【佐藤会長】明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。ただ今より司法制度改革審議会第10回の会合を開催したいと思います。
本日は、年明け最初の会でもございまして、また、昨年末に決定していただきました「論点整理」に沿って、個別論点の本格的な審議に入っていくという、いわば第1回目の節目にも当たりますので、総理官邸で開催することにさせていただきました。
また、本日は、担当大臣として臼井日出男法務大臣に、通常国会直前の大変お忙しい中でございましたけれども、御出席いただくことになりました。どうもありがとうございます。
本日の議事としましては、「論点整理」に沿った今後の審議の進め方について御意見を交換していただきたいと思います。
そのほか、地方公聴会、海外実情調査の実施、更にはアンケート調査に関しましても、御意見を承りたいと存じております。
それでは、まず臼井法務大臣から御挨拶をいただきたいと存じます。
【臼井法務大臣】司法制度改革審議会の第10回会議の開催に当たり、総理から担当大臣として指名された者といたしまして、ひとことごあいさつを申し上げます。
西暦2000年を迎え、来るべき新世紀に向かって、我が国が発展していくための社会・経済を支える基盤として、司法機能を充実強化し、国民が身近に利用することができ、社会の法的ニーズに的確に応えることのできる司法制度を構築することの重要性は、改めて申し上げるまでもないことと考えます。今般の司法制度改革に対して、昨今、国民各界・各層から様々な提言・要望が寄せられておりますが、このことは、多くの国民が高い関心と強い期待を持って、本審議会の審議の行方を見守っていることの現れであると思われます。
そうした中で、委員の皆様方におかれましては、本審議会の発足以来、約5か月間にわたって大変真摯かつ熱心に御議論、御検討を重ねられ、昨年末、今後本審議会において取り上げられ、審議されるべき論点整理をされたところでございますが、いずれの論点も正鵠を得た、極めて重要な事柄ばかりであると考えます。今後、この論点項目に沿いまして、国民各層の意見、要望などにも耳を傾けながら、利用者の視点に立って21世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、司法制度の改革と基盤の整備に関する基本的な施策について、精力的に充実した調査審議を行っていただき、実り多い御意見を賜ることができますよう、政府といたしましても、なし得る限りの協力、支援に努めてまいる所存であります。
これから来年夏までの間、委員の皆様には限られた期間のうちに極めて多岐にわたる御議論、御検討を進められることとなり、その御労苦には並々ならぬものがあろうかと存じますが、新世紀の我が国の司法制度が国民の期待に応え、世界に誇ることのできるものとなりますよう、引き続き御尽力をお願いを申し上げまして、私のあいさつといたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤会長】大臣、どうもありがとうございました。ここで大臣は公務のため御退室されます。
(臼井法務大臣退室)
【佐藤会長】それでは、今後の審議の進め方につきまして、意見交換を行いたいと思います。
冒頭に申しましたように、これから論点整理に沿って個別論点の本格的な審議に入ってまいります。審議の方式、あるいは審議の順序をどうするかなどにつきまして、忌憚のない御意見をいただきたいと思います。
もちろん、必要に応じて随時見直していくのは当然といたしまして、本日決定してしまう必要は必ずしもありませんけれども、少なくとも全体的な見通しの下に、ゴールデン・ウィークの海外実情調査の前までには、どのような審議を行うのかということについて大体のところをお決めいただければと思っている次第です。
前回の12月21日に論点整理を行いましたときに、正月にかけて、今申しました審議の順序などについてお考えいただきたいということを申しましたけれども、どなたからでもよろしゅうございますので、今の問題について御意見をちょうだいしたいと思います。いかがでございましょうか。
【井上委員】我々の審議の終期が決まっているということと、中間報告を年内に行うというステップを取ることを確約していますので、それから逆算しますと、おおまかに四つの段階くらいになるのではないかと思います。
第一の段階は、これから夏前まで。次の段階が、前に夏に合宿あるいは集中的な議論をする機会を持つ予定と言われていましたので、それが来る。第三段階は、中間報告の取りまとめに向けて審議をする時期。そして、その中間報告を公表し、国民の皆さんからの反応等を踏まえて更に議論をし、最終報告につなげていくというのが最終段階になるのと思うのです。このうち中間報告と最終報告の時期については、今から確定するのは難しいでしょうが、その間の期間が短すぎてはいけないけれど、逆に余り長すぎますと熱が冷めてしまうおそれがありますので、数か月ないし半年というふうに見て逆算していきますと、今年の冬ころまでには中間報告をし、来年の春から審議会の設置期限である7月までの間に最終報告というくらいをめどとしなければならないでしょう。そのくらいのステップでやらないと、物事が進んでいかないと思います。
特に9月以降は中間報告をまとめるということになりますと、ただ議論をしていたのでは恐らくまとまっていかない。そのためには、何らかたたき台のようなものをつくって、それについて議論をするということでないとだめなのではないか。それをするためには、夏の終わりくらいまでに、各論点についてかなり突っ込んだ議論をしておかないと、たたき台をつくるということは難しいでしょう。
それでは、審議をどうやって組み立てていくかということですが、これも論点整理では極めて多岐にわたる論点が拾い上げられていますが、他方、会議の回数は月3回ないし4回で、おそらくこれ以上入れるのは物理的に無理だろう。そうしますと、一つひとつの論点を別々に審議するというのはかなり難しいので、幾つかのまとまりごとに審議をしていく方がいいのではないか。
機械的な計算でいきますと、夏までに次回を入れて17回の会議が予定されていますが、一つのまとまりにつき、やはり最低2回か3回は議論しないと、たたき台の基にするには十分でないでしょう。
そうしますと、単純に計算しますと、五つか六つのプロックに分けざるを得ないということで、例えば、思いつくままに順不同で申しますと法曹養成、弁護士制度、民事司法、刑事司法、司法参加、法曹一元、大体このくらいに整理できるのではないかと思います。このうち、弁護士制度と民事司法制度については、あるいは、一体的に議論したほうがよいかもしれません。そうしますと、五つのブロックということになります。
最後に、具体的な審議の方法をどうしていくかということですが、白紙の状態で自由に議論しましょうといいましても、おそらく散漫な議論になってしまうので、各ブロックごとに制度の現状とか、これまで適示されてきた問題点について、だれかが整理して報告をしていただく。それを手掛かりに議論をするというのはどうかと考えてみました。
それを誰がやるのかということですが、事務局にお願いしてしまうというのも一つの考え方ですが、これまでの議論でいろいろ出ましたように、やはり我々自身がそういうことについても責任を持つべきだという考え方をとるとすれば、我々の間でレポーターのような人を決め、むろん事務局の方々に手伝っていただかなければ、一人でこんなことはできっこないですから、手伝っていただいて準備をして、しかし最終的にはそのレポータ役の委員の責任で報告をするというのが一つのやり方ではないかと思います。
これに加え、専門家等からヒアリングを行ったりするということも当然必要になるでしょうが、これも時間に限りがありますので、こういった事項について専門家の意見を聴きたいということがあれば早めに依頼するとか、あるいは新たに調べて報告してもらいたいということがあれば調査委託をするということを考える。それらをも基にして議論を進めていく、というのが効率的ではないかと考えます。
【佐藤会長】どうもありがとうございました。
ただ今の井上委員の御意見に関連してもよろしゅうございますし、また、委員御自身のお考えなど、併せてお述べいただければ結構かと思いますが、いかがでしょうか。
【石井委員】今、井上先生が、いつものように、いかにも法学者らしい、緻密で論理的な御意見を述べられましたが、私の方はいささか雑ぱくなプレゼンテーションとなってしまうことを御容赦いただきたいと思います。
それでは今までこの会に出させていただいてきた感想なども含めて申し上げさせていただきます。
今度の審議は、最初にも申し上げましたように、ユーザーの視点に立って行うべきであり、法曹三者の利害得失を考慮する余り、方向を見誤ってしまうことがないようにしなくてはいけないと考えています。
最近、各方面で司法制度の改革についての意見発表とか、研究会をつくったという新聞記事をよく目にするようになりましたが、こういうこと自体は、それだけ国民一般の関心を呼び起こしたことを意味しており、大いに歓迎すべきことではないかと考えています。
そういう意味で、変な言い方かもしれませんが、当審議会の最も初期段階における目的の一つは果たしてきたのではないかと感じております。
一方、各方面からの意見に耳を傾けることは大切なのですけれども、そういうことは時には圧力に変化することも考えられますので、そういう場合であっても、安易に利害の調整に走ることなく、ユーザーの視点を第一義として審議に臨むべきと考えております。
現状認識と既成概念の打破につきましては、今までのヒアリングや資料の提供で現状における司法制度の問題点、あるいは制度疲労の状況をある程度認識することができてきたわけであります。実証的な裏付けを持って改革を進めるためには、現状認識は重要ではありますが、現状認識というものを進めれば進めるほど既成の概念とか制度の垣根というのが余りにも高いというのが分かってきて、それを乗り越えていくためには、相当の英知とエネルギーが必要であるということも感ぜられるようになってきました。しかし、そういう状況に左右されることもなく、改革を審議すべきだと考えております。
改革というのはある種のスクラップ・アンド・ビルドで、スクラップの際には相応の痛みを伴うのは必然のことであって、その痛みを恐れて軟着陸ばかりを目指すような改革であってはならないのではないかと感じております。
以前にもワークデザインの話で申し上げましたように、既成の概念とか制度をはるかに超えて、理想とする司法制度を思い描いて、そこから現実に近づけていくというふうにすべきであって、実現のために障壁となっている事実を一つずつ検討することは後の作業にしていった方がいいのではないかと思います。
肝心なのは改革に対して前向きに臨むことであって、そのためには既成の制度とか概念の中で処理を図ろうとする姿勢は排除しなくてはいけないと思っています。本来、法曹でない者が本審議会のメンバーに加えさせていただいているという意味の一つはそこにあると考えております。つまり、既成の概念や制度から開放された自由な、全く新しい創造的な発想が課せられているのではないかと考えているわけであります。
先ほど井上先生がおっしゃいました優先順位ですけれども、論点整理では1番目が制度的基盤、2番目に人的基盤の2項目に大別してあります。更にそれを中小項目として24項目掲げておられます。これはどれをとっても非常に重要なテーマになるわけです。
最初から言われているように、各項目は単独で解決されるものではなくて、相互に複雑な関連を持っております。したがって、個々の項目をそれぞれ切り離してというか、切り抜いて審議すると、他の項目との整合性をとることが後々困難になるということも想定されますので、大きく四つに分けて、おおまかなところでの検討を行って、ある方向性をつけてしまうことが一つの方法ではないかと考えております。
最後に調整を行うことで四つの方向が一致することを確認して、その後に必要な部分について更に一つずつ具体的に掘り下げていくと、審議が本題からそれることもなくなり、時間の無駄も省けると思うわけであります。
今申し上げた四点と優先順位につきまして申し上げますと、二つの案が考えられると思います。それでは、最初に人的基盤を優先する案をちょっとお話ししてみます。
順序につきましては、佐藤先生は論点整理の中で人的基盤を後に持ってこられておりますので、あえてここでは人的基盤を先にやる案で考えてみます。順序については、佐藤先生のお考えというのも一つで、全くそのとおりだと思いますので、人的基盤を優先するという方をとるか、また、制度的基盤をとるかは皆で議論して決めたらいいのではないかと考えております。
もう一度くどく申し上げますと、会長さんの論点整理の項目の中で、2というところに書いてある「人的基盤」を優先する考えでありまして、どのように法曹をつくり出していくかということを先行して考えた上で、制度面の改革を検討するというやり方であります。すなわち、
一に人的基盤。
二に制度的基盤、これは国民の司法参加です。
三も制度的基盤で、国民がより利用しやすい司法の実現。
四番目に、これも制度的基盤なんですけれども、国民の期待に応える司法。民事と刑事の在り方という四つになると思います。
