司法制度改革審議会
司法制度改革審議会 第11回議事概要
- 1 日時 平成12年1月28日(金) 14:00~17:00
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- 2 場所 司法制度改革審議会審議室
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- 3 出席者
- (委員、敬称略)
佐藤幸治会長、竹下守夫会長代理、石井宏治、井上正仁、北村敬子、髙木剛、鳥居泰彦、中坊公平、藤田耕三、水原敏博、山本勝、吉岡初子
- (事務局)
樋渡利秋事務局長
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- 4 議題
- ①「国民がより利用しやすい司法の実現」及び「国民の期待に応える民事司法の在り方」について
- ②アンケート調査等について
5 会議経過
① 竹下会長代理から、「国民がより利用しやすい司法の実現」及び「国民の期待に応える民事司法の在り方」に関し、制度の現状や問題となる論点等について説明が行われ(別添参照)、これを踏まえた以下のような意見交換の後、司法の機能充実のためには、まずもって人的基盤の拡充が必要である旨の確認がなされた。
- ○ 情報公開の観点から判例の公開をもっと充実したものとし、企業法務などによる利用において、予防的機能を果たし得るようにしてほしい。
○ 昨年末我々がとりまとめた論点整理の総論における、なぜ司法が使いづらいものとなっているのか、法がこの国の血肉と化すために何をなさなければならないのかという問題意識から出発してこれから各論に入っていくのだから、「国民がより利用しやすい司法の実現」について、司法官僚制による弊害など問題の根本にある原因を踏まえて議論する必要がある。
○ 裁判所へのアクセスの拡充については、「訴訟費用」、「時間距離=裁判所の配置」、「施設の明るさとプライヴァシーの保護」及び「広い意味での応接」の四つの観点から議論すべきではないか。特に、人的問題にかかわる問題としては、このような意味での「応接」について、どのように教育するのか、それをどのような制度として仕組むのかという問題について議論すべきではないか。
○ 裁判手続外の紛争解決手段(ADR)については、その重要性を否定できない大きなメリットがあるが、裁判所による民事・家事調停に比べると利用件数が少ない。その理由は、PRの不足もあるかもしれないが、官尊民卑の遺風によるところが大きいものと思われる。そうしたことを解決し、ADRの機能を十全に発揮させるための改善策についても議論すべきではないか。
○ なぜ国民にとって司法が利用しづらいものとなっているのか、その原因はどこにあるのかという問題意識の受け取り方は人によって違う、色んな見方がある。その色々な意見を出し合って、議論を進めていくのが今の段階ではないか。
○ 労働訴訟や消費者訴訟では、証拠収集ができないために泣き寝入りとなっている場合が多いと思われる。ディスカバリーなどを含め証拠開示の在り方についても議論すべきではないか。
② アンケート調査の実施の目的や時期、調査の内容等について、事務局において叩き台となる案を作成の上、適切な時期に審議会に提出し、それを基に審議を行うこととされた。
③ 前回の会議において、大阪のほかに開催することが決定された札幌、東京及び福岡を含めた4箇所での地方公聴会等について、その日程の確認がなされ、以下のとおり決定された。
第1回 | 大 阪 | 実情視察 | 3月17日(金) |
公聴会 | 3月18日(土) 於:大阪弁護士会館 |
第2回 | 福 岡 | 実情視察 | 6月16日(金) |
公聴会 | 6月17日(土) |
第3回 | 札 幌 | 実情視察 | 7月14日(金) |
公聴会 | 7月15日(土) |
第4回 | 東 京 | 公聴会 | 7月24日(月) |
④ 海外実情調査に関し、各委員の訪問先の希望等も勘案して会長及び会長代理において調整した結果を踏まえて、アメリカについて本年4月29日から5月9日まで、ヨーロッパ(独・仏・英)について本年4月30日から5月11日まで、それぞれ調査を行うこととされた。
以 上
(文責 司法制度改革審議会事務局)
- 速報のため、事後修正の可能性あり -
(別添)
「国民がより利用しやすい司法の実現」及び「国民の期待に応える民事司法の在り方」についての論点整理メモ
平成12年1月28日
竹 下 守 夫
Ⅰ はじめに
Ⅱ 制度的基盤に関わる項目の論点
1 裁判所へのアクセスの拡充
(1) 訴訟費用の負担の軽減
1)提訴手数料
①現行制度
②諸外国の法制
③検討すべき論点
2)弁護士費用の訴訟費用化
①現行制度
②諸外国の法制
③検討すべき論点
3)訴訟費用保険
①現行制度
②諸外国の実情
③検討すべき論点
(2)法律扶助制度の拡充
(3)裁判利用相談窓口(アクセス・ポイント)の設置
1)現在の状況
①家裁の家事相談窓口
②簡裁の相談窓口
③窓口での事務
2)外国の実情
3)検討すべき論点
(4)裁判所の管轄・配置
1)家庭関係事件の家庭裁判所への集中
①現行制度
②検討すべき論点
2)簡易裁判所の事物管轄・少額訴訟の範囲の拡大
①現行制度
②検討すべき論点
3)裁判所の配置
①現状
②検討すべき論点
(5)開廷日、時間の柔軟化
①現状
②検討すべき論点
2 民事裁判の充実・迅速化ー一般民事訴訟(少額訴訟を含む)
(1)わが国の状況
1)新民事訴訟法における充実・迅速化の方策
2)一般事件の審理期間
3)少額訴訟の実情
(2)諸外国の状況
(3)検討すべき論点
3 専門的知見を要する事件(知的財産権・医療過誤・建築瑕疵紛争・労働関係各事件)への対応
(1)わが国の現状
1)審理長期化の要因
2)裁判所の取組
(2)諸外国の対応
1)知的財産権事件
2)医療過誤・建築瑕疵紛争事件
3)労働関係事件
(3)検討すべき論点
4 民事執行制度の在り方
(1)現状
(2)検討すべき論点
5 司法の行政に対するチェック機能の在り方
6 裁判手続外の紛争解決手段の在り方
(1)現状
1)民事・家事調停
2)各種仲裁
3)その他のADR
(2)諸外国の動向
(3)検討すべき論点
7 司法に関する情報公開・提供の在り方
(1)現状
1)裁判所の情報提供
2)法務・検察庁の情報提供
3)弁護士・弁護士会の情報提供
(2)検討すべき論点
Ⅲ 国民がより利用しやすい司法・国民の期待に応える民事司法の実現と人的基盤の拡充
1 人的基盤の現状
(1)裁判官数の推移
(2)裁判官以外の裁判所職員数の推移
(3)弁護士数の推移とその地域分布
2 人的基盤拡充の必要
以上