配布資料一覧

資料3

臨時司法制度調査会について

  1. 設置の動機,根拠等
    (1)設置動機
    訴訟遅延の現象が看過できない状態に立ち至る一方,裁判官志望者の数は漸減傾向にあったことから,裁判官の任用制度及び給与制度,これと密接不可分の関係にある検察官の任用制度及び給与制度並びに法曹一元の制度等に再検討を加え,根本的な対策を早急に樹立するために設立された。
    (2)設置根拠
    臨時司法制度調査会設置法(昭和37年5月11日法律第122号)-別添1
    設置期間
    昭和37年9月1日から2年間
    組織
    内閣に設置
    委員20人(衆議院議員4人,参議院議員3人,裁判官3人,検察官3人,学識経験者4人,弁護士3人)-別添2
    会長 我妻榮。

  2. 調査審議状況
    (1)審議事項
    司法制度の運営の適正を確保するため,主として
    (ア)法曹一元化の制度に関する事項
    (イ)裁判官及び検察官の任用制度及び給与制度に関する事項に関する緊急に必要な基本的かつ総合的な施策について調査審議。
    (2)審議経過
    昭和37年9月~39年8月 62回の会議開催
    昭和39年8月28日  意見書決定
    (3) 審議結果
    (ア)法曹一元の制度の採否について
     法曹一元の制度は,それが円滑に実現されるならば,わが国においても一つの望ましい制度である。しかし,この制度が実現されるための基盤となる諸条件は,いまだ整備されていない。したがって,現段階においては,法曹一元の制度の長所を念頭に置きながら現行制度の改善を図るとともに,基盤の培養についても十分の考慮を払うべきである。
    (イ)裁判官及び検察官の任用制度及び給与制度等 
     「決議要目」(別添3)のとおり。