第一が人的基盤であります。日本というのは先進国と比較しまして法曹人口が少な過ぎるという共通認識は、法曹三者においても既にあるわけであります。法曹人口の適正値を確定するというのは困難でありますが、年間の法曹輩出数を増す方策は考えられます。ただし、法曹の質のレベルをある一定以上に確保しながら、どういう素材の若者がどのような養成過程を経て、新しい法曹となるべきかの青写真を描くことが必要であります。この延長線上に法曹一元制度の成否も加えられると考えております。
第二番目の、制度的基盤における「国民の司法参加」ですが、国民が司法と直接的に関わり合いを持つことになる項目でありまして、国民への影響というのは非常に大きいと思われます。戦前、陪審制度というのが存在したとは言っても、ほとんどの国民というのが未体験の制度であるということを念頭に置いて方向性を示すべきではないかと考えております。
第三番目の、制度的基盤における「国民がより利用しやすい司法の実現」ですが、国民と司法との接点を改革のポイントにして検討を加えるということで、弁護士制度の改革が大きなテーマになると思われるわけであります。隣接職種との関連が加えられなくてはなりませんし、更にADR等の活性化で司法の間口の拡大を図るべきであると、そういうふうに考えております。
第四番目の、制度的基盤における「国民の期待に応える司法の在り方」ですが、比較的、現実的な事項の改革と考えられるわけです。司法に現代のいろいろなことに対して対応能力を持たせるための検討を行う必要があり、裁判所の改革が大きなテーマとなると思います。改革の成果が比較的早い段階で目に見えることから、ここいら辺に大きく期待する必要があるのではないかと考えております。
以上、簡単に申し上げましたけれども、その他として、海外からも非常に注目されておりますので、司法の国際化への対応ということが大変に重要なことではないかと考えております。これについても、今考えている以上に十分な時間をかけて、よく諸外国の事情も考慮しながら審議すべきだと感じております。
以上でございます。
【佐藤会長】具体的にいろいろありがとうございました。
それでは、先に進んでよろしゅうございますか。では、山本委員。
【山本委員】あるいは石井委員のお考えと似通っているかもしれませんが、今度の我々に与えられた課題というのは、国民の利用しやすい制度づくりということが一つ。今、石井委員の言われたような、やや現実的と言いますか、臨床的と言いますか、そういう現在の司法制度の実態を把握して改善すべき点をいろいろな角度から考える。
もう一つ、これは私の解釈かもしれませんが、やや理念的と言いますか、国民の司法参加とか、もっと将来を見据えて、幅広い見地から検討したい事項、あるいは法曹一元もそういうことに入るかもしれませんが、そういったことと二つあるような気がするんです。
今度の論点整理は、各項目ごとに順序よくやっていく方法もあるんですが、それぞれの項目の中に先ほど最初に申し上げた機能の強化といった現実的な問題と、理念的な問題と、共に相互に絡み合って入っているんじゃないかという感じがするわけでございます。
そういった意味で、できれば私どもの審議の順序というのは、素人の方もたくさんいらっしゃるわけでございますので、どの委員の方もみんな検討項目として挙げられております事柄、例えば、司法のアクセスの拡充の問題ですとか、迅速性の問題ですとか、あるいは国際性の問題、専門性の問題、実効性の確保とか、そういった現在の司法の機能の拡充という問題を先に議論することによって、司法制度の全体像というのが、それぞれの委員の中にイメージが出てくるのではないかという感じがするんです。
そういった経過が一つあって、しかる後に理念的な問題に対するそれぞれの委員の考え方がまとまってくるのではないかと。私などはまだ具体的に先ほど申し上げた法曹一元だとか司法参加とかいう問題について、こうすべきだという確固たる意見を持っていないものですから、そういった勉強なり議論を通じてイメージをつくっていくのかなというのが率直な今の頭の中の話でございます。
ですから、できれば機能の拡充の問題を幾つかのグループに分けて取り上げていただく。また、去年半年間いろいろ勉強はさせていただきましたけれども、やはり、それぞれのテーマについては、それなりの総論的な説明をしかるべき方々からいただいて、自分なりに基本的な問題点をその中から抽出して皆さんと議論していく。非常に期限が短くて大変かもしれませんが、そういったことをやらしていただければいいのかなと考えているところでございます。
【佐藤会長】りがとうございました。では、中坊委員どうぞ。
【中坊委員】ただ今井上さんと石井さんと山本さんからお話があって、私も似たようなことではありますが、五点ほどお話を申し上げたいと思います。
まず第一点として、我々は既に論点整理を終えまして、論点整理に沿って個別的論点について本格的討議に入ると決まっていたはずです。そのための必要な審議の方式、順序というものを今日話し合って決めるということではないかと思うのであります。
まず第一に、我々としては、それでは「論点整理に沿って」ということは、具体的に何を意味するのかということを、この委員の中で合意した上で、その方向に向かって審議というものは進められるべきではないかと思います。
それでは、「論点整理に沿って」とはいかなるものを指すかということになってまいりますと、これはまさに「21世紀の我が国の社会において司法が果たすべき役割を明らかにする」という、条文上で言えばそうなりましょうし、前回の論点整理の中におきましては、一つは、21世紀の我が国社会というものは、論点整理の中では国民が統治客体意識から統治主体意識になって、そして法が「血肉化」した社会である。21世紀の我が国社会は、そういう意味における法の支配というものが我が国のあるべき姿であろうと思います。
二つ目には、そこにおいて司法が果たすべき役割というのは、言葉としては法曹が「社会生活上の医師」になる。そのような非常に日常的、普遍的な存在になるということが前提になって、我々の司法が構築されるという視点が、我々としては一応論点整理の中で確認されたことではなかろうかと思うわけであります。
その言葉がそっくりそのまま、今の山本委員の言葉であれば、それが拡充という言葉で出ていましたけれども、法が「血肉化」したとか、あるいは「生活上の医師」という言葉が、今まさにおっしゃいましたように、司法の拡大と充実という視点からというふうに解釈できると思うのであります。そこまではもう我々が論点整理の中において、一応我々が到達した結論ではなかろうかと思うのであります。
そういう視点に立って、この論点を個別的にどのように審議を進めていくのかということを考えるべきではないか。これが第一点であります。
第二点といたしましては、いわゆる審議の方式というものといたしまして、私たちは、何となく、我々、論点整理を書きますときも、人的インフラと制度インフラという二つに分けて、論点整理を大体の委員の方々がお書きになり、私もそのようなことで書いてきました。それによりますと、何となく今までの議論の中では、二つに分かれて、小委員会ができてやるのかというような話合いもなくはなかったと思うんです。
しかし、今になって考えてまいりますと、先ほど石井委員もおっしゃっていたところでありますけれども、この人的インフラと制度インフラというのは、まさに有機的に関連しておって、二つを切り離して個別的に調査審議すべきものではないということも、また論点整理の中で我々が明確に文章をもって明らかにしてきたことなのであって、そういう意味で言えば二つに分けて、我々の審議が方式として、二つの小委員会に分けて、ばらばらにやって、それを一つに合わせるという方向は、有機的な審議の方法としてはなじまないと思うのです。
そういう意味では、審議の方式として、従来どおりこの審議会として全体会議の中ですべての項目を論じていくということの方が有機的に総合的に審議するのでは秀でているという感じがしますので、提案といたしましては、二つに分けないで、この審議会が一つとして審議をしていくという方式をとっていただいたらいかがなものかというのが二つ目であります。
三つ目といたしましては、それでは、審議の順序をどうするかの問題であります。先ほどからすべての委員がおっしゃっていますし、また、我々もこの論点整理の中におきまして、正に制度を生かすもの、それは疑いもなく人であるという文章が書かれております。どんな理想的な制度をつくっても、担い手である人が問題であるということが書かれ、例えば、民事司法につきましても、訴訟とか執行手続を見直すことが必要だけれども、その前提として弁護士の業務の在り方、あるいは裁判官の在り方、それがすべて決まらないことには、制度に関するインフラの問題もできないということが、また論点整理の中で我々が明らかにしてきたところだろうと思うのであります。
そういう意味から言いますと、審議の順序というものは、まず人的インフラから我々の本格的な個別審議が入るというのが必要ではないか。最も基盤となる根本的な優先するものをまずもって決めてかからないことには、ほかの制度問題を論じ始めましても、基盤がはっきりしなくてはどうしようもないから、そういう意味においては人的基盤の話をしないといけない。
それでは、その人的基盤というものは、どのような形をなしているんであろうかということに関しましても、これは特段、文章の中でも必ずしも明らかにはなっておりませんが、少なくとも私自身もピラミッド型の図を出させていただきました。これまたおおむね皆さんの論議の中においても、この図にも書きましたように、一番基礎に法曹人口と法曹教育の問題がある。そのピラミッドの上に弁護士の改革がある。弁護士の改革があって、いわゆる検察の改革があり、最終的に裁判所の改革がある。私自身はそれとして、法曹一元とか陪・参審をそこにうたっておりましたけれども、いずれにしても、そういう順序で基礎から山を登るみたいにして構築していくべきものであろうという点に関しましても、おおむね我々としては話し合っていると思いますので、まず人的基盤、まして、その一番基礎をなします法曹人口、法曹教育。
法曹教育に関しましては、既に言葉としてロー・スクールという言葉も出ておるわけであります。ロー・スクール問題をどうしてやり、法曹としての質と量をどう確保していくのかと。
また、そこに当然横たわってまいります司法試験の在り方、研修所の在り方、そして、何にも増して弁護士として生まれるわけですから、この弁護士というものをどう掲げていくのかということが我々として確定をしませんと、いろんな、利用しやすいとか、制度の問題を論じていっても、そこがはっきり決まらないことには、どうしようもないんじゃないかと思うわけであります。
第三番目としては、今、言いましたように、まず審議の順序としては、人的インフラ、そして人的インフラの法曹人口、法曹教育、そして弁護士改革という基本をまずもって個別的に論議をしていくことが必要ではないか。
四番目でありますけれども、これは多少個別論にはなりますが、私の個人的な考え方でありますけれども、もう一度申させていただくわけでありますけれども、制度インフラに関しまして、今は平面的に民事司法の在り方、あるいは刑事司法の在り方というものを考えて議論をしていくというよりも、まさに石井委員のおっしゃいましたように、理念先行方という視点から言うならば、このときも図で示しましたように、二つの大きな流れがある。
一つは、いわゆる国民に利用しやすいということから言うならば、弁護士を含めまして、裁判制度の中の接近障害、すなわち司法というものが市民との間で非常に距離が離れている。私はその間に堀があるということを言っているわけですが、その堀をどう埋めていくのか。接近障害という視点から、司法制度全般にわたってどう直していくかという視点から物事を考えていく点が必要ではないか。
二つ目には、もう一つの方向線というものは、私も図の中にも書きましたように、権利実現。これは単に司法制度というよりも、例えば当事者適格の問題であるとか、懲罰賠償であるとか、訴訟費用の負担の問題であるとか、そのような権利実現、わけても行政訴訟などを対象に置きますと、その点が非常に重要でありまして、そういう意味における権利実現のための方策というものがとられないと、法的需要というのもほとんど拡大してこないわけであります。そこにおいて法曹人口とかを言ってみたって話にならない。そこに具体的な隘路が幾つか、我が国の法制度の中にあるわけでありますから、制度インフラを論じるときには、民事司法、刑事司法というありのままを、ただ平板的に並べるんじゃなしに、そのような立体的な物の考え方に立って制度インフラというものは考えるべきではなかろうかと思うわけであります。
最後の第五点目につきましては、当初、井上委員がおっしゃいましたとおり、正に我々は極めて有限の範囲内においてこの仕事をしなければならない。この○印以上の項目だけを分けましても21項目、・印もまぜたら24項目というものを、私は理想的に言えば10月末日までに我々の中間答申を終えるといたしまして、どう数えましても26回しかない。その中にこれだけの問題をやらないといけない。正に問題はスピードでありまして、この審議会がいろんなことを審議するのはともかく、どのようにしてスピードをもってやるかということが問題になってくる。
