか、そういうのはないですか。

【柴田審議官】 出身分野は、ここ数年というか、もう少し長い間ですけれども、ほとんど変わっておりません。

【佐藤座長】 新民訴で上告を少し厳しくするということになりましたけれども、新受件数が減ってきているというようなことはないんでしょうか。余り変わらないで、ずっとこういう状況が続いているということでしょうか。それにしても、新受件数が非常に多いと思うんですけれども。

【柴田審議官】 件数は多少波はあったけれども、ここ数年はそんなに変わっていなかったのではないかと思います。

【大宅顧問】 先ほど、メディアからとか、それから外交官も役員になりますね。最終的に外交官という枠ですね。でも、今は大学教授だけれども、お役人の方が長いというのがありますね。でも、この枠になりますね、この分け方でいくと、最終的には。

【柴田審議官】 外交官をやられた方は。

【大宅顧問】 外交官ですね。別に文句つけるわけではないんだけれども。

【佐藤座長】 ほかにいかがでしょうか。

【笹森顧問】 大分こだわらせていただきました問題ですので、ここまで文書で出てきたのは多としたいと思うんですが。

【大宅顧問】 これは、今まで出てきていなかったんですか。

【笹森顧問】 あったんでしょう。そこのところちょっと今聞こうと思っているんですけれども。
 これは例えば、○の2つ目に、「最高裁長官の意見を聞くのは、慣例として行っている」とあるが、今後は、このことをやるというふうに決めたということなんですか。それから、この一つひとつは、今、大宅さんもおっしゃられたんだけれども、今までやっていたことをもう一回改めて書いたということですか。

【柴田審議官】 まず、最高裁長官に意見を聞くというのは前からやっておりましたから、今回初めてやるということではございません。それから、今日申し上げた内容というのは、今まで、例えば、最高裁の判事を任命するというときに、内閣官房からの発表、官房長官に発表していただくわけですが、そのときにも、お手元の資料のとおりという形で、余り、この人がどういう経歴だったとかということを発表したことが今までほとんどありませんでしたというか少なかったんです。それを今回からは、最高裁長官の意見を聞いてということとか、それから、今度裁判官になられる方がどういう経歴でどういうことでこういうふうに選びましたということを積極的に説明するというのが、今度の説明申し上げた内容でございます。

【佐藤座長】 志村顧問、どうぞ。

【志村顧問】 男女共同参画社会の時代でございますけれども、女性を少なくとも入れようという積極的なお考えはあるんでございましょうか。

【柴田審議官】 昨年、最高裁判事として2人目でございましたけれども、横尾判事を任命するということがございました。そういう頭で私どもは対処しております。

【奥島顧問】 ロースクールが安定的に運営されるようになった段階ぐらいには、この裁判官の出身分野は多少影響があるのでしょうか。

【柴田審議官】 もうちょっと先の話ですので、そのときに最高裁といろいろ話の中で決まっていくことと思います。

【佐藤座長】 これに関して、検討会での検討状況などに関連して何か事務局長の方からお答えになることがありますか。

【事務局長】 官邸の方から運用についてお話がございましたが、私どもの検討会の方では、制度論としてどうするかという問題も抱えておりまして、これから夏にかけて、学者の方にお願いして、外国の制度をまず調べたいと思っております。それを分析してから、更に日本としてどうするかということを検討したいと考えております。

【佐藤座長】 さっきの笹森顧問の御指摘ですが、任命過程について、従来、いろいろ推測はされていたことなんですけれども、こういう形で文書で出されるのは初めてのことではないでしょうか。

【笹森顧問】 かもしれませんですね。

【佐藤座長】 今後の制度の在り方については、先ほど事務局長がおっしゃったように、外国の諸制度を調査した上で検討が進められて、何がしかの結論といいますか、考え方が出されてくるのではないかと考えます。その段階で、この問題についてまた御議論いただければと思いますが、今日のところは、こんなところでよろしゅうございますか。どうもありがとうございました。
 続きまして、法曹養成制度について御審議をお願いしたいと思います。まず、今日御出席の田中座長から、その点について御説明いただければと思います。