別添1

   臨時司法制度調査会設置法

                         昭和三十七年五月十一日公布
                         法律第百二十二号

   臨時司法制度調査会設置法

(設置)
第一条 内閣に、臨時司法制度調査会(以下「調査会」という。)を置く。
(所掌事務)
第二条 調査会は、司法制度の運営の適正を確保するため、主として、次の各号に掲げる
 事項に関する緊急に必要な基本的かつ総合的な施策について調査審議する。
 一 法曹一元の制度(裁判官は弁護士となる資格を有する者で裁判官としての職務以外
  の法律に関する職務に従事したもののうちから任命することを原則とする制度をいう。
  )に関する事項
 二 前号に掲げるもののほか、裁判官及び検察官の任用制度及び給与制度に関する事項
2 調査会は、前項の施策に関して、内閣の諮問に答申し、又は内閣に意見を述べる。
3 調査会は、前項の答申又は意見を内閣から国会に報告するように、内閣に申し出るこ
 とができる。
(組織)
第三条 調査会は、委員二十人以内で組織する。
(委員)
第四条 委員は、次の各号に掲げる者について、内閣が任命する。
 一 衆議院議員のうちから衆議院が指名する者   四人
 二 参議院議員のうちから参議院が指名する者   三人
 三 裁判官   三人
 四 検察官   三人
 五 弁護士   三人
 六 学識経験のある者   四人以内
2 内閣は、前項第五号及び第六号の委員の任命については、あらかじめ両議院の同意を
 得なければならない。
3 第一項第五号及び第六号の委員について欠員を生じた場合において、国会の閉会又は
 衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣は、前項の規定
 にかかわらず、これらの委員を任命することができる。
4 前項の場合においては、任命後最初の国会で両議院の承認を得なければならない。こ
 の場合において、両議院の承認を得られないときは、内閣は、直ちにその委員を罷免し
 なければならない。
5 内閣は、第一項第五号及び第六号の委員について、心身の故障のため職務の執行がで
 きないと認める場合又は職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認め
 る場合においては、両議院の同意を得て、これを罷免することができる。
6 委員は、非常勤とする。
7 裁判官である委員が特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十
 二号)第九条の規定により受けるべき手当に関しては、同法第十四条の規定の例による。
(会長)
第五条 調査会に、会長一人を置き、委員の互選によつてこれを定める。
2 会長は、会務を総理する。
3 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
(専門委員)
第六条 調査会に、専門の事項を調査させるため、専門委員を置くことができる。
2 専門委員は、学識経験のある者のうちから、会長の推薦により、内閣総理大臣が任命
 する。
3 専門委員は、当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるものとする。
4 専門委員は、非常勤とする。
(幹事)
第七条 調査会に、幹事を置く。
2 幹事は、学識経験のある者及び関係機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
3 幹事は、調査会の所掌事務について、委員を補佐する。
4 幹事は、非常勤とする。
(資料提出の要求等)
第八条 調査会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、行政機関、
 裁判所並びに日本弁護士連合会及び弁護士会に対して、資料の提出、意見の開陳、説明
 その他必要な協力を求めることができる。
2 調査会は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に掲げ
 る者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
(事務局)
第九条 調査会の事務を処理させるため、調査会に、事務局を置く。
2 事務局に、事務局長、事務局事務官その他所要の職員を置く。
3 事務局長は、内閣総理大臣が任命する。
4 事務局長は、会長の命を受けて、事務局の事務を掌理し、部内の職員の任免、進退を
 行ない、かつ、その服務につき、これを監督する。
5 事務官は、命を受け、事務を整理する。
6 事務局長を除くほか、事務局に恒常的に置く必要がある職に充てるべき常勤の職員の
 定員は、四人とする。
(主任の大臣)
第十条 調査会に係る事項については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の
 大臣は、内閣総理大臣とする。
(委任規定)
第十一条 この法律で定めるもののほか、調査会に関し必要な事項は、政令で定める。
   附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和三十七年九月一日から施行する。ただし、附則第二項の規定は、公
 布の日から施行する。
(この法律の施行前における指名及び同意)
2 第四条第一項第一号及び第二号の指名並びに同条第二項の同意は、この法律(前項た
 だし書に係る部分を除く。)の施行前においても、これをすることができる。
(国家公務員法の一部改正)
3 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)の一部を次のように改正する。
  第二条第三項中第十一号の三を第十一号の四とし、第十一号の二の次に次の一号を加
 える。
  十一の三 臨時司法制度調査会の委員
(法務省設置法の一部改正)
4 法務省設置法(昭和二十二年法律第百九十三号)の一部を次のように改正する。
  附則第十七条の次に次の一条を加える。
 第十八条 法務大臣は、臨時司法制度調査会設置法(昭和三十七年法律第百二十二号)
  第二条第一項に規定する施策については、臨時司法制度調査会が置かれている間は、
  法制審議会に諮問しないものとする。
(特別職の職員の給与に関する法律の一部改正)
5 特別職の職員の給与に関する法律の一部を次のように改正する。
  第一条第十七号の二の次に次の一号を加える。
  十七の三 臨時司法制度調査会の委員
(この法律の失効)
6 この法律は、昭和三十九年八月三十一日限り、その効力を失う。

(別添2)

臨時司法制度調査会委員名簿
衆議院議員小 島 徹 三
瀬戸山 三 男
高 橋 禎 一
坂 本 泰 良
参議院議員後 藤 義 隆
林 田 正 治
亀 田 得 治
最高裁判所判事五鬼上 堅 磐
(東京高等裁判所判事)判事鈴 木 忠 一
(東京地方裁判所長) 判事山 本 謹 吾
(最高検察庁公安部長)検事高 橋 一 郎
(最高検察庁検事総長)検事総長馬 場 義 続
(東京地方検察庁検事正)検 事渡 部 善 信
弁護士島 田 武 夫
長 野 国 助
山 本   登
 今 里 広 記
 阪 田 泰 二
 鈴 木 竹 雄
 我 妻   栄


(別添3)

