日時:平成11年7月27日(火)12:30~15:10
場所:内閣総理大臣官邸大客間
1.閉会
【事務局長】ただ今より「司法制度改革審議会」第1回会合を開催いたします。
まず、小渕内閣総理大臣からごあいさつを申し上げます。よろしくお願いいたします。
【小渕総理】司法制度改革審議会の発足に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。まず、各界におきまして枢要な地位にあられる皆様方が、この司法制度改革審議会の委員の任務をお引き受けくださいましたことに対し、深く感謝申し上げます。
皆様御承知のとおり、我が国は、今、内外の極めて厳しい環境の下、大きな転換期を迎えております。21世紀の我が国社会においては、社会の複雑・多様化、国際化等に加え、規制緩和等の推進により、社会が事前規制型から事後チェック型に移行してまいります。このような社会におきまして、社会の諸活動が公正かつ透明なルールに基づいて行われるとともに、国民一人ひとりの権利が十分に守られることの必要性がますます高まり、司法の役割はより一層重要なものになると考えております。
そのような状況の下におきましては、司法制度を国民にとってより身近で利用しやすいものとし、司法制度が、法的紛争を適正迅速に解決して国民の権利の実現を図るとともに、社会情勢に応じて法秩序を維持し、国民の基本的人権を擁護していくという役割を十全に果たし得るものとすべきであると考えられます。
そこで、政府といたしましては、21世紀を目前に控えたこの時期に、利用者である国民の視点に立って21世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、司法制度の改革と基盤の整備に関する基本的な施策について有識者の皆様に審議をしていただく必要があると考え、本審議会を内閣に設置いたしたものであります。
政府といたしましては、本審議会において、このような観点から今後2年間にわたり十二分な審議を行っていただき、内閣に有益な御意見をいただくことを期待しており、充実した審議が可能になるよう有効適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
委員の皆様方には、限られた期間のうちに極めて多くの調査審議等の作業をお願いすることになりますが、この審議会の重要性を御理解いただき、21世紀の我が国の司法制度が国民の期待に応え、その役割・機能を十分果たし得るものとなりますよう、御尽力を切にお願いいたしまして、私のあいさつといたします。
【事務局長】ここで政務の関係で総理が退席されます。ありがとうございました。
【小渕総理よろしくお願いいたします。
(小渕総理、野中官房長官退席)
【事務局長】改めて自己紹介をさせていただきますが、私、当審議会事務局長の樋渡利秋でございます。
本日、委員の皆様方の互選で会長が決まりますまでの間、せん越でございますが、引き続き進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、私の方から本日の出席者を御紹介させていただきます。
まず、委員の皆様方を私の右手の方から五十音順に御紹介申し上げます。
私の右手2人目の方が石井宏治委員でございます。
井上正仁委員であります。
左手になりますが、手前から北村敬子委員でございます。
佐藤幸治委員でございます。
曽野綾子委員でございます。
髙木剛委員でございます。
竹下守夫委員でございます。
鳥居泰彦委員でございます。
中坊公平委員でございます。
藤田耕三委員でございます。
水原敏博委員でございます。
山本勝委員でございます。
右手の方にまいりますが、吉岡初子委員でございます。
以上、13名の方々でございます。
次に、委員以外の御出席者を御紹介いたします。
真ん中の辺りでございますが、陣内法務大臣でございます。
【陣内法務大臣】どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局長】こちら手前側でございますが、古川内閣官房副長官でございます。
奥になりますが、竹島内閣内政審議室長でございます。
以上でございます。
ここで、他の御公務の御都合によりまして、法務大臣が退席されます。
【陣内法務大臣】公務のため、ここで退席させていただきますが、委員の先生方におかれましては、これから2年間、この審議会で十分調査審議をお尽くしいただきまして、21世紀の司法制度の在り方について、充実した結論をお出しいただきますよう、心から御期待申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。
よろしくお願い申し上げます。
(陣内法務大臣退席)
【事務局長】これからは私も着席のままで進行役を務めさせていただきたいと思いますが、お許しいただきたいと思います。
それでは、まず、委員の皆様方の互選によりまして、会長を選任していただくことになります。
司法制度改革審議会設置法第5条第1項の規定により、会長は委員の互選によりお決めいただくことになっております。
遺憾ながらいろいろな報道がされる向きもございましたが、あくまでもこの場での委員の皆様方の御議論で決まるということでございます。
そこで、委員の皆様方には本日が初顔合わせということでもありますので、会長互選に入ります前に、御選出に必要な皆様の相互理解を少しでも深めていただければと思いまして、よろしければ、順にお一人ずつ、今後の抱負などがございましたら、それも併せまして、自己紹介をしていただきたいと存じますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、恐縮でございますが、この会議の後の御都合で、本日、やむを得ず途中退席されます鳥居委員に始めに御発言いただきまして、その後は五十音順に石井委員から御発言いただくということでお願いします。
【鳥居委員】御紹介いただきました鳥居でございます。最初に御指名をいただいて恐縮でございます。
会長の真ん前の席の私が途中退席で大変申し訳ありませんが、今日は私立大学連盟の総会を控えておりますので、お許しいただきたいと思います。次回からは精勤いたします。私は大学との関わりでこれからの審議をみて行きたいと考えています。日本全体で、今、国立大学が99校、公立大学が66校、私立大学が457校、それだけの数の大学がございますが、その大学全体を大学基準協会の会長の立場で見てまいりまして、人間全体のレベルの低下と教育のレベルの低下ということを考えざるを得ないという率直な感想を持っております。法曹教育におきましても、従来のシステムのままではやはり現実の問題に対処していけないということは明らかのように思います。
加えまして、門外漢の私から拝見いたしましても、法曹界そのものにもいろいろな問題があるということを少しずつ勉強させていただいているところでございます。皆様の御指導を得まして、私も今回の制度改革に少しでもお役に立てればと考えております。
よろしくお願いいたします。
【事務局長】ありがとうございました。それでは、今度は五十音順ということで、石井委員、お願いいたします。
【石井委員】ただ今御紹介のありました株式会社石井鐵工所の石井でございます。
このような専門家の方々の中に、法律にほとんど無縁だった私のような者が参加させていただくというのは、私にとっては大変不思議な気がいたしております。
しかし、御参加の皆様方の御経歴を拝見いたしますと、文化系の方々のみで、私が唯一の技術系の人間だということが分かりました。そういう意味で少し違った視点からこの会議でお役に立つようなことができればと、そういうふうに感じております。
私は、東京商工会議所にも経団連にも所属しておりますので、できるだけ会員の声を反映させて、企業経営に関して直接、間接に影響のある事項に対して意見を申し上げさせていただこうと考えております。
現在の司法制度に対しては、社会の重要なインフラだということであるんですけれども、期待される機能というのを十分には果たしていないという印象を受けております。このままでは日本の司法制度が、中坊委員がよくお話しになる2割司法という言葉どおりとなってしまって、社会の単なるデッドストックになってしまうのではないかということであります。
したがいまして、このような時期にこの審議会を発足するということは大変意義があって、タイミングも大変いいんじゃないか、そういうふうに感じております。
21世紀にふさわしい新しい日本を作り上げるための改革を目指して、国民に分かりやすく議論の内容を伝えながら開かれた議論を展開するのが、この審議会の使命ではないかと考えております。
政府が推進してきております規制緩和は、今後ますます進展していくものと考えられます。そこに今以上の自由競争社会というのが出現することが必至になるわけでありますけれども、自由競争社会の中には、皆が平等に扱われる共通のルールというのがインフラとして存在しなくてはならない。それが司法の根本であると考えておりますし、これからますます事後的チェック機能を担う司法の役割は増大していくものと思われるわけであります。
基本的なスタンスとして、一つは、一市民として、あるいは企業経営に携わる者の見方からしますと、司法制度は公的サービスにほかならないわけですから、現実のニーズとか時代の変化に合わせて、身近であるとか、迅速であること、利用しやすいといった機能が十分に整備されるべきだと考えております。
したがいまして、新しい司法制度を作り上げていく場合は常にユーザーの視点に立っている必要があると考えております。
とにかく、サービスの質・量、両面の向上を図ることが重要であることは間違いありませんし、ユーザーが司法を身近なツールとして使っていくということが、司法のサービス機能の向上をもたらすことになると考えます。
したがいまして、社会経済全体での紛争の解決・予防をどう図っていくかという視点から、弁護士制度とかADRの仕組みを根本から検討することは重要であると考えております。いずれにしましても、使い勝手の悪いサービスが敬遠されるのは当然のことですから、サービスという概念を通して、在るべき姿、つまり使い勝手のいい制度を探してみたいと考えております。
もう一つは、効率の問題でありますけれども、企業は今や規模の大小に関係なくグローバル規模で競争と紛争リスクにさらされているわけであります。したがいまして、利害の対立は企業活動の中では今は当たり前になっているんですが、こうしたことを処理していくためには、適切な判断が求められるのは当然として、重要なのは、効率を重んじたコスト意識の存在ではないかと考えております。
インフラ自体にも効率とかコスト意識の導入が求められるべきだと考えられますが、最後に、これからの企業経営にとって、司法というインフラをうまく活用できるか否かが、健全で堅固な企業経営となるか、あるいは不安定でリスキーな経営を強いられるかの分かれ目になるんじゃないかと考えております。
最近では、知的財産を巡る紛争処理で司法の空洞化という言葉も聞いているわけですが、しかし、これは一企業だけの問題ではなくて、日本経済の国際競争力に重大な影響力を及ぼし得る問題だと認識している次第であります。
以上、私としては、冒頭で申し上げたとおり、司法制度や法律の素人でありますけれども、皆様のお力を拝借しながら、21世紀の新しいインフラ作りの議論に参加していきたいと考えておりますので、どうぞよろしく御指導賜りたいとお願い申し上げます。
どうもありがとうございました。
【事務局長】ありがとうございました。井上委員、お願いいたします。
【井上委員】東京大学法学部で刑事訴訟法を主に担当しております井上と申します。
私は、刑事訴訟法の研究・教育にほぼ30年近く携わってきたのですけれども、ときどきは竹下委員の教科書などをほとんどそのまま使わせていただいて、裁判法という授業も行いまして、我が国の司法というものについてそれなりに考えてはきたつもりですが、正直申しまして、どちらかと言いますと、現行法の枠を前提にして、その中でいかにうまく解釈し、運用していけばいいかという発想でやってきたものですから、どうもそういう一種の垢というものが大分たまっているんじゃないかなと思います。今回の審議会に参加させていただくにあたり、その枠をもう一度一に返って見直してみるということをしてみたい、その意味で、得難い機会であると考えております。
特に、法律家以外の方がどういうふうにこれまで司法というものを見てこられたか。先ほど、石井委員がユーザーの視点とおっしゃいましたが、どうも私など大学で講義をし、論文なども書いているのですが、自分がユーザーになったことはいまだかつてありませんし、そういう視点があるいは欠けていたのではないかと反省しております。そういうことで、この機会に、むしろ法律家以外の方のお考えを虚心に伺い、少し根本に立ち返って考え直してみたいと考えております。
