配付資料
別紙2
「利用しやすく国民の期待に応える民事司法」について
-検討用たたき台-
平成13年4月6日
【注】
1.本ペーパーの項目の中には、中間報告後、ア.その後の審議等を踏まえて、より具体的な方向性を提示するもの、イ.中間報告の記述を差し当たり記載したが、引き続き検討を要するものが含まれる。
2.「利用しやすい司法制度」を「国民の期待に応える民事司法」と一体化した。(「弁護士へのアクセス」関係の項目は「弁護士改革」へ移すことを想定。)
1 裁判所へのアクセスの拡充
- (1) 利用者の費用負担の軽減
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- 提訴手数料は、スライド制を維持しつつ必要な範囲で低額化。なお、少額訴訟事件の提訴手数料は、定額制の導入を検討。
- 訴訟費用額確定手続を簡素化。
- 弁護士報酬の敗訴者負担制度を基本的に導入する方向で、敗訴者に負担させるべき弁護士費用額の定め方、敗訴者負担の例外とすべき訴訟の範囲及び例外的取扱いの在り方等について検討。
- 訴訟費用保険の開発・普及の推進。
- (2) 民事法律扶助の拡充
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- 民事法律扶助制度を一層充実。対象事件の範囲、対象者の範囲、利用者負担の在り方、運営主体の在り方等について、更に総合的・体系的に検討。
- (3) 裁判所の利便性の向上
- ア 相談窓口等の充実
- 司法の利用相談窓口(アクセス・ポイント)を裁判所、弁護士会、地方公共団体等において充実。インターネット・ホームページ等を活用したネットワーク化の促進により、各種ADR、法律相談、法律扶助制度を含む司法に関する総合的な情報提供を強化。
- 裁判所の夜間サービスを国民へ周知。夜間サービスの拡大・休日サービスの導入を引き続き検討。
- イ 裁判所等への情報技術(IT)の導入
- 裁判所の訴訟手続(訴訟関係書類の電子的提出・交換を含む)、事務処理、情報提供などの各側面でのITの積極的導入を推進するため、最高裁はITを導入するための計画を策定・公表。
- (4) 家庭裁判所・簡易裁判所の機能の充実
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- 人事訴訟等を家庭裁判所の管轄へ移管し、参与員制度の拡充など体制を整備。
- 簡易裁判所の事物管轄は、経済指標の動向等を考慮し、訴額の上限を引上げ。
- 少額訴訟手続の訴額の上限を大幅に引上げ。
- 裁判所の配置は、人口、交通事情、事件数等を考慮し、不断に見直し。
- (5) その他
- [ア 懲罰的損害賠償制度]
- [イ クラスアクション制度]
- ウ 団体訴権制度
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- 団体訴権の導入の可否、導入する場合の適格団体の決め方等については、法分野ごとに、個別の実体法において、その法律の目的やその法律が保護しようとしている権利、利益等の関係で検討すべき。
- エ 利用者ニーズの継続的把握(注:最終報告での記載位置は要検討)
- 民事司法に関する利用者調査(アンケート等)を定期的に実施。
2 民事訴訟の充実・迅速化-計画審理の促進・証拠収集手続の拡充による争点整理の促進-
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- (下記施策と相まって)人証調べ事件の審理期間を概ね半減することを目標
- 新民事訴訟法の適切な運用により計画審理を促進。
- 原則として全事件について審理計画の策定のための協議を義務づけ。
- 独立証拠調べなど訴えの提起前の時期を含め当事者が早期に証拠を収集するための手段を拡充。
- 弁護士人口大幅増加を含む弁護士の執務態勢の充実強化。
- 裁判官の大幅増加を含む裁判所の人的・物的体制の充実強化。
- 地方裁判所における簡易迅速な手続の導入については引き続き検討。
- (1) 専門家の活用
- ア 鑑定制度の改善
- 鑑定人名簿の整備、専門家団体との連携、最高裁判所に医事関係訴訟委員会・建築関係訴訟委員会の新設など、鑑定人推薦の円滑化を含め、鑑定制度を改善。