また、これは、終始一貫、井上さんがおっしゃったことでありますけれども、確かにすべての項目を平均的にやるというのはなかなか難しい。どうかしてこの中においてメリハリを利かして、そういう意味においては井上さんの意見にもあるとおり、かなりメリハリを利かして審議の仕方をしないと、すべてを平等にやっていくということには問題がある。そういう意味におけるメリハリを利かして、スピードを持った審議の仕方が必要ではなかろうか。
そういうことになってまいりますと、これは、私は井上委員の意見と全く同じでありますけれども、今、我々審議委員としては、やはり一つのテーマについて核となっていただける審議委員が、レポーターとなって報告をしていただく。そういうものを待って、その方でメリハリもつけて、我々の前に出していただけるという格好の中でやっていかなければ、これをただ平板に、漠然といろんなもの、全項目をやっていくのではいけない。事務局との提携も図りつつ、審議委員がそういう意味におけるレポーターとなって、審議を進めていくということでないと、ただ、みんながわあわあ言っておったのでは、この短い回数の中で、これだけ多い項目を片づけるのは無理ではないか。
私は、以上のような五点のことを思いますので、皆様も御参考にしていただきたいと思います。
【佐藤会長】どうもありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。それでは、鳥居委員どうぞ。
【鳥居委員】私も、基本的には、今、中坊先生、井上先生、石井先生がおっしゃったことと同じですが、まず第一に、今、中坊先生がおっしゃいました論点に沿って、その意味を確認するということだと思います。この審議会が始まった当初の書類を引っくり返してみますと、この論点整理とほぼ似たようなことが書いてありまして、審議の主な柱になると思われる点というのは、制度的インフラと人的インフラ。制度的インフラの中に、国民により利用しやすい司法制度、国民の司法参加、人権等々と、こういうふうになっておりまして、それはこのたびの論点整理の項目と一致していると思います。
したがって、私はこの論点整理の基本項目である、一つは司法の制度的基盤。その中身として、国民が利用しやすい司法の実現、国民の期待に応える民事司法の在り方と刑事司法の在り方、国民の司法参加という柱は、基本的には我々が確認したことだと思います。
また、司法の人的基盤につきましても、法曹人口と法曹養成制度、法曹一元、裁判所・検察庁の人的体制の充実を取り上げるのでよろしいと思います。。
ただ、問題は、この論点整理で列挙された事柄で、本当に漏れはないのか、項目間に横たわっている問題はないのかということを点検をすることは一度是非お願いしたいと思います。
ちなみに、その一つの例として、国民の権利というものがどう守られているかということについて、今、中坊先生からお話がありましたけれども、今までの論点整理で心としては入っていると思いますが、表現としてはまだ抜けているかもしれないと思われるものの一つに、行政における人権の最大限の尊重を司法がいかに守るかという問題があると思います。現在の司法制度の視野の中に、もう少し鮮明に行政が人権を最大限に尊重し、それを見守る役割と言いましょうか、そういうものが必要なように思います。
これも中坊先生が権利の実現ということをおっしゃいましたけれども、たしか中坊先生は四番目におっしゃったと思いますが、私は、権利の実現に加えて、権利の保護というものがいかに保てるかということが、日本の将来、国民が本当にこの国で暮らしてよかったと思える国にする一番大事な点ではないかと思います。
もう一つは、法曹養成の問題でありますが、やはり、私たちは基本に戻って、法曹養成というのは、数の問題よりも、本当は質の問題が重要なんだということをもう一度確認をすべきではないかと思います。
決して、今、法曹の方々の質が劣っているというつもりで言っているのでは全くないことはあらかじめお断りしますけれども、私たちは、大学で学んでいる学生たちを見ますと、将来の明るい展望を描くためには、古いものをいかにしてふるい落とすかということも大切だと思います。古いものの中で一番気になる問題は、司法試験のような非常に厳しい競争を伴う資格制度。それには自ずとつきまとう受験というものがありまして、その受験という厳しい競争の中で本人の望むと望まざるとにかかわず、ある種の偏った人間形成が行われがちであるということは、例えば医師の国家試験でありますとか、いろいろなものを見ても、懸念されるところだと私は思います。
そのような人格形成の偏りというものは、古い時代の産物で、これを今どうやってかなぐり捨てるかということを考えながら、先の展望を考えたいと思います。
同じようにして、法曹の仕事にせよ、あるいは医療の仕事にせよ、いずれも同じですけれども、いかにしてあらゆることから中立的な医師、あらゆることから中立的な法曹というものをいかにしてつくるかということも、法曹教育の大切な質の要素であると思います。一度御審議を賜れればありがたいと思います。
その上で、今度は古きものをかなぐり捨てるだけではなくて、新しいものを質の中にとり入れていく必要があるわけですが、その中で一番大切なものは、私は人間重視、それから、先ほど来、繰り返しておりますが、人権の重視という問題を改めてこの仕事に携る人々の教育の中で徹底して身に付けていただくということが必要だと思います。
同時に、新しいものとして、国際標準ですね。国際的に通用する資格制度としての法曹資格制度もまた、日本ではそろそろ問われている時代に入っていると思います。
また、WTOの発動に伴いまして、外国の法曹が日本で活躍する場を提供しなければならない。反対に我々は外国で活躍することを認めさせていかなければならないという互恵の時代に入りますので、それに耐えるだけの実質的な質を持った法曹を養成するということも、この法曹養成制度に関しては非常に重要な点だと思います。
最後に、法曹養成に関して申しますれば、私は、法曹教育という言葉、それから、法曹資格という言葉の範囲をもう一度点検した方がよろしいのではないかと思います。せっかく新しいロー・スクールというものを構想するのでありますから、そこではある段階では、これはどなたかのピラミッド図形にもあったかと思いますが、ある段階では、ここまでのトレーニングを受けた人は、ソリシター的な、日本で言えば司法書士的な役割は十分に果たすことができる職業人して認められる、また、ある人はバリスター的な役割を果たすことを認めるというような、少なくとも3種類か4種類の、異なる法曹隣接的な職業の方々が、同じような対等な立場でロー・スクールで教育を受けることができるような教育制度というものを、この際一度思い切って構想してみてはどうかと思います。
以上のようなことを考えますと、既にお互いに確認した論点に沿ってということは私は全く異議はありませんが、その論点に沿っての具体的な内容について少し細かい詰めをしていただければと思います。
以上でございます。
【佐藤会長】ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。それでは北村委員どうぞ。
【北村委員】今、論点をどこから取り上げるかという問題ですけれども、その場合に井上委員がおっしゃったように時期の問題があると。今からですと、あと一年半ということになりまして、そうしますと、中間報告をいつ行うのかということを視野に入れなければならないんじゃないか。
しかも、その中間報告というのが、この論点のすべての項目について触れられていなければならないのか。あるいはこのうちの幾つかの問題についてだけ中間報告は取り上げていく。私は幾つかの問題についてだけ中間報告をやらざるを得なくなるんじゃないか。総体的にやるというのは非常に難しいんじゃないかなと思っているんですけれども、そういうことをまず最初にある程度考えておく必要があるんじゃないか。
もちろん、各論点が重なっておりますので、そういうふうに分けることは非常に難しいのかもしれませんけれども、そこは割り切って、ある程度やらざるを得ないのではないかなと思います。
もう一点は、小委員会方式のことなんですけれども、井上委員と中坊委員が、片方は小委員会をつくる、片一方は全体で、というようなお話も出ていたかと思うんですが。
【井上委員】審議会の始めの頃は、ですね。その後、私も「変節」しました。
【北村委員】そうですね。そういうことも考えていきますと、私は専門家は小委員会というのはある程度いけるかなと思うんですが、余り詳しくない人間は小委員会になりますと、まるっきり分からない部分というのが幾つか出てきてしまいますので、やはりある程度ここで議論していくということが必要なのではないか。
ただ、議論が煮詰まっていきまして、それでより細かいことについてやらなければならないといったときには、やはり並行的に幾つかに分けてやっていくという方式を取らざるを得ないかなと。そうでないと一年半ではちょっと難しいというふうに思っております。 Z 次に、どの論点からやるかということですが、論点の中で一応ここの13人がそういう方向性に行くだろうということで納得している部分と、あるいは各個人個人で見ますと、まだそんなにここの13人で意見の一致を見ていない部分もあるかと思うんです。ある程度納得している。そういうふうに行くだろうということで考えている部分から行かざるを得ないだろうと。
そのときに制度的インフラと人的インフラとどちらからか。今、何かお話を伺っておりますと、人的インフラからという御意見が多かったように思うんですけれども、これも制度的インフラがある程度分かっておりませんと、人的なものというものを直ちに取り上げることは難しいかなと思うんです。
どうも専門家の方の意見と、私のような素人の意見がそこでちょっと違うのかなと思うんですが、やはりこの司法制度改革が、国民がより利用しやすい司法の実現ということをまずうたっておりますので、その第一番目を真っ先に取り上げていただきたいなと思っております。
一番目との関連で弁護士云々というところで、やはり人的なところも問題になるでしょうけれども、しかし、この人的な面というのは、直ちに行くのではなくて、それの拡大は大体皆さん了解なさっていると思うんです。そういう拡大があるということを前提にして、あと国民の司法参加のところと、国民がより利用しやすい司法の実現というところを結びつけまして、それから人的インフラという形にもっていくと、これは私個人の意見ですけれども、私個人としては非常に分かりやすくなるかなと思っております。
どうも民事司法だとか刑事司法の非常に細かいところになりますと、まだまだ知らない部分が非常に多くて、これはもうちょっと勉強してからの方がいいかなと、自分の不勉強を棚に上げて申しておりますけれども、そういうふうに思っております。
だから、中間報告で、少なくとも人的インフラのところまでは多少触れる必要があるのかなというふうに思います。
以上です。
【佐藤会長】ありがとうございました。水原委員お願いします。
【水原委員】今、北村委員がおっしゃったことに部分的に私も大賛成です。
それはどういうことかと言いますと、私、検事に任官しまして、今まで法曹実務に携わったのは四十何年ございますけれども、民事の制度は全くと言っていいくらい理解しておりません。殊に現状はどうであるのかということは全く分かっておりません。かと言って、それでは刑事の問題について全般的に、どこに問題があるのかということを承知しているかというと、全くそれも自信がございません。
そういう意味で、最初に、石井委員でしたか、既成の制度や概念から開放されて、自由に理念はどうあるべきかという議論が大事であろうと。それも非常に大事ではありますけれども、限られた時間のみならず、百年以上の歴史を持っている今の裁判制度、弁護士制度、これのどこに疲弊があるのか。なぜ国民が利用しづらくなっているのか。その原因はどこにあるのかということを、まず現状の分析から入っていくべきではなかろうか。その論議をまず行わなければならないと考えます。
そういう意味では、先ほど北村委員もおっしゃいましたが、私自身も不勉強でございますが、いただきました資料、各界の御要望については読ませていただきましたけれども、現実に利用する国民にとって、なぜ利用しづらいのか。そういう問題については本当に理解し得ておるとは思っておりません。
そこで、初めにやるべきことは何かと私の考えていることは、利用しやすい司法というのはどういうものかというところで、その段階で井上委員もおっしゃいましたけれども、制度の現状、それから、今、指摘されておる問題点がどこにあるのかということを、とりあえず洗い出してしまう。そして、現状についての共通認識を持った上で、そこから、理念としてはどうあるべきか。現状を打破するためには、国民が利用しやすい司法をやるためにはどうしたらいいかということから始まっていかなければ、地に着いた議論はできないのではなかろうかという気がいたします。
かといって、それに相当時間をかけていいのかとなりますと、これには限られた時間がございますので、先ほど井上委員もおっしゃいましたように、精力的にやらなければいけないし、私は全体会議での議論の進め方について大賛成でございますが、全体会議でそれぞれの問題を一つひとつ取り上げたのでは、とても時間的に余裕がございませんので、やはりブロックごとに分けて、責任者を定めて、事務局の方にいろいろ資料収集をしていただく等々の方法はいろいろございましょうが、こういう問題がありますということを一遍、みんなの前に共通認識として爼上にのせていただく。そこから議論を進めていきたい。
