【佐藤会長】開会に先立ちまして、本日、報道関係者から取材の要望が来ております。会議の冒頭の取材ということで、最初の1、2分ではいかがかと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(報道関係者入室)
それでは、ただ今より「司法制度改革審議会」の第2回会合を開催いたします。
今回以降はこの審議室で定例の会合を開催するということになりますので、よろしくお願いいたします。
今回はヒアリングの第1回目ということで、人選は私と会長代理に御一任いただいておりますけれども、まず、この会議の設立までの経緯を踏まえる必要があるというように考えまして、既に御案内のように、本日は陣内法務大臣、大変お忙しいところ恐縮でございましたけれども、お越しいただきまして、司法制度改革審議会設置法の国会審議の経緯などにつきまして、お話しいただきたいと存じております。
それから、前回の議論で山本委員の方から臨司以来の司法改革についての経過と言いますか、そういうものを知りたいというお話もございましたので、法務省の房村司法法制調査部長においでいただきまして、臨司及びその後の司法改革を巡る動きなどにつきまして、お話を賜るということを予定しております。
報道関係者の方、冒頭だけですので、済みませんが。
(報道関係者退室)
【佐藤会長】お二方、今日はお忙しいところ本当に恐縮でございます。
まず、法務大臣の方から15分ほどお話しいただきまして、次に房村部長からは40分くらいお話しいただいて、その後一括して質疑応答を行いたいと考えております。
それから、休憩をはさんで、後半私どもの意見の交換をしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、陣内法務大臣からお話を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
【陣内法務大臣】会長さんを始め、委員の先生方、大変御多用中の中にも、こういうようなスケジュールを設定していただいて、お進めいただいているということについて大変心から感謝申し上げる次第でございます。
それでは、今会長からの御指名でございますので、私の方から司法制度改革審議会設置法の国会審議経過について御説明させていただきます。
目前に21世紀が迫ってまいりましたけれども、その場合、我が国社会においては、社会の複雑多様化、国際化等に加え、規制緩和等の改革によりまして、社会が事前規制型から事後チェック型に移行するなど、社会の様々な変化に伴いまして、司法の役割はより一層重要になると考えられるわけでございます。
それに対応して司法の機能を社会のニーズにこたえ得るように改革するとともに、その充実・強化を図っていくことが不可欠であると考えられるところでございます。
この点に関しましては、平成9年12月の行政改革会議最終報告におきましても、法の支配こそ、我が国が、規制緩和を推進し、行政の不透明な事前規制を廃して、事後監視・救済型社会への転換を図り、国際社会の信頼を得て、繁栄を追求していく上でも、欠かすことのできない基盤を成すものであり、政府におきましても、司法の人的及び制度的基盤の整備に向けての本格的検討を早急に開始する必要があると、このようにされたところでございます。
また、自由民主党におきましても、平成10年6月に自由民主党司法制度特別調査会というのがございまして、ここで報告を取りまとめられたのを初めといたしまして、各界からこの司法制度改革に関しまして、様々な提言が出されております。
このような状況の下で、政府は、21世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策につきまして調査審議する機関として、内閣に司法制度改革審議会を置くため、本年の2月5日に司法制度改革審議会設置法案を閣議決定いたしまして、これを国会に提出いたしました。
また、その際、内閣総理大臣から、この法案は、司法制度に関するものであるため、この国会対応につきまして、法務大臣が担当する旨の指名を受けるところとなったのでございます。そこで、以下、この法案の国会における審議の経過につきまして、御報告させていただきたいと思います。
司法制度改革審議会設置法案は、この3月23日に衆議院本会議におきまして、趣旨説明が行われた後、法務委員会において審議されました。この法務委員会においては、3月30日と4月13日の2回にわたって、学者、実務家、有識者等延べ11人の参考人に対する質疑が行われ、更に3月31日と4月21日の2回にわたり、法案に対する対政府質疑が行われました。特に4月21日には、小渕内閣総理大臣に対する質疑もなされたところでございます。その日に法務委員会におきまして、審議会の所掌事務に関する規定についての修正案が提出されまして、修正案、原案とも全会一致で可決される運びとなったのでございます。さらにこの法案は、4月22日の衆議院本会議において、修正案、原案が全会一致で可決された後、参議院に送付されました。
参議院におきましては、やや時間を経て、5月10日に本会議におきまして、趣旨説明が行われた後、法務委員会で審議が行われました。この参議院法務委員会におきましても、5月18日と25日の2回にわたり、佐藤幸治会長を始めとする学者、実務家、有識者等延べ10人の参考人に対する質疑が行われました。更に5月20日と27日には、法案に対する対政府質疑が行われました。また、参議院におきましても、5月27日に小渕内閣総理大臣に対する質疑が行われました。
その結果、この法案は、その日に参議院法務委員会において賛成多数により可決され、6月2日参議院本会議においても、賛成多数により可決、成立して、6月9日に公布されたのでございます。
なお、この法案につきまして、衆参両院の法務委員会において、それぞれ附帯決議がなされております。
国会における審議の過程におきましては、審議会の設置と司法権の独立との関係はどうか、改革の基本的な理念はいかがか、具体的な審議項目は何かなどについて多くの質問がなされたのでございます。
まず、司法制度改革審議会を内閣に設置することは、司法権の独立を侵害するのではないかとの質問も数多くなされました。この点に関しましては、政府側から本審議会を内閣に置き、その調査審議の結果を踏まえて、司法機能の充実強化のための施策を講ずることは、司法権の独立を侵すものではなく、むしろ内閣の責任であると考えているが、行政における司法への干渉ととられることがないように、十分な配慮をしていきたいとの答弁をいたしたところでございます。衆参両法務委員会の附帯決議においても、政府は審議会の設置、運営等に当たって司法権の独立に配慮すべき旨が規定されております。
次に、改革の基本的理念につきましては、改革の主たる目的を規制緩和後の社会における事後チェック機能の強化に置くのか、それとも国民の権利、自由の確保に置くのか、こういう点が問題とされたのでございます。
この点につきましては、政府側から21世紀の我が国社会においては、社会の複雑・多様化、国際化等に加え、規制緩和等の推進により社会は事前規制型から事後チェック型に移行しますが、このような社会において利用者にとって利用しやすい司法の実現を図ることは重要と考えているし、また、司法がルールの維持という役割を十分に果たすことによりまして、社会的弱者の保護、救済、人権の擁護が図られるものと思われる、このように説明をいたしたところでございます。なお、参議院法務委員会の附帯決議におきまして、国民がより利用しやすい司法制度の実現等の基本的施策を調査審議するに当たっては、基本的人権の保障、法の支配という憲法の理念の実現に留意することと、このようにされているところでございます。
さらに審議会の審議項目については、多くの委員からこの審議項目を具体的に明示すべきであるという指摘がなされました。そして、審議の結果、審議会の所掌事務を定める第2条第1項の規定につきまして、「審議会は、21世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民の司法制度への関与、法曹の在り方とその機能の充実強化その他の司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議する」と、このように第2条第1項の規定を修正されたのでございます。
また、衆議院法務委員会の附帯決議におきまして、審議会は、その審議に際し、法曹一元、法曹の質及び量の拡充、国民の司法参加、人権と刑事司法との関係など、司法制度をめぐり議論されている重要な問題点につきまして、十分に論議することとされ、参議院法務委員会の附帯決議におきましても、国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民の司法制度への関与、法曹一元、法曹の質及び量の拡充等の基本的施策が調査審議の対象として取り上げられ、利用者である国民の視点に立って、多角的視点から司法の現状を調査・分析し今後の方策を検討することと、このようにされておるところでございます。
本審議会の審議事項についての法案の修正、及び附帯決議の趣旨、国会における審議の経過は以上のとおりでございますが、具体的な審議項目につきましては、委員の皆様方で御自由にお決めいただきたい、このように存じております。
また、国会における審議の過程におきましては、司法制度改革審議会の審議が行われている間も、政府として必要な施策を講じていくのかという点につきましても質問がなされました。衆参両法務委員会の附帯決議において、政府は審議会の調査審議と並行して、司法予算の拡充、裁判官、検察官及びその他関係職員の増加等司法関係機関の人的物的拡充、既に一定の方向が示されている法律扶助制度等の諸制度の充実に努めるべきであるとされておるのでございます。
そこで、法務省といたしましても、本審議会の御審議と並行して、早急に実施することが必要な、ただ今申し上げましたような諸施策につきましては、審議会の審議状況等も踏まえつつ、適宜適切に実施してまいりたいと考えているところでございます。
その後、6月29日に衆議院本会議において、同月30日には、参議院本会議において、それぞれ司法制度改革審議会の委員の皆様を任命することにつきましての同意の議決がなされました。
さらに、7月21日に設置法の施行期日を7月27日とする司法制度改革審議会設置法の施行期日を定める政令と、審議会事務局に参事官3人を置くことなどを定める司法制度改革審議会設置法施行令が閣議決定され、7月26日公布されました。そして、これを受けて、翌27日に、総理大臣官邸において本審議会の第1回会議が開催されるに至ったものでございます。
なお、閣議に際し、内閣総理大臣から、本審議会は、司法制度に関するものであるため、今後、その審議等につき国会対応が必要となる場合には、同設置法案の国会審議の際と同様、法務大臣が担当する旨の指名を受けました。また、法務省といたしましても、この審議会の審議に最大限協力してまいりたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
以上で説明を終わります。
【佐藤会長】どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、房村部長から、臨時司法制度調査会、及びその後の司法制度に関する改革についてということでお話を賜りたいと思います。よろしくどうぞお願いいたします。
【房村法務省司法法制調査部長】法務省司法法制調査部長の房村でございます。
それでは、本審議会設置に至るまでの戦後の司法制度改革の流れについて、かいつまんで御説明したいと思います。
お手元に資料がいろいろ配布されておりますが、法務省の封筒の中に資料が入っておりますので、できればそれを参照していただければと思います。
ただいまの大臣の説明のための資料と、それから、1枚紙で「臨時司法制度調査会及びその後の司法制度に関する改革について」というレジュメが入っております。
それと、説明資料が1から9までございますので、このレジュメ及び資料を御参照いただければと思います。
まず、臨時司法制度調査会が戦後の我が国の司法制度の改革としては非常に大きな動きであったわけありますが、それに先立ちまして、日本国憲法制定に伴いまして、司法制度が大きく変革いたしましたので、その関係を簡単に御説明したいと思います。
お手元の資料の1を見ていただきますと、戦前・戦後の司法機構を概括的な図にしてございます。ここに示しましたように、戦前の裁判所は司法省に属しまして、司法大臣の司法行政上の監督下に置かれておりました。勿論、裁判の独立は戦前の帝国憲法でも保障されておりましたので、司法大臣が個々の裁判に関与するということはございませんでしたが、組織としては司法省に属し、司法行政上の監督を受けるという形になっておりました。これが戦後は三権分立の原則が採用されるということに伴いまして、司法府は立法府、行政府と並ぶ三権の一翼を担う独立の機関ということになりまして、最高裁判所以下、ここにお示しするような形の独立した司法府が形成されるに至りました。
また、戦前においては、行政事件につきましては、司法裁判所は裁判権がございませんで、ここに示したような行政裁判所という一種の行政機関がその裁判を担当しておりましたが、戦後は広く法律的紛争すべてが、この司法府の裁判権に服するということになったわけでございます。
また、法曹の養成制度につきましても、次の2番を見ていただきますと分かりますように、戦前と戦後で変わってきております。
戦前もこの法曹養成制度が相当の変遷を遂げたわけでありますが、ここにお示しした戦前の法曹養成制度は、言わばその一番最後の段階でございまして、高等試験司法科試験を受けまして、裁判官、検察官になる人間は、その後司法官試補に採用されて、1年6か月の実務修習を受け、考試を受けた後、判事、検事に任官していく。一方、弁護士になる人間は、その司法科試験に合格した後、弁護士試補として、やはり1年6か月以上の実務修習を経て、考試を受けて合格すると弁護士になるという別々の養成制度となっていました。戦前の法曹養成は、主として判事、検事を中心として考えられておりまして、当初は判事、検事についての登用試験と、弁護士になる弁護士試験は全く別の試験でございましたし、帝国大学の法律学科を卒業いたしますと、無試験で弁護士になれるという仕組みとなっていました。また、弁護士については、修習というものはなかったわけであります。
それから、大正12年に共通の高等試験司法科試験となったわけでありますが、その段階でも、まだ弁護士については、弁護士試補という制度はございませんでした。
その後、昭和8年に至りまして、この弁護士についても、任官する司法官と並ぶ試補の制度が設けられるようになったという経過でございます。
その後、この法曹養成制度、戦後になりますと、更に大きく変わりまして、試験が共通の司法試験というものになります。その後、従来は任官する者と弁護士が別の養成制度であったわけですが、統一した司法修習、裁判官になる者も、検察官になる者も、弁護士になる者も、同じ修習を受けるという司法修習の制度となりました。発足当時は、2年間の司法修習期間でした。
その修習を終えて、試験に受かりますと、どの職業に就くのも自由にできる。合格した者が裁判官を希望するか、検事を希望するか、弁護士を希望するかという本人の希望に応じて選択をするという仕組みに改まったわけでございます。
以上のような形で戦後の司法制度が発足したわけでありますが、昭和30年代に入ってまいりますと、いろいろ問題が出てまいりました。特に事件が非常に増加をし、その内容が複雑なものが増えてくるということから、訴訟遅延の状況が著しくなってきた。
