司法制度改革審議会

司法制度改革審議会 第49回議事概要



1.日 時 平成13年2月27日(火) 13:30~17:30

2.場 所 司法制度改革審議会審議室

3.出席者

(委員・50音順、敬称略)
石井宏治、井上正仁、北村敬子、佐藤幸治(会長)、竹下守夫(会長代理)、髙木 剛、鳥居泰彦、中坊公平、藤田耕三、水原敏博、山本 勝、吉岡初子

4.議 題
「裁判官制度の改革」について(意見交換)

5.会議経過

 前々回、前回に引き続き、「裁判官制度の改革」に関し、委員間で意見交換が行われたところ、その概要は以下のとおり。

(1) 「裁判官の指名過程に国民の意思を反映させるための機関」について(別紙レジュメ参照)

【主な意見の概要】

【意見交換の整理】

 以上のような意見交換の末、会長から、大方の意見の一致をみたと考えられる内容につき、以下のとおりの発言があり、了承された。

 a 審査の在り方
主体的に、自ら適任者の選考、推薦等を行う機関とする(ただし、その意見は最高裁を法的に拘束するものではない。)。また、裁判官の指名を受けようとする者に、選考過程へのアクセスの機会を十分に保障するため、選考の基準、手続、スケジュールなどを明示するなど、選考過程の透明化を確保するための仕組みを工夫する必要がある。

 b 設置単位
最終的な選考結果を最高裁判所に対して意見として提出する機関を中央に置くとともに、十分な判断資料、人事情報等に基づき実質的な判断ができるよう、何らかの仕組み(例えば、地域ブロックごとに下部機関を設置するなど)を整備する必要がある。

 c 委員会の構成、委員の選任方法
設置の趣旨に照らし、委員会を公正で権威のある機関とするため、委員の構成、選任方法については、中立性・公正性を確保できるように十分な工夫を凝らすことが必要である。

 d その他
選考に際し、個々の裁判の内容を審査するなど裁判官の独立を侵すおそれがないように十分配慮されなければならない。

(2) 判事の給源について

【主な意見の概要】

ア 判事補制度の在り方等について

イ 特例判事補制度

【意見交換の整理】

 以上のような意見交換の末、会長から、大方の意見の一致をみたと考えられる内容につき、以下のとおりの発言があり、了承された。

 a 21世紀のあるべき司法という観点から考えた場合、判事補のほとんど全てがそのまま判事となり、事実上判事の主要な給源となっていることは、裁判所法本来の趣旨に照らして適当ではないとの共通認識を得た。

 b この共通認識を踏まえ、まず、判事補に、弁護士等他の法律専門職等の職務経験等を積ませることを制度的に担保する仕組みを整備する必要がある。

 その仕組みのポイントは、

 c 弁護士、検察官等から任官しようとする者についても、例えば、判事補、調査官等として裁判所内部での職務経験を積ませることとするなど、同様に経験の多様化を重視していくことが必要であろう。

 d 従来から課題とされてきた弁護士任官を推進する必要があることについては、異論のないところ。そのために、最高裁と日弁連が、話し合って実効性のある具体的な措置を講ずることが必要ではないか、両者からそうした提案がなされるよう希望する。また、検察官、法律学者からの任官も推進すべきである。

 e 特例判事補制度については、裁判官数の不足に対応するための「当分の間」の措置であったことや、十全の権限を行使する判事となるためには10年の法律専門家としての経験を要求している裁判所法の趣旨にかんがみれば、段階的に解消していく方向で考えるべき。

 f 新たな裁判所調査官制度を整備することが足腰の強い裁判所をつくっていく上で必要であるとも考えられ、今後の検討課題であろう。

 g これらのためにも、判事の大幅増員を図る必要がある。

6.今後の審議の進め方

 裁判官改革については、積残しの課題(人事評価の基準・手続の整備、最高裁判事の選任の在り方など)もあることから、今後の審議の中でさらに議論を行うこととされた。

以 上
(文責 司法制度改革審議会事務局)

-速報のため、事後修正の可能性あり-