そういうことに最初にどれぐらいの時間を費すかは検討しなければいけないんですが、その議論をした上で、それらを担う法曹の人口や法曹の養成はどうあるべきかということへ進んでいくべきではなかろうか。
そういう司法について国民がどういうふうに参加ができるのか。それがどういうふうに望まれるのかということを議論することが一つの問題であろう。
法曹一元の問題は、それらの議論を進めた上で、日本の国における司法制度はどうあるべきか。なぜ今の職業裁判官による裁判はだめなのか。いろいろな議論が出てくると思いますが、先ほどのような議論を進めた上で、初めて法曹一元についてどうあるべきかということを議論すべきではなかろうか。そんなような感じでございます。
したがって、やはり現状制度の分析、それから今の問題についてのいろいろな各界の御指摘、これをとりあえずピックアップして、そして共通認識にした上で議論を進めていくべきではないかということを考えております。
以上です。
【佐藤会長】ありがとうございました。それでは吉岡委員お願いします。
【吉岡委員】今、水原委員が、私から見ると御専門家中の御専門家かと思っておりましたのに、それでも部分しかお分かりにならない、だから、現状分析から入るべきだという。逆に御専門家だからそういうふうにおっしゃるのかと思って拝聴しておりましたが、確かにそういう入り方というのは重要だとは思いますが、限られた期間の中でできるかということを考えないといけないと思います。
そういう意味では、昨年末に論点整理をしておりますし、専門家から見ると、深さが足りないという面はあるのかもしれませんが、余り現状分析にこだわり過ぎると、最後の方へ行って時間が足りないということにならないでしょうか。
それから、人的インフラ、制度的インフラについても、一応合意を得ておりますので、そういうふうに分けて進めていくということは非常に合理的だと考えておりますけれども、分科会形式、ブロックごとに集まって何人かでやるということになりますと、専門ではない私の立場から言いますと、ある程度の結論というか、まとめが出た段階でこうですよと言われても、それに対して考えるゆとりがなくなりはしないだろうか。そんなふうに考えますので、別々に分科会形式でというのは避けた方が、むしろ時間の無駄がないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
それから、北村委員から、このすべての項目をやるのは時間的に無理かもしれないというお話がありまして、私も確かにそうかなという気はいたしますが、おっしゃるように中間報告で人的インフラができればという、そういうふうにしていきますと、これも時間が足りなくならないか心配です。
私は、中間報告の段階で、一応全体について、この審議会ではこう考えているということを公表する。そういうふうにしないと、一般の人たちの意見の参加が難しくなりはしないか。できるだけ早い時期にいろいろな人たちに考えてもらう。国民的な議論にする。そういうことからいうと、浅いかもしれないけれども、全般にわたった中間報告、それによって意見を聞くということがむしろ必要ではないかなと考えます。
そういう中で、私の立場からすると、国民のアクセスということが制度の中で出てこないと、接近障害の解消は難しくなりはしないかと、そんな気がします。
それから、行政訴訟等では、訴える権利、当事者適格の問題等がどこで拾えるのかもちょっと懸念いたしますので、その辺を考えていただきたいなと思います。
【水原委員】法制度というのは各国の成り立ち、それから国民性の問題でそれぞれ違ったものがあります。共通の法制度というのはそんなにないんじゃないかと思います。
それでは、日本の国においてどういう法制度が一番望ましいのかという議論を、今まで学者の諸先生方、たくさん議論しておりますけれども、一致した意見もございません。そういうことも当然議論の中に入れなければいけないんですけれども、しかしながら、今、批判されている司法制度というのはどこに問題があるのか、それを直せるのか直せないのか。時間はそんなにかける必要はございません。先ほども私申し上げましたように、井上委員もおっしゃいましたけれども、主査のようなものを決めて、制度の現状、今まで指摘されている問題点を短期間で整理して、そして、爼上にのせて、皆さん方の共通認識の下に議論する。そういうことをとりあえずやっていくことが大事だと。そうしませんと、制度論ばかりでいってしまいますと、それこそ結論が見出せないことになるんじゃなかろうかという懸念を非常に深く持っています。
【佐藤会長】ありがとうございました。では、髙木委員お願いします。
【髙木委員】皆さんのおっしゃられたことでほぼ尽きるんじゃないかと思いますが、論議の仕方は、分けられて議論されますと私どもはお話を聞きながら理解していくみたいなところもあるんだろうと思っておりますので、できたら皆さんと御一緒に論議させていただけるような設定の方がありがたいかなと思っております。
それから、論議する順序ですが、井上先生は「法曹養成」からとおっしゃっておられ、そのご意見に賛成です。ともかく、日本の司法の世界を拡充しなければいけないということについては共通の感覚になっているんだろうと思いますので、やはり法曹養成と言いますか、ロー・スクールの問題等含めて、細かい各論は違う場でいろいろ御議論があるのかもしれませんが、そういう項目から論議していただいた方が私どもは入りやすいかなと思います。
もう一点、私も論点整理を年末年始にもう一遍読み返してみまして、これは鳥居先生にもおっしゃっていただいたんですが、いわゆる権利というか、人権というか、そういったものを司法制度がいかに担保していけるのか、昨今、グローバル化だとか言われる中で、いろんな人権感覚、価値観なども少し揺らいでいる中で、とりわけそういう感覚が今、大切なのかなという思いもしておりましたので、鳥居先生の御意見に大賛成でございます。
【佐藤会長】ありがとうございました。では藤田委員お願いします。
【藤田委員】各委員が理念としておっしゃったことについては、私も全くそのとおりだと思います。ユーザーとしての国民の視点からの改革でなければいけない、あるいは司法の拡大と充実という視点をスタートとしなければいけない、それはもうそのとおりだと思うわけであります。また、現状の把握、これがスタートではないかという御意見もありましたが、やはり私もそうだと思うわけであります。今年もらった年賀状などに、私がかつて地裁の裁判長をしておりましたときに、新人として入ってきた人たちが今、裁判長の立場にあるわけでありますが、我々が仕事をしている現場の実態を委員の皆さんに是非詳細に知ってもらいたいというようなことを書いてくる者が数多くおります。
彼らも、司法にいろいろ問題点があって改革しなければならんということは分かっているわけでありますけれども、自分たちとしては最大限の努力を尽くしてやっている、その状況でなおかつ問題があって、改革しなければならないということではありますが、裁判の現場の実態を詳細にお知りいただいた上で、いかに改革すべきかということを考えていただきたいという希望が、裁判所の現場では非常に強いというふうに感じましたので、それをお伝えしたいと思うわけであります。
審議の順序についてでありますが、ユーザーとしての国民の視点から改革を考えますと、21世紀の司法に国民が一番に求めているものは何かという点が重要だろうと思います。今までに何遍も世論調査、アンケート調査等がされているわけでありますが、それを拝見しますと、裁判所の公正さとか信頼性については、かなりの程度の高い評価をいただいているのでありますが、それ以上に高いパーセンテージで不満が述べられておりますのは、民事訴訟での迅速性の問題、費用の問題であります。
また、最近では専門的知見を要する知的財産権、あるいは医療過誤、建築瑕疵等の事件についての専門性への対応という点が足らざるところとして指摘されているわけでありますが、民事訴訟について現実に国民がここを改めてほしいと要求している問題点は、今までの論議でかなり明らかになってきているのではないか。また、その方向性も明確になっているのではないか。 Z これは刑事司法についても同様であります。特定の事件と言いながら、重大な刑事事件が10年裁判になっても解決に到達できるかという状況では、刑事司法に対する信頼が失われるというふうに言われているわけでありますし、また、被疑者、被告人の公的弁護というところに足らざる点があるのではないかというところも指摘されております。
実は私は水原委員とは反対でございまして、ほとんど民事司法の分野で仕事をしておりましたので、刑事司法は素人に近いわけでございますけれども、そういうような論点、あるいは国民が求めている方向というのは、比較的はっきりしている。したがって、それを改善する方策についても、それほど長い期間を要せずに一つの方向性が出せるのではないか。その上で、そういうような改革を達成するために必要な制度的なインフラストラクチュア、あるいは人的なインフラストラクチュアをどういうふうに組み立てていくかということを考えるのがよろしいのではないかと思うわけであります。
もちろん、制度を支えるのは人でありますから、また、司法の人的な基盤で最も国民に近い立場にある弁護士の在り方ということが重要だという御指摘もそのとおりであろうと思います。しかし、陪審制・参審制のような問題は、国によっていろいろな制度の差があるわけでありまして、一方、特に陪審制については、国民にかなりの程度の重い負担を求めるということがどうしても必要となります。そういう意味では、国民がこの問題についてどのようなことを求めているのか。あるいは諸外国の陪審制・参審制がどういうような歴史的経過をたどって現状に至ったのかというようなことを考えた上で、この問題を考える必要があるのではないかと思うわけであります。
法曹人口と法曹養成制度、これは大変重大な問題でありまして、司法試験制度、司法修習制度、更に先ほどから御指摘のありますロー・スクールを含めた大学法学教育、これはロー・スクールだけではなくて、大学教育全体、更には教育制度全体についての問題を含むと思われるわけでありますが、法曹人口を増加させなければならないということは、既に法曹三者においてもコンセンサスができております。しかし、その質を落とさずに、どのようにして、どの程度まで増加していくかということは、これはやはり相当慎重に議論する必要があることでございます。その延長線上に法曹一元というものもあるわけでありますが、これまた各国の歴史的な経過等を踏まえた上で、国民の求めるような在り方を検討する必要があろうかと思います。
そういうような点から、まず国民の期待に応える司法の在り方のところから入って、かなり検討する要素の多い国民の司法参加、あるいは法曹人口、法曹養成制度、法曹一元の問題に入っていくのがよいのではないかと思っております。
方式といたしましては、全体会議として進行すべきであるという中坊委員の御指摘はそのとおりだと思います。もう一方、タイム・ミリットの関係で効率的に進行せざるを得ないわけでございますから、井上委員の御指摘のような形でレポーターで分担して、報告をしていただいて、効率的に論議をするという方法が適当ではなかろうかと思います。
以上でございます。
【佐藤会長】ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
これまで各委員から非常に示唆に富むお話をちょうだいしました。今、皆さんから伺ったことを前提にして、いかに審議をこれから進めるかということについて、私なりの整理をさせていただければ幸いですが、よろしゅうございましょうか。
まず、会議の運営の仕方、審議方式でありますけれども、私もかつて小委員会というようなものが考えられるんじゃないかということを申したこともありますけれども、ただ今、皆様の御意見を伺い、また私も、昨年の暮れ以来いろいろ考えた結果、今日、多くの委員がおっしゃったように、全体会議としてやっていってはいかがかというように思いますが、その点はよろしゅうございましょうか。小委員会方式はとらないということです。
そして、テーマに従って、委員の中からしかるべき方にレポーターとしての役割を引き受けていただくということにしたいと思います。そのレポーターは事務局と密接に連絡をとりながら、それぞれの引き受けたテーマにつきまして、責任を持ってやっていただきたいと。この会議で主としてその論点を整理し、提示していただく役割をお引き受けいただくということになりますが、それはそれでよろしゅうございましょうか。
それでは、審議の方式はそういう形で進めたいと思います。
次に、審議の順序でございます。ただ今、いろいろなお考えが開陳されたわけでありますが、まず、順序の前に、当然のことですが、確認しておきたい点があります。これも何人かの委員がおっしゃったことですが、昨年12月21日の制度改革に向けて論点整理の趣旨、内容に沿って審議を進めるということです。その意味は何かということについて、今、いろいろお話があったわけですけれども、ともかく、その趣旨、内容に沿って審議を進めていくということでございます。
それから、諸般の事情を考慮すれば、審議は相当のスピードで行っていかなければならないということだろうと思います。
それと関連することですが、この審議会の任務は、全体的な構造、デザインを描くということではなかろうかというように考えておりますけれども、その点はそういうことでよろしゅうございましょうか。