また、裁判官の志望者が減少するという事態もありまして、司法修習生の数は、戦後、最初出発した当時は134人でございますが、その後次第に増えて300人という人数にまで、この30年代に入ると達しているわけですが、裁判官の志望者は、司法修習生全体が増えているのにかえって減少する。増えた部分はほとんとが弁護士志望になってしまう。このようなことから、裁判官の定員を確保することすら困難になってきた。
こういうことから、政府としては、この司法制度の現状をこのまま放置することは大変だということで、司法制度について審議をする機関を内閣に設置したいとして、臨時司法制度調査会を設けるに至ったわけであります。
資料の3以下に、この臨時司法制度調査会についての資料を添付してございます。
3の2枚目に、臨時司法制度調査会設置法をお付けいたしましたが、この第1条、内閣に臨時司法制度調査会を置くとされまして、その所掌事務といたしまして、「司法制度の運営の適正を確保するため、主として次の各号に掲げる事項に関する緊急に必要な基本的かつ総合的な施策について調査審議をする」と、こういう審議会として設置されました。
審議事項として掲げられたものは、まず第一に法曹一元の制度に関する事項。
それから、前号に掲げるもののほか、裁判官及び検察官の任用制度及び給与制度に関する事項ということになっております。
この法曹一元の制度というのは、この条文の中にも書いてありますように、裁判官を弁護士となる資格を有する者で、裁判官としての職務以外の法律に関する職務に従事した者のうちから任命することを原則とする制度を言う。やや分かりにくい表現ですが、それまでの日本の裁判官の養成制度と言いますのは、基本的には試験にうかって、裁判官になる資格を取得した者を裁判官に任命して、以後、裁判所の中で裁判官として経歴を積んでいくという、いわゆるキャリア・システムという形の育て方をしています。これは先進国の中でも、ドイツとかフランスのような大陸の諸国は、おおむね当初から裁判官として採用して、裁判所の中で昇進をさせていくという仕組みを取っております。日本と基本的には同じ考え方でございます。
ところが、イギリスとかアメリカというところになりますと、法律家の原則が弁護士で、その弁護士を相当年数経験した老練な弁護士の中から裁判官を任命していくという制度が取られております。これを法曹一元と呼んでおりますが、そのような制度を我が国で採用することについて検討をしてほしいという趣旨で、特にこの所掌事務として掲げられたわけであります。
この臨時司法制度調査会、昭和37年に設置されましたが、内閣に司法に関する審議機関が設置されますのは、今回のこの司法制度改革審議会がそれ以来初めてという、37年ぶりということになります。
この臨時司法制度調査会の組織は、1枚目のペーパーに書きましたように、委員20名ということで、国会議員が7名、それから法曹三者から9名、学識経験者が4名というような構成になっておりまして、会長は我妻栄先生が務めておられました。
設置期間も2年間ということで、37年9月1日から2年間ということで運営されています。
この臨時司法制度調査会におきましては、ただいま申し上げたような事項についての調査審議をしたわけでありますが、この調査審議の方法といたしましては、法務省、あるいは最高裁、日本弁護士連合会等の関係諸機関に対して、事務担当者の説明、あるいは資料の提出を求めるということ。
それから、参考人の説明を聴取するという方法。諸外国の司法制度等に関する調査委嘱を行うということ。
あるいは、委員自ら国内各地に赴きまして、法曹関係者と懇談をする。あるいは、司法機関を視察するという調査。
更には、国外にも参りまして、国外の法曹関係者との懇談、視察と、このようなことをいたしました。
審議の流れでございますが、まず、司法制度運営の現状、主としてその欠陥と言われているものについての概括的審議を行い、法律で掲げられました法曹一元制度について討議をして、一定の方向を決定した後、更に引き続き裁判官及び検察官の任用制度その他の問題について審議、検討するという順番で検討をいたしまして、最終的に意見を取りまとめたわけでございます。
意見の概要でございますが、この資料の法案の次に名簿がございまして、その次に「決議要目」と言って、相当枚数付いておりますが、これがこの臨時司法制度調査会で最終的に達した結論ということになります。
まず、法曹一元の制度についてですが、この決議要目の最初に記載されておりますように、「法曹一元の制度は、これが円滑に実現されるならば、わが国においても一つの望ましい制度である。しかし、この制度が実現されるための基盤となる諸条件は、いまだ整備されていない。したがって、現段階においては、法曹一元の制度の長所を念頭に置きながら現行制度の改善を図るとともに、右の基盤の培養についても十分の考慮を払うべきである」、これが法曹一元についての臨時司法制度調査会の結論ということになっています。
ここで、法曹一元の制度が実現されるための基盤となる諸条件ということが言われておりますが、この調査会の審議の経過では、法曹一元の制度を実現するための諸条件としては、まず法曹人口の飛躍的増加。これが必要であろうと。これは老練な弁護士の中から、優秀な裁判官を任命していきたいということですから、その基盤となる法曹に多くの優秀な方々がいてくれなければ困る。そういうことからすると、法曹人口を飛躍的に増加することが必要であろうと。こういう趣旨でございます。
また、弁護士の地域的分布の平均化、これも必要であるという指摘がされております。これは現在でもそうですが、当時でも弁護士の方々が大都市部に集中をしている。地方に参りますと、弁護士のいらっしゃらない市町村、あるいは裁判所の支部の管轄というものがたくさんございます。
しかし、その弁護士の中から裁判官を任命していくという仕組みとしては、対象となる弁護士の方が全国に平均的に分布していただかないと、裁判官も全国に平均的に分布させることが困難になるという事情から、弁護士の地域的分布の平均化も前提条件となるであろうという指摘がされました。
また、弁護士に対する国民の信頼度の向上、これは言うまでもなく裁判官の給源としての弁護士に対する信頼が向上してくれなければ困るということでございます。
そのほか、弁護士の職域拡大、あるいは法曹と国民生活との親近性、国民の法意識の向上、弁護士の公共的性格の強化、弁護士の執務の共同化、検察官、裁判官の職務内容についての改革、裁判官の待遇の改善、あるいは精神面における法曹の一体感の強化、こういうふうな12項目にわたるものが前提条件として挙げられております。
勿論、全員が一致して、このすべてが必要な前提条件というわけではございませんが、前提条件としては、このようなものがあるという指摘がされているわけです。
そして、審議の中で、このような前提条件が既に当時満たされているかという点については、これが満たされていると断定する意見はなかったということでございます。
ただ、これが近々満たされるか、あるいは満たすのは非常に難しいかというところについては見解が分かれたところでありますし、また、法曹一元を取るべきかどうかという点についても、様々な意見が出されました。
最も法曹一元に積極的な意見としては、法曹一元の制度が我が国の司法制度のあるべき姿である。したがって、直ちに法曹一元の制度の採用を決定する必要がある。しかし、その基盤となる諸条件はまだ整備されていないので、一定の期間を置いてその整備に努めるべきである。これが最も強い意見でございます。
それから、最も消極的な意見としましては、法曹一元の制度は、抽象的な理念として主張されているにすぎず、現実の社会的な制度としてどのような内容のものになり得るか。それが望ましいものとなるかは極めて疑問である。したがって、現行の裁判官の任用制度を維持しつつ、これに関連する諸制度の欠陥を除去することに努めるべきであるとする、こういう消極的な意見もあったようでございます。
この両極端の意見の間に幾つかの意見があったわけでありますが、そういう見解に基づきまして、更に議論を進め、最終的には先ほど読み上げましたような円滑に実現されるならば望ましい制度だと。しかし、諸条件が整備されていないので、法曹一元の制度の長所を念頭に置きながら、現行制度の改善を図る。それとともに、基盤の培養についても十分な考慮を払うべきだと。こういう結論に達したわけでございます。
法曹一元については以上のとおりでございますが、そのほかの裁判官制度その他につきましても、非常に網羅的な提言がなされております。一つひとつはとても読み上げられませんが、裁判官制度については、例えば弁護士、検察官等からの任用を増やすべきではないかということ。
あるいは、裁判官の定員を相当程度増加させるべきであるというようなことが提言されております。
また、弁護士制度についても、ただいまも申し上げた弁護士の大都市偏在化の是正ということが問題点として指摘されております。
更に司法試験制度につきましても、その試験方法等の改善を検討すべきだということが指摘をされております。
更に、法曹一般につきましても、法曹人口の増加として、司法の運営の適正円滑と、国民の法的生活の充実向上を図るため、質の低下を来さないように留意しつつ、この漸増を図るという提言もなされているところでございます。
また、司法協議会という、法曹三者が司法の円滑な運営に資するため、裁判官、検察官、弁護士及び学識経験者で構成する司法協議会を設けるという提言もされております。
そのほか、裁判官、検察官の給与の改善であるとか、裁判所の配置につきましても、地裁、家裁の支部、あるいは簡易裁判所を整理統合すべきではないかという指摘もされました。
また、裁判手続を合理化すること。
あるいは、簡易裁判所の事物管轄、簡易裁判所で取り扱える事件の範囲のことでございますが、これを拡張すべきではないか。
こういうように、非常に盛りだくさんの内容の決議がされたところです。これが意見として公表されたところでございます。
このような臨時司法制度調査会の意見が発表されますと、当時日本弁護士連合会においては、この意見に対しまして、「この意見書が我が国司法制度の根幹に触れる重要問題に調査検討を加えた初めての試みであることを評価しながらも、その内容については、法曹一元の制度に対し、消極的な態度を示したこと。現行制度のうち、民主国家の司法の理念とは相容れない官僚的側面の除去に熱意を欠くのみか、むしろ司法行政等の問題においては、これを強化するかのごとき提案をしている。訴訟の促進や裁判手続の合理化を追求するに急なあまり、形式的、便宜的な能率主義にとらわれていること。」これらを不満といたしまして、全面的に批判的な立場を取るに至りました。
そういうことで非常な対立を巻き起こしたわけでありますが、この臨時司法制度調査会で、先ほど申し上げましたような司法の円滑な運営のための司法協議会の設置が提言されたわけでありますが、日弁連がそういうことで批判的な立場を取り、参加に拒絶をしたということから、直ちにはスタートはしなかったわけであります。しかし、その後、形を変えまして、司法制度の改善のために、法曹三者が意見交換をする場としての三者協議会が昭和50年からスタートしております。
以後、司法制度の改革につきまして、この三者協議会は、非常に大きな役割を果たしております。その発足の経緯を御説明いたしますと、資料の4に法曹三者協議に関する附帯決議というものが付いております。
昭和45年に裁判所法の一部を改正する法律を国会に提出いたしました。これは簡易裁判所の取り扱える事件の上限を10万円から30万円に拡張するという内容でございましたが、これにつきまして、日弁連から強い反対がなされたという経過を踏まえまして、参議院の法務委員会におきまして、法案を可決するに際して、今後、司法制度の改正に当たっては、法曹三者、すなわち裁判所、法務省、弁護士会の意見を一致させて実施するよう努めなければならない、こういう決議がされたわけでございます。
その後、翌年の昭和46年にも、やはり民事訴訟法等の一部を改正する法律案につきまして、今度は衆議院と参議院の両法務委員会におきまして、同様の趣旨の決議がされております。
こういう決議が国会でされたということをきっかけといたしまして、法曹三者で話合いを重ねまして、昭和50年に司法制度を円滑に運営実施するため、法曹三者で意見を交換する場として、三者協議会が設けられるに至りました。
以後、主要な司法制度改革につきましては、ほぼ例外なくこの三者協議を経ておりますが、その中で幾つかを御紹介いたしますと、まず、昭和57年に簡易裁判所の事物管轄の引上げ、これはそもそものきっかけになった附帯決議がされたときが10万円から30万円に引き上げるということでございましたが、それを昭和57年に、今度は30万円から90万円に引き上げるという改正をすることになりまして、そのときに三者協議を経ております。
更に、簡易裁判所、それから地家裁支部の適正配置という問題がございます。これは戦後、少額軽微な事件を簡易迅速に処理するということで、簡易裁判所を全国に設けたわけです。当時575庁ございましたが、都市化現象に伴いまして、都市部の簡易裁判所の事件は激増するのに反して、地方の小規模の簡易裁判所の事件が減少していくという傾向を示しております。
裁判所をそのまま維持しておりますと、人の配置をそう簡単に動かせませんので、そのような変化が生じた結果、全国的に国民に対して公平な司法サービスを提供することが困難になったということから、その配置を見直すということが課題になったわけでございます。これを法曹三者で協議をいたしまして、最終的に昭和63年に、当時575ありました簡易裁判所のうち、139庁を統合する。そして、新たに2庁を新設するという内容の改正がされたわけであります。
また、地方裁判所、家庭裁判所支部につきましても、同様な問題がありましたものですから、引き続き支部の適正配置が協議され、最終的に平成2年に、当時242ございました支部を41統合し、新たに2か所設けるという内容の適正配置が実現したわけであります。次に、民事手続の整備について申し上げます。
司法を利用しやすくするための民事手続、この整備も進められておりまして、まず昭和54年に民事執行法の制定がされております。これは判決を取りましても、相手方がその判決にしたがって任意に履行してくれればいいわけですが、相手が従わないときには、強制執行をする必要がございます。また、例えば、お金を貸して抵当権を設定したときに、任意に相手が弁済しなければ、抵当権を実行して競売をするということが必要になってまいります。その強制執行及び競売の手続が、似たようなものでありながら、両者の調整が必ずしも取れていない。あるいは不備があるということから、執行を適切、迅速に行うという目的で民事執行法を昭和54年に制定したわけであります。
更にその後、平成元年には民事保全法が制定されております。この民事保全と申しますのは、ただいま申し上げたように、判決を取って強制執行をするわけですが、仮に執行をするまでに相手方は財産を隠してしまう、あるいは処分をしてしまうということになりますと、判決を取っても空振りになりますので、訴訟を起こす前段階として相手方の財産を仮に差し押さえておく。あるいは相手方が処分ができないような仮処分をしておく。こういうことが制度してございますが、これを保全処分と呼んでおります。
この保全処分に関する、当時の規定は明治23年に規定されたままでほとんど改正されない。これを運用で補っていたわけでありますが、時代の変化に伴って、とても運用だけでは補えないという状況に達しましたので、この民事保全につきまして、全面的に再検討をいたしまして、新しく民事保全法を制定したわけであります。
以上のように、判決をもらう前の段階と後の段階の整備ができましたので、次が肝心の、まさに訴訟そのものを規定しております民事訴訟法、これの全面改正に取り組んだわけであります。