【田中法曹養成検討会座長】 それでは、法曹養成制度に関する検討状況などについて御説明申し上げます。
 この法曹養成制度につきましては、法曹養成検討会において検討しているところですけれども、その検討状況につきましては、前回の顧問会議で事務局からの説明があったと承知しておりまして、また、先月、先ほど、事務局長からお話がありました顧問と検討会座長との懇談会におきましても、私の方から御説明申し上げたところです。
 そこで、今日は、最近の検討状況を中心に御説明させていただきたいと存じます。  まず、法科大学院の第三者評価と司法試験の受験資格との関係につきましては、この資料5をごらんいただきたいと思います。2枚目以下に図が付けてございますので、それも適宜御参照いただければ幸いです。
 この問題は、法科大学院の教育水準の確保、向上の必要性の問題とか、あるいは規制緩和、官民の役割分担の問題、大学制度全般についての第三者評価制度との関連など、いろいろな点から考慮する必要のある難しい問題でございまして、この資料5は、検討会におけるこれまでの議論などを踏まえまして、第三者評価と司法試験の受験資格付与のスキームとして考えられる案を記載したものでございます。以下、簡単に御説明申し上げます。 まず、第1案は、司法試験の受験資格との関係では、第三者評価機関を1つに限りまして、当該評価機関から適格認定を受けた法科大学院の修了者に受験資格を認めることとするというものでございます。
 この第1案につきましては、第三者評価機関は1つではなくして複数存在することを認めて競争させるべきであるという御意見とか、あるいは、規制緩和などの観点から、評価機関を法令上1つに限定すべきではないという意見が出されております。
 次に第2案につきましては、主務大臣が認証した複数の第三者評価機関が、法科大学院の第三者評価を行うとした上で、司法試験の受験資格の付与につきましては、受験資格付与のための基準を法令で定めて、主務大臣において第三者評価の結果を踏まえて法科大学院がその基準に適合していると認めた場合には、その旨の認定、これをここでは適合認定と言っておりますけれども、そういったものを行いまして、その適合認定を受けた法科大学院の修了者に受験資格を認める、とするものです。
 この第2案につきましては、第三者評価とは別に、主務大臣が直接的に法科大学院の教育内容の当否を認定することは適切ではないのではないかという意見がございます。また、第三者評価と主務大臣による認定を二重に行うことになり、そこまでやる必要はないのではないかという意見もございます。さらに、法科大学院に対する国の関与が強過ぎるのではないかという批判が出されているところでございます。
 最後の第3案につきましては、主務大臣が第2案のような直接的な関与をしないという案でございまして、この主務大臣が認証した複数の第三者評価機関が専ら法科大学院の教育水準の維持向上の観点から法科大学院の第三者評価を行うこととした上で、設置認可が取り消されない限り、法科大学院修了者に司法試験の受験資格は認められるということにするものであります。
 この案では、主務大臣が受験資格についての判断を行わないことから、第三者評価機関が不適格と認定した場合でも、直ちに受験資格の取消には結びつかずに、不適格認定を受けた後も、改善が見られないということなど、法科大学院が法令違反、設置基準違反でございますけれども、こういった法令違反の状態にあると認められた場合には、主務大臣が、法科大学院の設置認可を取り消すことができるものといたしまして、設置認可が取り消されるまでは、当該法科大学院の修了者に受験資格が認められるということになります。
 したがいまして、この場合は主務大臣は、法科大学院の教育内容について、設置認可やその取り消しに関する限度でのみ関与することになりますので、国の関与は必要最小限度となりますので、規制緩和の流れに最も沿った案になるものと考えられます。
 検討会では、この第3案を基本として検討することについて、異論は出ませんでしたが、ただ、これは第三者評価を充実させるということと密接に関連しておりまして、この第三者評価を充実するための運用面における方策について引き続き検討する必要があるとされております。
 今後、この第三者評価の運用面における在り方を中心に検討を進めることになっております。
 続きまして、新司法試験の在り方につきましては、資料6をごらんいただきたいと思います。
 新しい司法試験につきましては、3月28日の検討会で、意見の整理を一応行ったわけですけれども、その後も引き続き検討を進めておりまして、資料6のうち、アンダーラインの部分が更に検討を加えた部分でございます。そのうち、3の新司法試験の試験方法につきましては、短答式試験及び論文式試験を同時期に実施いたしまして、受験者全員に短答式試験と論文式試験の双方を受けさせるという方向で検討しております。
 また、口述試験につきましては、法科大学院で双方向的・多方向的教育によって、口頭の表現能力について重点を置いた教育を行うということを踏まえて、これは実施しない方向で検討しております。
 それから、5の新しい司法試験の実施時期につきましては、試験は毎年5月ごろに実施しまして、合格発表の時期は、毎年8月末ないし9月初めころをめどにして、更に関係機関の協力を得て、もっと早くするように努めるという方向で検討しております。
 次に、司法修習の在り方に関する検討の概要について御説明させていただきたいと思います。資料7をごらんいただきたいと思います。
 新しい司法修習の在り方につきましては、5月から検討会で検討を開始しております。そして、検討すべき主な論点といたしましては、司法修習の期間、給費制の在り方、更に司法研修所の管理・運営の在り方でございます。
 これまでの検討では、司法修習の期間につきましては、法科大学院における実務教育や、法曹資格取得後の継続教育と司法修習との役割分担などを考慮いたしますと、現在1年6か月間とされております司法修習の期間を1年程度に短縮する方向で関係機関において具体的内容を検討するということにしております。
 また、司法修習生に対する給費制の在り方につきましては、法科大学院を含めた法曹養成制度全体を視野に入れながら、いわゆる貸与制などの代替措置の導入も含めて、給費制の在り方を見直すことについて検討することにしております。
 更に司法研修所の管理・運営につきましては、司法制度改革審議会意見におきまして、法曹三者の協働関係を一層強化するとともに、法科大学院関係者や外部の有識者の声をも適切に反映する仕組みを設けることを検討すべきとされておりまして、司法研修所を所管しております最高裁判所における検討状況を踏まえた上で今後検討をするとしております。
 新しい司法修習の具体的内容につきましても、最高裁判所を始めとする関係機関とも調整しながら、今後更に検討を進めることにしております。
 以上、法曹養成制度に関する現在の検討状況につきまして、簡単に御説明させていただきました。

【佐藤座長】 どうもありがとうございました。この法曹養成検討会はこれまで9回おやりになって、大変集中的に御審議いただいたわけですが、第三者評価、新司法試験、それから司法修習の在り方に関するただ今の御説明について、御質問、御意見をちょうだいしたいと思います。いかがでしょうか。