ただ、今回の審議会の委員の中では私が一番若輩なのですが、若輩と言いましても、もう50に達していまして、ここにおられる先輩の方々を差しおいて失礼なのですけれど、私を含め、21世紀の半ばまで生き長らえている人は、おそらくだれもいないでしょう。しかも、これだけ転変の激しい激動の時代ですので、その21世紀の司法について、責任を持ってビジョンを示せるかということについては、はなはだ疑問もあるのですけれども、いろいろな方面でこれまで繰り返し議論をされてきたことでもありますし、また、現実というものをも踏まえながら、しかし、発想自体は柔軟に、お互いに今までの固定観念に余りとらわれずに、むしろ議論しながら発見していくということを積み重ねていけば、何らかのビジョンが出てくるのではないか。そうして、国民の皆さんにとって信頼でき、親しみやすい司法制度であると同時に、この激しい時代に耐え得るような足腰のしっかりした強い司法制度にしていくために、夢のある、夢と申しましても、正夢になるようなビジョンを構築することができればと希望しております。
【事務局長】ありがとうございました。北村委員、お願いします。
【北村委員】中央大学商学部に所属しております北村と申します。
私の専門は会計学です。したがいまして、今まで法というものにそんなに関心を持ってこなかったというのが正直なところです。
しかしながら、会計の領域におきましても、商法会計という領域がありまして、そういう意味におきましては、商法の計算規定には若干関心を持ってきました。
商法の条文をこれまでずっと見ておりまして、一番感じましたのが、非常に難しいということです。これは司法制度ということではないかもしれませんが、例えば商法の285条の4の第2項というのが非常に会計に関係のある条文なんですが、今日は控えてきたんですけれども、「金銭債権ニ付取立不能ノ虞アルトキハ取立ツルコト能ハザル見込額ヲ控除スルコトヲ要ス」、今、こういう言葉を使わないだろうなということで感じていることがあります。
特に近ごろの大学生は難しい字が読めませんので、「虞」などという漢字は見たことがない。「能ハザル」などと、こんなものも余り接することがないというようなことで、これはやはり司法制度の改革というのも非常に重要なんですけれども、法律そのものも、もう少し分かりやすくする必要があるんじゃないか。
では、会計基準の方は同じようなことをどのように述べているのかと言いますと、企業会計原則というのがございまして、その中に「受取手形、売掛金その他の債権の貸借対照表価額は、債権金額又は取得価額から正常な貸倒見積高を控除した金額とする。」、これも一般の人には分からないと思うんです。余りにも簡単過ぎて、どういうものが「貸倒見積額」なのか、「正常」とは何なのか、中坊委員がいらっしゃいますので、ここのところで非常に御苦労なさったのではないかと思うんですが、これは両方見てみると、片方は口語体で書いてあるが、簡略すぎて何が書いてあるのか分からない、片方は今使わないような言葉で書いてあると。こういうことで、私は日ごろから法律というのは非常に近寄り難いなという感覚を持っております。
それから、司法制度に関しましては、いざ何か訴えたいというようなことがありましても、なかなか行けない、非常に時間が掛かる、遅い、それから、弁護士費用を含む裁判の費用が非常に高い。すなわち、近寄り難い、遅い、高い、TOTでトットちゃんだといつも思っているんです。司法制度というのは別に遠いところにあるのではなくて、我々が生きていく上において常に関係できるようなものでなければならないところであると。
こういうふうに考えてきますと、やはりこのままだと何か変だなというのが、法律に直接関わっていない私の今までの感じたところであるということなんです。
したがいまして、こういうようなものをどういうふうな形に変えていけばいいのか。そうすると、やはり法曹人口の増大ということにも関係するのかな、やはり大学におりますと、この法曹人口の増大に関連して、法曹養成制度がどうなるのかなというのが非常に関心のあるところでして、分からないなりに関心だけはあります。そういう関心を呼び起こしてくれた、これが司法制度改革審議会の委員になったという一つの喜びなんです。
よろしくお教えいただきたいと思います。
【事務局長】どうもありがとうございました。では、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】私は、大学で憲法を教えております。平成8年の11月から行政改革会議で勉強させていただきまして、非常に貴重な経験でございましたけれども、根が書斎人なものですから、今回お話があったときに大分躊躇しました。しかし、司法改革も必要だとかねて申してきたものですから、悩んだ末、お引き受けさせていただいたような次第です。
なぜ司法改革なのかということにつきましては、参議院の法務委員会で参考人に呼ばれたときに申したことなんですけれども、ごく大ざっぱに言って3点あるように思っています。
第1点は、個人の自律性をもっと尊ぶと言いますか、そういうものを求める、そういう社会に少し切り替えないといけないのではないかということです。尊ぶと言いましても、それを助ける社会システムを用意しないといけない。そのための司法改革ではないかというのが第一点です。第2点は、今回の行政改革で内閣機能の強化ということを中心に打ち出したわけですけれども、要するに政治にもっと元気を出してほしいということなんだろうと私なりに理解しております。政治に元気を出してもらうという場合に、大事なのは、同時に憲法の非常に大事な原理であるチェック・アンド・バランスの仕組みを、もう少し意識的に考える必要があるということであります。その一環として、司法の在り方を考える必要があるんじゃないかということです。
第3点は、グローバル化ということであります。国際社会においてルールを作る、使うということが非常に重要になってきている。それに対して日本の体制はどうなんだろうか。ちなみにイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア等をコモン・ロー諸国と言っておりますが、このコモン・ロー諸国の英語先進国の世界人口に占める割合はは約6.7パーセントくらいだそうですが、世界全体の弁護士の中で占める割合は七十数パーセントに上っていると言われております。アングロ・サクソンが何もすべていいというわけではないんですけれども、日本の法曹の在り方はいささか小さ過ぎるのではないかという感じを持っておりまして、その辺のことも今度の司法改革で重要な課題ではないかと考えております。
それでは具体的に何をするのかということにつきましては、これからいろいろ先生方の御意見を承りながら私なりに考えていきたいと思いますけれども、一番大事なのは、フィージビリティーを考えると同時に、中途半端な改革であってはならないということであります。小手先の改革で済まそうというようなことは、もはや許されないのではないかと感じております。
これも行政改革会議のときによく申したことなんですけれども、一旦改革に手を付ける以上は、何が何でもやり遂げなければいけないということではないか。その方法は何かについては、いろんな考え方があるかもしれません。行政改革会議の場合は、報告が出て、基本法がつくられ、そして今回、関連法案が一挙に成立したわけでありますが、そういうこともあるいは参考になるのかなという思いもありますが、ともあれ、一旦手を付けた以上は断固としてやり遂げなければならないと思っております。
ちょっと口幅ったいことを申し上げましたけれども、以上で終わらせていただきます。
【事務局長ありがとうございました。それでは、曽野委員、お願いいたします。
【曽野委員】私は小説家でございまして、小説家という職業の者がここの場所に伺いますことの後ろめたさというものは、今更申し上げなくても、皆様、御推察いただけると思うのですが、小説家の立場を示す二つのおかしな、無責任な言葉がございます。
一つは、小説家というのは、大説を書かず小説を書くということでございます。決して大きなこと、立派なことを言うんじゃない、実にくだらない、人間の心の底におりのようにたまった感情を書くのを、私どもは任務といたしております。しかし、そのような者もこの会議はお受けいただける分野をお残しいただけるという判断をいたして、まいりました。
もう一つ、これも笑い話に近いんでございますが、学者の先生方はでたらめというか、不正確、うそをお書きになると訴えられます。しかし、私ども小説家は本当のことを書きますと訴えられるんでございます。こういうことは法律的に見てどういうふうにお考えになるのか。
ただ、ここでちょっと解説をさせていただきますと、うそと申しましても、根も葉もあるうそでございまして、そこのところが人間性と非常に面白い形で結んでいるのですが、私は、事実を書かず、真実を書くというふうに言っております。
私は、アフリカによく参りますが、仕事上、今までのところで108か国、参りました。ということは、ほとんど先進国というものをよく知らないで、途上国の生活に触れたということでございますが、そういうところへ参りますと、まず、人々は病気になると、医者のところには行きませんで、呪術師のところに参ります。時には呪術師のところへ行く方がよく治ったりするわけです。
法というのは、私の素人の感じでは、立派な骨格、骨でございまして、その上に肉と申しますか、ぜい肉と申しますか、よく分かりませんが、そういうものが載っております。肉が人間性というものです。この立派な骨格によってこの骨の機能というものが動いてまいるように思うのでございます。ですから、この二つの骨と肉の部分というのは非常に補完的な機能を持っておりまして、どちらも大事だという感じがいたします。
私は過去に一人の小説家として二つの趣味がございました。一つは『ジュリスト』という雑誌を取りまして、あそこから短編小説を書いておりました。
もう一つは、私が連続殺人事件を書きましたときに、これは大久保清という人の連続殺人事件をモデルにした小説なのですが、そのときに地裁に通い詰めておりました。
裁判を傍聴することほど面白いものはないので、老後は霞ヶ関まで定期を買いまして、毎日入場料ただで地裁の法廷を拝見いたしまして、それを老後の楽しみにいたそうと、その当時は考えていたくらい、人間的なものを感じましたものでございますけれども、その人間的なものの中には必ずしもほめたものばかりではございませんで、様々な感情を抱いたことがございます。
その程度の素人のつながりでございますが、先生方にお教えをいただきまして、あくまで大説ではなくて、小説の立場を維持したまま加わらさせていただきたいと願っております。
ありがとうございました。
【事務局長】ありがとうございました。髙木委員、お願いいたします。
【髙木委員】連合から出てまいりました髙木でございます。
今回、この審議会の委員に図らずも御選任いただくことになりました。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
私は、30年ちょっと、労働組合の活動に参加しておりまして、勤労者の生活や権利の向上等の課題に関わってまいっております。
労働組合の活動も、時には司法による問題解決を求めざるを得ないケースに遭遇する場合もございましたりして、ごく断片的にではございますが、司法の世界との接点を持ってきているんだろうと思います。
具体的には、労使間で起きますいろんな紛争議、あるいは解雇等を巡る争い、あるいは倒産等に関わる問題、あるいは組合員一人ひとりがいろんな刑事、民事の事件に関わっておりまして、いろいろ相談を受けることへの対応等々でございます。
こうした私自身のつたない経験や、日ごろマスコミの皆さんが報ぜられる司法、あるいは裁判に関する報道等から得られます私個人の印象から、日本の司法制度について持っております印象みたいなものを、もちろん、予断や偏見といった御批判もあるかもしれませんが、2点、申し上げてみたいと思います。
一つは、多くの国民にとって裁判所は遠いところという、国民と裁判所の距離感についてでございます。多くの一般国民はよほどのことがない限り、裁判に関わりたくないと思っており、これは日弁連で行われましたアンケート調査でも具体的にそういうデータが示されております。
「裁判は公平に行われていますか」、あるいは「裁判は信頼できますか」という問いには、2分の1を超える回答者が肯定的に答えてはおりますが、一方では、「裁判では社会の秩序を理解してもらえないことがある」といったお答えの人も5割近くおられ、そういうのを調べてみますと、裁判は信頼はされているんでしょうが、国民の多くは社会の秩序を理解してもらえないこともあり得るんだというような奇妙な感覚で裁判を受け止めているということがうかがい知れるわけでございます。
国民はなぜこんな奇妙な裁判観を持つようになってしまっているんでしょうか。あるいは、どうしたら国民と裁判所の距離感を近いものにすることができるのか。裁判にもいろいろございますが、一部の裁判では国家権力による裁きという印象が強いというふうに日本の裁判は言われてたりしておりまして、人権や市民社会といったコンセプトとの接点を探ることも含めて、司法制度をどのように改革していくのか等々につきまして、できれば、この2年間いろいろ掘り下げた議論が行われる必要があるのかなと思っております。
