司法制度改革推進本部顧問会議(第8回)議事録
- 日 時 : 平成14年12月9日(月)16時〜17時35分
- 場 所 : 総理大臣官邸4階大会議室
- 出席者 :
- (顧 問)
佐藤幸治座長、大宅映子顧問、奥島孝康顧問、小島明顧問、佐々木毅顧問、 笹森清顧問、志村尚子顧問
(推進本部)
小泉純一郎本部長(内閣総理大臣)、森山眞弓副本部長(法務大臣)、
上野公成本部長補佐(内閣官房副長官)、古川貞二郎本部長補佐(内閣官房副長官)
(事務局)
山崎潮事務局長、長谷部由起子司法アクセス検討会委員、柏木昇国際化検討会座長、伊藤眞法曹制度検討会座長 他
- 議事次第 :
-
1 開 会
2 内閣総理大臣あいさつ
3 裁判の迅速化について
4 検討会の検討状況等について
5 裁判所へのアクセスの拡充について
6 外国法事務弁護士制度の改革について
7 弁護士制度の改革等について
8 閉 会
(報道陣カメラ入室)
【事務局長】 それでは、佐藤座長、よろしくお願いいたします。
【佐藤座長】 佐々木顧問は、少し遅れると伺っておりますけれども、奥島顧問も間もなくお見えになることと思います。
定刻になりましたので、ただいまから「司法制度改革推進本部顧問会議」第8回会合を開会いたします。師走になって、何かと忙しいところでありますけれども、本日御出席賜りまして、本当にありがとうございます。
今井顧問は、本日所用のため御欠席でございます。
また、本日は司法アクセス検討会の長谷部委員、国際化検討会の柏木座長、法曹制度検討会の伊藤座長に御出席いただいております。本当にどうもありがとうございます。
始めに、本部長であります、小泉内閣総理大臣からごあいさつをちょうだいしたいと思います。
【内閣総理大臣】 どうもありがとうございます。先般、法曹養成制度の改革関連法案が国会で成立しました。法曹の質と量の拡充とともに、大学改革のさきがけとしての意味も持つことを期待しております。関係者の御努力に敬意を表したいと思います。
司法の体制面の整備を図る一方、裁判の迅速化の問題について、法曹界が一致して積極的なことは、心強く思っております。今後も、これまでの慣行にとらわれず、制度の改善に取り組んでいただきたいと思います。
また、現実の社会には、障害、高齢、貧困など様々な理由から法律サービスを身近に活用できない人も多いと聞いております。また、住んでいる町に裁判所もなければ法律家もいない、あるいは身近に法的救済の仕組みを教えてくれるところさえないというのが多くの地方の実態である。法律サービスが国民の目常生活の中に行き渡るようにするため、利用者本位の立場に立って抜本的な改革をすすめなくてはいけないと思います。
これらの課題について着実に解決が図られるよう、顧問の皆様には、今後とも格段の御指導・御協力をお願いいたしたいと思います。
【佐藤座長】 ありがとうございました。報道関係者の方々御退室願います。
(報道陣カメラ退室)
【佐藤座長】 それでは、議事次第に従いまして、裁判の迅速化について協議したいと思います。事務局から資料の説明をお願いします。
【事務局長】 それでは、私の方から裁判の迅速化について御説明を申し上げます。資料では1と2で、2が分かれており、分厚いものでございますけれども、これを中心に御説明を申し上げるということで、適宜御参考いただきたいと存じます。
まず始めに、12月2日に行われました法曹三者からのヒアリングの概要を報告させていただきたいと思います。
ヒアリングには、佐藤座長を始めといたします顧間の方々、伊藤座長を始めといたします検討会の座長の方々にも御参加いただきまして、法曹三者から意見聴取と質疑応答をさせていただきました。
三者の意見の詳細でございますけれども、資料2の議事概要とその際の提出資料に記載されておりますので、説明は省略させていただきますが、第一審の裁判の結果が2年以内に出るようにするとの目標に向けて取り組むという点では、三者の認識はまさに一致しておりました。
三者の説明に対する質問、意見等を簡単に御紹介いたしますと、まず、日弁連について国等と同様の責務規定を置くことの要否に関する質間がございまして、これにつきましては必要・不要両様の考え方が示されたところでございます。また、審理の長期化の原因、当事者の努力義務の実現の在り方、迅速化の実効性の担保手段、検証の程度、控訴審の在り方等に関する質間もございました。
更に、最高裁から、著しく精密化した審理の在り方の見直しなど、司法制度に関する基本的な枠組みの見直しが必要であるとの考えが示されたことに対する質間もございました。
また、迅速化に充実も付けようとすると法案の意味が分かりにくくなるとの御指摘等もございました。
なお、前回の顧問会議におきまして、長期化している裁判の状況等についての資料が必要であるとの御指摘をいただきましたが、ヒアリングの際の最高裁提出資料の中には、この間題に関する統計資料や訴訟事件が長期化する主たる原因の分析が含まれておりますので、これも御参考にしていただければと思います。
ちなみに、第一審の審理期間が2年を超える事件の割合は、民事で7.2%、刑事で0.4%となっております。民事で言えば医事関係事件を始めとする専門的知見を要する事件で長期間を要する事件が多くなっているようでございますし、刑事についても長期化している事件の中に重大事件、社会的関心の高い事件が少なからず含まれているということでございます。
また、長期化する原因といたしまして、資料にも整理されておりますように、事件の性質に内在する要因というのが当然ありますが、それ以外に当事者に関する要因、裁判所に関する要因等が相互に重なり合っている場合が多いということでございます。
次に、事務局において、現時点で検討しております法案の概略のイメージを御説明させていただきたいと思います。資料1でございます。
まず、1のところで審理期間の目標といたしまして、民事・刑事の訴訟手続について2年以内に第一審における手続を終局させるとともに、これ以外の手続も含めて、裁判所における手続全体について期間の短縮を図るということを掲げたいと考えています。
また、この目標に従いまして、必要な制度の整備や体制の充実を図ることについても、基本的な考えとして掲げる必要があるものと考えております。それが2の「制度の整備・体制の充実」のところに掲げてあります。
なお、手続を公正・適正で充実したものとするとともに、当事者の正当な権利利益が害されないように留意することが必要であることは言うまでもありませんので、この点も明らかにしたいと考えております。それが、1の(2)に記載されているところでございます。
次に「3 国の責務等」でございますけれども、このような方針の下に、訴訟手続の整備などの制度面の施策や、人的体制の充実などの体制面の施策を実施することといたしまして、そのための国の責務等を定めたいと考えております。
同時に、個別事件における裁判所や当事者、代理人、弁護人等についても迅速化のための努力をお願いするという観点から、裁判所、当事者等について、民事・刑事の訴訟事件の第一審手続をできる限り2年以内に終局させることに向けて努力する旨の責務を規定することとしたいと考えております。それが4のところに記載されていることでございます。
更に、その目標の達成をより確実に担保するため、最高裁において、定期的に検証を行い、その結果を国民に明らかにした上で、これを適切に活用して、更に総合的方策を推進していく仕組みを設けることとしたいと考えております。それが5番目に記載されたものでございます。
なお、その他の規定といたしまして、6でございますけれども、目的に関する規定などが考えられるほか、日弁連の責務の点も検討が必要になると思われるわけでございます。
以上が、現時点における法案のイメージでございます。
最後に、国民からの意見募集について御報告をさせていただきたいと思います。