【笹森顧問】 第三者評価の関係なんですけれども、今、田中座長の御説明ですと、検討会では第3案を基本的に検討することに異論がなかったということだったことなんですが、これで行くというふうに受けとめていいんですか。

【田中座長】 いろいろ検討しておりますが、現在の状況では、第3案をベースにして、第三者評価の仕組みをしっかり作り、他の関連する仕組みと連動させて、全体として意見書の趣旨に沿った形にしていきたいと考えております。

【笹森顧問】 前回私が発言したときに、第3案が司法制度改革審議会意見書の趣旨に沿っているのではないかということを申し上げた経緯もあって、そういう方向の取組みでしたら、非常に歓迎をしたいと思います。
 それから、新司法試験は、口述試験を実施しないということですが、どういう論議の中でこういうふうになっていったのか。経過を教えていただきたい。

【田中座長】 口述試験をどうするかについていろいろ検討したわけですけれども、1つは今の司法試験と同じものを全部やるというのは、せっかく、法科大学院をつくって、プロセスとして長期間かけて教育をすることになるということを考えますと、やはりそれぞれの法曹養成機関で、一種の役割分担を行い、司法試験ですべての能力を全部試験するというのではなく、やはり法科大学院とか、司法試験に続く司法研修所で十分教育できるものについては、試験しなくても十分能力担保ができるのではないかということです。ほかの能力に比べますとオーラルな能力につきましては、法科大学院においても、多方向的、双方向的な形で、学生相互とか、教員と学生とのディスカッションを中心に教育することから、その能力については試験しなくてもいいんじゃないかということになりました。それと、もう一つ、できるだけ試験期間を短くしたいということもありまして、段階的にやっていくと、非常に期間が長くなっていくので、期間を短くしたいという考慮もございます。

【笹森顧問】 これは予備試験を受けた人も同じ扱いですか。

【田中座長】 予備試験については現在検討中でございます。

【大宅顧問】 これは前からずっと引っかかっているんですけれども、意見書の中にも、今までの司法試験というのは開かれている、小学校出ただけでも受けることは可能なんだそうですね。それでは、これから21世紀にふさわしい人間の幅のあるような人が通らない、こういうのばかりになってしまっているというので、法科大学院だというんですが、この司法試験を受けるための受験資格、その資格をどう言ったらいいかわからないんですが、法科大学院のためにも認可が要るわけですね。卒業して、それがちゃんと受験資格があるかをまた試験をする、その第三者評価機関をつくるにもまた大臣が認可する、もう屋上屋、屋、屋、屋みたいな話で、開かれたんじゃなくするのはいいんですけれども、何だか妙にやたらに規制というか狭くなるという気がするんですよ。今、法科大学院では双方向で授業をやるんだから、口述試験は要らないとおっしゃった。だったら、ちゃんとした認可するときに、授業はちゃんとやっていたんですねと、法科大学院を信用するのかしないのか、何かあっちへ行ったりこっちへ行ったりしているように私には見えるんです。時間が掛かるから嫌だとおっしゃるんですが、私は質の方が大事で、今、本当に人間性を見るというと、私はこの受験科目というのを見てびっくりしたんですけれども、一般教養みたいなのはないんですね。やはり私は、そういうものがあって、面接があって、初めて今から私たちが望んでいる人間味がある法曹というのが生まれるのではないかというふうに思うので、どちらが大事か、大事な方を優先して、もしかして少し時間が掛かるかもしれないけれども、私たちが欲しいと思うような人たちがなるんだったら、そのぐらい我慢するという方が私はまともな選択のように思えるんですが、今さらこんなことを言ってどうなるのかと言われても困るんですが、ついこの間、今、大検とか大学受験資格もやめるというのが出ましたね。私は前、教育改革委員会のときに、大学が条件を持っていて、それをクリアしたら別にそれでいいじゃないか、その前にどうして大学を受けるための資格が要るのかというのは、私にはいまだにわからないので、だから、本来なら司法試験を変えるべき、中身を、そういう人が通らないように。それを限度があるといってすぐ諦めて、何か違うものをつくって、屋根に行く前に何か階段の前にもかぎがあって、その前にも何があってみたいな感じで、それで本当に私たちが願っているようなことになるのだろうかというのがとても疑問なんですけれども。

【佐藤座長】 答えられないこともあるかもしれませんが、田中座長、いかがでしょうか。

【田中座長】 検討会でも大宅委員のおっしゃるように、かなり強硬に口述試験を残すべきだという方もいらっしゃったのですが、やはり、大勢としては、すべてを司法試験で判定するとなってくると、また、司法試験を点としてやっていくという発想につながっていくのですね。だから、ロースクールで比較的きちんと教育して判定できる能力と、司法試験で判定できる能力と、その後の司法修習できちんと教育をして身につけさせるのに適した能力を、役割分担の問題として考えていく必要があり、司法試験をどうしてやるかということになってくると、総体的に短期間で能力を判定する仕組みですから、口述試験はどうしてもやるべきだということにはならず、ほかのところにお任せしてもよいのではないかということになり、こういう形にまとまったわけです。