2点目は、世に言う法曹三者、裁判所あるいは法務省、検察、弁護士の皆さん、それぞれ司法のかなめとして切磋琢磨されながら、よりよい日本の司法のために日夜御苦労されておられると思いますが、また、日本の裁判、司法制度のシステムそのものに原因があってという面もあろうかと思いますが、日本国民の裁判観が、先ほど申し上げましたような状況になっていることにつきまして、法曹三者の皆さん、それぞれのお立場で反省がおありではないかなと思うわけでございます。
裁判官の皆さんの心証自由の問題だとか、検察官の起訴便宜主義、あるいは弁護士の司法事務独占等々、それぞれの立場に立てば、絶対譲ることのできない論理と御主張をお持ちのことと存じますが、法曹三者のそれぞれの皆さんが国民との距離感の近い司法制度に変えていくんだという認識を是非共有していただいて、新しい司法制度と、そのルール作りについて、絶対と絶対のぶつかり合いみたいな論議をしたら何も進まないのではないかなと。そういう意味では互譲の精神で論議に臨んでいただく必要があるのではないかと思います。口幅ったいことを申し上げまして恐縮でございますが、そんなふうに思うところでございます。
最後に、本審議会の論議の進め方で、これは後ほど議論になるのかなと思いますが、1点だけ意見を申し上げたいと思います。
それは本審議会の論議の内容を極力公開していくべきではないかということでございます。いろいろな政府の審議会で論議の公開の仕方につきまして、いろいろな方法論が選択されているようでございますが、本審議会では原則傍聴自由、もちろん、物理的な会場の制約等おありになるだろうと思いますが、原則として傍聴は自由にということで進めるべきだと思います。
インターネット等をいろいろ活用して、いろんなキャッチボールが国民各層とできること、是非そういう手段を講じていただき、可能な限り公開性を高めていただくように取り計らっていただきたいと思います。
以上でございます。
【事務局長】ありがとうございました。竹下委員、お願いいたします。
【竹下委員】私は、本日の審議委員名簿にもございますように、以前、一橋大学の法学部で法学教育に携わってまいりました。26年ばかり民事訴訟法、これは狭い意味での皆様方が、普通、訴訟と言ったときにイメージされる手続以外にも、先ほどもちょっとお話が出ました倒産手続とか民事執行手続とかいうものも含めてでございますか、そういう民事訴訟法、それからその基礎にある裁判法というものを専攻して研究・教育をやってまいりました。
現在は、一橋大学を定年退官いたしまして、駿河台大学という私立大学にこの4月から学長を仰せつかってやっております。
私の専門がそのように訴訟ないし司法制度というものに関連しておりますので、これまでも一体日本の司法はどうあるべきかということを考える機会がいろいろございました。
佐藤委員が憲法の御専攻でいらして、憲法学者の前でこういうことを申し上げるのは内心じくじたるところがございますが、私は、やはり司法制度、あるいは訴訟制度というものを考えていく場合に、出発点は現在の憲法の下で一体司法にはどういう役割が期待されているのかというところにあるのではないかと考えております。
具体的には、先ほどの佐藤委員のお言葉をお借りすれば、自律的な個人ということになるかもしれませんが、その個人の憲法上、並びに法律上認められている権利、あるいは何々権という名前で権利と呼ぶまでには至らないにしても、法律上保護されるべき利益というものが実質的にちゃんと保障されるということが司法に憲法が期待しているところではないか。ごく簡単に言えば、個人の権利保護と申し上げてもよろしいかもしれないと思っております。
では、この審議会の課題は、21世紀における司法の役割を考えてということでございますが、これは21世紀という社会環境を現在の立場から展望して、どのような点に変化が出てくるのか。先ほど石井委員が御指摘になられましたが、恐らく、規制緩和、あるいは国際化というようなことが大きな変化の要素になってくるのではないかというふうに思います。
しかし、司法それ自体の役割というのは、私は、基本的には変わらないのではないか、ただ、新しい環境の下でその司法の役割を十分に果たさせるためには一体どういう制度作りが必要かという問題になるのではないかと考えているところでございます。
現在の司法の抱えている大きな問題は、ただ今髙木委員も御指摘になりましたけれども、国民から離れているというところなのではないかと私も常々思っております。人によりましては、国民と司法との社会的距離という言い方もされているところでございます。私、一方では、法制審議会の委員を長いことお引き受けしておりまして、訴訟制度、あるいは司法制度に関連する立法作業のお手伝いをしてまいりましたが、実は昨年の1月1日から、日本の民事訴訟法は新しい法律になりまして、そういう意味では民事訴訟制度の改革が行われたわけでございます。
そのときも、私どもは、民事訴訟が国民から非常に離れている、あるいは国民から見離されつつあるという危機意識を持っておりました。私どもと言いますのは、別に研究者ということではなくて、むしろ訴訟実務に携っておられる実務法曹の方々もそういう認識を共通にしていたと思います。裁判所の方々、それから日弁連の皆さん方もそういう危機意識をお持ちになって、新しい訴訟法を作ったわけでございます。
私どもといたしましては、完全なものができたというわけではありませんけれども、新しい訴訟制度というものが発足しまして、まだその成果が十分出てきていないところでございますので、その点につきましては、もうちょっと時間をいただいて、現実にどうそれが機能するかということを見定めた上で議論をしたいというふうに考えております。
いずれにせよ、司法制度が国民のものにならなければいけないということは確かでございますし、私が今申しましたように、最近行われた改革の成果も見守っていただきたいと思いますけれども、訴訟法が新しくなったら、それですべてがうまくいくというわけではなくて、更にその訴訟制度の基礎にある司法全体の仕組みというものを変えなければいけないということについては別に異論はないわけでございます。
この審議会は非常に重要な役割を担っているわけでございますので、是非とも司法改革を実現しなければいけないという点では、私も全く異論はございません。
ただ、その場合に、改革を実現するというためには、改革の理念がなければいけないということはそのとおりだと思いますけれども、同時に現実を踏まえる必要があるのではないかと考えております。これは別に理想と現実を背反的に考えるということではなくて、理想を実現しようと思えば思うほど、現実はどうなっているのかということを見定める必要があるのではないか。
たとえて言えば、更地に新しく建物を建てるのであれば、理想的な青写真ができると、それに従ってすぐに新しい建物を建てればいいわけでございますけれども、既に建物は建っている、それをどのように変えていくかという問題でございますので、やはり現実を踏まえた議論が必要になるのではないか。そのために一体どういう問題を取り上げ、どこからどのように考えていくかというのは、この審議会で法律の御専門以外の皆さん方の御意見を伺いながら、私自身も考えてまいりたいと思っているところでございます。
【事務局長】どうもありがとうございました。では、中坊委員、お願いいたします。
【中坊委員】中坊でございます。私は、現在、整理回収機構というところの社長をやっておりまして、同時に、弁護士で、この司法という問題にはかなり深く関わっておりますので、若干時間は長くなるかもしれませんが、自分のことをまずお話し申し上げて、今後の審議のときに御参考にしていただきたいと思います。
私は、まず、弁護士でありまして、1957年、昭和32年から大阪で弁護士をいたしております。だから、40年以上弁護士をいたしているわけであります。
弁護士の事務所としては、私をまぜまして5名の弁護士と5名の事務員、計10名の弁護士事務所ということであります。大都会の弁護士としては中規模の事務所を非常に長い間経営をしておるということになるわけであります。
私自身は、主として民事事件を担当しておりまして、一般の市民事件、あるいは企業の事件、あるいは公共団体の事件等、かなり幅広く事件に関係代理人として関係をいたしております。
また、刑事事件に関しましても、若干の国選弁護、また当番弁護士制度というのができまして、自分で希望して当番弁護士ともなり、実際の被疑者段階におきます弁護も若干の経験を有しておる者であります。
二つ目に、私自身は、1973年、昭和48年に森永ミルク中毒事件の被害者弁護団に参加しまして以来、例えば、千日前デパートの火災事件であるとか、あるいは豊田商事事件の破産管財人であるとか、最近では豊島の産業廃棄物事件であるとか、主としていわゆる被害者、あるいは住民といったような立場、すなわち社会におきます比較的弱者の立場からの代理人としての裁判を経験し、そういう立場から見て、裁判の現状というものについては、かなり厳しい眼を持って接してきたものであります。
三つ目には、私自身は、弁護士会におきまして、初めて大阪弁護士会に消費者保護委員会ができました当時から、実際の社会の消費者運動というのにも参加をしてまいりました。例えば公共料金、電力、ガス、あるいは鉄道といったような公共料金の値上げ問題等にも関与し、実際、自分自身がこのような審議会の公聴会に公述人として参加をいたしまして、審議会が実際上の建前とどのように行われているのか、一市民の立場からも、このような審議会の審議にも接してきたものであります。
更に、4番目といたしまして、私自身は、1977年から十数年にわたりまして、大阪の建築紛争審査委員会、建設業法にいう委員会におきまして、委員、あるいは会長等を重ねてきております。そこでは、どちらかと言えば、裁判官のようにいたしまして、斡旋したり仲裁したり、調停をしたり、時に仲裁判断という判決書を書くようなこともいたしておりました。そういう経験も持ち、裁く側と見れば一体事件がどう見えるかということも経験をしてきたものであります。
更に、5番目といたしましては、私自身は、司法制度全体のことに関しましては、弁護士会活動の中で接すると同時に、特に、私が1990年に日本弁護士連合会の会長となりましたとき、正に問題になっております、この司法改革という問題を初めて宣言をすることにいたしました。そして、なんとか国民に身近な司法へ脱皮する必要があるということを宣言し、それを遂行してきたものでもあります。会長を辞めました後も、司法改革推進センターというものに関与をいたしております。
また、本当に市民がそれでは裁判というものについてどのようにタッチしたらいいのか。私は、裁判傍聴運動というものを自分でも提唱をいたしました。それに接してきて、全国で何か所にわたって、裁判を傍聴する会等を作っていただき、その裁判傍聴運動に参加し、裁判傍聴運動というものについて、裁判所が一体どのような態度をお取りになってきたかということも目の当たりに経験をしてきたものであります。このように弁護士と言いながら、かなり幅広く司法問題全体に関わっております。
のみならず、現在は、極めて裁判を直接利用する立場、当事者といたしまして、御承知のように、3年前に住宅金融債権管理機構の社長として接しまして、現在も、我が社が抱えている事件は約1,500件、競売事件に至っては5,000件をやっておりまして、約400名の弁護士が関与するというふうに、当事者として、司法を利用する立場として現実にどのように見えるかということも、また、ユーザーとして現実に体験の中で経験しておるものでもあります。
もっとも、私自身は、このような会社も今年の8月2日に70歳になり、もう数日で辞めることにいたしております。
そういうことから、今回のこの司法改革の審議会に対しまして、この前、アンケートをいただきましたときも、私は、「9月以降の日程をすべてこれに最優先いたします。ほかの日程を全部やめます。」ということを申し上げ、私は専念してこの審議会の審議に当たりたいという意思を表明してきたところであります。
さて、司法そのものに関して、それではどういうことかと言えば、皆さん方が先ほどおっしゃっているとおり、正に今回の司法改革というものは、先ほど総理もおっしゃいましたように、正に司法を利用する者の立場から、司法の全体を根本的に改革する必要があるということに基づいた、利用する立場からの司法改革である。司法を運営するというよりかは、利用する側からの司法改革であろう、このための審議であろう、このように考えております。
私は、その点に関しましては、最初引用していただきましたように、私、会長になりました当時から、日本の司法は2割司法である、本来果たすべき機能の2割しか果たしていない、残りの8割が果たされていない。そのためにどうなっておるかと言えば、まず、第一に、私は、泣き寝入りというのが、実は本当に世の中では多いものであります。本当に数多くの被害者、あるいはいろんな権利が満たされないまま泣き寝入りしている人が圧倒的に多い。
二つ目には、そのような解決が、裁判の場で解決されるべき事件が、政治決着の名の下に行われている。私が担当いたしました住専問題にいたしましても、本来、これはいかに大規模なものでありましても、本来、司法が裁くべきものであったのであります。しかしながら、そうはならず、御承知のような政治決着の結果、大きな問題を残しておることであります。このような大きな問題になってくると、司法には任されないというのが現実のものになってきておると考えております。