事務局におきましては、裁判の迅速化について検討を進めるに当たりまして、国民の皆様にどのような御意見があるかを伺う必要があると考えております。そこで、先月27日から今月の27日までの1か月間、インターネット等を通じて、国民からの意見を募集することといたしております。その結果等につきましても、今後、顧問会議に御報告を申し上げるとともに、法案の検討の参考にしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
【佐藤座長】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局長からの説明を受けまして、御出席の皆様の御意見、あるいは御質問をちょうだいしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
どうぞ、志村顧問。
【志村顧問】 ただいまの御説明の資料1の4のところで、事務局長は裁判所・当事者等というところで弁護士と補足なさいまして、その他のところでも日弁連の責務ということをおっしゃいましたが、裁判の迅速化を促進するに当たって、裁判所・検察官の責務というのは大変わかりいいと思うんですけれども、弁護士あるいは日弁連の責務と言いますのは、具体的にどのようなことでございましょうか。
【事務局長】 私の方から御説明申し上げたいと思います。この日弁連の責務でございますけれども、お手元の顧問会議資料の中に日弁連の推進計画が入っておりますけれども、そこで民事裁判の充実・迅速化に関しては、弁護士の執務体制の充実・強化に関し、必要な検討を終えた上、逐次所要の取り組みを行うというふうにまとめられております。これが民事関係でございます。
刑事の裁判の充実・迅速化に関しても、適正な刑事裁判の充実・迅速化を図るため、憲法の人権保障の理念に基づき、公的刑事弁護制度の整備を含め、弁護人の体制整備に関し必要な検討を経た上、所要の取り組みを行うとされております。
日弁連の責務の内容として考えられる事項の主なもの、今、私が申し上げたようなものであるということでございます。
【佐藤座長】 よろしゅうございますか。
【大宅顧問】 読まれただけではなくて、その中身をもうちょっとエッセンスだけ、普通の言葉でお願いします。
【事務局長】 例えば、民事事件でございますけれども、民事事件について期日をもっと入れるためには、弁護士の事務のやり方、これは毎月一回ずつ法廷を入れながらほかの事件も同様に入れていくという事務の在り方を見直して、例えばかなり時間的に連続して集中的に事件を入れていくとか、こういうことに対して執務体制がとれるようにする方策を考えていくというようなこととか、あるいは先ほど総理大臣からもお話がございましたけれども、弁護士がいない地域等がございますが、そういう地域に弁護士を派遣して、裁判に支障がないようにするというような問題があります。
【大宅顧問】 今まではしてないんですか。
【事務局長】 今でも事実上努力されているのですが。
【大宅顧問】 すごく待たされるわけですか。
【事務局長】 弁護士がいないところがございますので、そこに公設的な事務所をつくったり、巡回して法律相談を受けたりとか、そういう努力はされております。そういうことももっときちっとやっていくということでございますが、常駐していただかないと、裁判を現実にやるのは難しいという問題がございます。そういう点が、民事事件の場合の責務でございます。
もっと大きいのは刑事の方だろうと思います。全国どこでも刑事裁判があるわけでございまして、被告人の弁護人を国で付ける場合、これについてはそれぞれ裁判所と弁護士会でいろいろ協議していただきながら、必ず付けられるような体制づくりをするという責務でございます。
それから、現在私どもの検討会で、被疑者段階で弁護人を付けるという被疑者弁護というものを今、検討しているわけでございますが、仮にこういうものができれば、きちっと選任することができるように弁護士に体制づくりをしていただくというような責務が含まれているいうことでございます。
【法務大臣】 個々の弁護士さんのつとめと、日弁連のつとめというのはまた違うんですね。そこを説明申し上げた方がいいんじゃないでしょうか。
【事務局長】 ちょっと言葉が足りなかったかもしれませんが、これはそれぞれの単位弁護士会と裁判所とで協議したり、個々の弁護士にきちっと裁判に対応できるようにやっていただくという責務ということになりますが、日弁連はその上に立つ連合会でございますので、個々の弁護士会あるいは弁護士とは少し違っておりまして、このようなことが円滑に進むように指導する責務ということになり、そこのところはやや間接的な指導をするという責務になるという意味では、違っているということでございます。
【佐藤座長】 ただいまの説明でどうですか。笹森顧問、どうぞ。
【笹森顧問】 12月の2日に資料でも出ていますが、法曹三者にヒアリングをして、私もそこで聞かせていただいたんですが、感想から申し上げると、現状に対する認識の披瀝の中で、それぞれに責任を押し付け合っているのではないかという感想を持ったということを、まず申し上げたいと思います。
その上では、これはその席で大宅さんの方から御発言を最後にされたんですが、迅速化の問題と充実化の問題、これについて私は充実化という言葉をここに入れるべきではないかと思っています。
ちょっとたとえがよくないかもしれないけれども、牛丼は早くて安くてうまいというキャッチフレーズがあるが、しかし早くて安くてうまいから食べに行く人がたくさんいるわけで、ここのところが充実しているかどうかということになって、早いだけでまずいということだったら行かないということになると思うんです。
今の状況から言うと、どうも国民の求めているものが、正義だとかいろんなことを考えていった場合に、迅速化と充実化というのがトレードオフの関係ではないと思うんです。したがって、法案に命題がセットになっているんだという意味合いを強調させることから言うと、充実・迅速という言葉を入れるべきではないかと。
特に今、資料の中でざっと見ただけですが、ほとんどのところに充実・迅速という言葉を中ポツで入れてあるということが1つ。
それから、精密司法の関係から言っても、これはちょっと別な意味合いですが、法曹三者に大胆な発想の転換を求めるということが必要なんで、これは顧問会議の中で少し強調していただきたいと思います。
最後に、今、申し上げた充実・迅速の関係から言うと、4番目に裁判所の当事者等の責務の問題で、いたずらに早ければいいということではないということをもっと明確にするために、濃密にかつ無駄なくという意味合いの表現がこの中に入った方がいいんではないかというふうに思います。
私は、迅速だけではどうも拙速の方向に行くんではないかと。したがって、充実という言葉は是非入れていただければというふうに思います。
【佐藤座長】 大宅顧問、何か。
【大宅顧問】 まともに行われていると思っていたから、わざわざそこに充実というと、今まではそうではなかったんですね、それこそ拙速になってしまうんではないかと思ったんで、前提として一応まともにやっていて、でもそれは時間がかかり過ぎるから速くという、速くの方を前に打ち出したいんだったら、充実を入れたとたんに速くの方がぼけるというふうに思っております。だから、その現状認識の違いだと思います。
【佐藤座長】 小島顧問、どうぞ。
【小島顧問】 やはりどちらに重点を置くかというと、迅速でいけばいいと思うんですけれども、先ほど笹森顧問が精密司法という言葉をおっしゃったんですが、それは精密であるということは大変貴重なことであって、それは法曹三者が非常に責任感を持ってやっているということなんでしょうけれども、えてしてそれが美学に陥って、手段と目的が入れかわってしまうことがあるんです。私は経済の話を主にやっていますけれども、1970年代、世界の経済学は完璧な科学であると、厳密科学であると。コンピュータを入れていろいろ回したんですけれども、そうしたら目的である経済がうまく機能することがおろそかになって、手段だけが成熟化したんです。理路整然と間違った経済学になって、やはりこれは一つの価値観と言うか、そういうものを確認するというのが司法の分野で必要ではないかと思うんです。