【法務大臣】 口述試験はやらないというのはわかったんです。面接もやらないんですか、全然。

【田中座長】 面接は一応口述試験と一体のものと考えております。

【法務大臣】 口述試験というと、司法試験の口述試験というのはすごく難しい問題を出されて、それを口で答えるわけでしょう。そういう難しいのではなくて、その人がどういう人かという、人の応対ぶりとか、そんなことを3分か5分だけ見るというような、普通にやる面接みたいなものはもっとないんですか。

【田中座長】 そのあたりは法科大学院で3年も双方向的・多方向的教育によって能力を養い判定しているわけですから、そこできちんと修了認定をして、そういう能力は法科大学院できちんと教育して、判定していただきたいという考え方です。

【法務大臣】 法科大学院の先生が試験官に必ずしもならないわけでしょう。ですから、司法試験の試験官が、この人は将来法曹になるにふさわしいと思うかどうかというのがどこかにないと、それこそ大宅さんがおっしゃったみたいな弊害が出てくるのではないかなと私もちょっと思っていたんですけれども。

【田中座長】 それは法科大学院の側から言うと、3年間法科大学院で学生を見ているわけですから、責任を持ってこういう能力や資質は教育し判定して送り出しますから、法科大学院を信用していただきたいということなのですけれども。

【法務大臣】 法科大学院を卒業するのには、人との応対ぶりとか、そういうことまでちゃんとクリアしないと卒業できないんですか。

【田中座長】 やはり、双方向的・多方向的な授業が中心ですから、従来のように期末試験を1回やって、それで全部評価するというのではなくて、日常的にそういう能力をも養いながらやっていくというように教育方法を変えるというのが非常に大きな目標でございますので。

【法務大臣】 それが卒業の1つの条件になっているのであれば、ここでは省いてもいいのかもしれませんが。

【田中座長】 司法試験で口述試験をやらないならば、それに合わせて、法科大学院の成績評価や修了認定の仕方のなかにそれに代わる能力評価を組み込む方向で検討する必要があると考えております。

【佐藤座長】 たくさんの科目があり、いろいろな先生が少人数教育をやることになりますよね。そして、厳格な成績評価をしなければいけないと要求しているわけですね。しかも、それが実際にやられているかどうかを第三者評価機関で評価していただきましょう、と。そういう全体の仕組みの中で考えているということですね。

【田中座長】 そうです。いろいろな大学のカリキュラムを見ていますと、例えば、少人数の演習方式で授業をやって、レポートを書かせて、そのレポートについて面接をして、単位を認定する、ということを考えているところもあり、そういう口頭的な表現能力のトレーニングも組み込んだ教育をやるというのは、法科大学院にとっては必須の要件ですので、その辺りは1回の口述試験よりは法科大学院で3年間みっちりやる方を信用していただきたいということでございます。

【佐藤座長】 例えば、1年生の段階で、あなたはちょっと向いていないんじゃないか、方向を転換した方がいいんじゃないかというようなことを、これは辛いことですけれども、先生が言わざるを得なくなってくる。

【大宅顧問】 でも、いつも日本の社会でやれるだろうかと。

【田中座長】 でも、それをやらないことには、法科大学院の教育は具体的に成り立たないと考えておりますので。

【法務大臣】 法科大学院の入学試験はどうするんですか。

【田中座長】 入学試験は今おっしゃったように、口述試験をやるところもございます。多分、いろいろなバックグラウンドを持った人を入学させるようになりますから、面接しないと、的確な能力の判定はできないと思います。

【法務大臣】 そこで基本的には最低の条件をまず見て、それから勉強してもらうということなんですかね。だから、全くそういう資質がない、ただ、点取るだけがうまいという人が上がってくると困ると思うんですよ。

【田中座長】 おっしゃる点は、法科大学院の方で、入学者の選抜の段階から気をつけてやるということです。

【佐々木顧問】 今のお話につきましては、最後に大臣が御質問されたように、やはり法科大学院に入れるプロセスから、特にさまざまな教養といったようなものを含めて、やはりちゃんとそういうことについてまで配慮したような形で人材のセレクションをやっていくということかと思います。ただ、察するに、いろいろな専門を学部段階でやってきた人が入りますから、すべての人がハッピーな形で法科大学院を修了できるかどうかについては、これはかなりリスクはあるというふうに見ておいた方がよろしいかと思います。
 ですから、そこではかなり難しい問題がやはり個別的には出てくるということを覚悟しないといけない。だから、と言って、今度は、今まで法律を勉強してきた人ばかり採った方が安心だという話になると、ちょっとまたこの趣旨が生きてこないわけで、やはり私は入れてから出るまでの間に相当中でいろいろなコンフリクトがあるということを想定して、法科大学院をつくっていただくということが話の前提です。そこがうまく行けば田中さんが言われたような話になって、恐らくそこでいろいろなろ過装置が働くのではないかということを私としては是非期待したいし、そうやってもらいたいものだというふうに思っております。
 これは法科大学院をつくる大学からなる団体等も今できつつありますので、そういったところでも議論を是非詰めていくことによって、今言われたような弊害が可能な限り、最後の試験をどうするかをめぐって私は必ずしもいろいろな意見があることを排除するつもりはございませんけれども、予備的な段階で、やはり入るときから、今、御指摘のあったような問題への対応はなされるべきものである、あるいはしてもらわなければ困ると、このように考えております。
 それで、ちょっとほかの点で質問を。
 資料5について1点ありますが、素朴な質問ですが、ここに主務大臣というのは、文部科学大臣という意味でしょうか。例えば、2、3、にも出てまいりますが。