三つには、暴力というものが事実上社会を支配しております。いわゆる暴力団とか闇の勢力とかいうだけではなしに、反対にこの世の中では随分とごね得というものが多いものでありまして、そのごね得の結果、曲げられているものが多い。
最後に、先ほどからも問題になっております行政指導の名の下において、本来司法が裁くべきことが残されている。このように残りの8割というものが、本来司法で裁くべきものが裁かれていない。
その結果、我が国の社会全体としては、極めて不透明な状況になって、司法が果たすべき一つの機能としては、社会に法を適用することによって透明化させるべきものではないかと思うんですが、その点が不透明なために、国際的にも日本国が非常に分かりにくい国だと言われておるのではなかろうかと思っております。
更に、三つ目といたしましては、正にそのような2割司法、先ほどおっしゃったような問題について、裁判所が遠い、私はこれを2割司法の二重構造と言っておるんですけれども、そういうふうにして市民との距離が遠過ぎる。そのためには、本来司法自体が問題になりにくい状況にある。そのためには、まずもって司法をもっと国民に近づけないことには、司法がどこが悪いかということすら起きてこないという現状にあるのではないか。これはひとえにと言っていいくらい、我々法曹三者の大きな反省を要するところでもあり、同時に市民もその真ん中にある堀を埋めるべき立場であったと、そういうことも考えておるわけでございます。
そういうことから、今回の司法改革の審議会におきましては、司法本来の機能を果たすべく、根本的に改革を要するという意味で、利用する立場から司法の改革を考えるべきではないか。
私もこのような場合、確かに現場というものが大切ではないか。一方においては、理念からくる改革論議も必要でありましょうけれども、同時に現場からこの司法がどう見えるかということの具体的なことがこの審議会では対象にならなければならない。
ただ、現場と申し上げますと、やや私としては、官による説明になる現場というのではなしに、本当に裁判を受け、泣いたりいろいろしている全国民の立場というものが、この現場をどう見ておるかという点を是非参考にしていただかなければ、理念だけではこの問題はいかない。
また、官の示される資料のみでは到底実態を明らかにしているものではない。このように考えておるものであります。
そういう意味では、今回のこの審議会におきましても、私は、何をもってもまず大切なことは、我々の審議会の状況を本当に国民が支持してくれるか、そのためにどの程度情報を知っておるのか、まずもって関心を持ってもらわなければ、いかようにここで高尚なる議論を粛々としてやったところで、しょせんは本当の意味の改革にはならないし、また、この改革が動くためのエネルギーも出てこない、このように考えるものでありまして、そういう意味から言えば、正に公開ということは、もっとも必要な一つの手段であり、それのみならずどうかして我々のことが国民に関心を持ってもらえる広報ということが必要であり、また、関心を持ってもらいやすいような緊急提案をするとかいう形の中で、国民がこの審議会の状況について関心を持ってくれる中での審議が行われる必要がある。
当然のように、既に国会でも問題になっておりますよう、本日もこの互選の前提としての紹介が、このように詳細に各委員によって行われていることは、私は極めて正しいと思うわけでございます。決して事務局主導のようになってはならない。この点も我々委員主導の下の会合でなければならないと思っております。
最後に、私自身は、確かに弁護士会に所属し、日弁連の会長もいたしておりました。しかし、本日は、私は、これからの2か年間、いわゆる有識者の一人として、先ほど言いましたような経験を持った者として、この審議に携わることでありまして、いわゆる弁護士会の意見を代表するということにはしたくない。そこは私自身も踏まえて有識者の一人としてこの審議に参加をしていきたいと考えているのであります。
どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局長】どうもありがとうございました。続きまして、藤田委員、お願いいたします。
【藤田委員】藤田でございます。現在、弁護士登録もしておりますけれども、弁護士会の仲裁センター、あるいは建設省の中央建設工事紛争審査会での仲裁のような、ボランティア的な仕事が主でありまして、弁護士になりましてから2年何か月かになりますが、まだ一度も法廷に立ったことはございません。
法務省の公安審査委員会、東京都の地方労働委員会の仕事もしておりますし、また、学習院大学の客員教授も務めておりますので、半官半民半学ということでございます。
2年前までは裁判所におりました。40年近くおったわけでございますけれども、その間、5年間、総理府の公害等調整委員会に出まして、熊本水俣病の事件とか、あるいは足尾銅山に絡み明治天皇に直訴した田中正造翁で有名でございますけれども、渡良瀬川鉱毒事件の調停事件等に、事務局の審査官という立場で関与いたしました。
東京の裁判所にも十数年勤務いたしまして、昭和60年ごろから、なんとか民事訴訟を迅速化しようということでいろいろ改革の試みがありましたけれども、その動きとか、あるいは判決書きの簡潔平明化というようなことにも関わりました。
最後の4年近くでございますけれども、仙台と広島の高等裁判所におりました。東北地方、中国地方の裁判所、かなり辺ぴなところにも独立の簡易裁判所がございますが、そこも全部回りまして、各地の状況を見てまいりました。
全国で見まして、一番ローヤーが少ないところが中国地方の島根県、次いで東北地方の岩手県と言われているわけでありますが、そこら辺の裁判所、あるいは島根管内では隠岐に西郷という支部、簡易裁判所がございますが、そこにも参りました。
言わば司法過疎地の実情に触れてきたわけでございますけれども、東京、大阪、名古屋という大都会は政治・経済・文化の中心地でございますから、そういうところで21世紀の司法がどういうような機能を期待されているのか、これも、もちろん、重要なことでございますけれども、司法へのアクセスに恵まれていない地方での国民が来世紀の司法にどういうものを求めているかということも、これに劣らず重要なことではないか。
そういう意味では、21世紀の司法のありようを考えるについては、そういうところにも赴いて、そこでの司法の現実の姿、あるいは21世紀の司法に、その地方の住民がどういうことを求めているかということを肌で感じるということも必要なことではなかろうかというふうに思います。
もう一つ、司法制度というのも、各国でいろいろな形があるわけでございまして、その国の歴史的、文化的、政治的、経済的、社会的な背景とかなり密接につながっているわけでございますから、言わば司法ビッグバンという大改革を考えるのについては、やはりその国その国での背景となっている基盤と司法制度との結び付き、そのありようというものを、やはり外国で現実に目で見てそれを日本での21世紀の司法のありように反映させる、そのありようを考えるについての資料として考えるということも必要ではないかと考えるわけであります。
いろいろな考え方はあろうかと思いますけれども、結局は国民全体が司法についてどういうものを求めているかということが、これからの司法制度を改革する一つの重要なインパクトとなっているわけでございますから、そういう点で虚心坦懐に先入観を捨てて、来世紀の司法のありようを考えようと、皆様にもお教えいただいて考えていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局長】ありがとうございました。水原委員、お願いいたします。
【水原委員】水原でございます。私は、昭和30年に検事に任官いたしまして、平成4年7月に名古屋の高等検察庁の検事長を退官するまでの間、37年3か月有余、法務・検察一筋にまいりました。
平成4年7月、終わりは名古屋だなと思っておりましたところが、バブルが崩壊しまして発覚した証券不祥事に端を発して、証券市場のお目付け役として新たに設けられました御案内の証券取引等監視委員会、日本版SECと言われておりますが、その初代委員長に駆り出されまして、昨年7月に、2期6年の任期満了により退任いたしましたが、それまでの間、証券会社に対する検査、それから御案内の四大証券幹部による総会屋への損失補填事件の摘発、検察官に対する告発などを通じて、証券市場がルールに基づき、公平、公正、健全、透明になるように努めてまいりました。
その間、この言葉が範ちゅうに入るかどうかわかりませんが、準司法機関の立場から、法務、検察、裁判の現状を見させていただきました。昨年9月からは弁護士の登録をいたしておりますが、藤田委員同様、全く訴訟事件には関与いたしておりませんで、防衛庁の装備調達適正化会議の委員を委嘱されたり、証券業協会の公益理事を引き受けたりして、専ら公の仕事に携わっております。
先ほど来、これまで司法に携わってこられた中坊委員も藤田委員もいろいろ司法に関して大方の御批判がいろいろあることについて述べられました。法務・検察の立場から司法に従事いたしておりました私は、その意味で言うならば、言わば爼上のコイでございますので、余り大きなことは言えませんし、当審議会委員就任の御要請がございましたときに、その役目が司法制度という一国の恒久的な制度にかかわる大事業であり、余りの重責なので、平素の自らの力を顧みて、お引き受けするには大変躊躇を感じました。
しかし、司法の現状につきまして、各方面から先ほど来からも多くの委員、御発言がございましたけれども、種々の御意見が出されて、改革に対する御提言もなされていることに思いをいたしましたときに、国民の立場から見て、果たして我が司法制度が完全に機能しているだろうか、言われるような問題点があるだろうか、実情はどうなのかを、この際、徹底的に検証して、もし、機能していないとするならば、どこにどのような問題があるのか。すなわち、実情はどうなのか、そして、真の問題点は何かを正確に把握して、理念だけではなくて、地に付いた議論を進めて、それを踏まえてどうすれば国民のために役立つ司法制度が構築できるかを、この際、冷静かつ慎重に検証することが極めて重要かつ喫緊の課題であると思いました。
それらの御審議に、先ほど申しました私のつたない経験ではございますけれども、これが役に立つならばということでお引き受けした次第でございます。
もう一つは、佐藤委員がおっしゃいましたけれども、中途半端な改革ではだめだ、一旦手を付けたならば、何が何でもやり遂げなければならないというお気持ち、全く私も同感でございます。
そういう意味で、肩には力を入れないように、しかしながら、委員の皆様方とともに、よりよい司法制度を作るために全力を傾注してまいる所存でございますので、よろしくお願いいたします。
【事務局長】ありがとうございました。では、続きまして、山本委員、お願いいたします。
【山本委員】山本でございます。私は昭和37年に東京電力に入社いたしまして現在に至っております。
司法制度の問題につきましては、これまでの会社の職歴の中で、法務部門の仕事に携ったことはございますが、きちんとした知識や、あるいは考えを持ち合わせているわけではございません。したがいまして、私のような者がという思いもあるわけでございますが、任命された以上、全力を尽くしていきたいと考えております。
私に課せられた役割は、まず経済界のいろいろな要望をお伝えすることにあると存じますが、これだけではなくて、物心つきましてからずっと現行憲法の下で、戦後日本を生きてきた世代の一人といたしまして、次世代に引き継ぐ日本の社会はどうあるべきだろうかというようなことも考えながら、幅広い見地からの議論に少しでもお役に立てればと思っている次第でございます。
さて、国際化、規制緩和など現在の我が国の状況、非常に大きな変化を将来とも続けていくわけでございますが、そういった中におきまして、司法制度もこれに即応するよう充実させる必要があるという今回の改革の発議というのは誠にタイムリーなものだと感じております。
経済、産業の分野におきましても、先ほど来、お話が出ておりますように、例えば知的所有権紛争の迅速な処理体制の整備でございますとか、あるいは民事執行制度の強化などが強く要望されているところでございます。
御承知のように、経団連におきましても、昨年5月に司法制度改革についての意見を取りまとめたところでございますが、関係する各方面でこのような動きがあるわけでございますので、こうした状況を踏まえながら、より利用しやすい制度はどうあるべきかということを考えていきたいと思っております。
と申しましても、司法制度改革全般にわたる理念とか方向性について、私自身が確たる考えを持ち合わせているわけではございません。一国民としてとでも申しましょうか、それなりの感想めいたものは持っているわけでございますが、慌てましていろいろ勉強しました範囲で改めて考えてみましても、誠に幅が広く、かつ奥も深くて、なかなか軽々に結論が出る問題ではないのではないかというのが率直な今のところの気持ちでございます。