ある限度を超えて審理が長引くということは、その間恐らく司法の判断が停止するわけですから、司法の仮死状態を生み出すことで、制度の自殺行為だと思うんです。迅速が重要であるということを主に重視して、みんな一生懸命誠意をもってやっているわけですから、司法が自殺行為に陥らないようにしてもらいたいと思います。
【佐藤座長】 関連して、いかがでしょうか。どうぞ、志村顧問。
【志村顧問】 私は、先ほどの笹森顧問の御意見に基本的に同意でして、迅速ということがこのテーマのタイトルにも使われておりますから、それが今の主な目的であることはそのとおりでございますけれども、やはり迅速ということは中身を犠牲にするのではないということは、一言言っておくことはいいことだと思います。
【佐藤座長】 佐々木顧問、いかがですか。
【佐々木顧問】 前提の取り方の話で、充実というのは当然の前提というふうに考えた上で迅速化することにメリットがあるという点について誤解がなければ私はそれはそれで結構ではないかというふうには思っております。しかしこの点の認識においてメンバーの間で非常に認識がずれているということであれば、やはり改めて付け加えなければいかぬという話になるわけで、その場合には座長の方からこういう了解でというようなとりまとめをしていただくということがないと、ちょっと具合悪いかなと思います。
【大宅顧問】 日本語で迅速と言ったときに、早ければいいなんてばかなことを考える人はいないと思いますが、違いますか。
【佐々木顧問】 いないと思いますけれども。
【大宅顧問】 当然、まともに、今までより速くというのが迅速じゃないですか。
【内閣総理大臣】 拙速じゃないからね。
【大宅顧問】 速ければいいというんだったら、もうタイムウォッチ押してこれはアウトみたいな話ではないと思いますけれども。
【佐藤座長】 従来の議論というのは、迅速と充実というのは対立するものだと捉えて、どちらを選ぶかという議論の仕方が強かったように感じがするんです。今回我々が目指しているのは、そういうことではなくて、よく言うんですけれども「充実なくして迅速なし、迅速なくして充実なし」ということであり、両者は一緒のことであって、表現の仕方の違いだけなんだ、という感じは私もしているんです。ただ、佐々木顧問がさっきおっしゃったように、従来の発想を引きずって議論しますと、迅速とはどうも充実を犠牲にしようとしているというように受け止められる危険がある、おそれがある。そうであるとすれば、もう少し表現の仕方について考えてみる必要もあるのかもしれませんけれども、いずれにしても、さっき笹森顧問おっしゃったように、法曹三者には発想の大転換をやっていただかなければならない。それが基本的な出発点だという気がいたします。
ただいまの皆さんの御意見を伺って、実質的には皆さん一緒だと思うんです。違ってはいないと思うので、あとは表現ぶりの問題です。最終的にどういう表現にするかは、これから法案化の関連で更に検討させていただきたいと思いますけれども、趣旨はさっき申し上げたように、充実・迅速というのは一体のものだ、コインの裏表の関係だという理解で臨むということでよろしゅうございますか。佐々木顧問が座長が適当にまとめろとおっしゃられたんですけれども。
【佐々木顧問】 そういうふうにまとめていただければ、結構でございます。
【佐藤座長】 更に何か迅速化の関連で御意見ございませんでしょうか。それでは、ただいまのような考え方で法案化の問題に臨むといたしまして、日弁連の責務の問題については、先ほど御紹介ありましたけれども、2つの考え方があるということでありますが、この点につきましては、弁護士自治、弁護士会自治の意義をふまえる必要があるように思います。弁護士会、日弁連には法的に非常に強い自治権が付与されています。この自治権は憲法からも引き出される非常に重要な事柄だと私は心から思っているんですが、それに伴ってやはり弁護士会にはそれ相応の責任というものが付いているんだろうというように思います。そういう観点から、日弁連には引き続きこの問題について積極的に取り組んでいただきたいと考えておりますが、最終的にどういう表現ぶりにするのかということにつきましては、事務局中心に法案化のところで更に検討させていただきたいというように思っております。そんなところでこの問題についてはいかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
【佐藤座長】 よろしゅうございますか、ありがとうございます。それでは、この問題については先ほど申しましたような観点から趣旨がいかさせるよう引き続き努力してまいりたいと思います。ありがとうございました。事務局の方、今の点よろしいですか。
【事務局長】 ただいま御意見をちょうだいいたしましたので、その点も含めもう少し分析をして、なるべく早い段階にもう少し具体的なものになるように、そして15年の通常国会には提出できるようにいたしますので、もう少しお時間をちょうだいしたいと思います。 【佐藤座長】 よろしくお願いいたします。なお、総理は公務のためにここで御退席になられます。本日は、どうもお忙しいところありがとうございました。
【内閣総理大臣】 ありがとうございました。
(内閣総理大臣退室)
【佐藤座長】 それでは、次の議題に移りたいと思います。検討会の検討状況等について、事務局から報告をお願いします。
【事務局長】 それでは、前回の顧間会議以降の司法制度改革の進捗状況につきまして、御説明申し上げます。
資料3をごらんになりながらお聞きいただきたいと思います。
まず、法曹養成制度改革関連法が無事成立をいたしました。これについて御報告をさせていただきたいと思いますが、顧問の皆様方の御協力に感謝を申し上げるとともに、国会での審議状況等を御紹介させていただきたいと思います。
この関連法案でございますが、10月18日に閣議決定いたしまして、同日、国会に提出されました。まず、衆議院で、10月29日の本会議で趣旨説明が行われまして、法務委員会に付託されたわけでございます。法務委員会では、通常の審議に加えまして、学校教育法を審議している文部科学委員会との連合審査、参考人質疑も行われたわけでございます。参考人質疑には、奥島顧間が参考人として出席されました。その後、11月12日の本会議で可決をされまして、参議院に送付されたわけでございます。参議院では、11月13日の本会議で趣旨説明が行われ、法務委員会に付託されました。衆議院と同様、連合審査、参考人質疑を含め質疑が行われた後に、11月29日の本会議で可決、成立したわけでございます。法務委員会での審議時間は、衆・参併せまして31時間20分に及んだわけでございますが、さまざまな観点から熱心な御審議をいただきました。
なお、衆・参ともに法務委員会での採決後、司法試験予備試験の運用について、法科大学院を中核とする法曹養成制度の理念を損ねることのないよう配慮すること、奨学金制度の充実等により資力の乏しい者にも就学の機会を確保すること、法科大学院の適正配置に配慮することなどにつきまして、附帯決議がされております。
また、文部科学省から提出されました学校教育法の改正案につきましても、11月22日に成立しておりますので、併せて御報告いたします。
その他の検討会の状況でございますが、資料3に記載したとおりでございます。後ほど御議論いただきます、裁判所へのアクセスの拡充の観点からの裁判所法、民事訴訟費用法等の改正、外国法事務弁護士制度の改革に関する外弁法の改正、弁護士制度の改革に関する弁護士法等の改正のほか、前回報告させていただきました仲裁法制の整備。それから、これは法務省から提出を予定しておりますけれども、民事訴訟法、人事訴訟手続法、民事執行法等の改正など、平成15年通常国会への法案提出を予定している事項についての検討が大詰めに近づいておりまして、検討会等における検討を精力的に進めているところでございます。
