2001年2月1日 日本弁護士連合会 |
日本弁護士連合会(日弁連)が、去る1月23日に司法制度改革審議会あてに提出した意見書「弁護士のあり方について」の「綱紀・懲戒手続をより透明化するための課題と方策」について、その趣旨をより明確にするため、下記のとおり補充します。
記
現行法では、懲戒請求者は、各弁護士会の綱紀委員会がなした「懲戒手続に付さない」旨の決定に対して、日弁連に対し、異議を申し出ることができる。この異議申出の審査は、日弁連綱紀委員会ではなく日弁連懲戒委員会で取り扱っている。
懲戒手続における懲戒請求者の不服への配慮に関する今回の構想は、日弁連(懲戒委員会)がこの異議申出を棄却・却下した場合につき、不服のある懲戒請求者による申立を認め、市民代表により構成する「懲戒審査会」(仮称)の審査に付する制度である。「懲戒手続に付さない」との議決は刑事手続における「不起訴」に擬せられるので、その意味で、これは検察審査会に類似する制度である。「懲戒審査会」で「懲戒手続に付することが相当」との勧告がされれば、日弁連懲戒委員会が改めて懲戒手続に付するかどうかを審査することになる。ただし、「懲戒審査会」には市民オンブズマン的機能を付与するものであり、その議決には、懲戒手続に付することを義務づける拘束力はないものとして提起している。
一方、単位弁護士会の綱紀委員会が懲戒処分を相当として懲戒手続に付した案件については、上記意見書31頁の記載から明らかなごとく、その懲戒委員会の決定につき、懲戒請求者に不服がある場合、日弁連に対し異議申出ができる。日弁連の懲戒委員会がさらにこれを棄却・却下した場合はこれが最終結論となり、今回提案の「懲戒審査会」の審査の対象とはしない趣旨である。
なお、今回の構想の提示にあたって、その審査会の名称を「綱紀審査会」とせず「懲戒審査会」と表現したのは、単位弁護士会の綱紀委員会がなした「不起訴」(懲戒手続に付さないとの議決)に対し、懲戒請求者が日弁連に異議の申出をしたときには、日弁連では、これを日弁連綱紀委員会が審査することになっておらず、日弁連の懲戒委員会が審査する手続になっており、今回の構想として提示した「懲戒審査会」は、この日弁連懲戒委員会の議決を再審査する制度だからである。