それで審議の順序になるわけであります。ただ今の皆様の御意見を伺っておって、理論的に両方の考え方がある。制度から入る考え方、人的なインフラの方から入る考え方、それぞれ、私は、理論的に十分成り立ち得る根拠のあるお考えだと思います。
そこで、私自身としても悩むんでありますけれども、時間的なこととかいろいろ考えてのことですけれども、人的なインフラの方から御審議いただければありがたいなという感じでおります。
論点項目には制度的基盤と人的基盤と整理し、くくってあるわけであります。これも委員の皆様がおっしゃったように、両者は相互に密接に関連し合っております。ただ、論点整理の随所に窺われるところですけれども、司法の人的基盤の強化ということが今回の改革のベースをなしている。やはり改革の行き着くところはその問題ではなかろうかという気がするわけであります。
換言しますと、質・量ともに豊かな人材、法曹を得なければ、司法制度の設計を真に意味あるものとするということはなかなか難しい。やはりそこが今回の改革のベース中のベースではなかろうかというように感ずるわけであります。
そういう意味から、できれば人的インフラについての審議をまず行いまして、それについてある種の方向と言いますか、私どもの考え方、方向づけを得てから、制度的基盤、制度インフラの審議を行ってはいかがかと考えるわけであります。
具体的には、二つの問題があるかと思います。
一つは、司法の拡充ということであります。これについてはもう大体コンセンサスができているのではないかという点は、皆様のただ今のお話からもよく分かるわけであります。法曹人口の増加が必要だと。各委員から昨年お出しいただいたペーパーの中にも、また今日おっしゃった中にもその辺については大体コンセンサスができていることをうかがわせるように思います。
それから、昨年の12月8日の法曹三者のヒアリングのときも、法曹三者の方から多かれ少なかれその点についての御指摘がございました。例えば、裁判所のお出しになったペーパーによりますと、法曹人口の拡大、弁護士業務の体制強化、それから裁判所の体制の充実、これは裁判官、書記官、裁判所調査官の充実を含んでおりますけれども、そういう人的基盤、あるいは物的基盤の整備が必要だという指摘がございます。
それから、法務省からのお話の中にも、刑事司法が国民の期待に応えていくためには、検察官を始めとする人的・物的体制の充実が不可欠であるという御指摘もございます。
行政改革に関連して国家公務員の定員削減が課題となっておりますが、それが司法の領域にそのまま及ぶとなりますと、行政改革の趣旨にむしろ齟齬をきたすようなところがあります。行政改革の考え方の根底には、事前規制型社会から事後チェック型社会への転換ということがあると言われております。そして、その事後チェック型社会を築くためには、適正な法律は適正に執行しなければいけない、実現しなければいけないという課題があるんではないか。その役割は主として司法が引き受けなければいけない。行政改革会議の最終報告は、行政改革に当たっての留意事項として、法の支配ということについて十分留意しなければいけないと述べているのですが、そこにはそういう趣旨が含まれているのではなかろうかと私なりに理解しております。司法の拡充というのは、一見すると行政改革の方向と違う方向のように見えますが、根本はむしろ行政改革の趣旨を発展させることなのです。そういう観点からの司法の拡充というのが非常に重要だと思います。基本的な認識として、そのことをまず私どもの出発点とすべきではないかと思っているわけであります。
司法の拡充という場合、裁判官等の拡充それから検察官等の拡充が含まれることは当然のことですが、中でも重要なのは弁護士の在り方の問題ではなかろうかと考えております。これは論点整理のペーパーの中でも指摘していることでありますが、法曹の中で圧倒的な多数を占めて、国民と司法との接点を担っている弁護士へのアクセスが十分でないということが国民が利用しやすい司法の実現を阻害している大きな要因ではないかと思うのでありまして、司法の拡充は法曹三者にとって共通の課題なんですけれども、とりわけ弁護士の在り方をこの審議会として最重要な課題として検討する必要があるんではなかろうかと思います。それが第一点でございます。ちなみに弁護士の在り方の問題は制度的インフラの方にも関連してくる話でありまして、論点項目のところで、制度的基盤「(1)国民がより利用しやすい司法の実現」の中で「弁護士の在り方」が最初に出てまいりますが、両者が相互に関連していることを如実に示しております。それが第一点です。 Z もう一点は、法曹養成の問題であります。21世紀の司法を支えるにふさわしい資質と能力、これは倫理面も含んででございますけれども、これを備えた法曹をどのように養成するかということが非常に重要な課題でして、これにある種の見通しを私どもとして立てられませんと、いろいろな制度を考えても、なかなか実際の実現は難しいのではなかろうかと思うわけであります。
この課題については、これも論点整理の中でうたっておりますけれども、大学、これは大学院を含むということですけれども、大学における法学教育の役割、司法試験制度、それから司法研修制度、あるいは法曹の継続教育の在り方といったようなものを中心に、総合的、体系的に検討しなければならない。法曹養成のためにプロフェッショナル・スクールの設立も考える必要があるんではないかという趣旨のことが論点整理でうたわれておりますけれども、こういう観点から、その法曹養成制度の問題をまず御議論いただいたらいかがかと思っているわけであります。皆様からただ今お話しいただきました御趣旨に沿うところと沿わないところもあるかもしれませんけれども、私なりの整理をさせていただいたんてすが、いかがでございましょうか。
【北村委員】今の御説明の中で時期の問題が出てきていないと思うんですけれども、真っ先にそれをやるというと、これは大体どのくらいの時間をかけてやるというふうに理解すればいいんでしょうか。
それとの関連でそれを先にやることに賛成できるかどうかということが決まってくるんですが。
【佐藤会長】分かりました。拙速に過ぎるという考え方もあるでしょうし、それで大丈夫かしらというお考えもあるかもしれませんけれども、私の描いているところでは、2月、3月、4月の頭くらいのところまでに人的インフラの問題についての大体の見通しを立てられないものかと思っております。そして、制度的インフラの問題については、その見通しが立った段階で入る。4月に2回くらいできるようになるかどうかですけれども、できればそういう形にもっていきたいと考えています。
具体的な話ということですので、まとめて申してしまいますけれども、1月の28日、次回の審議会では、実は内々に竹下会長代理にお願いしておりまして、司法を国民にとって利用しやすく、頼りがいあるものにする上で、現行制度のどこに問題があるのかについてお話しいただきたいと思っております。司法の容量が小さい、司法の拡充が必要だということはもう大体のコンセンサスはできておると思うんですが、その司法の容量が小さいということが、今までの日本の司法制度の運用上具体的にどこに不都合を来しているのかという辺りを、会長代理には大変申し訳なかったんでございますけれども、お話しいただきたいと考えております。この辺は、これはヒアリングのときに各識者から、それから各委員からも折に触れて出ておった問題でもあるんですけれども、もう一遍、竹下会長代理の方から全体像を整理していただいて、お話しいただいて、それに基づいてなぜ司法の拡充が必要なのかということについて、もう少し具体的なイメージを私どもとして描いてはどうかと考えております。
その後、さっき私が申し上げたことで言いますと、司法の拡充、法曹人口、特に弁護士の在り方について御審議いただく。
それから、法曹養成制度、いわゆるロー・スクールの問題について御審議いただく。それを2月、3月、4月にかかるか、そこはこれからの審議次第でありますけれども、そういう感じで進められればと考えているわけです。
【北村委員】今、各大学が法科大学院につきまして、いろいろと報告書を出しているかと思うんです。出しているのは、どちらかというと国立がほとんどでありまして、私立の方はまだそれほど進んでいない部分というか、見守っている部分もあるんじゃないかと思うんです。
今、私立の方も動き出しておりますので、もうちょっと私立の動きを見てからそういうことを、それも入れて、もちろん国立の報告書も読む。そちらの方も入れて、法科大学院につきましては、要するに法曹養成制度の在り方の方ですけれども、そちらの方を考えたいな。これは私立に属している者としてはなるべくそういうふうにしていただけるとありがたいと。
ですから、初めに竹下先生がやってくださるというのは、私も先ほど言いました国民がより利用しやすい司法の実現と絡んで非常にいいなと思っているんですけれども、法曹養成制度については、もうちょっとずらしたような形でやっていただけるとありがたいなという希望なんです。だめだと言われれば仕方がないんですけれども。
【鳥居委員】今、先生がおっしゃるのは、私学の代表として分からないではないんですが、本当に私立大学の旧来の考え方で、これからの21世紀の法曹養成の新しいプロフェッショナル・スクールを考えることができるのかという気がします。
当審議会としては、今までに既に出された東京大学や東北大学を始めとするいろいろな大学からの御提案というか、試案というか、そういったものももちろん十分に勉強しながらではありますが、当審議会独自の法曹養成の在り方について、早めに検討を始めた方がいいのではないか。そういう気がします。
これが情報として、議事録として、どんどん国立、私立に流れていって、もちろん、いろいろ御批判を受けることもあるでしょうけれども、逆に、ああ、こういう考え方もあるのかというふうに皆さんに思っていただいて、お互いに軌道修正しながら、法曹養成の新しい在り方を描いていこうと考えていただけると本当はありがたい。
それで、先ほど、プロフェッショナル・スクールとしての法曹養成の範囲をできるだけ広く取って議論していただきたいということを申し上げたんです。
【井上委員】私も、基本的には、今、鳥居先生がおっしゃったように、早く立ち上げた方がいいのではないかと思います。といいますのも、私立大学も今、盛んに議論をし、いろんな案が出てきているのですけれども、私の印象だけかもしれませんが、国立大学の議論も含めて、ちょっと出口のない議論になっているような感じがする。それは、司法試験との結びつきがどうなるのかが不明だからという面もあるわけですが、その意味で、こちらからボールを投げることが必要ではないかと思うのです。その際、私は大学に身を置いていますので、こういうことを言うと、石を以て追われるかもしれないのですけれども、これまで各大学から示された案というのは、どうもまだ大学独自というか、内部的な発想で構想されているところが強いような印象がある。しかし、この審議会として議論するとすれば、やはり、これからの法曹としてどういう資質や能力が必要なのか、それを育てるためにはどういうシステムが最適なのかという観点から構想し、そういう全体像の中で大学はどういう役割を負うべきなのかという議論をすべきだろうと思うのです。
そして、会長がおっしゃる、春くらいに一応の方向づけをというのも、細部までがちがちに決めるということでは恐らくなくて、その段階でまとまればですけれども、何か一つの方向を出し、投げてみて、大学側や法曹関係者の方からまた意見とか提案を出してもらい、それを受けて更に議論を進めていくということではないか。法曹人口とか法曹養成の問題というのは全体に関わりますので、最初に決めてしまって、ここを出発点にしましょうというわけにはいかないと思うのです。やはり制度の問題を含めていろいろ議論してみて、それではこうしましょうということに最終的にはなる。そういうことではないかなと思いますので、並行して私立大学の方々の御意見というのは当然吸収し、国立大学の方も更に議論を進めるかもしれませんので、そういうものを受け止めて審議していくということになるのではないか、そういうふうに私は思います。
【鳥居委員】今の北村先生の御意見は非常に重要で、私立大学と国立大学が決定的に違うのは、国立大学はやると決めれば資金は出るわけです。しかし、私立大学はやると決めてから2年、早くても1年かけて、土地と建物とお金を用意しなければいけないんです。
私立大学の新しい学部というのは、基本的には借入金なしで取得した土地の上に、借入金なしで取得した建物でのみ開校するルールがあります。ところが、今度の専門大学院については、サテライト教室と言いまして、借りた建物でも開校していいという特例措置を認めることになりました。したがってその手当てをしなきゃならない。それだけでも出遅れるという北村先生の御発言は非常に意味のあることなんです。
もう一つ、先生の御発言で非常に重要な意味がありますのは、2月、3月、4月と会長が試みるとおっしゃいましたけれども、2月、3月、4月に大体の案が出ていますと、4月に大学設置認可の申請を出せるんです。ところが、これが5月、6月、7月くらいまで議論いたしますと、その次の年の4月でないと設置認可の申請はもう出せないということになるわけで、わずか1、2か月のずれが全体として、この構想が全国的に動き出すのを1年ずらすことになる。私はそういう意味で、実は4月までに一応の試案を出して、それをにらんで、文部省、法務省、その他の関係のところが制度として始動するのはいつにするか、イグニッション・タイムを決めなければいけない。それを考えると、素案は1回4月に出るというのは一つの考え方かなと思います。