当面はひたすら勉強させていただきたいと考えておりますが、あえて今頭の中にある思いを一、刀A披露させていただきたいと思います。
第1は、改革というのは、先ほど来、お話に出ておりますように、あくまで大胆に取り組む必要があると思いますけれども、併せて司法の特質といったことも十分考える必要があるのではないかと思っております。
例えば、国民個々との関わり合いという観点から見ますと、行政とか立法というのは、例えば地域社会作りでございますとか、国作りといったように、かなりポジティブな要素で成り立っていると思われるわけでございますが、司法はどうかと言いますと、非常に俗な言い方でございますが、よそ様の紛争に黒白を付けるとか、あるいは法を犯した個人に対して罪状を調べて刑罰を科するとか、ちょっと立法とか行政とかが持つ印象とはかなり違った面がある。こういうところをどういうふうにプランニングの中に織り込んでいくんだろうかといったような問題。
また、誠に古めかしい表現で適切ではないと思いますけれども、「袖すり合うも他生の縁」という我が国の伝統的な隣人意識、あるいは共同体意識というのがございましたが、これは昨今非常に大きく変質してきているとよく言われておりますけれども、こういったものに代わる公の意識といったものが将来にわたって力強く国民の中にはぐくまれていくものだろうかという疑問もございます。こういった面で司法はどういうふうにコミットメントをするんだろうか。
これに関しましては、教育を始めといたしまして、行政、立法、あるいはいろんな分野での施策というのが非常に大きな影響を持ってくると思いますが、そういうふうなこともよく考える必要があるんじゃないかと感じている次第でございます。
第2は、審議に際してのお願いということでございますが、少し勉強してみましたら、かなり、この司法制度改革というのは、例えば昭和37年に設置された臨時司法制度調査会でもかなり入念な議論が行われているというふうに聞いておりますし、それ以降もいろいろな改善の試みがなされていると伺っておりますので、時間が許せば少し古いことになりますけれども、そういった勉強もさせていただければと思います。
それから、先ほど来、お話が出ておりますように、やはり現場の状況をよりよく把握した上での議論が大切かと存じますので、この辺は事務局の皆様方にもよろしくお願い申し上げます。
終わりに、私個人の問題でございますけれども、私の立場、これは専門家ではないという立場とその役割をよく考えながら、精一杯、微力ではございますが、努めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしく御指導いただきますようにお願いいたします。
【事務局長】ありがとうございました。では、最後になりましたが、吉岡委員、お願いいたします。
【吉岡委員】私は主婦連合会という消費者団体に属しております。主婦連合会のことは説明しなくても大体はお分かりじゃないかと思いますけれども、昭和23年に創立いたしまして、51年目になっているという大変伝統だけは古い団体でございます。
そういう私どもの団体の考え方そのものは、「台所の声を政治へ」という、台所という言葉が古いんですけれども、とにかく市民の声を政治に反映させていこうという考え方で運動を続けてきております。
そういう意味で一般市民がどんなことに悩んだり、苦情を持っているか、そういうことを知ることは非常に大切だという観点から、昭和35年から苦情の窓口というのを開設いたしまして、そこでいろいろな相談に乗ったり、一緒に交渉したり、そういうことを進めてきております。
そういう運動の中で、私たちが一番重点的に取り組んでおりましたのは、現在のある法律ではなかなか消費者の権利が十分には確立できないという立場で、いろいろな法律を作らせる、それが大切じゃないか。そういう考え方から、例えば、不当景品類及び不当表示防止法、景表法と略しておりますけれども、そういう法律を作らせるとか、独禁法を改正させるとか、最近できましたけれども、情報公開法を作らせる、それから製造物責任法、いろいろな法律を制定させるという運動を続けてまいりまして、成功してきているわけです。ただ、法律が幾らできても、本当にその法律が機能するかどうかとなるといろいろと問題があります。
例えば、今申しました景表法の場合ですけれども、これで私たちは製品の品質等について、価格も含めて表示がされる、それによって利益が得られるはずだったんですが、実はそうばかりではない。一つ例を挙げますと、主婦連ではジュース訴訟を起こしておりますが、これは、ジュースの表示を巡って争った裁判なんですけれども、実際には中身に入る前に、消費者及び消費者団体は訴える権利がないということで門前払いを受けてしまいました。私たちが作った法律にもかかわらず、消費者及び消費者団体は訴える権利がないんだという結論で、最高裁の判決になっています。
そういうことを考えますと、まだ、いろいろな裁判に関わっているんですけれども、裁判の結論が私たちが立法を考えてやってきた目標と必ずしも一致しない解釈ができるという経験を重ねてきております。
現在、私たちが一生懸命やっている問題に、消費者契約法、これは仮称ですけれども、そういう法律を作らせようということがあります。今、国民生活審議会などで検討していますが、これについても、法律ができても、その法律が本当に有効に機能するかどうか、そういうことを考えたときに、実効性をどう上げていくかということが非常に大切な問題です。
それを考えたときに、裁判制度も含めて、司法の在り方、この辺のところが非常に重要ではないかと思います。私たちは全く素人の立場ですから、法律を作っていただいて、それで今度はそれを使ってみて、使って問題があればそれを直してもらう。それを全く素人の一番底辺にある立場から提言しながら、暮らしやすい法治国家、そういうものを作っていくべきだと考えております。
今の裁判が国民にとって利用しやすいかどうかと考えますと、なかなか近寄り難いと考えている人は非常に多いというのが現状でございます。
なぜ近寄り難いのか、これはアンケートを取ったこともあるんですけれども、一つは、期間がどのくらい掛かるか見当がつかない。多くの場合は時間が掛かり過ぎるのではないかということがあります。
それから、費用がどのくらい掛かるか、これも見当がつかない。かなり高額の裁判費用が掛かるという問題があります。
それから、裁判はもちろんですし、弁護士さんに対しても、アクセスが非常に難しい、敷居が高いという問題があります。
それから、どなたかもおっしゃいましたけれども、言葉自体が平易な言葉ではないので非常に分かりにくい。裁判を傍聴しても、何を言っているのか、裁判官の言葉がよく分からないなどもあって、何となく国民から遠いという問題があります。
それから、国民自身の問題として一つあるのは、裁判嫌いと申しますか、そういう感覚が非常に強いということがあります。よく私たちがいろいろなトラブルが起こって交渉したりしていますと、相手方が大きい場合ですけれども、それでは、出るところへ出ましょうかというふうに言われます。じゃ、どうしますかというと、ほとんどの場合は、もう結構ですということで、先ほど泣き寝入りという言葉が出ていたんですけれども、泣き寝入りになってしまう、そういうことが多いように思います。
でも、裁判というのは、もっと身近で、気軽に利用できる、これで正しいことが主張できる、そういう制度でなければいけないわけですが、国民の意識はそういうところもあります。
その原因が何なんだろうと考えますと、これは長い歴史があるのでないかと思います。よく映画やテレビのドラマでお白洲というのが出てきます。高いところに裁判官がいて、それで地面のところに裁いていただく人がいるという構造が歴史的にあるわけです。
ですから、常に国民の意識の中には、上から押さえ付けられるような感情というのがどうしてもあるんじゃないか。
それから、ある東北の城下町では、沙汰屋という言葉があるそうなんです。沙汰屋というのは何だろうと思って聞きましたらば、けんか沙汰、警察沙汰、裁判沙汰という三つなんです。
そういうことで、何につけても世の中を騒がすようなことをするという人に対しては、軽蔑の念で見られるということを言っていました。
もう時代は変わってきているんですけれども、やはり国民の潜在意識にそういうものがおりのように残っているという問題もあるんじゃないかと思います。これを解消していくことが必要だと思います。
この審議会ですけれども、そういういろいろな感覚を持っている人たちが、自分たちのためにどんな司法が必要なのか一緒に考える、そういう世論を作っていくということは非常に重要ではないかと思います。そのためには、やはり審議会自体が透明性の高いものである必要があります。そういう意味で、審議会の公開ということを検討する必要があるんじゃないかと思います。
それから、ただ、公開するということだけでいいのかということになりますと、やはり意見の双方向性、意見を聞くということが非常に重要になってくると思います。どなたかがインターネットでということをおっしゃいましたけれども、できるだけ幅広くいろいろな機会を作って、いろいろな立場の人の意見を、できるだけ生の声を聞いて反映させる。そういうことを考えながら、2年間という非常に短い期間でどれだけできるかという不安もあるんですけれども、いい司法改革ができるためには、国民全体の議論にしていくということが非常に重要ではないかと思います。 私は、全く素人の立場で、国民の議論となるようなことを考えながら参加させていただければありがたいと思っております。
【事務局長】皆様、どうもありがとうございました。
ここでお席のお茶を替えさせていただきますので、一、二分休憩をさせていただきたいと思います。
(休憩)
【事務局長】よろしゅうございますでしょうか。これから会長選任の議事に移らせていただきますが、最初に申し上げましたように会長は委員の皆様の互選によりお決めいただくこととなっておりますので、よろしく御議論、御協議お願いいたします。
【中坊委員】推薦させていただいてもいいですか。
【事務局長】はい。
【中坊委員】私は、先ほどの皆さんのお話を承っていて、佐藤幸治委員が一番適任じゃないかという気がするんです。もちろん、佐藤委員の名前が新聞紙上等に報道されておりましたけれども、しかし、これだけみんながお互いに自分のことやら、あるいは司法改革に寄せる思い等を話した状態の中で、互選できる状況になっていると思いますので、氏Aひとつ推薦させていただきたいと思うわけでございます。
もちろん、この審議会の会長というのは会務を総理し、会を代表するという意味では極めて重要な立場で、まず、会長としての適格ということを言いますと、やはり公正・中立、もちろん、どなたでも公正・中立というのはあり得るかどうかという極めて問題だろうと思いますけれども、比較的という立場で言いますと、率直なところ、大学の教授をしていただいている方が一番公正・中立には近いのではなかろうかと思うわけでございます。
二つ目には、佐藤委員は憲法を専攻されている。司法は言うまでもなく国家体制の中枢の一部を占めておるもので、これは全体的、総合的なところから見ないといけない。それをまた根本的に、あるいは全体的に直していくということからしますと、全体が見通せる人が必要ではないか。
更に、佐藤委員は、先ほどの中で、自分で行政改革会議というのに具体的に参加しておって、現在の行政の肥大化や硬直化というものが、司法機能の不全に一つは由来しているというふうに非常にこの司法改革を政治全体の中で、現実的にとらえているという意味では、我々はそういう経験がないものでありまして、そういう意味では佐藤委員が適任ではないか。
最後に、やはり、私は、佐藤委員の気迫と言いましょうか、先ほど自分の意見をおっしゃった中で、今回の改革は中途半端でやってはいけないんだ。言った以上は必ずやり遂げなければならない。このような考え方を言われて、その決意というものを我々としては一番大切にすべきではないか。
何が何でもこれをやり遂げなければいけないという気迫があって皆をリードしていただけるのではないか。そのようにも考えるわけでございます。私としては大変せん越ではありますが、佐藤委員を推薦させていただきたい。このように思います。
【事務局長】ありがとうございました。今、中坊委員から佐藤委員を推薦するという御発言がありましたが、これに対しまして、賛成、異論を含めまして、ほかに御意見はございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
【事務局長】という声でございますが、それでは佐藤委員を会長に選出ということでよろしゅうございますでしょうか。
(拍手起こる)
【事務局長】佐藤委員はお引き受けいただけますか。
【佐藤委員】逃げ出したいような気持ちもしないではありませんが、お引き受けさせていただきます。
【事務局長】ありがとうございます。これで会長が選任されました。皆様、どうもありがとうございました。
それでは、以後の議事は会長にお務めいただくことになりますので、佐藤会長には会長席にお移りいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