【田中座長】 両方あるんですね。文部科学大臣の場合と法務大臣の場合と。

【佐々木顧問】 そうですか、それだと事は重要ですから、ちゃんと説明を。

【田中座長】 この図を見ていただきますと、どちらが関与するかということが書いてありますが、一応両方が関与するという形にしておりますけれども、性質上、片方がメインになって、片方がサブになるということになると思います。

【佐々木顧問】 そうすると、例えば、第3案が大事だとおっしゃいましたけれども、仮に第2案でも、これは認証については両方が関わるということでしょうか。それとも第3案でも、認証というのは、やはりこれは双方が関わるという、第三者評価機関の認証ですね。例えば、第2案はちょっと寄せておいて、第3案にしますと、主務大臣が認証したというのは、認証は両方がやるということですか。

【事務局長】 それでは、私の方で御説明いたします。
 3案で御説明をさせていただきたいと思いますが、この3案の前提は、第三者評価機関は、学校教育法上で今度新しく規定が置かれるものですが、これは大学そのもの、それから専門職大学院、全部を含めたものでございますけれども、法科大学院においてはそれを利用するという形になっております。そういう前提でございますので、主管は文部科学省ということになりますが、法務省の方に印が付いているのは、法務省の方の意見も聞いて決める、こういうことで両方が関与するという趣旨でできているということです。

【佐々木顧問】 そうですか。それで、マルポツの2つ目は、法科大学院が法令違反の状態にあると認めた場合には云々と、これはやはりこちらの方は、文部科学大臣という、これは主語があるようなないような文章なものだから、ちょっと確認したいんです。

【事務局長】 設置の関係は文部科学大臣でございます。

【佐々木顧問】 そうですか、それが取り消されるまでは認めると、こういうことなんですね。わかりました。
 それで2つ確認したい点があるんですが、実際、法科大学院ができて、第三者評価機関で評価をしてということになりますと、これは時系列的にどういうイメージを描いたらいいとか、あるいはどういうイメージで御議論になったのかといことをちょっと、もしよろしければ説明をしていただきたいというふうに思います。
 ということは、いつ評価をして、どのぐらいのタイミングでどうしていくのかという話は、どのようなスケジュールで起こってき得るのかということについての御議論の中身です。これをひとつお聞きしたいと思います。
 それからもう一つは、これは資料に基づく意見でなくて大変恐縮なんですが、数日前の新聞報道に、もし大変かんばしくない法科大学院がある場合に、こちらの方の主務大臣は別の方の主務大臣のようですが、法務大臣らしい、たしかそういうふうに新聞には書いてありましたけれども、何か是正措置を求めるようにするというように決めたのか、あるいは決めるのか、ちょっとあいまいだったんですけれども、そういう新聞報道を目にした記憶がございます。それは一体ここの仕組みの中に入る話なのか入らない話なのか、あるいは単なる誤報なのか、一応念のためお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

【田中座長】 前段の方は、大学全体の第三者評価の仕組みがどういうものになるのかが、まだ、中教審で検討中でございまして、この全体的なスキームが決まりますと、それと設置認可とをどうリンクさせるかということが、具体的な検討課題となるわけでして、設置認可をしたときに、仮に適格認定をしておくことにするとか、いろいろな形で連動させることを検討しないといけないということでございます。第三者評価の仕組みが決まらないことには、具体的に検討できないのですけれども、最初は、設置認可して、次の第三者評価が行われるまでの期間をどうするかというのは今から詰めていくことになりますが、その間、何もしないということはありません。設置認可した後も継続的にきちんとフォローアップできるような仕組みを考えなければならないと思っております。

【佐藤座長】 大宅顧問の御質問にちょっと関連するんですけれども、設置基準の方は余りがちがちに決めすぎないようにしようということです。司法制度改革審議会意見書を読み上げますと、「法科大学院の設置は、関係者の自発的創意を基本としつつ、基準を満たしたものを認可することとし、広く参入を認める仕組みとすべきである。」設置の方はそういうことなんです。しかし、クオリティー、質については第三者評価機関できちっとやっていただく、そして、その第三者評価機関の評価が非常に悪いということになれば、最終的には田中座長がお触れになったように、場合によっては御退場願わざるを得ないというところまで行く。要するに、設置の方は比較的参入しやすいようにし、設置後に関し第三者評価を非常に重要な要素として位置付けるということなのではないでしょうか。

【事務局長】 後段の方は、これはたしか新聞記事にたしか載っておりますが、これは自由民主党の司法制度調査会の中の法曹養成等の小委員会で行われた議論でございます。
 これは自由民主党の方から案としてどうかということを提示されたものでございまして、それが載ったということでございます。第3案の図を見ていただきたいのですが、これを前提にした話でございまして、非常に評価の悪い法科大学院が仮にあったとして、その場合に、設置認可の基準自体も満たさない恐れもある場合もあるわけでございます。そのような法科大学院には御退場願うことになり、文部科学省の方で設置認可を取り消すわけでございますが、その点に関して法務大臣の方で知り得たいろいろな事情があれば、そういう大学に関して、必要な措置を採ってもらいたいという意見を述べることができるということで、法務省が関与して、お互いの協働作業でやりましょうという提案でございました。まだこれは決まったわけではございません。そういう提案がなされて議論がまだ継続中ということでございます。