これは民事訴訟法は明治23年に制定されて、大正15年に全面的に改正されておりますが、その後大きな改正がないままに来ておりまして、時代に即応した改正の必要性が主張されていたところでございます。そこで、これを全面的に見直しまして、民事訴訟法を国民にとって分かりやすく、利用しやすいものとするということで、平成8年に改正が行われました。
大きな改正点としては、当事者の争っている争点と申しますが、その整理手続を整理して、訴訟が迅速に進行できるようにする。
あるいは、30万円以下の金銭の支払いを求める事件につきましては、即日判決が言い渡せるような少額訴訟という特別の手続をつくるという、こういうような大きな改正をいたしました。
この改正された新しい民事訴訟法は、平成10年、昨年の1月1日から施行されて、現在1年8か月経っており、新民事訴訟法の真価が発揮されるのはこれからではないかと思いますが、現在までのところでも、既に統計的に見ても、第一審の審理期間が短縮されておりますし、現実に裁判所を利用している方々からも、新民事訴訟法になって審理が非常に早くなったという感想をいただいているところでございます。
また、少額訴訟についても、平成10年で約6,000件がこの少額手続で解決をされております。
更に、その後、現在は、倒産法制の全面見直しを行っているところです。これにつきましては、倒産法と言いますと、破産法、あるいは和議法、会社更生法、それから商法の中には会社整理、特別清算という手続がありまして、五つの倒産手続が我が国には存在します。この間の調整が十分取られていないということで、ある意味では非常に使いにくくなっている。
更に、昔はあまり想定されませんでした個人の破産、例えばローン破産であるとか、カード破産であるとか、こういったものが非常に増えております。そういうことから、倒産法制全体を見直しをして、時代に即応した新しい倒産法制の整備を図ろうということで現在、その作業を進めているところでございます。
先月、26日に法制審議会でその一部である中小企業、個人の債権を主眼とする民事再生手続に関する要綱案を決定したところですが、今後、その法案化、及びその他の残された倒産法制についての検討が進められていくことになります。
以上のような民事手続の整備の努力もされてきております。
次に法曹養成関係について御説明いたします。
最初に申し上げたように、現在、法曹養成の入り口としては、司法試験がありますが、この試験の状況が非常に問題が生じてまいりました。昭和60年当時で申しますと、この試験に受験をする者が約2万5,000人、合格者が約500人という、実に合格率が2パーセント程度という非常な難関でございます。
その結果、試験に合格する者の平均年齢が約28歳、受験回数が約6回と。したがって、平均的にいきますと、大学を卒業して6年程度経たないと合格しないという非常に長期間の受験勉強を余儀なくされる。
その結果、必然的に大学の正規の課程以外の、予備校であるとかいったところを利用せざるを得なくなってくる。その結果、若くて優秀な方が最初から受験を断念してしまう。いわゆる司法試験離れ、こういうような状況も見受けられました。
そのようなことから、昭和62年の4月に法務大臣の求めによりまして、将来における我か国の法曹のあるべき姿から見て、現在の司法試験制度に改革すべき点はないかということを検討するために、有識者による法曹基本問題懇談会が開催されたわけであります。そこでいろいろ御議論いただきまして、法曹界が国民の期待にこたえ得る後継者を確保するという観点から見ると、司法試験の現状はもはや放置し難いということから、長期的改革、それから当面緊急に必要な対策ということをすべきだという御意見をいただきました。
それに基づきまして、法曹三者、種々協議をいたしまして、まず、当面緊急な方策として、司法試験の改革を実施いたしました。これは司法試験受験を開始して一定年限の者について、特に合格枠を設けるということで、できるだけ若い人たちが司法試験を志望し、かつ合格していただくということを考えた制度でございます。
また、それと同時に、合格者を増やすと。当時500人程度でありましたが、これを数年をかけて700人にまで増加いたしました。
それと同時に、長期的な改革について協議をしていただくと。そのために法曹三者、大学関係者、それから学識経験者から成る法曹養成制度等改革協議会というものを設けました。ここで種々御議論をいただきまして、平成7年にその御意見をいただきました。
御意見としては、司法の機能を充実し、国民の法的ニーズにこたえるため、法曹人口を増加させる必要がある。そのために、司法試験合格者を増加させる措置を取るべきである。こういう御意見をいただいたわけであります。
これに基づきまして、また種々、司法修習をどうするか。人数の増加と修習の在り方というものが密接に関係するために、その点も協議を続けまして、平成10年に至りまして、その改革がなされたわけであります。
平成10年の改革の主な点は、まず司法修習期間を従来、2年間でありましたが、これを効率的なカリキュラムの編成によって、1年6か月まで短縮するということが一つでございます。
それから、合格者を増加させる。これについては、平成11年度から年間1,000人程度にするということを目指したわけでございます。
そのほか、司法試験科目につきまして、民事訴訟法と刑事訴訟法の両科目を法律家としては絶対必要だろうということで必須科目にするというような改正もされたところでございます。
以上のような法曹養成に関する改革の努力がされたところです。
次に、もう一つ、司法改革として大きなものとして、民事法律扶助の充実がございます。この法律扶助と申しますのは、裁判を利用する場合には、通常弁護士の方に依頼をするわけですが、資力に乏しいと、その弁護士の方の報酬を支払う資力がないということから、弁護士の利用を断念する。ひいては訴訟そのものを起こせなくなる。こういうことがあるわけです。したがって、憲法が定めております裁判を受ける権利を実質的に保障しようと思いますと、弁護士等を依頼する費用につきまして、立て替えをするという援助をする。そういう仕組みが重要になってきます。これを民事法律扶助と申しておりますが、主要先進国においては、例外なくこの法律扶助の仕組みが取られております。
我が国においても、法律扶助協会がこの法律扶助事業を行っておりまして、国も昭和33年以降、民事の関係につきまして、扶助協会に対して補助金を交付し、その額について年々増加させるという努力を払ってきたところであります。
しかし、主要先進国に比較いたしますと、日本の民事法律扶助の実情というのは、著しく立ち遅れていると言って差し支えない状況にあります。
例えば扶助事業に対する国庫の負担金でございますが、英米独仏の主要4か国で見ますと、一番多いのがイギリスで約1,100億を超えております。一番少ないのがフランスですが、そのフランスでも180億。我が日本では本年度の予算が6億でございます。そういうことで非常に立ち遅れていると。これを充実させていく必要があるということで、法務省、最高裁判所、日弁連、法律扶助協会、それに諸外国の訴訟制度に詳しい学者の方の参加を得まして、平成6年11月に法律扶助制度研究会を発足させました。当審議会の会長代理を務めておられる竹下先生に座長を務めていただいたわけてありますが、同研究会で法律扶助充実のための方策を検討していただきまして、その結果が平成10年の3月に報告書としてまとめられました。
結論といたしまして、法律扶助の充実は司法機能の強化の重要な基礎となるものであることを指摘した上で、研究会は民事法律扶助に関する法律を制定して、国及び弁護士、弁護士会の責務を明らかにするとともに、運営主体に対する補助金の増額、監督の強化などに努めるべきであるという内容の報告書を取りまとめたわけでございます。
法務省としては、この報告書を受けまして、現在、民事法律扶助法案を次期通常国会に提出することを目指してその作業を進めているところでございます。
また、予算面につきましても、その拡充を図るために、先ほど申し上げましたように、本年度約6億の予算であるところ、平成12年度予算の概算要求としては、3.5倍強に当たります約22億の予算要求を盛り込んでいるところでございます。
以上が、民事法律扶助の関係でございます。
以上、申し上げたような、それぞれの分野につきます司法改革の動きというものが戦後、それぞれの部分でなされてきたわけでありますが、近年に至りまして、そういう個別分野を超えまして、司法全体について、これの改革をすべきではないかという御主張が出てまいりました。
先ほどの大臣の御説明にもありましたように、行政改革会議の最終報告の中でもその指摘がございましたし、自由民主党の司法制度特別調査会も昨年の6月に、21世紀の司法の確かな指針と題する報告をとりまとめて、その中で政府に司法制度全般についての改革に関する審議会を設置することを提言しております。特に自民党の調査会では、6月に提言を取りまとめました際に、橋本総理に直接会われてその報告書を提出し、更に、同年11月には改めて司法制度審議会を早急に設置すべきであるという決議をいたしまして、これを小渕内閣総理大臣に対して、やはり直接提出しております。
このような動きがあるわけでございますし、更に各界からも、この司法改革についての提言が様々な面でなされております。その嚆矢と言うべきものは平成2年に日本弁護士連合会が、国民に身近な開かれた司法を目指すという司法改革に関する宣言を行っております。ちなみに、当時の日本弁護士連合会の会長は、本審議会の中坊委員と承知しております。
その後、日弁連では、平成3年、平成6年にも同様の宣言を行ったところでございます。
その後、経済同友会、あるいは日本労働組合総連合会、経済団体連合会、21世紀政策研究所など、様々なところが、様々な提言をされております。日弁連も改めて司法改革ビジョンという具体的な提言もされたところでございます。
これらの多くにつきましては、第1回審議会後、資料として送付された旨承知しておりますので、あるいはもう既にお読みいただいているかと思いますが、本日は日弁連の平成2年、3年、6年の宣言を資料の5として添付させていただいております。
また、資料6として、先ほどの自由民主党の11月にされた決議を添付したところでございます。
以上のような各界の提言がございますか、更に政府の審議機関も、この司法改革についての提言、あるいは問題提起をしているところでございまして、経済戦略会議、これが司法関係についても提言をしております。資料の7として提示しておりますが、事後チェック型社会にふさわしい司法制度改革というものが必要であるという観点から、法曹人口の増大、その他、提言をしておりますが、その中で特にこの司法改革を推進するに当たっては、国民的見地に立って、第三者的機関において検討される必要がある。政府が近々設置予定の司法制度改革審議会の構成、審議の進め方、内容等はこうした観点から極めて重要であるというような関心も具体的に示されているところでございます。
また、規制緩和推進3か年計画におきましても、司法関係の問題が取り上げられております。これは行政改革会議の中で、行政改革推進本部の下に規制緩和委員会が設置されまして、そこが平成10年の3月にこの3か年推進計画を策定したわけであります。11年に更に改定されておりますが、その改定前の10年のものが資料8、改定後のものが資料9となっています。その資料9の後ろから2枚目を見ていただきますと、そこに一番下の欄に「法曹人口の大幅増員等」という部分がございます。この中で法曹人口を大幅に増やすための検討が必要であるということ。
それと、隣接法律専門職種と弁護士との役割分担の在り方などについても検討するということが言われております。
この隣接法律専門職種と申しますのは、弁護士は勿論法律家でございますが、法律に関する専門的な職業といたしましては、例えば登記であるとか、裁判所に提出する書類の作成を職務といたします司法書士、あるいは特許関係に関する弁理士、税金問題に関する税理士というような、それぞれ専門分野を持った法律に関係する職種というものがございます。
この規制緩和委員会の指摘は、弁護士と、そのような隣接法律専門職種との役割分担の在り方というものも、広く司法問題として取り上げるべきではないかという御指摘でございます。
以上のようなことが、この司法制度改革を求める動きとして現在進んでおります。
これらの流れを受けまして、政府として、司法制度全体についての国民的視点での検討をする機関が必要であるということから、今回司法制度改革審議会の設置法案を国会に提出し、先ほど法務大臣から御説明がありましたような審議経過を経て、この審議会の設置に至ったわけでございます。
以上、非常な駆け足でございましたが、戦後の司法制度改革に関する御説明を終わらせていただきます。
【佐藤会長】どうもありがとうございました。ただいま大臣及び房村部長の方から、本会議の成立の経緯、あるいは長い歴史を持っておりますけれども、司法制度に関する戦後の状況について、非常に簡潔にお話しいただきました。
ただいまのお二人のお話につきまして、質疑を行いたいと思います。どうぞどなたからでもよろしゅうございますので、御質問などお受けしたいと思います。
【山本委員】ただいま房村さんの方から御説明いただきまして、おっしゃられたように、戦後間もなくから法曹三者によりますいろんな改善努力が行われていたというのはよく分かりました。そのテーマも、現在、この審議会に与えられている法曹の充実でございますとか、一元の問題でございますとか、あるいは国民の参加の問題でございますとか、そういったことがテーマになっていることも分かりました。ただ、今までの経緯というのはあくまでも法曹三者による改革の論議だったと。この審議会に与えられておりますのは、ユーザーでございます国民の視点を入れるというところが決定的に違っているんだと思いますが、臨司の性格からすると、そういう議論があるいは行われなかったのもしれませんけれども、そういった国民の視点、ユーザーの視点というのが、臨司の方で何か御議論がなかったのかなというのが、今お伺いして関心のあるところでございます。
質問と言いますと、そういったところに関連するわけでございますが、例えば一番大きな柱でございました一元論の問題、私も『ジュリスト』などをさっと読ましていただいたんですけれども、かなり一元でいくべきだという議論と、いや、そうじゃないという議論が、非常によく長所、短所が極めて論理的に整理されているという印象を受けたんでございますが、やはり一元の制度を採っているのは、どちらかというと英米法系であって、大陸法系はそうではない。それぞれ歴史とか風土の違いがあるんだという議論があるわけでございますが、では、一元を採っている英米法系では、どういう歴史とか風土から一元論が出てきているのか。
そうじゃない大陸法系は、何故一元じゃないのか。どういった風土とか歴史がそうさせているのか。日本ではどうなんだと。日本の司法をめぐる風土とか、風土という言葉はいいか分かりませんが、国民意識と言いますか、そういったところはどう違うのかという議論があったのかないのかというのは、ちょっと疑問があるのが一つでございます。
もう一つ、やはりその根底になるのは、国民は何を望んでいるのか。あるいは国民の司法に対する意識といったことについての議論が当然あったんではないかと思うんですけれども、いろんな書き物を読みますと、そういったところがなかなかきちんとしたもので書かれていない。したがって、先ほど房村部長がおっしゃったように、望ましい制度の一つではあるけれども、その基盤が整っていないという結論づけをされているわけです。