また、それ以外の事項につきましても、検討会等における検討が進んでおります。例えば、ADR関係でございますけれども、ADRの拡充・活性化に関する検討の一環といたしまして、この6月に設置されました関係省庁等連絡会議におきまして、ADRに関する関係機関等の連携強化を図るため、関係省庁等が横断的・重点的に取り組むべきと考えられる施策を、本年度中を目途にいたしまして、アクション・プランとしてとりまとめることとしております。
この11月には、このアクション・プランに盛り込むべき施策として、現段階で考え得るものを幅広く取り上げました「アクション・プラン構成案」をとりまとめたところでございまして、今後の検討に生かすべく、現在関係各方面からの御意見を募集しているところでございます。
次回以降は、15年通常国会への法案提出に向けまして、より具体的な方向性をお示ししていきたいと考えておりますし、その他の事項につきましても、適宜検討状況の報告をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
以上でございます。
【佐藤座長】 ありがとうございました。ただいまお触れになったように、法科大学院関係の法案が成立したということでございまして、法科大学院の問題はこの司法制度改革の最初の大きな山だったというように思いますが、その山を乗り越えられたということで、私個人としても大変感慨深いものがございます。関係の方々の御尽力に、心から感謝したいと思います。特に法務大臣は担当の大臣ということで大変だったと思いますけれども、本当にありがとうございました。
【法務大臣】 ありがとうございました。
【佐藤座長】 ほかの検討会の検討状況についての説明に関連して、何かお尋ねになりたいところなどございませんでしょうか。
また後に触れられることになるのでしょうが、来年は検討会の検討に関連した法律案が次から次へと出てくることになるわけですね。
【事務局長】 はい。
【佐藤座長】 法科大学院関係の法律が成立したと喜んでばかりはいられないと。
【事務局長】 とてもほっとしている時間はございません。この法案の審議と並行いたしまして、次の事項の検討が、我々の検討会でもそうですし、政党関係でも進んでいるという同時並行状態で進んでおり、今後はずっと同時並行で進むだろうと思います。それは覚悟の上でございますので、頑張ります。
【佐藤座長】 よろしゅうございますか。そうしたら、これからお三人の座長・委員の方に検討状況を御説明いただきますので、それに関連してまた何かありましたら、お尋ねいただきたいと思います。
それでは、次の議題に移りたいと思います。来年の通常国会に所要の法案を提出するということを予定しておりますテーマのうち、前回は民事訴訟法等の見直し、あるいは仲裁法制の整備について御議論をいただいたわけでございますが、今回は裁判所へのアクセスの拡充、それから外国法事務弁護士制度の改革、更に弁護士制度の改革等について御協議願いたいと思います。
これらにつきましては、始めに各検討会から検討状況の御説明を受けた後で、まとめて御審議いただきたいというように存じます。
そこで、まず最初に司法アクセス検討会における検討状況について、長谷部委員に御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【長谷部委員】 司法アクセス検討会委員の長谷部でございます。本日は、高橋座長がよんどころない事情で御欠席ということでございますので、私の方から司法へのアクセスの拡充に関する、司法アクセス検討会での検討状況について御報告させていただきたいと思います。
簡易裁判所の管轄拡大、訴え提起の手数料、訴訟費用額確定手続については、司法制度改革推進計画において、平成15年通常国会に法案提出予定、あるいは平成15年3月までに所要の措置を講ずるとされております。
これらの課題については、これまでの検討の結果、見直しの方向性について意見が一致いたしました。資料は4が該当する資料でございますので、適宜ごらんいただきたいと思います。
始めに、簡易裁判所の管轄拡大について御報告申し上げます。
司法制度改革審議会は、簡易裁判所の事物管轄については、経済指標の動向等を考慮し、訴額上限を引き上げるべきであるとの意見を述べています。
司法アクセス検討会では、簡易裁判所の設置理念、経済指標の動向、簡易裁判所と地方裁判所との機能分担の実情、簡易裁判所の事件と地方裁判所の事件との質的な違い、簡易裁判所の事件の訴訟代理権が認められた司法書士の役割、国民の身近に生ずる事件を解決するために簡易裁判所が担うべき役割等、多角的な観点から検討いたしました。
その結果、基本的には経済指標の変化に表われている経済社会や国民生活の変化に対応して、簡易裁判所の管轄の上限の引き上げを行い、簡易・迅速に事件を解決する簡易裁判所の機能をより広く国民に提供し、国民の司法へのアクセスを拡充すべきである。
その際には、簡易な手続で迅速に紛争を解決するという簡易裁判所の特色を失わせず、その特色が生かされる形で簡易裁判所の機能の拡充を図るべきであるとの意見で一致いたしました。
続きまして、訴え提起の手数料について御報告申し上げます。司法制度改革審議会は、提訴手数料についてはスライド制を維持しつつ、必要な範囲でその定額化を行うべきである、簡易裁判所の少額訴訟事件の提訴手数料については、定額性の導入を含め検討を加え、必要な措置を講じるべきであるとの意見を述べています。
司法アクセス検討会では、利用者の費用負担の軽減の観点とともに、裁判所制度の運営に要する経費の多くが国民の税金で賄われている関係で、費用の負担の公平という観点からも検討を進めました。
その結果、平均的な手数料の負担水準化(おおむね訴訟の目的の価額300 万円、手数料額2万5,000 円程度)を目安として。
①これを超える手数料について、手数料額の水準や平成4年に実施した手数料の引き下げの程度を考慮しつつ、一定程度の引き下げを行う。
②これより低い手数料については、その手数料体系が定められた後の経済変動等を考慮しつつ、利用者の利用しやすさの観点から手数料体系の簡素化を図る。
③②の手数料体系の簡素化に当たっては、簡易裁判所の少額訴訟事件の訴えの提起の手数料が現在より定額制に近いものに改められるよう配慮する。
もう一つの○にいきまして、訴訟の目的の価額が、10億円を超える場合の手数料率が現在一律に0.2 %とされていることを改め、訴訟の目的の価額が著しく高額の訴訟について、これにより更に低率の手数料率を定めるとの意見で一致いたしました。
なお、少額訴訟事件の手数料につきましては、定額制の導入を含め検討した結果、通常訴訟の利用者との負担の公平や、手続を複雑にするおそれ等の観点から、定額制の採用は適当ではなくて、手数料体系の簡素化によって利用者にわかりやすく、使いやすい手数料を定めるように配慮することが適切であるという意見で一致したものです。
次に訴訟費用額確定手続について御報告いたします。
司法制度改革審議会の意見は、訴訟費用額確定手続を簡素化すべきであるとの意見を述べています。検討の結果、見直しの方向性といたしましては、訴訟費用額の確定手続の申し立ては、訴訟完結後に行われるという特質を踏まえ、訴訟費用については可能な限り記録上明らかな事実関係に基づき算定することができ、費用の疎明資料を提出する必要がないように改める。
訴訟費用を一方当事者のみが負担する場合において、確定を求める費用の額が記録上明らかなときは、相手方の陳述を求める手続を省略できるように改める。という意見で一致いたしました。
以上でございます。
【佐藤座長】 ありがとうございました。それでは、続きまして、国際化検討会における検討状況について、柏木座長からお願いします。
【柏木座長】 国際化検討会の座長をしております、柏木です。今までの検討経過について御報告いたします。