決 議 要 目
      採るべき制度について
 法曹一元の制度(臨時司法制度調査会設置法第二条第一項第一号の制度をいう。)は、
これが円滑に実現されるならば、わが国においても一つの望ましい制度である。
 しかし、この制度が実現されるための基盤となる諸条件は、いまだ整備されていない。
 したがつて、現段階においては、法曹一元の制度の長所を念頭に置きながら現行制度の
 改善を図るとともに、右の基盤の培養についても十分の考慮を払うべきである。

      具体策について
第一 裁判官制度
 一 任用制度運用の改善
   弁護士、検察官等で裁判官となるにふさわしいものをできる限り多数裁判官に任用
  することができるよう法曹三者が協力すること。
 二 判事補制度の改善
  1 判事補は、原則として、地方裁判所及び家庭裁判所において、一人で判決をする
   ことができないものとすること。
  2 判事補のうち在職三年に達しない者は、判決以外の裁判も、特に法律で定める軽
   易なものを除き、一人ですることができないものとすること。
  3 判事補の研修を充実強化すること。
 三 簡易裁判所判事制度の改善
  1 簡易裁判所判事には、できる限り、判事定年退官者等法曹有資格者を充てること。
  2 いわゆる選考任命の簡易裁判所判事は、各方面から人材を求めるとともに、その
   素質の向上を図ること。
  3 一定年数の経験を有する選考任命の簡易裁判所判事で一定の考試を経たものは、
   判事補に任命することができるものとすること。
 四 裁判官の増員
   裁判官の定員を相当程度増加すること。
 五 裁判官の補助機構
  1 裁判所調査官制度を次のとおり拡充すること。
    (一) 高等裁判所における裁判所調査官の制度を拡充し、これに一般事件の審理及
     び裁判に関する調査をもつかさどらせるようにすること。
   (二) 地方裁判所に、裁判官の命を受けて工業所有権関係事件等の特殊事件の審理
     及び裁判に関して必要な調査をつかさどる裁判所調査官を置くこと。
   (三) 地方裁判所に、裁判官の命を受けて一般事件の審理及び裁判に関して必要な
     調査をつかさどる裁判所調査官を置くことを検討すること。
  2 1のほか、裁判所の補助職員の充実整備を図ること。
第二 弁護士制度
 一 弁護士の大都市偏在化の是正
   地元弁護士会及び日本弁護士連合会において自主的な方策を講ずることとするほ
  か、国においてもとるべき対策を検討すること。
 二 弁護士活動の共同化
   弁護士活動の共同化を推進するための方策を講ずること。
 三 弁護士倫理
   弁護士倫理の確立を期するため、綱紀委員会の構成及び運営を改めるほか、日本弁
  護士連合会及び各弁護士会において諸般の措置を講ずること。
 四 弁護士会の運営
   弁護士会の活動を一貫した活発なものにするため、弁護士会の機構の充実を図るこ
  と。
 五 弁護士の職域
   弁護士の紛争予防的活動を強化する方策を講ずること。
 六 その他
  1 弁護士強制、弁護士報酬の訴訟費用化及び法律扶助制度の拡充について検討する
   こと。
  2 「裁判官制度」の三の3による判事補の制度が実施された場合には、この判事補
   に法曹資格を付与すること。
  3 検察庁法第一八条第三項の規定により任命された検事に法曹資格を付与すること。
  4 一定期間簡易裁判所判事又は副検事の職にあつた者について、一定の選考手続を
   経て、弁護士となる資格を付与すること。
第三 検察官制度
 一 検察官の職務活動
   検察官の公判活動を一層充実強化するとともに、検察官の過重な事務負担を緩和す
  ることとし、そのため検事の増員及びその補助機構の充実整備を図ること。
 二 副検事制度の改善
   副検事の増員及びその資質の向上を図ること。
第四 司法試験制度
 一 各分野の法律専門職の資格試験等の統一
   立法、司法、行政及び民間の各分野における法律専門職の資質の向上及び均質化を
