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今後の司法制度改革の推進について

平成16年11月26日
司法制度改革推進本部決定


1 司法制度改革推進本部解散後の体制について

 司法制度改革推進本部においては、司法制度改革推進法に基づき、司法制度改革推進計画(平成14年3月19日閣議決定)に従って、司法制度改革を着実に推進してきた。
 司法制度改革推進本部解散後は、これまでの一連の改革の成果を国民が実感できるよう、改革の本旨に従った制度の実施を図ることが重要であり、法務省等の実施担当府省と総合調整を行う内閣官房において、必要十分な体制の下に、引き続き改革に取り組んでいく必要がある。


2 裁判外紛争解決手続における隣接法律専門職種の活用について

 裁判外紛争解決手続の利用を促進していくためには、手続実施者のみならず、代理人についても、利用者が適切な隣接法律専門職種を選択できるよう制度整備を図っていく必要がある。
 そこで、司法書士、弁理士、社会保険労務士及び土地家屋調査士について、別紙に掲げる方向性に沿って、裁判外紛争解決手続における当事者の代理人としての活用を図ることとし、所管府省を中心に、できるだけ早期の具体化に向け、今後、関係法案の提出を含め、所要の措置を講じていく必要がある。
 また、税理士、不動産鑑定士及び行政書士の代理人としての活用の在り方については、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成16年法律第151号)の施行後におけるこれらの隣接法律専門職種の手続実施者としての実績等が見極められた将来において改めて検討されるべき課題とする。
 さらに、例えば、税理士の有する専門的知見を租税の関連する民事紛争において手続実施者等の相談者として活用するなど、各隣接法律専門職種が、手続実施者や代理人以外としても裁判外紛争解決手続の利用の促進に寄与していくことが期待される。


3 法令外国語訳の基盤整備の推進について

 グローバル化する世界で、我が国の法令が容易かつ正確に理解されることは極めて重要であり、我が国の法令の外国語訳を推進するための基盤整備を早急に進める必要がある。
 今後、政府として、各府省が横断的に参加する検討会議を開催し、有識者の意見も十分尊重した上で、法令外国語訳の推進に積極的に取り組む必要がある。


(別紙)

1.司法書士

 司法書士の簡裁訴訟代理関係業務(注1)に民事紛争(簡易裁判所の事物管轄を基準とする。)に関する仲裁手続について代理することを加える。


2.弁理士

 弁理士の仲裁代理業務(注2)の対象となる紛争に著作権に関する紛争を加えるとともに、対象となる手続には仲裁手続以外の裁判外紛争解決手続が含まれることを明確化する。また、仲裁代理業務に関して、裁判外紛争解決手続の業務を行う団体の新規の指定を進める。


3.社会保険労務士

 信頼性の高い能力担保措置を講じた上で(注3)、次に掲げる事務を社会保険労務士の業務に加える。併せて、開業社会保険労務士が労働争議に介入することを原則として禁止する社会保険労務士法の規定を見直す。
(1)都道府県知事の委任を受けて地方労働委員会が行う個別労働関係紛争のあっせん及び雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律に基づき都道府県労働局(紛争調整委員会)が行う調停の手続について代理すること。
(2)個別労働関係紛争(紛争の目的となる価額が60万円を超える場合には、弁護士が同一の依頼者から裁判外紛争解決手続の代理を受任しているものに限る。)の裁判外紛争解決手続(厚生労働大臣が指定する団体が行うものに限る。)について代理すること。

4.土地家屋調査士

 信頼性の高い能力担保措置を講じた上で、土地の境界が明らかでないことを原因とする民事に関する紛争(弁護士が同一の依頼者から裁判外紛争解決手続の代理を受任しているものに限る。)に係る裁判外紛争解決手続(法務大臣が指定する団体が行うものに限る。)について代理することを土地家屋調査士の業務に加える。


(注1)司法書士法第3条第1項第6号及び第7号(和解の仲介を行う裁判外紛争解決手続についての代理は、これに含まれる。)に規定する「簡裁訴訟代理関係業務」をいう。
(注2)弁理士法第4条第2項第2号に掲げる事務をいう。
(注3)個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律に基づき都道府県労働局(紛争調整委員会)が行うあっせんの手続について代理する業務に関しても、併せて、信頼性の高い能力担保措置を講ずるものとする。
(注4)1から4までにおける裁判外紛争解決手続の代理の事務には、裁判外紛争解決手続の代理を受任する前に依頼者の相手方と和解交渉を行うことは含まれないが、次に掲げる事務は、原則として、含まれることとなる。
1) 裁判外紛争解決手続の代理を受任する際に依頼者からの相談に応じること
2) 裁判外紛争解決手続の代理を受任した後、当該裁判外紛争解決手続の開始から終了までの間に依頼者の紛争の相手方と和解のための交渉を行うこと
3) 裁判外紛争解決手続で成立した合意に基づき和解契約を締結すること