例えば法曹一元を取った場合に、弁護士さん出身の裁判官を国民が欲しているのかしていないのか。そういったレベルの議論が、いろんな報告書を読んでも分からないところがありまして、そういった意見の対立はどういうふうに整理されたのか、されなかったのか。これは今度の問題でも、基本的問題の一つではないかと感じられましたので、あえてそういった議論があったんであれば、あるいは調べられる範囲内において、お聞きできる範囲内でお聞きできればなというのが、今お伺いしたい質問みたいなものでございます。
【佐藤会長】非常に難しい問題ですね。
【房村部長】非常に難しい。ある意味では本当に事の本質を突いた御質問だろうと思いますので、とても私がここで、だたちにお答えできる範囲を超えているんですが、まず国民の視点に立った議論かどうかというのは、これは評価の問題もあろうかと思いますが、勿論、臨時司法制度調査会の議論も、国民が利用する司法制度ということでいろいろ議論がされていることは間違いないと思いますが、どうしても委員の構成を見ても分かりますように、どちらかと言えば、法律専門家が中心になった議論。法律専門家から見た司法制度の在り方ということに力点が置かれていたということは否定できないのではないかと思います。
ただ、そういう意味で今回のこの司法制度改革審議会が設置される経過として、やはりそういう法律専門家の意見も、勿論重要ではあるけれども、司法制度をどうするかという点については、やはりこれを利用する国民の声を反映させるものでなければいかぬということで、今回の委員構成にしても、あるいは審議会の審議事項にしても、なるべく国民の声を反映したいということで出発いたしましたので、その点はそういう差はあろうかと思います。
それから、法曹一元の英米法の国と大陸法の国、あるいは日本においてその歴史的背景、風土というような点については、これはある意味では一番法曹一元をどう理解するかというところに関わる問題ではないか。私ども、この調査会意見書を見ていろいろ、それぞれ諸外国の実情等も調査して議論はされておりますが、果たしてどの程度そこが重視されたのかというのは、率直に言って私自身もまだよく分からないところでございます。
ただ、今、山本委員がおっしゃったように、こういうものは歴史的な背景、その国の社会の在り方、こういうようなものと密接に結び付いていることは間違いないと思います。ですから、そのような点に目配りをして、どのような制度を取るかということが議論されるべきであるということは、おっしゃるとおりだと思いますが、私も不勉強で、この臨司の中でどこまでやれたかというのは分からない点がございますので、御容赦願います。あと、国民が何を望んでいるのか。国民が本当に欲しているのかというのは、それなりに配慮しつつ議論はされていたようでございますが、直接的にそういうことが資料としては表れていないというのは事実だと思います。
【佐藤会長】よろしゅうございますか。ほかにいかがでしょうか。
【井上委員】私も、この臨司の報告書等を以前から何度か読むことがありましたけれど、先ほど房村さんから御説明があったように、この調査会が設けられた直接の理由は、当時の訴訟遅延、あるいは裁判官志望者の漸減ということであったようですが、そのことと法曹一元というのがどう結び付くのか、よく分かりませんでした。
裁判官の任用制度や給与制度の改善ということは、そういう方策によって裁判官任官者を確保しようとするもので、よく分かるのですが、そこで法曹一元の問題を特に議論しなさいということになった背景というのは、どういうものであったか。お分かりになる範囲で結構なんですが、もう少し御説明いただければと思います。
【房村部長】誠に恥ずかしい話なんですが、実は私自身もこの臨司関係の資料を読みまして、何故法曹一元にいくんだろうと思ったのは、率直な疑問でございますので、また何か分かりましたら、改めて御報告したいと思います。
【中坊委員】そうすると、今回の審議会と従来の臨司の時代の決定的な差というのは、やはり利用する側の視点で司法制度を見直してくださいということが、今回の一番大きな変化である。従来は法曹三者を主体とした運用している側から来るいろんな問題点を考えて、改革問題が審議されていた。それが今回はそうじゃなしに、利用する側からの視点だと。これが一番違うと、おおざっぱに言えば理解していい一番の差でしょうか。従来の司法制度の審議と違うところは。
【房村部長】一番違ってくる点はそこだろうと思います。勿論、司法制度をどうするかという意味で共通点は幾らでもあるわけですから、違っている点を強調すればその点が一番違っているということかと思います。
【中坊委員】これは非常に細かいというよりも、具体的なことで今後、当審議会が調査審議するのと若干関係があるかと思うんですが、先ほど大臣がおっしゃり、房村さんがおっしゃったところですけれども、結局、この調査審議と並行して、ここに書かれているように裁判所の職員の増加とか、あるいは人的物的拡充、あるいは先ほどは民事の法律扶助制度については、次期通常国会とか、そういうようなことの具体的な御提示がありましたんですが、この政府の方でお考えいただいておる審議と並行してなさろうとしている具体的な内容はどういうことがあるんでしょうか。
【房村部長】まず、先ほども申し上げたように民事法律扶助につきましては、法案化を進めたいと。また同時に予算の拡充を図りたいと、こう考えております。
それから、司法基盤の拡充の一番大きな要である増員でございますが、これにつきましても、裁判官、検察官の増員を引き続き積極的に図っていきたいと考えております。
昨年の要求時点で、検察官30名、裁判官30名の増員を認めていただいたわけですが、今回、平成12年度の概算要求では、裁判官について70名、検察官について45名の増員をお願いしているところでございます。
これは勿論、増強ということで大幅に増やしているわけですが、一つは特殊事情がございまして、先ほど申し上げたように修習期間が従来2年だったものが、今年の4月の修習生から1年6月に短縮されましたので、来年は4月と10月に2回採用しなければいけない。そういうこともあって特に大幅になっておりますが、そのようなことを除きましても、法務省としては、できる限り裁判官、検察官の充実を図っていきたいと、こういう具合に考えております。
【中坊委員】民事以外の法律扶助の方は、何か具体的な動きがあるんでしょうか。
【房村部長】この点につきましては、法曹三者で、刑事の被疑者段階の弁護について、公費負担の制度を設けるかどうかということについて、現在、意見交換をしているところでございます。国会審議の中でもそういう問題が、この司法制度改革審議会で取り上げられるかという御質問もございましたが、その点については、いずれにしても、司法制度改革審議会でお決めいただくことであるということで、私どもとして答弁しております。
【竹下会長代理】臨時司法制度調査会ができるときにも、この法曹一元はかなり議論されたわけでございます。当時日本法律家協会と日本弁護士連合会と両方から法曹一元の考え方が出されまして、その間に同じ法曹一元と言っても、考え方に少し違いがあるということが言われていたように思います。日法協案というのは、どちらかというと長老裁判的な、つまり経験豊富な法律家から裁判官を任用すべきであるというのが基本的な考え方。
それに対しまして、日本弁護士連合会の方の案は、どちらかというと、当事者経験と言いますか、そういうものを積んだ法律家が裁判官になることが望ましいというお考えだったように思うのです。
現在、言われております法曹一元の中にも、私はその二つの考え方が入っているのではないか。これからここで議論していく場合も、そこらは整理して考える必要があるのではないかと考えているのですが、臨時司法制度調査会の、当氏A法律の定義規定のようなものを見ますと、どうも日法協的な考え方が基礎にあったようには見えますが、必ずしもそうとも言えないようなところもございますので、その辺りについて、臨時司法制度調査会ではどういう議論があったのかということを、もし御紹介いただければと思います。
【房村部長】その点は、そもそも法曹一元の考え自体、相当理解の仕方が違っている面もあったようです。その中で、ともかく一番共通する部分は裁判官以外の法律職にある者から採用することだということで法律の規定ができました。それを更に、今まさに竹下会長代理がおっしゃったように、長老が裁判官になっていくという考え方でいくのか、あるいは当事者経験のある者が裁判官になることがいいんだと。これが裁判官の数にも反映しておりまして、その弁護士の長老が裁判官になるということになりますと、その裁判官の数は少なくともいいと。その代わり当事者である弁護士が相当多くの部分を負担すべきだと、こういう考え方になるわけでありますし、単に裁判官になるには、弁護士の当事者としての経験が必要だというだけでありますと、必ずしもそうはならない。かえって裁判官の数をもっと増やすべきだという主張にもなるわけであります。ですから、それは求める裁判官像と密接に関連するわけですが、どうもこの調査会意見書を読んだ限りでは、必ずしもその点をどちらと決めているという印象は受けないんですが、それぞれの方が、それぞれの自分の理解の下に意見を交換しているという感じがいたしまして、逆にそこら辺は竹下先生の方に整理をしていただければと、教えていただければと思うんですけれども。
【竹下会長代理】どうもありがとうございました。
【佐藤会長】ほかにいかがでしょうか。どの論点でもよろしゅうございます。
【髙木委員】臨司のときと今回との違いなど具体的にイメージしていただいたんですが、ずっと今日に至るまでの部分的というか、かなりというか、よく分かりませんが、それはそれとして改革は行われてきたというお話でございました。そういう過程で国民利便とか、司法と国民の距離とかについて、昭和50年の三者協議会からでももう25年経つわけでございますが、例えばいろんな世論調査とかアンケートとか、そんなことをおやりになられてきた例があるのかないのか、あったとしたら、どういうタイミングで、どういうもので、国民の意見を聞かれて、その結果がこういう改革につながったんだという例があるのかないのか、その辺について歴史的な経過で結構ですから御説明いただきたいと思います。
【房村部長】幾つかあるんですが、最近のものとしては、民事法律扶助の、法律扶助制度研究会が、この中で国民に対するアンケートを行っております。そのアンケートの結果を踏まえて、法律扶助の内容とか、規模の拡大ということも提言をしているところでございますが、それ以外にアンケートというのはどうかなと。ただ、例えばこの民事手続の整備等をやる場合に、法制審議会で普通はやりますので、そこで中間意見を公表いたしまして、非常に多くの階層から御意見を頂戴して、それを参考にして改正内容を定めていくという意味で、国民の意見を吸い上げるということは、いろいろな場面で努力はしております。ただ、司法制度の利用について、国民にアンケートをしてという形のものを積極的に行っているのは、そこくらいになると。
【竹下会長代理】法曹養成制度等改革協議会でもやったのではなかったでしょうか。
【房村部長】そうですね。改革協議会がやりましたね。これもアンケート調査、その他いろいろやっております。そういう研究会のようなところで、それぞれについてやってはおります。
【佐藤会長】民事法律扶助のときのアンケートは、かなり広範にわたったのか、それとも、かなり特化した調査だったんですか。
【房村部長】これはやはり扶助を中心にしておりますので、ここは竹下先生の方がお詳しいと思います。
【竹下会長代理】扶助の利用調査でございますので、法律扶助にどの程度の需要があるかというのを中心にされたと思います。改革協議会の方はもうちょっと一般的でした。
【藤田委員】日弁連でもアンケートをおやりになっていますね。裁判の信頼性とか、どういう点を改革しいほしいかという点などを調査事項としてやっておりますね。
【房村部長】はい。
【竹下会長代理】本来髙木委員がおっしゃるところでしょうけれども、調査の結果をまとめたものを配布していただければと思います。
【房村部長】分かりました。その点はできるだけ集めまして、資料としてお出ししたいと思います。
【陣内法務大臣】今回の審議の中で、先ほどちょっと御説明いたしましたように、審議内容について、ある程度方向的なものはお示しすべきじゃないかということになって、法案の2条の修正ということになってきたわけでございますけれども、政府といたしましては、今の国民が利用しやすいような方法、サービスを、国民の立場で自由に御議論いただきたいというのが最大の眼目でございましたし、今もそのとおりでございます。
それに対して国会では、それでは2年間というこの短い期間で、本当に十分な審議ができるかという心配の向きも出ました。それについては、そういう中ではございますけれども、21世紀を目前にしているんで、できるだけ濃密な御審議をいただいて、期待にこたえるような成果をお願いしたいということを申し上げたところでございます。
事務局としては、最大限の御協力をさせていただきますけれども、従来と違って、事務局がいろいろ方向づけ等について、何かしていくという時代じゃないという時代認識も持っていると。
私、ちょっと先ほど説明が不十分でございましたが、臨司の場合は衆議院が4名、参議院が3名入っていたというようなこともございまして、国会審議等との連携もよくできていたんだけれども、今度の場合はそういう面で、少しどうかなという懸念が出まして、それについては、事務局が審議の場で、いろいろ御審議いただいていることを法務委員会におつなぎするし、また、法務委員会として、そういうものについて意見があれば、それをまた審議の場にお伝えしますというようなことを約束しておりますので、その点もひとつお含みいただければと思います。
【佐藤会長】ただ今の大臣のお話、大変心強く思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
まだ時間がちょっとありますので、一応30分くらいまで予定しておりますけれども、いかがでしょうか。
私が聞いたらいいのかどうか分かりませんけれども、一つだけ、大きな話でお答えにくいかもしれませんけれども、臨司の方でいろいろ大事なことを提言なさっておられて、それから相当年限が経ったわけですけれども、これが実現したものもあるでしょうし、実現しなかったものも相当ある。その実現しなかった理由は何なのかというように御認識なさっていると思いますが、今後、我々が物を決め、打ち出すときの非常に参考になると思いますので。
【房村部長】一つには、先ほど申し上げましたように、臨司の意見が出された後、法曹の中で非常に対立が厳しくなってしまったというようなこともあって、なかなか迅速に取り掛かれなかったということはあろうかと思います。ただ、その後それなりに法曹三者努力をいたしまして、この臨司で取り上げられたような項目の多くについて、何らかの形で改善の努力を進めてきているところでございますが、中には臨司で言われたままになっている部分も当然ございます。それが何故かということになりますと、それぞれの項目ごとにまた問題もあるわけですが、勿論、社会の状況の変化によって、臨司の意見そのものが、既に現在においてはあまり適合しなくなっているという部分もございますでしょうし、中にはやるべきであるにかかわず、なかなか難しい点があって、現在においてもなかなかできないという部分もあろうかと思います。ですから、そこはなかなか一概に言えないんですが、その臨司の後の動きを見ておりますと、当面、緊急に必要な部分を次々にやってきていたという感じになっておりますので、何らかの形で後回しになっているのは非常に問題があるのか、あるいは逆に今ではそれほど緊急性がなくなってしまっているという部分かの、いずれかに分類される可能性が高いとは思っております。