国際化検討会では、これまで12回の会議を開催いたしまして、主として弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の推進につきまして、集中的に検討を重ねてまいりました。
具体的には、弁護士と外国法事務弁護士との共同事業の在り方と、関連して外国法事務弁護士による弁護士の雇用禁止制度について検討をいたしました。
検討に当たりましては、法務省、外務省、日弁連を始め、特定共同事業を営む弁護士と外国法事務弁護士、日本企業、外資系企業、在日米国商工会議所、有識者、渉外弁護士、国内弁護士等からのヒアリングをし、その上で論点についての議論をいたしました。
検討会での議論の中心は、共同事業及び雇用に関する規制の緩和ないし撤廃と弊害防止の関係でありました。現在国際化、グローバル化が進展しておりますが、渉外法律サービスを含む、総合法律サービスの需要は、増大化の傾向をたどると見られております。
このような総合的法律サービスの供給は、現状では必ずしも十分とは言えず、供給の強化を図る必要があり、その方策として弁護士と外国法事務弁護士との提携・協働を積極的に推進する見地から、共同事業及び雇用に関する規制を緩和ないし撤廃するということが、必要かつ重要であるという点については、ほぼ認識の一致が見られております。
他方、外国法事務弁護士の職務範囲は、外国法に関する法律事務の取扱いに限定されております。これが外国法事務弁護士制度の基本原則でありますが、弁護士と外国法事務弁護士との共同事業や、外国法事務弁護士による弁護士の雇用が許容された場合には、外国法事務弁護士が共同事業の相手方である日本の弁護士や、あるいは被雇用の弁護士を介して、権限外である日本法に関する法律事務を行うおそれがあるのではないかという観点から、これまでは共同事業は原則として禁止されまして、例外的に制限された範囲内での特定共同事業だけが許容され、雇用は全面的に禁止されております。
このような弊害のおそれの内容やその程度を吟味しながら、共同事業や雇用禁止の制度に関しましては、どのような規制緩和措置が妥当であるかが議論された次第であります。
検討会での議論では、弊害のおそれに関しまして、一方でこのような弊害のおそれが依然として残っているという考え方と、他方、外国法事務弁護士としましては、顧客との信頼関係の維持、あるいは弁護過誤訴訟への危険等の配慮から、あえて権限外の日本法に関する法律事務を行おうとするインセンティブがないのではないかという考え方が主張されました。
弊害のおそれにつきましては、基本的にどのような立場に立つかにより、いかなる規制緩和措置が妥当かということに関しまして、委員の方々の意見も分かれておりました。
そこで、このような議論の経過と法制的観点を踏まえて整理をしてみますと、共同事業と雇用禁止についての制度改正の方策としましては、2つの案が考えられましたので、去る11月21日に開催されました、第12回の会議では、「弁護士と外国法事務弁護士との提携・協働の推進に関する議論の整理について」と題する資料、これは資料5(2)でございますけれども、これに記載されたような「整理案1」及び「整理案2」を提示いたしました。
整理案1は、共同事業については、全面的に自由化した上で、雇用についても外国法事務弁護士が単独で弁護士を雇用することまで許容するという案であります。
整理案2は、共同事業については、目的制限を撤廃し、自由に法律事務を取り扱うことができるが、雇用につきましては外国法事務弁護士が日本の弁護士と共同事業を営む場合においてのみ、当該共同事業の相手方である弁護士と共同で弁護士を雇用することはよろしいが、その限りにおいて弊害防止のための手当に配慮しつつ、雇用禁止を解除するというものであります。
この2つの整理案の内容は、雇用の点で大きく異なっておりますが、その主たる理由は外国法事務弁護士が雇用した弁護士を手足として使って、権限外の日本法に関する法律事務を行うおそれが、事前規制が必要とするほど高いか否かという認識の差によるものと考えられております。
このような整理案1、2を委員の方にお示ししまして、御議論願いましたところ、整理案1を支持する委員が10名中7名と多数でございました。
以上のとおり経過を御報告申し上げます。
【佐藤座長】 ありがとうございました。それでは、最後になりましたけれども、法曹制度検討会における検討状況につきまして、伊藤座長、よろしくお願いいたします。
【伊藤座長】 それでは、伊藤から御報告申し上げます。
法曹制度検討会は、これまで13回の検討会を開催いたしました。当検討会のテーマは、弁護士、検察官、裁判官の各制度の改革等でございます。
当検討会としては、審議会意見及び推進計画に基づきまして、当初の会議において主な論点及びその検討順序等を検討し、その順序に従って議論を進めてまいりました。
そこで、主な検討状況につきましては、お手元の資料6(1)「弁護士法等をめぐる主な検討状況[骨子]」に記載したとおりでございます。審議会意見書の抜粋と条文抜粋等の参考資料を添付しておりますので、適宜御参照いただければと存じます。
以下、順次簡単に御説明申し上げます。まず、弁護士法の関係でございますが、当検討会における検討の方向性として、本日ここにお示しできるのは6点になります。
第1は、司法試験合格後に民間等における一定の実務経験を経た者に対する法曹資格の付与です。
具体的には(1)といたしまして、司法試験合格後一定期間、裁判手続関係等一定の法律関係事務を行っていた、企業法務の担当者や公務員等につき、事前に所要の研修を受けることを要件として、弁護士資格を付与することでございます。
(2)として、司法試験合格後、5年以上国会議員の職にあった者に弁護士資格を付与することを内容としております。
第2は、いわゆる特任検事経験者に対する法曹資格の付与です。
具体的には、いわゆる特任検事を5年以上経験したものに弁護士資格を付与することを内容としております。
第3は、弁護士の活動領域の拡大でございます。
具体的には、(1)といたしまして、弁護士法上の公務就任の制限を撤廃すること、(2)といたしまして、弁護士が営業等に従事する場合につき、これまでの許可制から届出制に移行すること、これを内容としております。
第4は、弁護士報酬の透明化・合理化でございます。
具体的には、弁護士の報酬規定を日弁連・弁護士会会則の必要的記載事項から削除することを内容としております。
第5は、弁護士会による綱紀・懲戒手続の透明化・迅速化・実効化でございます。
具体的には、(1)現在弁護士のみで構成されている弁護士会の綱紀委員会に外部委員を追加すること、
(2)として、現在会則上の機関とされている日弁連綱紀委員会を法律上の機関として設置すること、
(3)として、懲戒請求者が弁護士会の綱紀委員会の議決に対する異議申出をしたけれども、これを日弁連により却下、棄却された場合に、更に不服申立ができるようにするため、日弁連に学識経験者のみで構成される、日弁連綱紀審査会を設置することを内容としております。
第6は、弁護士法第72条の明確化でございます。
具体的には、弁護士法第72条(ただし書)を改正し、司法書士法等、弁護士法以外の隣接法律専門職種関連法において、弁護士法72条の例外が定められている旨を明確化することを内容としております。
続きまして、民事調停法、家事審判法関係の改正についてでございます。その内容は、いわゆる非常勤裁判官制度の創設でございまして、具体的には弁護士が非常勤の形態で、民事調停事件及び家事調停事件に関し、裁判官の権限と同等の権限を持って調停手続を主宰することができる制度を創設するものでございます。
なお、この制度の創設につきましては、いわゆる弁護士任官の推進等に資する方策として、最高裁及び日弁連の弁護士任官等に関する協議会においてとりまとめがなされ、当検討会においてもその御報告を受け、この制度を創設する方向での御議論がなされたものでございます。