  図るため、その資格試験及び修習等を統一的に行なうことの可否を検討すること。
 二 試験方法等の改善
   司法試験に素質のある優秀な者を多数合格させるため、次の諸方策を講ずること。
  1 大学卒業見込者を多数受験させるための方策を講ずること。
  2 試験方法を次のとおり改善すること。
   (一) 第一次試験を廃止し、短答式による試験は、法曹となろうとする者として必
     要な一般教養及び基礎的法律知識について行なう。
   (二) 論文式による試験の科目は、次の五科目とする。
     (1) 必須科目   憲法、民法、刑法
     (2) 必須選択科目 商法及び行政法のうち一科目
              民事訴訟法及び刑事訴訟法のうち一科目
   (三) 口述試験の科目は、論文式による試験において受験した科目五科目のうち三
     科目とする。
   (四) 各試験の科目の範囲を大学三年程度の履修状況に適合するよう制限する。
 三 受験回数又は年齢の制限
   受験回数又は受験年齢を制限することの可否を検討すること。
 四 司法試験の管理運営
   司法試験の管理運営を次のとおり改善すること。
  1 司法試験管理委員会の委員は、法曹三者から各一人及び学識経験者二人合計五人
   とすること。
  2 司法試験管理委員会の権限を拡大し、運営を強化すること。
  3 司法試験管理委員会の事務機構を拡充整備すること。
第五 司法修習制度
 一 修習についての改善
  1 司法修習生の増加に伴い、司法研修所の施設を拡充整備すること。
  2 修習の期間は現行どおり二年とするが、実務修習の期間を短縮することを検討す
   ること。
  3 実務修習地における司法修習生の受入れ態勢を整備すること。
  4 司法研修所における修習の充実を図るとともに、司法修習生に対する監督、修習
   成績の評定及び考試を一層厳正に行ない、法曹にふさわしい品位と能力を十分に備
   えさせるようにすること。
 二 司法研修所の管理運営
   司法修習生の修習に関し、基本方針の樹立及び実施に関する重要事項について、最
  高裁判所の諮問に答え、又はこれに意見を述べる機関として、最高裁判所に裁判官、
  検察官、弁護士及び学識経験者で構成する委員会を置くこと。
第六 法曹一般
 一 法曹人口の増加
   法曹人口が全体として相当不足していると認められるので、司法の運営の適正円滑
  と国民の法的生活の充実向上を図るため、質の低下を来たさないよう留意しつつ、こ
  れが漸増を図ること。
 二 法曹の職域拡大
   法曹有資格者が、立法機関、行政機関、私企業等における法律専門職につくことを
  助長するとともに、それらの法律専門職における経験年数を裁判官及び検察官の任命
  資格に関し弁護士の経験年数と同一に取り扱うものとすること。
 三 訟務制度
   国及び地方公共団体等における指定代理人制度について、国及び地方公共団体等の
  代理人たる役割を法曹有資格者に限定することを検討すること。
 四 法曹の一体感
   法曹三者が司法全般に関し常時話し合う場を設け、法曹の一体感を育成することに
  努めること。
 五 司法協議会の設置
  1 法曹三者は、司法の円滑な運営に資するため、裁判官、検察官、弁護士及び学識
   経験者で構成する「司法協議会」(仮称)を設けること。
  2 司法協議会においては、司法に関する重要事項、たとえば訴訟の適正迅速化に関
   する法曹の協力、法曹人口、法曹の交流、法曹倫理、法曹教育等について協議する
   こと。
第七 裁判官及び検察官の給与
 一 給与制度の改善合理化
  1 裁判官及び検察官の給与については、それぞれ、これらの者の職務と責任の特殊
   性等にかんがみ、これにふさわしい独自の体系を樹立すべきである。ただし、その
   樹立に至るまでは、右の趣旨を体し、現行の裁判官及び検察官の任用制度並びにそ
   の運用の実情等にかんがみ、一般の国家公務員の給与制度との対比において基本的