【佐藤会長】吉岡委員、いかがでしょうか。
【吉岡委員】臨司のときに随分いろいろ提言されているわけですけれども、そういう中で特に法曹人口の飛躍的増加ということが言われています。でも、裁判官の人数とか、そういうところでは確かに増加はしているんでしょうけれども、非常に長い期間で見た場合に、それほど増えたと言えるのかどうか。私はちょっと疑問に思っております。
よく裁判に時間が掛かり過ぎるということが言われていますけれども、やはり法曹人口、特に裁判官の数というのはかなり影響するのではないかと思っています。どうして思うように増えていかないのか。先ほど、30年代に裁判官になる希望者がなかなかいなかったという御説明もあったんですけれども、その辺も含めて、現在でもそういう風潮なのでしょうか。
【房村部長】まず志望者の関係でございますが、先ほど申し上げましたように、昭和30年代、特に臨司の前辺りは非常に志望者が少ないという状態が続いたわけですが、その後、次第によくなりまして、特に近年は毎年100名近い者が裁判官を志望し、かつ、任官しておりますので、そういう意味で、裁判官志望者が減少してしまったというのは、臨司以後、そういう関係で問題があるという事態ではございません。
裁判官が何故増えなかったのかというのは、これはいろいろあって、私ももう少し増やしていただいてもいいのかなとは思っておりますが、それなりに裁判所としては、事件動向等を見ながら、必要な裁判官の増員には努めてきた。
ただ、何と言っても裁判官の場合は、人の一生を左右する非常に重要な職業ですので、やはりだれでもいいというわけにはいかない。それなりにきちんとした人を裁判官に任命したいということもありますので、給源との関係で、あまり急激に増やすというのは難しいという側面はございます。
人数がこれで十分かどうかという点について、これはまさに国民的な立場から今回十分御議論いただければと思っておりますが、確かに事件を早く処理するというためには、裁判官が増えれば、一人ひとりの負担は当然軽くなるわけですので、勿論、裁判官が増えただけで、必ず早くなるかというと、これはまたいろいろ複雑な要因がありますので、問題はあると思いますが、裁判官を増やす努力というのも、当然迅速化のためには必要ということだろうと思っております。
【陣内法務大臣】この点につきましては、平成11年度は判事補の定数を30名増やしたんです。そのことにつきまして、国会の中で、これは与野党を問わずもっと、今、先生おっしゃるように、裁判を迅速に処理するためには定数を増やすべきだという声がございました。事件の動向を見ながら対応していくという最高裁の御答弁ではございましたけれども、国会の場では、やはり増やすべきだという声が非常に強うございます。
ただ、行政の組織のスリム化の中で大変難しいという意見はございますけれども、やはり大事な視点だろうと思って拝聴しておりました。
【佐藤会長】曽野委員、いかがでございますか。
【曽野委員】難しいことは抜きにいたしまして、私などは一番素朴に解釈するのですが、私は東京の一隅に住んで、その辺のおばはんたちと付き合って、同級生が年取ってぼそぼそ言っているのを聞いてという生活です。
そういたしますと、一体日本というのは法治国家なんだろうかなと思う話がよくあります。例えば建築基準というものは、我々はよく分からないんですけれども、うちの大工さんに言ったら、こうすればいいんだよと言われた。容積率はどうのこうの。素人には分からないけど、うちの大工さんは一級建築士だから大丈夫だろうね、と考えるわけです。ところが規則を守っていても、周りが文句が出れば建たない。何の法律かということです。
それから、おかみさんたちは又、思うんですね。実際に測ったわけじゃないけど、どうもあそこの家の軒はこっちに出過ぎていておかしい。もし、その軒が本当に出ていていけないなら、例えば完成した後でも取り壊すべきでしょう。そういうのが私は法であろうと思います。
例えば、今のホームレスの問題でも、ホームレスのかたが気の毒だというのも、一面本当です。一面は、あの人たちは私たちと違う、もっと勇気ある人生の選択をしてああしていらっしゃる。私はホームレスの取材をいたしました。そして、日本はホームレスの扱いがどれほどよく整っているかを知りました。済生会病院という病院は、ホームレスが全くお金を持っていなくても放り出したりしません。
駅や公園の中にキャンプするのも違法でしょう。皇居前というのはとても気持ちいいから、私なども一度寝たいと思っておりますけれども、あそこに行ってキャンプするのを、ホームレスだからと言って見過ごすのが法治国家なのかどうかということですね。ちゃんと救うべきことは救い、いけないということはいけないという時、私たちは日本を法治国家と思います。
例えば、基本的人権。私たちの年ごろになりますと、当人もそうですが、親が90歳を過ぎて倒れます。3か月でございましたか、入院すると出ていってくれと言われる。別に悪くもならないけれども、家へ帰って簡単にトイレに行けたり、ご飯を食べられたりする状況じゃない。それでもこの病院におけないから次のところに行けとタライ回しです。これで基本的人権というのはどうなっているのでしょう。
そういう意味で日本は果たして法治国家なのだろうかという、基本的な疑問に対してお答えいただきたい。これが一つです。
もう一つは、私は作家としての立場で伺いたいのは、日弁連という組織です。日弁連でよく統一見解というのをお出しになる。日本文芸家協会だったら絶対にあり得ないことです。もしも、統一見解というものが、法解釈によってだれでもが間違いないものとして可能なら、何も統一見解を出すことはない。
もし、いろいろなことの法律の解釈があるなら、日弁連が一つの見解を出すのは越権です。私ども日本文芸家協会でございましたら全員が許しません。日弁連はそのような思想統制がどうしておできになるのですか。
そのような2点というのは、差し当たり私が長いこと考えてきたことです。
【佐藤会長】非常に本質的なことにかかわる事柄で、これから議論しなければならないいろんな面にわたる問題でございます。お二人から何か。
【房村部長】とても難し過ぎて、まさにおっしゃることは、本当に日本社会の在り方そのものにかかわるんだろうと思います。我々、具体的におっしゃられたこと、じゃ、どうだととても申し上げられないんですが、多分、そういう国民の間の法律意識の問題、あるいは行政庁の在り方、紛争を解決する機関の在り方、そういった問題が様々に絡み合っているんだろうと思います。
私どもとしては、ともかく少なくとも、この司法の範囲においては、そういう決められたルールに従って、それぞれきちっとした処理をしていただきたい。また、間違いのないルールを私どもとして、それぞれ示せるような法律家でありたいという具合には思っているわけです。
それだけで今の日本の社会の、委員のおっしゃったようなことが、直ちに解決するかというと、それは難しいと思います。そういう努力をそれぞれの分野で続けていくしかないんだろうなというのが、ほとんど答えになっておりませんけれども。
【佐藤会長】曽野委員、これからだということですが。
時間も少し超過しましたけれども、よろしゅうございますか。今日は本当にお忙しいところ、お二人に非常に的確なお話を賜りまして、どうもありがとうございました。
【陣内法務大臣】今日は大変勉強になりました。
【佐藤会長】どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、よろしければ、10分ほど休憩に入りたいと思います。
【陣内法務大臣】それでは、大変勝手でございますが、これで私、失礼させていただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
(陣内法務大臣、房村法務省司法法制調査部長退室)
(休憩)
【佐藤会長】それでは、時間が参りましたので再開させていただきたいと思います。コーヒーを飲みながらでも結構でございます。
最初に事務局の方々を御紹介いただきたいと思います。その前に、確認ですけれども、前回、会議の公開、それから傍聴の問題について御審議いただいた際に、法務省・最高裁・日弁連の、いわゆる法曹三者の傍聴については、これから資料をお願いしたりいろいろなこともあるということで、傍聴するということについては御了承いただいたものと私は理解しておりますけれども、よろしゅうございますね。
(「結構です」と声あり)
【佐藤会長】それでは、よろしくお願いします。
【事務局長】それでは、私の方から紹介させていただきます。
(傍聴者及び事務局員の紹介)
【事務局長】どうぞよろしくお願いいたします。なお、委員の先生方の今後の調査審議の必要に応じまして、私ども事務局でお役に立てることがございましたら、能う限りのサポートをさせていただきますので、データの収集や資料の作成、あるいはこの点について詳しく聞きたいという御要望等がございましたら、何なりとお申し付けくださいますように、よろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
【佐藤会長】どうもありがとうございました。各委員の皆さんもどうぞお気軽に事務局を存分に--私から申し上げるのも変なことですけれども--活用していただければと思います。
なお、私と会長代理、それから事務局と次回の会の打合わせなどをしているわけですけれども、審議を充実促進するために、その結果などできるだけ会の前に皆様に御連絡申し上げるように事務局員にお願いしたいと思っております。何かとお忙しいところ恐縮なんですけれども、そういう形で議事の効率的な促進に努めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では最初に、配布資料について事務局の方から御説明をお願いします。
【事務局長】それでは、お手元に配布いたしました資料について若干説明させていただきます。
「配布資料一覧」というのがございますので、この順に従って説明させていただきますが、まず1番目は本日の議事次第で、2番目は配席図でございます。
3番目の「各界提言等要旨、参考人発言要旨(衆・参法務委員会)」と題しておりますのは、第1回審議会直後に送付をさせていただきました、各種団体からの各界提言等及び司法制度改革審議会設置法案に関する国会議事録における各参考人の意見部分につきまして、それぞれの提言、意見ごとに要旨及び関連部分の抜粋といたしまして、各1、2枚程度にまとめたものであります。各界提言等や国会議事録を御覧いただくに当たりまして、御参考にしていただければと思っております。
4番目の「各界要望書等」でございますが、当審議会宛てに個人または団体から要望書として寄せられたものであります。これは無地の茶封筒の中に一括して入れてございます。なお、寄せられました要望書等の中には、自らが当事者となっている個別の事件に対する苦情、あるいはその具体的解決を要望するものが数通ありましたが、これらにつきましては、配布資料も公開の対象となっておりますことから、相手方当事者のプライバシー等の観点を考慮しまして、配布を見合わせることにいたしました。もっとも、司法制度利用者のそのような苦情なども司法制度改革の審議に役に立つものとの考えを否定するわけではございませんので、これらの要望書等は、事務局に別冊として保管しておりますので、委員にはいつでも御覧いただけるようにしてございます。どうぞ御利用ください。
今後も当審議会宛てに送られてきました各種要望書等につきましては、委員の方々に配布することとしたいと考えておりますけれども、今、お話ししたような個別の事件についての要望等というものにつきましては、やはり同様の方法で対処させていただきたいと思っておりますので、御了承いただければと思います。
5番目の「関連新聞記事」でございますが、これは前回の審議会後、具体的には今年の7月26日から8月31日までの司法制度改革に関する新聞の社説、論説等を集めてみたものでございます。
6番目は、前回第1回の審議会の議事録でございます。
配布資料に関する説明は以上でございますが、なお、ただいま御説明しました配布資料の中にも、国民の皆さんから当審議会に郵送で、あるいは持参されて寄せられた御意見等が含まれておりますけれども、第1回会議におきまして、髙木委員を始め、複数の委員の方からコンピュータ・ネットワークを利用して当審議会宛ての国民からの御意見をいただく方法も検討してみてはどうかとの御提言がございましたので、事務局において検討いたしました結果、既に開設しております当審議会のホームページにおきまして、ただいまお配りしましたような要領で、国民の皆さんからの御意見を受け付けるページを構成いたしまして、御意見を受け付けることにいたしたいと考えております。
以上でございます。
【佐藤会長】それでは、最初に、議事の公開の問題について、私の方から若干の意見を申し上げて、できれば御理解を賜れればと思っております。
既にそれぞれの委員の皆様に事務局の方から8月に送られたと思いますけれども、その中にも入っているものもありますが、法曹記者クラブとか、日弁連などからの傍聴についての要望が来ております。それから、8月26日でございましたけれども、マスコミ各社の論説委員などの連名で、会議の傍聴についての要望書を、特に、会長に直々渡したいということもございまして、会長代理と二人でそれを受けたわけであります。
その際、要望書は真剣に検討させていただく、ただ、審議会は今スタートしたばかりなので、少し時間的な余裕をいただきたいというように答えておきました。
会長としての私の率直な気持ちですけれども、この会議は、委員がお互いに敬意を持ち、相互の信頼に基づいて、率直かつ落ち着いた議論のできる場としたいというように思っております。それぞれの委員の考え方、立場が違うのというのはこれは当然のことでありますけれども、何といいますか、センス・オブ・ミーティングといいますか、そういうものを共有しながら、意見の交換ができる場にしたいというように思っております。
傍聴の要求は、この司法改革問題が非常に重要であるということから、国民にとっても非常に重要なものだということから、よく理解できるところでありますけれども、あと何回か御審議いただいて、その時点で改めてこの問題について皆様に御相談申し上げたい。御覧のようにこの場所は非常に狭うございますので、仮に傍聴を認めるとしても、その方法、範囲などにつきまして、おのずから限度のあることだろうというように承知しておりますけれども、その問題も含めて、この問題はいずれまた改めて御相談申し上げたいと思っております。
冒頭申し上げましたように、私はこの会は、改めてまた口幅ったいことを申しますけれども、お互いに信頼し合って率直に落ち着いて議論ができる場であるということが何よりも大事なことと思っておりますので、それを害さないという大前提でありますけれども、しばらく御審議いただいて、その結果、また御相談申し上げるということにしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
【佐藤会長】ありがとうございます。では、この問題はそういうように対処させていただきたいと思います。
次に、会議終了後の記者会見、これも公開に関連することでありますけれども、前回は私と会長代理で対応いたしました。今後は、記者会見は恐らくこの場になると思います。記者も筆記しやすいでしょうから。ただ、会長と会長代理でいつも同じ顔ではあまり変り栄えがしないということもあろうかと思いまして、他の委員の皆様からも適宜加わっていただければ、有り難く思います。今日は、少し記者の諸君に話してもいいというようなことがありましたら、是非御参加いただければと思っておりますが、その点もよろしゅうございますか。
