司法制度改革審議会

司法制度改革審議会第10回議事概要

1.日 時:平成12年1月18日(火)14:00~17:00
 
2.場 所:内閣総理大臣官邸大客間
 
3.出席者
(委員・50音順、敬称略)
石井宏治、井上正仁、北村敬子、佐藤幸治、曽野綾子、髙木剛、竹下守夫、鳥居泰彦、中坊公平、藤田耕三、水原敏博、山本勝、吉岡初子
(政府)
臼井日出男法務大臣古川貞二郎内閣官房副長官、竹島一彦内閣内政審議室長
(事務局)
樋渡利秋事務局長
 
4.議 題
①法務大臣あいさつ
②今後の審議の進め方に関する意見交換
③地方公聴会、海外実情視察、アンケート調査に関する意見交換

5.会議経過

① 臼井法務大臣から別紙のとおりあいさつが行われた。

② 今後の審議の進め方に関して、種々意見交換の結果、当面、以下の方針で臨むこととされた。

○審議の方式
 小委員会方式ではなく、委員全体の審議会において議論を進めていくこととする。また、各論点を一つ一つ切り離して議論するのではなくある程度大括りにまとめたブロック毎に議論することとし、それぞれのテーマ毎に委員の中からレポーター役を決め、その報告(現状や問題点の整理等)を基に、議論を行う。
 
○審議の順序
 論点整理によると各論点は制度的基盤と人的基盤に分けられているが、まず、人的基盤の問題(質量ともに豊かな法曹をどのようにしてつくっていくかという観点から、司法の拡充の必要性や法曹養成等の問題を取り上げていく。)から先に議論を行い、それにある程度の見通しないし方向性を付けてから制度的基盤の問題に入っていくこととする。
 
○海外実情視察までの大まかなスケジュール
 次回会議(1月28日)には、竹下会長代理が、レポーターとなり、国民がより利用しやすい司法の実現、国民の期待に応える民事司法の在り方に関し、司法の拡充の必要性との関連で、現行の制度の現状や問題点等につき説明を行い、それを基に議論を行う。その後、2月から4月上旬にかけて、法曹の大部分を占める弁護士の在り方、ロースクール構想を含む法曹養成の問題等について、それぞれ中坊委員、井上委員がレポーターとなり、同様の方式で議論を行う。その上で、4月上旬には、人的基盤の問題について、当審議会としての方向性なり基本的考え方をとりまとめる(ただし、その時点で審議会としての結論を出すというものではない。)。
○中間報告の時期
 今後の審議の状況等にもよるが、本年10月ころを目標に、当審議会の中間報告をとりまとめることとする。
 なお、意見交換の中で、委員の中から、「既成の制度や概念にとらわれることなく理想像を描いて現実をそれに近づけていくことが重要。」、「現行の司法制度が利用しづらいとの指摘がなされるのはどこに問題があるのか、それをどう直せばよいのかといった現状の把握・分析は極めて重要であり、それでこそ地に着いた改革が可能となる。」、「人的インフラの問題を最初に取り上げるより、制度の全体像・問題点を把握した上で人的インフラの問題を議論する方がよい。」、「今回の改革は突き詰めれば司法の人的基盤の強化に行き着く。質量ともに豊かな人材を確保するという人的インフラの問題は今回の改革のベース中のベースであり、それを先に議論することが不可欠。」などといった趣旨の指摘があった。

③ 今後の地方公聴会の実施に関し、意見交換の結果、本年6月から7月にかけて、札幌、福岡、東京においてそれぞれ開催すること、公聴会以外に別途地方の実情を視察する機会をもうけることなどが合意された。
 海外実情視察に関しては、英・米・独・仏・韓国の裁判官任用制度、陪審・参審制度、法曹養成制度、司法改革の動向などを調査事項とすることとし、訪問都市や訪問先等についてはさらに調査等を行い決定することとされた。
 アンケート調査に関しては、対象者をどのような範囲で抽出するか、中間報告後にも行うかどうかなど種々の問題点が指摘され、次回会議に改めて議論することとされた。

以上
(文責司法制度改革審議会事務局)
-速報のため、事後修正の可能性あり-


(別紙)

法務大臣あいさつ

平成十二年一月十八日(火)
司法制度改革審議会第十回会議

 司法制度改革審議会の第十回会議の開催に当たり、総理から担当大臣として指名された者といたしまして、ひとことごあいさつを申し上げます。

 西暦二千年を迎え、来るべき新世紀に向かって、我が国が発展していくための社会・経済を支える基盤として、司法機能を充実強化し、国民が身近に利用することができ、社会の法的ニーズに的確に応えることのできる司法制度を構築することの重要性は、改めて申し上げるまでもないことと考えます。今般の司法制度改革に対して、昨今、国民各界・各層から様々な提言・要望が寄せられておりますが、このことは、多くの国民が高い関心と強い期待を持って、本審議会の審議の行方を見守っていることの現れであると思われます。

 そうした中で、委員の皆様におかれましては、本審議会の発足以来約五ヶ月間にわたって大変真摯かつ熱心に御議論、御検討を重ねられ、昨年末、今後本審議会において取り上げられ、審議されるべき論点を整理されたところですが、いずれの論点も正鵠を射た、極めて重要な事柄ばかりであると考えます。今後、この論点項目に沿いまして、国民各層の意見、要望などにも耳を傾けながら、利用者の視点に立って、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、司法制度の改革と基盤の整備に関する基本的な施策について、精力的に充実した調査審議を行っていただき、実り多い御意見を賜ることができますよう、政府といたしましても、なし得る限りの協力、支援に努めてまいる所存でございます。

 これから来年夏までの間、委員の皆様には、限られた期間のうちに極めて多岐にわたる御議論、御検討を進められることとなり、その御労苦には並々ならぬものがあろうかと存じますが、新世紀の我が国の司法制度が、国民の期待に応え、世界に誇ることのできるものとなりますよう、引き続き御尽力をお願い申し上げまして、私のあいさつといたします。