(佐藤委員、会長席へ移動)
【事務局長】佐藤会長、それではよろしくお願いします。
【佐藤会長】それでは、就任のあいさつをさせていただきたいと思います。
先ほど来の御議論を伺って、大変難しい問題であるという感を一層強くしているところでありまして、私のような者がふさわしいのか、非常に重大な使命を託されたこの審議会の会長の任に耐え得るのか、非常に心もとない限りでありまして、さっき申しましたように逃げ出したいような気持ちも一方でする次第です。
さはさりながら、先ほど申しましたように、司法改革が必要だということをかねて私は主張してまいりました。
そして、何よりも各界から人格、識見ともにすぐれた皆様が参加しておられて、その御指導、お力添えを得るならば、私のような者でもなんとかなるかもしれないという思いもいたしまして、お引き受けさせていただいた次第であります。
お引き受けする以上は全力を尽くしてまいりたいと思いますので、なにとぞ御指導、お力添えのほど心からお願い申し上げます。
この審議会の設置法の2条を見ますと、こういう規定がございます。既に御覧だろうと思いますけれども、「審議会は、21世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民の司法制度への関与、法曹の在り方とその機能の充実強化その他の司法制度の改革の基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議する。」とございます。
先ほど総理のお話にもございましたように、日本は現在21世紀に向けて大きな転換を図るべき時期にあります。そういう中で、司法は一体どういう機能を果たすべきか。司法がその機能を果たすためにはどのような基盤的整備を必要とするのか。
私流に申せば、司法が真に「国民の司法」として、自律的個人を基礎とする自由で公正な社会を築く上で大きく寄与できる条件と、その条件を充足する筋道は何かということを明らかにするということ、これがこの審議会に課せられた課題ではないかと理解しております。
委員の皆様の顔ぶれを拝見いたしますと、法律実務家、法律学者を合わせた数を超える方々が各界からお見えになっておられるわけでありまして、幅広い各方面からの御意見に接して考えることができるということを非常に心強く思っている次第であります。先ほどから御意見がございましたように、利用者である国民の視点に立って、国民が利用しやすく、かつ頼りがいのある司法の実現に向けて、我々は議論する。そういう議論をするため、私として、誠心誠意、会議の公正な運営を図ってまいりたいと思いますので、その点もよろしくお願いしたいと存じます。
それから、事務局でありますけれども、これから2年間、事務局に大変御苦労をかけることになります。行政改革会議の経験でありますけれども、事務局が非常に大変であるということは、しみじみ感じました。そして、会議体と事務局が一体となって目標に向かってエネルギーを結集しませんと、こういう大改革というものは決してできるものではないという感を深くしております。
事務局には、この会議体の会議における議論が実り多いものになるように、そのため各委員の御研究、あるいは御検討に資するような態勢を整えて下さるよう、事務局に特にお願いしておきたいと思います。
先ほど来御指摘のように、この司法改革は、法学教育の在り方、更に言えば教育そのものの在り方にも及ぶ明治以来の我が国の国柄と言いますか、私流に言いますと、深い意味での日本のコンステチューションにかかわる事柄ではないかというように感じておる次第です。
そうでありますだけに、この改革は一朝一夕でできるものではない。国民の皆さんのいろんな知恵を集め、息の長い努力をしないとできるものではないだろうというように思います。
今回の私どもの審議会がそういう改革の礎になるような意見をまとめる、そういう任務を課されているんだと思う次第でありまして、皆様御多用のところでありますけれども、この審議のために御協力、御支援いただきますように重ねてお願いいたしまして、私のあいさつとさせていただきます。
それでは、議事の方に入らせていただきます。まず最初に、会長代理について、お決めいただきたく存じます。
この審議会の設置法の5条3項をごらんいただきたいわけでありますけれども、5条3項には「会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。」とございます。この規定にしたがって、本日、会長代理を指名させていただきたいと思います。私の方から申し上げさせていただいてよろしゅうございましょうか。
大変恐縮ですけれども、竹下委員にお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
【竹下委員】ただ今会長から御指名をいただきました。私、果たして、十分、佐藤会長をお助けして、この会の運営の一旦を担うだけの力があるかどうか、自分では大変心もとないことでございますけれども、御指名でございますので、喜んでお引き受けさせていただきたいと思います。
【佐藤会長】竹下委員にお願いしましたのは、かねて民事訴訟法学の権威として敬愛してきたということもありますが、今回の改革では特に大学がどういう関わり方をするのかということが、その成否の決め手の一つになるんじゃないかという思いもございまして、特にお願いした次第であります。
同時に、先ほど中坊委員から、学者は比較的中立かもしれないというお話がございましたが、それは比較的ということでありまして、会の公正な運営については、大学人だけではという問題意識もないわけではございません。今後の会の運営については、いろいろな工夫をさせていただきたいと思っております。
竹下委員、よろしくお願いいたします。
【吉岡委員】ちょっといいですか。
【佐藤会長】はい。
【吉岡委員】御立派な方で異論があるわけではないんですけれども、氏Aすごく気になりますのは、マスコミで報道されたとおりに決まってしまったというふうに、結果として思われるという、その辺のところがすごく気になるんですね。そういう意味では、この後、多分、記者発表なさるんだと思いますけれども、議論があってそれぞれの意見を出した上で決まったんだということを御説明いただきたいと思います。
【佐藤会長】承知しました。
それでは、次に議事規則について御審議いただきたいと思います。これは最小限、今日決めておかないといけませんのでよろしくお願いします。
この点については、事務局の方で何か用意したものがありますか。
【事務局長】事務局の方で作成いたしました一つの案がございますので、今お手元に配らせていただきます。
【佐藤会長】それでは、御説明ください。
【事務局長】分かりました。
通常、この種の議事規則には、会議の招集権者、議長、会議開催の定足数、議事の決定方法等が定められておりますが、本議事規則案も、各種審議会の議事規則にならって作成したものであります。
なお、第3条の会議開催の定足数に関する規定についてでありますけれども、定足数を3分の1としますと5名以上、過半数としますと7名以上、3分の2としますと9名以上ということになりますので、この委員会、13名という比較的少数であることを考えますと、過半数辺りが適当であると事務局では考えました。
また、第5条につきましては、事務局は、本会議設置法第7条第1項により、審議会の事務を処理することとされておりますので、議事録の作成も事務局において行うのが適当であると考えて、置くことにしたという理由でございます。
以上でございます。
【佐藤会長】全くのスケルトンかもしれませんけれども、最小限必要なことが書かれていると思います。定足数は過半数、議事も過半数で決めるということであります。難しく考えますと、いろいろなことに思いをいたさなければならないのかもしれませんけれども、今日はこの骨格を決めていただければ、まずはスタートできるのではないかと思いますが、いかがでございますでしょうか。
よろしゅうございますか。どうもありがとうございます。
それでは、こういう規則で今後会議を運営させていただきたいと存じます。どうもありがとうございました。
次に、会議の公開について御審議いただきたいと思います。先ほど来、既にいろいろ御意見を賜っておりますけれども、この点についても、何か事務局の方で用意したのがありますか。
【事務局長】はい。事務局で用意した案がございます。
【佐藤会長】配らせていただいてよろしゅうございましょうか。それでは、御説明願います。
【事務局長それでは、この案につきましても、若干の説明をさせていただきますが、最初にお断りしておきたいのは、このペーパーの位置づけにつきましては、あくまでも審議の御参考までに事務局の方で作成した一つの案ということでございますので、御理解いただきたいと思います。
まず、この案を作成しました背景につきまして、若干申し述べさせていただきたいと思います。
第1といたしまして、審議会の議事の公開に関する政府の方針がございます。政府におきましては、近年、法令や閣議決定等に基づきまして、審議会の議事の公開に積極的に取り組んでおります。例えば、平成10年6月に施行されました「中央省庁等改革基本法」第30条第5号におきまして、「会議又は議事録は、公開することを原則とし、運営の透明性を確保すること。」とされております。
また、本年4月27日に閣議決定されました「審議会等の整理合理化に関する基本的計画」におきましても、「会議又は議事録を速やかに公開することを原則とし、議事内容の透明性を確保する。なお、特段の理由により会議及び議事録を非公開とする場合には、その理由を明示するとともに、議事要旨を公開するものとする。」、「議事録、及び議事要旨の公開に当たっては、所管府省において、一般の閲覧、複写が可能な一括窓口を設けるとともに、一般のアクセスが可能なデータベースやコンピュータ・ネットワークへの掲載に努めるものとする。」とされております。
第2といたしましては、国会における司法制度改革審議会設置法案に対する審議の経緯及び附帯決議がございます。例えば、国会審議の過程におきまして、議事の透明性を巡る法務委員会委員からの御質問に対し、小渕内閣総理大臣より、「審議会等の審議の公開については、従来からの政府の基本方針」であり、「具体的な公開の方策を含め、司法制度改革審議会の運用については、審議会が設置された後、審議会において基本法の趣旨を踏まえ、適切に対応されるものと考えている。」旨答弁申し上げているところであります。
また、衆議院、参議院両院の法務委員会におきまして、それぞれ附帯決議がなされておりまして、この点につきましては、既にお手元にお渡ししているところでございますが、この中に議事の取扱いに関し、同じ内容の条項が含まれております。すなわち、「審議会はその調査審議の状況に関し、情報公開等透明性の確保に努めることとし、法務委員会は、必要に応じ、同審議会事務局を介して、同審議会の議事録並びに審議の状況について報告を求めることができるものとすること。」というふうにされているものでございます。
第3といたしまして、各種審議会における議事の公開に関する取扱いでございますが、昨年3月に内容及び総務庁が取りまとめました審議会等の公開等の推進状況に関するフォローアップ調査によりますと、調査対象となった152の審議会のうち、会議、議事録、議事要旨の少なくとも一つを公表している審議会は全体の99.3パーセント。このうち会議そのものを公開しているものは全体の34パーセント、会議の公開・非公開にかからわらず議事録を公表しているものは68パーセント、議事要旨のみ公開しているものは26パーセントとなっております。このほか、全体の67パーセントの審議会が答申、議事要旨等、各種情報を一般アクセス可能なデータベースやコンピュータ・ネットワークに掲載しておりまして、25パーセントの審議会が会議終了後の記者会見を行っているということでございます。
以上が背景でございます。
続きまして、本事務局案の内容を説明させていただきますが、まず、読ませていただきます。
「司法制度改革審議会の議事は、可能な限り国民にその内容を示し、その透明性を確保することとし、以下の措置をとる。
1毎回の会議終了後、会長(又は会長の指名する委員)が記者会見を行い議事内容を説明する。
2毎回の会議終了後速やかに議事概要(発言者名なし)を作成し、公表する。
3毎回の会議の議事録(原則として発言者名入り)については、その作成後これを公表する。
(備考)上記に伴い、議事概要等の資料については、コンピュータネットワークにより広く国民の方々の入手を可能とする。」という案を作成いたしました。
この表現ぶりにつきまして、若干の説明をさせていただきますと、まず1の箇所でございますが、事務局といたしましては、毎回の会議終了後会長が記者会見を行うとの案を用意しました。括弧書きの内容と言いますのは、その記者会見を会長に代わって、あるいは会長とともに会長の指名する委員の方にもお願いする方法もございますという趣旨でございます。
次に、2及び3の箇所でございますけれども、議事概要及び議事録の取扱いにつきましては、事務局といたしましては、公開するとの案を用意いたしましたが、その際、議事概要については、会議終了後速やかに簡潔なポイントのみを取りまとめる関係上、通例に従い発言者名は特に記載しないとしたところでございます。