では、今後、そういう扱い方にさせていただきたいと思います。
次に議事録の作成についてでございます。前回分は各委員の御協力によりまして、先ほども資料の説明の中にありましたように、議事録が既にお手元に行っておりますけれども、これはほかの審議会から見ても非常に早いのではないでしょうか。
今後も、できるだけ早急に議事録を公表できるようにということで、事務局の方でいろいろ御検討いただきました。
ちょっと御説明いただけますか。
【事務局長】ただいまお手元に配布いたしました議事録作成スケジュールというものに基づいて御説明申し上げます。これは、本日の会議を具体的な例として取り上げた場合でございます。
第1回の議事録は、一昨日ホームページに掲載いたしました。1か月とちょっとかかりましたが、委員の皆様の御協力を得て、我々も試行錯誤しながら一昨日ようやく載せられたということでございます。
そこで整理した案なんでございますが、本日の会議、これを今、速記を取っていただいておりますけれども、その速記の業者による原稿の作成、これは実質3日でできると言ってくれておりますので、ただ、土曜、日曜がはさまります関係で、7日の火曜日に出来上がってくる予定になっております。それを事務局によって一応チェックをいたしまして、皆様に発送する手続を取らせていただきますと、早くて9日の木曜日、あるいは10日金曜日中には必ず委員の皆様方のところに届くように発送できると思っております。
そこで、各委員の皆様によるチェックを1週間で仕上げていただきまして、それをFAXなりで送っていただきますと、16日木曜日には事務局にチェックされたものが戻ってくることになります。これまたそれを合わせてすべてチェックを事務局でいたしますので、これも実質2日を見ていただきますと、真ん中に土日を挟みますので、これは除外していただきますとしますと、20日の月曜日にチェックは終わるということになります。
そして、今度はそれをホームページに掲載するのですが、これは内閣総理大臣官房広報室の広報専門官、これが一人しかおりませんでして、その方がすべてを扱っておられます関係で、2日の余裕は欲しいということでございますので、その2日を見込みますと、9月22日、ジャスト3週間でホームページに掲載できるという手はずになろうかと思います。勿論、いろいろと量が多くなったりして若干の狂いは生じるかもしれませんが、予定でいきますと3週間で仕上がるという手順になっておりますので、皆様の御協力をいただければ、このとおりの議事録の公開ができる手はずでございます。
以上でございます。
【佐藤会長】どうもありがとうございました。
各委員によるチェックが1週間ほどというのは相当しんどうございます。私などは表現の仕方がうまくないものですから、送られてくる速記録を見て愕然とし、いつもいやになるんですけれども、いやなものは早く片付けた方がいいということもあるかもしれませんが、1週間はちょっとしんどいかなあとは思いますけれども、こういう手順でよろしゅうございますか。
なお、今申しましたように、私などは文章を見ているとあちこちいじりたくなるんですけれども、議事録の性質上、基本的には「てにをは」の訂正というぐらいにとどめていただきたいと思いますので、その辺もどうぞよろしくお願いいたします。
【髙木委員】ホームページですが、こういうのも設けられましたというのは、どんな形で。
【事務局長】本日の記者会見で発表いたします。
【佐藤会長】次の議題の方に移らせていただきたいと思います。今後の審議のスケジュールについて少し御相談申し上げたいと思います。
御承知のように、この審議会は2年間で答申を出せということになっておりますが、この2年というのは長いようで非常に短い大変な期間だという思いもいたします。
それと、国会で衆議院の法務委員会に司法制度改革小委員会が設置されるということになりまして、この10月にも臨時国会の召集が予想されています。恐らく、そちらの方から、この審議会がどういう審議状況にあるのか、どういうスピードといいますか、段取りでやっていくことになるのかといった問い合わせがくることが、予想されます。
さらに、マスコミが非常に大きな関心を持っているということも御承知のとおりでありまして、私どもとしても、これからの審議の腹づもりといいますか、どういう形で議論を進めていくかについての見通しのようなものを持っている必要があるのではないかということもございまして、御相談申し上げたいと思うわけであります。
まず審議の主な柱となると思われる点でございます。これからまさに論点をいろいろ拾い出していくわけでありますけれども、既にこの審議会の設置法、それから、先ほど大臣から御説明がありましたけれども、国会での附帯決議というようなこともございまして、議論すべき事柄もある面では見えているところもないわけではありません。そういうことから、審議の主な柱となると思われる点を大ざっぱにくくりますと、二つほどになるのではないかというように思っております。
一つは、制度的インフラの問題であります。この中には、国民により利用しやすい司法制度を実現するということとか、あるいは国民の司法参加というようなこと、あるいは、附帯決議にもあったことでありますけれども、人権と刑事司法との関係の問題等々が含まれます。国民により利用しやすい司法制度といいますと、それ自体非常に大きなくくりですけれども、制度的インフラといいますか、そういうものが一つの大きな柱としてあるのではないか。
それからもう一つは、制度を動かす人でございます。人的インフラという表現がいいのかどうか分かりませんけれども、人の問題、法曹人口、それから法曹養成制度、ここには法学教育の在り方なども関係してくるかと思いますが、そういう問題です。それから、既に今日のヒアリングでも話題になりましたいわゆる法曹一元の問題、こういう問題が人的インフラの問題としてくくられるのではないか。その他の問題も拾い出せばいろいろあるのかもしれませんけれども、とりあえずはこの二つの問題群が大きなかたまりとして我々の前にあるというように思っております。
それで、こういう課題をどういうスケジュールで御審議いただくのかということでありますけれども、最初は、今日もう既にそうであるわけですけれども、12月までは一般的なヒアリングを続けたいというように思っております。ヒアリングは、有識者から21世紀の社会ないし司法の在り方といった観点からのもの、あるいはユーザーから見た司法の現状はどうかといった観点からのもの、それから、法曹三者、実際にその制度を動かす存在なわけですけれども、この法曹三者から司法制度の運用についての考え方といいますか認識といいますか、そういうものを聞いてはどうかと思っています。そして、それをやりながら、同時に私どもとしても、どういう問題をどのように取り上げるかといった点についての意見交換を、今年いっぱいぐらいまで続けたいと考えております。
そして、12月最後ぐらいのところで、ヒアリングをしながら私どもが議論してきた結果を論点整理しまして公表する。そして、正月に掛けて、国民の皆様からの論点整理についての反応、お考えをいただくということにしてはどうかということであります。
そして、来年に入りまして、整理された論点について、一通りの御議論をいただく。そして、しかるべき時期に中間報告を取りまとめる。この中間報告の取りまとめがどの辺の時点になるかは、まさに来年の審議いかんに掛かっているわけですけれども。
そして、更に中間報告についての国民の反応、各層の反応などを見てそれを参考にしながら平成13年の4月ごろまで御議論いただいて最終的な取りまとめをする。
そして平成13年の7月、私どもの2年目の最後の月になるわけでありますけれども、7月までに最終報告を答申するということにしてはいかがかというように考えているところであります。
なお、これに関連しまして、付け加えますと、今日も既にヒアリングで出ておりましたけれども、民事法律扶助につきましては、既にこれまでの研究・検討の成果も出ております。そして、それを踏まえて今日お話がありましたけれども、次期通常国会に民事法律扶助法案、仮称でありますけれども、これを提出するということを法務省は目指している。それに関連して既に概算要求をしているということでございまして、やや具体的な問題でありますけれども、私どもとしても、これからまとめようとするものと決して矛盾するものではなくて、むしろこれから考えようとする第一歩を踏み出すというような意味合いがあるように思います。私どもとしてはこれを後押ししてはどうかというような思いもございまして、11月ごろにその辺少し御審議いただいて、この段階での私どもとしての考え方の第一歩として--全体の体系的なものは私どもの最終報告の中に入ってくるわけですけれども--具体的な提言をするというようなことも考えられるのではないかというように思っております。
その他でございますけれども、国内の公聴会の開催も考える必要があるかと思います。これは高裁管轄ぐらいになるんですか、やるとすると。
【事務局長】8つの高裁管内でしかるべく大きなところ、真ん中ぐらいのところ、小さいところ、それは支部、簡裁も含めまして、そういうところを、ですから、各高裁で1か所どこを選ぶかを別としまして、8か所ぐらいでできないかなというふうに思っております。
【佐藤会長】そういう国内の公聴会を行うとか、あるいは、これも既に今日のヒアリングで出ておりましたけれども、アンケート調査をするとか、あるいは海外の調査、必要があれば調査員などを選んで海外調査をするとか、そういうことも考えているところであります。
それから、これも房村部長の御説明にもあったところでありますけれども、弁護士と隣接法律職種との業務範囲の整理の問題があります。実は、規制改革委員会で、この問題が既に取り上げられているようでありまして、この会議としても無視するわけにはいかないのではないかという感じがございます。そういうこともありまして、隣接法律職種の団体などに調査を嘱託するなどの資料収集を事務局にお願いしておくということにしてはいかがかというように思います。私どもにとってはコアの問題かと言えばそれは必ずしもそうでないという見方もあるかもしれませんけれども、政府においていろいろな問題が検討されて進む中で、私どもとしてもこれにある種の関わり合いを持たざるを得ないという面もございまして、今のようなことを事務局でまずやっていただくということにしてはどうかという提案でございます。
私の方で一方的に今後の検討の柱とかスケジュールみたいなことを申させていただきましたけれども、御意見賜ればありがたく思います。
【中坊委員】先ほど、会長の方で二つの大きな柱で、一つは制度的インフラと人的インフラの二つ、その中で国民の司法参加、どちらかというと陪・参審というような具体的なことになろうかと思いますけれども、それが、利用しやすいというような概念の中に入るのか。それとも、二つ目におっしゃった人的インフラ、要するに、証拠からどうして事実認定をするかということに関して国民の司法参加ということになってくるので、そういう意味で言えば、まさに司法主体に関すること、人の問題に関係するのかと。その辺は今後よく御議論いただいて、だから、どちらの側に入れて柱として大まかに分けるのかは、私は少しそういう主体の問題ではないかなという感じもしますので、その辺はまたよくお考えいただいて、よく御審議いただいたら結構かと、そういうふうに思いますけれども。
【佐藤会長】確かに、そういう見方もあるかもしれませんね。裁判制度を動かす人の問題としてとらえられるという面がありますね。
【竹下会長代理】かなりの問題が両方にかかわってくるのですね。
【中坊委員】そうそう。利用しやすいと言えば利用しやすいか否かで、理論的に言えば、やはり主体に関することじゃないかと思うんですね。陪審員とかという問題は、証拠と事実認定との関係の問題ですから。
【井上委員】ただ、参・陪審を採るということはシステムにかなりかかわってきますので、どちらとも言いがたいところがありますね。最終的に柱を立てるときには、どちらかを基本にして説明するという形にならざるを得ないと思いますが、検討する段階では両方にまたがった問題として扱うべきでしょう。
【中坊委員】だから、場合によれば両方にまたがっているとして議論していただくか、だから、いろいろな方法があると思うんです。ただ、そちら側にだけに決めていくのも少し問題じゃないかなという気がしますから。
【佐藤会長】これは議論の仕方も関係するんですね。制度的インフラと人的インフラについてまずどっちかを片づけて、他に移っていくのか、あるいは同時にやっていくのか。その辺もある段階で、また御相談申し上げないといかぬかと思っていますけれども。
【中坊委員】どちらか先にやってどっちというのは、どちらかというとおかしいですね。やはり基本的に言えば並行ですね。
【井上委員】この二つの柱を立てるというのは、必ずしも分断してやるという御趣旨ではないのでしょう。
【佐藤会長】いろいろ可能性はあると思います。しかし、この委員会は13人で構成され、全体で議論するということが期待されているということを基本におかなければならないと思います。性質上、例えば、法制審議会のように部会とかいったものを設けることにはなじまないだろうと思います。ただ、いつも13人の全体会議でやるのか、あるいは小委員会のようなものを二つぐらい作って集中的に審議する方法を考えるのか、といったことは考えられます。その場合、全体会議にフィードバックしながら、全体会議と小委員会とをつなげないといけませんね。その辺のいい工夫の余地があればそういうことも考えられるし、なかなか難しいというのであったら、全体でやっていくしかないと思います。
その辺の問題と、どういう順番でやるのかというのは、二つ関連し合っていて、もう少し考えさせていただきたいと思います。今日はこれでもう決め打ちにして、これでやるという趣旨ではございません。
【井上委員】お話が出たので、ついでに申し上げますと、私もできるだけ全体で議論した方がいいと思うのですが、全体の議論をある特定の事項について更に特化して調査するとか、論点を絞り込むという作業は、もう少し小さな小回りのきくグループに委託をし、そこで詰めて、それをまた全体の議論に反映させる、そういうフィードバックの関係をつくって進めていかないと、2年でやるのは難しいかなというふうな感じを持っています。
【佐藤会長】私もそういった気持ちが少しあるんです。
【吉岡委員】期限も限られていますから、詰めた議論をしようとすると、確かに分けて分担してという考え方は当然あると思うんですけれども、私のような素人の立場ですと、詰めた議論をされてしまってこうですよと言われても、その経過が分からないと、意見の言いようがなくなってしまうんですね。
【井上委員】それぞれの問題については、これまでに各方面でもう既にかなりの論点が出されていますので、それを整理し、それなどを参考にして、まず全体で議論をして、不明な点や更に調査を要するところをサブ・グループの方で詰めて調査する。それをまた全体に持ち帰って、全体でまた議論していく。そういった進め方の方がいいような感じがいたしますが。
【佐藤会長】小委員会にお願いして完成品がぽっと全体会議に出てくるというような形になることは全く考えておりません。
【髙木委員】司法制度のことを御専門にされたり、お詳しい皆さんに、今、井上さんいみじくも言われたように、いろいろな論点は結構出ていますと言われますと、私のように司法制度に詳しくない者は、お話についていけません。私らはどういう論点があるのか、そういう意味では、この審議会の場でなくて、また別途に事務局の方々にいろいろ教えていただくこともあるんでしょうが、今までの議論がどうだということをキャッチアップまでいかぬかもしれないけれども、少しは理解するために、少しの時間をいただければと思います。ただ、議論のテンポは先ほど言われたように、尻が切られていることも承知しながら議論の進め方について、素人もおるということを御配慮の上、回していただきたいと思います。