【竹下会長代理】今の鳥居委員のおっしゃるのはごもっともだと思いますし、それから先ほど井上委員がおっしゃったのも、そのこと自体には異論はないのですけれども、やはり北村委員がおっしゃった点ですね、これは日本の法学教育全体の中で私学が占めている位置というものを考えますと、やはり重く受け止めるべきものと思います。4月までに設置認可の申請ができるほど具体的な詰めをするというのはいささか無理ではないでしょうか。やはり、会長がさっきおっしゃられたように、4月を目指してこちらでいろいろ論点を整理をして、ある程度の方向くらいは出せるかもしれませんけれども、しかし引き続き議論はしていき、最終的な結論に近い、少し形の固まったような意見が出せるのは、せいぜい中間報告くらいでないと無理ではないかと思いますが、いかがでしょう。
【鳥居委員】誤解を招く発言をしたかもしれませんが、私は恐らく来年の後半くらいに、最終的には、いつこの制度をスタートさせるかの素案が、国内のいろんな組織の中で煮詰まっていくんだと思います。そういう意味で、多少後ろへずれても、そのことに関しては影響はないとは思います。
恐らく今年の後半くらいにめどがついて、そして、それを受けてその次の年の4月の設置認可申請が受け付けられるのが一番早いケースではないかと思うんです。
【竹下会長代理】そういうことなら結構かと思います。
【鳥居委員】私立大学も国立大学も、この審議会から発信してくる情報を読み取っていただくというのと、各大学から提案されてくるのを我が審議会が読み取るのと、両方のインターアクティブなやり取りの中で決まるので、こっちがじっと待っていて、各大学の案が固まるのを待つということにはならないと。これを申し上げたかったわけであります。
【竹下会長代理】その限度であれば、私も異論はございません。
【中坊委員】私も今の鳥居さんの意見に大体同じような物の考え方なんですが、今、ロー・スクールの問題が討議されていますけれども、司法制度改革全体になると、たしかにおっしゃるように、法曹三者にとってもそれぞれもっと具体的な、大学院の設定でもこれくらいのいろいろ意見が出てくるわけですから、いろいろあるわけです。だから、我々の審議会の審議の在り方というのは、ある意味において一つの発信作用を行って、それによって、それぞれの当事者の方々がどのように考えられ、それを我々が受け入れて、どう審議していくかということではないかと思うんです。
これから我々が本格的論議に入るからといって、すぐにそこにがちがちに全部が決まるという筋合いのものではなしに、我々はすべてそういう基本的な物の考え方からだんだん入っていって、そして、みんなの反応とかを見て、それが中間答申というところである程度きちっとまとまったものとして世に問うという流れで、我々はやっていくのがこの審議会の基本的なやり方ではないかと思います。
私も、先ほど佐藤会長がおっしゃいましたように、弁護士の在り方ということになりますれば、この審議会から一つ意見を発しませんと、弁護士会の言うとおり待っておったら、もう少し待ってください、もう少し待ってくださいと必ずなってくるんで、それを待っていたんではどうしようもないわけです。だから、我々が一つの論点整理の中で、先ほど言うように、司法の拡大充実という一つの具体的なものを出してきた。その延長線の中で個別的な課題についてはこう考えます、ああ考えますよということは、我々がこれから発信をしていくというやり方が一つで、また向こうの意見を聞いて我々がこれからやっていくという形がいいんじゃないかなと思うんです。
【竹下会長代理】私もその点につき、一般的には全く異論ございません。ただ、この法曹養成の問題は、前にも申しましたように、問題が出てからの展開が非常に早いのです。ですから、私学側が追いつけないわけで、そう申しては何でございますが、弁護士の問題はこれは随分昔から議論されている問題でございますから、ちょっとそこは違うのではないかと思います。
【佐藤会長】かえって難しかったりする。
【鳥居委員】会長がまとめられたのが、少しくっきりと法曹養成のところを挙げられましたけれども、今、メモをもう一回読み直してみますと、その前に司法の拡大ということを一緒に審議するということをおっしゃっておられて、そして、裁判所、裁判官の拡充、弁護士へのアクセス、弁護士の在り方を同時に審議しつつ、法曹養成の教育の制度を議論すると。このワンブロックを2~4月くらいでとおっしゃったんだと思いますが、もうちょっとこれに法曹一元も含めて議論をしていただければ、私はそんなに時期的に早過ぎるとは言えないと思います。
【北村委員】私、法曹養成制度の法科大学院構想というのは必要だろうと思っているんです。こう言っていると、何か反対意見を言っているのではないかと言われても非常に心外なんですけれども、ここから発信しなければならないということも重々承知しているんです。ただ、これは私、私立大学全体について言いたいんですが、こんなところで言っていても始まらないんですけれども、国立大学等があれだけのものを出しているのに、私立大学というのは検討が時間的に遅過ぎると思うんです。どうも聞いてみますと、司法制度の検討結果を待ってからとか、あるいは文部省の設置基準が一応出ていますけれども、そういうものを待ってからと。何か他校の様子を見てから決めようかという、そういう部分がある。それから、採算の問題を考えなければなりませんので非常に遅い部分がある。私は、私立大学ももっとせっせと検討しろというふうに本当は言いたいんです。この春休みまでで大体主なところから出そうな雰囲気ですので、それと合わせてこちら側がやっていくということはいいと思うんです。
佐藤先生のおっしゃいました国民がより利用しやすい弁護士制度の方の現状等々からいくということで、これは私が先ほど申し上げたことと一致していますので、したがって、2月から4月でできるかどうかというのはちょっと難しいと思いますけれども、それ以後の中間報告をどうするかという見通しを含めて、伺いたいなと思うんです。
【佐藤会長】中間報告は、論点項目全体にわたって、一応、一つのストーリーをつくるということではないかと思っております。それぞれの具体的な問題については濃淡様々出てくると思います。それはしようがないことですけれども、一応の姿を論点項目全体について描くということが中間報告として目指すべきことではないかと思っています。
人的インフラについて、本当にそのとおり進むかどうかはともかくとしまして、4月上旬を目指して、一応の見通しが立てられるようにする。その後、制度的インフラの問題について入る。個別的な問題として、法律扶助もありましょうし、いろいろありましょう。弁護士の在り方についても関連してくる制度的な問題もあると思います。そういうものに4月にちょっと入って、そして海外視察がありますね。その前に制度全体についての我々の一応の議論をやっておいた方がいいんじゃないかと思っているのです。そして帰ってきてから、海外の視察の成果も踏まえ、制度的なそれぞれの問題について6月から8月にかけて立ち入って審議する。井上委員からさっきお示しいただいたような手順を、私も漠然と考えているところです。
【北村委員】中間報告はいつ頃というふうに考えればいいんですか。
【佐藤会長】できれば10月くらいをめどにしたいと考えています。期日を設けてそれを目指してもなかなか行きにくいものですから、できるだけ前の方に設定しておく必要があるように思います。10月を目指すということでいかがでしょうか。
【北村委員】余り延ばしますと時間がなくなってしまいます。
もう一つお伺いしたいのは、8月のここでの議論なんですけれども、その辺のところは夏休みに入るのか入らないのか、その点はまだ未定ですか。
【佐藤会長】それは6月、7月の議論状況で。
【北村委員】それによってもまだ随分違うんじゃないかと思ったんですが。
【佐藤会長】一応、日程としては、8月は入っているわけです。ですから、一応、この御覚悟で出ていただければと思います。
【北村委員】8月は通常通りに入っていますね。前に集中討議という話がありましたが。
【佐藤会長】 集中審議は、中間報告を文章化するときに、その直前に、例えば9月になるのか、その辺ちょっと考えさせていただきたいと思います。
【髙木委員】変な話ですけれども、国立大学、私立大学のお話も結構ですが、既存の大学でやらぬケースだってあり得るんじゃないかと思います。
【佐藤会長】そういう非常に難しい課題もあり得ます。さっき井上委員がおっしゃったことでもあるんですけれども、この問題に手をつけるということは、ある種の厳しい覚悟が要るんだろうと思います。
さっき北村委員のおっしゃったことですが、いわゆるロー・スクールの話は、小学校から始まる教育制度全体をどうするかという縦の問題と、司法制度のシステムとどうリンクさせるかという横の問題、横と言っていいのかどうかわかりませんけれども、そういう問題があります。そして、縦の問題はともかくとして、この横の全体のシステムの姿が少し具体的に見えてこないと、なかなか踏み切れない事情があるんじゃないかという感じがするんです。
ですから、こちらから発信をするということが重要だと思います。司法制度の改革でこれは不可欠だということを、私どもとしてできるだけ早く出すことが全体の展開にいい意味を持ってくるんじゃないかというように、私はかねて思ってきましたが、委員の皆様のお話を聞きながら、そうした思いを強くしております。そういう趣旨で検討させていただければと思うんですが、それでよろしゅうございますか。
どうもありがとうございます。
28日が竹下会長代理のお話、2月から弁護士の在り方、法曹養成に入るわけですけれども、さっきから申していますように、井上委員のお言葉を借りてレポーターと呼ぶことにしますが、そのレポーターの役割を委員の皆様の中からお引き受けいただきたいと思います。勝手ですけれども、私の方からお願いさせていただいてよろしゅうございましょうか。
弁護士の在り方については、恐縮ですが、中坊委員に、法曹養成制度、大学の問題については井上委員に、それぞれお願いしたいと思いますが、お引き受けいただけますか。
【井上委員】適任かどうかは疑わしいところですが、それでもやれということでしたらやらせていただきます。
【佐藤会長】ありがとうございます。では、そういう形でこれからの審議を進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
【竹下会長代理】ちょっとよろしいですか。先ほど会長からお話がございましたように、次回、とりあえずイントロダクションということで、私が何かお話をするということをお引き受けしたわけですけれども、昨年末におまとめいただいた論点項目で言いますと、どうも私の本来の持ち場は制度的基盤の(1)の後半部分から(2)辺りのことになりまして、どちらかと言うと、制度的な問題が多いわけでございます。しかし、全体の流れが、今のお話しのように、次は弁護士会の問題、その次は法曹養成の問題ということでございますから、なるべくそういう流れができるように工夫をしたいと思っておりますが、もともとこの辺りの問題は制度的基盤に属する項目ですので、つながり具合に少しぎくしゃくしたようなところが生ずるかもしれません。その点はあらかじめ御了承ください。
別の見方をすれば、何人かの委員の方からは、とりわけ民事司法については、どういう制度的な問題があって、どういうところが使い勝手が悪くて、国民の立場から見ると不都合なのかというようなことについて、先に御議論した方がよいのではないかという御意見もございましたので、積極的に申せば、そういう御意見にお応えすることになるかと思います。そのような中間的なものになるかと思いますが、あらかじめ御了解を得ておきたいと思います。
【佐藤会長】突然のことで大変恐縮なんですけれども、竹下会長代理をおいてないんで、よろしくお願いいたします。
以上で一番目の議題を終わらせていただきたいと思いますが、少しここで休憩を入れましょうか。4時10分に再開させていただきたいと思います。あとの議題はそう時間がかからないと思いますので、10分まで休憩にしたいと思います。
(休 憩)
【佐藤会長】それでは時間もまいりましたので、再開させていただきたいと思います。
まず、地方公聴会の実施についてでございます。既に第1回の地方公聴会と実情視察は3月17日金曜日、18日土曜日の2日間で大阪で行うということを御決定いただきまして、公表済みなわけですけれども、その後の開催地と時期について御審議いただきたいと思います。
まず、第1回の大阪についての応募状況などについて、事務局からお願いします。
【事務局長】では、報告させていただきます。
大阪での第1回地方公聴会につきましては、昨年12月21日の第9回審議会で概要を御決定いただきましたのを受けまして、同日の記者会見で公聴会の開催と意見発表者、傍聴者の募集を発表いたしました。
翌22日の新聞では論点整理についての報道と並んで、各紙で公聴会についての報道がなされておりますので、後ほど関連新聞記事をごらんいただければと思います。
また、当審議会のホームページにおきまして、第9回審議会の議事概要とともに募集の告知が掲載され、電子メールによる意見発表の応募も受け付けております。