【佐藤座長】 佐々木顧問、よろしゅうございますか。

【佐々木顧問】 また、結論が出たところで。

【佐藤座長】 私の方から、一つお尋ねします。司法試験の方ですけれども、短答式試験というのは、今の短答式試験と同じようなイメージなのか、違うものを考えておられるのでしょうか。

【田中座長】 短答式という言葉は一緒ですけれども、今の短答式に関していろいろな弊害があるとか問題があるということも十分踏まえた上で、やはりオールラウンドに基礎的な能力をためすことができ、論文式とは違う能力がそれで判定できるということから、両者を組み合わせて実施することになったので、今のような短答式の試験問題の方式をそのまま引き継ぐという意味ではございません。その弊害については十分認識しなければならぬということで、従来とは違ったものにするということが基本的な前提になっております。

【奥島顧問】 段階的選抜には使わないということですね。

【田中座長】 段階的選抜の意味次第なのですが、要するに、両方試験を受けて、両方とも合格しないとだめであり、評価も両方の総合でやるという仕組みを考えております。

【佐藤座長】 ほかの点でもよろしゅうございますけれども、いかがでしょうか。

【志村顧問】 一般の大学の設置認可に多少関わっておりまして、ほかにもかかわっていらっしゃる先生方たくさんいらっしゃいますけれども、こちらの方でも現在、認可の方は大綱化といって、余り厳しくしないで、後で、第三者評価をきちんとやって、改善を求めたり、認定取消しをしたりという方針ですが、それが実際かかわってみた経験では、なかなか思ったように行かないわけです。そこのところを法科大学院というのは、非常に大事な役割を果たすわけですから、特に御配慮をいただきたいという感じがいたします。一旦認可してしまうと、なかなか退場願うのが難しいです。

【佐藤座長】 田中座長、いかがでしょうか。

【田中座長】 設置認可の守備範囲と第三者評価の守備範囲をどういうふうに有機的に組み合せるかは制度的になかなか難しいところがありますけれども、従来、大学もそうですが、入れるときには一生懸命だけれども、出すときには余り関心ないということで批判を受けておりますので、そういうことも踏まえて、第三者評価をまずしっかりやっていくということが不可欠でして、その上で、設置認可と何らかの形で連動させていかざるを得ないわけですけれども、第三者評価だけでも、きちんと評価した結果を公表していくということが、これだけ情報化の時代ですから、公表していくということの意味は大きいと思いますが、それでかなり大きな効果が出てくると思います。
 実効的に第三者評価の結果が作動するための具体的な方策については、これから検討会でもいろいろ検討したいと思っております。

【佐藤座長】 情報公開ということが非常に重要かもしれませんね。

【田中座長】 情報公開というのは、受験者のためにもなりますし、個々の法科大学院において、例えば、入学者選抜のポリシーとか、成績評価の仕方とか、あるいはカリキュラムの中身とかについては、やはりこういう時代ですから、相当部分は、規制というのではなくして、自主的にホームページとかの形で情報提供をした上で、ある種透明性を確保しながら、クオリティーを確保していくという方策が、いろいろなことから見ると、一番賢明ではないかと、考えられます。そうなると、第三者評価の結果が設置認可の取消しまで連動していく間に、情報公開のところで、相当部分きちんとクオリティーが維持できる仕組みが出来上がるのではないかということを今考えているのですけれども。

【佐藤座長】 大宅顧問、依然として釈然としないものが。

【大宅顧問】 変な医学部の大学のことをずうっと考えているんですけれども、何度事件を起こしてもあそこはつぶされたということはないし、何千万取って全部懐に入れたとか、現実問題としてあるわけですよね。そうすると、どうして個人だけではいけないんだろうと思うんです。すごく変な大学でもものすごく優秀な人はいるかもしれない。そうすると、認定されてその後まではその資格はあると書いてありますけれども、何か変、第三者の評価機関というのが、もちろん卒業生が出て何人受かったとかという今の国家試験みたいなのが出てきた後ならわかるんですけれども、何もないときにどこをどう見て評価するのか、まずスタートは。

【田中座長】 それは多分、設置認可した段階からカリキュラムとか、入学者選抜のポリシーとか結果などの情報を開示していけば、学生とか受験生の方で選択して選別が行われる、評価が行われるということになり、情報公開は、やはり一般に考えられている以上に有効だと思われます。

【佐藤座長】 今までの大学は事前認可のところが非常に重要で、そこだけだったといっては言い過ぎかもしれませんけれども。事前規制ですね。それではだめだというので、自己点検、自己評価ということをやり出し、そして、更に、自己点検、自己評価だけではだめで、外部評価を入れなさいということになった。それが今のシステムなんです。今度は、第三者評価ということになってきている。第三者ですから、文科省そのものではない、役所そのものではない、そういう第三者評価機関を入れて、クオリティーを担保する仕組みをつくろうとしているわけです。
 ところが、その第三者評価機関なるものが、日本では余り発達してきていない。そのこともあって、なかなかこの仕組みが理解しにくいところがあると思うんです。今、田中座長おっしゃったように、情報公開と結びつきながら、この第三者評価機関がうまく展開してもらわないといけないのですが、していけばかなり今までと違った大学環境ができてくるのではないかと思っているんですけれども。