以上は、検討会における主な検討状況になりますが、現在事務局を中心として、その他関連した改正の要否を含む法制面等の検討を行っているところでございます。
簡単でございますが、以上で御説明とさせていただきます。
【佐藤座長】 どうもありがとうございました。ただいま3人の方から御説明いただきましたけれども、何か事務局の方で付け加えることはございますか。
【事務局長】 今の段階ではございません。
【佐藤座長】 それでは、ただいまの御説明を受けまして、御出席の顧問の皆様方から御意見・御質問をお受けしたいと思います。どの点からでもよろしゅうございますので、どうぞ。
では、私の方から、国際化の方について伺いますけれども、後の方の資料で外国の事情についていろいろ触れてありますが、法的サービスの自由化の問題についての国際的な動向というのは、大体どういうことになっているというふうに認識したらよろしゅうございますか。
【柏木座長】 動向というのはちょっと難しいですね。WTOでGATSで今、協議されておりまして、今年の6月までに皆さんがリクエストを出して、3月までにそれに対するオファーを出すということになって、少しずつ自由化する方向に向かっております。
ただ、大きなトレンドとして、例えば今日お示ししたような5(2)の案のような方法というような方向性はまだ見えてないと思います。自由化する方向は間違いないんですけれども。
【佐藤座長】 そうですか。
この整理案1、整理案2の2つを今日御紹介されたわけですけれども、それ自体の問題をどう理解するかということと同時に、やはり今おっしゃったWTO中心の国際的な検討の動向をどう認識するかというようなことも影響しているというように理解したらいいんですか。
【柏木座長】 そういう議論もなされました。一方、検討会で強かったのは視点を日本のクライアントの立場に置くという視点が非常に強かったと思います。
日本のクライアントの視点に置いた場合に、果たして外国の動向がどれだけ意味を持つのかということもありました。むしろ外国の動向に左右されるよりも、日本の国内で自由化したときに、どういうメリットがあり、どういうデメリットが出てくるのか、デメリットが出てくるんであれば、それに対する対応策を考えておかなければいけないというような議論が中心でございました。
【佐藤座長】 個人的と言ってはなんですけれども、司法制度改革審議会のときに海外視察を行い、私はアメリカに行ったんですが、その際クリフォード・チャンスの事務所に立ち寄りましたときに、日本の国民のために私どもはいつでもお出かけしていいサービスを提供したいというようなことを強調しておられたんですけれどもね。
【柏木座長】 アメリカの状況も州によって異なります。御存知のようにアメリカは弁護士制度は州法の範囲内ですから、州によって大分足並みが違うような印象を受けております。やはりニューヨークとかロサンゼルスとか、ああいう大都市ですとクリフォード・チャンスとか、外に出ようとする弁護士が非常に多いわけですけれども、一方のノースダコタだとかアラバマとか、ああいうところになりますと我関せずという態度が強いように見受けられました。
【佐藤座長】 どうぞ、志村顧問。
【志村顧問】 非常に小さなところなんですけれども、先ほど御説明いただきました資料6(1)でございますが、法曹制度検討会に関係するものの第1の4のところの2番目センテンスの、報酬規定を必要的記載事項から削除というのが、どうして弁護士報酬の透明化になるのか私はちょっと理解できないんですが。
【伊藤座長】 弁護士会の会則などに、例えば一定規模の事件については、これこれの目安ということで、報酬についての定めがございます。そういたしますと、それは勿論目安にすぎないということなんですが、個別の事件に関して弁護士と依頼者の方との報酬額の交渉がどこから始まるかというと、やはり目安にすぎないと言われている、弁護士会の会則に記載された報酬の基準を出発点として交渉が始まらざるを得ないというような実態がございます。
そうなりますと、結局は多くの弁護士の方がおられるわけですけれども、弁護士報酬についても大体皆さん横並びの報酬額になってしまうということで、報酬規定の存在が、結果としてですけれども、弁護士間の公正な競争を阻害するおそれがあるのではないかというのが、かねてから指摘があったところで、目安にすぎないとは言われているけれども、そういう形で示すのは望ましくないというとで、ともかくそれは削除して、その上でどういう形があり得るのかは、また検討しなければいけませんが、今までそういった横並びで公正な競争を阻害する要因として認識されてきたものについては、削除をすべきであろうという議論の流れでございます。
【奥島顧問】 地域の理髪店の料金表がカルテルということでもって、何度も何度も問題になったのと同じことで、要するにカルテル料金になるんではないかということなんですね。お寺さんの戒名代というのも、あれも問題なんですけれども、ある地域でもって一定の戒名は幾らとかいうのを張り出しているところがありますけれども、あれなんかも本当はカルテルの疑いがある問題だと思います。
ですから、私なんかもこれは前々からおかしいというふうに思っておりました。
【志村顧問】 それは競争を阻害するということになることはわかるんですけれども、透明化というのとはちょっと、先ほどおっしゃったもっと積極的にどうするのかというところまでいかないと、透明化にはならないように。そのとおりでございますか。
【伊藤座長】 勿論、例えばある人がある弁護士事務所に行って相談なり依頼をするときに、一体その場合の報酬というのは幾らになるんだろうということは、恐らく通常の市民であれば弁護士事務所に何度も生涯行く機会はないわけでございますが、そこで何らかの目安と言いますか、そういうものがあった方がいいという議論はかねてからあったわけでございます。
ただ、それはあくまで当該弁護士事務所、あるいは弁護士が自分の基準としてはこういうものであるということを示して、それを基にして当該事件の個性に応じて交渉するという形がやはり望ましいのであって、およそ弁護士会の会則等で、大体この種の事件についてはこうだというような形を示すことは、かえってそういう個々の事件、個々の弁護士、個々の依頼者の特性・実情に即した報酬の決め方を阻害するのではないかという趣旨でございます。
【植村参事官】 差し出がましいようでございますが、補足させていただきますと、法律になりますと報酬規定が弁護士法上会則で決めなさいというふうになっておりますので、そこを削除させてくださいということになりまして、では削除された後どうしましょうかということになりますと、御指摘のとおりでございまして、個々の弁護士さんとの間で、お客さんがどうやって報酬を決めるのか、これを透明化しないと本当に意味がないわけでございまして、その点につきましても審議会の意見書は触れておられまして、個々の弁護士の報酬情報の開示、提供の強化、報酬契約書の作成の義務化、それから依頼者に対する報酬説明義務等の徹底を行うべきであるというふうに意見を出されております。
これを踏まえまして、私どもの検討会では、まず弁護士法の改正につきまして手を付けさせていただきました。個々の弁護士さんの報酬の透明化・合理化の見地からの、私が今申し上げましたようなお話は、今、日弁連で精力的に御検討をいただいておるところでございまして、年明けの検討会でそこのところは御議論させていただくということになってございます。
以上でございます。
【佐藤座長】 では、佐々木顧問、どうぞ。
【佐々木顧問】 6の(1)の一番冒頭のところを確認させていただきます。第1の1の(1)、事前に所要の研修を受けることを要件にしてというのがありますが、どんなことを考えているのかということが1つと。
もう一つは、(2)の国会議員の職にあった者に弁護士資格を付与すると、これも前からあった議論ですが、この辺の理屈はどういう理屈になるのか、少し開示いただきたいというふうに思います。
