配布資料一覧

政府関係等

○法曹養成制度等改革協議会意見書(95.11.13)(抜粋)

  1. 司法の機能を充実し、国民の法的ニーズに応えるため、法曹人口を増加させる必要があり、そのために、司法試験合格者を増加させる措置を採るべきであるとする点で意見の一致を見た。
  2. 合格者の具体的な増員数及びこれに伴う司法修習制度の具体的な改革案に関しては、意見の一致を見ることができなかったが、合格者については、法曹人口を大幅に増加させるため、中期的には年間1,500人程度を目標としてその増加を図り、かつ、修習期間を大幅に短縮することを骨子とする改革を行い、これに伴って、民事訴訟法及び刑事訴訟法の両訴訟法を司法試験制度の改革を行い、また、法曹資格取得後の継続教育の充実を図るべきであるとする意見が多数を占めた。
    これに対し、司法試験合格者を1,000人程度に増加させるべきであるとする限度で多数意見と一致しつつ、法曹人口の増加は、裁判官・検察官の増員及び法律扶助制度等の「司法基盤」の整備と一体のものとして行うべきであるという観点から、それ以上の増員については、上記の点に関する具体的な計画を策定し、司法試験合格者の増員を検討していくべきである、また、修習期間の短縮には反対であるとする少数意見が述べられた。
  3. 今後、法曹三者は、本意見書の趣旨を尊重して、真に国民的見地にたった司法試験制度及び法曹養成制度の抜本的改革を実現させるため、直ちに協議を行い、速やかに具体的な方策を採らなければならない。

○行政改革会議・最終報告(97.12.3)(抜粋)

Ⅱ 内閣機能の強化

1 基本的な考え方

(3)内閣機能強化に当たっての留意事項
 内閣機能の強化は、日本国憲法のよって立つ権力分立ないし抑制・均衡のシステムに対する適正な配慮を伴わなければならない。
 (中略)
 さらに、司法との関係では、「法の支配」の拡充発展を図るための積極的措置を講ずる必要がある。そしてこの「法の支配」こそ、わが国が、規制緩和を推進し、行政の不透明な事前規制を廃して事後監視・救済型社会への転換を図り、国際社会の信頼を得て繁栄を追求していく上でも、欠かすことのできない基盤をなすものである。政府においても、司法の人的及び制度的基盤の整備に向けての本格的検討を早急に開始する必要がある。
 なお、司法改革の端緒とする意味も込めて、独立行政委員会等が果たしてきた行政審判機能(準司法手続)の統合(行政審判庁構想)等についても、真剣な検討が必要である。

○法律扶助制度研究会・報告書(98.3.23)(要旨)

1 法律扶助制度の在り方及び改革の必要性
○法律扶助制度は、憲法32条の裁判を受ける権利を実質的に保障する制度であり、司法制度の重要な基盤である。
○法律扶助について規定する法律がない下で、これまで、(財)法律扶助協会が扶助事業を行ってきたが、諸外国に比べ国庫補助金が小規模にとどまっており、民間からの資金も十分でないため、財政基盤が不安定で、この財政規模の制約、実施体制の整備不十分等から、国民の需要にこたえるに至っていない。
2 新しい法律扶助制度の具体像
○国は、民事法律扶助に関する法律を制定して、国及び弁護士・弁護士会の責務を明らかにするとともに資金援助を行うなど、その運営に積極的に関与すべきである。
○運営主体としては、国及び弁護士・弁護士会の責務を果たし得るとともに、民間の活力を利用できるものが望ましく、運営効率及び財政的見地等を考慮すると、指定法人がふさわしい。
○事業内容としては、裁判援助に加えて、示談交渉等の裁判前援助及び法律相談の充実を図る。
○対象者については、まず、現行の対象所得層(全世帯の下から約2割の所得層)に対する扶助を充実し、更に、国民の要望、財政事情等を踏まえながら、対象者の範囲の拡大を図っていくよう検討する。
○裁判援助・裁判前援助の利用者の負担については、現行の償還制を維持するか、給付を基本とするかにつき意見が一致せず、両論併記。
 法律相談の利用者の負担は、給付制とする。
○実施方法については、新たに、法律相談につき登録弁護士制度を導入して、各弁護士の事務所において法律相談を行うとともに、裁判援助等の申込みもできることとし、申込み窓口の拡大を図る。
○弁護士費用の具体的基準は、国民・弁護士等の声が反映されるメンバーで構成される機関による検討を経ることとする。