【法務大臣】 それと関連して、その第三者評価はいつできて、そして、法科大学院ができて、何年経ったらその評価を始めるんでしょうか。

【田中座長】 第三者評価機構の仕組みそのものは中教審で検討中でございますが、大体5年とか数年に1回というのが諸外国でも多いようです。ただ、項目によっては、入学者の結果とかは毎年データをチェックできますし、大掛かりな現地調査などは5年とか数年に1回と思いますが、組み合わせてやっていけば、相当実効性があるものになるのではないかと考えます。なるべく早く枠組みを作って、早く立ち上げたいのですけれども。

【法務大臣】 設置認可にも影響するような決定は5年からそこらに1回ということですか。だめだと言われて、退場してもらいたいような人は。

【田中座長】 ものによりけりです。例えば、入学者の選抜について他学部とか社会人を一定割合合格させなさいというようなことは、翌年からでも結果の評価が出来るわけでして、改善勧告したりいろいろ形で是正をはかることが出来るのですが、ただ、教育の中身の話、クオリティーの話になってくると、やはり5年ごとにきちんと精査しないと厳密な評価はできないということなります。データが出てくるものについては、すぐにでもできると思います。

【佐藤座長】 毎年、第三者評価機関の方に、各法科大学院から報告というか、資料提供というか、そういうものがあるとお考えでしょうか。

【田中座長】 それが難しいところで、考えられるのは、各法科大学院が自主的にホームページなど何らかの形でオープンにしなさいという形でやる、あるいは、どこかのしかるべき機関に、しかじかの項目についてはきちんとした情報を一定期間ごとに送りなさいというような形にするなど、いろいろあると思うのですけれども、何でもかんでも規制することに対する反対もあるので、ああしろこうしろということをやると反発を招くので、自主的にやってもらって、やらないところはやりたくない理由があるんだろうという形でサンクションを受けるという仕組みを考えていかざるを得ないと思います。

【佐藤座長】 5年ということでしたけれども、問題があるとなれば、やってもいいわけですね。5年など待たなくて。

【田中座長】 それは出来ると思いますね。情報が公開されたら、それを見て、チェックして、これは具合が悪いということがわかれば、しかるべき措置をとることは出来るはずです。

【法務大臣】 そうすると設置認可のときに、いろいろ注文をつけない方針でいらっしゃるようですけれども、でも第三者評価機関というのがあって、そこが折に触れていろいろ見ますよということは言っておかないとだめですよね。それは条件ではないけれども、そういうことをよく徹底して。

【田中座長】 条件になると思います。

【法務大臣】 条件なんですか。

【田中座長】 実際上リンクしておりますので。

【佐藤座長】 この評価機関の評価を受けなさいと義務付けることになっています、法的に。

【法務大臣】 では、開設しようとする人は、わかってやるわけですね。

【田中座長】 はい。

【佐藤座長】 ほかにどうでしょうか。今日は一応7時半を予定しています。

【佐々木顧問】 7について余り質問がなかったものですから、ちょっと質問いたします。 真ん中の給費制の在り方についてということがございますけれども、私も記憶が定かではありませんけれども、ここに書いてあることは、報告書に書いてある文章がほとんどそのままあるという以上の内容がないものですから、少し検討の内容について何かあれば教えていただきたいと思います。

【田中座長】 2回ほど議論したのですが、給費制を基本的に維持するという意見もないわけはないのですけれども、給費制だけを議論するのではなくて、法科大学院を含めて法曹養成機関全体の中で、給費制を維持するのが本当にリーズナブルかどうかを見直す必要があるということで、選択肢としては貸与制というようなことも視野に入れて検討するべきであり、司法修習生の問題だけを切り離して、給費か貸与かという形の議論ではなくて、法科大学院に対するサポートシステムといったものを引っくるめて考えていこうという形で議論をしております。

【佐々木顧問】 法科大学院に対するサポートシステムについては、具体的にはどのようなことが念頭にあるわけですか。

【田中座長】 ローン制とか、奨学資金とかいろいろな仕組みが考えられていますけれども、期間が相当長くなってくるので、負担の問題を考えると、それぞれ別々に考えられないので、全体として1人の法曹が生まれるためにどれだけの負担が掛かるかということの中で、個人が負担すべきものと、公的な制度ですから、そこで支援すべきものを分けて考えて、社会的納得の得られる仕組みを考えていくという形で現在議論しているところです。

【事務局長】 この問題については、法科大学院を卒業して司法試験に合格した修習生が初めて登場するのが、平成18年以降ということになるわけでございまして、もう少し時間がございまして、継続して議論をすることとし、この秋の臨時国会に法案を提出するという形にはならないだろうと思うんです。
 ですから、もう少し詰めないと、そういう意味で、余り検討を深くは行っていないという状況でございますので、御理解を。