   には現行の制度を維持しつつ、当面の措置としては、3以下の改善を行なうこと。
  2 生計費及び一般賃金事情の変動による一般の国家公務員の給与の改善に伴う裁判
   官、検察官の報酬又は俸給の額の改定に関しては、現行のいわゆる対応金額スライ
   ド方式を維持すること。
  3 裁判官及び検察官の報酬又は俸給について次の改善を行なうこと。
   (一) 判事補及び検事の必要数を確保するため、判事補及び検事の初任給を増額す
     る。
   (二) 経験豊富な判事及び検事の処遇を適正にするため、現在の判事及び検事の特
     号の報酬又は俸給の額をこえる額の新たな報酬又は俸給の号を設ける。
   (三) (二)の措置に伴い、高等裁判所長官、次長検事及び検事長の報酬又は俸給の
     額を増加する。
  4 判事及び検事の報酬又は俸給の刻みを簡素化することを考慮すること。
  5 現行の報酬又は俸給の特別調整額を本俸に繰り入れることを検討すること。
  6 法曹有資格者である簡易裁判所判事のため、現在の簡易裁判所判事の最高の報酬
   額をこえる額の新たな報酬の号を設けること。
  7 検察庁における一般の職員との均衡にかんがみ、現在の副検事の最高の俸給額を
   こえる額の新たな俸給の号を設けること。
 二 退職手当及び退職年金制度の改善
  1 弁護士から裁判官(最高裁判所の裁判官を含む。)又は検察官となつた者が退職
   した場合に支給する手当について何らかの優遇措置を講ずることを考慮すること。
  2 弁護士から裁判官(最高裁判所の裁判官を含む。)又は検察官となり、一定期間
   在職した後退職した者についての共済組合年金制度の特例を設ける等の措置を講ず
   ることを考慮すること。
第八 裁判所の配置等
 一 高等裁判所支部の廃止
   高等裁判所の支部を原則として廃止すること。
 二 地方裁判所・家庭裁判所支部の整理統合
   地方裁判所及び家庭裁判所の支部を整理統合して、甲号、乙号の別を廃し、現在の
  乙号支部を原則として廃止すること。
 三 簡易裁判所の名称の変更
   簡易裁判所の名称を「区裁判所」(仮称)に改めること。
 四 簡易裁判所の整理統合
   人口、交通事情等の社会事情の著しい変動に伴い、簡易裁判所を整理統合すること
  を考慮すること。
 五 簡易裁判所の事務移転
   最高裁判所は、簡易裁判所の調停を除く事務の全部又は一部を他の簡易裁判所に取
  り扱わせることができるものとすること。
第九 裁判手続
 一 裁判手続の合理化
   裁判手続をできる限り合理化することとし、そのために必要があれば、民事・刑事
  の訴訟に関する法令の改正をも考慮すること。
 二 特珠事件の集約的処理
   特殊事件の集約的処理を図ること(たとえば、工業所有権関係事件等については、
  大都会所在の地方裁判所が広範な地域の専属的土地管轄権を有するものとし、これに
  専門部を設けて事件を取り扱わせることその他の方法によること。)。
 三 簡易裁判所の事物管轄の範囲の拡張
   簡易裁判所の裁判権の範囲を次のとおり拡張すること。
  1 民事事件については、訴訟の目的の価額の上限をある程度引き上げること。
  2 刑事事件については、簡易裁判所が地方裁判所と競合して裁判権を有する罪の範
   囲をある程度拡張すること。
 四 司法委員制度
   司法委員制度の改善及びその活用について検討すること。
第一〇 その他
 一 司法行政一般
   司法行政における指揮命令系統を明確にし、かつ、責任体制を確立するための措置
  について検討すること。
 二 裁判・検察事務の近代化
  1 事務処理の態勢を合理化すること。
  2 事務の能率的処理を図るため、物的設備を充実すること。
 三 裁判所・検察庁職員の執務環境の整備改善
   裁判所・検察庁職員の執務環境を整備改善し、特に研究施設等を充実すること。
 四 裁判官及び検察官の宿舎
   裁判官及び検察官の地位にふさわしい宿舎の設備を充実すること。