一方、議事録、これは会議場での御発言をそのまま速記から起こしたものですが、これにつきましては、事務局といたしましては、基本的には発言者名を入れた形で公表する。ただし、諸事情によりまして、この部分だけは発言者名を伏せて公開することが適切であるといった例外的な場合もあるかと思いまして、そのような場合には委員の皆様の特別の合意により、発言者名を伏せて公開することもできるという趣旨で、「原則として」という表現をしたところでございます。
もちろん、議事概要、議事録等につきましては、その公開の是非自体も含めまして、具体的な取扱い方針を御審議の上お決めいただくわけでございますが、事務局の案の趣旨としては、そういう趣旨でございます。
なお、先ほど御説明しました中央省庁等改革基本法におきましても、公開の対象を「会議又は議事録」としておりまして、各種審議会の公開方法も議事要旨及び議事録の公開とするものが多いことでありますことから、本事務局案におきましても議事概要及び議事録の公開とし、会議の傍聴、すなわち会議自体の公開を認めるか否かにつきましては、直接言及しておりません。傍聴に関しましては、既に幾つかの団体から審議会宛てに、各種要望をいただいているところでありまして、これらは会長へお伝えしたいと存じます。第2回目以降につきまして、事務局としましては、審議会の事務所内にある審議室において開催することを予定しておりますが、会議場のスペースの関係上、物理的制約もあるかと存じますが、この辺りの取扱いにつきましても、是非御審議いただくようにお願いしたいと思います。
なお、ただ今申し上げました幾つかの団体からの要望書につきましては、会長にお伝えした後に、いろいろな資料を送らせていただきますけれども、そのときに御一緒に各委員の皆様方にも送らせていただきたいと思っております。
甚だ簡単でございますが、以上でございまして、あくまでもこのペーパーは事務局で作りました試案ということでございますので、よろしく御審議をお願いいたします。
【佐藤会長】ということでございます。会議の公開の在り方について、既に委員の皆様から御意見も出ているわけでありますが、私の気持ちとしては、とりあえずはこの形で出発してみてはいかがかと思っております。
先ほど来、御議論にありますように、国民との接点を非常に幅広く深いものにする必要があるということは、私もそのとおりだと理解しております。国民の皆さんの支援がなければ、改革というものはなかなか難しいだろうと思っておりまして、国民との接点を深めるということについては、今後、いろんな工夫をする必要があると考えておりますが、とりあえずはこの形で出発させていただいたらいかがかと思います。
今日はお互い初めてお目に掛かるということもあります。しばらくはこういう形で皆さんで御議論いただいて、今後必要な工夫の余地があれば工夫をするということで、今日はとりあえずはこの3点をお決めいただく。これは行政改革の顧問会議のスタイルです。3番目の議事録ですが、これは3か月後くらいに出てまいります。それは発言者のお名前の入ったものでして、皆さんがどうおっしゃったかいうことは全部出てまいります。
なお、付け加えますれば、法曹三者の方々の傍聴については、別途考えておく必要があるかなという感じがしております。直接司法改革の運用に関係する存在であります。司法制度全般と非常に密接な関係を持っておられますし、今後の審議で法曹三者のそれぞれから、折りに触れていろんな資料を出していただく必要もあるように思うのでありまして、議論がどんな状況なのかということをむしろ知っておいていただいた方がいいんじゃないかなという思いもあります。ここには書いてございませんが、法曹三者については、そういう取扱いをさせていただいたらいかがかなという思いがございます。事務局の案に付け加えての私の感想を申し上げましたが、いかがでございましょうか。
【髙木委員】今日のところはこれでという会長の取りまとめでございますが、恐らくこのパターンだとどのくらい国民にいろんなことが伝わっていくのかという意味で、工夫ということですが、どんな手段があるのか。
これは質問なんですが、一方通行ではなくて、キャッチボールのスタイルというんでしょうか。コンピュータ・ネットワークでも、流しっぱなしではなくて、いろんな意味でのレスポンスも受け止めるというような仕組み方にしていただく必要があるのではないかなと思います。
【佐藤会長】行政改革会議のときも、たくさんのいろんな立場の方から投書や申し入れがありました。各委員個人にも来ましたし、会議全体に対してもいろんな要望がまいりました。会議宛てに来たものは委員の皆さんにすべて渡されております。
私はコンピュータのことはよく知らないんですけれども、受ける方法はあるんですか。
【事務局長】あると思います。
【曽野委員】いつもこういう場合に、傍聴という話が出るんでございますけれども、私は傍聴には基本的には反対です。それはどうしてかと申しますと、ここは私どもの職場です。職場を公開して、衆人監視の中で仕事をするものはございません。ですから、議事録その他を全部出す、逐語で出すのも結構です。私などはしゃべり方が下手なもので、少し日本語を直させていただきますが、職場を公表するということになりますと、私なぞは何もしないだろうという感じがいたします。それだけ今の流行に逆らうかもしれませんけれども、私は悪い流行であると考えております。
【中坊委員】私は今の曽野委員のおっしゃったことには基本的には反対です。そういうのは一般の風潮じゃなしに、我々の今の司法の問題というのは、正に全国民に関し、しかも全国民の利用する立場からのことですからね。そういうことを言うときに、全国民が参加する中において、この審議が行われるというのは当然のことだろうと思います。それは我々委員になった者の、それは確かに今曽野委員のおっしゃるように、我々としては人がいるということが、作家としても、あるいは私たちとしても、正直言って余り気持ちのよいものではないと思います。しかし、委員という一旦公の立場になった以上は、やはりそれは公開しなければならないものではないかと思います。
そういう意味では、今回お決めになった公開についての事務局案ですが、その傍聴の点に関しては、まだこれから審議だとは書かれておるけれども、その点が今ひとつ明確ではありませんね。
基本的に言えば、私は一般国民の傍聴を許すべきだ。しかし、確かに、おっしゃるように、余り無制限にみんなが来られたりしたらこれは困る。だから、どういう条件を付けるかということは一つの問題ですが、確かに、おっしゃるように、少なくとも国民の支持がなければ、我々の審議が実際上どの程度実効性があるかどうかも分からない。さっきから言っているように国民と司法との距離が遠過ぎるというところが極めて問題なわけですから、そういうことから言えば、報道関係者であるとか、あるいはただ今御説明になったように、法曹関係者も、現場をということになれば、当然現場の意見も聞いてこないといけないし、そういう意味では傍聴というのは、先ほどおっしゃるように私は絶対に必要なことではないかと。
しかし、どのような範囲でどうするかということは、今直ちに決める必要はないのかもしれませんけれども、これですと、まるで公開が、議事録の公開しかしないように読めるわけですから、念のために、もし文章としてお載せいただくとすれば、傍聴問題については、今ここで、確かに第1回目で、しかも時間も2時半と限られていますから、そういうところで、今ここで議論するのがどうかという気はいたしますけれども、しかし、少なくとも傍聴問題については、今のいろんな意見もあると思いますので、もっと慎重に決められるべきであって、今ここでおっしゃるように、公開についてと言って、議事録だけ公表するように、この文書であれば読めますから、そこはもう一度お考えいただいた方がいいのではないかという気がいたします。
【水原委員】問題は審議会の議論の内容をどういう方法で公開するのかということで、直接公開なのか、それとも我々が信任して選んだ会長さんが、会議の終了後に記者会見を行って、詳細に内容を説明していただく。なおかつ、会議終了後速やかに議事概要を作成して公表する、そして、速記が起きた議事録については発言者の名入りで公表するということになりますと、国民は、それを見れば、どういう形で議論がなされているのか、それについての御意見はいろいろな方法で審議会に寄せることができるでありましょう。とりあえずのところ、この形で出発した上で、先ほど中坊委員がおっしゃるような、直接公開しなければ、国民参加の司法に関するいろんな議論が十分果たし得ないのかどうかということを、その経過を見ながらもう一度検討してもいいのではなかろうかというのが私の率直な意見です。とりあえず本日のところはこれで。
【中坊委員だから、本日ここまでだということが、ある程度、この公開案のところには、傍聴の問題が触れられていませんから、そこを少し触れられておいたらいかがでしょうかということを私は言っているんです。
【佐藤会長】分かりました。公開とは何かについてはいろんな定義があると思います。会議自体の公開も公開ですし、議事録の公開も公開の一つの在り方ではないか。従来は記名入りの議事録を公表するということはほとんどなされていなかったわけです。現在でも審議会によっては、名前を伏せて出す場合があります。名前を出して公表するということは、私個人としては相当な程度の公開だろうと思います。さりながら、中坊委員がおっしゃったように、我々の議論に対する国民の素早い反応というものが必要なところもあるだろうと思わないでもありません。その辺は、これから私ども何回か会議をやる中で、これはもういいじゃないかということになるかもしれませんし、別途の工夫の仕方があるかもしれません。それは今後何回か会合を重ねる中で御相談させていただくということにしまして、今日は、このあたりでお決めいただいて、記者会見の場では、より広く傍聴を認めるか認めないかということは決めていないんだ、今後いろいろ考えていく、という趣旨で御説明させていただければと思いますが、いかがでしょうか。
【吉岡委員】今、時間がないということで、これ以上議論するのは難しいということは分かりますけれども、先ほど事務局長の御説明の中で、現在、会議そのものが公開されている審議会が、たしか、34パーセントとおっしゃったような気がするんですけれども、3分の1は公開されているという現状の中で、この国民に一番密接に関わり合いのある司法制度を改革するということが、会議そのものが公開されなくてもいいのかなという、そういうことを私は感じます。
ただ、今ここで結論を出すことはとても無理だと思いますので、もう少し議論をするということで延ばしていただければと思います。
【佐藤会長】いろいろなお考えがあるということは分かりましたが、公開そのものについては皆さん否定的ではないんですね。公開にはいろんな仕方があるだろうということなんでありまして、その点については、これから回を重ねるに従って、もういいじゃないかということになるかもしれません。少なくとも報道関係者には部分的に入っていただいていいじゃないかということになるかもしれません。その辺は前向きにと言ったら皆さんに誤解を受けるかもしれませんが、何も今日しないと決めるのではなくて、とりあえずは今日はこのあたりに決めさせていただければと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。
【井上委員】私も、会長が今申されたことに同感です。まだ委員相互にほとんど見ず知らずですので、ウォームアップの期間も必要だと思うのです。そういう意味で、どうするかということについては少し時間を置いた方がいい。今日のところは、文字にするかどうかは別として、差し当たりこのような措置を取ることにしたという了解にし、外に対してもその旨説明していただければそれでよろしいのではないでしょうか。
【佐藤会長】この件につきましては、そういうようにお決めいただいたということにさせていただきたいと思います。
次に、今後の議事運営について、時間も、もう2時半を過ぎてまいりましたけれども、少し御相談申し上げたいと思います。
とりあえずは第2回目の会合でどういう議論をするのかということであります。最初の自己紹介で抱負をお述べになったときに、山本委員が昔の臨司のときの議論がどうだったのかというお話がございました。そして、この審議会ができる経緯、それから現在の司法制度の大きな仕組みがどうなっているのかの問題もあるかと思います。これも委員の皆さんが言及なさったところでありますけれども、司法は一国の政治文化、法文化に深く関わっております。日本の司法は、小さな司法だとか2割司法だとか言われておりますが、なぜそういうことになったのか。欧米との文化的な背景の違いも含めて、最初、識者の方をお呼びしていろいろお話を聞いてみてはどうでしょうか。
もちろん、既に出ていますように現場の事情を我々として正確に認識する必要があります。適切な方があれば来ていただいて、まず我々として勉強するという段階が必要ではないかと思う次第ですが、その辺はいかがなものでございましょうか。