【伊藤座長】 それでは、まず最初の御質問の1の(1)にございます、事前の研修ということでございますが、ここではいろいろの法律事務について経験を積まれてきた方を対象にしているわけでございますが、御承知のように弁護士として登録をして仕事をすることになりますと、ジェネラルサービスでございますので、いろんな事件を引き受ける責務があることになります。
そこで、こういう研修が必要になるのではないかという考え方に立ちまして、具体的には研修の内容を国が定めて、実施主体については日弁連ないし弁護士会の適切な機関がそれを実施するということでございます。研修の内容は、例えば民事弁護、刑事弁護など、裁判実務を中心にして研修を行うということでございますが、更に具体的な内容につきましては、事務局がいろいろな意見を検討の上、今後法曹制度検討会で議論をするという形になっております。
【佐藤座長】 研修の期間などについては何か議論があるんでしょうか。大体どのぐらいの程度のものと。
【伊藤座長】 いろいろ意見はあったんですけれども、まだとりまとめるほどのものはございませんで、今後検討をする予定でございます。
それから、司法試験合格が前提でございますが、5年以上国会議員の職にあった方に弁護士資格を付与するという考え方でございますが、改めて申すまでもなくて、国権の最高機関でございますし、また唯一の立法機関である国会におきまして、法律案の立案、審議、審査という、法律に関する高度の執務能力を要する職務を行っていることが、弁護士としての職務を行うために必要な能力を獲得するに足りるという考え方から、このような考え方をお示しをしている次第でございます。
【佐藤座長】 今の説明でよろしゅうございますか。
【佐々木顧問】 世の中が納得してくれれば、それで結構かと思います。
【法務大臣】 今のは、非常に要望が強いんですか。司法試験に受かった後国会議員になった方が、5年経ったら弁護士をやれるようにしてほしいという。
【事務局長】 数はそれほど多くないのですが、その先生方の希望が大変強うございます。
【法務大臣】 そうですか。
【事務局長】 この問題は、5年ぐらい前から取り上げられまして、この司法制度改革の中でも議論されて、今に至っているという経緯でございます。修習を経ないで法曹資格をもらえるという例としては、法制局の参事官を5年以上いたしますと、資格がもらえるというものがございます。
これはまさに法律事務を専門的に5年以上やっているということで、弁護士として十分な能力があると見られているわけでございます。
【佐藤座長】 伊藤座長、せっかくの機会ですのでお伺いしますが、綱紀・懲戒制度のところは従来とどこがどう変わるのか、図解も付いているようなのでちょっと御説明いただけますでしょうか。
【伊藤座長】 資料6の(3)をみていただきますと、現行法のスキームと改正の方向性によるスキームというのが左右にございまして、細かいことは省略をさせていただきますが、先ほど私が申し上げましたことは、1つはそれぞれのスキームの左側に弁護士会の下に矢印があって単位会、その中に単位会綱紀委員会というのがございます。現在では弁護士のみでこれを運営しているわけでございますが、これに外部委員、弁護士以外の方に加わっていただくというのが1つの大きなところでございます。
あと右側の方でございますが、日弁連という枠囲いがございますが、この中で一番大きなところは、右半分の改正の方向性によるスキームの日弁連の枠囲いの真ん中のところに、日弁連綱紀審査会がございます。これは学識経験者のみによって構成されるものでございますが、日弁連の綱紀委員会で懲戒相当でないとされたものについても、更に申し立てをして、この綱紀審査会で審議をしていただき、懲戒審査相当ということになりますと、左の方の単位会の懲戒委員会に付されることになります。したがって、1つは非常に大ざっぱに申し上げしますと、綱紀委員会や綱紀審査会に弁護士以外の方に加わっていただくということが1つ、もう一つは、綱紀審査会という現在ではございませんものを設けて、そこが懲戒の相当・不相当について、学識経験者のみによって構成される判断の主体として、その点についての判断を行う、これが改正のスキームの特徴かと思います。
【佐藤座長】 今の御説明について、何か御質問ございますでしょうか。
【笹森顧問】 さっきのところに戻りますが、国会議員の関係とその前の(1)のところもそうなんですけれども、88ページの方は民間等における一定の実務経験を経た者に対してという書き方ですね。公務員とか地方議会議員とかも含めてということで、国会議員をこれに入れるというのが、これを見るとちょっと違うのかなという感じと、現実に特に(2)の方は、やりたいとかやりたくないとかは別ですよ、どのぐらいの対象がいるんですか。
【伊藤座長】 前半の方でございますけれども、審議会の意見書では民間等という表現になっております。この点については、佐藤座長にお伺いした方がよろしいのかもしれませんが、審議会の比較的終盤での議論におきまして、国会議員を対象とすべきかどうかが議論され、その際に国会議員も民間等の等に含まれるということで継続して検討すべきものとされた経緯がございまして、それを踏まえたものでございます。
【事務局長】 人数の関係は、私どもが承知しております国会議員の先生方は、6人でございます。ただ、全体的に司法試験を合格されているかどうかは調べようがございませんので、私どもが把握している限りでは6人ということでございます。
【大宅顧問】 でも、資格を持っていたとしても弁護士として働くわけではないでしょう。とすると、国民にとっては何のメリットもないですね。御本人はうれしいかもしれないけれども。弁護士の数を増やしたいという意味においては、6人増えたということでいいかもしれないけれども。
【笹森顧問】 目につきますね。
【奥島顧問】 落ちたらすぐに弁護士をやれるというメリットがありますけれどもね。
【佐藤座長】 余り選挙を考えないで一生懸命やっていただくということかもしれませんね。
【奥島顧問】 ほかのことですけれども、柏木さんにお聞きしたいと思うんですが、外国法事務弁護士の資格を持っている日本人がいますね。大体アメリカの資格だろうと思いますが、そのほかの国の外国法事務弁護士資格を持っているような例は、どういうものがございますか。イギリスがちょっとあったと思いますが。
【柏木座長】 日本人でですか。
【奥島顧問】 はい。
【柏木座長】 ちょっと私は把握しておりませんが。
【齊藤参事官】 アメリカとイギリスの資格をお持ちの方はいらっしゃいます。
【奥島顧問】 ほかは。
【齊藤参事官】 正確には把握できておりません。
【奥島顧問】 結構です。
【佐藤座長】 さっき志村顧問の出されたテーマに戻りますけれども、公取などとの関係で削除しようということになったと、先ほど御説明いただいたんですけれども、弁護士が国民を遠避けている一番の原因、一番と言っていいのかわかりませんけれども、その原因は、いくら取られるのかわからないというのが非常に大きいと思うのです。それで審議会では、何かケース、こういう場合にはこのぐらいだというような、事例集のようなものをつくったらどうかというような意見も出ておったんですけれども、何か具体的な手掛かり、やり過ぎるとさっきの問題に引っかかってきますが、何かいい工夫はないものでしょうか。
【植村参事官】 お答えさせていただきますが、今、座長からお話がありましたように、審議会でケースごとに何かそんな工夫ができないかという御議論があったことは、私どもも承知しております。
その辺りにつきましては、今本当に日弁連の方で精力的に御検討の最中ではないかと思いまして、あるいは今日ちょっとお話いただければと思いますが、検討会の方には年が明けてから日弁連に御報告をいただきまして、更に検討させていただくことになっております。
【佐藤座長】 そうですか。永尾副会長、どうぞ。