○大学審議会・答申「21世紀の大学像と今後の改革方針について-競争的環境の中で個性が輝く大学-」(98.10.26)(抜粋)

第2章 大学の個性化を目指す改革方策
1課題探求能力の育成-教育研究の質の向上-
(2)大学院の教育研究の高度化・多様化 3)高度専門職業人養成に特化した実践的教育を行う大学院の設置促進
 国際的にも社会の各分野においても指導的な役割を担う高度専門職業人の養成に対する期待にこたえるため、大学院修士課程は、その機能を一層強化していくことが急務となっている。
 そのため、これまでの高度専門職業人の養成の充実と併せて、これを更に進め、特定の職業等に従事するのに必要な高度の専門的知識・能力の育成の特化した実践的な教育を行う大学院修士課程の設置を促進する必要がある。この大学院修士課程は、ケーススタディ、フィールドワークなどを取り入れることにより実践性を担保するするカリキュラムの工夫、実務経験のある社会人を相当数教員として迎えるなど教員の資格や組織の在り方についての配慮等、大学院設置基準等の上でも、これまでの修士課程とは区別して扱うことが必要である。
 この大学院修士課程は、法律実務などの分野においてその設置が期待される。
 我が国の実状においては、米国等と違って大学院の修了が職業資格と直接的に結びついていないことなどから、課程の目的と養成される人材との関係は必ずしも明確でないとの指摘もある。これに関して、現在、法曹養成制度の改革が進行中であり、今後、資格制度と関連して、法曹養成のための専門教育の過程を修了した者に法曹への道が円滑に開ける仕組み(例えばロースクールなど)について広く関係者の間で検討していく必要がある。

○「消費者契約法(仮称)の制定に向けて」(99・1)~国民生活審議会消費者政策部会報告~(要旨)

第1 消費者契約に関する民事ルールの必要性について
1規制緩和・自己責任原則との関係
 ○消費者契約法は、事業者が一般的に消費者に対して優越する立場にある状況下で、両者の格差を是正し、充分に理性的な自己決定をなし得る状況のもとで消費者の自由な意思形成がなされるための環境整備の一環として定められる民事ルール。したがって、司法の役割が重視されるなかでの規制緩和・撤廃の流れに立脚したもの。
2個別分野における取組、民商法との関係
 ○個別法による事業者に対する行政規制については、一般に、消費者利益の実現は行政庁にゆだねられており、消費者自らがそれを実現する手段は与えられていないなど、不十分である。
 ○また、民法は、十分な情報に基づく自発的な意思決定が契約の拘束力を基礎付けるという古典的市民法原理に基づきながらも、そのような意思決定をいかにして確保するかという問題については伝統的にあまり関心を寄せてこなかった。一方、商法には、当事者の一方が消費者である場合でも消費者利益の確保という観点からの特別な規定は設けらていない。
 ○このように、現行法の下では、消費者自ら問題を解決するための手段はほとんど与えられていないため、消費者利益の確保に資する民事ルールを整備する必要がある。

第2 消費者契約に関する民事ルールの在り方について
1 契約締結過程の適正化のためのルールの内容
 ○事業者から消費者への情報の適切な提供の確保、事業者から消費者への不適切な強い働きかけの回避を図るために、これまでに蓄積された我が国おける民事裁判の実務の積み重ねを十分に踏まえ、消費者契約の締結過程の適正化のためのルールを実定法として明確に位置付けることについて検討を進める必要がある。
2 契約条項の適正化のためのルールの内容
 ○事業者の定める契約条項が、消費者取引の信義則に照らして、消費者に不当に不利益なものであると判断される場合には、その効力を否定する不当条項に関する規定を要件を明確にして具体的に定めることが適当である。

第3 消費者契約に関する民事ルールの実効性を確保するための方策について
消費者契約に係る民事ルールの実効性を確保するためには、消費者取引に関する多様な紛争解決制度が整備されていることが重要である。具体的には、次のとおりである。
 ○少額被害に係る紛争解決
 ○利用しやすい裁判制度

○特許庁・21世紀の弁理士制度のあり方を考える懇談会報告書(99.3.25)(要旨)

