配付資料

「訴訟手続への新たな参加制度」審議用レジュメ

平成13年1月30日



【中間報告-訴訟手続への新たな参加制度-】

 陪審・参審制度にも見られるように、広く一般の国民が、裁判官とともに責任を分担しつつ協働し、訴訟手続において裁判内容の決定に主体的・実質的に関与していくことは、司法をより身近で開かれたものとし、裁判内容に社会常識を反映させて、司法に対する信頼を確保するなどの見地からも、必要であると考える。
 今後、欧米諸国の陪審・参審制度をも参考にし、それぞれの制度に対して指摘されている種々の点を十分吟味した上、特定の国の制度にとらわれることなく、主として刑事訴訟事件の一定の事件を念頭に置き、我が国にふさわしいあるべき参加形態を検討する。

1. 参加する国民の役割

○参加する国民(以下「裁判員」という。)は、刑事訴訟手続の中で、有罪無罪の決定(事実認定のみ、または事実認定+法令適用)、刑の量定のいずれに関与するのか。
【考慮要素】
  • 国民参加の意義(健全な社会常識の反映等)との関係
  • 対象事件の範囲(否認事件に限るかどうか)との関係
  • 法令適用の専門性・技術性
  • 判決以外の裁判所の裁判(訴訟手続上の決定など)と裁判員の権限

2. 裁判官と裁判員との役割分担

○裁判員が関与する場面において、裁判官と裁判員は、どのような形で協働し、裁判所としての意思を決定するか。
【考慮要素】
  • 国民参加の意義との関係
  • 法律専門家と非法律家である国民とのコミュニケーションの在り方
  • 判決理由表示との関係

○裁判員の意見の法的拘束力・評決権の有無
【考慮要素】
  • 憲法上の問題との関係
  • 国民参加の意義

○裁判体の構成(裁判官と裁判員の数)、評決の方法
【考慮要素】
  • 国民参加の意義と職業裁判官の役割の調和
  • 裁判員の主体的・実質的関与の確保
  • 評議の実効性確保
  • 判決理由表示との関係
  • 裁判官のみによる裁判の場合とのバランス・整合性

3. 裁判員の選任方法、国民の義務等

(1) 候補者の選任方法

○任期制にするか、事件ごとに選任するか
【考慮要素】
  • 国民参加の意義との関係
  • 国民の負担

○無作為に抽出するか、一定の基準を設定して選任するか、何らかの機関により選任するか
【考慮要素】
  • 国民参加の意義との関係
  • 適格者選定の実効性
  • 国民の負担

○候補者資格(欠格・除斥事由の内容)
【考慮要素】
  • 公平な裁判所、公正な裁判の確保

(2) 個々の事件での選定方法

○裁判員に対する忌避制度
【考慮要素】
  • 公平な裁判所、公正な裁判の確保
  • 忌避理由明示の要否

(3) 国民の義務

○免除事由、代償措置、義務不履行の場合の制裁措置など
【考慮要素】
  • 国民参加の意義との関係
  • 義務の公平な負担

4. 参加の対象となる刑事事件

○事件の選別基準(法定刑の重さ、犯罪類型等)
【考慮要素】
  • 国民参加の意義との関係
  • 裁判員の負担(拘束期間、心理的負担など)
  • 裁判員の適性(複雑困難な事件との関係)

○否認事件に限るか、自白事件を含めるか
【考慮要素】
  • 国民参加の意義との関係
  • 裁判員の役割との関係
  • 裁判の公平性の確保
  • 否認事件と自白事件の区別

○被告人による選択の可否
【考慮要素】
  • 国民参加の意義との関係

5. 公判手続・判決の在り方等

(1) 第1回公判前の手続

○争点整理手続の在り方(証拠開示を含む)など
【考慮要素】
  • 連日(的)開廷を可能にする事前準備
  • 起訴状一本主義を前提にした裁判所の関与方法
  • (否認事件に限る場合)アレインメント制度の要否

(2) 公判手続

○公判期日設定の在り方、証拠調べ手続の在り方(証拠法、証拠調べの方法、裁判員による訴訟記録の検討など)など
【考慮要素】
  • 裁判員の主体的・実質的関与の確保
  • 連日(的)開廷の確保
  • 口頭主義・直接主義の徹底
  • 裁判官のみによる裁判の場合との異同
  • (裁判員の役割を有罪・無罪の決定に限る場合)量刑手続の分離

(3) 判決

○判決理由表示の要否・程度
【考慮要素】
  • 裁判のアカウンタビィリティー(当事者に対する説明、国民一般に対する説 明)
  • 裁判官のみによる裁判の場合とのバランス
  • 上訴・再審との関係

6. 上訴

○事実誤認又は量刑不当を理由とする上訴の可否
【考慮要素】
  • 上訴審の構成、審理方式(事後審・続審・覆審)、証拠法則の在り方との関 係
  • 裁判官のみによる裁判の場合とのバランス
  • 判決理由の表示との関係
  • 破棄差し戻しか自判か

7. その他

○報道との関係

○司法教育