【中坊委員】その点も、いろんな方の御意見もあるだろうと思います。現場をまず大事にしてほしい、現場のヒアリングから入ってほしいという意見もあるでしょう。また、今、会長のおっしゃるように、先に全体の理論的なことを聞いてからということもあります。
特に、正直に言って、自分で言うのもせん越ではありますけれども、私のようにかなりこういう問題に専門的に扱ってきた人は現場と言うと思うんです。しかし、これだけいろんな立場からの委員がいますと、会長のおっしゃるように、一般的なところを先に話して、それから現場を聞くというのもまた一つの方法だろうと思います。正に会長に御判断いただくことじゃないかという気がいたしますから、しかるべく御判断を。
【佐藤会長】よろしゅうございますか。こういう方の意見を是非聞いてみたいという御希望は、委員の皆さんそれぞれおありだろうと思います。そういう御希望をすべてかなえられるかどうか分かりませんけれども、場合によっては若干チョイスしないといけないことがあるかもしれませんけれども、できるだけ委員の皆さんの御希望に添えるような形でヒアリングをするということにさせていただきたいと思います。
どうぞ、私なり、事務局に、こういう人の話は是非聞きたいという御希望を申し出ていただきたいと思います。
第2回目は、時間も余りありませんので、やや独断先行かもしれませんけれども、どなたをお呼びするかを私にお任せ願えますでしょうか。行革会議のときにもそうでございましたけれども、最初の数か月は月2回くらいの会議のペースで、いろんな方の御意見を聞いたりしました。そして、全体像と問題の所在がだんだん明確になってくる。それを背景に課題を整理し、それぞれのテーマを集中的に御議論願うという形でございました。自然の流れとしては、そういうものになるのではないかという漠然とした予感はございます。私もそうはっきりした案を持っているわけじゃございませんので、委員の皆様の御意見を聞きながら、会の運営については工夫してまいりたいと思いますが、そんな辺りでとりあえずは、今日はみんなとりあえずなんですけれども、よろしゅうございましょうか。
(「はい」と声あり)
【佐藤会長】ありがとうございます。
それでは、一番の難物と言っては何ですけれども、日程の取り方について御審議いただきたいと思います。事務局で用意されたものを委員の皆様にお配り下さい。
【事務局長】各委員の皆様方から御都合の悪い日を伺ったものを一覧表にしたものがございますので、お配りしてよろしければお配りいたします。これを見ますと、完全に一致する日は1日もございません。
ここに書いてありますのは、御都合の悪いときだけでございます。「終日」というのは1日中都合がつかないという御返事でございます。「午後」というのは午後が都合がつかない、「午前」というのは午前が都合がつかない、という御返事でございます。13時半から15時と書いてありますのは、その時間帯が御都合が悪いという趣旨でございます。12月まですべてお聞きしました結果がこの4枚のペーパーでございます。
ちなみに9月でいきますと、2日は鳥居委員が、1時半までと5時からが御都合が悪いということでございますから、1時半以降5時までということであれば、御都合が悪い方がお二人いらっしゃるという趣旨でございます。
【佐藤会長】一番多くの方々が御出席願えるような日にちを拾うということになりますか。行革会議のときもそうでしたけれども、来年度以降はできれば固定曜日を決めて、そこはもう優先的に空けていただく必要があるかと思います。私ども大学の場合は授業がありますが、新年度の授業日は大体10月から11月にかけて決めるものですから、皆様の御意向に合わせて私も決めさせていただきますけれども、今年はそういうわけにもまいりません。この表を拝見していただいて、一番たくさんの委員の方が出席していただけるような曜日をピックアップする。そして、9月、10月、11月、12月をとりあえず決めさせていただくということが一番妥当なのかなと思いますけれども、いかがでしょうか。
ピックアップしますと、それぞれの月は大体どんな具合なんですか。
【事務局長】事務局の方から言わせていただくと、どなたかの委員の御都合の悪い日を挙げていくことになりますので、なかなか言いにくいのでございますが、実はこのペーパーを作りましたのが、大体が秘書の方にお聞きしておりますものですから、委員の先生が御自身で御覧になっていただけると、この日なら変えられるということがあるかもしれないというふうに思いまして、お出ししたわけでございます。
【佐藤会長】例えば9月はどうですか。
【事務局長】人数的な面からいきますと、9月2日の午後であればお二人が都合が悪いということでございます。
都合の悪い方が少ない日を挙げていきますと、24日でありますと、午後でありましたら3人の方が都合が悪いだけということで、28日になりますと、午後のある時間帯によりますと、2人が都合が悪いだけという、この3つの日が一番都合の悪い方が少ない日ではないかと思われます。
【佐藤会長】いかがいたしましょうか。
【曽野委員】大学の先生方が一番お時間の自由がお取りになれないと思うので、まず先生方の御都合を伺ったらどうでしょうか。どうしても終日だめとおっしゃる先生もいらっしゃると思いますけれども、先生方の一番いい、例えば何曜日の何時というのをお決めいただきまして、それが第1と第3とかいうふうに、一刻も早くお決めいただきたいと思います。私はこれから全力を挙げてその日を約束しないようにいたしますので。
【佐藤会長】大学人にとって大変有り難い御発言です。自分のことを申してなんですけれども、金曜日が授業日なんです。1回や2回くらいであれば休講にして振り替えてやるということもできます。全部それだとちょっとあれですけれども、例えば、私については24日でも結構でございます。2日、24日、28日のうち2日を選んでいただければ。
【井上委員】個別に申し上げて申し訳ないんですが、氏A28日はおそらく調整がつくと思います。
【佐藤会長】そうすると、2日は北村委員があれなんですけれども。
【北村委員】どうしても学会の理事で行かなければならないので、大変申し訳ないです。
【曽野委員私も申し訳ないんですが、セルビアに行っておりますので。
【佐藤会長】そうしたら、北村委員と曽野委員には。
【曽野委員】次の24日でも28日でも私は出ささせていただきます。
【佐藤会長】そうしたら、9月は2日と28日の方がよろしいですか。石井委員はいかがですか。
【石井委員】そこのところは自信ありませんので、もう一度調べてみます。
【佐藤会長】気になりますが、28日にいたしましょうか。9月は2日と28日に決めさせていただきたいと思います。
【事務局長】時間は何時がよろしゅうございますか。2日でありましたら、1時半以降で鳥居委員は出られるということになっております。ですから、1時半か2時ごろがよろしいのではないかと思います。
28日は、2時以降ということに鳥居委員がなっておりますので、これも2時以降がいいんじゃないかと思いますが、あるいは途中出席という形でも、皆様の御都合で決めていただければ、事務局としてはなんとしても対応いたします。
【佐藤会長】2日も28日も2時ということにさせていただきます。
10月の方はいかがでしょうか。
【藤田委員】恐縮ですが、終わりは何時になりますでしょうか。
【事務局長】それは審議会でどのくらいの時間を御用意いただけるかなんですが。
【佐藤会長】2時間半か3時間でしょうね。最大限3時間ということで御予定いただければと思います。
【藤田委員】分かりました。
【佐藤会長】10月の方をお願いします。
【事務局長】5日が午後であれば3人の方が御都合が悪い。26日が午後でありましたら、4人の方が御都合が悪い。この2つが御都合の悪い方が少ないのではないかと思われます。
【佐藤会長曽野委員は、この時期はどうでしょうか。
【曽野委員】アフリカなんです。申し訳ございません。決まってしまっておりますので。
【佐藤会長5日は山本委員は午前が都合が悪いんですか。9月が28日ですので1週間しか間がないんですけれども、それはいいですかね。
【事務局長】19日も3人が御都合が悪い日です。
【曽野委員】19日は午後でございますね。私、朝、成田に着きますので、出られます。
【佐藤会長】そうしたら、5日と19日はいかがでしょうか。曽野委員には申し訳ありませんけれども。
【曽野委員】2時からですね。
【藤田委員】5日と19日の両方とも都の労働委員会の公益委員会議と総会でございまして、2日ともというのがちょっとつらいんですが、どちらか1日は割くといたしまして、第1と第3火曜日が都労委の定例日になっておりますので。
【佐藤会長】そうすると、26日にすると石井委員、井上委員が無理なんですね。
【石井委員】帰って、変えられるかどうか調整します。
【井上委員】私もまだ浮動でして、調整がきくかもしれません。ある会議なのですけれども、4日間べったり張り付いていなければならないとも思われませんので。
【佐藤会長】難しいですか。26日の方に決めさせていただきましょうか。これも2時からでございますね。5日も2時からということにさせていただきます。
11月はどうでしょうか。
【事務局長】9日が午後であれば鳥居委員お一人が御都合が悪いということでございます。24日が、午後でありましたら、3人が御都合が悪い日でございます。
30日は午後の真ん中辺りであると、髙木委員だけが御都合が悪いということになります。
【佐藤会長9日は午後2時以降であれば一番たくさんの方に御出席いただけますかね。では、9日を2時からということで決めさせていただきます。それで、24日か30日かという話になりますね。
【事務局長】失礼しました。30日は石井委員が終日御都合が悪いということでございます。
【吉岡委員24日は私も定例の会議ですけれども、今から分かっていれば、なんとかなります。
【北村委員】24日ですが、2時以降であればなんとかなります。
【佐藤会長】24日で決まりそうですね。24日2時以降でよろしいでしょうか。
それでは、9日と24日でございます。12月でございますが。
【事務局長】8日は午後でありますとお二人が御都合が悪く、21日の火曜日、そんなに遅くまでやっていただけるかどうか分かりませんが、午後でありますとお二人が都合が悪いということになります。
【佐藤会長】12月は2回やるかどうか。1回でもいいじゃないかということになるかもしれませんが、一応予備日として、場合によっては実際にはしないということにして、8日と21日を決めさせていただいてよろしゅうございますか。どうもありがとうございました。
【事務局長】両方とも2時がよろしゅうございますか。
【佐藤会長】はい、2時です。御無理申して申し訳ありませんけれども、今年の日程を以上のように決めさせていただきます。
先ほど申しましたように、来年以降につきましては、できるだけ早い時点で調整させていただいて、曜日を固定できればというように思っておりますので、その辺についても今後御協力のほどお願いいたします。
事務局、何かありますか。
【事務局長】お手元に配布いたしました資料について若干御説明させていただきますが、法令関係はこの法令関係のとおりでございまして、3番目の、施行期日を定める政令によりまして、本日7月27日がこの施行日となっておりますので、本日から2年間が本審議会の設置される期間でございます。
次の「各界提言等一覧」は、今までの各種団体から提言されたものを表題としてまとめておきました。
「日本の司法制度」と言いますのは、事務局が作りました日本の司法制度に関する概要の、ごく基本的なことを数字等を入れてまとめさせていただきましたので、お笑いいただきながら読んでいただければと思っております。
最後の「関連新聞記事」でございますが、これはおおむね本年になってからの司法制度改革に関するマスコミの論調につきまして、社説、論説等を集めてみました。これも読んでいただければと思います。
なお、各種提言そのものと、国会の審議の議事録、合わせますとこのくらいの量になります。このほかに日弁連、最高裁、法務省の出しております簡単なパンフレットも用意してございますので、これらを後ほど委員の皆様のところに送らせていただきます。その際、秘書の方にお聞きしますが、事務所がよろしいのか、御自宅がよろしいのかをお聞きした上で送らせていただきたいと思っております。
なお、先ほども説明しましたが、公開等に関するいろいろな審議会に対する要望書が来ておりますので、その写しも、これだけ今そろっておりますが、これも皆様に送らせていただきますので、お読みになっていただければと思います。
以上でございます。
【佐藤会長】ということでございますが、宿題みたいな感じになりますけれども、よろしくお願いいたします。
本日予定しておりましたことは以上でございますけれども、何かお気付きの点はございませんでしょうか。よろしゅうございましょうか。
それでは、本日の会議の模様は、この後、私と竹下委員の2人で記者会見したいと思います。
それから、各委員がそれぞれのお立場、お考えで、報道関係者の方々とお話しになるのはもちろん御自由でございますので、その辺も併せて申しておきたいと思います。
本日はどうもありがとうございました。