提言「21世紀の弁理士制度の目指す方向」
1 基本認識(知的創造時代の担い手)
知的創造時代における科学技術創造立国実現のため、産業界等において知的財産権を経営資源として活用することのできる社会的基盤の構築が不可欠。知的財産権分野の専門家たる弁理士の担うべき役割は、飛躍的に増大。

2 基本的方向(「知的創造サイクル」の形成に向けた21世紀の顧客ニーズに応える知的財産権専門サービス提供体制の構築)
知的財産権の戦略的活用を図ろうとする21世紀の企業ニーズに適切に応え、国際的に通用する専門サービスを、我が国においても、弁理士が中核となって提供できるよう、弁理士をめぐる諸制度を抜本的に改革することが必要。

3 提言
(1)提言1(知的財産権戦略の展開に対応した業務範囲等の見直し)
 産業界等における知的財産権戦略の展開(①知的財産権全般へ②権利取得から権利活用へ③戦略のグローバル化を視野に入れたものへ④企業の構造変革を視野に入れたものへ)に対応して、知的財産権に関する専門家としての弁理士による柔軟な取り組みが可能となるよう、弁理士の業務範囲等について抜本的見直しが必要。
 (2)提言2(21世紀の弁理士に求められる資質の確保・養成)
 知的財産権の戦略的活用を図ろうとする21世紀の顧客ニーズに十分対応し得る資質を備えた弁理士を確保・養成するため、弁理士試験及び研修を含む資格付与及び資格登録体制の抜本的な見直しが必要。
 (3)提言3(弁理士資格者の規模の拡大)
 知的財産権の戦略的活用を図ろうとする産業界等のニーズに応え、弁理士の関与すべき業務の拡大に対応するため、弁理士資格者の規模を拡大し、競争と自己研鑚による切磋琢磨の中で専門性を活かした高度なサービスの実現を図ることが必要。
 (4)提言4(顧客ニーズに即応できる弁理士事務所の経営体制の革新)
 知的財産権の戦略的活用を図ろうとする顧客ニーズに適切に対応するとともに、国際的にも競争力を持つ専門サービスを弁理士が提供できるよう、総合的法律・経済関係事務所の設置や弁理士事務所の支所・海外事務所の設置等、弁理士事務所の経営体制を、柔軟性を発揮できる自由度の高いものへと革新していくことが必要。
 同様の観点から、弁理士事務所の法人化についても検討が必要。
 さらに、顧客による弁理士の選択を容易なものとし、顧客のニーズと弁理士の提供するサービスとの適合関係をより良いものとするため、弁理士に関する情報の提供・広告規制の緩和等についても、積極的に取り組むことが必要。
 (5)提言5(弁理士が遵守すべき義務・倫理の明確化)
 産業界等における知的財産権戦略に弁理士が積極的に関与するためには、顧客利益の保護の観点から、弁理士が遵守すべき秘密保持等の義務・倫理についても、見直しが必要。
 (6)提言6(弁理士会の機能強化、透明性の下での自主・自律体制の整備)
 21世紀の知的創造サイクルの確立・強化に向けて、弁理士の積極的貢献を可能とするよう、専門職能団体としての弁理士会の機能を強化することが必要。その際、弁理士会に対する国の関与を見直し、透明性と説明責任の下で、自主・自律体制を構築することが必要。
 第1章21世紀の知的創造時代における知的財産権の位置づけ
 大競争時代においては、付加価値の高いモノ・サービスを生み出すだめの創造的技術開発の必要性が高まり、知的財産権保護・活用の動きがますますグローバル化する。このため、投資リスクが大きい創造型技術開発に対する迅速な権利付与や権利侵害に対する迅速かつ適正な救済措置の実現等、「創造」「権利設定」「権利活用」という知的創造サイクルの強化・加速化が求められる。そこで、立法、司法及び行政における「早く」「強く」「広い」知的財産権の実現のための制度的枠組みの整備拡充や、知的財産権を資産として効率的に活用しうる経済システムの構築が必要となっている。