12月27日には、法曹三者に対しまして、事務局長名で協力依頼の通知を発出いたしまして、全国の裁判所、検察庁、弁護士会で募集告知の掲示や一般への資料配布をお願いしております。
また、NHK大阪放送局の御好意によりまして、近畿圏のテレビ・ラジオの番組と、番組の間などで募集告知が随時放送されております。
更に、政府広報の枠を使いまして、昨日、1月17日の読売新聞全国版1面に募集告知を掲載いたしました。
このほかに、雑誌については、応募締切りに間に合う時期に発行される号が既になく、第1回に関する情報は掲載できておりませんが、第2回以降の公聴会については、御決定いただき次第手配をしたいと考えております。
応募状況としましては、昨日までで意見発表者10通、傍聴者43通の応募が来ております。 Z 公聴会前日の17日金曜日に行います実情視察についてですが、視察先としましては、昨年10月の東京での実情視察では、地裁の民事・刑事の法廷をごらんいただきましたので、今度は大阪家裁、簡裁を中心にごらんいただいてはいがかと考えております。
なお、当地の法曹三者から、実情をお聞きする懇談会も行ってはいかがかと考えております。
以上が、第1回大阪での地方公聴会に関する状況の報告でございます。
【佐藤会長】どうもありがとうございました。
ただ今の事務局の御報告について何か関連して御質問ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。ちょっと数が少ないように思いますが。
【事務局長】年末とお正月休みでしたので、まだ集まってこないんだと思いますが、昨日の新聞の掲載から、若干電話がかかってきております。ただ、電話をかけて来られる方の中には、他のところではやらないのかと、大阪以外でどこでやるんだと、それを言っていただかなければ、北海道の人がわざわざ大阪まで行くより北海道でやってくるなら北海道に出たいと、東京の人は東京でやるなら東京で出たいと言ってきておりますので、その点も含めて、どこで何回やるかということを早目に決めていただければ、応募者もそれなりに考えてやっていただけるものと思っております。
【佐藤会長】そうしたら、併せてどこでやるのかという点もお願いします。
【事務局長】お決めいただきたいことなんでございますが、まず、地方公聴会の開催地をどうするかということでございます。いろんな考え方もあるんでございますけれども、意見発表者や傍聴者が集まりやすいことを考えますと、大きな高等裁判所の所在地で地方公聴会を実施することが適当ではないのかと一つには考えます。
候補といたしましては、第1回が大阪でございますので、その後、北の札幌、西の福岡、最後のまとめとして東京でやってはいかがかということでございます。
その回数でございますが、最初、事務局で申し上げた9回というのはいささか多いという御意見もございましたので、この4回くらいでいいのかということでございます。
それ以外に回数を増やすべきだということでありましたら、例えば、高裁所在地はその4箇所でありますので、例えば、いわゆる弁護士のゼロワン地域なども含めました地方都市で開催することも考えられますが、大阪でこのような応募状況ですので、どういう応募状況になるか、いささか心配なところもあります。地方では金沢辺りだと北陸の大きな都市として集まってくれるのではないかと考えますが、そのような観点からいささかの候補地を検討案の方に記載しておきましたので、御検討いただければと思います。
地方公聴会は、例えば、先ほど申し上げました高裁所在地の4箇所にしましても、あとは地方の実情視察を行うべきだという考え方もあろうかと思います。その候補地といたしましても、ここに掲げました辺りを一つの例として考えていただければと思います。
これはあくまでも事務局で考えました候補地でございますので、まだ現地の法曹三者の方にも何らコンタクトを取っておりませんので、向こうで迎える用意がないというのであれば、だめになるかもしれませんので、その点、早目に幾つかの候補を挙げていただきますと、我々の方で向こうとコンタクトを取ってみるつもりでございます。
次に、開催時期でございますが、先ほど来、審議会の日程が非常に詰まっておるということでございまして、このような公聴会も早目にやった方がいいだろうと考えますと、3月に大阪でやりますので、4月、5月は海外視察でいささか忙しいということになりますと、6月、7月ということが考えられますが、審議会の日程をにらみながら考えますと、6月16日金曜日から17日土曜日にかけてというものと、7月14日から15日の金・土というものの二つが、委員の皆様に一番集まっていただきたいやすい時期ではないかと考えております。
この二つの時期に、回数を増やすとしましたら、同時に西と東に開催するということも考えられますので、その辺りも含めまして、何回やるかということと一緒に考えていただければと思います。
ただ、東京で開催する場合には、もう実情視察は済んでおりますので、平日のいかなる時期でもできると思っております。例えば、審議会の日程を考えますと、7月24日の月曜日か、あるいは26日の水曜日辺りを予定していただければいかがかと考えております。
最後にお決めいただきたいのは、中間報告までこのような地方公聴会を考えまして、更に中間報告後もやった方がいいのか、もう中間報告の前に地方公聴会を済ました方がいいのかということも御決定いただければと思います。
なお、公聴会に出ていただきます委員の人数でございますけれども、全員に出ていただく必要はないというふうに考えておりますので、各回3、4名程度の委員に出ていただければ、それに合わせて事務局の方の補佐の人間を手配としたいと考えております。
以上でございます。
【佐藤会長】ありがとうございました。
もっといろいろとやった方がというお考えもあるかもしれませんけれども、私どもの審議も日程上非常に詰まっておりますので、公聴会は大阪も含めて4箇所かなという感じがするんですけれども、いかがでございましょうか。理想を言えばいろいろあると思いますけれども、よろしゅうございますか。
【吉岡委員】その程度しかできないだろうということは分かるんですけれども、沖縄に高裁がありませんよね。それで情報公開法ができたときにも、沖縄のことが問題になっておりまして、沖縄だけが別という感じになりがちな気がするんですけれども、ただ応募する人がいるかという問題も含めて検討しなければいけないということも分かりますが、できれば沖縄を入れたらと思います。
【佐藤会長】それは実情視察ではなくて公聴会としてですか。
【吉岡委員】はい。
【井上委員】遠隔地の人に来ていただく場合に、旅費等はこちらで負担できるのでしょうか。
【事務局長】それはできないと思います。
【井上委員】できるのならば、福岡のときに沖縄の方に来ていただくということも考えられますけれども、できないとすると、こちらから行くしかないですね。
【事務局長】そうですね。
【佐藤会長】今、吉岡委員のおっしゃったことはごもっともなところでもあるんですけれども、負担との関係を考えると。
【藤田委員】沖縄は福岡高裁の支部がございますけれども、情報公開法の関係では、高裁本庁所在地ではないが沖縄は特別に考えたらいかがかという問題があったわけです。御承知のとおり、沖縄返還まで特別な裁判所がございました。裁判官とか弁護士の資格なども、復帰後特例措置で処理したということがございますので、もちろん、そうだから聞く意味がないということではございませんけれども、やや特殊な状況があるということを前提にして、入れるかどうかを考えた方がいいのではないかと思います。
【佐藤会長】 この点についてほかに御意見がございますか。
海外視察をやり、さらに、ということですからね。実情視察の候補として考え、検討するということで、沖縄も実情視察の候補対象に入れさせていただきましょうか。
【事務局長】皆様がそうということでありましたら、こちらからコンタクトをとってみます。
【佐藤会長】そうしましょうか。吉岡さん、それでよろしいでしょうか。
【吉岡委員】はい。沖縄だけは特別置いておいて、外側であるような、そういう扱いはできるだけ避けた方がいいんじゃないかと思います。
【佐藤会長】外側という趣旨ではないんですけれども、高裁単位で考えたものですから、こうなったんですけれども、御趣旨はわかりますので。
【石井委員】サミットが7月21日にありますね。
【藤田委員】どうせ行くなら宮古、石垣という手もあります。
【鳥居委員】実情調査なら、そのときにやり方として、沖縄を代表する方々と懇談するとか、そういう方法で今おっしゃったことを実現したらいいですね。
【事務局長】実情視察に関しましては、今、鳥居委員がおっしゃいましたように、皆様の御意見がありましたら、法曹三者だけの見学ではなしに、例えば、そこの商工会議所とか、地方自治体の人たちに集まっていただくような懇談会を開催してもできるとは思っております。
【佐藤会長】そういう趣旨も含めて、どこをピックアップするかを検討させていただくということでよろしゅうございましょうか。
それと、もう一つは、中間報告を発表した後で公聴会をやるかどうかということもあるんですけれども、これ今、決めないといけませんか。
【事務局長】別に今でなくてもいいんですが、先ほど申しましたように、地方公聴会をどこでやるかということを早目に告知しておけば、国民の皆さんが、どこで出るかということを決めていただけるということです。
【佐藤会長】中間報告発表後にやるかやらないかです。
【事務局長】言い換えれば、4回以上やるかどうかということでございます。
【井上委員】中間報告は、一応のめどとしては10月ということになっていますけれど、ずれる可能性もないとは言えませんから、今決めるのはちょっと尚早ではないでしょうか。
【佐藤会長】基本的には、中間報告前に4回やる、そして、実情視察も適当なところをピックアップしてやるということで、今日の段階では決めておくということでいかがでしょう。
【曽野委員】この2日間はどういうふうにお使いになるんですか。
【事務局長】金曜日の方は、実情視察をしていただこうと思っております。これは札幌、福岡というふうにやっておりますけれども、別に札幌地裁、福岡地裁ということではなしに、例えば札幌高裁管内のしかるべき小さなところと言いますか、支部の実情視察を希望されるということでしたら、そこをあてます。土曜日は集まっていただきやすいのでその日を公聴会にするという趣旨でございます。
【佐藤会長】では、この件はよろしゅうございましょうか。
それでは次に、海外の実情調査の実施についてお諮りしたいと思います。
前回、日程と訪問国について御了解いただいたわけですけれどけも、今日は調査事項、それから訪問先について御審議いただきたいと思います。
これも事務局の方で検討用メモを用意しておりますので、事前に御覧いただいていると思います。
これは、会長代理が海外の事情に詳しく、その御意見を参考にし、また、デンマーク、オランダについて調査をお願いしております井上委員の御意見も伺った上で事務局で作成したものでございます。ちょっと御説明いただけますか。
【事務局長】それでは、説明させていただきますが、その前に当方の調査不足で少し訂正をさせていただきたいと思うことが一点ございます。
ヨーロッパの方では5月1日がメーデーで休日だということでございまして、せっかくドイツ、フランスに行きましても、1日は向こうの方と会えないということになります。この案ではヨーロッパは4月29日に出発いたしまして、5月10日に帰ってくるという予定になっておりますが、その関係で4月30日の出発で5月11日に帰国ということにさせていただきたいと思います。
ドイツ、フランスの調査を充実したものとさせるために、ドイツ、フランスからイギリスへの移動日を2日ずらしまして6日の土曜日にイギリスに移動するという案に訂正をさせていただきたいと思います。
それでは、調査事項でありますが、調査期間が限られておりますことなどから、基本的かつ重要な事項に限って実情を調査するのが適当ではないかと考えまして、裁判官任用制度、陪審・参審制度、法曹養成制度、司法改革の動向を調査事項として挙げています。
そのほかにつきましては、スケジュールの関係で余裕があれば付加的に他の事項についても調査するという趣旨でございます。例えば、アメリカでありましたら、公設弁護人事務所などが考えられようかと思われます。
なお、韓国につきましては、訪問国として選んだ趣旨が、最近の司法改革の動向の関係でございますので、この点に絞って調査してはどうかと考えています。
次に、訪問都市ですが、韓国、イギリスにつきましては、時間の制約もありますので、首都に限定せざるを得ないというふうに思われます。それ以外のアメリカ、ドイツ、フランスにつきましては、現地でのフォロー体制なども考慮して選定してみました。訪問先につきましては、調査事項を踏まえ、文献調査では補えないような、各国で適当と思われる場所として考えられるおおよそのところを挙げておりますが、時間の制約もありますので、これらのすべてを訪問するという趣旨ではございません。
先ほど会長が言われましたように、この検討メモは会長、会長代理、井上委員の御意見も踏まえて事務局において作成したものであります。審議の参考にしていただければと考えております。
以上でございます。
【佐藤会長】どうもありがとうございました。今の説明につきまして、何か御質問とか御意見ございましょうか。
【曽野委員】5月7日の日曜日というのは何をなさるんですか。