【佐藤座長】 ほかの点について。

【小島顧問】 特に、座長にお願いいただいた検討会だけではなくて、全体の一般的なお話なんですけれども、制度、形式をつくることも重要ですけれども、それがどうやって運用されるか実行を確保すると、その実行を確保する仕掛けというのは、いろいろ制度の中に組み込んで入れてほしいという感じがしますね。平均的なのは監査役制度というのがありまして、これは形式、制度としては世界どこの国にも引けをとらないんですが、実際の運用についてはどこの国にもひけを取っているということで、実は、そういう意味では、例えば、情報公開とかある数値目標とか、具体的な例が行動を直接規定する何か仕掛けが必要だと思うんですね。それで、冒頭、笹森さんが今日のアピールに絡んで言われた2年以内の判決ですね。ああいうのは非常に重要だと思うんです。どこかの新聞がとんちんかんな報道をしていましたけれども。
 というのは、私が好きなピーター・ドラッガーさんが、こういうことを言っていたことがあります。公的な機関が成果を上げないための方法というので、非常に皮肉な話ぷりいっぱいの話なんですが、第一、失敗しても撤退しないとか、あいまいな目標をつくると、国民の健康のためにとか、それは健康のためにというのは全然悪いことではなくて、当たり前のことですね。ということは何も言わないと、それはその組織であり機関の設立趣意書には書いていいけれども、日々の行政のものの役にも立たない、例えば、総理も待機児童ゼロと言っていますが、これは非常に具体的な話で、そのためは、何をするかというのを即具体的な仕組みに入るわけです。
 それから、さんざん何時間待たされて治療は3分だとか、待ち時間を15分以内にする、そのために何をするか、具体的に言っていたんですね。あいまいな目標、できるだけ速やかにというのもあいまいでしょうし、要するに制度が形式だけで終わらなくて実行を伴わなくちゃ我々が、意見書が描いている、期待している社会というのができないわけですから、仕掛けとしてせっかくいい制度をつくるんだったらそれは生きる仕掛けを各検討会でも皆さん司法改革で集まっているので、そういうものを、制度も動かす仕掛けとして工夫して入れていってほしいなという感じがします。

【佐藤座長】 田中座長、何か、今のことについて。

【田中座長】 やはり法科大学院の問題というのは、司法制度だけでなく、教育制度、大学制度全体ともいろいろ関連しているところがありますので、もちろん、ここで検討しているわけですから、質量ともに豊かな法曹を養成するプロセスの構築ということが大事なのですけれども、やはり大学の仕組み、あるいは初等中等教育の仕組みとも関連しているところがありまして、これを変えるということについては、やはり総理もおっしゃっていましたように、抵抗勢力があるわけでして、そういうものを変えていくというところがあります。そういった意味では、確かにはっきりある目標を立ててやるということは大事だと思うんですけれども、いろいろな役所とかあるいは公私にまたがって一定の仕組みをどうして連動させるかというのが一番頭の痛い話でして、それぞれはきちんと皆制度として設計されているが、全体を動かしてみると、あちこちにまたネックが出てくるということにならないような形にしないといけないと考えております。

【佐藤座長】 ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
 それでは田中座長、本当にどうもありがとうございました。長時間にわたっていろいろと。
 時間の関係もありますので、本日の御議論は大体この程度にしたいと思いますが、閉会に当たって副本部長の方からお言葉をちょうだいできればと思います。

【森山総務大臣】 どうも先生方、大変長時間貴重な御意見を活発にいただきまして、ありがとうございました。
 私もついおゃべりして申し訳ありませんでしたけれども、でも、皆様の御議論を伺いまして、大変心強く是非とも成功させなければいけないという気持ちを更に強くした次第でございます。
 総理も、アピールについて裁判所が2年以内に判決を選べるようにという大変具体的なことを評価していただきましたし、法曹人口を増大させて、国民を司法へのアクセスを拡充するというような具体的なことをおっしゃっていただいたのは大変ありがたいと思います。
 総理も、もし問題があれば是非言ってくれと、自分の方でも大いに力を入れるからというような発言がございまして、心強く思っております。
 最後にもちょっとお話がございましたように、私、この前顧問の先生と検討会の先生方との懇談に参加させていただいて思いましたのは、やはりそれぞれの検討会の先生方は、自分のテーマを大変大切に深く掘り下げていらっしゃるんですが、お互いの連絡がこれからかもしれませんが、是非やっていただきたいなと思ったんでございます。
 例えば、法曹の養成などということを考えましても、法科大学院がある、そしてこっちに法曹の養成がある、その法曹ではないのかもしれませんがADRがまた別にございまして、そのADRもリンクさせて、全体としてその法律へのアクセスが国民にとって広く近くなるようにということを考えなければいけないのではないかと、例えば、法科大学院を卒業しても受からなかったという人をどうするかとか、そういうことを考えるとほかのADRに行く道をちゃんとつけておいてあげた方がいいのではないかとか、仕事を考えるとしたらそんなふうに思ったりいたしまして、それで、何か法科大学院にそういう小さな部を設けるとか、一定のところでそういう仕掛けがつけられるようにするとか、そういう方法はないのかなと思ったりしております。
 いずれにせよ、最初の原点であります身近で速くてわかりやすいという司法制度をつくるためにこれからもどうぞ御協力をよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。

【佐藤座長】 ありがとうございます。
 最後に事務局の方から連絡事項ございますか。

【事務局長】 次回につきまして、また別途日程調整をさせていただきまして、御案内を差し上げるというふうにしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

【佐藤座長】 今日は、アピールをまとめることができましたこと、そして、総理及びただいま法務大臣の方からも非常に心強いお言葉をちょうだいしましたこと、本当に有意義な会議であったと思います。顧問の皆様、関係者の皆様に厚く御礼申し上げたいと思います。
 以上で、今日の会合を終わりたいと思いますが、特に何かございますか。
 では、本当に、今日はありがとうございました。

(以上)