第2章 知的財産権分野での専門サービスに対する21世紀の顧客ニーズ
 弁理士は、権利取得に関与するとともに、権利活用の段階においても、技術的知見を活かして紛争解決に関与するなど、知的創造サイクルの各段階を通じたサービス提供のニーズに応えていく必要がある。また、中小企業の実態に即した相談や問題解決のできる弁理士の増加が期待される。
 弁理士には、特許・実用新案・意匠・商標のみならず著作権等の隣接領域も含んだ知的財産権全体の専門家として対処することが求められ、鑑定や契約等の交渉代理、更には訴訟代理などへも積極的に関与することが求められる。
 しかし、契約・交渉等の権利活用について相手方の弁護士等から弁護士法違反の指摘を受け、弁護士法・弁理士法の業際ともいうべき領域において、顧客がニーズに適った専門家を選択できないケースも生じている。弁理士の業務範囲の拡大を考える際には、弁護士法第72条の専権業務規定との関係を検討する必要がある。
 今後は、警告書作成・発送、交渉、契約、外国法関連法律事務などについての弁理士の業務について法的手当を検討するとともに、侵害訴訟代理について、今までの弁理士制度や弁護士制度の枠に囚われることなく、どのような条件・環境が整えば実態に即した対応が可能となるかについて明らかにし、司法制度改革の動きとも連携をとりながら、更に検討することが必要である。

第3章 21世紀の弁理士に求められる資質
 弁理士には、技術と法律の両面に渡る総合力、具体的には、技術理解力、実務能力、法的判断能力及び紛争対応能力、グローバル化への対応能力等が求められる。

第4章 弁理士に求められる資質の確保・養成
 試験制度の改善、研修制度の充実、自己研鑚等

第5章 弁理士事務所の経営体制の革新
 総合的法律・経済関係事務所の開設、事務所の法人化、広告制限等

第6章 弁理士の義務・倫理の見直し
第7章 弁理士会の機能強化

○規制緩和推進3か年計画(99.3.30)(要旨)

1 目的
 我が国経済社会の抜本的な構造改革を図り、国際的に開かれ、自己責任原則と市場原理に立つ自由で公正な経済社会としていくとともに、行政の在り方について、いわゆる事前規制型の行政から事後チェック型の行政に転換していくことを基本とする。
 このため、規制の撤廃又はより緩やかな規制への移行等を重視し、平成10年度から12年度までの3か年にわたり規制緩和等を計画的に推進する。

2 横断的検討、見直しの推進等
(1)事業参入規制の見直し
 各種参入規制を緩和・撤廃、国際的整合化等の方向で見直しを行う。また、これまで法人の形態によっては参入が厳しく制限されていた分野において、営利法人等による新規参入を促進し、競争を通じたサービス向上とコスト低下を図るため、原則自由・例外禁止の方向に向けた検討を進める。
(3)資格制度の見直し
 公的資格制度については、各省庁において、別紙1*の指針に基づき、業務独占資格を、国民生活の利便性向上、当該業務サービスに係る競争の活性化等の観点から、業務独占規定、資格要件、業務範囲等の資格制度の在り方を見直し、その結果に基づき計画期間内に所用の措置を行う。
 *別紙1
 各省庁は、次の諸点を含めて見直し・検討を行い、その結果に基づき所要の措置を講ずることとする。
 ①業務独占資格者の業務のうち隣接職種の資格者にも取り扱わせることが適当なものについては、資格制度の垣根を低くするため、他の職種の参入を認めることを検討する。
 ⑤試験合格後の修習等の義務付けについては、合理的な理由なくして参入規制として機能しないようその在り方を見直す。
 ⑧合格人数制限を行っているものについては、参入規制とならないよう、これを見直す。
 ⑨関連・類似資格等については、統合又は試験・講習科目の共通化・免除若しくは履修科目の免除を進めることについて検討する。
 ⑪例えば以下の方法を採用することにより、資格取得の容易化を検討する。
 ⑮公正有効な競争の確保や合理性の観点から、広告規制の在り方を見直す。

3 分野別措置事項
 分野別の措置事項は、別紙3のとおりである。

4 計画の推進方法等
 計画に定められた措置の実施状況に関するフォローアップを行うこととし、その結果は、行政改革推進本部規制緩和委員会に報告するとともに公表する。

5 規制緩和の推進に伴う諸方策
(6)事後チェックを重視したシステムへの移行と司法への期待
 行政が事後チェック型に転換していくことに伴い、許認可等の直接規制に係る体制のスリム化を進めるとともに、明確なルールづくりとそのルールが守られているか否かの監視を重視した体制に移行していく。
 特に、司法の果たすべき役割も変化していくことを踏まえ、司法において適切な措置が採られるよう積極的な検討、見直しが進められることを期待する。