【佐藤会長】私も法律学の専門家ということですが、実は憲法学が専門で、それ以外、例えば民訴とか刑訴とか細かいことには素人なんです。ですから、何が素人か玄人かよく分らない、相対的なところがあるんです。それはともかくとしまして、今の御趣旨はよく分かりますので、今年いっぱいは、先ほど申し上げたようにいろいろな人のお話を聞く、そして、同時に時間をできるだけ取って、その日のヒアリングを題材にしてもよろしゅうございますし、あるいは自分はこういうことを考えているけれどもどうかというようなことを話題に出していただいても結構でございますので、そういう議論をやって、その中から大体こういう論点として整理できるのではないかということを、今年いっぱいぐらいにやれればなという思いであります。
【髙木委員】失礼申し上げたかもしれません。
【井上委員】事務局の方にあれもこれもお願いするのは気の毒ですが、これまでかなりたくさんいろいろなところで提言だとか文献とか、いろいろな方がお書きになっている。そういうものを整理していただいて、それを論点ごとに分かり易い形で整理して、示していただければ、我々の審議を効率的に進めるのに役立つと思うのですが。
【佐藤会長】事務局はその点どうですか。
【事務局長】事務局員の能力の問題もあると思いますが、できるだけ御期待に添えるようにさせていただきます。彼ら自身もよく読み込んでいると思いますから、きっとうまくまとめてくれるだろうと期待しております。
【佐藤会長】行革会議では、例えば外国の行政制度はどうなっているかを調査してもらいその報告・資料を参照しながら議論したことがありました。事務局は大変でしょうけれども、そういうものもできるだけ早くそろえていただきますと、ありがたいと思います。
【山本委員】やはり国民が使いやすいとか、あるいは国民の参加とかいうのがテーゼでございますので、一般国民がこの司法制度についてどういう意識を持っているか。その辺のところの共通の議論というのを、この13人の委員で行うことが必要かなと思います。具体的な方法論、ハウ・ツー物は幾つか出てきていますので、ちょっと口幅ったい言い方ですけれども、あとは選択の問題になってくるんじゃないかという気がするんです。
そういった意味では、特に言われているように、戦後の日本人というのは、公というのはお上の話であって、これはお役人の世界だというふうな意識が強いというのはよく言われますね。非常に難しいんですけれども、最近シャープな意見を持っていろいろ物を書かれている先生方もおられますので、少し司法のシステムから離れて、そういったところを勉強するということをやっていただけないかというのが私の個人的な要望でございます。
【佐藤会長】何か具体的にこういうやり方をしたらと。
【山本委員】今おっしゃられた、年内いっぱいはヒアリングをされるという中に、司法制度のハウ・ツーについてどう考えるかということだけではなくて、全般的な日本の戦後の民主主義というか、そういったものの成熟度と言いますか、そういったものを考える必要があるんじゃないかなと思うんです。立法とか行政と違って、司法の場合は、やや国民、個人個人の関わり合い方がちょっと違うと思いますので、そういった面での勉強のできる機会があればなと。
【佐藤会長】それはヒアリングのときに、どういう方をお呼びするかということにも関連してくると思いますので、そこでお気づきのことがありましたらまた御指摘いただければと思います。
【藤田委員】アンケート調査を考えていらっしゃるという先ほど会長のお話でございましたけれども、一般の国民が21世紀の司法の理想像としてどういうものを求めているかという点は、一番重要なことだろうと思うんです。そういう意味で相当大規模なアンケート調査をするのが望ましいんじゃないか。先ほどいろいろなところでやっていらっしゃると申し上げましたけれども、この審議会として、そういうアンケートをやるべきではないかと思います。そうして、このアンケート調査は、技術的にいっても相当難しい、質問の設定の仕方によってかなり回答が変わってくるということもあります。ですから、質問の設計の仕方が大変難しい。私も総理府にちょっとおりましたので、統計局の人からそういう話を聞いているんですが、これには相当準備期間が要るんだろうと思いますし、お金も掛かる話だろうと思うんです。そういう意味で、どういうような企画、設計でやるのかということを事務局の方で早めに検討していただいて、その方面のプロとも調整していただくことが必要ではなかろうかと思いますので、御考慮いただければと思います。
【佐藤会長】確かに私どもとして、どういう論点を取り上げるべきか、どういう点について国民の意識・意見を確かめたいかということが、もう少しはっきりした段階で、アンケートなどをやることは非常に意味のあることだろうと思っております。それにはもう少し時間をいただきたい、私ども自身の認識と言いますか理解が深まった段階でまた御相談したいと思います。どの時点がいいのか、今おっしゃったように時間も掛かることですから、限度のあることでしょうけれども、検討させていただきたいと思います。
【水原委員】私は会長が御提言なさった主な柱、それからその後の審議会の進め方、順潤Aこれは全面的に賛成でございます。と申しますのは、今主な柱としてこういうものが考えられますねということは、ここで決めてしまうわけではなくて、大きく分けると二つの柱になるねと。その柱の中に国民から見て司法に対して、どういうふうな問題があるのかということを年内いっぱい、我々白紙の状態でいろいろな方から聞かせていただく。聞かしていただいた上で、そこでその問題をどういうところに押し込んでいくかということを議論した上で、来年度から論点についての議論を進めると。この進め方は極めてリーズナブルで、私は非常に納得ができる御提言だと思いましたので、賛成いたします。
【佐藤会長】ありがとうございます。
【石井委員】先ほどの話にまた戻ってしまい恐縮ですが、さっきホームページの話が出ましたね。もちろん大変いいことと思うんですけれども、これからの世の中、日本というのはどうしても国際化の波に、完全にのみ込まれてしまうわけですね。そういう中で、日本語だけのホームページでやるというのは果たして十分なのかどうかということを考えてみた方がいいのではないでしょうか。
というのは、今や外国人も日本にたくさん住んでいるわけですから、そういう人たちが日本に対してどう思っているか、やはりそういうことを知るのが大切なんじゃないでしょうか。そういうことを考えに入れながら、この会もやっていかないと、日本人だけの視点から一人よがりの結論が出てしまうという可能性があると思います。
また、こういう会議というのは、えてして過去こういうことだったから、こうこうじゃないかというのが基本になっていて、そこからいろんな結論が出てくることが多いわけですね。
それはそれで勿論、大変結構で、この前の臨司のときこうだったから、こういう考え方でやっていこうというのは、それも一つの大変大切なポイントだと思います。しかし、それ以外に、これから21世紀に向かって、日本がどうなっていくだろうとか、そういうことを頭の中に入れながら、例えば、人口が減ってくると、外国人労働者がどんどん入って来る可能性がある。それから、高齢化が想像以上に進んでしまう、そういう世の中になってきたときに、どういう法律とか司法の対応が必要か、そういうことを考えながら将来を見越していくということは、かなり大切なことになるんじゃないかと思います。その辺のこともこの会議の中で取り上げていただけるといいと思います。
【佐藤会長】今おっしゃったように、いわゆるグローバル化は否応なしに押し寄せてきているわけで、日本の国の中だけで考えていると、ある意味では大きな間違いを冒す危険がありますね。おっしゃるようにホームページを英語でというのは大変魅力的です。ただ、不断にやるとなるとなかなか大変かもしれません。しょっちゅうやらなくとも、節目節目のところで、そういうことを考えるということは、あり得るかもしれないと思います。
行革のときも、インターネットの話まではなかったんですけれども、外国が日本の行革をどう見ているかについては絶えず意識していました。外国は、日本が何をやろうとしているのか、本当にやれるのかを秘かに注視しているであろう。もし、失敗すれば、「まあ、日本はね」ということになるんじゃないかという思いも非常に強うございました。そういうことで絶えず国際社会というものを意識して議論してまいりましたけれども、この司法改革もそういう面があるんだろうと思うんです。
その辺は、曽野委員の最初のお話とも関連する、非常に基本的な事柄でもありますので、絶えず念頭に置きながら議論してまいりたいと思います。
では、一応この辺りを腹づもりにして、枠組みとして考えていくということでよろしゅうございましょうか。
(「はい」と声あり)
【佐藤会長】ありがとうございます。
それでは、先ほどちょっと申しましたけれども、ヒアリングの候補者について決めさせていただきたいと思います。
御希望があったら出してくださいということを前回お願いいたしましたけれども、お手元に配布されています資料に結果が出ております。ヒアリングを今年いっぱいにやるとすると、重複することがあるかもしれませんけれども、御希望を満たすことが可能ですかね。
【事務局長】9月が1回、10月が2回、11月が2回、12月が1回か2回、最多で7回といたしまして、もし、先ほど会長のおっしゃいました民事法律扶助を入れますと、1回はつぶれるだろうと思います。
あとは、この要望の中に法曹三者というものを意識したものは特にはないようでございます。法曹三者に対するヒアリングを入れると1回はつぶれるでしょう。あと1回議論のまとめということでつぶれるとしますと、残りは4回ということになります。1回に2人をやれば8人、3人をやれば12人と。それが今年いっぱいでは限度だろうと。まあ10人前後かなと思います。
そうしますと、本当に皆さんの御議論のための審議の時間が少なくなるのではないかというふうにも思いますので、その辺の数で。
【佐藤会長】一人質疑を含めて1時間くらいずつを見ていくと。3時間取ってありますから、小1時間は議論ができるということになりますかね。
【井上委員】最初はやはり概括的というか一般的な観点からお話を伺って、その後個々の論点に審議が進んでいったら、また必要に応じて、個別の問題につき適切な方からヒアリングを行う。そういう段取りになるのでしょうね。
【佐藤会長】今年いっぱいでというのは、あくまで一般的なヒアリングについてでありまして、個別的な問題をやるときに、また別のヒアリングをやることになります。
この表を御覧いただいて、9月につきまして、早目にお願いしておかないとしんどいだろうということで、会長代理とも御相談しまして、実は慶応大学の島田晴雄教授にあらかじめお願いしてあります。9月28日ならばという御返事をいただいております。何かこの日はどこかで講演会を予定されていたらしいんですけれども、こっちの方を優先して考えましょうという御返事をいただいております。9月28日は、御承認いただければ、島田さんお一人入るということになります。
これは竹下会長代理と二人で相談したんですが、一応竹下さん御推薦ということになっております。
【竹下会長代理】これは先ほど山本委員がおっしゃられましたように、一般的な立場で、あまり法律の専門家ではない方にお話を伺うのもよろしいのではないかという趣旨でございます。
【佐藤会長】御希望として出されている中からお一人くらいずつ、この中で是非この人はという方をお願いします。御希望をまだ出していらっしゃらない方は今日はおっしゃっていただければと思いますけれども。
【曽野委員】私はどなたの先生のお話を伺うのも大変喜んでおりますので、ずっと希望はないと思います。他の方がお選びくだすったのが希望でございます。
【髙木委員】まだ検討中でございますので、もうちょっとお時間をいただきたいなと思います。できるだけ早く事務局の方に御連絡申し上げます。
【佐藤会長】では、できるだけ早目にお願いします。
これを拝見していて、佐々木毅さんが、水原委員と山本委員のお二人からですね。面白いと思います。
【水原委員】私が先生にお願いしたいと思いましたのは、ほかの方々は民事訴訟、刑事訴訟というところの代表選手みたいな形で選ばれておるんですけれども、佐々木先生は政治学の立場から21世紀における我が国の社会の在り方などについてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。それと司法との関係をどうしたらいいかということを私どもで考える材料を提供していただくという意味でリストに挙げさせていただきました。
【佐藤会長】私も佐々木さんのお話を是非お聞きしたいと思います。そうしたら佐々木さんで決まりですね。順番はあれですけれども、井上委員は。
【井上委員】民事の方は竹下先生という大家がいらっしゃいますので、もうほかの方は必要ないかと思うのですが、刑事の方は私などはまだ若造ですので、全体を見渡した大所高所からの意見を伺えるだろうということで、松尾教授と、外国との比較ということが有益だろうということで、ドイツ法の村上教授と英米法の藤倉教授のお名前を挙げておきましたが、あまり法律の専門家に偏らない方がいいということでしたら、ほかの委員が推薦される方を優先していただければと思います。
【佐藤会長】ありがたいお言葉です。では、中坊委員、いかがでしょう。
【中坊委員】私の方から出させていただいた4名の方々というのは、全部いわゆる現場で、現実にいろんな経験を持たれた方を言っているので、1の興掛さんというのは、いわゆる冤罪事件の被告人になった方であります。
2人目の方は、いわゆる裁判傍聴運動と言って、本当に裁判を市民の立場から傍聴運動をなさっている方であります。
3人目の田川さんというのは、これは弁護士任官によって本当に弁護士から裁判官になって、また定年になって弁護士に戻られた。特に彼は過疎地の裁判官を希望しまして、そういうところの現実に弁護士と裁判官と両方とも経験したという人であります。
最後の高橋さんという方は、市民の立場から、特に行政の問題についてオンブズマンということで、全国のいろんな自治体等の情報公開というものを求めてやっている人が現実に裁判でどういうことを体験し、どういうこと感じておるかということでありまして、私とすれば、できるだけそういう現場の体験をお持ちの方から体験を語ってもらうというところに視点を置いて選ばしていただいた、こういうことなんであります。
【佐藤会長】この中でお一人ということになりますが。
【中坊委員】全部希望ですがね。
【竹下会長代理】こんなことを申し上げるのは恐縮なんですが、この田川さん、この方はいずれにせよ後に法曹一元のときにお話を伺うことになると思いますが。
【中坊委員】その田川さんというのは、まさに弁護士と裁判官と両方、実際弁護士からなったと。裁判官から弁護士というのは多いけれども、弁護士から裁判官というのは数少ないからね。そういう意味では、そういうところに来たときの話かもしれませんね。田川さんというのは、確かにそういう個別の問題になったときの方で、残りの3名が大体そういうことで、1は刑事でしょうし、2人目の稲村さんというのは、まさに裁判を実際に傍聴していく運動をやっている人です。オンブズマンというのは、本当に訴訟の当事者になっている人です。それはどなたでもいい。
【佐藤会長】皆さん魅力的ですが、全員となると。
【中坊委員】それでは、私の方から一遍聞いてきます。私も名前を出して、そのうち1名なんて言われると、ちょっと私も選択のあれが難しいから。
【佐藤会長】分かりました。田川さんは、今のところは別のところでと。
