配布資料一覧
資料7
日本経済再生への戦略
(答申)
平成11年2月26日
経済戦略会議
目次
- はじめに1
- 1.日本経済の現状認識1
- 2.経済再生に向けた基本戦略2
- 3.新たな成長ステージに向けて4
- 4.提言の着実な実行に向けて5
- 第1章経済回復シナリオと持続可能な財政への道筋7
- 1.日本経済の回復シナリオ8
- 2.中長期財政見通しと持続可能な財政への道筋12
- 第2章「健全で創造的な競争社会」の構築とセーフティ・ネットの整備17
- Ⅰ.「健全で創造的な競争社会」の構築18
- 1.「小さな政府」へのイニシアティブ19
- 2.地方主権の確立21
- 3.努力した人が報われる公正な税制改革23
- 4.創造的な人材を育成する教育改革23
- Ⅱ.安心を保障するセーフティ・ネットの構築24
- 1.個人の転職能力を高め、雇用の安心を確保する政策25
- 2.事後チェック型社会に相応しい司法制度の改革27
- 3.持続可能で安心できる社会保障システムの構築28
- 第3章バブル経済の本格清算と21世紀型金融システムの構築32
- 1.不良債権の実質処理促進のためのスキーム構築36
- 2.優良不動産の流動化・証券化の促進40
- 3.間接金融を補完する新たな金融仲介ルートの構築43
- 4.21世紀に相応しい金融インフラの整備45
- 5.公的金融・財政投融資制度の抜本的改革と21世紀の金融行政47
- 第4章活力と国際競争力のある産業の再生50
- 1.産業再生に向けたフレームワーク50
- 2.起業支援と戦略的技術開発53
- 3.人材基盤の整備55
- 4.知的基盤の整備55
- 5.21世紀を先導する産業の創出56
- 第5章21世紀に向けた戦略的インフラ投資と地域の再生59
- Ⅰ.未来型社会資本整備への基本戦略61
- 1.横断的社会資本整備計画への転換と地域経済再生に結びつく計画の策定61
- 2.都道府県および市町村レベルの公共事業の効率性向上のための改革62
- 3.民間ダイナミズムの積極的導入と事業の透明性の向上63
- Ⅱ.重点的に取り組むべき戦略プロジェクト64
- 1.都市の生活環境改善と国際競争力の向上64
- 2.インターネットを中心とした戦略的情報インフラ整備65
- 3.環境ビジネスの創出と循環型社会の基盤構築68
- 4.産学連携による地域再生と21世紀の人材育成69
- 5.高齢化社会に対応した街づくり70
- 6.新しい住宅政策の実現70
- 7.国際交流時代に対応した魅力ある空間の拡大と情報発信の促進71
- おわりに―活力と魅力ある日本の創造に向けて72
-
参考1答申に盛り込まれた各種提言に関連する法律74
参考2経済再生に向けての政策の考え方80
参考資料1アンケート調査について81
参考資料2日本経済の潜在成長率について85
参考資料3マクロ・モデルについて87
付録1経済戦略会議委員名簿88
付録2経済戦略会議の会合の開催状況について89
付録3ワーキング・グループの開催状況について91
第2章
Ⅱ.
2.事後チェック型社会に相応しい司法制度の改革
行政指導による裁量的で不透明な事前的調整社会から、透明なルールに基づく事後的チェック社会への移行を促していく上では、大規模な司法改革による新たな法治国家システムの確立が強く求められる。行政官を削減する一方で、裁判官を増員して判決の迅速化を図るなど、司法能力の大幅な拡充を行う必要がある。
更に、国民が利用しやすい司法制度の確立を目指して、裁判に要する時間的・金銭的な利用コストの低減、事案の性格に応じた多様な紛争解決手続きの整備等を進めることが重要である。
○司法試験合格者は平成11年度から1,000人程度に増員されることになっているが、法曹人口の大幅な拡大を目指すため、その後速やかに2,000人以上に引き上げる。(ちなみに、アメリカでは毎年5万人の司法試験合格者が出ている。しかし、経済戦略会議はアメリカ型の訴訟社会をめざすことを提言しているのではない。)
○司法改革を進めるに当たっては、諸外国のこれまでの経験や現在の改革の方向等も十分踏まえつつ、特に経済分野に関しては、以下のような点を検討・実施する必要がある。
- 個別事案について裁判を行う機能と、裁判機能を支えるサービス機能(裁判の情報化の企画立案、法廷管理・裁判記録の管埋等)は、異なる専門性が必要であることから、これら二つの機能を担当する組織を分離する。
少額裁判手続きとは別に、訴額が大きくなく内容も比較的単純な案件については、一定期間内に判決が出る定型的な日程を適用し、また、特定の訴訟類型については、訴訟提起前の情報開示等について、「標準的手続き」を定め訴訟提起までの争点整理を促進する等、多様な訴訟手続きを整備する。
- 司法関連活動が多様化・専門化している状況に対し、裁判等において非法曹専門家を積極的に活用・登用する。
- 裁判外において弁護士や専門家が行う調停・仲裁等の利用を拡大する。法律扶助の充実を図り、その対象に裁判外の調停・仲裁等の利用を含める。
○司法改革を推進するに当たっては、いわゆる「法曹3者合意」に縛られることなく、国民的見地にたって第三者的機関において検討される必要がある。政府が近々設置予定の司法制度改革審議会の構成・審議の進め方・内容等は、こうした観点から極めて重要である。
○競争制限的な商慣行を迅速に取り除き、独禁法を適切かつ有効に運用するため、公正取引委員会を抜本的に改組し、飛躍的に質を高めるとともに、その独立性を確保するため必要な人員を増員する。