【日弁連永尾副会長】 日弁連の副会長の永尾ですけれども、今の点だけ補足させていただきますと、透明化の関係につきましては、先ほど伊藤座長の方からお話があったと思いますけれども、来年早々の検討会で透明化・合理化について、弁護士会がどんなことをするのか、要するに弁護士の報酬情報の提供・開示、それから契約締結するようにと、それを更に進めるということで今、具体的な要項のようなものをつくって、何らかの形で検討会でも意見表明をさせていただくということで準備しております。
もう一つの現在の報酬規定が会則から削除されるという関係につきましても、弁護士会としては是非、今、佐藤座長がおっしゃいましたように、何らかの目安が必要なのではないかということで、具体的なケースなどを示して、何とか弁護士会として、例えばこういうケースの場合は幾らですよという目安みたいなものを出す。そういう方向で何とかまとまらないかということで、今、鋭意検討をしているところでございます。
【佐藤座長】 ありがとうございます。今の段階ではそういう状況だということで、いずれまとまりましたら、ここに御報告いただいて、御審議いただきたいと思います。
【奥島顧問】 お医者さんの保険料診療と保険外診療のちょうど逆のような感じが弁護士さんの場合はするわけですね。料金を示されている方が高いという、そこが非常に大きな問題ですね。
【佐藤座長】 悩ましいところでもありますね。
時間もそろそろ終わりになってまいりましたけれども、ほかにございませんでしょうか。よろしゅうございますか。
なお、既に先ほど御議論いただいたこととも関連しているんですけれども、本日御欠席の今井顧問から事前に次のような御意見をいただいておりますので、時間を取ってなんですが御紹介させていただきたいと思います。
2点ございまして、第1点は企業法務についてであります。読ませていただきます。
1.企業法務について
弁護士法72条の非弁活動規制の緩和に関連し、「会社形態の多様化などの変化に対応する見地から」、企業法務が関連会社に対し法務サービスを有償提供することを容認する検討が進んでおり、評価する。これのみならず、企業法務の自社訴訟代理権の容認についても配慮して欲しい。裁判の迅速化を図るため法曹人口の拡大が急がれる中にあって、事案に精通している企業法務担当者を自社訴訟代理人として活用すべきであり、これによる弊害もない。特に、知的財産権や金融分野の専門性を有する弁護士が少ない中で、専門知識を有する企業法務等の活用は当然認められるべきと考える。
2.司法試験合格者の修習免除について
司法試験合格後に企業法務等の実務を経験した者に法曹資格を与える制度については、司法制度改革審議会の意見書に沿って、是非、実現をして頂きたい。
ただし、現在の検討状況をみると、司法試験に合格した企業法務担当者並びに公務員に対する要件が、非常に厳しいとの印象を受ける。司法修習期間が1年に短縮される一方で、司法修習を受けなかった者には実務経験を7〜8年程度要求した上で一定期間の研修を課するとの要件は、弁護士法5条に定める既存制度や今回の改正案における他の資格付与条件と著しく不均衡である。企業法務の高度な実務経験に配慮した制度として頂きたい。
以上の2点でございますが、この点については事務局長から。
【事務局長】 ただいまの今井顧問の御指摘でございますけれども、この御指摘の問題は、司法制度改革審議会の審議におきましても出た議論でございます。この問題につきましては、弁護士資格を有しない者が訴訟代理人となるわけでございますけれども、その中の議論として、そのことは相手方を含めました当事者の利益保護に反する場合もあり得るのではないかということ、あるいは、迅速・的確な訴訟手続の進行の妨げとなる場合もあり得るのではないかということ、また、このような制度が創設された場合には、形式的に権限を付与された社員であることを取りつくろうなど、制度の悪用が心配されるという反対意見もかなりございまして、なかなかこの点については慎重な対応が必要かなという状況でございます。あとの点につきましては、伊藤座長の方からお願いいたします。
【佐藤座長】 ここに具体的な数字も書いてあるんですけれども。
【伊藤座長】 では、2点目につきまして、私からお話をさせていただきます。司法試験合格後に一定の実務経験を経た者に対する法曹資格の付与でございますが、現行の制度では裁判所・検察庁など、いわば司法の根幹である業務等に関わる者が対象とされておりますが、これに対して、今、問題となっている制度の場合は、企業法務の担当者や公務員ということで、確かに高度の専門性という意味では、それを有すると考えられるわけでございますが、他方その業務の内容になりますと、かなり多様なものが対象とされているように思うわけでございます。これは具体的な対象者をお考えになっていただければ御理解いただけるのではないかと思いますが。
業務にそのような多様性があることから、やはり実務経験の期間についてもかなり慎重に考えなけばいけない、それから先ほど申しましたようなことから研修を要するのではないかということで、7〜8年の実務経験期間が必要であるとか、あるいは研修によって弁護士としてオールラウンドな知識・能力を身に付けていただくことが必要なのではないかという議論の方向性になった次第でございます。
【佐藤座長】 ありがとうございました。
以上の点につきましては、よろしゅうございますね。
それでは、時間の関係もありますので、終わりにしたいと思いますが、全体について特にここはどうかというような御指摘ございませんでしょうか。
それでは、本日予定しておりました議事は以上でございますけれども、閉会に当たりまして、副本部長からお言葉をちょうだいいただければと思います。
【法務大臣】 ありがとうございます。本日は、誠にお忙しいところありがとうございました。昨年12月にこの本部が発足して以来丸1年が経過いたしまして、顧問会議の方もこれで8回目でございます。皆様の御助言をいただきまして、逐次計画が進んでまいりまして、先ほど御報告いたしましたとおり法曹養成制度改革関連法案が成立いたしました。非常に重要な第一歩だと思いますけれども、いよいよ来年の通常国会ではいろんな法律の提出が予定されておりまして、さきにお話がありました裁判の迅速化法案など、非常に画期的なものもたくさん盛り込まれておりまして、司法制度改革のいよいよ佳境を向かえるということになるわけでございます。
いずれの法案も、司法制度改革の中から極めて重要な意味を持つものでございますから、本部としてもこれらの法案の成立に全力を傾ける所存でございます。
また、我が国の社会は現在不良債権の処理とか、倒産とか、失業の問題にも直面しておりますし、消費者とか、いわゆる社会的弱者が直面する問題も大変多くございまして、これらの人々が適切な法的救済を得られるようにしなければならないというふうに考えております。
総理の御発言にもございましたけれども、こういう問題に直面している国民の日常生活に、法律サービスが隅々まで行き渡るようにしたいと。だれでもが身近に法的な救済手段を活用できるようなきっかけになる場所があるといいと願っております。こんなことを通じまして、利用者本位の抜本的改革を進めなくてはならないと考えておりますので、今後ともよろしく御指導をお願いしたいと存じます。
年内の顧問会議はこれで終わりでございます。どうぞよいお年をお迎えくださいませ。ありがとうございました。
【佐藤座長】 どうもありがとうございました。事務局の方から何か連絡事項ございますか。
【事務局長】 次回以降は、また別途御相談をさせていただくということになりますが、いよいよ法案になりますので、鋭意詰めまして、この次はもっと具体的なところまで御報告をし、御承認を得たいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【佐藤座長】 来年は顧問会議としても結構いろいろあるということですね。では、本日は、どうもありがとうございました。以上で終わりにしたと思います。
(以上)
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