- イ 専門委員の参加制度の創設
- 各種専門領域における非法曹の専門家(常勤の裁判所職員となる形態を含む)が、その分野の専門技術的見地から、裁判の全部又は一部に関与し、裁判官をサポートする新たな訴訟手続への参加制度(具体的には、例えば、争点整理のサポート、和解の担当・補助、専門的知見を要する問題点に関する調査・意見陳述、証拠調べへの関与)については、裁判所の中立・公平等に十分配慮しつつ、それぞれの専門性の種類に応じて個別に検討し、その導入を図る。
- ウ 弁護士、裁判官の専門性強化等
- 専門性強化の見地から、弁護士事務所の法人化・共同化、法曹養成制度の改革や継続教育の充実が重要。
- (2) 医事関係事件への対応強化
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- 医事関係事件の審理期間を概ね半減することを目標。
- 医事関係事件専門部・集中部の新設。裁判所の専門性強化。
- 医事関係訴訟委員会の新設など鑑定制度の改善。
- 独立証拠調べなど訴えの提起前の時期を含め当事者が早期に証拠を収集するための手段を拡充(再掲)。
- 新たな専門委員の参加制度の導入の検討。
- 弁護士事務所の法人化・共同化等弁護士の専門性強化(再掲)。
- 法曹養成・継続教育における専門的教育の充実(再掲)。
- 医事関係事件訴訟の判例情報公開・提供の一層の充実。
- 関係機関(関係省庁、裁判所を含む)による連携の強化。
- (3) 建築関係事件への対応強化
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- 建築関係事件の審理期間を概ね半減することを目標。
- 建築関係事件専門部・集中部の新設。裁判所の専門性強化。
- 建築関係訴訟委員会の新設など鑑定制度の改善。
- 独立証拠調べなど訴えの提起前の時期を含め当事者が早期に証拠を収集するための手段を拡充(再掲)。
- 新たな専門委員の参加制度の導入。
- 弁護士事務所の法人化・共同化等弁護士の専門性強化(再掲)。
- 法曹養成・継続教育における専門的教育の充実(再掲)。
- 建築関係事件の判例情報公開・提供の一層の充実。
- 関係機関(関係省庁、裁判所を含む)による連携の強化。(再掲)
4 知的財産権関係事件への総合的な対応強化
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- 知的財産権関係訴訟の審理期間を概ね半減することを目標。
- 知的財産専門部の拡充、専門性が強化された裁判官や技術専門家である裁判所調査官の集中的投入、新たな専門委員の参加制度の導入など、専門的処理体制を一層強化し、実質的に「特許裁判所」の機能を果たさせる。
- 独立証拠調べなど訴えの提起前の時期を含め当事者が早期に証拠を収集するための手段を拡充(再掲)。
- 知的財産権関係訴訟のうち、特許及び実用新案等について東京、大阪両地方裁判所への専属管轄化。
- 弁理士への特許等の侵害訴訟代理権(弁護士が訴訟代理人となっている事件に限る)の付与を前向きに検討し、その前提として、試験・研修など信頼性の高い能力担保措置を検討。
- 弁護士事務所の法人化・共同化等弁護士の専門性強化(再掲)。
- 法曹養成・継続教育における専門的教育の充実(再掲)。
- 知的財産権関係の判例情報公開・提供の一層の充実。
- 工業所有権仲裁センターや判定制度等のADRを拡充・活性化し、訴訟と連携を図る。
- 関係機関(関係省庁、裁判所を含む)による連携の強化。その際、知的財産の国際性や政策的重要性にも十分配慮。
5 労働関係事件への総合的な対応強化
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- 労働関係事件(人証事件)の審理期間を概ね半減することを目標。
- 労働関係事件専門部の拡充。裁判所の専門性強化。
- 独立証拠調べなど訴えの提起前の時期を含め当事者が早期に証拠を収集するための手段を拡充(再掲)。
- 弁護士事務所の法人化・共同化等弁護士の専門性強化(再掲)。
- 法曹養成・継続教育における専門的教育の充実(再掲)。