【事務局長】日曜日でございますので、休息をしていただくことになろうかと思います。
【曽野委員】分かりました。
【竹下会長代理】ヨーロッパの方ですが、これは1日後ろへずらさないと具合が悪いのでしょうか。この5日の金曜日というのが使えなくなるわけですね。
【事務局長】そういうことです。
【井上委員】ヨーロッパでは、国によって金曜の午後はほとんど使えません。午前中からみんなそわそわしているということもありますので、金曜は余り期待できないと思うのです。
その後、いろいろ聞いたり考えてみたのですが、アメリカのワシントンD.C.、これは首都という意味で象徴的なのですけれども、司法制度は特殊なものでして、長い間連邦の直轄地であって、比較的最近に自治体になり、裁判所も2系統あるのですが、自治体の裁判所も連邦のそれに近い側面もあって、他の地域とはかなり異なっているのです。そういう意味では、アメリカの司法制度の平均像を見るのにふさわしいか、やや疑問です。
アメリカにはどなたが行かれるのかわからないのですが、東海岸へ行き、西海岸に移り、さらにソウルに行くというのは、相当大変ですね。ですから、東海岸もできればひとかたまりの、例えばニューヨークとニューアークですと対岸ですので、比較的簡単に移動できますから、そういう所を集中的に見て、西海岸は飛行機の乗り継ぎ的な感じで短い時間見る、というような方がいいようにも思います。
ドイツについても、ベルリンは首都なのですけれども、まだ政府機能は完全に移っていないとか、東と西を統合した後なお完全に落ち着いていないといった事情があるようでして、これもかなり特殊な状況にあるらしいのです。それよりは、もっと別のところを見た方が、ドイツの司法制度の平均的な像をつかむことができるのではないかというふうに、ドイツの事情に詳しい同僚などは言っております。
あと心配なのは、アメリカのロー・スクールの5月の初めというのは卒業直前なので、卒業試験にかかるということになると、ちょっと授業等は見られない。ロー・スクールによっては時期がずれていますので、うまく設定できれば一番いいのですが。
【佐藤会長】確かめないとなんですね。
【事務局長】この案でよろしければ、現地の大使館と連絡を取りまして、どのようなところに回っていけば効率的かということを相談しながら決めさせていただきたいというふうに思います。
【佐藤会長】では、今、御指摘のような点も注意しながら、会長代理、井上委員と御相談しながら決めたいと思いますが、もちろん、最終的にはこの審議会にお諮りいたしますけれども、そういうことでよろしゅうございましょうか。
訪問先の御希望をどこになさるかということがあるんですけれども、委員の組合せなどの関係もありまして、必ずしも御希望どおり行くかどうかは自信がありませんけれども、できるだけ配慮したいというように思っております。後日、事務局から御希望を伺わせますので、よろしくお願いしたいと思います。何か事務局の方で付け足すことはありますか。
【事務局長】ただ今、海外視察に関しまして、訪問先、質問事項の作成等のお話がございました。しかしながら、視察時間の関係からも十分な調査ができないこともありましょうし、具体的な作業の中で調査事項によっては、必ずしも質問の形ではなく、調査嘱託によるのが相当と考えられるようなものも、あるいは出てこようかと思います。
また、今後の審議の過程で訪問国以外の国の制度の実情や、必ずしも海外の制度に限りませんが、調査嘱託を行うのが相当と考えられる事項もあろうかと思われます。こうした調査につきまして、御希望がございましたら、随時事務局にお伝えください。
なお、嘱託期間の問題もございますので、できれば早目に御連絡をいただければと存じます。
以上でございます。
【佐藤会長】ということでございますので、ありましたらどうぞ御遠慮なくインフォームしていただければと思います。では、この件はこれでよろしゅうございましょうか。
それでは、次にアンケート調査について御相談したいと思います。
アンケート調査をやるということは、かねて申しておりますけれども、来年度になりますが、どのような目的で、どういう内容で実施するのか、いつごろやるのかという点につきまして、御意見をいただければと思いますが、何か事務局の方からありますか。
【事務局長】アンケート調査につきましては、これまでの会議の過程で委員の中から司法制度に対する国民の声を聞くために、当審議会として実施する必要があるとの御指摘もございましたので、事務局としましても、その方法で検討を進めたいと考えているところでございます。
ところで、この種の調査の方法としましては、おおまかに分けますと、世論調査と有識者アンケート調査の二つがございます。世論調査の方は、全国から抽出した複数の地点においてサンプルとなる個人を無作為抽出して面接方式により、質問をして回答を得るという方法です。
他方、有識者アンケート調査は、学識者、マスコミ関係者、自由業者、企業等経営者役員、地方公共団体の首長等、分野ごとに対象者を抽出して質問表を郵送して回答を得るという方法です。調査の目的、質問項目によりまして、いずれの方法がふさわしいかという問題もあろうかと思います。
この調査に要する期間でございますが、いずれにしましても、業者に委託することを考えておりますが、業者の説明によりますと、世論調査の場合ですと、細かな質問事項が確定してから面接調査の実施、集計を経て、調査結果を得るまでには少なくとも3か月程度ということであります。したがいまして、調査結果を御審議に反映させるためには、できるだけ早く業者へ委託する必要がありますが、企画等の準備に要する期間もございますので、先ほど会長からお話のございました点につき、本日、委員の皆様方に御審議をいただいて、事務局にしかるべく御指示をしていただければと考えます。
なお、有識者アンケート調査によりますと、面接という手間がありませんので、若干早くなろうかという説明でございました。
以上でございます。
【佐藤会長】ということでございますけれども、何か。
【鳥居委員】無作為抽出で調査対象を選ぶとおっしゃっいましたけれども、インタビューするんですか。
【事務局長】インタビューをします。
【鳥居委員】無作為に選ぶのは。
【事務局長】業者がやります。
【鳥居委員】個人を無作為に選ぶんでしょうか、それとも世帯表か何かで世帯番号で選ぶんでしょうか。個人に番号は付いていないから無作為には選べないでしょう。駅で適当につかまえるという無作為なら、それは無作為にならないでしょう。
【事務局長】世帯を基準にして。
【鳥居委員】やはり世帯番号で選ぶでしょう。
【事務局長】抽出する人は、まさに個人を抽出するということです。
【鳥居委員】二つの問題がある思うんですが、一つは、無作為抽出は多分番号でしか選べませんので、乱数表と対応して番号をぶつけるわけですから、世帯番号か有権者番号でしょうかね。そういうもので多分選ぶんだと思うんです。
そうしますと、2番目の問題として、本当に男女の比率がイーブンになるかという保証は全くありませんし、それから所得階層などのクラスターごとにとらえられるかどうかわからない。もし本当に個人を対象にランダム・サンプリングをするのであれば、クラスター別のランダム・サンプリングと。要するに、調査の目的によってどういう層を切るか違いますけれども、多少の工夫が要るんじゃないかと思います。年齢階層が重要だと思います。
【吉岡委員】年齢、男女別というのはできると思うんですけれども、所得階層とか、それはプライバシーの問題がありますから難しいと思います。
【鳥居委員】抱えている問題は所得階層によって明らかに違うんですね。司法との関わりで抱えている問題は。一番重要なのは、本当に所得階層の低い方々がどういうつらい思いを耐えているかというようなことが出てくる方がいいわけでしょう。
【事務局長】その点でございますが、事務局員に確認いたしましたら、業者の説明では、条件を付けていただければその条件に合う抽出もあり得るということでございます。何の条件も付けなければ、そういう無作為で選ぶということでございますので、その点も含めて、そういう条件を付けるのでありましたら、どうぞおっしゃっていただければ、そのように業者には指示いたします。
【吉岡委員】標本数はどのくらい考えているんですか。
【事務局長】2,000 ~3,000 を考えています。
【鳥居委員】昔の家計調査のタイプですね。今は6,000ですけれども、昔、総理府統計局がやっていた家計調査は20年くらい前までは2,000でした。ですから、大体それと同じ数です。
【髙木委員】先ほど中間報告が出た後、公聴会をやるやらぬの話は、そのときに判断しようということですが、一般的なアンケートにももちろん、それなりの意義はあるんでしょうが、中間報告が出た後、中間報告の中身について有識者調査的な調査をやってみるのはどうなんだろうかなと思うんですが。
【佐藤会長】それも面白いあれですね。どうしますかね。今日、いろいろ御意見をちょうだいしましたが、各委員からこれが一番いいじゃないかというのをちょっとお考えいただいて、次回にもう一遍御相談させていただくということでいかがでしょうか。
【髙木委員】結構です。
【曽野委員】業者をお使いになる時は、いろいろと配慮なさった方がよろしいかと思います。
【佐藤会長】御注意ありがとうございました。そうしましたら、この件は改めて次回に御相談したいと思います。
予定しておりました議題は以上でございますが、あとは配付資料の確認の方ですか。
【事務局長】例によりまして、配付資料の一覧表に基づいて御説明申し上げますが、三番目の「臨時司法制度調査会意見書」と言いますのは、臨時司法制度調査会が2年間の審議の末とりまとめ、昭和37年8月に発表した意見書です。これまでもいろいろと臨司のことが出ておりますが、今回まとめまして、その報告書をお配りいたしますので、御参照いただければと思います。
四番目の「国会議事録」は、昨年12月14日に行われました衆議院法務委員会の司法制度改革審議会に関する小委員会における議事録でございます。これにつきましては、以前に議員の指摘や要望事項をまとめましたものをお配りしているところです。併せて御参照ください。
なお、この議事録の6ページの最上段の1行目に「革新的な論点」と、レボリューションの「革新的」という言葉になっておりますけれども、革新的な御審議をされますことは非常に結構でございますが、それは私が言うべきことではございませんでして、私が説明しましたときのつもりは、物事の中心という意味の「核心」でございまして、議事録になりましたらこういう漢字になっておりました。訂正方を申し入れたのでありますが、議事録につきましては、慣例上修正しないということでございましたので、ここで私が説明させていただきます。
五番目の「各界要望書等」ですが、今回は分量が多いために後日郵送にしてお送りすることにいたしまして、本日は一覧表のみ配付させていただきました。
なお、今回配付分の中に、昨年12月22日に工業所有権審議会で通産大臣に対して答申されました「知的財産専門サービス小委員会報告書」と、これを踏まえて同審議会法制部会長名で当審議会に宛てて発出されました「我が国司法制度改革への要請」と題する文書が入っています。同報告書の中に知的財産紛争について当審議会に関連する事項や記述が含まれていますことから、工業所有権審議会法制部会長の中山信弘東京大学教授が、佐藤会長及び竹下会長代理に直接お会いになられた際に報告かたがた要請があったものでございます。
七番目は、第8回、及び第9回会議の議事録でございます。
そのほかに、審議用基礎資料というピンク色のファイルをお配りしておりますが、これはこれまでに配付いたしました資料のうち、審議の際にたびたび参照する必要があると思われるものをピックアップいたしまして、一つのファイルにまとめたものでございます。あくまでも審議の際の参照用として作成したものですので、事務局の方で保管し、審議の都度、席上に配付させていただくことにしますが、各委員専用のものになっていますので、書き込みなどしていただいても差し支えごございません。
その他の資料は毎回お配りしているものでありまして、特に説明することはございません。
以上でございます。
【佐藤会長】ありがとうございました。何か御質問ございませんでしょうか。よろしゅうございましょうか。
それでは、最後に次回の会議についてでございますけれども、既に先ほど申しましたように、1月28日金曜日午後2時から、虎の門第10森ビルの審議室で開催いたします。議題につきましては、これも先ほど来申しましたように、竹下会長代理にお話しいただいて、それを中心に御審議いただくということを予定しております。
それから、1月25日でございますけれども、司法研修所の視察があります。参加される委員の皆様にはよろしくお願いいたします。
なお、昨年末にお決めいただきました報道機関の別室での傍聴は、現在、機器の準備を進めておりまして、順調にいけば次回から実施するということになります。
最後に本日の記者会見はいかがいたしましょうか。私の希望と言ったら何ですけれども、中坊委員と井上委員、先ほどレポーターをお引き受けいただきましたので、若干、今後の打合せもかねて、ついでですからと言ったら恐縮ですけれども、記者会見も、もしなんでしたらお出ましいただければと思います。もちろん、ほかの委員の方々もいかがでしょう。
では、お二人の委員の方、お願いいたします。
本日はどうもありがとうございました。