別紙3

分野別措置事項(抜粋)


14法務関係
事項名 措置内容 実施予定時期 備考 当初計画との関係 所管省庁
平成10年度 平成11年度 平成12年度
⑤法曹人口の大幅増員等 司法試験合格者の1、500人程度への増加については、修習の内容や方法の改善、司法修習生の修習先への受入態勢等について継続的に調査・検討を行った上で、国民各層からの意見を反映した新たな中立的立場で行う検討の結果をも踏まえて、適切かつ迅速に検討を進め、早急に結論を得て、所要の措置を講ずる。
その際、司法試験合格後に民間における一定の実務経験を経た者に対して法曹資格の付与を行うための具体的条件等を含めた制度的な検討も行う。
なお、いわゆる隣接法律専門職種と弁護士との役割分担の在り方等についても司法試験法及び裁判所法の一部改正法等による措置の状況等を見つつ、検討する。
10年度(1、000人程度への増加に関し、法律改正み) 11年度(調査・検討) 12年度(調査・検討) 司法試験法の一部を改正する法律(12年1月1日済施行)裁判所法の一部を改正する法律(11年4月1日施行) 14⑤ 法務省
⑧弁護士事務所の法人化等 (a)弁護士事務所の法人化の具体的在り方等につき、さらに調査・検討を進め、これを踏まえて、速やかに所要の法的措置を講ずる。 10年度(法人制度の導入及び広告制限の緩和ないし撤廃に係る要請の実施に係る方針を決定) 11年度(調査・検討) 12年度(措置)   14⑧ 法務省
(b)弁護士広告制限の緩和ないし撤廃につき、平成11年度中に、日本弁護士連合会に対し、必要な協力を行うとともに、所要の措置が早期に講じられるように要請する。 (措置)     14⑧
⑨総合的法律・経済関係事務所の開設 弁護士、公認会計士、税理士、弁理士等がそろった総合的な法律・経済関係事務所の開設について、関係省庁間における検討結果を踏まえ、平成11年度中に所要の措置を講ずる。 10年度(検討結果取りまとめ) 11年度(措置)     14⑨ 法務省
大蔵省
通商産業省

国際仲裁研究会報告書(99.3.31)(要旨)

  1. 仲裁の機能,メリット,ニーズ
    (1)仲裁の機能,メリット
     ○高度な専門的技術的な問題を含む国際取引に伴う紛争解決の有効な手段となり得る。
     ○秘密を要する事案につき紛争事実が公然化することを防止し得る。
     ○当事者の合意により弾力的に手続の効率化を図り得ることから迅速な処理及び費用の抑制を期待することができる。
     ○法文化的背景を異にする当事者の国際取引における中立的な紛争解決に適している。
     ○仲裁判断の外国における執行は訴訟判決に比して極めて容易である。
    (2)ニーズ
     国際取引に伴う紛争解決手段としての仲裁(国際仲裁)に対するニーズは高く,今後この傾向が更に強まっていくものと考えられる。

  2. 我が国における国際仲裁の現状と問題点
     ○仲裁人の選任・養成のための体制が不十分
     ○仲裁人への報酬を含め仲裁に要する費用が高額
     ○我が国の置かれている地理的・言語的状況から我が国を仲裁地とすることは外国企業等への負担が大きい。
     ○我が国の仲裁制度等に関する広報活動が不十分
     ○我が国の仲裁法制の陳腐化
     ○弁護士,企業内担当者等関係者の仲裁制度に対する知識・理解の不足

  3. 我が国の国際仲裁の活性化のため方策
    (1)我が国の仲裁に対する理解・信頼の確保
     ○信頼される仲裁人の確保
     ○仲裁人の養成
     ○広報活動等の充実強化
    (2)仲裁法制の整備
    (3)仲裁機関の在り方
    ※我が国の既存の仲裁機関に関係機関等(日弁連など)を加え国際仲裁に関する「連絡協議会」を設置し,協力連携の上,仲裁人の確保・養成,仲裁人名簿の整備,広報活動等を効率的,効果的かつ充実したものとし,我が国の国際仲裁に関する理解・信頼の確保に努める。なお,「連絡協議会」において,既存の仲裁機関の支援を目的とする「国際仲裁センター」の将来的設立も視野に入れて協議・検討することも必要。

  4. 提言
     ○「連絡協議会」の設置
     ○国際仲裁法制の整備