- 労働関係事件に関し、民事調停の特別な類型として、雇用・労使関係に関する専門的な知識経験を有する者の関与する労働調停(a管轄裁判所を地方裁判所とすること、b申立人の住所地での申立てを可能とすること、c訴訟手続との連携を強化すること、d調停の成立を促進するための仕組みを設けること等について検討)の導入。その他のADRの整備と専門家等の活用。
- 集団的労働関係事件についてのいわゆる「事実上の5審制」解消など、労働委員会の救済命令に対する司法審査の在り方については、労働委員会の在り方を含め、関係機関(関係省庁、裁判所を含む)において引き続き検討。
- いわゆる「労働参審制」の導入、労働関係事件固有の訴訟手続の整備については、ADRとの関係整理等も含め、関係機関(関係省庁、裁判所を含む)において望ましい制度を引き続き検討。
- 労働関係事件の判例情報公開・提供の一層の充実。
- 関係機関(関係省庁、裁判所を含む)による連携の強化。(再掲)
6 民事執行制度の強化-権利実現の実効性の確保
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- 権利実現の実効性を確保する見地から、
・ 債務者の履行促進のための方策
・ 債務者の財産を把握するための方策
・ 占有屋等による不動産執行妨害への対策
など民事執行制度を改善するための新たな方策を導入。
- 家事審判・調停により定められた義務など少額定期給付債務の履行確保のための制度を整備。
- 民事裁判の執行に携わる裁判所関係職員の増員等人的体制の充実・強化。
7 裁判外の紛争解決手段(ADR)の拡充・活性化
- (1) 関係機関等の連携強化
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- ADRの拡充・活性化に向けた裁判所や関係機関、関係省庁等の連携を促進するため、関係諸機関による連絡協議会や関係省庁等の連絡会議等の体制を整備。
- 訴訟、ADRを含む紛争解決に関する総合的な相談窓口を充実させるとともに、インターネット上のポータル・サイトなど情報技術を活用した連携を図り、ワン・ストップでの情報提供を実現。
- ADRの担い手の確保については、人材、紛争解決等を含む情報の開示・共有を促進(その際、ポータル・サイトも活用)した上で、必要な知識・技能に関する研修等を充実。
- (2) 共通的な制度基盤の整備
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- 国際的動向をみつつ、仲裁法制(国際商事仲裁を含む)を早期に整備。
- さらに、ADRの利用促進、裁判手続との連携強化のための基本的な枠組みを規定する法律(いわゆる「ADR基本法」など)の制定をも視野に入れ総合的に検討。その際、たとえば時効中断(停止)効の付与、執行力の付与、法律扶助の対象化等のための条件整備、ADRの全部又は一部について裁判手続を利用したり、あるいはその逆の移行を円滑にするための手続整備等を具体的に検討。
- 隣接法律専門職種など非法曹の専門家のADRにおける活用を図るため、弁護士法72条の見直しの一環として、職種毎に実態を踏まえて個別的に判断し、法制上明確に位置付け。なお、72条については、少なくとも、規制対象となる範囲・態様に関する予測可能性を確保するため、何らかの形で明確化。
8 司法に関する情報公開の推進
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- 裁判所、検察庁、弁護士会における情報公開の推進。
- 判例情報をプライバシー等へ配慮しつつインターネット・ホームページ等を活用して全面的に公開・提供。
9 分かりやすい司法の実現
- (1) 基本法制の整備
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- 早期の基本法等の改正の実現に期待(法務省の立法推進体制へ言及)。
- (2) 司法教育の充実
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- 学校教育等における司法教育の充実。このための、法曹関係者の協力。