【井上委員】興掛さんも、刑事弁護の問題をもし取り上げるとすれば、その段階で伺ってもいいかもしれませんね。
【中坊委員】そうかもしれませんね。
【佐藤会長】そこはそういうことでペンディングにさせていただきます。藤田委員はいかがですか。
【藤田委員】2番目の中野貞一郎先生は民事訴訟法の大家の方ですから、そういう意味ではもうちょっと先という考え方もあるかもしれません。松尾さんは、御承知のとおり、昔司法記者会のNHKのキャップをしておられて、その後司法関係の解説委員を長くやっておられたんですが、私、以前東京地裁におりまして、判決を分かりやすく簡潔にしようという運動をやっていたときに、松尾さんの方からお見えになりまして、ジャーナリストの目から見た司法改革の問題に熱弁をふるわれたことがあるんです。司法改革に非常に関心も深い方ですし、それにジャーナリストの意見を聞くというのが、ある意味では必要ではないかと考えて、その代表格で松尾さんを挙げたんです。
それから、田中さんは、21世紀政策研究所の報告を出しておられますし、国会にも出られたんでしょうか。いろいろ一家言を持っていらっしゃるという意味で挙げたんです。
大野さんは、もともとのはえ抜きの在野の方で、最高裁判事になられて定年で退官された。最近、非常に面白い本をお出しになりましたし、そういうことで挙げたんですが、法曹一元などの関係ということだったら、もう少し先の方がよいかもしれませんので、そういう意味では松尾さんと田中さんどちらかということかなと思います。
【佐藤会長】ジャーナリストから聞くというのも、魅力的なところがありますね。もしよろしければ、松尾さんにお願いするということで。
水原委員と山本委員は、いかがですか。
【水原委員】ほかの先生方の名前を挙げさせていただきましたのは、フランスにおいて司法改革が今進められております。山本先生がフランスの司法事情に通暁していらっしゃるやに伺っておりますので、司法改革の現状を始めとしたフランスの司法制度について何かお話が聞かれるのではなかろうか。これは大陸法系の関係です。
もう一人の方、長谷部先生、イギリスでも民事裁判について注目すべき改革が行われておる。こういうことについて非常に熱心に研究していらっしゃる方のように承知いたしております。そこで、それらを含めて、イギリスの司法事情や、イギリスの法曹養成制度、制度改革等について、今度は英米法の立場から伺えればなという気がいたしますが、余りにもたくさん候補を出し過ぎました。これは後で司法制度の在り方の法曹一元の問題とか、その問題のところで出したいと思います。だから、最初の段階では佐々木先生です。
【佐藤会長】そうしたら、山本委員とお二人で更にお話しください。
【山本委員】私も業界代表みたいな感じなんですが、業界関係の方も挙げておりますが、総論の総論みたいな話で一番最初に書きました佐伯先生は、なかなかシャープな理論で、一つの考え方が出ておられる方だと思いますので、ちょっとお話を聞いてみたいなという感じがしておるのでございますが、あるいは御厨先生かいずれか。
【佐藤会長】いずれも魅力的ですね。そうすると、一応ここでは水原委員は佐々木さんで、山本委員は佐伯さんか御厨さんかどちらかお一人と、それでいいですか。どちらにしましょうというのは何ですけれども。
【山本委員】会長さんにお任せします。
【佐藤会長】では、お二人のうちどちらかについては全体とのバランスでちょっと考えさせていただきます。
吉岡委員】はいかがでしょうか。
【吉岡委員】私は事務局から送られてきた用紙が5人書けるようになっていたので、それで5人はいいんだろうと思ったんですけれども、藤井さんは、これは相談員の方の代表でいらっしゃいまして、全国消費生活相談員協会というのは、行政の消費生活センター、そういうところでお仕事をしていらっしゃる方のお集りなんです。そういう意味では一番底辺のところでお仕事をしていらして、現実にいろんな問題を抱えていらっしゃるので、その理事長だからと藤井さんと申し上げたんですけれども、藤井さん自体はとても幅の広い考え方を持ってらっしゃる方なので、特に利用する国民の立場というか、そういう立場でどうかしらと思いました。
それから、二つ除いてその後の全国消費者団体連絡会、これは消費者団体の横のつながりの全国組織ですけれども、ここからどうかなと思って、まだ、どなたがいいかというところまでは煮詰まっていないので書いていません。
それから、日本消費生活アドバイザーコンサルタント協会、これは通称NACSと言っておりますけれども、これも相談業務、それ以外にも企業の中で消費生活アドバイザーの立場で働いていらっしゃる方が参加しているところなので、この辺のところは国民の立場というのであれば、幅広く聞いてみる必要があるということで挙げました。
ちょっとこの下の方の二つは、どなたという特定ができなかったものですから、お名前を挙げてございません。
それから、学者の先生2人挙げてございますけれども、東大の伊藤先生は、民訴法、破産法をやっていらっしゃって、アメリカに留学していらした関係で、アメリカの事情についてお詳しいんじゃないかと。そんなことで挙げさせていただきました。
それから、中央大学の小島先生は、ここにも書いてありますような御専門の幅が広い方でいらっしゃると同時に、法律扶助協会の理事か何かしていらっしゃいまして、今回の議論の中で法律扶助の問題も入っているのでいいかなというのと、数年前にお書きになった『裁判キーワード』という、書いたというより編者になっていますけれども、裁判の制度についていろいろなお立場の方の意見をまとめていらっしゃるという意味で伺ってみたいと思います。私は枠が5人だと思って書きましたのが、一人に絞れということで非常に困ったなと思っておりますけれども。
【佐藤会長】さっきも申し上げましたけれども、将来また、個別的な問題、論点についてのヒアリングのときに、この中からお出ましいただく方が出てくると思いますので、今回の一般的なヒアリングでは、ユーザーの立場からということでお絞りいただければ有り難く思います。
【吉岡委員】そういう意味では、やはり利用者の立場ということでは、藤井さんに絞らせていただきます。
【石井委員】心当たりがなかったので、私も希望なしで出してしまいましたが、考え方は曽野先生と全く同じで、私の存じ上げないこの方面の専門家のどなたからでもお話を伺いたいというところから来ているわけです。ところで、今一覧表をざっと拝見しますと、日本人で外国の司法制度を研究していらっしゃる方というのはいらっしゃいますが、外国人の目からというのがないんですね。そういう意味で、この方が適任かどうか私もあまり自信はないんですけれども、例えばグレゴリー・クラークさんなどは、外国人でありながら、日本に長く住んで、かなりそういうことも分かっていらっしゃるのではないでしょうか。そのほかの方がいらっしゃれば、別にこの方に固執するわけじゃないんですが、そういった方もお一人くらい入れていただいてもいいんじゃないかなという感じがいたしました。
【佐藤会長】それはおもしろいですね。私の方ですが、希望を申させていただくと、今の段階では青山さんを考えています。佐々木さんは青山さんと同じ学部の法学部長ですが、佐々木さんには先ほどのようなお話をいただくということにして、青山さんには法学教育の現状と課題といった点についてお話し願えればと思っております。
そういたしますと、青山さん、島田さん。それから井上委員はどうされますか。
【井上委員】遠慮していたのですが、もしまだ枠があれば外国との比較という点で、強いてどちらかといえば、英米との比較の方がより有益かと思われますので、藤倉教授にお出でいただければと思います。
【佐藤会長】藤倉さんを挙げさせていただいて、クラークさんも考えられるということですね。
それから、中坊委員から、あとでお一人ということですね。
藤田委員は松尾さん。
水原委員は佐々木さん。
山本委員は、佐伯さんか御厨さんのいずれかということですね。
吉岡委員は藤井さん。これで何人になりますか。8名ですか。髙木さんは検討中と、そうするとクラークさんを入れて10人になりますね。
やや選択的のものもありますけれども、一応これで今日決めさせていただいたということにして、問題は日程調整です。お願いする相手の方の御都合もあるものですから、このとおりに行くのかどうかの問題もあるんですけれども、その辺の日程の交渉は、私と会長代理にお任せいただけますでしょうか。
(「よろしくお願いします」と声あり)
【佐藤会長】ありがとうございます。そうしたら、中坊委員、それから髙木委員、できるだけ早くお出しいただければと思います。
法曹三者からのヒアリングは、できれば1日でやりたいと思っています。そういうこともありまして、それから、お願いする人によっては、2時はしんどい、もうちょっと前ならやれるということもあり得ないわけではありませんので、一応2時からということで決めさせていただいていますけれども、場合によっては、この日は1時からお願いしたいということが出てくるかもしれませんけれども、よろしゅうございしまょうか。
(「はい」と声あり)
【佐藤会長】どうもありがとうございました。
それでは、最後に次回以降の日程について御相談申し上げたいと思います。まず最初に、裁判所、検察庁、弁護士会の実情視察をしようということで、事務局から既に御連絡があったと思いますけれども、ちょっと説明していただけますか。
【事務局長】あらかじめ御案内申し上げていたところでありますけれども、我が国の裁判制度の実情を、在京の、いわゆる法曹三者の施設を見学いただくということで、まずは概括的な把握をしていただくことを考えて企画をしたものでありますが、何分1日でお回りいただこうとするために申し訳ないんですけれども、随分タイトな日程になってしまいました。今、お配りしました日程案によりまして、9時50分に霞ヶ関の方に集合していただきまして、午前中、民事、刑事の法廷を傍聴していただきます。
そして、お昼にはその裁判に関わっていた弁護士、検察官、裁判官、そういう人たちに出席していただきまして、懇談会を持っていただこうというふうに思っております。
午後、裁判所を少し回っていただいて、裁判官と座談会をしていただいた後に、東京地検で同じく施設等見学と座談会をもっていただき、その後弁護士会館に回っていただいて、見学をしていただく、適当な弁護士事務所も見学していただくというような予定になっております。
なお、これに付け加えます当日のスケジュールでございますけれども、これまた今日と同じように昼食会の冒頭で報道機関のカメラ撮りの希望がありましたら、写真を撮らせるということにしたいと思います。
また、終了後、今度は記者会見をしてもらいたいんでありますけれども、第1回の方は会長代理の方に、第2回は会長の方に御出席を願うことは了承していただいておりますけれども、できれば参加された委員の方々もできるだけその記者会見にも御出席願えればと思っております。記者会見の場は当事務局で行いますので、また、ここに戻ってきてもらわなければなりませんが、よろしくお願いいたします。
前に御案内いたしました第1回と第2回の振り分けは、以前にいただきました皆様方の予定表を見てこちらで勝手に振り分けさせていただいたものでございます。その後、また、確認をさせていただきました結果、本日のペーパーのような振り分けになったわけでありますけれども、まだ御確認いただいていない委員の方に、どちらに御出席が可能かということも、今確認を取らしていただければと思います。
まず、水原委員は。
【水原委員】これで結構でございます。
【事務局長】山本委員は。
【山本委員】結構でございます。
【事務局長】吉岡委員は。
【吉岡委員】結構です。
【事務局長】石井委員は、よろしゅうございますか。
【石井委員】多分大丈夫だと思うんですけれども、出張などがありまして、もしそれが危なくなったら、前の方に入れていただくとか何とかします。
【事務局長】分かりました。中坊委員は。
【中坊委員】結構です。
【事務局長】では、そういうような予定でさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【佐藤会長】では、よろしゅうございましょうか。
次に、来年に入ってからの日程の調整でございます。まず1月から3月まで、御希望をお聞きしましたところ、これも調整がなかなか難しいんでございますけれども、できるだけたくさんの委員の御出席が可能なということで事務局から考えていただきました。
【事務局長】1月の方で見ますと、18日が2名が御都合が悪いと。少ない方でいきますと、18日、28日が2名の方が御都合が悪い。
25日、26日が3名の方が御都合が悪い。
31日が4名の方が御都合が悪いということになります。
2月になりますと、8日、22日、29日が2名の方が御都合が悪い。
15日が3名の方が御都合が悪い。
2日と16日が4名の方が御都合が悪いと。
3月になりますと、この日はたまたま2日だけが、午前中であれば全員OKということになっております。
14日が1名が御都合が悪い。
1日、それから7日、21日、22日、28日がお二方が御都合が悪い。
8日、15日、29日が3名の方が御都合が悪いとなっております。
【佐藤会長】難しく考えると非常に難しくなってくるんですけれども、3月まではやむを得ないということで、できるだけたくさんの委員の皆さんが御出席いただける日に決めさせていただくということでよろしゅうございましょうか。ちょっと強引な決め方ですけれども。
そうすると、1月は18日、28日ですね。
2月は8日、それから22日、29日なんですけれども、3月の2日、これは貴重な全員出席ですので、これで決めようとすると、29日にやるとひっつき過ぎますので、22日。
3月は2日、そして14日ということにさせていただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。
これは一応まだ今年と同じように月2回というペースですけれども、審議の如何によっては更に追加をお願いすることがあり得るかもしれませんので、お含み置きいただければと思います。
それから、4月以降なんでございますけれども、新しい年度で、場合によっては、3回ないし4回、毎週やるということもあり得ないわけではありませんので、曜日を決めたいと思っております。大学関係者ということで勝手なことを申させていただきますと、10月、11月に大体次年度の講義の担当と時間割を決めますので、早目に曜日をお決めいただきますと、そこを空けて合わせることが可能になります。できれば次回に曜日を決められればと思っておりますので、あらかじめ事務局の方に希望の曜日を出しておいていただきますと、調整がしやすいかと思いますので、できればそうしていただければ有り難く思います。次回は28日ですね。
【事務局長】今1月から3月までお決めいただいた時間は。
【佐藤会長】やっぱり2時です。
【事務局長】3月2日は午前中は何時からにいたしましょうか。
【佐藤会長】これだけは午前なんですね。では、10時。
【事務局長】10時でございますか。
【竹下会長代理9時半くらいでもよいのではないでしょうか。
【佐藤会長】そうですね。では9時半ということにします。
以上で本日の議事は予定しておるのを終わるということですけれども、事務局の方、何かありますか。
【事務局長】いや、現在のところは。
【佐藤会長】28日は、さっきも申しましたように、島田さんが確定しておりますが、その他の人については、更に検討させていただきたいと思います。
それから、最初に申しましたように、記者会見には私と会長代理が出ますが、皆様の中で今日出ようという方がいらっしゃいましたら、いかがでしょうか。
では、今日は私と会長代理とさせていただきます。
以上で本日は終わります。ありがとうございました。